JP2004136849A - 低放射率の外板パネル裏面を具備する車体パネル構造 - Google Patents

低放射率の外板パネル裏面を具備する車体パネル構造 Download PDF

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Abstract

【課題】外板パネルから室内への熱の侵入を抑制しつつ、室内から外への放熱を促進することで車室内の温熱快適性を促進する車体のパネル構造を提供する。
【解決手段】車両を構成する外板パネルと、それに相対する室内キャビン面と、両者を隔てる空間とを有してなり、該外板パネルの室内キャビンに相対する面に遠赤外線低放射率化手段が付与されてなり、該室内キャビン面は、該遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの室内キャビンに相対する面よりも遠赤外領域の放射率が高いことを特徴とする車体パネル構造により達成される。
【選択図】      図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、夏期の熱暑感を低減し快適な温熱環境を提供できる車体のパネル構造に関し、特に、炎天下における駐車時の室内温度の低減を目的として、外から入る熱の遮蔽と室内キャビンの熱の放出促進を可能とする車体のパネル構造に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
炎天下環境に置かれた自動車の室内は周知のごとく非常な高温になる。日本国内の夏期環境の測定例では駐車の場合においては、室内空気温度が約70℃近くに達する。同時に室内の内装材温度はインスツルメントパネル上面で100℃近く、天井は70℃近くに上昇する。こうした状況で乗車した時の不快さは言うまでもないが、換気あるいは冷房装置を作動させた後でも内装材温度は容易に下がらず長時間にわたって乗員に輻射熱を放射し続け、快適性を大きく損なっている。この温度上昇の原因の一つは、日射の室内への侵入、及び、日射を吸収した車体パネルから室内への熱侵入である。他の原因としては室内に篭もった熱の外への抜け、放熱が十分に起きないことによる。
【0003】
従来このような温度上昇を抑制するための方策としてまずガラスに着目されてきた。
【0004】
室内への日射の透過量を左右する日射透過率を下げている。現行車両においてはウィンドシールドガラスを例に採ると、日射透過率45〜53%である。これによりガラスを透過して室内に入る日射量を低減している。これは、ガラスの組成を調整して、ガラスが日射の一部を吸収するように吸収率を高くすることで行われている。
【0005】
また、車のウィンドウに相対するように配置され、ガラスを透過する日射を遮るシェードも市販されて公知である。更に効果を高めるべく、日射を室内から外に返すために、反射率の高い材料を貼り付けたシェードもある。
【0006】
さて、ここに取り上げた方策はいずれもガラスを透過した日射にのみ着眼した対応策で、外板パネル経由の伝熱を考慮しておらず、十分な対策とはなりえない。
【0007】
外板パネル経由の伝熱に関して、まず外板パネルの表面、即ち日射のあたる面の日射の吸収を抑制する塗装が建築分野では公知である。しかしながら、これは車両の外板の様に高度な意匠性を要求される分野への適用要件を満たさない。
【0008】
次に外板パネルの裏面と相対する面に着目した方策がある。
【0009】
外板パネルの裏面と相対する面に着目した方策としては、外板パネルと相対する面(内装裏面)を低放射率化する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これは車両の意匠性を考慮しつつ、外板裏面からの伝熱(主に放射による)を反射することで熱の侵入を防ごうとするものである。しかしながら、炎天下に駐車した場合は車室内温度が外気温よりも高くなり、室内から外への放熱を促進したい条件では不利に働く。すなわち、室内から外への放熱が低放射率により、抑制される。従って、この方策は車室内温度が外気温よりも低い時にのみ効果が期待できる方策である。
【0010】
更に外板パネルの裏面に着目した方策がある。
【0011】
外板パネルの裏面に着目した方策としては、外板パネルの裏面に薄い断熱材を貼付けて車室内環境を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。この場合においても、室内温度が外気温より高い場合の放熱を妨げることになり、望ましくない結果となる。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−158306号公報
【特許文献2】
特開2002−012094号公報
【特許文献3】
特表2001−500818号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、室内温度よりも外気温が高温の場合において外板パネルから室内への熱の侵入を抑制でき、室内温度が外気温より高温の場合には室内から外への放熱の促進する、という相反する2つの課題を解決するものである。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、前述したように外板パネルから室内への熱の侵入を抑制しつつ、室内から外への放熱を促進することで車室内の温熱快適性を促進する車体のパネル構造を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、日射を受けて温度上昇した外板パネルから室内への熱の侵入に起因する室内環境の悪化を抑制し、且つ、室内環境が悪化した場合に改善するための放熱を促進する手段として車体パネル構造に着目し、以下の要件を具備することにより前述の目的が達成されるものである。
