JP4501558B2 - 高ガスバリア性を有する透明積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、日用品および医薬品等の包装分野に用いられる包装用の積層体、または電子機器関連部材等の包装に用いられる包装用の積層体等であって、特に高いガスバリア性が必要とされる包装において好適に用いられる、高バリア性を有する透明積層体に関するものである。
食品や日用品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制してそれらの機能や性質を保持するため、内容物を変質させる酸素、水蒸気等の気体による影響を防ぐ必要があり、これらを遮断するガスバリア性を備えることが求められている。通常のガスバリア性のレベルが必要とされる包装に使用される包装材料としては、高分子の中では比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂を使用したフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルム等が良く用いられてきたが、これらは高度なガスバリア性が要求される包装には使用できない。そのため上記の様な要求がある場合には、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として設けてなる包装材料を用いざるを得なかった。
ところが、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として設けてなる包装材料は、温度や湿度の影響が少なく、高度なガスバリア性を持つが、それを介して内容物を透視・確認することができないこと、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならないこと、さらには検査の際には金属探知器が使用できないこと等、数多くの欠点を有しており問題があった。
そこで、これらの欠点を克服すべく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物からなる蒸着薄膜を真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段によりプラスチックフィルム上に成膜してなるフィルムが開発され、上市されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性を有するガスバリア性包装材料として好適とされている。
しかしながら、上述した蒸着フィルムが包装用材料に適するものであっても、包装容器や包装袋等の包装体として、それ単体で用いられることはほとんどなく、一般的には蒸着フィルム表面に文字や絵柄等を印刷加工したり、他のフィルム等との貼り合わせてから容器等の形状に加工したりと、様々な後工程を経て包装体を完成させている。
因みに、上述した蒸着フィルムにシーラントフィルムを貼り合わせて得られる包装材料を使用して製袋した後、得られた包装用袋の酸素透過率や水蒸気透過率等のガスバリア性を測定したところ、高分子ガスバリア性フィルム並のガスバリア性は有するもの、製袋加工においてバリア性が劣化し、金属箔並のガスバリア性を得ることができなかった。
すなわち、高度なガスバリア性が要求される包装材料として用いられるための条件としては、内容物を直接透視することが可能なだけの透明性を有すること、後加工後も内容物に対して影響を与える気体等を遮断する金属箔並みの高いガスバリア性を有すること等が挙げられるが、上述したような蒸着フィルムは、後加工後も金属箔並の高いガスバリア性を維持することができなかった。
このような問題点を解決する技術として、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、1種類以上の金属アルコキシド或いは金属アルコキシド加水分解物または、塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層としてプラスチックフィルム上に順次積層してなるガスバリア性包装材料が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。このガスバリア性包装材料は、高いガスバリア性を示し、かつ耐水性、耐湿性を有すると共に、後加工時のある程度の変形に耐えられるものである。しかし、このガスバリア性包装材料のガスバリア性被膜は、無機化合物の蒸着薄膜層からなるため、包装容器、包装袋等の包装体とする際の後加工の条件によっては、加えられる応力によりガスバリア性が若干低下することがある。
本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、幅広い後加工条件で後加工でき、透明性に優れるために内容物を透視することが可能で且つこれにより包装された内容物の検査に際しては金属探知器が使用でき、さらに高い屈曲耐性と高温高湿下での高いガスバリア性を併せ持ち、そしてこれらの諸特性が後加工後も劣化することがない、高いガスバリア性を有する包装材料を提供することを目的とする。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報 特開平7−164591号公報
本発明はこのような目的を達成するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、無機酸化物からなる厚さが5nm以上300nm以下のガスバリア性蒸着薄膜層と、モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を真空蒸着し、硬化させてなる厚さが0.02μm以上20μm以下のガスバリア性被膜層と、無機酸化物からなる厚さが5nm以上300nm以下のガスバリア性蒸着薄膜層と、モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を真空蒸着し、硬化させてなる厚さが0.02μm以上20μm以下のガスバリア性被膜層の4層を順次積層してなる多層部が、透明プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層して設けられた構成を有する透明積層体であって、
