JP2017042965A - 金属板補強体 - Google Patents

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Michiya Sugie
三千也 杉江
猛 井原
Takeshi Ihara
猛 井原
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Abstract

【課題】金属板に貼付し易い金属板補強体を提供する。【解決手段】金属板補強体1は、補強材11で形成された補強層10と、該補強層10に接着されて金属板(車体パネル810)に接着可能な接着剤71を有する接着層70と、を備える。補強材11は、接着剤71が入り込んだ凹部21を有する。補強材11は、凹部21を形成するように補強層10から接着層70の方へ出た凸部22を有してもよい。接着層70の面方向(D2)における縁部70eの少なくとも一部に凸部22が配置されてもよい。また、補強材11は、曲げ動作を容易にするための薄肉部31を部分的に有してもよい。さらに、補強材11は、補強層10における接着層70との層面50とは反対側の面(非接着面10a)から凹んで薄肉部31が形成される溝32を有してもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、金属板補強体に関する。
自動車には、ルーフパネル、ピラー、等の鋼板製車体パネルが設置されている。近年、ルーフパネル等の鋼板は、軽量化のため、極力薄くすることが求められている。薄い鋼板の面剛性、耐デント性、及び、制振性を向上させるため、熱硬化性樹脂組成物からなる層をアルミニウム箔の表面に積層した補強シートを塗装前の鋼板に貼付してから電着塗装することが行われている。
特許文献1には、熱可塑性樹脂組成物からなる層をアルミニウム箔の表面に積層した補強シートを塗装後の鋼板に貼付してから80℃以上に加熱することが開示されている。尚、熱可塑性樹脂組成物は、加熱により熱可塑性樹脂に変わる混合物であり、熱可塑性樹脂ではない。
特開2012−76279号公報
補強板に粘着剤を積層した補強シートを鋼板表面に貼付し易いと好適である。
尚、上述した課題は、鋼板を含む金属板を補強する種々の金属板補強体に存在する。
本発明は、新規の金属板補強体を提供する目的を有している。
本発明は、金属板を補強するための金属板補強体であって、
補強材で形成された補強層と、
該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤を有する接着層と、を備え、
前記補強材は、前記接着剤が入り込んだ凹部を有する、態様を有する。
また、本発明は、金属板を補強するための金属板補強体であって、
補強材で形成された補強層と、
該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤を有する接着層と、を備え、
前記補強材は、曲げ動作を容易にするための薄肉部を部分的に有する、態様を有する。
さらに、本発明は、金属板を補強するための金属板補強体であって、
補強材で形成された補強層と、
該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤、及び、面方向において前記接着剤同士の間に空気が入り込んだ隙間を有する接着層と、を備える、態様を有する。
さらに、本発明は、金属板を補強するための金属板補強体であって、
波板状の補強材で形成された補強層と、
該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤を有する接着層と、を備える、態様を有する。
さらに、本発明は、金属板で筒状に形成された構造物を補強するための金属板補強体であって、
板状の補強材と、
該補強材の外周部に接着されて前記筒状の構造物の内側面に接着可能な接着剤と、を備える、態様を有する。
請求項1〜請求項4に係る発明によれば、補強材から接着剤が外れることを抑制可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項5〜請求項6に係る発明では、金属板の曲面に対して容易に追従可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項7に係る発明では、断熱性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項8に係る発明では、吸音性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項9に係る発明では、金属板の補剛性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項10に係る発明では、遮熱性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項11に係る発明では、筒状構造物の内側を伝播する騒音を抑制可能な金属板補強体を提供することができる。
請求項12に係る発明では、貼付作業の容易な金属板補強体を提供することができる。
