JP4998084B2 - 化粧板用裏面防湿シートおよび化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、木質系基材に貼着する防湿シートおよびそれを用いる化粧板に関し、さらに詳しくは、環境温・湿度の変化による木質系基材の吸湿や放湿によって生じる反りを防止する機能を有する防湿シートおよびそれを用いた化粧板に関するものである。
従来から、合板、中密度繊維板(MDF)、ハードボード、パーティクルボード等の木質系基材の表面に化粧シートを貼着した化粧板がドア、引き戸、間仕切り等の表面材として用いられている。木質系基材は、その含水率が外気条件下における木質系基材の平衡含水率より小さい場合には、化粧板の化粧シートを貼着していない面から吸湿・吸水し、この面を膨張させ、また、反対に木質系基材の含水率が、外気条件下における木質系基材の平衡含水率より大きい場合には、放湿・放水して収縮させるのに対し、化粧シートを貼着した面は吸・放湿が殆どないために、化粧板の化粧シートを貼着した面と木質系基材が表出した面との膨張率または収縮率が異なり、化粧板に反りが発生し、商品価値を落とす結果となる。
このような反りを防止する方法としては、たとえば、化粧板を金属等で反らないように十分に補強する方法、あるいは、表面に化粧シートを貼着した化粧板の裏面側に、化粧板の裏面からの吸・放湿による木質系基材の含水率の変化を防ぐために塗料を塗装する方法、あるいは、表面に化粧シートを貼着した化粧板の裏面側に、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートを貼着する方法、あるいは、紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シート(たとえば、特許文献1参照)を貼着する方法等が知られている。
化粧板を補強する方法は、補強することにより反りは防止することができるが、フラッシュドアのような補強を十分に行なうことができない構造の場合には反りを防止することはできないという問題があり、また、塗料を塗装する方法は、木質系基材の表面の塗料の吸い込みが強く、また、表面の平滑度が悪いために均一な防湿、防水層を形成することが難しいという問題があり、フラッシュドアに対しても適用可能であり、ある程度反りを防止することができることなどから、合成樹脂製シートあるいは防湿シートを貼着する方法が採用され、広く使用されている。
しかしながら、合成樹脂製シートあるいは防湿シートを貼着する方法を採用した化粧板であっても、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り等に長期間使用された場合には、木質系基材の水分分布に一方の面側と他方の面側とで差が生じ、その結果、両面の伸張や収縮の度合いが異なり、反りが発生する場合がある。また、別の問題として、防湿シートを用いた場合には両面が紙層であり、エマルジョン型接着剤で木質系基材に容易に貼着することができるという加工適性の面で優れた効果を奏する反面、紙層の層間強度が弱いために、長期間使用された場合や、不可抗力的に外力が加わった場合など、紙層の層間から剥離する虞がある。
特開平9−29919号公報
そこで本発明は、ドア、引き戸、間仕切り等において、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止して商品価値を落とすことがない防湿シートおよびこれを用いた化粧板を提供することであり、また、長期間使用された場合や、不可抗力的に外力が加わった場合などに剥離する虞がない防湿シートおよびこれを用いた化粧板を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製基材層と蒸着層とからなる防湿シートであって、前記蒸着層の表出面にポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールに無機酸化物が含まれた組成物からなる樹脂層を設け、前記合成樹脂製基材層の表出面に接着用プライマー層を設け、前記樹脂層の表出面に接着用プライマー層を設けてなることを特徴とするものである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の化粧板用裏面防湿シートにおいて、前記無機酸化物が酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムおよびこれらの混合物から選ばれたものであることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の化粧板用裏面防湿シートを化粧板用基材の一方の面に貼着してなることを特徴とする化粧板である。
本発明の化粧板用裏面防湿シートは、透湿度(JIS Z 0208)が2.0g/m2 ・24hr以下であるために、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートあるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートに比べて格段に優れた防湿性能を有し、また、本発明の化粧板用裏面防湿シートを用いた化粧板は、ドア、引き戸、間仕切りなど、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを生じることが殆どないという優れた効果を奏する。また、本発明の化粧板用裏面防湿シートおよびこれを用いた化粧板は、長期間使用された場合や、不可抗力的に外力が加わった場合などに剥離する虞が殆どないという優れた効果を奏する。
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる防湿シートの第1実施形態を図解的に示す層構成図であり、図中の1(a)は防湿シート、10は合成樹脂製基材層、11は蒸着層、15,16は接着用プライマー層をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかる防湿シートの第1実施形態を図解的に示す層構成図であって、防湿シート1(a)は合成樹脂製基材層10の一方の面に蒸着層11と接着用プライマー層16とを形成し、前記合成樹脂製基材層10の他方の面に接着用プライマー層15を形成したものである。なお、図1に示した層構成は、最も好ましい態様を示したものであって、特に接着強度において要求レベルが低い場合には、蒸着層側に設ける接着用プライマー層16は必ずしも設ける必要はないものである。
また、図示はしないが本発明の防湿シートを用いた化粧板の一実施例は、他方の面に上記した図1に示す防湿シート1(a)が前記接着用プライマー層15が表出するように接着剤層を介して貼着したものである。