【0016】
▲1▼室内キャビン(室内側部材・内装材)に相対する外板パネル裏面の放射率を低放射率化する。
【0017】
▲2▼外板パネル裏面の低放射率化の手段として、低放射率フィルムを、熱伝導率が1W/m・K以上の接着剤、好ましくは1W/m・K以上の高い熱伝導率の接着剤で実質的に隙間無く貼り付ける、および/または、低放射率塗料を塗布(塗装)する。
【0018】
▲3▼外板パネル裏面に相対する面(室内側部材・内装材の裏面)の放射率を高くする。
【0019】
すなわち、本発明の目的は、車両を構成する外板パネルと、それに相対する室内キャビン面と、両者を隔てる空間とを有してなり、
該外板パネルの室内キャビンに相対する面に遠赤外線低放射率化手段を付与し、該室内キャビン面は、該遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの室内キャビンに相対する面よりも遠赤外領域の放射率が高いことを特徴とする車体パネル構造により達成されるものである。
【0020】
【発明の作用】
静置した車両において、外板パネルと、該外板パネルと空間を隔てて位置する室内キャビン(室内側部材・内装材、例えば、内装トリム材および/またはインナーパネルなど)との伝熱形態は主に放射と自然対流であるが、その大部分が放射である。放射伝熱量は、車体の外板パネルから室内側部材への放射伝熱量と、外板パネルと相対する室内境界の裏面からの放射伝熱量の差分である。その状態を、室内温度が外気温より高温の場合(室内>車外の場合)については図1で、室内温度よりも外気温が高温の場合(室内<車外の場合)について図2に示す。図中、放射伝熱及び日射の向きを矢印の向きで、放射伝熱の大きさを矢印の大きさで表示した。また、車体への日射10を斜線を付した矢印で示した。車体の外板パネル11裏面から空間12を隔てて位置する室内側(室内側部材・内装材などの室内キャビン13、ひいては室内15)への放射伝熱16と、外板パネル11と相対する室内15の境界(室内側部材・内装材などの室内キャビン13)の裏面からの放射伝熱17をそれぞれ白抜きの矢印で示した。放射伝熱16と放射伝熱17の差し引きした伝熱18を網掛けを付した矢印で示した。また、車体の外板パネル11表面から車外14への放射伝熱19を白抜きの矢印で示した。これらの点に関しては、後述する図3、4においても同様とする。
【0021】
室内温度が外気温より高温の場合(室内>車外の場合)には、図1に示すように、外板パネル11と相対する室内境界(室内キャビン13)の裏面からの放射伝熱量の方が大きくなってしまう。よって、室内15から車外14への放熱の促進すること、こと、すなわち、放射伝熱17(更には放射伝熱19)を大きくすることが望まれている。一方、室内温度よりも外気温が高温の場合には、図2に示すように、車体の外板パネル11から室内側(室内側部材・内装材などの室内キャビン13)への放射伝熱量の方が大きくなってしまう。よって、外板パネル11から室内15への熱の侵入を抑制すること、すなわち、放射伝熱16を小さくすることが望まれている。
【0022】
放射伝熱は、その表面温度の4乗、物質固有の値である放射率の積に比例し、電磁波の形で間の媒体、空気を通って相対する面に到達する。
【0023】
そこで、本発明では、図3、4に示すように、外板パネル11裏面に遠赤外領域の放射率が低いフィルム(単に、低放射率フィルムとも称する)を接着剤(好ましくは高熱伝導率接着剤)で貼り付けて低放射率フィルム20、接着剤層(好ましくは高熱伝導率接着剤層)21を形成し、或いは、遠赤外領域の放射率を低くする塗料(単に、低放射率塗料とも称する)を塗布して遠赤外領域の放射率を低くする塗膜(単に、低放射率塗膜とも称する)22を形成し低放射率化することで、低放射率化した外板パネル11裏面からの放射伝熱16の熱量が未処理の場合よりも小さくなる。放射伝熱16の大きさを図3、4と図2とを対比参照のこと。ここでいう低放射率化とは、低放射率化した外板パネルの裏面を相対する面(相対する室内側部材・内装材など室内境界の裏面をいう。本明細書中、単に相対する室内キャビンの裏面、ないし相対する室内キャビン面とも称する。)よりも遠赤外領域の放射率を低くすることであるが、望ましくは低放射率化した外板パネルの裏面の遠赤外領域の放射率を0.5以下にすることである。
【0024】
外気温が車室内温度より高い場合、外板パネル11の裏面を低放射率化してその遠赤外領域の放射率を0.5以下とすることで、相対する室内キャビン13の裏面からの放射伝熱17が低放射率化した車体パネル11裏面からの放射伝熱16よりも大きくなる状況が起こり易い。低放射率化した車体パネル11裏面の放射率が、相対する室内キャビン13の裏面の放射率よりも低いからである。これは外気温が車室内温度より高い場合においても車室内15から車外14への放熱が起こりうることを意味する。即ち、車外14から車室内14への熱侵入を抑制できている。
【0025】
反対に、外気温より車室内温度が高い場合、車体パネル11の裏面の遠赤外領域の放射率を0.5以下とすることで、相対する室内キャビン13の裏面からの放射伝熱17が外板パネル11裏面からの放射伝熱16よりも大きくなる。その差(放射伝熱18)が車室内15から車外14への放熱となるが、外板パネル11裏面を低放射率化して、その遠赤外領域の放射率を0.5以下とすることで、より差を大きくできる。即ち、放熱を促進できている。
【0026】
