JP2002357284A - 複合パイプ - Google Patents

複合パイプ

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JP2002357284A
JP2002357284A JP2001166759A JP2001166759A JP2002357284A JP 2002357284 A JP2002357284 A JP 2002357284A JP 2001166759 A JP2001166759 A JP 2001166759A JP 2001166759 A JP2001166759 A JP 2001166759A JP 2002357284 A JP2002357284 A JP 2002357284A
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pipe
reinforced resin
fiber reinforced
resin pipe
fiber
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JP2001166759A
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Tsuneo Takano
恒男 高野
Yutaka Yamaguchi
豊 山口
Tatsuo Nakajima
達雄 中島
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
NTN Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 亀裂やクラックの発生が抑制され、かつ耐座
屈性が向上した繊維強化樹脂パイプを金属パイプに内挿
することにより、機械的特性に優れた複合パイプを提供
する。 【解決手段】 複合パイプが、金属パイプ1に繊維強化
樹脂パイプ2が内挿された複合パイプにおいて、強化繊
維が繊維強化樹脂パイプの軸方向に対して0°に配向し
た0°配向層と、強化繊維が繊維強化樹脂パイプの軸方
向に対して90°に配向した90°配向層とからなるも
のである。または、繊維強化樹脂パイプには、強化繊維
が繊維強化樹脂パイプの軸方向に対して0°に配向した
一層以上の0°配向層と、強化繊維が繊維強化樹脂パイ
プの軸方向に対して90°に配向した一層以上の90°
配向層とが予め積層された二方向性布帛が用いられてい
るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属パイプと繊維
強化樹脂パイプとから構成される複合パイプに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】金属パイプに繊維強化樹脂パイプを内挿
した複合パイプは、金属パイプの特性と繊維強化樹脂パ
イプの特性とをともに備えているため有用である。例え
ば、外側のパイプは金属からなるため、他部品とのジョ
イントなどの取り付け性が良好である。さらに、金属は
優れた耐擦傷性を有するので、金属パイプは保護層とし
ての役割を果たす。一方、内側の繊維強化樹脂パイプ
は、軽量であり、剛性が高いので、金属パイプと複合化
することにより、パイプを軽量にし、剛性を高めること
ができる。このような複合パイプは、それぞれの利点が
複合した性能が特に要求される動力伝達シャフトや荷重
支持アームに非常に有用である。
【0003】金属パイプに繊維強化樹脂を内挿する方法
としては、機械的に圧入するのが一般的である。また、
金属パイプ内に繊維強化樹脂パイプを固定する方法は、
金属パイプの塑性加工により縮径させる方法、金属パイ
プと繊維強化樹脂パイプとの間隙に接着剤を注入し、硬
化させて固定する方法などが例示される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、繊維強
化樹脂パイプ外径と金属パイプ内径とは、それぞれに寸
法公差があるため、単純な円筒の繊維強化樹脂パイプを
金属パイプに内挿する場合には、微小な嵌合合わせをし
なければならず、繊維強化樹脂パイプ外径と金属パイプ
内径とを高精度に組み合わせる作業が必要であった。ま
た、圧入する際の力も管理しなければならず、内挿作業
