JP3587467B1 - ハイバリア性積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、少なくとも、無機酸化物による無機酸化物薄膜層と、変性ポリビニルアルコール樹脂による変性ポリビニルアルコール樹脂層と、を積層してなり、前記無機酸化物薄膜層が透明であって、前記変性ポリビニルアルコール樹脂層の厚みが0.1μm〜1.0μmである、という構成を有するハイバリア性積層体とした。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性に優れたハイバリア性積層体であって、具体的には食品や医薬品等のような、耐透気性、耐透湿性を必要とする物品の包装材に適したハイバリア性積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や医薬品等のように内容物の変質を防ぎたい物質を保存するために、外部の酸素や湿気が浸入しないようないわゆるガスバリア性のフィルムを包装材料として用いることが行われている。このガスバリアフィルムは、従来コスト的な観点、製造の容易さなどの理由でプラスチックフィルムにアルミニウム箔を蒸着させたものが大量に使用されていたが、このアルミニウム箔を蒸着させたプラスチックフィルムでは内容物が見えない、即ち視認性が確保されないという問題があった。
【0003】
そこで、このプラスチックフィルムにアルミニウム箔を蒸着させたガスバリアフィルムに代わるものとして、透明プラスチックフィルムに、例えば酸化珪素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を蒸着させた、透明なガスバリアフィルムが開発され、用いられるようになってきている。その他、透明プラスチックフィルムに酸素バリア性と水蒸気バリア性に優れたポリマーをコーティングしたものが提案、開発されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−166489号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の従来の技術に記載されているように、透明プラスチックフィルムに酸化珪素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を蒸着させた構成よりなる透明なガスバリアフィルムは、従来のアルミニウム箔を蒸着したガスバリアフィルムに比べてどうしてもガスバリア性に劣るので、その対策として金属酸化膜の膜厚を厚くするが、その結果蒸着膜の光吸収が生じるので、ガスバリアフィルムが全体的に褐色や灰色を帯びてしまい、即ちフィルムの透明性が低下してしまい問題である。
【0006】
また特許文献1の特許請求の範囲に記載されたようなガスバリアフィルムにおいては、どうしても酸素バリア性及び水蒸気バリア性において従来の金属酸化物蒸着フィルムに比べてバリア性は同等のものとはならず、さらにまた特許文献1におけるガスバリアフィルムは湿度変化に敏感であり、そのため高湿度の環境下においてガスバリア性が著しく低下してしまい問題である。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の物よりも酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上させたものであって、かつ透明性を確保しつつ、湿度依存性が少なく、高湿度下において性質劣化の少ない透明ハイバリア積層体であるガスバリアフィルムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明の請求項1に記載の発明は、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、少なくとも、無機酸化物による無機酸化物薄膜層と、ポリビニルアルコールをアセタール化、ホルマール化、又はブチラール化、のいずれかの処理を施して得られる変性ポリビニルアルコール樹脂に対して1重量%〜10重量%の金属錯体を含有させたものにより形成される変性ポリビニルアルコール樹脂層と、を積層してなり、前記無機酸化物薄膜層が透明であり、かつその厚みが10nm〜300nmであり、かつ前記無機酸化物薄膜層が珪素酸化物とアルミニウム酸化物とが重量比で9/1〜5/5の範囲で混合された物、もしくはSixOy(x=1に対してy=1.1〜1.9)で示される珪素酸化物単体、もしくはアルミニウム酸化物単体、のいずれかで形成されており、前記金属錯体が、アルミニウムアセチルアセトネート又は亜鉛アセチルアセトネートの何れか若しくは双方であって、前記変性ポリビニルアルコール樹脂層の厚みが0.1μm〜1.0μmであること、を特徴とする。
【0012】
本願発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハイバリア性積層体であって、気温22℃、相対湿度が65%の環境下における酸素透過率と、気温22℃、相対湿度が90%の環境下における酸素透過率と、の差が3ml/(m2・d・MPa)以内であること、を特徴とする。
【0013】