本発明で述べている、遠赤外領域の放射率(単に放射率とだけ記載している場合を含む)は、範囲が3〜30μmの波長のそれである。同範囲の波長は車の外板パネル及びそれに相対する室内キャビンの裏面が炎天下放置された車両において放射する光の主な範囲である。測定方法としては、例えば、ASTM C 1371―98の規格に準拠した方法を用いることができる。後述する実施例および比較例では、この方法を用いて測定した。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の車体パネル構造は、車両を構成する外板パネルと、該外板パネルに相対する室内キャビン面と、両者を隔てる空間とを有してなり、該外板パネルの室内キャビンに相対する面に遠赤外線低放射率化手段が付与されてなり、該室内キャビン面は、外板パネルの室内キャビンに相対する面よりも遠赤外領域の放射率が高いことを特徴とするものである。
【0028】
本発明で述べている外板パネルは、車体構造部材である。
【0029】
ここで、外板パネルの室内キャビンに相対する面とは、本発明では、車両の外観を構成している面(外板パネルの表面=日射のあたる面)の反対の面である。本明細書中、単に外板パネルの裏面とも称する。
【0030】
遠赤外線低放射率化手段を付与した(ないし低放射率化した)外板パネルの室内キャビンに相対する面(裏面)とは、外板パネル11の裏面に付与された遠赤外線低放射率化手段、具体的には、図3に示すように外板パネル11の裏面に接着剤層(好ましくは高熱伝導率接着剤層)21で接着された低放射率フィルム20の面(表面)、あるいは低放射率塗膜22の面(表面)をいうものである。
【0031】
本発明では、遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの裏面と空間12を隔てて相対している室内キャビン面が存在することが必須である。望ましくは遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの裏面と空間を隔てて相対する面は、室内キャビンを構成する要素、境界となる部位である。ここでいう、相対する位置(面)とは、少なくとも一部は空気を含む隙間(図3、4に示す空間12に相当する)をあけて(隔てて)向かい合う位置(面)である。
【0032】
この遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの裏面と(空間を隔てて)相対する面を持つ室内キャビン(室内側部材ないし内装材)としては、車両の構造などによっても異なるが、内装トリム材および/またはインナーパネルなどである。
【0033】
上記内装トリム材ないしインナーパネルとしては、例えば、ドアトリム、ドアインナーパネル、ヘッドライニング、ピラーガーニッシュ、ドア防湿シートなどであるが、これらに制限されるべきものではない。
【0034】
上記内装トリム材の材質としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを適用し得るものであるが、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、これらの樹脂含浸ボードおよびこれらの樹脂紙からなる群から選ばれた少なくとも1種類を含むものである。その他に、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、木質ボードなど、一般的に使用されている材料を含むことができる。上記樹脂紙としては、例えば、アクリル紙やスチレン紙などが挙げられる。該アクリル紙やスチレン紙は、紙(パルプ)にアクリル樹脂やスチレン樹脂を含浸、注入、コーティング等あるいは紙(パルプ)にアクリル樹脂やスチレン樹脂フィルムを貼合せ等したものなどをいうが、これらに制限されるものではなく、従来公知のものを適用し得るものである。樹脂含浸ボードや木質ボードは、樹脂材を木材ボードなどに含浸、注入、コーティング等したもの、木材粉末を樹脂材と混練してボード形状に成型したもの、木材ボードに樹脂ボードを貼り合せ等したものなどをいうが、これらに制限されるものではなく、従来公知のものを適用し得るものである。
【0035】
これら内装トリム材に一般的に用いられる材料(材質)の遠赤外領域の放射率は高く、室内キャビンの1種である内装トリム材の裏面(室内キャビンの裏面)の遠赤外領域の放射率は、通常0.7以上であるが、遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの裏面よりも遠赤外領域の放射率が高ければよく、特別に限定されるものではない。
【0036】
上記インナーパネルは、鋼板、防錆塗装した鋼板、鉄板などの金属(合金を含む)板からなる群から選ばれた少なくとも1種類であるが、これらに制限されるものではなく、従来公知のものを適用し得るものである。室内キャビンの1種であるインナーパネルの裏面(室内キャビンの裏面)の遠赤外領域の放射率は、通常0.7以上であるが、遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの裏面よりも遠赤外領域の放射率が高ければよく、特別に限定されるものではない。
【0037】
本発明で述べている外板パネルは、遠赤外領域の放射率以外の性能については通常の外板パネルと同じ要件を満たすものである。外板パネルの裏面に遠赤外線低放射率化手段を付与した面の遠赤外領域の放射率は、室内キャビンの裏面よりも遠赤外領域の放射率が低ければよいが、0.5以下であることが望ましい。更に望ましくは0.15以下である。
【0038】