が著しく複雑になる場合があった。また、繊維強化樹脂
パイプを金属パイプに内挿する際に、繊維強化樹脂パイ
プに亀裂やクラックが発生した場合には、繊維強化樹脂
の性能を発揮できず、複合パイプの有効性が損なわれる
おそれがあった。
【0005】そこで、繊維強化樹脂パイプにスリットを
設け、このスリットの隙間の間隔を短縮し、縮径させ
て、金属パイプに内挿する方法が提案されている。この
方法は、金属パイプと繊維強化樹脂パイプとの微小な嵌
合合わせが不要になり、かつ繊維強化樹脂の内挿時の圧
入力を管理する必要がない。しかしながら、繊維強化樹
脂パイプを縮径させた時、パイプ中心軸に対してスリッ
トと対称な位置に周方向の引張応力が発生し、繊維強化
樹脂パイプのスリット幅が大きいほど、この周方向の引
張応力は大きくなるため、繊維強化樹脂パイプに亀裂が
発生する可能性が高かった。
【0006】また、複合パイプに用いられる繊維強化樹
脂パイプは、一般的に薄肉太径であるが、薄肉太径で
は、周方向からの押し潰しに対する耐性、すなわち耐座
屈性が低く、縦割れやクラックがより生じ易い傾向にあ
った。また、繊維強化樹脂パイプは、曲げ剛性を効率よ
く向上させることを目的として、全ての強化繊維をパイ
プ軸方向に配列させることがある。しかしながら、この
ような場合、外力による応力以外にも、熱膨張または熱
収縮により発生する応力によって縦割れやクラックが生
じるおそれがあった。
【0007】本発明は、前記事情を鑑みて行われたもの
であり、亀裂やクラックの発生が抑制され、かつ耐座屈
性が向上した繊維強化樹脂パイプを金属パイプに内挿す
ることにより、機械的特性に優れた複合パイプを提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の複合パイプは、
金属パイプに繊維強化樹脂パイプが内挿された複合パイ
プにおいて、繊維強化樹脂パイプは、強化繊維が前記繊
維強化樹脂パイプの軸方向に対して0°に配向した一層
以上の0°配向層と、強化繊維が前記繊維強化樹脂パイ
プの軸方向に対して90°に配向した一層以上の90°
配向層とからなるものである。また、本発明の複合パイ
プは、金属パイプに繊維強化樹脂パイプが内挿された複
合パイプにおいて、前記繊維強化樹脂パイプには、強化
繊維が前記繊維強化樹脂パイプの軸方向に対して0°に
配向した一層以上の0°配向層と、強化繊維が前記繊維
強化樹脂パイプの軸方向に対して90°に配向した一層
以上の90°配向層とが予め積層された二方向性布帛が
用いられているものである。
【0009】その際、前記繊維強化樹脂パイプは、前記
90°配向層の比率が1〜30体積%であることが好ま
しい。また、前記繊維強化樹脂パイプは、シートラッピ
ング法によって成形されたことが好ましい。また、前記
繊維強化樹脂パイプは、その略軸方向全長にスリットが
形成され、該スリットの隙間が短縮され、縮径されて、
金属パイプに内挿されていることが好ましい。前記繊維
強化樹脂パイプの縮径前の外径をD1 とし、前記金属
パイプの内径をD2 とした場合に、D1/D2の値が
1より大きく1.3以下であることが好ましい。また、
前記強化繊維は、引張弾性率が196GPa以上の炭素
繊維であることが好ましい。
【0010】また、前記繊維強化樹脂パイプの肉厚をT
1、前記金属パイプの肉厚をT2とした場合に、T1/
T2の値が0.01以上10以下であることが好まし
い。また、前記繊維強化樹脂パイプと前記金属パイプと
は、接着剤によって接合されていることが好ましい。さ
らに、前記接着剤は、軸方向の中央部近傍のみに使用さ
れていることが好ましい。さらに、前記金属パイプの内
周面または前記繊維強化樹脂パイプの外周面のいずれか
一方の前記中央部近傍には、周方向に沿った溝が形成さ
れ、該溝に接着剤が充填されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合パイプの一実施形態を図1に示す。この複
合パイプは、金属パイプ1に繊維強化樹脂パイプ2が内
挿されたものであり、繊維強化樹脂パイプ2はその軸方
向全長にスリット3が形成されている。金属パイプ1
は、繊維強化樹脂パイプ2の保護層としての役割を担う
ものである。金属パイプ1の材質には特に制限はなく、