本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のハイバリア性積層体であって、気温40℃、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.7g/(m2・d)以下であること、を特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、以下に示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
本願発明に係るハイバリア性積層体について、これを第1の実施の形態として説明する。
本願発明にかかるハイバリア性積層体は、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、少なくとも、無機酸化物による無機酸化物薄膜層と、変性ポリビニルアルコール樹脂による変性ポリビニルアルコール樹脂層と、を積層してなり、前記無機酸化物薄膜層が透明であって、前記変性ポリビニルアルコール樹脂層の厚みが0.1μm〜1.0μmである、という構成よりなる。尚、無機酸化物薄膜層と変性ポリビニルアルコール樹脂層との積層順は自由で構わないが、以下の説明では記載順に積層されているものとする。
【0016】
以下順に説明していく。
本実施の形態にかかるハイバリア性積層体に用いる透明プラスチックフィルムには特に制限はないが、耐熱性、機械加工適性、化学的安定性に優れたものであれば良く、従来のバリア性積層体に用いられたものであればいずれも用いることが出来る。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、(メタ)アクリロニトリルフィルム、ポリエーテルサルフォンフルム、ポリフェニレンスルフィッドフルム、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂等の単一重合体から作られたフィルムや、これらの共重合体から作られたフィルム等の合成樹脂フィルム、またセルロース等の人造樹脂フィルム、等のフィルムが考えられる。さらにこれらのフィルムのうち2種類又はそれ以上の種類が積層された複層フィルムである複合フィルムとしてもよく、また上記の各種ポリマーを2種類又はそれ以上の種類をブレンドしたものから作られたフィルム、例えばポリエチレンテレフタレートにイソフタレートをブレンドしたものを原材料として、その強度を向上させたフィルムを利用するものとしてもよい。
【0017】
また特に詳述はしないが、この透明プラスチックフィルムの表面に対して、後述するように無機酸化物薄膜などを積層しやすくするために、予めプラズマ処理などの物理的処理やシランカップリング剤等による化学的処理といった前処理を施したり、下塗層を形成しても構わない。さらに後述するような本発明によってられる効果を損なわない範囲で、種々の公知の下塗剤を塗布したり、プライマー層、保護層、着色層、印刷層、シール層等を設けても構わない。さらに紫外線吸収剤や静電気誘導帯電防止剤等のような改質剤を透明プラスチックフィルムを形成する際に公知の手法でフィルムに含有させても構わない。
【0018】
以上説明した透明プラスチックフィルムの厚みについてもここでは特に限定しないが、好ましくは4μm〜20μm内であることが好ましい。この範囲とすることで、シート状加工が容易なものとなり、また取扱時にクラック発生等によるバリア性能低下を防ぐことが出来るからである。
【0019】
次に無機酸化物薄膜層を形成する無機酸化物について説明すると、これは酸素バリア性と水蒸気バリア性とを高度に付与するものであって、透明性に優れたものであることが好ましい。また経済性、環境保全性、安全性等の観点も付加されるとなお好ましい。更に言えば、無機酸化物が、珪素酸化物、又はアルミニウム酸化物のいずれか1つ若しくは両方とすれば、即ち珪素酸化物、アルミニウム酸化物のいずれか1つ又は双方を混合したもの、を無機酸化物薄膜層を形成する無機酸化物とすると、より一層好適なものとなる。
【0020】
具体的には、珪素酸化物とアルミニウム酸化物との混合物とした場合その重量比は9/1〜5/5であることが好ましい。また珪素酸化物はSixOyで示した場合、X=1に対してY=1.1〜1.9であるもの、好ましくはX=1に対してY=1.2〜1.8であるものを選択することが大変好適である。
【0021】
無機酸化物薄膜層を透明プラスチックフィルムへ積層する方法としては公知の手法でよく、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ蒸着法などのような従来公知の物理的蒸着法(PVD法)や、金属状態の珪素とアルミニウムとのいずれか一方もしくは双方を混合した物を、酸素ガス雰囲気中、或いは酸素ガスと、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で、反応性真空蒸着法、反応性スパッタリング法、反応性イオンプレーティング法、反応性プラズマ蒸着法、等の従来公知の化学的蒸着法(CVD法)により、透明プラスチックフィルムの片面もしくは両面に直接形成するか、あるいは下塗層等を介して形成する。
【0022】