次に、防湿シート1(a)および化粧板を構成する諸材料について説明する。まず、前記合成樹脂製基材層10としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。前記合成樹脂製基材層10は、一軸ないし二軸方向に延伸したシートであっても、未延伸であってもよいが、後述する蒸着層が少なくとも一方の面に形成される基材となるものであり、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸したシートが好ましい。前記合成樹脂製基材層10の厚さとしては、概ね9〜25μmが適当である。
また、前記蒸着層11としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、あるいは、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物の薄膜からなる無機酸化物蒸着層であり、この蒸着層11は真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、上記した合成樹脂製基材層10の少なくとも一方の面に薄膜形成される。なお、前記蒸着層11としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる蒸着層は金属光沢があるために、絵柄印刷層を形成する必要がある防湿シートに対しては、意匠性の点から金属光沢を隠蔽しなければならないという問題があり、また、フラッシュドア加工の際に高周波を使用して接着を行う場合などがあり、
より好ましくは、蒸着層が透明である無機酸化物蒸着層である。また、前記蒸着層11のガスバリアー性を一層向上させる目的で、前記蒸着層11上にポリビニルアルコールあるいはポリビニルアルコールに酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物を添加した組成物をロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法でポリビニルアルコール層あるいは前記組成物層を塗布形成してもよいものである。
次に、前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16について説明する。前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
しかしながら、前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16は、(I)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と、(II)イソシアネートとからなる樹脂で形成するのが特に好ましい。すなわち、(I)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーにさらにジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(II)のイソシアネートと反応させて硬化させて形成するものである。
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよいものである。
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成するものである。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族ないしスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物ないしその誘導体、またはエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、および、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、上記に塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンテンジオールおよび1,4−シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよいのであって、アジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオールおよび1,4−シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族ないし脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性およびコストが優れる点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基および水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、たとえば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(I)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(I)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(II)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記接着剤層12および前記接着用プライマー層15,16を形成すればよいものである。また、(II)のイソシアネートとしては、(I)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、または、これらの2量体、3量体などの多量体、あるいは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
なお、前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16の乾燥後の塗布量としては、1〜20g/m2 であり、好ましくは1〜5g/m2 である。また、前記接着剤層および前記接着用プライマー層15,16は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。
また、前記絵柄印刷層は、グラビア印刷法、オフセット印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷法でインキを用いて形成することができる。前記絵柄印刷層としては、たとえば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等の絵柄である。前記絵柄印刷層を形成するインキとしては、ビヒクルとして塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂等の1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができる。