例えば、鉄、アルミ、銅、チタン、タングステン、ニッ
ケルなどが挙げられる。また、これらの金属の合金であ
ってもよい。金属パイプ1の肉厚については、保護層と
しての役割を担えば特に制限されないが、好ましくは、
1〜10mmである。1mm未満では金属パイプの運搬
時や繊維強化樹脂パイプの内挿時に金属パイプを破損す
る場合があり、10mmを超えると、重くなりすぎて軽
量化の目的を達成できない場合がある。
【0012】このような金属パイプ1に内挿される繊維
強化樹脂パイプ2は、強化繊維が繊維強化樹脂パイプ2
の軸方向に対して0°に配向した一層以上の0°配向層
と、強化繊維が繊維強化樹脂パイプ2に対して90°に
配向した一層以上の90°配向層とからなるものであ
る。0°配向層によって、最終的に得られる複合パイプ
の剛性を向上させることができる。また、90°配向層
によって、繊維強化樹脂パイプ2を金属パイプ1に内挿
する際に亀裂やクラックの発生を抑制することができる
上に、最終的に得られる複合パイプの耐座屈性を向上さ
せることができる。また、90°配向層によって熱膨張
または熱収縮により発生する応力による縦割れやクラッ
クの発生も抑制することができる。また、亀裂やクラッ
クの発生を回避することができれば、0°配向層と90
°配向層の数や層配置は特に制限されず、任意に配置す
ることができる。例えば、0°配向層と90°配向層を
交互に2層以上積層させた層配置が挙げられる。
【0013】また、繊維強化樹脂パイプ2には、強化繊
維が前記繊維強化樹脂パイプの軸方向に対して0°に配
向した一層以上の0°配向層と、強化繊維が前記繊維強
化樹脂パイプの軸方向に対して90°に配向した一層以
上の90°配向層とが予め積層された二方向性布帛を用
いることもできる。このような二方向性布帛を繊維強化
樹脂パイプ2に用いると、0°配向層および90°配向
層が予め積層されているので、繊維強化樹脂パイプ2の
製造が簡略化される。また、二方向性布帛は、0°配向
層と90°配向層の両方を含むので、耐座屈性と曲げ剛
性を同時に効率的に向上させることができる。また、二
方向性布帛としてたて糸条とよこ糸条が互いに交差して
いる二方向性織物を用いることもできる。
【0014】また、繊維強化樹脂パイプ2は、繊維強化
樹脂パイプ2中の90°配向層の比率が、1〜30体積
%の範囲であることが好ましい。90°配向層の比率が
1体積%未満であると、後述するように、スリットを有
する繊維強化樹脂パイプ2を縮径して金属パイプ1内に
挿入する際に、亀裂やクラックの発生を抑制できないお
それがある。また、耐座屈性を向上させることができな
いおそれがある。一方、30体積%を超えると、最終的
に得られる複合パイプの曲げ剛性が不十分となる場合が
ある。
【0015】繊維強化樹脂パイプ2に用いられるマトリ
クス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が使
用される。また、これら樹脂は、必要に応じて、硬化
剤、硬化促進剤、充填剤、離型剤などの各種の添加剤を
含有してもよい。繊維強化樹脂パイプ2中のマトリクス
樹脂の割合は、特に制限されないが、好ましくは、15
〜50重量%である。15重量%未満ではマトリックス
樹脂にボイド等が発生し含浸不良となる場合があり、5
0重量%を超えると、曲げ剛性が不十分となる場合があ
る。
【0016】繊維強化樹脂パイプ2に用いられる強化繊
維としては、密度が小さく弾性率の高い材料が好まし
く、例えば、PAN系およびピッチ系炭素繊維、ガラス
繊維、アラミド繊維などが挙げられる。これらの強化繊
維は2種以上の強化繊維を組み合わせて用いてもよい。
例えば、比強度を向上させることができるPAN系炭素
繊維と、比弾性率を向上させることができるピッチ系炭
素繊維とを組み合わせて、最終的に得られる複合パイプ
の機械的特性を高めることもできる。また、炭素繊維同
士、炭素繊維とガラス繊維とを組み合わせて、コストを
低減させることもできる。また、強化繊維の引張弾性率
は、好ましくは196GPa(20,000kgf/m
2 )以上であり、さらに好ましくは、245GPa
(25,000kgf/mm2 )以上である。強化繊維
の引張弾性率が196GPa未満では、断面2次モーメ
ントを向上させる効果が低いので、繊維強化樹脂の強化