車体パネルに金属板補強体が貼付された自動車の例を模式的に示す図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b),(c)は金属板補強体の接着面の例を模式的に示す図。 金属板の曲面に金属板補強体を貼付した例を模式的に示す断面図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b),(c)は金属板補強体の接着面の例を模式的に示す図。 (a)〜(c)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b),(c)は金属板補強体の非接着面の例を模式的に示す図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b)は金属板補強体の非接着面の例を模式的に示す図、(c)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b)は金属板補強体の接着面の例を模式的に示す図、(c)は金属板に金属板補強体を貼付した例を模式的に示す断面図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b)は金属板補強体の接着面の例を模式的に示す図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b)は金属板補強体の接着面の例を模式的に示す図、(c)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図。 (a)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図、(b)は金属板補強体の非接着面の例を模式的に示す図、(c)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図。 (a)〜(c)は金属板補強体の断面構造の例を模式的に示す断面図。 (a)は金属板補強体の例、及び、筒状構造物の断面の例を模式的に示す図、(b)は金属板補強体が取り付けられた筒状構造物の例を模式的に示す断面図。 (a),(b)は比較例の金属板補強体の断面構造を模式的に示す断面図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本技術の概要:
まず、図1〜13に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、図1〜13は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。
[態様1](例えば図1〜5参照)
金属板(例えば車体パネル810)を補強するための態様1の金属板補強体1は、補強材11で形成された補強層10と、該補強層10に接着されて前記金属板(810)に接着可能な接着剤71を有する接着層70と、を備える。前記補強材11は、前記接着剤71が入り込んだ凹部21を有する。本態様は、接着剤71が補強材11の凹部21に入り込んでいるので、補強材から接着剤が外れることを抑制可能な金属板補強体を提供することができる。
[態様2]
ここで、前記接着剤71が感圧型接着剤71であると、金属板(810)に金属板補強体1を貼付した後に加熱等の作業が不要となる。尚、感圧型接着剤は、常温で圧力を加えるだけで接着する接着剤を意味し、感圧性接着剤や粘着剤ともいう。本態様は、貼付作業の容易な金属板補強体を提供することができる。
尚、接着剤が感圧型接着剤でない場合も、本技術に含まれる。
[態様3](例えば図2,3参照)
前記補強材11は、前記凹部21を形成するように前記補強層10から前記接着層70の方へ出た凸部22を有してもよい。前記接着層70の面方向(例えば方向D2)における縁部70eの少なくとも一部に前記凸部22が配置されてもよい。本態様は、接着層70の面方向における縁部70eの少なくとも一部に配置された凸部22により接着剤71が金属板補強体1の外周部1eからはみ出すことが抑制される。従って、本態様は、金属板補強体の外周部から接着剤がはみ出すことによる汚れを抑制可能な金属板補強体を提供することができる。
尚、接着層の面方向における縁部の全てに凸部が配置されてもよいし、接着層の面方向における縁部の一部のみ凸部が配置されてもよい。また、接着層の面方向における縁部以外の部分に凸部が配置されてもよい。
[態様4](例えば図6,7参照)
態様4の金属板補強体1の補強材11は、曲げ動作を容易にするための薄肉部31を部分的に有する。本態様は、部分的な薄肉部31により補強材11を容易に曲げることができるので、金属板の表面が曲面である場合に該曲面に対して容易に追従可能な金属板補強体を提供することができる。
[態様5](例えば図6,7参照)
前記補強材11は、前記補強層10における前記接着層70との層面50とは反対側の面(例えば非接着面10a)から凹んで前記薄肉部31が形成される溝32を有してもよい。尚、補強層と接着層との層面は、補強層と接着層とが相接する面を意味する。本態様は、金属板補強体の曲面に対して好適に追従可能な金属板補強体を提供することができる。
[態様6](例えば図8〜10参照)
態様6の金属板補強体1は、補強材11で形成された補強層10と、該補強層10に接着されて前記金属板(例えば車体パネル810)に接着可能な接着剤71、及び、面方向(例えば方向D2)において前記接着剤71同士の間に空気が入り込んだ隙間72を有する接着層70と、を備える。本態様は、金属板(810)に金属板補強体1を貼付したときに金属板(810)と補強層10との間に空気が入り込んだ隙間72ができるので、断熱性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
[態様7](例えば図10参照)
前記補強材11は、前記補強層10における前記接着層70との層面50とは反対側の面(例えば非接着面10a)と、前記接着層70の隙間72と、に繋がった貫通穴33を有してもよい。この態様は、補強層10における接着層70との層面50とは反対側の面(10a)から音波が貫通穴33を通って接着層70の隙間72に入るので、音波をヘルムホルツ共鳴管の原理により減衰させることが可能である。従って、本態様は、吸音性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
[態様8](例えば図11参照)
態様8の金属板補強体1は、波板状の補強材11で形成された補強層10と、該補強層10に接着されて前記金属板(例えば車体パネル810)に接着可能な接着剤71を有する接着層70と、を備える。接着剤71により金属板(810)に接着される補強材11が波板状であるので、本態様は、金属板の補剛性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。尚、補剛とは部材の剛性を補強することを意味し、金属板の補剛とは金属板の剛性を補強することを意味する。