前記無機酸化物は、酸化アルミニウムであり、
前記モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合したものである
ことを特徴とする、高ガスバリア性を有する透明積層体である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高ガスバリア性を有する透明積層体において、前記多層部は、無機アルミニウムからなる厚さが5nm以上300nm以下のガスバリア性蒸着薄膜層と、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物を真空蒸着し、硬化させてなる厚さが0.02μm以上20μm以下のガスバリア性被膜層の2層を順次積層してなる積層部1組以上積層・介在させて設けられたものであることを特徴とする。
さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の高ガスバリア性を有する透明積層体において、ガスバリア性蒸着薄膜層が積層されているガスバリア性被膜層の表面平滑性が算術平均粗さ(Ra)で100nm以下または十点平均粗さ(Rz)で2000nm以下であることを特徴とする。
さらにまた、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の高ガスバリア性を有する透明積層体において、前記ガスバリア性被膜層が、電子線および/または紫外線照射によって硬化させてなるものであることを特徴とする。
本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体は、幅広い後加工条件で後加工でき、透明性に優れるために内容物を透視することが可能で且つこれにより包装された内容物の検査に際しては金属探知器が使用でき、さらに高い屈曲耐性と高温高湿下での高いガスバリア性を併せ持ち、そしてこれらの諸特性が後加工後も劣化することがない。したがって、高いガスバリア性を維持した包装が要求される包装分野での幅広い利用が可能となる。
本発明について図面を用いてさらに詳細に説明する。図1および図2は本発明の高バリア性を有する透明積層体の一例を示す断面図である。
まず、図1に一例として示す本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体1は、透明プラスチック材料からなるフィルム状の基材3の少なくとも片面に、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層4と、ガスバリア性被膜層5と、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層6と、ガスバリア性被膜層7の4層を順次積層してなる多層部8が設けられてなるものである。
また、図2に他の例として示す本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体2は、透明プラスチック材料からなるフィルム状の基材13の少なくとも片面に、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層14とガスバリア性被膜層15の2層を順次積層してなる積層部18を1組積層・介在させてから、さらに無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層24と、ガスバリア性被膜層25と、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層26と、ガスバリア性被膜層27の4層を順次積層してなる多層部28が設けられてなるものである。
上述した基材3、13は透明プラスチック材料からなり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレートなどからなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどからなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルムなどの生分解性プラスチックフィルム等が用いられる。これらは延伸、未延伸のどちらでも良いが、機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。特に耐熱性等の面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
この基材3、13の表面には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などにより薄膜層が形成されていても良い。そして、この薄膜層との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいたり、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しておいても構わない。
基材の厚さは特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあること、後で詳述する無機酸化物からなるバリア性蒸着薄膜層や、これも後で詳述するガスバリア性被膜層を上部に積層する場合の加工性を考慮すると、実用的には3μm以上200μm以下の範囲で、用途によって6μm以上30μm以下とすることが好ましい。