繊維配向角をどのようにしても、複合パイプの機械的特
性が向上しないおそれがある。
【0017】図1の例の複合パイプに用いられている繊
維強化樹脂パイプ2には、図2に示すように、軸方向の
全長にスリット3が形成されている。このようにスリッ
ト3が形成された繊維強化樹脂パイプ2を用いると、ス
リット3の隙間を短縮し、縮径しつつ、これを金属パイ
プ1に内挿することができる。これにより、容易に繊維
強化樹脂パイプ2を金属パイプ1に挿入できるので、微
小な嵌合合わせや圧入力を管理する必要がなくなり、内
挿作業を簡略化できる。また、繊維強化樹脂パイプ2に
スリット3が形成されていても、繊維強化樹脂パイプ2
は、90°配向層を含んでいるため、繊維強化樹脂パイ
プ2を縮径させた時に、パイプ中心軸に対してスリット
3と対称な位置の周方向引張強度が向上しているので、
繊維強化樹脂パイプ2に亀裂が発生する可能性が低くな
る。
【0018】スリット3の断面形状や繊維強化樹脂パイ
プ2にスリット3を形成させる方法については特に制限
されない。また、スリット3は、図3に示すように、軸
方向に対して必ずしも平行でなくてもよく、バイアス角
度θを有して形成されていてもよいが、繊維強化樹脂パ
イプ2の軸方向を0°とした場合に、バイアス角度θは
±30°以内であることが好ましい。バイアス角度θが
この範囲外となると、0°配向層の強化繊維は繊維長が
短いものが多くなるので、曲げ剛性を向上させることが
できないおそれがある。
【0019】また、スリット3の幅は、繊維強化樹脂パ
イプ2に応力が発生していない自然状態において、繊維
強化樹脂パイプ2の外周長さの0.01%以上40%以
下であることが好ましい。スリット3の幅が繊維強化樹
脂パイプ2の外周長さの0.01%より小さいと、繊維
強化樹脂パイプ2を縮径して金属パイプ1に圧入するこ
とが困難となる場合がある。一方、スリット3の幅が繊
維強化樹脂パイプ2外周長さの40%よりも大きいと、
パイプの形状が不均一になり、最終的に得られる複合パ
イプの性能が損なわれるおそれがある。
【0020】また、スリット3が形成された繊維強化樹
脂パイプ2の縮径前の外径は、金属パイプ1の内径より
も大きく設定される。このように設定すると、繊維強化
樹脂パイプ2を金属パイプ1に内挿した際に、繊維強化
樹脂パイプ2は金属パイプ1内で弾性変形が回復し、縮
径前の外径に復元しようとして、繊維強化パイプ2が金
属パイプ1を押し付けるので、金属パイプ1内に繊維強
化樹脂パイプ2を容易に固定させることができる。好ま
しくは、スリット3を有する繊維強化樹脂パイプ2の縮
径前の外径をD1、金属パイプ1の内径をD2 とした
場合に、D1/D2の値は1より大きく1.3以下であ
る。D1/D2の値が1以下では繊維強化樹脂パイプ2
を金属パイプ1に内挿した際に、金属パイプ1と繊維強
化樹脂パイプ2との間に隙間を生じてしまう。一方、D
1/D2の値が1.3より大きいと、繊維強化樹脂パイ
プ2の縮径時の変形が弾性変形域を超える場合があり、
繊維強化樹脂パイプ2が割れてしまうおそれがある。
【0021】繊維強化樹脂パイプ2の長さは、最終的に
得られる複合パイプが所望の機械的特性になれば特に制
限されないが、繊維強化樹脂パイプ2の長さをFL、金
属パイプ1の長さをPLとした場合に、FL/PLの値
が0.1以上1.0以下であることが好ましい。FL/
PLの値が0.1より小さいと、たとえ比弾性率の大き
い繊維強化樹脂パイプ2を金属パイプ1に内挿しても複
合による効果が十分に発揮されない。一方、FL/PL
の値が1.0より大きいと、繊維強化樹脂パイプ2が金
属パイプ1より長くなり、金属パイプ1と繊維強化樹脂
パイプ2との接合に障害が発生する場合がある。
【0022】また、金属パイプ1と繊維強化樹脂パイプ
2の肉厚比は、最終的に得られる複合パイプが所望の機
械的特性になれば特に制限されないが、繊維強化樹脂パ
イプ2の肉厚をT1、金属パイプ1の肉厚をT2とした
場合に、T1/T2の値が0.01以上10以下である
ことが好ましい。T1/T2の値が0.01より小さい
と、たとえ比弾性率の大きい繊維強化樹脂パイプ2を金
属パイプ1に内挿しても複合による効果が十分に発揮さ
れないおそれがある。一方、T1/T2の値が10より