[態様9](例えば図12参照)
前記補強層10は、前記接着層70に接した金属層(例えば遮熱層40)と、該金属層(40)とは異なる材質の主補強層12と、を含んでもよい。この態様は、金属板補強体1の厚み方向D1への熱の輻射が金属層(40)により抑制されるので、遮熱性を向上させることが可能な金属板補強体を提供することができる。
[態様10](例えば図13参照)
筒状構造物(例えばピラー812)を補強するための態様10の筒状構造物補強体(例えば符号1Q)は、板状の補強材11と、該補強材11の外周部11eに接着されて前記筒状構造物(812)の内側面812iに接着可能な接着剤71と、を備える。ここで、前記筒状構造物補強体(1Q)は、金属板(813,814)で筒状に形成された構造物(812)を補強するための金属板補強体でもよい。本態様は、接着剤71により筒状構造物(812)の内側面812iと板状補強材11の外周部11eとが接着するので、筒状構造物の内側を伝播する騒音を抑制可能な筒状構造物補強体を提供することができる。
(2)金属板補強体の例:
図1は、車体パネル(金属板)810を補強するための金属板補強体1を自動車800の天井部801に適用した例を模式的に示している。図1の下部には自動車800の内装の例を模式的に示し、図1の上部には天井部801の要部の垂直断面を模式的に例示している。図中、FRONTは自動車800の前を示し、REARは自動車800の後を示す。符号C1は、車室を示す。符号O1は、車外を示す。符号D1は、金属板補強体1、及び、車体パネル810の厚み方向を示す。符号D2は、金属板補強体1の面方向を示す。
図1に示す自動車800は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車とされ、車室C1の中に乗員用の座席830を有する乗用自動車とされている。尚、本技術を適用可能な自動車は、ワゴンタイプ以外にも、セダンタイプ等でもよい。図1に示す自動車800の車室C1は、車体パネル810に取り付けられた内装材820で囲まれている。図1に示す金属板補強体1は、塗装後の車体パネル810において車室C1側となる裏面810bに貼付される。
車体パネル810は、例えば、鋼板といった金属で形成される。車体パネル810は、車体の天井部801を形成するルーフパネル811、ルーフパネル811を支えるピラー812(図13(a)参照)、ドアを形成するドアパネル、車体の床部を形成するフロアパネル、等を含む。内装材820は、例えば、熱可塑性樹脂といった合成樹脂で形成され、不織布や織布といった表皮材で加飾されてもよい。内装材820は、ルーフパネル811の車室側に設けられるルーフライナー821、ピラーの車室側に設けられるピラートリム823、ドアパネルの車室側に設けられるドアトリム822、等を含む。尚、ルーフライナーはルーフトリム等とも呼ばれ、ピラートリムはピラーガーニッシュ等とも呼ばれる。
金属板補強体1は、補強材11で形成された補強層10と、この補強層10に接着されて車体パネル810に接着可能な接着剤71を有する接着層70と、を備える。ここで、金属板補強体の各層は、金属板補強体のうち金属板補強体の面方向へ広がった部分を意味する。従って、補強層を形成する補強材の一部が接着層に入っている場合も、本技術の金属板補強体に含まれる。補強材11と接着剤71とは、少なくとも補強層10と接着層70との層面50において接着している。接着層70の接着面70aを車体パネル810の裏面810bに押し当てると、車体パネル810に金属板補強体1が貼付される。この時、補強層10における接着層70との層面50とは反対側の非接着面10aは、車室C1側に向くことになる。非接着面10aは、内装材から離隔していてもよいし、内装材に接してもよい。
補強層10と接着層70を備える金属板補強体1は、図2〜12に例示される金属板補強体1A〜1Pを含み、車体パネル810に対して補剛性を発揮する。尚、補強層と接着層を備える金属板補強体は、ルーフパネル以外にも、ドアパネル、クォーターパネル、フェンダー、等、薄い金属板に貼付するのに好適である。
補強材11には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂といった合成樹脂(エラストマーを含む。)、強化材やフィラーといった添加材が添加された合成樹脂、不織布といった布、布に合成樹脂を含浸させた材料、金属、これらの組合せ、等を用いることができる。前記熱可塑性樹脂には、ポリアミド(PA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂といったポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂といったポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、等を用いることができる。前記熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、等を用いることができる。前記強化材には、炭素繊維、ガラス繊維、等を用いることができる。すなわち、強化材を添加した合成樹脂には、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、等を用いることができる。前記フィラーには、無機フィラー(例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、マイカ、クレー、酸化チタン)、有機フィラー(例えば、セルロース繊維、ビニロン繊維、コットンフロック)、カーボンブラック、等を用いることができる。金属には、アルミニウム、スチール、各種合金、等を用いることができる。
