JP2811735B2 - 酸化チタン蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

酸化チタン蒸着フィルムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、透明性,防湿性およびガスバリヤー性が優
れると共に、紫外線の遮断性の優れた酸化チタンの蒸着
層を形成した蒸着フィルムの製造方法に関する。
<従来の技術> 従来から、油脂製品,油菓子,酒類等の食品,及び医
薬品等の内容物の包装材料は、内容物の保護のため、防
湿性,ガスバリヤー性に加えて、紫外線遮断性が求めら
れていた。
現在、透明な紫外線遮断性フィルムとしては、ポリ塩
化ビニル,ポリメタクリル酸エステル,又はフッ素樹脂
等の基材フィルムの上に、ベンゾトリアゾール系,又は
ベンゾフェノン系等の紫外線吸収材をコーティングした
り、前記紫外線吸収剤を含む溶液中に、前記基材フィル
ムを浸漬して吸収されたフィルムが市販されている。
前記紫外線遮断性フィルムを包装材料として使用する
場合は、防湿性,ガスバリア性を必要とするため、ポリ
塩化ビニリデン,エチレンビニルアルコール等の防湿
性,ガスバリア性の優れた樹脂をコーティングしたり、
ラミネート等の方法により積層する必要があった。
そのため、コーティングやラミネート等の積層工程が
必要となり、結果として包装材料のコストアップにつな
がるため、現在では全面印刷により紫外線の一部の可視
光をも遮断している。
また、アルミニウム等の金属の蒸着層を設けた積層包
装材料(例えば、実公昭61−2036号公報)がある。しか
しながら、この積層包装材料は、金属の蒸着層を含むた
め、紫外線と同時に可視光も遮断する、そのためフィル
ムは不透明となり、包装材料として使用した場合は、内
容物を透視することができない。
<発明が解決しようとする課題> 内容物を保護する包装材料としては、透明で防湿性,
ガスバリア性を有し、しかも紫外線遮断性が求められて
いる。
本発明の目的は、紫外線遮断性を有する酸化チタンの
蒸着層を効果的に設ける蒸着フィルムの製造方法を提供
することである。
<課題を解決するための手段> 本発明では、基材フィルムの片面に真空蒸着法により
酸化チタンを蒸着層を形成してなる蒸着フィルムの製造
方法において、蒸着物質を二酸化チタンと金属チタンと
をモル比で90:10から50:50の範囲で混合した物質とした
ことを特徴とした酸化チタン蒸着フィルムの製造方法で
ある。
ここで、基材フィルムは透明フィルムで、ポリエチレ
ン(PE),ポリポリプロピレン(PP),ポリスチレン
(PS),ポリ塩化ビニル(PVC),ポリエチレンテレフ
タレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),
ポリアミド,ポリアクリル,ポリアクリロニトリル(PA
N),エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA),エ
チレン−アクリル酸共重合体(EAA)からなるフィルム
であり、特にPET,PENが適当である。
蒸着層は、酸化チタンからなり、100〜3,000Åの範囲
の厚さで、好ましくは1,000〜2,000Åの範囲である。
<作用> 蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法,イオンプレ
ーティング法、またはスパッタリング法の各種手段があ
り、酸化チタンを蒸着源として、これとほぼ同じ組成の
ガラス状蒸着層を形成するには、スパッタリング法が好
適であるが、蒸着層の形成速度が遅いため、実用的では
なかった。一方、真空蒸着法は、一般には形成速度が速
く実用的であるが、酸化チタン蒸着層を形成するため
に、蒸着源として二酸化チタンを用いると蒸着速度が遅
くなってしまい、実用上好ましくないものとなる。
この蒸着源として二酸化チタンと金属チタンの混合比
が90:10〜50:50(モル比)の範囲の混合物を蒸着源とし
て用いることにより、真空蒸着法でも蒸着速度が早くな
り、実用上適したものとなった。
この蒸着源の混合物の金属チタンの割合が多くなる
と、可視光に対する吸収率が大きくなり、透明性が低下
する。反対に二酸化チタンの割合が多くなると、蒸着性
が悪く、実用上好ましくないものとなってしまう。
そして、本発明の方法によって得られた酸化チタン蒸
着フィルムを包装材料として使用する場合は、蒸着層上
にポリエチレン,ポリプロピレン,またはエチレン−酢
酸ビニル共重合体等のヒートシール性を有するヒートシ
ール層をドライラミネーション法,エクストルーダー法
の適宜のラシネーション法により積層すればよい。
<実施例1> (a) 防湿性,ガスバリヤー性及び紫外線遮断性に優
れた透明フィルムの作製:二酸化チタン(TiO2)との混
合比(TiO2/Ti)が90/10となる混合物を蒸着源とし、2.
0×10-5Torrの真空下で、抵抗加熱方式により、基材フ
ィルム表面に蒸着層を形成した。蒸着源は、金属タンタ
ル(Ta)製のボートに入れ、基材フィルムとしては厚さ
12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
を用いて蒸着を行った。
(b) 防湿性,ガスバリヤー性及び紫外線遮断性に優
れた透明フィルムの性能評価:(a)項で得られた透明
フィルムの蒸着層の組成及び膜厚は、X線光電子分光法
により測定した。また、光線透過率の測定は、紫外可視
分光光度計を用い、透湿度の測定はmocon社製PARMATRAN
−W6,酸素透過率の測定はmocon社製OXTRAN−10/50Aを用
いて行なった。
この結果は、表−1に示す。
<実施例2> (a) 防湿性,ガスバリヤー性及び紫外線遮断性に優
れた透明フィルムの作製:蒸着源としてのTiO2とTiとの
混合比(TiO2/Ti)を70/30としたこと以外は、実施例1
(a)項と同様である。
(b) 防湿性,ガスバリヤー性及び紫外線遮断性に優
れた透明フィルムの性能評価:本実施例(a)項で得ら
れたフィルムを用い、実施例1(b)項と同様の方法で
性能評価を行った。
この結果を表−1に示す。
<比較例1> (a) 防湿性,ガスバリヤー性及び紫外線遮断性に優
れた透明フィルムの作製:蒸着源としてのTiO2とTiとの
混合比(TiO2/Ti)を45/55としたこと以外は、実施例1
(a)項と同様である。
(b) 耐透湿性,耐透気性及び紫外線遮断性に優れた
透明フィルムの性能評価:本実施例(a)項で得られた
フィルムを用い、実施例(b)項と同様の方法で性能評
価を行った。
この結果を表−1に示す。
<比較例2> 蒸着材料として金属アルミ(Al)を用い、ボートとし
て金属タングステン(W)製ボートを用いたこと以外
は、実施例1(a)と同様の方法で作製した積層体につ
いて、実施例1(b)項と同様の方法で性能評価を行っ
た。
その結果を表−1に示す。
<発明の効果> 以上のように、透明基材上に二酸化チタンと金属チタ
ンとの混合物を蒸着源としてチタン酸化物を真空蒸着さ
せることで、高度な防湿性,ガスバリヤー性に加え、紫
外線遮断性を有する蒸着フィルムを実用的な蒸着速度で
製造することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−193357(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 - 7/06 C23C 14/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フィルムの片面に酸化チタンの蒸着層
    を形成してなる蒸着フィルムの製造方法において、蒸着
    物質を二酸化チタンと金属チタンとを90:10から50:50
    (モル比)の範囲で混合した混合物としたことを特徴と
    した酸化チタン蒸着フィルムの製造方法。
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CN104175663B (zh) * 2014-05-29 2016-09-14 中国乐凯集团有限公司 一种防紫外线辐射透明高阻隔薄膜及其应用

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