ここで述べている外板パネルとしては、図5に適用可能部位を示すように、ドアパネル51、ピラー52、フェンダー53、ルーフ54、ボディサイド55、トランクリッド56のパネルの少なくとも一つを含んでなるものである。
【0039】
本発明の外板パネルの裏面には、遠赤外線低放射率化手段が付与されてなるものである。該遠赤外線低放射率化手段としては、遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの裏面よりも室内キャビンの裏面の遠赤外領域の放射率を高くできるものであればよく、特に制限されるべきものではない。以下、遠赤外線低放射率化手段の代表的に実施の形態につき説明するが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本発明の遠赤外線低放射率化手段の一実施態様としては、遠赤外領域の放射率が低いフィルム(低放射率フィルム)を、外板パネルの裏面に接着剤で貼り付けることを特徴とするものである。具体的には、低放射率の面を少なくとも一方に有するフィルムを外板パネルの室内キャビンに相対する面(裏面)に、該フィルムの低放射率面を該室内キャビンに相対する面(裏面)に向けるようにして接着剤で貼り付けた態様を挙げることができる。
【0041】
貼り付ける低放射率フィルムとしては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、透明な樹脂層で表面を保護したアルミニウム箔、透明な樹脂層で表面を保護した銅箔、アルミニウムを付着させた樹脂フィルム、並びに反射塗料を塗布した樹脂フィルム、反射材および/または白色顔料を混ぜ込んだ樹脂フィルムよりなる群の少なくとも一つを含んでなるものが挙げられる。
【0042】
貼り付ける低放射率フィルムが、アルミニウム箔、銅箔、透明な樹脂層で表面を保護したアルミニウム箔、透明な樹脂層で表面を保護した銅箔の場合、その厚みは1〜1000μm、特に5〜50μmが好適である。厚さが1μm未満であると強度が低く取り扱い時に破損しやすい。1000μmを超えると、柔軟性が損なわれる。
【0043】
アルミニウムを付着させた樹脂フィルム、反射塗料を塗布した樹脂フィルム、反射材および/または白色顔料を混ぜ込んだ樹脂フィルムの場合、基材ないし母材となる樹脂フィルムの材質(種類)は、特に限定されないが、耐熱性、柔軟性などを考慮してポリエステルやポリエチレンなどが好適である。樹脂フィルムの厚みは5〜100μmとするのが取り扱いに好適である。樹脂フィルムにアルミニウムを付着させる厚みは、5nm〜100μmの範囲にあることが望ましい。5nm未満であると反射効果が十分でなく、100μmを超えるとコストアップの要因となるからである。アルミニウムの付着方法としては蒸着が好適である。反射塗料としてはアルミニウム鱗片を主成分として含むものを使用できる。その塗布厚みは、樹脂フィルムに付着させたアルミニウムと同様に、その厚みは10nm〜100μmとするのが好適である。10nm未満であると反射効果が十分でなく、100μmを超えると割れやすくなるからである。樹脂に混ぜ込む反射材ないし白色顔料としては、アルミニウム鱗片、酸化錫微粒子、酸化亜鉛微粒子、インジウム錫酸化物微粒子、アンチモン錫酸化物微粒子、ニッケル微粒子および銅微粒子などである。樹脂に混ぜ込む反射材および/または白色顔料の含有量(反射材と白色顔料を併用する場合には両者の合計の含有量とする。)としては、0.001〜0.2質量%の範囲である。0.001質量%未満では透過率が高く、0.2質量%を超えて混ぜ込んでもフィルムとしての成形性に難があるからである。
【0044】
上記低放射率フィルムを貼り付ける手段としては、特に制限されるべきものではなく、適当な接着剤を用いることができるが、好ましくは高い熱伝導率を有する接着剤を用いることが望ましい。ここで言う高い熱伝導率としては、1W/m・K以上の熱伝導率を有するものが特に望ましいものである。また、貼り付けは、低放射率フィルムと外板パネル裏面との隙間ができないようにする必要がある。外板パネルの室内キャビンに相対する面からの熱を受け取り、迅速に外板パネル表面に逃がすためである。逃がせないと温度上昇が起きて、外板パネルの室内キャビンに相対する面に対する放熱量が増大するので好ましくない。なお、接着剤の熱伝導率は、接着剤を離型紙の上で硬化させて、φ1cmに切り出し、レーザーフラッシュ法にて測定して得たものである。
【0045】
上記接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ホットメルト接着剤などを用いうるが、好適な接着剤としてエポキシ系接着剤を挙げることができる。ここでは、エポキシ系接着剤につき具体例を挙げて説明するが、これらに特に制限されるものではない。
【0046】
本発明のエポキシ系接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、更に好ましくは高熱伝導率材料と、を主成分とする。エポキシ樹脂は、通常エポキシ系接着剤として使用されているものならば特に限定されない。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂などを挙げることができる。硬化剤としては通常エポキシ系接着剤に使用されているものならば特に限定されない。例えば、第一、二、三脂肪族ポリアミン、ポリアミド、芳香族ポリアミン、酸無水物、ジアミド類、フェノール樹脂、シリコーンなどが挙げられる。硬化剤の量はエポキシ樹脂及び硬化剤の種類に応じて適量を選択する。
【0047】