補強材11で形成される補強層10には、図10(a)〜(c)に示す貫通穴33等が形成されてもよい。補強層10の厚みは、特に限定されず、車種に応じて設計すればよいが、例えば、0.1〜5mm程度とすることができる。尚、補強層10の厚みは、接着層70に入った凸部22を除く厚みとする。
接着剤71は、補強材11と金属板とを接着することができればよく、接着後の加熱を不要にする観点から感圧型接着剤が好ましい。感圧型接着剤には、ゴム系ポリマーをベースポリマーに用いたゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系重合体をベースポリマーに用いたアクリル系粘着剤、等を用いることができる。これらの粘着剤は、脆性破壊し難く、靱性が高い。前記ゴム系ポリマーには、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、再生ゴム、等を用いることができる。特に、ブチルゴム系粘着剤(例えばSika社のSikaDamp(登録商標)-632等)は、特に、脆性破壊し難く、靱性が高いうえ、軽量で制振性能を有するので好ましい。
また、接着剤には、フィラーが添加されてもよい。接着剤にフィラーを添加して内部損失を多くすると、制振性能が向上する。
接着剤71を有する接着層70は、補強材11が入ってもよいし、図8〜10に示す隙間72等が形成されてもよい。接着層70の厚みは、特に限定されず、車種に応じて設計すればよいが、例えば、0.1〜5mm程度とすることができる。
金属板補強体1は、押出成形、射出成形、等といった成形により製造することができる。金属板補強体1に含まれる補強材11と接着剤71は、別々に成形されてもよいし、同時に成形されてもよい。例えば、補強材11に熱可塑性の材料を用いる場合、この材料を加熱し溶融させてダイから押し出すことにより所望の形状の補強材11を押出成形することができ、溶融させた材料を射出成形用の金型に射出することにより所望の形状の補強材11を射出成形することができる。接着剤71の材料としてゴム系ポリマーと架橋剤を含む材料を用いる場合、この材料に形状(例えばシート状)を付与して架橋処理(例えば加熱処理)を行うことにより所望の形状の接着剤71を形成することができる。架橋剤には、チウラム加硫剤、キノイド加硫剤、といった加硫剤等を用いることができる。ゴム系ポリマーと架橋剤を含む材料には、上述したフィラー、さらに、粘着付与剤、老化防止剤、等が含まれてもよい。補強材11と接着剤71を別々に成形する場合、成形後の補強材11に成形後の接着剤71を貼付すればよい。また、ゴム系ポリマーと架橋剤を含む材料を成形後の補強材11に塗布し、架橋処理を行うことにより金属板補強体1を形成してもよい。接着剤71の材料としてゴム系ポリマーと光重合開始剤を含む材料を用いる場合、この材料に形状(例えばシート状)を付与し紫外線といった活性エネルギー線を照射して重合処理を行うことにより所望の形状の接着剤71を形成することができる。
接着剤71が感圧型接着剤である場合、接着層70の接着面70aを車体パネル810の裏面810bに押し当てた後に加熱する必要が無い。このように、非加熱タイプの金属板補強体は、貼付作業が容易である。
金属板補強体1には、様々な構造を採用することができる。以下、種々の構造の金属板補強体1を説明する。尚、既に説明した構成要素については、同じ符号を付して説明を省略することがある。
(3)補強材に接着剤が入り込んだ凹部がある具体例:
図2(a)は、金属板補強体1Aの断面構造の例を模式的に示している。図2(b),(c)は、金属板補強体1Aの接着面70aの例を模式的に示している。この金属板補強体1Aの補強材11は、接着剤71が入り込む凹部21を形成するように補強層10から接着層70の方へ出た凸部22を有している。図2(a)に示す凸部22の先端面22aは、接着面70aに合わせられ、接着剤71で覆われていない。尚、誤差等により1〜2mm程度以内で先端面22aが接着面70aからずれることは、先端面22aが接着面70aに合わせられていることに含まれる。図2(b),(c)に示す凸部22は、接着層70の面方向D2における縁部70eの少なくとも一部に配置されている。図2(b)に示す例は、補強材11を押出成形することを前提として、補強材11の押出方向D3における接着層70の両縁部70e1,70e2に沿った凸部22が無く、補強材11の押出方向D3に直交する幅方向D4における接着層70の両縁部70e3,70e4に凸部22が配置されている。ここで、縁部70e1,70e2,70e3,70e4を縁部70eと総称する。押出方向D3と幅方向D4は、面方向D2に含まれる。図2(c)に示す例は、補強材11を射出成形することを前提として、各方向D3,D4の接着層70の両縁部70e1,70e2,70e3,70e4に凸部22が配置されている。すなわち、接着層70において、接着剤71が凸部22で囲まれていることになる。尚、図2(c)に示す方向D3,D4は、縁部70e1,70e2,70e3,70e4を特定するための便宜上の方向であり、図2(b)における押出方向及び幅方向とは異なる。
図2(b),(c)に示す金属板補強体1Aは、例えば、凹部21の大きさに合わせて切断したシート状の接着剤71を成形後の補強材11の凹部21に嵌め込むことに形成することができる。また、ゴム系ポリマーと架橋剤を含む材料を成形後の補強材11の凹部21に塗布し、架橋処理(例えば加熱処理)を行うことにより、金属板補強体1Aを形成してもよい。後述する金属板補強体1B〜1Pも、金属板補強体1Aの製法と同じ製法により形成することができる。
図14(a),(b)は、比較例の金属板補強体901の断面構造を模式的に示している。この金属板補強体901の補強層10を形成する補強材は、凸部の無い板状である。この場合、接着層70を形成する接着剤71には補強材に対する引っ掛かりが無いこととなり、図14(a)に例示するように補強材から接着剤71の一部又は全部が剥がれる(外れる)可能性がある。特に、車体パネルの曲面(特に凹面)に合わせて金属板補強体901を貼付する場合、補強材の曲げに対して接着剤71が追従せず、補強材から接着剤71の一部又は全部が剥がれる可能性が高まる。