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺フィルムとすることが望ましい。
一方、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層4、6、14、24、26は、酸化
アルミニウムの蒸着薄膜からなり、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を確保するために設ける透明な層である
これらのガスバリア性蒸着薄膜層の厚さは、5nm以上300nm以下とし、この範囲内で適宜のものを選択する。層厚が5nm未満であると均一な蒸着薄膜層が得られないことや層厚が十分ではないことがあり、また層厚が300nmを越える場合は蒸着薄膜層にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、蒸着薄膜層に亀裂が生じ易くなるため、ガスバリア材としての所期の機能を十分に果たすことができなくなる。好ましくは、5nm以上100nm以下の範囲内である。
また、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層4、6、14、24、26を形成する方法としては、例えば、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が好ましく、基材との密着性及び層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着薄膜層の透明性を上げるため、蒸着の際に酸素ガスなど吹き込んで行う反応蒸着を採用しても一向に構わない。
他方、ガスバリア性被膜層5、7、15、25、27は、前記した無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層4、6、14、24、26上に設け、これらのガスバリア性蒸着薄膜層4、6、14、24、26との組合せにより、金属箔並の高いガスバリア性を付与するために設けるものである。
このガスバリア性被膜層5、7、15、25、27は、後述する実施例にも記載されているように、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物からなる樹脂成分を含む被膜構成材料を、真空下においてガスバリア性蒸着薄膜層4、6、14、24、26の上に加熱気化させて噴霧コーティングし、しかる後に電子線及び/または紫外線照射により硬化させて得られるものである。
本発明に係る高バリアバリア性を有する透明積層体1、2に金属箔並の高いガスバリア性を付与するためには、前記被膜構成材料からなるガスバリア性被膜層5、7、15、25、27を厚さが0.02μm以上20μm以下となるように硬化・形成させ、前記したガスバリア性蒸着薄膜層4、6、14、24、26上に積層させる。層厚が0.02μm未満であると均一な膜に形成することが困難となり、また、20μmを超えると硬化速度が低下し、十分に硬化させることが困難となるため、ガスバリア材としての所期のガスバリア性を発現することができなくなる。
特に被膜層の硬化方法として電子線照射を採用する場合は、ガスバリア性被膜層の層厚と電子線エネルギー条件、加工速度および除電とのバランスが重要となる。過度のエネルギー供給は帯電を引き起こし、その結果として起こる放電によりガスバリア性が損なわれる場合があるため注意を要する。
また、ガスバリア性被膜層5上にはガスバリア性蒸着薄膜層6が、ガスバリア性被膜層15上にはガスバリア性蒸着薄膜層24が、さらにガスバリア性被膜層25上にはガスバリア性蒸着薄膜層26がそれぞれ蒸着されているが、各ガスバリア性被膜層5、15、25の表面がより平滑であることでその上部にはより均一な蒸着薄膜層を形成することができ、その結果、得られる透明積層体が高いガスバリア性を発現することが可能となる。したがって、各ガスバリア性被膜層が平滑に設けられていることが重要となる。具体的には、ガスバリア性被膜層5、15、25の表面平滑性が算術平均粗さ(Ra)で100nm以下、または十点平均粗さ(Rz)で2000nm以下、より好ましくはRaが30nmまたはRzが1000nm以下とすることが望ましい。さらに、より平滑なガスバリア性被膜層を形成するためには、より均一な層厚のガスバリア性被膜層を形成することが望ましく、そのためには被膜層の厚さを0.2μm以上10μm以下とすることがより好ましい。
アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物からなる樹脂成分を含む被膜形成材料のコーティング層を硬化させる際に紫外線を使用する場合には、被膜形成材料中に光重合開始剤として、例えばベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体等を、上述の混合物に対して0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.1重量%以上2重量%以下の割合で添加する。また、紫外線照射にて硬化させる場合には、第二の成分として、例えば光重合開始剤を前記被膜構成材料中に混合したコーティング剤を用いれば良い。