高い熱伝導率を有する接着剤は、通常の接着剤に高熱伝導率材料(高熱伝導率成分)を混合して得る。高熱伝導率材料としては、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素およびグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができるが、これらに制限されるべきものではない。高熱伝導率材料は、接着剤の内部に均一に高分散していることが必要である。また、高熱伝導率材料は、平均粒子径が2〜5μmの微粒子であることが必要である。平均粒子径が2μmよりも小さいと、熱伝導率の向上が期待できず、平均粒子径が5μmよりも大きいと接着剤に含有させることのできる量が少なくなる。更に望ましくは粒子径の分布を有していることが望ましい。これは大きな粒子の間に小さな粒子が入る状態となり、高熱伝導性粒子を均一に含有できる比率を高くできるからである。粒子径が5μmより大きいと、混合が困難であり、2μmより小さいと均一な分散を行い難い。
【0048】
高熱伝導率材料(高熱伝導率成分)は、接着剤全体の30〜90質量%を占めることが望ましい。30質量%未満では高熱伝導率材料の含有効果が現れず、90質量%を超える場合には十分な密着性が確保できない。
【0049】
ここで用いる接着剤の厚みは、10〜50μm、望ましくは15〜30μmである。これより薄くなると接着剤の未付着部位ができる恐れがあり、厚くなると熱伝導率が悪化する。
【0050】
また、本発明の遠赤外線低放射率化手段の別の実施態様としては、遠赤外領域の放射率を低くする塗装を施してなることを特徴とするものである。具体的には、塗布した面が低放射率となりうる塗料を、該部位(外板パネルの室内キャビンに相対する面)に付着させて(塗装を施して)遠赤外線の放射率が低い塗膜(遠赤外線低放射率塗膜)を形成した実施態様を挙げることができる。
【0051】
塗装を施して得られる遠赤外線低放射率塗膜の厚さは、1〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜50μmである。遠赤外線低放射率塗膜の厚さが1μm未満では低放射率化が不十分となり、100μmを超えると塗膜剥離等の問題が生じることがある。
【0052】
低放射率となりうる塗料としては、反射材および/または白色顔料を含んでいるものが利用できる。反射材および/または白色顔料を含んでいる塗料としては、アルミニウム鱗片、酸化錫微粒子、酸化亜鉛微粒子、インジウム錫酸化物微粒子、アンチモン錫酸化物微粒子、ニッケル微粒子および銅微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の反射材および/または白色顔料を主成分として含有するものである。
【0053】
上記低放射率となりうる塗料に用いられる反射材および/または白色顔料は、塗料全体の0.3〜10質量%を占めることが望ましい。0.3質量%未満ではその含有効果が現れず、10質量%を超える場合には十分な密着性が確保できない。
【0054】
上記反射材および/または白色顔料の分散に用いるビヒクルとしては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用することができるものであり、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、およびこれら樹脂の変性体等が挙げられる。
【0055】
低放射率となりうる塗料の塗布方法としては、特に制限されるべきものではなく、スプレー、ディップなど公知の手法を用いることができる。
【0056】
上記遠赤外線低放射率塗膜の厚さは、1〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜50μmである。該塗膜の厚さが1μm未満では低放射率化の機能が不十分となり、100μmを超えると塗膜剥離等の問題が生じることがある。
【0057】
低放射率化した外板パネル裏面と相対するもの(室内キャビン)は、車室内空間の境界層で、インストルメントパネル、ドアトリム、ドアインナーパネル、ドア内部の防湿シート、ピラーガーニッシュ、ヘッドライニング、リアシート、リアパーセルシェルフなどである。これらの外板パネルと相対する面(室内キャビン面)は、外板パネルの裏面よりも高い遠赤外領域の放射率であることが必要であり、遠赤外領域の放射率が0.7以上であることが望ましい。
【0058】
なお、本発明はガラスを透過する日射による車室内の温度上昇の抑制に用いられる手段、例えばシェードによるガラス面の被覆、との併用で更に効果が期待できる。
【0059】
【本発明の効果】
このように外板パネル裏面を、接着剤(好ましくは高熱伝導率の接着剤)により低放射率のフィルムを貼り付けて、低放射率化することで初めて得られる効果をまとめると次の様になる。
【0060】
外板パネル裏面の遠赤外領域の放射率が低いので、外板パネルからの放射伝熱量を少なくできる。これにより、外気温が室内温度よりも高い場合において、放射伝熱による室内の温度上昇を抑制できる。温度差によっては、高温の外気側に室内から放熱が起こりうる。
【0061】
反対に室内温度が外気温よりも高い場合において、室内からの放射伝熱を促進しうる。外板パネルからの放射熱が少ないからである。
【0062】
次に、外板パネル裏面からの放射伝熱量が少なくなるので表面温度が高くなり、結果として車の外板パネルから外界への放熱量、特に熱伝達による放熱量が増大する。車の外板パネル表面温度と周囲温度との差のみによる自然対流熱伝達のみ、即ち風がまったくない、という状況は実際には殆ど無く、ある程度の風が吹いている場合が多く、この場合、熱伝達による放熱は著しく促進される。
【0063】
