JP7108691B2 - 輻射熱反射フィルム及び自動車用内装材 - Google Patents
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Description
自動車等の塗膜最表面の意匠に影響を与えない熱遮蔽効果を有する内装材を提供することを目的として、樹脂発泡体からなる芯材と該芯材の室内側に積層したクッション材及び表装材から構成される基体と、赤外線反射機能を有する層とからなり、赤外線反射機能を有する層が、アルミニウム箔または塗膜表面にアルミニウム粉末が浮いて完全なアルミ層を形成するリーフィングアルミニウム含有塗膜からなる自動車用内装材が提案されている(特許文献1)。
赤外線の反射機能、耐摩耗性、および耐油性を損なうことなく、いわゆる成形サイクルを短くでき、製造コストの増大を回避できる車両用内装材を提供することを目的として、少なくとも、基材と、この基材の表面側に形成される表皮層と、基材の裏面側に形成される通気止め層と、を備える車両用内装材であって、通気止め層は、樹脂フィルムAの表面に金属蒸着膜Bが被着されて形成され、基材は、金属蒸着膜Bに接着剤を介して接着されていることを特徴とする車両用内装材が提案されている(特許文献3)。
本発明は、輻射熱の反射率が高い層であるばかりではなく、絶縁性も良好な層であることで、該層に、輻射熱反射機能とワイヤーハーネスとの短絡抑制機能とを併せもたせること、そのような層を含む輻射熱反射フィルム、および該輻射熱反射フィルムを含む自動車内装材を提供することを目的とする。
(1)輻射熱反射層を含むことを特徴とするワイヤーハーネスとの短絡抑制機能を有する自動車内装材に用いるための輻射熱反射フィルムであって、
前記輻射熱反射層が、互いに略並行に位置する鱗片状金属フレークと、該鱗片状金属フレーク同士の接触を妨げる樹脂とを有する、0.5~5μmの膜厚である、輻射熱反射フィルム。
(2)前記鱗片状金属フレークと前記樹脂との配合割合が調整されて、輻射熱反射機能とワイヤーハーネスとの短絡抑制機能とを併せ持つ、(1)に記載の輻射熱反射フィルム。
(3)前記鱗片状金属フレーク同士の接触を妨げる樹脂が架橋構造を有する、(1)または(2)に記載の輻射熱反射フィルム。
(4)前記輻射熱反射層が、表面抵抗率1×1010Ω/□以上を有する、(1)ないし(3)のいずれかに記載の輻射熱反射フィルム。
(5)前記輻射熱反射フィルムが熱可塑性樹脂層と輻射熱反射層とからなる、(1)ないし(4)のいずれかに記載の輻射熱反射フィルム。
(6)前記輻射熱反射層側から測定した赤外線(2μm~20μm)の平均反射率が55%以上である、(5)に記載の輻射熱反射フィルム。
(7)少なくとも表皮材、基材、輻射熱反射フィルムを順に備える自動車内装材に用いるための、(1)ないし(6)のいずれかに記載の輻射熱反射フィルム。
(8)少なくとも表皮材、基材、輻射熱反射フィルムを順に備える自動車内装材であって、前記輻射熱反射フィルムが熱可塑性樹脂層と輻射熱反射層とからなり、一方の表面が前記表皮材、他方の表面が前記輻射熱反射層となるように配置され、前記輻射熱反射フィルムが(1)ないし(6)のいずれかに記載の輻射熱反射フィルムである、自動車内装材。
(2)本発明の自動車内装材用輻射熱反射フィルムおよびそれを用いた自動車内装材は、ワイヤーハーネスとの短絡を抑制することができる。
(3)本発明の自動車内装材用輻射熱反射フィルムおよびそれを用いた自動車内装材は、輻射熱反射層を有するにもかかわらず、加熱による耐熱性が良好であり、自動車用内装材の広い用途に適用することができる。
これにより、自動車ボディからの輻射熱を輻射熱反射フィルム20で反射して車室内温度の抑制をはかることができる。より具体的には、輻射熱反射フィルム20により輻射熱の大部分を占める赤外線領域の反射率を高め、更には赤外線の2μm~20μmの広範囲の波長領域において反射率を高めることで、車室内温度上昇の抑制をはかることができる。