次に、前記接着剤層について説明する。前記接着剤層は、防湿シート1(a)と化粧板用基材とを貼着するために用いる層であり、前記接着剤層を形成する接着剤としては、たとえば、熱可塑性樹脂系、熱硬化型樹脂系、ゴム(エラストマー)系等のいずれのタイプの接着剤であってもよいものである。これらは、公知のもの、ないし、市販品を適宜選択して使用することができる。熱可塑性樹脂系接着剤としては、たとえば、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等を挙げることができ、また、熱硬化型樹脂系接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等を挙げることができる。ゴム系接着剤としては、天然ゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS、SIS、SEBS等)等を挙げることができる
また、前記化粧板用基材しては、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)等の木質系基材やフラッシュ構造からなる基材を挙げることができる。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
〔実施例1〕
12μm厚さの蒸着PETフィルムの蒸着面にポリビニルアルコール溶液を乾燥後に0.2g/m2 となるようにグラビア印刷法で塗布した後に、PET面にコロナ放電処理を施し、該コロナ放電処理面とポリビニルアルコール塗布面のそれぞれの面に主剤としてウレタン樹脂/硝化綿系樹脂に硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂をグラビア印刷法にて固形分としての塗布量が2g/m2 の接着用プライマー層を形した防湿シートを作製した。前記防湿シートを3mm厚さのMDFに酢酸ビニル系接着剤をウエット状態で8g/尺2 塗布・乾燥した後に、該塗布面に前記防湿シートの蒸着面側が位置するようにロールラミネート機で貼着した化粧板を作製した。
[比較例1]
一方の面にコロナ放電処理を施した23g/m2 の紙間強化紙をコロナ放電処理面が対向するように配置してTダイ押出機でPEを40μm厚さとなるように加熱溶融押し出しし、いわゆるサンドイッチラミネーション法で積層した防湿シート(紙間強化紙23g/m2 /PE40μm/紙間強化紙23g/m2 )を作製した。該防湿シートを3mm厚さのMDFに酢酸ビニル系接着剤をウエット状態で8g/尺2 塗布・乾燥した後に、該塗布面にロールラミネート機で貼着した化粧板を作製した。
[比較例2]
一方の面にコロナ放電処理を施した23g/m2 の紙間強化紙と30g/m2 の紙間強化紙をコロナ放電処理面が対向するように配置してTダイ押出機でPEを40μm厚さとなるように加熱溶融押し出しし、いわゆるサンドイッチラミネーション法で積層した積層体(紙間強化紙23g/m2 /PE40μm/紙間強化紙30g/m2 )を作製した。次いで、前記積層体の30g/m2 の紙間強化紙の表出面に、主剤としての硝化綿系樹脂に硬化剤としてイソシアネートを添加したビヒクルからなる2液硬化型印刷インキを用いて、グラビア印刷法でベタ柄印刷層を形成し、次いで硝化綿系樹脂をビヒクルとする印刷インキを用いて絵柄印刷層を形成し、次いで、主剤としてのアクリルポリオール系樹脂に硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂をグラビア印刷法で前記ベタ印刷層および絵柄印刷層を形成した面全面に固形分として16g/m2 となるように印刷して表面保護層を形成した防湿シートを作製した。前記防湿シートを3mm厚さのMDFに酢酸ビニル系接着剤をウエット状態で8g/尺2 塗布・乾燥した後に、該塗布面に前記防湿シートの23g/m2 の紙間強化紙の表出面が位置するようにロールラミネート機で貼着した化粧板を作製した。
上記で作製した実施例、および、比較例1、2の化粧板について、透湿度、平面引張強度を下記する評価方法で評価し、その結果を表1に纏めて示した。
Figure 0004998084
〔評価方法〕
・透湿度 :JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」
に準拠して実施例1〜3、および、比較例1、2の防湿シートを測定し
て透湿度を算出。
・平面引張強度:JAS合板 平面引張試験に準拠して測定して平面引張強度を算出。
なお、評価に供した化粧板は、防湿シートとMDFとを24時間コール
ドプレスしたもの用い、化粧板を5cm角にカットし、底辺が2cm角
の金属治具を防湿シート面にシアノアクリレート系接着剤にて貼り、2
4時間常温(約23℃)養生した後、カッターナイフにて金属治具に沿
ってMDFにまで達する切り込みを入れ、測定試験機器により試験片に
対して垂直面方向に引っ張り、その際の剥離界面を目視観察して評価す
ると共に引張強度を測定した。
表1からも明らかなように、本発明の防湿シートはシリカ蒸着層を設けたことにより、透湿度性能の向上が見られ、環境温湿度の変化により発生する化粧板の反りを従来品に比べて格段に少なくすることができるという効果を期待できる。また、平面引張強度においては、紙層を層構成に用いないために、化粧板用基材の層間剥離(材料破壊=材破)となり、紙間剥離に比べて剥離強度が向上する。
本発明にかかる防湿シートの第1実施形態を図解的に示す層構成図である。
1(a) 防湿シート
10 合成樹脂製基材層
11 蒸着層
15,16 接着用プライマー層

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製基材層と蒸着層とからなる防湿シートであって、前記蒸着層の表出面にポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールに無機酸化物が含まれた組成物からなる樹脂層を設け、前記合成樹脂製基材層の表出面に接着用プライマー層を設け、前記樹脂層の表出面に接着用プライマー層を設けてなることを特徴とする化粧板用裏面防湿シート。
  2. 前記無機酸化物が酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムおよびこれらの混合物から選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の化粧板用裏面防湿シート。
  3. 請求項1または2に記載の化粧板用裏面防湿シートを化粧板用基材の一方の面に貼着してなることを特徴とする化粧板
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