さらに、付随的な効果を述べると本発明は車の意匠性を損なわない。
【0064】
【実施例】
次に、本発明に係わる実施例について説明するが、本発明は、このような実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0065】
(実施例の共通事項)
外板パネルを模したテストピースを以下の様に作製した。
【0066】
脱脂洗浄および化成処理済みの20cm×20cm×0.8mm厚の鉄製テストピースを、パワートップV6(日本ペイント株式会社製、グレー色電着塗料)に浸漬塗装して水洗後150℃で焼付けた。得られた電着塗膜(プライマー層表裏)の乾燥膜厚は20μmであった。
【0067】
次に、電着塗膜の片面にオルガP−28101(日本ペイント株式会社製、中塗り塗料)をスプレー塗装し、さらにその上にオルガP−2−1 202B(日本ペイント株式会社製、上塗り塗料)をスプレー塗装して150℃で同時焼付けを行い、多層塗膜を形成した。中塗り塗膜および上塗り塗膜の乾燥膜厚は共に40μmであった。この面(テストピースの表面)の遠赤外領域の放射率は0.88であった。
【0068】
引き続き、実施例では上記多層塗膜が形成されたテストピースの裏面を低放射率化(遠赤外線低放射率化手段を付与すること。)した。なお、低放射率化する前のテストピース裏面の遠赤外領域の放射率は0.86であった。
【0069】
外板パネル裏面と相対する室内側部材(室内キャビン)を模したテストピースとして、▲1▼20cm×20cm×1mm厚の白色ポリプロピレン(PP)板(遠赤外領域の放射率:両側共に0.81)と、▲2▼同サイズ(20cm×20cm×1mm厚)の無処理の鉄製テストピース(遠赤外領域の放射率:両側共に0.77)のいずれかを用いた。
【0070】
(実施例1)
外板パネルを模したテストピースの裏面に、片面にAl蒸着処理(Alの蒸着厚さ0.4nm)を施した厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名称:エンブレット、型番:MP12)を、高熱伝導率の接着剤で貼り付けた。室内側部材として白色PP板を用いて実施例1とした。貼り付けたフィルム面の遠赤外領域の放射率は0.05であった。接着剤層の厚みは15μmあった。
【0071】
なお、上記高熱伝導率の接着剤には、高熱伝導率材料が含まれていない市販のエポキシ樹脂に平均粒子径が2μmの酸化アルミニウム微粒子を80質量%混ぜ込んで熱伝導率を1.8W/m・Kとした接着剤を用いた。
【0072】
(実施例2)
実施例1において、Al蒸着面を有する、厚さ12μmのPETフィルムに替えて、厚さ5μmのAlフォイルを貼り付けて実施例2とした。貼り付けたAlフォイル面の遠赤外領域の放射率は0.05であった。
【0073】
(実施例3)
実施例1において、Al蒸着面を有する、厚さ12μmのPETフィルムに替えて、平均粒子径が10μmのインジウム錫酸化物粒子を0.01質量%混ぜ込んだ厚さ12μmのPETフィルムを貼り付けて実施例3とした。貼り付けたインジウム錫酸化物粒子を0.01質量%混ぜ込んだ厚さ12μmのPETフィルム面の遠赤外領域の放射率は0.45であった。
【0074】
(実施例4)
実施例1において、Al蒸着面を有する、厚さ12μmのPETフィルムを、アルミニウム顔料(東洋アルミニウム株式会社製リーフィングアルミペースト)10質量部とオイルフリーポリエステル樹脂ワニス(大日本インキ株式会社製、固形分60質量%)5質量部とポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、固形分70質量%)1質量部とを混合分散し、更に溶剤で希釈して粘度調整したものをスプレー塗布して乾燥膜厚が均一に20μmになるようにした、厚さ25μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名称:エンブレット、型番:S25)に替える以外は同様にして実施例4とした。貼り付けたフィルムの塗膜面の遠赤外領域の放射率は0.10であった。
【0075】
(実施例5)
実施例1において、高熱伝導率の接着剤を平均粒子径が2μmの窒化珪素を80質量%含むものに替える以外は同様にして実施例5とした。接着剤層の厚みは15μmで、その熱伝導率は2.5W/m・Kであった。
【0076】
(実施例6)
実施例1において、高熱伝導率の接着剤を平均粒子径が2μmの窒化アルミニウムを80質量%含むものに替える以外は同様にして実施例6とした。接着剤層の厚みは15μmで、その熱伝導率は2.8W/m・Kであった。
【0077】
(実施例7)
実施例1において、高熱伝導率の接着剤を平均粒子径が2μmの炭化ケイ素を80質量%含むものに替える以外は同様にして実施例7とした。接着剤層の厚みは15μmで、その熱伝導率は1.8W/m・Kであった。
【0078】
(実施例8)
実施例1において、高熱伝導率の接着剤を平均粒子径が2μmの酸化アルミニウムを30質量%含むものに替える以外は同様にして実施例8とした。接着剤層の厚みは15μmで、その熱伝導率は1.4W/m・Kであった。
【0079】
(実施例9)
実施例1において、高熱伝導率の接着剤を平均粒子径が2μmの酸化アルミニウムを30質量%、5μmの酸化アルミニウムを50質量%、含むものに替える以外は同様にして実施例9とした。接着剤層の厚みは15μmで、その熱伝導率は2.8W/m・Kであった。
【0080】
(実施例10)
実施例1において、接着剤層の厚みを25μmにする以外は同様にして実施例10とした。貼り付けたAl蒸着面を有する、厚さ12μmのPETフィルム面の遠赤外領域の放射率は0.05で、接着剤層の熱伝導率は1.3W/m・Kであった。