一方、図2(a)〜(c)に示す金属板補強体1Aは、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。特に、車体パネル810の曲面状の裏面810bに金属板補強体1Aを貼付する場合、図3に例示するように、凸部22に保持されて接着剤71が補強材11の曲げに追従する。特に、図3に示すように車体パネル810の凹面状の裏面810bに合わせて接着面70aが凸面となるように金属板補強体1Aを曲げても、補強材11から接着剤71が剥がれ難い。
また、図14(b)に例示するように、補強層10を形成する補強材に凸部が無い場合、時間が経つと接着剤71がコールドフロー現象により金属板補強体901の外周部1eからはみ出すことがある。はみ出した接着剤71は、金属板補強体901を車体パネルに貼付する際に手袋等に付着して周囲を汚す可能性がある。
一方、図2(a)〜(c)に示す金属板補強体1Aは、接着層70の面方向D2における縁部70eの少なくとも一部に凸部22が配置されているので、接着剤71がコールドフロー現象により金属板補強体1Aの外周部1eからはみ出すことが抑制される。従って、金属板補強体1Aを車体パネル810に貼付する際に接着剤71が手袋等に付着し難く、周囲を汚し難い。図2(b)に示す金属板補強体1Aの場合、凸部22が配置された縁部70e3,70e4からの接着剤71のはみ出しが抑制されるので、外周部1eのうち縁部70e3,70e4がある部分を持って金属板補強体1Aを車体パネル810に貼付すればよい。
実施例として、ブチルゴム系粘着剤にシート状のSika社のSikaDamp(登録商標)-632を用い、図2(a),(b)に示す形状の補強材11を熱可塑性樹脂で成形し、凹部21の大きさに合わせたシート状ブチルゴム系粘着剤を補強材11の凹部21に嵌め込んで金属板補強体1Aのサンプルを作製した。このサンプルを図3に示すように接着面70aが凸面となるように曲げたところ、接着剤71は補強材11に追従して曲がり、層面50から剥がれなかった。また、サンプルをしばらく放置したところ、凸部22が配置された縁部70e3,70e4から接着剤71ははみ出さなかった。さらに、サンプルを塗装後の車体パネルサンプルに貼付して振動試験を行ったところ、良好な制振効果が得られた。
従って、縁部70eの少なくとも一部に凸部22を有する金属板補強体1Aは、補剛性が得られ、補強材から接着剤が外れることが抑制され、金属板補強体の外周部から接着剤がはみ出すことによる汚れが抑制されることが確認された。
尚、凸部22は、接着層70の面方向D2における縁部70e以外の部分に配置されてもよい。図4(a)は、接着層70において縁部70eでない部分に凸部22を有する金属板補強体1Bの断面構造の例を模式的に示している。図4(b),(c)は、金属板補強体1Bの接着面70aの例を模式的に示している。この金属板補強体1Bの補強材11も、接着剤71が入り込む凹部21を形成するように補強層10から接着層70の方へ出た凸部22を有している。この凸部22は、接着層70において縁部70eよりも内側の部分に配置されている。図4(b)に示す例は、補強材11を押出成形することを前提として、補強材11の幅方向D4における接着層70の両縁部70e3,70e4に沿って凸部22が配置されている。図4(c)に示す例は、補強材11を射出成形することを前提として、各方向D3,D4の接着層70の両縁部70e1,70e2,70e3,70e4に沿って凸部22が配置されている。縁部70e1,70e2に沿った凸部22と縁部70e3,70e4に沿った凸部22とは、交差している。
金属板補強体1Bも、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。
さらに、図5(a)に示す金属板補強体1Cのように、接着層70において縁部70eの少なくとも一部と縁部70e以外の部分の両方に凸部22が配置されてもよい。この金属板補強体1Cも、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。また、接着層70の縁部70eの少なくとも一部に凸部22が配置されているので、接着剤71がコールドフロー現象により金属板補強体1Cの外周部1eからはみ出すことが抑制され、金属板補強体1Cを車体パネル810に貼付する際に接着剤71が手袋等に付着し難く、周囲を汚し難い。
さらに、図5(b)に示す金属板補強体1Dのように、凸部23の先端面23aが接着面70aよりも層面50側に退避して接着剤71で覆われてもよい。ここで、凸部23は、接着剤71が入り込む凹部21を形成するように補強層10から接着層70の方へ出た凸部であり、上述した凸部22の概念に含まれる。金属板補強体1Dも、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。
さらに、図5(c)に示す金属板補強体1Eのように、接着面70aに合わせられた先端面22aを有する凸部22と接着面70aよりも層面50側に退避した先端面23aを有する凸部23の両方があってもよい。この金属板補強体1Eも、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。
(4)補強材に曲げ動作を容易にするための薄肉部がある具体例:
図6(a)は、金属板補強体1Fの断面構造の例を模式的に示している。図6(b),(c)は、金属板補強体1Fの非接着面10aの例を模式的に示している。この金属板補強体1Fの補強材11は、曲げ動作を容易にするための薄肉部31を部分的に有している。図6(a)に示す補強材11は、非接着面10aから凹んで薄肉部31が形成される溝32を有している。図6(b),(c)では、便宜上、溝32を破線で示している。図6(a)に示す溝32は断面V字状(断面三角形状)であるが、断面四角形状や断面半円状等の溝で薄肉部31が形成されてもよい。図6(b)に示す例は、補強材11を押出成形することを前提として、補強材11の押出方向D3(縁部70e3,70e4)に沿った複数本の直線状の溝32で補強材11に薄肉部31が部分的に形成されている。図6(c)に示す例は、補強材11を射出成形することを前提として、各方向D3,D4(縁部70e1,70e2,70e3,70e4)に沿った複数本の直線状の溝32で補強材11に薄肉部31が部分的に形成されている。一方の方向D3に沿った溝32と他方の方向D4に沿った溝32とは、交差している。