そして、本発明における輻射熱反射機能は、後述する実施例に記載の測定方法により測定した、2μm~20μmの波長領域における赤外線反射率が55%以上、望ましくは60%以上であることが好ましい。
通常、自動車内装材を自動車ボディに固定するために、取り付け部品が基材の周縁等に配設される。ここで、自動車内装材を配設する際に、取り付け部品により、自動車ボディに敷設された電気配線の被覆部が破損し、金属配線が露出してしまうことがある。そして、従来においては、このような露出に気づかずに、自動車内装材を配設して、金属配線露出部と、輻射熱反射層とを接触状態にさせてしまうと、自動車の駆動時にショート等の不具合を生じる場合があった。そのため、自動車内装材においては、このようなショート等の不具合を回避することができる材料が求められている。
尚、上述した鱗片状金属フレーク同士の接触を妨げる樹脂とは、全ての鱗片状金属フレークが接触していないことを意味するものではなく、鱗片状金属フレーク同士の接触を抑制して、輻射熱反射層の表面抵抗率(Ω/□)を1×1010Ω/□(Ωスクウェア)以上とすることを意味する。表面抵抗率を調整するには、例えば、鱗片状金属フレークと樹脂の配合割合を調整すれば良い。たとえば、鱗片状金属フレークの配合割合を低くし、樹脂の配合割合を高くすることで、表面抵抗率(Ω/□)を高くすることができる。すなわち当該配合割合は、目的とする表面抵抗率(Ω/□)や自動車内装材の使用用途に応じて適宜調整して設定すればよい。
基材32は、自動車内装材において支持層となる層で、従来の自動車内装材において用いられているものと同様のものを特に限定なく採用することができる。例えば、繊維質多孔材、硬質発泡材、硬質発泡材と不織布との複合材等を用いることができる。尚、これらの基材は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記硬質発泡材としては、ポリウレタン(硬質ポリウレタン及び半硬質ポリウレタンを含む)、ポリオレフィン及びその他の樹脂を発泡させた材料が挙げられる。これらのなかでは、ポリウレタンのフォーム材が好ましく、半硬質ポリウレタンのフォーム材が特に好ましい。
更に、上記硬質発泡材と不織布との複合材としては、上述の硬質発泡材の表裏のうちの少なくとも一方の面に、ガラス繊維等の硬質繊維等を用いて形成された不織布を接合した複合材が挙げられる。
リーフィングアルミニウムフレーク顔料とは、長径1~150μmの大きさの鱗片状アルミニウム粉末表面をステアリン酸等の処理剤で覆ったものであり、この顔料を含有する塗料を熱可塑性樹脂層(未延伸ナイロンフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルム)に塗工すると、塗膜表面に鱗片状アルミニウム粉末が塗膜表面に浮いて平行配列し、互いに略並行に位置する鱗片状金属フレークと該金属フレーク同士の接触を妨げる樹脂とからなる層を形成する。本実施形態に係る輻射熱反射フィルム20では、当該層を輻射熱反射層22として備える。なお、本発明では、塗膜表面に略並行に配列するリーフィングタイプの鱗片状金属フレームを用いることが好ましいが、塗膜中に分散して散在するタイプの鱗片状金属フレームを用いる構成とすることもできる。
樹脂に硬化剤を添加することで、形成される塗膜の樹脂は架橋構造を有することとなる。架橋構造を有することで塗膜の耐熱性が向上し、自動車内装材の基材化の際に、輻射熱反射層の塗膜が熱板にはりついて剥がれることない。
特に、本発明にかかる鱗片状金属フレークを含む塗膜は、鱗片状金属フレークが塗膜表面に浮いて配列していることから、金属粒子が分散した塗膜に比べて、加熱やプレスにより塗膜が剥がれ易い。本発明において、この塗膜の剥がれを抑制する為に、上述のように、硬化剤を添加して架橋構造とすることで、塗膜の剥がれを抑制することができる。硬化剤の添加量は、塗料の種類にもよるが、塗料100重量部に対して2重量部以上、好ましくは3重量部以上であることが好ましい。