【0081】
(実施例11)
実施例1において、高熱伝導率の接着剤として市販の高熱伝導率材料が含まれていないエポキシ樹脂を用いる以外は同様にして実施例11とした。接着剤層の熱伝導率は0.4W/m・Kであった。
【0082】
(実施例12)
実施例1において、Al蒸着面を有する、厚さ12μmのPETフィルムの貼付けに替えて、アルミニウム顔料(東洋アルミニウム株式会社製リーフィングアルミペースト)10質量部とオイルフリーポリエステル樹脂ワニス(大日本インキ株式会社製製、固形分60質量%)5質量部とポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製,固形分70質量%)1質量部とを混合分散し、更に溶剤で希釈して粘度調整したものを、乾燥膜厚として20μmになるように、外板パネルを模したテストピースの裏面に、均一にスプレー塗布して実施例12とした。塗装した塗膜面の遠赤外領域の放射率は0.10であった。
【0083】
(実施例13)
実施例11において、外板パネルを模したテストピースの裏面に、遠赤外領域の放射率を低くする塗料として、平均粒径が100nm以下のインジウム錫酸化物微粒子(住友金属鉱山株式会社製)を5質量部とオイルフリーポリエステル樹脂ワニス(大日本インキ株式会社製製、固形分60質量%)5質量部とポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、固形分70質量%)1質量部とを混合分散し、更に溶剤で希釈して粘度調整したものを塗布して実施例13とした。塗装した塗膜面の遠赤外領域の放射率は0.15、乾燥膜厚は25μmであった。
【0084】
(実施例14)
実施例3において、室内側部材を無処理の鉄製テストピースとする以外は同様にして実施例14とした。
【0085】
(実施例15)
実施例13において、室内側部材を無処理の鉄製テストピースとする以外は同様にして実施例15とした。
【0086】
(比較例1)
外板パネルを模したテストピースに遠赤外線低放射率化手段を付与せずに用いて比較例1とした
(比較例2)
実施例1において、Al蒸着したPETフィルムに替えて、無処理のPETフィルムを用いる以外は同様にして比較例2とした。貼り付けたPETフィルム面の遠赤外領域の放射率は0.56であった。
【0087】
(比較例3)
低放射率化処理していない外板パネル相当テストピースと相対する室内側部材(室内キャビン)を模した白色PP板のテストピース裏面に、片面に処理(Alの蒸着厚さ0.4nm)を施した厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名称:エンブレット、型番:MP12)を、高熱伝導率の接着剤で貼り付けた。外板パネル相当テストピースと低放射率化した面を相対させた室内側部材との組合せで比較例3とした。白色PP板のテストピースに貼り付けたフィルムのAl蒸着面の遠赤外領域の放射率は0.05であった。接着剤層の厚みは15μmあった。
【0088】
なお、上記高熱伝導率の接着剤には、高熱伝導率材料が含まれていない市販のエポキシ樹脂に平均粒子径が2μmの酸化アルミニウム微粒子を80質量%混ぜ込んで熱伝導率を1.8W/m・Kにした接着剤を用いた。
【0089】
上記実施例1〜15及び比較例1〜3の内容をまとめて下記表1に示す。
【0090】
<評価方法>
外板パネル相当テストピースと室内側部材相当テストピースを3cmの間隔をあけて平行に、図6に示す温度測定用試験ボックスにセットして遮熱試験を行い、その結果を表2に示した。図6に示すように、この温度測定用試験ボックス60は、室内側部材相当テストピース63を設置する断熱発泡材(ポリスチレンフォーム)製の本体61および、その上に外板パネル相当テストピース64を設置(載置)する本体と同じ材質の枠62aおよび、外板パネル相当テストピース64の上に乗せる同じ材質の枠62bとからなる。外板パネル相当テストピース64の表面が、太陽灯66に対向するように設置した。なお、室内側部材相当テストピース63は、表裏の区別がないため、任意の面を太陽灯66に対向するようにした。
【0091】
そして外板パネル相当テストピース64の中央上方15cmの位置に500Wの太陽灯66(セリック株式会社製、型式:SOLAX XC−500AF)を設置して外板パネル相当テストピース64の表面の日射量が1000W/mになるように照射し、1時間経過後の各温度を測定する。ボックスの置かれた環境の温度は30℃である。
【0092】
室内側部材相当テストピース63の裏面及び、本体61の内部空間65の温度を測定した。
【0093】
本実施例および比較例で使用した温度測定用試験ボックスは、断熱発泡材(ポリスチレンフォーム)製のため比較的蓄熱しやすく、自動車車内を想定したものである。
【0094】
評価結果を表2に示す。本発明の実施例では明らかに室内相当温度が比較例よりも低い。実使用でも同様な効果が期待できる。
【0095】
【表1】
Figure 2004136849
【0096】
【表2】
Figure 2004136849

【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の一般的な車体パネル構造における、外板パネル裏面と相対する室内キャビン裏面の間での放射伝熱の様子を模式的に表わした概略断面図(室内温度>車外温度)である。
【図2】従来例の一般的な車体パネル構造における、外板パネル裏面と相対する室内キャビン裏面の間での放射伝熱の様子を模式的に表わした概略断面図(室内温度<車外温度)である。