図2に示す高ガスバリア性を有する透明積層体2は、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層24と、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物を真空蒸着し、硬化させてなるガスバリア性被膜層25と、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層26と、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物を真空蒸着し、硬化させてなるガスバリア性被膜層27の4層を順次積層してなる多層部28が、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層14と、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物を真空蒸着し、硬化させてなるガスバリア性被膜層15の2層を順次積層してなる積層部18を1組介在させて積層されている。本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体においては、このように多層部を1組以上積層・介在させて設けることにより、積層部を介在させていない図1に示すような高ガスバリア性を有する透明積層体と較べ、より高いガスバリア性を有するという点で優れるようになる。
また、本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体は、その最上層に位置するガスバリア性被膜層上に他の層をさらに積層することも可能である。具体的には印刷層、外側基材層、中間層、ヒートシール層等である。
印刷層は包装袋等として実用的に用いるために積層されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤等が添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等として形成される。インキタイプとしては、表刷りタイプ及び裏刷りタイプ等どちらでも構わない。印刷層の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1μm以上2.0μm以下で良い。
また外側基材層は、前記した多層部や積層部を中間層として前記基材と共に挟みつけるように積層し、印刷基材等として用いるためのもので、一般的に機械的強度の面からポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられる。中でも、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等がより好ましく用いられる。
外側基材層の厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的に5μm以上50μm以下の範囲内で決定される。またその積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルーションラミネート法等の公知の方法が採用できる。
また中間層は、本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体を用い、例えばこれにより包装袋を作製した場合の破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが用いられる。
中間層の厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的に5μm以上50μm以下の範囲内で決定される。またその積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルーションラミネート法等の公知の方法が採用できる。
また、ヒートシール層は袋状包装体等を形成する際に接着層として設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂により設ける。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15μm以上200μm以下の範囲である。積層方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、その他の公知の方法を採用することができる。以下、本発明の高ガスバリア透明積層体を具体的な実施例を挙げて更に説明する。
基材として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。次に、電子線加熱方式の真空蒸着装置を用いて、装置内に金属アルミニウムを
蒸発させ、そこに酸素ガスを導入して前記基材の片面に酸化アルミニウムを蒸着し、厚さ15nmのガスバリア性蒸着薄膜層(A層)を形成した。次にガスバリア性被膜層の構成材料として、下記組成からなるコーティング剤を使用し、真空蒸着法を用いて厚さ0.01μmのガスバリア性被膜層(B層)を形成した。さらに前記ガスバリア性蒸着薄膜層(A層)の形成方法と同様の方法で、厚さ15nmのガスバリア性蒸着薄膜層(C層)をガスバリア性被膜層(B層)上に形成した。さらにまた、前記ガスバリア性被膜層(B層)の形成方法と同様の方法で、厚さ0.01μmのガスバリア性被膜層(D層)をガスバリア性蒸着薄膜層(C層)上に形成し、比較のための実施例1に係るガスバリア性透明積層体を得た。
なお、この透明積層体におけるB層表面の算術平均粗さ(Ra)および十点平均粗さ(Rz)を東京精密社製のSURFCOMにて測定したところ、Ra=52nm、Rz=1500nmであった。
<コーティング剤の組成>
アクリル末端シランカップリング剤(信越化学社製;KBM5103)と水酸基含有アクリレート(ナガセケムテックス社製;DA−314)を1:3に混合した。
ガスバリア性被膜層(B層)、(D層)の層厚が0.2μmとなるようにした以外は、実施例1と同様の条件により、実施例2に係る本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
この透明積層体における(B層)表面のRaおよびRzを実施例1と同様にして測定したところ、Ra=40、Rz=1100であった。
ガスバリア性被膜層(B層)、(D層)の層厚が5μmとなるようにした以外は、実施例1と同様の条件により、実施例3に係る本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