このようにして形成される無機酸化物薄膜層の厚さは10nm〜300nmであれば好ましく、15nm〜100nmとするとより一層好ましいバリア性を得られるようになる。尚、この厚みが10nm以下であると無機酸化物薄膜層により得られるバリア性能が不足してしまい、厚みを300nm以上とした場合は無機酸化物薄膜層にクラックが発生しやすくなり、その為にバリア性が劣化してしまい、いずれも好ましい物ではなくなり、さらには経済性の観点からも好ましくない。
【0023】
次に変性ポリビニルアルコール樹脂層について説明すると、この層を形成する変性ポリビニルアルコール樹脂としては、公知のポリビニルアルコールをアセタール化、ホルマール化、ブチラール化、等の処理を施して得られる変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることが出来る。そしてこのような変性ポリビニルアルコール樹脂を用いた変性ポリビニルアルコール樹脂層は、前述したように形成されている透明プラスチックフィルム上の無機酸化物薄膜層のさらに表面に、上述んも変性ポリビニルアルコール樹脂を含む液を、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、リバースコーティング法、等の公知である通常のコーティング法により塗布し、これを乾燥して形成される。また場合によってはさらに熱処理を施すことも考えられる。
【0024】
このようにして得られる変性ポリビニルアルコール樹脂層の厚みは適宜自由であってよいが、本実施の形態においては、厚さが0.1μm〜1.0μmであることが好ましく、0.3μm〜0.7μmであることがより好ましい。これはこの厚みとすることで無機酸化物薄膜層と変性ポリビニルアルコール樹脂層との密着性が好適なものとなり、さらには酸素透過率及び透湿度が湿度に依存することなく優れたものとしやすくなり、さらには印刷性、屈曲使用適性にも優れたハイバリア性積層体の形成に大いに寄与するからである。
【0025】
厚さが0.1μmに満たない場合は、変性ポリビニルアルコール樹脂と無機酸化物とを併用する効果が得られず、1.0μmを超える場合は、経済的に良くないだけでなく、無機酸化物薄膜層との密着性が低下してしまい、その結果包装材としての使用時に層間剥離が生じてしまうため、上記範囲内の厚みとすることが好ましいのである。
【0026】
またさらに変性ポリビニルアルコール樹脂層に、金属化合物の触媒を含有させることでより好ましい性質を得られるようになる。さらには金属化合物の触媒が金属錯体であればより一層好ましい性質を得られる。具体的には、アルミニウムアセチルアセトネートや亜鉛アセチルアセトネート等の金属錯体であればよく、これらを含有させることで、酸素バリア性と水蒸気バリア性がより一層向上し、層間密着力もより増すのである。尚、金属化合物の変性ポリビニルアルコール樹脂への含有量は、主剤に対して1重量%〜10重量%とすることが好ましい。
【0027】
このような各層及びフィルムで構成されるハイバリア性積層体とすることで、層間密着力が大きく、かつ酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れた、食品や医薬品等の包装材に適した積層体が得られるのである。そしてこのように構成すると同時に、気温22℃、相対湿度が65%の環境下における酸素透過率と、気温22℃、相対湿度が90%の環境下における酸素透過率と、の差が3.0ml/(m2・d・MPa)以内であるようにすることで、さらに加えると、気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.7g/(m2・d)以下であるようにすることで、従来では得られなかった性質を有するハイバリア性積層体を得られる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明及び前述の実施の形態にかかる実施例をあげて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではないことを予め断っておく。
【0029】
(実施例1)
透明プラスチックフィルムとして厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人NS株式会社製)を、無機酸化物薄膜層を形成するための無機酸化物としてSixOy(x=1.0、y=1.5)を、変性ポリビニルアルコール樹脂層を形成するための変性ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学工業株式会社製;商品名「ゴーセファイマーZ−100」)を、用意する。
【0030】
透明プラスチックフィルムの片面上に、蒸着によってSixOyを厚さ20nmの無機酸化物薄膜層となるように形成する。次いで変性ポリビニルアルコール樹脂を純水で固形分比10%になるように希釈し、それに金属錯体であるアルミニウムアセチルアセトネート(株式会社ナカライテスク製)を固形分に対し2%添加した後、これを乾燥膜厚が0.5g/m2となるように上記無機酸化物薄膜層のさらに表面にグラビアコーティングにより塗布し、変性ポリビニルアルコール樹脂層を形成する。このようにして本発明にかかるハイバリア性積層体を得る。
【0031】