【図3】本発明の車体パネル構造の一実施態様における、外板パネル裏面と相対する室内キャビン裏面の間での放射伝熱の様子を模式的に表わした概略断面図である。
【図4】本発明の車体パネル構造の別の実施態様の一つにおける、外板パネル裏面と相対する室内キャビン裏面の間での放射伝熱の様子を模式的に表わした概略断面図である。
【図5】本発明の車体パネル構造を適用するのに特に好適な外板パネル部位を表わした自動車の側面図である。
【図6】実施例で用いた温度測定用試験ボックスの概略断面図である。
【符号の説明】
10…日射、            11…外板パネル、
12…空間、            13…室内キャビン、
14…車外、            15…車室内、
16、17、18、19…放射伝熱、 20…低放射率フィルム、
21…接着剤層(高熱伝導率接着剤層)、
22……低放射率塗膜、       51…ドアパネル、
52…ピラー、           53…フェンダー、
54…ルーフ、           55…ボディサイド、
56…トランクリッド、       60…温度測定用試験ボックス、
61…試験ボックス本体、
62a、62b…テストピースを載置ないし設置するための枠、
63…室内側部材相当テストピース、 64…外板パネル相当テストピース、
65…太陽灯。

Claims (14)

  1. 車両を構成する外板パネルと、それに相対する室内キャビン面と、両者を隔てる空間とを有してなり、
    該外板パネルの室内キャビンに相対する面に遠赤外線低放射率化手段が付与されてなり、該室内キャビン面は、該遠赤外線低放射率化手段を付与した外板パネルの室内キャビンに相対する面よりも遠赤外領域の放射率が高いことを特徴とする車体パネル構造。
  2. 前記遠赤外線低放射率化手段として、遠赤外領域の放射率が低いフィルムを、外板パネルの室内キャビンに相対する面に接着剤で貼付けることを特徴とする請求項1に記載の車体パネル構造。
  3. 前記の遠赤外領域の放射率が低いフィルムとして、アルミニウム箔、銅箔、透明な樹脂層で表面を保護したアルミニウム箔、透明な樹脂層で表面を保護した銅箔、アルミニウムを付着させた樹脂フィルム、反射塗料を塗布した樹脂フィルム、並びに反射材および/または白色顔料を混ぜ込んだ樹脂フィルムよりなる群の少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項2に記載の車体パネル構造。
  4. 前記接着剤は、1W/m・K以上の高い熱伝導率を有することを特徴とする請求項2または3に記載の車体パネル構造。
  5. 前記接着剤は、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素およびグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種を高熱伝導率成分として含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  6. 前記高熱伝導率成分が接着剤全体に対して30〜90質量%含まれることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  7. 前記遠赤外線低放射率化手段として、遠赤外領域の放射率を低くする塗料を、外板パネルの室内キャビンに相対する面に塗装してなることを特徴とする請求項1に記載の車体パネル構造。
  8. 前記の遠赤外領域の放射率を低くする塗料が、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、およびこれら樹脂の変性体からなる群から選ばれた少なくとも1種類中に、反射材および/または白色顔料を含むことを特徴とする、請求項7に記載の車体パネル構造。
  9. 前記反射材および/または白色顔料は、アルミニウム鱗片、酸化錫微粒子、酸化亜鉛微粒子、インジウム錫酸化物微粒子、アンチモン錫酸化物微粒子、ニッケル微粒子および銅微粒子からなる群の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項3〜6、8のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  10. 前記の遠赤外領域の放射率を低くする塗料が、反射材および/または白色顔料を0.3〜10質量%含んでいることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  11. 前記室内キャビンが内装トリム材および/またはインナーパネルであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  12. 内装トリム材の材質が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエン樹脂、アクリル樹脂及びフェノール樹脂含浸ボードからなる群から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  13. 前記室内キャビン面の遠赤外領域の放射率が0.7以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
  14. 前記遠赤外線低放射率化手段を付与した面の遠赤外領域の放射率が0.5以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の車体パネル構造。
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