また、本発明に係る自動車内装材を天井材として用いる場合、天井材の輻射熱反射フィルム側にはハーネスが取り付けられ自動車に組み込まれる。自動車の過酷な使用環境において、ハーネスが天井材から外れることが無いように取り付けには耐久性が求められ、輻射熱反射層にはより塗膜の剥がれ難さが求められる。この為には、硬化剤の添加量を、塗料100重量部に対して5重量部以上、好ましくは8重量部以上、更に好ましくは10重量部以上とすることが良い。また、市販塗料の適量の硬化剤よりも、2倍以上、好ましくは3倍以上の硬化剤を添加することが好ましい。
なお、塗工方法についてはスプレー塗工、刷毛塗り塗工、浸漬塗工、グラビアコーターやロールコーター等のロール塗工、流し塗工等どのような方法も使用できる。特にグラビアコーターによる塗工が好ましい。
また、輻射熱反射層22の鱗片状金属フレークの含有量は、0.1g/m2以上、特に0.3g/m2以上、更に0.5g/m2以上であることが好ましい。また5.0g/m2以下、特に3.0g/m2以下、更に1.0g/m2以下であることが好ましい。鱗片状金属フレークの含有量が0.1g/m2未満では輻射熱反射機能が不十分となり、一方、5.0g/m2を超えても輻射熱反射効果、すなわち熱遮蔽効果は飽和して経済上不利になることがある。
輻射熱反射層22の樹脂の含有量は、0.1g/m2以上、特に0.3g/m2以上、更に0.5g/m2以上であることが好ましい。また5.0g/m2以下、特に3.0g/m2以下、更に1.0g/m2以下であることが好ましい。樹脂の含有量が0.1g/m2未満ではワイヤーハーネスとの短絡抑制が不十分となり、一方、5.0g/m2を超えると輻射熱反射効果を低下させるおそれがある。
このうち、ポリエステル系樹脂やポリアミド樹脂などの融点が200℃以上の樹脂が、自動車内装材を加熱して基材化する際に耐熱性を有することで特に好ましい。
また、熱可塑性樹脂層は、多層フィルムを用いることが好ましい。具体的には、耐熱性樹脂層と接着性樹脂層の2層フィルム、または、耐熱性樹脂層を芯層とし接着性樹脂層を両外層とする3層フィルムなどである。
耐熱性樹脂層としては、加熱時に融解するおそれのない樹脂層であることが好ましく、後述する接着性樹脂層を形成する樹脂よりも、融点の高い樹脂を主成分とすることが望ましい。また、接着樹脂層としては、輻射熱反射フィルムと基材とを熱融着させる際に融着する樹脂層であり、加熱温度において融解する樹脂であることが好ましい。
接着性樹脂層としては、例えばプロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、ホモポリプロピレン等のプロピレン系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレンとα-オレフィン(C3~C8)の共重合体等のエチレン系樹脂を用いることができる。該樹脂を含むフィルムは、延伸フィルムであっても未延伸フィルムであっても良いが、熱融着性の観点から未延伸フィルムの方が好ましい。
耐熱性樹脂層としては、融点が180℃を超える樹脂を主成分とすることが好ましい。このような樹脂として、本発明ではナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12等のアミド系樹脂やこれらの樹脂の共重合体、またはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂を例示することができる。該樹脂を含むフィルムは、延伸フィルムであっても未延伸フィルムであっても良いが、柔軟性を備える未延伸フィルムの方が、冷間成型時にフィルムの裂けが無く成型できることから好ましい。この中でも未延伸ナイロン特にナイロン6とナイロン6,6の共重合体からなる未延伸ナイロンフィルムは、耐熱性と柔軟性を兼ね備え、冷間成型時においてもフィルムの裂け等もなく本発明の耐熱性樹脂層に適する。