大きいと、繊維強化樹脂パイプ2によって複合パイプの
曲げ剛性は向上するが、外径が一定の場合、断面2次モ
ーメントは向上効果が小さくなる。また、使用する繊維
強化樹脂量が相対的に多くなるため製造コストが高くな
る場合がある。
【0023】上述のような繊維強化樹脂パイプ2は、シ
ートラッピング法によって成形されるのが好ましい。シ
ートラッピング法とは、平行に引き揃えられたロービン
グに熱硬化性樹脂を含浸させたシート状のプリプレグを
マンドレルに巻き付け、熱硬化性樹脂を熱硬化させた後
に、マンドレルを抜いて成形する方法である。このシー
トラッピング法によると、予め強化繊維をプリプレグ内
で所望のように配向させることができるので、強化繊維
の配向精度を高くできる。このような方法により、強化
繊維が繊維強化樹脂パイプ2に対して0°または90°
になるように配向したプリプレグを順次、所望のように
積層させ、熱硬化させて、0°配向層と90°配向層が
形成された繊維強化樹脂パイプ2を成形することができ
る。このような方法によると、配向角の異なる繊維強化
樹脂層を任意に組み合わせることができるので、最終的
に得られる複合パイプの曲げ剛性やねじり剛性を高精度
に制御できる。
【0024】金属パイプ1と繊維強化樹脂パイプ2と
は、接着剤によって接合できる。使用される接着剤は特
に制限されないが、例えば、エポキシ系、ポリエステル
系、アクリル系、ゴム系などが挙げられる。また、より
望ましい接着剤としては、溶液タイプのエポキシ系接着
剤にアルミ粉もしくは酸化鉄粉を含有し、スポット溶接
に代表される抵抗溶接を可能にした構造用接着剤が挙げ
られる。
【0025】また、金属パイプ1と繊維強化樹脂パイプ
2とを接着剤によって接合する場合には、接着剤は軸方
向の一箇所、特に中央部近傍のみに使用されていること
が好ましい。これにより、金属パイプ1と繊維強化樹脂
パイプ2の接触面の全面が固定されないので、複合パイ
プの環境温度が変化した場合に、金属パイプ1と繊維強
化樹脂パイプ2との熱膨張率の違いによって発生する複
合パイプの内部応力を抑制することができる。その結
果、複合パイプの破損を防止できる。具体的には、金属
パイプ1の内周面または繊維強化樹脂パイプ2の外周面
のいずれか一方の中央部近傍には、周方向に沿った溝が
形成され、この溝に接着剤が充填されていることが好ま
しい。この溝に接着剤を充填することにより、接合時の
接着剤の広がりを抑制し、所望の部位のみを適切な接着
剤量で接合できる。
【0026】上述した複合パイプにあっては、繊維強化
樹脂パイプ2は、強化繊維が繊維強化樹脂パイプ2の軸
方向に対して0°に配向した一層以上の0°配向層と、
強化繊維が繊維強化樹脂パイプ2の軸方向に対して90
°に配向した一層以上の90°配向層とからなるので、
曲げ剛性が向上し、繊維強化樹脂パイプ2を金属パイプ
1に内挿する際に亀裂やクラックの発生を抑制できる。
また、熱膨張または熱収縮により発生する応力による縦
割れやクラックの発生も抑制することができる。また、
耐座屈性を向上させることができる。その結果、最終的
に得られる複合パイプの機械的特性を向上させることが
できる。
【0027】また、前記0°に配向した一層以上の0°
配向層と、90°に配向した一層以上の90°配向層は
予め積層された二方向性布帛を用いることもできる。
【0028】また、繊維強化樹脂パイプ2は、90°配
向層の比率が1〜30体積%であると、最終的に得られ
る複合パイプの機械的特性がさらに優れる。また、繊維
強化樹脂パイプ2は、シートラッピング法によって成形
されたことで、最終的に得られる複合パイプの曲げ剛性
やねじり剛性を高精度に制御できる。また、繊維強化樹
脂パイプ2は、その略軸方向全長にスリット3が形成さ
れ、このスリット3の隙間が短縮され、縮径させて、金
属パイプ1に内挿されていることで、内挿作業を簡略化
できる。
【0029】また、繊維強化樹脂パイプ2の縮径前の外
径をD1とし、金属パイプ1の内径をD2とした場合
に、D1/D2の値が1より大きく1.3以下である
と、金属パイプ1内に繊維強化樹脂パイプ2を容易に固
定できる。また、繊維強化樹脂パイプ2に用いられる強
化繊維は、引張弾性率が196GPa以上の炭素繊維で
あると、複合パイプの機械的特性をさらに向上できる。