得られたハイバリア性積層体の酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては7.0ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては8.9ml/(m2・d・MPa)、その差は3.0ml/(m2・d・MPa)以内、即ち1.9ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.6g/(m2・d)であった。
【0032】
このように実施例1においては、酸素ガスバリア性の湿度依存性が少なく、また高湿度環境下であっても優れた水蒸気バリア性を有するハイバリア性積層体が得られた。
【0033】
(実施例2)
実施例1において得られたハイバリア性積層体の変性ポリビニルアルコール樹脂層の更に表面に、ポリウレタン系接着剤(株式会社東洋モートン製;商品名「TM−215」)を用いて、厚みが50μmの低密度ポリエチレンフィルム(東セロ株式会社製;商品名「FCS」)を貼り合わせることでヒートシール層を設けて、酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0034】
その結果、本実施例で得られたハイバリア性積層体の酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては4.8ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては5.9ml/(m2・d・MPa)、その差は1.1ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.5g/(m2・d)であった。
【0035】
故に、実施例1と同様に本実施例においても酸素ガスバリア性の湿度依存性が少なく、また高湿度環境下であっても優れた水蒸気バリア性を有するハイバリア性積層体が得られた。
【0036】
(実施例3)
実施例1と同様にして、但し用いる金属錯体を亜鉛アセチルアセトネート(株式会社ナカライテスク製)としてハイバリア性積層体を得て、これの酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0037】
その結果、本実施例で得られたハイバリア性積層体の酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては7.7ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては8.9ml/(m2・d・MPa)、その差は1.2ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.6g/(m2・d)であった。
【0038】
故に、実施例1と同様に本実施例においても酸素ガスバリア性の湿度依存性が少なく、また高湿度環境下であっても優れた水蒸気バリア性を有するハイバリア性積層体が得られた。
【0039】
(実施例4)
実施例3で得られたハイバリア性積層体の変性ポリビニルアルコール樹脂層の更に表面に、実施例2と同様にしてヒートシール層を設けたハイバリア性積層体を得て、これの酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0040】
その結果、本実施例で得られたハイバリア性積層体の酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては4.9ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては5.9ml/(m2・d・MPa)、その差は1.0ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.5g/(m2・d)であった。
【0041】
故に、実施例2と同様に本実施例においても酸素ガスバリア性の湿度依存性が少なく、また高湿度環境下であっても優れた水蒸気バリア性を有するハイバリア性積層体が得られた。
【0042】
(比較例1)
実施例1において変性ポリビニルアルコール樹脂層を設けなかった以外は全て同様とした。そして得られた積層体に対して酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0043】
その結果、酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては17.7ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては24.6ml/(m2・d・MPa)、その差は6.9ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が2.0g/(m2・d)であった。
【0044】
(比較例2)
比較例1において得られた積層体に対して、上述の実施例2と同様にしてヒートシール層を設けて新たな積層体を得た。そして得られた積層体に対して酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0045】