図6(a)〜(c)に示す金属板補強体1Fは、部分的な薄肉部31により補強材11を容易に曲げることができるので、車体パネル810の裏面810bが曲面である場合に該曲面に対して容易に追従させることができ、施工性が向上する。図6(b)に示す金属板補強体1Fの場合、幅方向D4において補強材11を曲げ易いので、車体パネル810の裏面810bに対して曲率の大きい向きに幅方向D4を向けると好適である。図6(c)に示す金属板補強体1Fの場合、両方向D3,D4において補強材11を曲げ易いので、さらに施工性が向上する。
尚、溝32は、縁部70eに沿った向きに限定されず、折れ線状や曲線状等でもよい。図7(a),(b)に示す金属板補強体1Gは、ハニカム状の溝32を有している。この溝32は、補強材11の非接着面10aに対して六角形を密に並べた模様が形成されるように配置されている。金属板補強体1Gの補強材11は、非接着面10aから断面四角形状に凹んで薄肉部31が形成される溝32を有している。この金属板補強体1Gも、部分的な薄肉部31により補強材11を容易に曲げることができるので、車体パネル810の裏面810bが曲面である場合に該曲面に対して容易に追従させることができ、施工性が向上する。また、補強材11を曲げる向きが方向D3,D4に限定されないので、さらに施工性が向上する。
さらに、図7(c)に示す金属板補強体1Hのように、凸部22と薄肉部31の両方が形成されてもよい。この金属板補強体1Hは、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。接着層70の縁部70eの少なくとも一部に凸部22が配置されていると、接着剤71がコールドフロー現象により金属板補強体1Cの外周部1eからはみ出すことが抑制され、金属板補強体1Cを車体パネル810に貼付する際に接着剤71が手袋等に付着し難く、周囲を汚し難い。また、部分的な薄肉部31により補強材11を容易に曲げることができるので、車体パネル810の裏面810bが曲面である場合に該曲面に対して容易に追従させることができ、施工性が向上する。
(5)接着層に空気が入り込んだ隙間がある具体例:
図8(a)は、金属板補強体1I(アイ)の断面構造の例を模式的に示している。図8(b)は、金属板補強体1Iの接着面70aの例を模式的に示している。図8(c)は、車体パネル810に金属板補強体1Iを貼付した例を模式的に示している。この金属板補強体1Iの接着層70は、補強層10に接着されて車体パネル810に接着可能な接着剤71、及び、面方向D2において接着剤71同士の間に空気が入り込んだ隙間72を有する。図8(b)に示す例は、各方向D3,D4の接着層70の両縁部70e1,70e2,70e3,70e4に接着剤71が配置され、この接着剤71で隙間72が囲まれている。
金属板補強体1Iの接着面70aを車体パネル810の裏面810bに押し当てると、図8(c)に示すように金属板補強体1Iが車体パネル810に貼付される。この時、車体パネル810と補強層10との間に空気が入り込んだ隙間72ができ、この隙間72が熱伝導率の低い空気層となって断熱性能を発揮する。特に、図8(b)に示すように隙間72が接着剤71で囲まれていると、隙間72の空気が流れ難いので、さらに高い断熱性が得られる。また、車体パネル810と補強層10との間に形成された空気層は、吸音性能も発揮する。さらに、接着剤71が少なくて済むので、高い遮熱性及び吸音性を有する金属板補強体が低コストで得られる。
尚、一方の方向D3の接着層70の両縁部70e1,70e2に接着剤71が配置されなかったり、他方の方向D4の接着層70の両縁部70e3,70e4に接着剤71が配置されなかったりしても、面方向D2において接着剤71同士の間に空気が入り込んだ隙間72が接着層70に形成される。図9(a)は、金属板補強体1Jの断面構造の例を模式的に示している。図9(b)は、金属板補強体1Jの接着面70aの例を模式的に示している。図9(a),(b)に示す接着層70には、一方の方向D3の接着層70の両縁部70e1,70e2、及び、縁部70e1,70e2の間に接着剤71が配置され、複数の隙間72が形成されている。金属板補強体1Jを車体パネル810に貼付すると、車体パネル810と補強層10との間に空気が入り込んだ隙間72ができ、この隙間72が断熱性能及び吸音性能を発揮する。また、接着剤71が少なくて済むので、遮熱性及び吸音性を有する金属板補強体が低コストで得られる。
さらに、接着層70の隙間72に繋がる貫通穴を補強層10に設定し、ヘルムホルツ共鳴管の原理によりさらなる吸音効果を狙ってもよい。図10(a)は、金属板補強体1Kの断面構造の例を模式的に示している。図10(b)は、金属板補強体1Kの接着面70aの例を模式的に示している。金属板補強体1Kの補強材11は、非接着面10aと隙間72とに繋がった貫通穴33を有している。図10(a),(b)に示す補強層10は、厚み方向D1へ貫通した貫通穴33を複数有している。貫通穴33の向きは、厚み方向D1に限定されない。図10(b)に示す貫通穴33は円形であるが、非接着面10aと隙間72とに繋がる貫通穴は楕円形や多角形やスリット状等でもよい。
金属板補強体1Kを車体パネル810に貼付すると、車体パネル810と補強層10との間に空気が入り込んだ隙間72ができ、この隙間72と非接着面10aとが貫通穴33により繋がる。非接着面10aから音波が貫通穴33を通って接着層70の隙間72に入ると、ヘルムホルツ共鳴管の原理により音波を減衰させることが可能であり、さらに高い吸音性が得られる。また、接着剤71が少なくて済むので、高い吸音性及び遮熱性を有する金属板補強体が低コストで得られる。