また、ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂を用いた共押出ラミによって二層や三層の積層フィルムとする場合、ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂の間に接着性樹脂として酸変性ポリエチレン樹脂などを介在させることでも良い。
尚、ポリアミド樹脂は吸湿等によりフィルムが収縮しカールするおそれがあるが、ポリアミド樹脂の両側を同厚みのポリエチレン樹脂とする三層のフィルムとすることでカールを抑制することができる。
これらの積層フィルムのうち、輻射熱反射層の塗膜が剥がれ難く、冷間成型時のフィルムの裂けがし難い点から、(輻射熱反射層側)ナイロン6とナイロン6,6の共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンを共押出ラミした二層の積層フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン/ナイロン6とナイロン6,6の共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンの三層を共押出ラミした積層フィルムが好ましい。
これらの積層フィルムは、基材の材質により適宜選定すれば良く、例えば、ガラス繊維の基材に対しては、ナイロン6とナイロン6,6の共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンを共押出ラミした二層の積層フィルムが好ましい。また、発泡ウレタンからなる基材に対しては、未延伸ポリプロピレンフィルム(単層フィルム)が好ましい。
下記表1に示すように、輻射熱反射フィルムについて各種物性を測定した。測定方法は以下のとおりである。
尚、本輻射熱反射フィルムは自動車天井材として用いられることとし、自動車天井材は、車内側から、表皮材/基材/輻射熱反射フィルムの順で積層される。
輻射熱反射フィルムはルーフパネル(車外)側からの輻射熱を反射する役割を担うものである為、下記の(1)~(3)の評価は、全て、輻射熱反射フィルムのルーフパネル側から測定を行った。
(1)赤外線反射率
赤外線反射率(%)は、分光光度計680IR(アジレント・テクノロジー社製)を用い、金コーティング積分球を装着して測定を行った。測定波長は2μm~20μmとし、0.016μm毎のデータを測定し、測定データから最大値、最小値、平均値を算出した。尚、赤外線反射率は、金コーティング表面鏡の反射率を100%としたときの相対反射率として算出した。
また、測定結果から、以下の基準で評価を行った。
◎:平均反射率が90%以上
○:平均反射率が55%以上
△:平均反射率が50%以上
×:平均反射率が50%未満
表面抵抗率(Ω/□)の測定は、23℃、50%RHの条件下で、デジタル超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)を用い、電圧100Vを印加して行った。
また、測定結果から、以下の基準で評価を行った。
○:1×1010Ω/□以上
×:1×1010Ω/□未満
耐熱性を評価する理由を説明する。自動車用内装材は基材化する際に加熱による加工がされる。このとき、熱板と接触する輻射反射フィルムの表面(ルーフパネル側)は加熱されることから耐熱性が必要になる。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、OPETフィルムと記す。)(輻射熱反射フィルムの熱可塑性樹脂層)が表面である場合、OPETフィルムが耐熱性を有していることにより問題なく加工できるが、輻射熱反射層が表面(ルーフパネル側)となる場合は、熱による塗膜の剥がれの問題を考慮する必要がある。
そこで、加熱による基材化の工程を模して以下の耐熱性の評価を行った。耐熱性の評価は、ヒートシールバーにより輻射熱反射フィルムを加熱し、加熱後における輻射熱反射層の剥がれ度合いにて評価した。ヒートシールバーによる加熱は、アルミ箔を介し輻射熱反射層にヒートシールバーを押しあて200℃で1分間加熱した。