また、繊維強化樹脂パイプ2の肉厚をT1、金属パイプ
1の肉厚をT2とした場合に、T1/T2の値が0.0
1以上10以下であると、複合パイプの製造コストを低
くしたまま、機械的特性を向上できる。
【0030】また、接着剤は、金属パイプ1または繊維
強化樹脂パイプ2の軸方向の中央部近傍に使用されてい
ることで、複合パイプの破損を防止できる。また、金属
パイプ1の内周面または繊維強化樹脂パイプ2外周面の
いずれか一方に周方向に沿った溝が形成され、この溝に
接着剤が充填されていることで、複合パイプの安定接着
が可能となる。
【0031】また、上述したような複合パイプを、動力
伝達シャフトや荷重支持アームに用いることにより、こ
れらの機械的特性を向上できる。
【0032】
【実施例】引張弾性率255GPa(26000kgf
/mm2 )のPAN系炭素繊維トウ(パイロフィルTR
H50、三菱レイヨン製)に未硬化エポキシ樹脂を含浸
させてシート状プリプレグを作製した。このプリプレグ
は一方向に配向した強化繊維を含む。そして、最終的に
得られる繊維強化樹脂パイプが内側から0°配向層/0
°配向層/0°配向層/0°配向層/90°配向層/0
°配向層/90°配向層の構成となるようにプリプレグ
を積層させた。なお、0°配向層の厚みは200μm、
90°配向層の厚みは100μmである。次いで、この
積層したシート状プリプレグを外径78mmのマンドレ
ルに巻き付けた。次いで、このマンドレルに巻き付けら
れたプリプレグに、ナイフを用いて幅6mmのスリット
を形成させた。そして、プリプレグの上に熱収縮テープ
を巻き付け、これを150℃で2時間加熱し、未硬化エ
ポキシ樹脂を熱硬化させた。
【0033】次いで、マンドレルの脱芯を行って、肉厚
1.2mm、長さ1.1mの繊維強化樹脂パイプを得
た。このスリットを有する繊維強化樹脂パイプの軸方向
の中央部近傍外周面に深さ0.1mm、幅10mmの周
方向に沿った溝を形成し、この溝に接着剤(サンスター
技研(株)製、ペンギンセメント#1081L)を充填
した。次いで、上述した繊維強化樹脂パイプを、外径8
2.6mm、肉厚2mm、長さ1.2mのSTKM13
B材のパイプに内挿し、加熱接着、固定して、複合パイ
プを作製した。そして、この複合パイプの曲げ剛性を評
価するために、自由支持条件における曲げ1次固有振動
数を測定したところ、360Hzであった。単体のST
KM13B材パイプの曲げ1次固有振動数は、330H
zであったので、曲げ剛性の向上が認められた。また、
−40℃の環境が72時間、100℃の環境が72時間
となるセットを3回繰り返すサーマルサイクル試験を行
った後に、複合パイプの曲げ1次固有振動数を測定した
が、サーマルサイクル試験前と変化は認められなかっ
た。
【0034】[比較例]90°配向層を有さず、5層の
0°配向層であるシート状プリプレグを使用した以外は
実施例と同様に行った。この繊維強化樹脂パイプに6m
m幅のスリットを形成し、これを金属パイプに内挿しよ
うと周方向に変形させたところ、繊維強化樹脂パイプ表
面にクラックが発生した。これにより、この繊維強化樹
脂パイプを金属パイプに内挿しても、繊維強化樹脂パイ
プは金属パイプ内で復元せず、金属パイプとは接着する
ことができなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明の複合パイプによれば、強化繊維
が繊維強化樹脂パイプの軸方向に対して0°に配向した
0°配向層によって、最終的に得られる複合パイプの剛
性を向上させることができる。また、強化繊維が繊維強
化樹脂パイプの軸方向に対して90°に配向した90°
配向層によって、繊維強化樹脂パイプを金属パイプに内
挿する際に亀裂やクラックの発生を抑制することができ
る上に、熱膨張または熱収縮により発生する応力による
縦割れやクラックの発生も抑制することができる。ま
た、耐座屈性を向上させることができる。その結果、最
終的に得られる複合パイプの機械的特性を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の複合パイプの一実施形態を示す断面
図である。
【図2】 本発明の繊維強化樹脂パイプの一実施形態を
示す斜視図である。
【図3】 本発明の繊維強化樹脂パイプの他の実施形態