さらに、図10(c)に示す金属板補強体1Lのように、凸部22と薄肉部31の少なくとも一方が貫通穴33とともに形成されてもよい。この金属板補強体1Lは、補強材11の凹部21に接着剤71が入り込んでいるので、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制される。接着層70の縁部70eの少なくとも一部に凸部22が配置されていると、接着剤71がコールドフロー現象により金属板補強体1Cの外周部1eからはみ出すことが抑制され、金属板補強体1Cを車体パネル810に貼付する際に接着剤71が手袋等に付着し難く、周囲を汚し難い。また、部分的な薄肉部31により補強材11を容易に曲げることができるので、車体パネル810の裏面810bが曲面である場合に該曲面に対して容易に追従させることができ、施工性が向上する。さらに、高い吸音性及び遮熱性が低コストで得られる。
(6)補強材が波板状である具体例:
図11(a)は、金属板補強体1Mの断面構造の例を模式的に示している。図11(b)は、金属板補強体1Mの非接着面10aの例を模式的に示している。この金属板補強体1Mの補強層10は、波板状の補強材11で形成されている。図11(b)では、便宜上、非接着面10aにおいて、山となる部分11aを実線で示し、谷となる部分11bを破線で示している。図11(a)に示す例は、谷となる部分11bにおいて補強材11と接着剤71とが接着し、山となる部分11aにおいて補強材11と接着剤71との間に空気が入り込んだ隙間73が形成されている。
図11(a),(b)に示す金属板補強体1Mは、接着剤71により車体パネル810に接着される補強材11が波板状であるので、車体パネル810の補剛性を向上させることができる。また、補強材11と接着剤71との間の隙間73が熱伝導率の低い空気層となって断熱性能を発揮する。
尚、図11(c)に示す金属板補強体1Mのように、非接着面10aにおいて山となる部分11aにも接着剤71が入り込んでもよい。非接着面10aにおいて谷となる部分11bは接着層70において補強層10から接着層70の方へ出た凸部23となり、非接着面10aにおいて山となる部分11aは接着層70において接着剤71が入り込んだ凹部21となる。従って、金属板補強体1Mは、補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制され、車体パネル810に貼付する際に接着剤71が手袋等に付着し難く、周囲を汚し難い。
(7)遮熱層がある具体例:
図12(a)は、金属板補強体1Nの断面構造の例を模式的に示している。この金属板補強体1Nの補強材11は、凹部21を形成するように補強層10から接着層70の方へ出た凸部22を有している。補強材11の凹部21には、まず、遮熱層(金属層)40が入り込んだうえ、接着剤71が入り込んでいる。補強層10は、接着層70に接した遮熱層40と、この遮熱層40とは異なる材質の主補強層12と、を含む。
遮熱のための金属層には、例えば、金属箔、金属シート、金属膜、金属蒸着フィルム、金属粒子と金属酸化物粒子の少なくとも一方を含む塗膜、等を用いることができる。金属としては、アルミニウム、銅、等を用いることができ、放射率が低く安価である点からアルミニウムが好ましい。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、等を用いることができる。主補強層12は、上述した補強材11に使用可能な材料で形成することができる。
遮熱層40を有する金属板補強体1Nは、厚み方向D1への熱の輻射が遮熱層40により抑制されるので、遮熱性が向上する。また、凹部21により補強材11から接着剤71が剥がれることが抑制され、接着層70の縁部70eの少なくとも一部に配置された凸部22により金属板補強体1Nを車体パネル810に貼付する際に接着剤71が手袋等に付着し難く、周囲を汚し難い。
図12(b)に示す金属板補強体1O(オー)の補強材11は、非接着面10aから凹んで部分的に薄肉部31が形成される溝32を有している。補強層10は、接着層70に接した遮熱層40と、この遮熱層40とは異なる材質の主補強層12と、を含む。この遮熱層40を有する金属板補強体1Oも、厚み方向D1への熱の輻射が遮熱層40により抑制されるので、遮熱性が向上する。また、部分的な薄肉部31により車体パネル810の裏面810bが曲面である場合に該曲面に対して容易に金属板補強体1Oを追従させることができ、施工性が向上する。
図12(c)に示す金属板補強体1Pの補強材11は、非接着面10aと隙間72とに繋がった貫通穴33を有している。補強層10は、貫通穴33に合わせた貫通穴41を有し接着層70に接した遮熱層40と、この遮熱層40とは異なる材質の主補強層12と、を含む。この遮熱層40を有する金属板補強体1Pも、厚み方向D1への熱の輻射が遮熱層40により抑制されるので、遮熱性が向上する。また、ヘルムホルツ共鳴管の原理による高い吸音性、及び、車体パネル810と補強層10との間に形成される空気層による遮熱性が低コストで得られる。
(8)筒状構造物に使用可能な補強体の具体例:
図13(a),(b)は、ピラー(筒状構造物)812に使用可能な金属板補強体(筒状構造物補強体)1Qの例を模式的に示している。ピラー812は、プレス成形された2枚の鋼板(金属板)813,814で筒状の形成された構造物であり、例えば、鋼板813,814の両端縁が溶接されてキャビティを有する立体構造とされている。このキャビティは長筒状であるため、自動車の走行時に生じる風切り音やロードノイズといった車外騒音がキャビティ内の空気を媒体として伝播し、車室内の静粛性が損なわれる可能性がある。金属板補強体1Qは、キャビティをシールすることにより、キャビティ内での騒音(空気)の伝播を抑える。