尚、後述する比較例2は、輻射熱反射フィルムの熱可塑性樹脂層(OPETフィルム)がルーフパネル側となる為、評価を行っていない。
評価は、加熱後の輻射熱反射層を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
○:剥がれが確認されなかった
△:若干の剥がれが確認された。
-:測定を行っていない。
溶剤中に鱗片状アルミフレークと樹脂を含む金属フレーク含有塗料(ベルカラー高輝度銀CN サカタインクス社製)100重量部と、イソシアネート化合物(ラミオールR硬化剤 サカタインクス社製)3重量部を混ぜた塗工液を、OPETフィルム(輻射熱反射フィルムの熱可塑性樹脂層)上にグラビア塗工し、乾燥して厚み約1μmの輻射熱反射層を形成した。乾燥後の輻射熱反射層は、鱗片状アルミフレークが塗膜の表面に浮いて偏在し平行配列している(リーフィング)と共に、樹脂とイソシアネート化合物が架橋反応して架橋構造を有する。
このようにして得られた輻射熱反射フィルムを、輻射熱反射層が自動車内装材のルーフパネル側(車外側)に配置されるものとして、赤外線反射率(%)、表面抵抗率(Ω/□)および耐熱性の測定を行った。その測定結果を実施例1として下記表1に示す。
金属フレーク含有塗料にイソシアネート化合物を混ぜないで、架橋構造を有しない熱輻射熱反射層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして輻射熱反射層を形成し、輻射熱反射フィルムを形成した。
得られた輻射熱反射フィルムを、輻射熱反射層が自動車内装材のルーフパネル側(車外側)に配置されるものとして、赤外線反射率(%)、表面抵抗率(Ω/□)および耐熱性の測定を行った。その測定結果を実施例2として下記表1に示す。
OPETフィルム(輻射熱反射フィルムの熱可塑性樹脂層)上にグラビア塗工する塗工液として、金属フレーク含有塗料ではなく、溶剤中にアルミ粒子と樹脂を含む一般的なシルバー塗料(ベルカラーS銀C サカタインクス社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして輻射熱反射層を形成し、輻射熱反射フィルムを形成した。
得られた輻射熱反射フィルムを、輻射熱反射層が自動車内装材のルーフパネル側(車外側)に配置されるものとして、赤外線反射率(%)、表面抵抗率(Ω/□)および耐熱性の測定を行った。その測定結果を比較例1として下記表1に示す。
比較例1で得られた輻射熱反射フィルムにおいて、OPETフィルム(輻射熱反射フィルムの熱可塑性樹脂)が自動車内装材のルーフパネル側(車外側)に配置されるものとして、赤外線反射率(%)、表面抵抗率(Ω/□)および耐熱性の測定を行った。その測定結果を比較例2として下記表1に示す。
アルミ蒸着OPETフィルム(厚み12μm 東レフィルム加工社製)を用意し、アルミ蒸着層を輻射熱反射層とし、輻射熱反射層が自動車内装材のルーフパネル側(車外側)に配置されるものとして、赤外線反射率(%)、表面抵抗率(Ω/□)および耐熱性の測定を行った。その測定結果を比較例3として下記表1に示す。
下記表2に示すように、輻射熱反射フィルムについて評価を行った。評価方法は以下のとおりである。
(4)成型性
表2に示す輻射熱反射フィルム(輻射熱反射層/熱可塑性樹脂層の順)と基材(多孔質繊維)、表皮(不織布)の順で重ね合わせ熱板で加熱し、冷間プレスにより一体化して天井に設置する所定の形状に成型した。得られた成型体の輻射熱反射フィルムの状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:問題なし
△:使用可能であるが、熱可塑性樹脂層の一部に裂けが発生
×:使用できない
未延伸ナイロンフィルム(以下、CNYフィルムと記す)と未延伸ポリエチレンフィルム(以下、PEフィルムと記す)を溶融状態のポリエチレン樹脂(以下、PE樹脂)によりサンドラミネートして熱可塑性樹脂層とし、CNYフィルム面に実施例1と同様にして輻射熱反射層を形成した。