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 金属パイプ 2 繊維強化樹脂パイプ 3 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 豊 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 中島 達雄 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 Fターム(参考) 3H111 AA01 BA01 BA15 BA28 CA52 CB03 CB14 CB22 4F100 AB01A AD11B AK27 AK53 BA02 CB00 DA01B DA11 DC13B DD05B DH01B EJ82 GB51 JK01 JK07B JK14 YY00B

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属パイプに繊維強化樹脂パイプが内挿
    された複合パイプにおいて、 前記繊維強化樹脂パイプは、強化繊維が前記繊維強化樹
    脂パイプの軸方向に対して0°に配向した一層以上の0
    °配向層と、強化繊維が前記繊維強化樹脂パイプの軸方
    向に対して90°に配向した一層以上の90°配向層と
    からなることを特徴とする複合パイプ。
  2. 【請求項2】 金属パイプに繊維強化樹脂パイプが内挿
    された複合パイプにおいて、 前記繊維強化樹脂パイプには、強化繊維が前記繊維強化
    樹脂パイプの軸方向に対して0°に配向した一層以上の
    0°配向層と、強化繊維が前記繊維強化樹脂パイプの軸
    方向に対して90°に配向した一層以上の90°配向層
    とが予め積層された二方向性布帛が用いられていること
    を特徴とする複合パイプ。
  3. 【請求項3】 前記繊維強化樹脂パイプは、前記90°
    配向層の比率が1〜30体積%であることを特徴とする
    請求項1または2に記載の複合パイプ。
  4. 【請求項4】 前記繊維強化樹脂パイプは、シートラッ
    ピング法によって成形されたことを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれかに記載の複合パイプ。
  5. 【請求項5】 前記繊維強化樹脂パイプは、その略軸方
    向全長にスリットが形成され、該スリットの隙間が短縮
    され、縮径されて、金属パイプに内挿されていることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合パイ
    プ。
  6. 【請求項6】 前記繊維強化樹脂パイプの縮径前の外径
    をD1 とし、前記金属パイプの内径をD2 とした場
    合に、D1/D2の値が1より大きく1.3以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載の複合パイプ。
  7. 【請求項7】 前記強化繊維は、引張弾性率が196G
    Pa以上の炭素繊維であることを特徴とする請求項1乃
    至6のいずれかに記載の複合パイプ。
  8. 【請求項8】 前記繊維強化樹脂パイプの肉厚をT1
    、前記金属パイプの肉厚をT2 とした場合に、T1
    /T2の値が0.01以上10以下であることを特徴と
    する請求項1乃至7のいずれかに記載の複合パイプ。
  9. 【請求項9】 前記繊維強化樹脂パイプと前記金属パイ
    プとは、接着剤によって接合されていることを特徴とす
    る請求項1乃至8のいずれかに記載の複合パイプ。
  10. 【請求項10】 前記接着剤は、軸方向の中央部近傍の
    みに使用されていることを特徴とする請求項9に記載の
    複合パイプ。
  11. 【請求項11】 前記金属パイプの内周面または前記繊
    維強化樹脂パイプの外周面のいずれか一方の前記中央部
    近傍には、周方向に沿った溝が形成され、該溝に接着剤
    が充填されていることを特徴とする請求項10に記載の
    複合パイプ。
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