図13(a)は、金属板補強体1Qの例、及び、ピラー812の断面の例を模式的に示している。図13(a)に示す金属板補強体1Qは、板状の補強材11、及び、この補強材11の外周部11eに接着された接着剤71を備えている。補強材外周部11eに接着された接着剤71は、ピラー812の内側面812iに接着可能である。補強材11の外周部11eは、ピラー812の内側面812iに沿った形状であり、キャビティの断面よりも若干小さくされている。ピラー812の内側に金属板補強体1Qを入れると、図13(b)に示すように、接着剤71によりピラー812の内側面812iと板状補強材11の外周部11eとが接着する。これにより、補剛性が発揮されるとともに、ピラー812のキャビティがシールされ、ピラー812の内側を伝播する騒音が抑制される。
(9)変形例:
上述した具体例は、さらに組み合わせることが可能である。その組合せの例を、以下に示す。
・例1.図2(a)〜(c)、図4(a)〜(c)、及び、図5(a)〜(c)のいずれかに示される凸部22(凸部23を含む。)を、図11(a)〜(c)と図12(b),(c)のいずれかに示す接着層70に追加する。
・例2.図8(a)〜(c)、図9(a),(b)、及び、図10(a)〜(c)のいずれかに示される隙間72を、図11(a)〜(c)と図12(a),(b)のいずれかに示す接着層70に追加する。また、図10(a)〜(c)のいずれかに示される貫通穴33を、図11(a)〜(c)と図12(a),(b)のいずれかに示す補強材11に追加する。
・例3.図11(a)〜(c)のいずれかに示される波形状の補強材11に、溝32といった薄肉部31を追加する。
・例4.図11(a)〜(c)のいずれかに示される波形状の補強材11に、遮熱層40を追加する。
(10)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、新規の金属板補強体等の技術を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用及び効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。これらの構成等も、本技術に含まれる。
1…金属板補強体、1e…外周部、
10…補強層、10a…非接着面、11…補強材、11e…外周部、12…主補強層、
21…凹部、22,23…凸部、22a,23a…先端面、
31…薄肉部、32…溝、33…貫通穴、
40…遮熱層(金属層)、41…貫通穴、
50…層面、
70…接着層、70a…接着面、70e…縁部、71…接着剤、72,73…隙間、
800…自動車、801…天井部、
810…車体パネル(金属板)、810b…裏面、811…ルーフパネル、
812…ピラー(筒状構造物)、812i…内側面、813,814…鋼板(金属板)、
820…内装材、821…ルーフライナー、823…ピラートリム、
C1…車室、D1…厚み方向、O1…車外。

Claims (12)

  1. 金属板を補強するための金属板補強体であって、
    補強材で形成された補強層と、
    該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤を有する接着層と、を備え、
    前記補強材は、前記接着剤が入り込んだ凹部を有する、金属板補強体。
  2. 前記補強材は、前記凹部を形成するように前記補強層から前記接着層の方へ出た凸部を有し、
    前記接着層の面方向における縁部の少なくとも一部に前記凸部が配置された、請求項1に記載の金属板補強体。
  3. 前記補強材は、曲げ動作を容易にするための薄肉部を部分的に有する、請求項1又は請求項2に記載の金属板補強体。
  4. 前記接着層は、面方向において前記接着剤同士の間に空気が入り込んだ隙間を有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の金属板補強体。
  5. 金属板を補強するための金属板補強体であって、
    補強材で形成された補強層と、
    該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤を有する接着層と、を備え、
    前記補強材は、曲げ動作を容易にするための薄肉部を部分的に有する、金属板補強体。
  6. 前記補強材は、前記補強層における前記接着層との層面とは反対側の面から凹んで前記薄肉部が形成される溝を有する、請求項3又は請求項5に記載の金属板補強体。
  7. 金属板を補強するための金属板補強体であって、
    補強材で形成された補強層と、
    該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤、及び、面方向において前記接着剤同士の間に空気が入り込んだ隙間を有する接着層と、を備える、金属板補強体。
  8. 前記補強材は、前記補強層における前記接着層との層面とは反対側の面と、前記接着層の隙間と、に繋がった貫通穴を有する、請求項4又は請求項7に記載の金属板補強体。
  9. 金属板を補強するための金属板補強体であって、
    波板状の補強材で形成された補強層と、
    該補強層に接着されて前記金属板に接着可能な接着剤を有する接着層と、を備える、金属板補強体。
  10. 前記補強層は、前記接着層に接した金属層と、該金属層とは異なる材質の主補強層と、を含む、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の金属板補強体。
  11. 金属板で筒状に形成された構造物を補強するための金属板補強体であって、
    板状の補強材と、
    該補強材の外周部に接着されて前記筒状の構造物の内側面に接着可能な接着剤と、を備える、金属板補強体。
  12. 前記接着剤が感圧型接着剤である、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の金属板補強体。
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