その結果、酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては11.8ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては15.8ml/(m2・d・MPa)、その差は4.0ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が1.5g/(m2・d)であった。
【0046】
(比較例3)
実施例1で用いた変性ポリビニルアルコール樹脂の代わりに、変性させていないポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製)を用いて変性ポリビニルアルコール樹脂層の代わりに樹脂層を設け(設けた手法は実施例1と同様である)た積層体を得た。尚、樹脂層に金属化合物は添加していない。そして得られた積層体に対して酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0047】
その結果、酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては6.9ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては13.8ml/(m2・d・MPa)、その差は6.9ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が1.5g/(m2・d)であった。
【0048】
(比較例4)
比較例3において得られた積層体に、実施例2と同様の手法によりヒートシール層を設けた積層体を得た。そして得られた積層体に対して酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性の評価を行った。
【0049】
その結果、酸素透過率は、気温22℃、相対湿度が65%の環境下においては5.2ml/(m2・d・MPa)、気温22℃、相対湿度が90%の環境下においては9.8ml/(m2・d・MPa)、その差は4.6ml/(m2・d・MPa)であった。また 気温40度、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が1.2g/(m2・d)であった。
【0050】
尚、上記酸素透過度の測定はJIS K−7126によって、また水蒸気透過率の測定はJIS K−7129によって、それぞれ測定された。
【0051】
上記の実施例1〜4及び比較例1〜4の結果を表にまとめると次のようになった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本願発明にかかるハイバリア性積層体によれば、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、少なくとも、無機酸化物による無機酸化物薄膜層と、変性ポリビニルアルコール樹脂による変性ポリビニルアルコール樹脂層と、を積層してなり、無機酸化物薄膜層が透明であって、変性ポリビニルアルコール樹脂層の厚みが0.1μm〜1.0μmである構成とすることにより、その目的は、従来の物よりも酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上させたものであって、かつ透明性を確保しつつ、湿度依存性が少なく、高湿度下において性質劣化の少ない透明ハイバリア積層体であるガスバリアフィルムを得られる。
Claims (3)
- 透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、
少なくとも、
無機酸化物による無機酸化物薄膜層と、
ポリビニルアルコールをアセタール化、ホルマール化、又はブチラール化、のいずれかの処理を施して得られる変性ポリビニルアルコール樹脂に対して1重量%〜10重量%の金属錯体を含有させたものにより形成される変性ポリビニルアルコール樹脂層と、
を積層してなり、
前記無機酸化物薄膜層が透明であり、かつその厚みが10nm〜300nmであり、かつ前記無機酸化物薄膜層が珪素酸化物とアルミニウム酸化物とが重量比で9/1〜5/5の範囲で混合された物、もしくはSixOy(x=1に対してy=1.1〜1.9)で示される珪素酸化物単体、もしくはアルミニウム酸化物単体、のいずれかで形成されており、
前記金属錯体が、アルミニウムアセチルアセトネート又は亜鉛アセチルアセトネートの何れか若しくは双方であって、
前記変性ポリビニルアルコール樹脂層の厚みが0.1μm〜1.0μmであること、
を特徴とする、ハイバリア性積層体。 - 請求項1に記載のハイバリア性積層体であって、
気温22℃、相対湿度が65%の環境下における酸素透過率と、
気温22℃、相対湿度が90%の環境下における酸素透過率と、
の差が3ml/(m2・d・MPa)以内であること、
を特徴とする、ハイバリア性積層体。 - 請求項1又は請求項2に記載のハイバリア性積層体であって、
気温40℃、相対湿度が90%の環境下における水蒸気透過率が0.7g/(m2・d)以下であること、
を特徴とする、ハイバリア性積層体。
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