得られた輻射熱反射フィルムを上記(4)成型性の方法で評価を行った。結果を下記表2に記す。
〔実施例4〕
OPETフィルムとPEフィルムを接着剤によりドライラミネートして熱可塑性樹脂層とし、OPETフィルム面に実施例1と同様にして輻射熱反射層を形成した。
得られた輻射熱反射フィルムを上記(4)成型性の方法で評価を行った。結果を下記表2に記す。
下記表3に示すように、輻射熱反射フィルムについて評価を行った。評価方法は以下のとおりである。
(5)耐久性
表3に示す輻射熱反射フィルムの輻射熱反射層表面をプラスチック消しゴムで往復10回擦り(1回擦りの長さ:50mm)、輻射熱反射層の剥がれを以下の基準で評価した。
◎:輻射熱反射層に全く剥がれが無かった
○:輻射熱反射層に微小な剥がれがあった
尚、この評価は、天井の製造過程における取り回しにおいて輻射熱反射層が剥がれずに維持されるか、又、天井材の表面に設置されるハーネス等の部品が、自動車の過酷な使用環境においても設置状態が維持されるかの耐久性を疑似的に評価するものであり、ハーネス等の部品が設置される輻射熱反射層の剥がれを評価するものである。
CNYフィルムとPEフィルムを溶融状態のPE樹脂によりサンドラミネートした熱可塑性樹脂層熱可塑性樹脂層を用意した。
溶剤中に鱗片状アルミフレークと樹脂を含む金属フレーク含有塗料(ベルカラーS高輝度銀CN サカタインクス社製)100重量部と、イソシアネート化合物(ラミオールR硬化剤 サカタインクス社製)3重量部を混ぜた塗工液を、鱗片状アルミフレークの含有量が0.6g/m2となるようにCNYフィルム上にグラビア塗工して輻射熱反射層を形成した。得られた輻射熱反射フィルムを上記耐久性評価した結果を表3に記す。
〔実施例6〕
塗工液を、鱗片状アルミフレークと樹脂を含む金属フレーク含有塗料(ベルカラーS高輝度銀CN サカタインクス社製)100重量部に対し、混合するイソシアネート化合物(ラミオールR硬化剤 サカタインクス社製)を10重量部とした以外は、実施例10と同様に行った。得られた輻射熱反射フィルムの耐久性評価結果を表3に記す。
21…熱可塑性樹脂層
22…輻射熱反射層
30…自動車内装材
31…表皮材
32…基材
Claims (8)
- 輻射熱反射層を含むことを特徴とするワイヤーハーネスとの短絡抑制機能を有する自動車内装材に用いるための輻射熱反射フィルムであって、
前記輻射熱反射層が、互いに略並行に位置する鱗片状金属フレークと、該鱗片状金属フレーク同士の接触を妨げる樹脂とを有する、0.5~5μmの膜厚である、輻射熱反射フィルム。 - 前記鱗片状金属フレークと前記樹脂との配合割合が調整されて、輻射熱反射機能とワイヤーハーネスとの短絡抑制機能とを併せ持つ、請求項1に記載の輻射熱反射フィルム。
- 前記鱗片状金属フレーク同士の接触を妨げる樹脂が架橋構造を有する、請求項1または2に記載の輻射熱反射フィルム。
- 前記輻射熱反射層が、表面抵抗率1×1010Ω/□以上を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の輻射熱反射フィルム。
- 前記輻射熱反射フィルムが熱可塑性樹脂層と輻射熱反射層とからなる、請求項1ないし4のいずれかに記載の輻射熱反射フィルム。
- 前記輻射熱反射層側から測定した赤外線(2μm~20μm)の平均反射率が55%以上である、請求項5に記載の輻射熱反射フィルム。
- 少なくとも表皮材、基材、輻射熱反射フィルムを順に備える自動車内装材に用いるための、請求項1ないし6のいずれかに記載の輻射熱反射フィルム。
- 少なくとも表皮材、基材、輻射熱反射フィルムを順に備える自動車内装材であって、
前記輻射熱反射フィルムが熱可塑性樹脂層と輻射熱反射層とからなり、
一方の表面が前記表皮材、他方の表面が前記輻射熱反射層となるように配置され、
前記輻射熱反射フィルムが請求項1ないし6のいずれかに記載の輻射熱反射フィルムである、自動車内装材。
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