この透明積層体における(B層)表面のRaおよびRzを実施例1と同様にして測定したところ、Ra=15、Rz=350であった。
ガスバリア性被膜層(B層)、(D層)の層厚が20μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
この透明積層体における(B層)表面のRaおよびRzを実施例1と同様にして測定したところ、Ra=32、Rz=890であった。
ガスバリア性蒸着薄膜層(A層)、(C層)の層厚が3nmとなるようにした以外は、実施例3と同様にして、比較のための実施例5に係るガスバリア性透明積層体を得た。
基材とガスバリア性蒸着薄膜層(A層)との間に、ガスバリア性蒸着薄膜層(A層)と同等のガスバリア性蒸着薄膜層(A’層)と、ガスバリア性被膜層(B層)と同等のガスバリア性被膜層(B’層)の2層を順次積層してなる積層部を積層・介在させて以外は、
実施例3と同様にして、実施例6に係る本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
ガスバリア性蒸着薄膜層(A’)、(A層)、(C層)の層厚が3nmとなるようにした以外は、実施例6と同様にして、比較のための実施例7に係るガスバリア性透明積層体を得た。
ガスバリア性被膜層(B’)、(B層)、(D層)の層厚が0.01μmとなるようにした以外は、実施例6と同様にして、比較のための実施例8に係るガスバリア性透明積層体を得た。
上記した各実施例に係る透明積層体に対して、下記テストと二次加工を行い、ガスバリア性被覆層(B層)の平滑性と、酸素透過度を測定し、評価を行った。
<二次加工:印刷加工>
各透明積層体のガスバリア性被膜層(D層)上に、裏刷り用ウレタン系インキを使用して、グラビア印刷法により印刷層を設け、後加工サンプルを得た。
<テスト>
各透明積層体単体と各後加工サンプルについて、酸素透過率(cc/m2 ・day ・atm)をMOCON社製のOXTRANにて測定した。それらの結果を表1および表2に示した。
<評価>
各透明積層体単体および印刷後の後加工サンプルの酸素バリア性について良否判定を行い、総合評価をした。総合評価に当たっては、透明積層体単体および印刷後の酸素バリア性が極めて良好なものを◎(良好)、透明積層体単体の酸素バリア性が極めて良好なものを○、透明積層体単体の酸素バリア性は良好であるが、印刷後にバリア性が劣化したものを △、透明積層体単体の酸素バリア性が良好でなく、さらに印刷後のバリア性も劣化したものを ×(不良)とした。それらの結果を同じく表1および表2に示した。
Figure 0004501558
Figure 0004501558
本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体の部分断面図である。 本発明の高ガスバリア性を有する透明積層体の他の例を示す部分断面図である。
符号の説明
1、2・・高ガスバリア性を有する透明積層体
3、13・・・・基材
4、6、14、24、26・・・・無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層
5、7、15、25、27・・・・ガスバリア性被膜層
6・・・・無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層
7・・・・ガスバリア性被膜層
8、28・多層部
18・・・積層部

Claims (4)

  1. 無機酸化物からなる厚さが5nm以上300nm以下のガスバリア性蒸着薄膜層と、モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を真空蒸着し、硬化させてなる厚さが0.02μm以上20μm以下のガスバリア性被膜層と、無機酸化物からなる厚さが5nm以上300nm以下のガスバリア性蒸着薄膜層と、モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を真空蒸着し、硬化させてなる厚さが0.02μm以上20μm以下のガスバリア性被膜層の4層を順次積層してなる多層部が、透明プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層して設けられた構成を有する透明積層体であって、
    前記無機酸化物は、酸化アルミニウムであり、
    前記モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合したものである
    ことを特徴とする、高ガスバリア性を有する透明積層体。
  2. 前記多層部は、酸化アルミニウムからなる厚さが5nm以上300nm以下のガスバリア性蒸着薄膜層と、アクリル末端シランカップリング剤と水酸基含有アクリレートを1:3で混合した混合物を真空蒸着し、硬化させてなる厚さが0.02μm以上20μm以下のガスバリア性被膜層の2層を順次積層してなる積層部1組以上積層・介在させて設けられたものであることを特徴とする、請求項1記載の高ガスバリア性を有する透明積層体。
  3. ガスバリア性蒸着薄膜層が積層されているガスバリア性被膜層の表面平滑性が算術平均粗さ(Ra)で100nm以下または十点平均粗さ(Rz)で2000nm以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の高ガスバリア性を有する透明積層体。
  4. 前記ガスバリア性被膜層が、電子線および/または紫外線照射によって硬化させてなるものであることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の高ガスバリア性を有する透明積層体。
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