JP2005178010A - ガスバリア透明積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】製袋加工、成形加工等の後加工を施しても所期のガスバリア性が確保でき、しかも内容物を包装した時にその内容物が透視可能な透明性を有し、且つ内容物の検知に際しては金属探知器が使用でき、しかも屈曲耐性に優れ、さらには高温高湿下でも高いガスバリア性を保持し続ける、ガスバリア透明積層体の提供。
【解決手段】透明プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設け、さらにその上に、重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物のいずれかからなり、その膜厚が0.02〜20μmの真空蒸着硬化被膜層を積層して設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品や非食品及び医薬品等の包装分野で用いられる包装用の積層体、または電子機器関連部材などに用いられる積層体に関するもので、特に高度なガスバリア性が必要とされる包装分野における包装材料、または電子機器関連部材などに好適に用いられるガスバリア透明積層体に関するものである。
食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制してそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらの気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。そこで従来は、高分子の中では比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂のフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルム等が包装材料としてよく用いられてきた。しかし、それらは温度、湿度などの変化に伴ってガスバリア性が大きく変動し、高度なガスバリア性が要求される包装には対応できないなどの欠点を有し問題があった。そこで高度なガスバリア性が要求される場合においては、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料を使用せざるを得なかった。
ところが、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料は、温度や湿度に影響を受けない高度なガスバリア性を持つが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際に金属探知器が使用できないなど多くの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1や、特許文献2に記載されているような、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物からなる薄膜を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成してなる蒸着フィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等に対するガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性とガスバリア性の両者を有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、上述したように包装材料に適する蒸着フィルムであっても、これが単体で包装容器または包装材を構成することはほとんどなく、一般的には、蒸着後の後加工として蒸着フィルム表面に文字・絵柄等を印刷したり、他のフィルム等との貼り合わせを行ったり、さらには包装容器等の形状に成形したりと、さまざまな後工程を経て包装容器や包装材が作製されている。従って、包装材としては包装袋等の包装体にすべく様々な後加工が施されたとしても初期のガス遮断性を保持し続ける必要がある。
因みに、上述した蒸着フィルムをシーラントフィルムと貼り合わせて製袋後、得られた袋における酸素透過率や水蒸気透過率等のガスバリア性を測定してみたところ、製袋加工によりバリア性の劣化が認められ、製袋前の蒸着フィルムが有する金属箔並のガスバリア性を製袋された包装袋においては達成することができなかった。
すなわち、高度なガスバリア性が要求される包装用材料としては、内容物を直接透視することが可能なだけの透明性と優れたバリア性を有するのみならず、包装体作製に対応して施される後加工後においても内容物に対して影響を与える気体等を遮断する金属箔並みの高ガスバリア性を維持し続ける後加工耐性を有する必要がある。
このような課題を解決する技術として、無機化合物からなる蒸着薄膜層を第1層とし、水溶性高分子と、1種類以上の金属アルコキシド或いは金属アルコキシド加水分解物または、塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として順次積層したガスバリア包装材料が提案されている(特許文献3参照)。このガスバリア包装材料は、高いガスバリア性を示し、かつ耐水性、耐湿性をも有すると共に、ある程度の変形が加えられてもこれらの特性が劣化しないものである。しかし、このガスバリア包装材料のガスバリア性被膜は、無機化合物からなる蒸着薄膜層からなるため、包装容器または包装材料とする際の後加工条件によっては、透明積層体が応力により劣化するため、バリア性が若干低下することがある。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報 特許第2790054号明細書
本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、製袋加工、成形加工等の後加工を施しても所期のガスバリア性が確保でき、しかも内容物を包装した時にその内容物が透視可能な透明性を有し、且つ内容物の検知に際しては金属探知器が使用でき、しかも屈曲耐性に優れ、さらには高温高湿下でも高いガスバリア性を有する、包装材料として最適なガスバリア透明積層体を提供することを目的とする。
上記課題を達成すべくなされ、請求項1に記載の発明は、透明プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層が設けられ、さらにその上に、重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物のいずれかからなり、その膜厚が0.02〜20μmの真空蒸着硬化被膜層が少なくとも設けられていることを特徴とするガスバリア透明積層体である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガスバリア透明積層体において、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のガスバリア透明積層体において、前記重合しうるモノマーおよびオリゴマーが、アクリレート基、ビニル基もしくはメタクリレート基、など重合部分をもつことを特徴とする。
さらにまた、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のガスバリア透明積層体において、前記真空蒸着硬化被膜は、電子線または紫外線の照射により硬化されたものであることを特徴とする。
さらにまた、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のガスバリア透明積層体において、前記基材と蒸着薄膜層、及び/または蒸着薄膜層と真空蒸着薄膜硬化被膜層の間に、プラズマ処理層が設けられていることを特徴とする。
さらにまた、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のガスバリア透明積層体において、前記プラズマ処理層が、プラズマガスとして窒素、アルゴンなどの不活性ガス、酸素、二酸化炭素などからなる反応性ガス、またはこれらの混合物を使用したプラズマ処理により設けられたものであることを特徴である。
以上に述べたように本発明のガスバリア透明積層体は、透明性に優れ、それを介して内容物の確認が可能で、且つ金属箔並の高度なガスバリア性を有し、各包装分野における汎用性の高い包装材料として、或いは電子機器関連部材などとして巾広い利用が可能となる。
以下、本発明について図面を用いてさらに詳細に説明する。図1は本発明のガスバリア透明積層体の構成を示す断面説明図である。
図1に示すガスバリア透明積層体は、透明プラスチック材料からなる基材1の片面に、膜厚が5〜300μmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層2と、重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物のいずれかからなり、その膜厚が0.02〜20μmの真空蒸着硬化皮膜層3とがこの順序で少なくとも積層されてなるものである。図1に示すガスバリア透明積層体は、基材1と蒸着薄膜層2との間、蒸着薄膜層2と真空蒸着硬化皮膜3との間にはそれぞれプラズマ処理層4、5がさらに設けられている。
上述した基材1は透明プラスチック材料からなるフィルム状の基体であり、その片面側に設ける蒸着薄膜層2の透明性を生かすために透明性に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルムなどの生分解性プラスチックフィルム等が用いられる。これらは延伸、未延伸のどちらでも良いが、機械的強度や寸法安定性に優れるものが良い。これらの中では、特に耐熱性等の面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。またこの基材1の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを塗布し、帯電防止性や耐紫外線性を向上させるようにしても良い。また、積層する薄膜との密着性を良くするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理等の前処理を必要に応じて施しておいても良く、さらには薬品処理、溶剤処理などを施しておいても構わない。
基材1の厚さは特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合も在ること、無機酸化物からなる蒸着薄膜層2と真空蒸着硬化皮膜3を形成した後の加工耐性等を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によって6〜30μm程度とすることが好ましい。
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺状のものとすることが望ましい。
一方、無機酸化物からなる蒸着薄膜層2は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着薄膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有するものであれば良い。その中でも、特に酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムからなる蒸着薄膜が酸素透過率及び水蒸気透過率の点で優れるので好ましい。ただし本発明における蒸着薄膜層2を構成する無機酸化物は、上述したものに限定されず、上記条件に適合する材料であれば他の無機酸化物を用いることもできる。
この蒸着薄膜層2の膜厚は、用いられる無機酸化物の種類、構成などにより最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は目的に応じて適宜選
択され得る。但し膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの力が加わることにより、薄膜に亀裂を生じる恐れがある。好ましくは、5〜100nmの範囲内である。
無機酸化物からなる蒸着薄膜層2を基材1上に形成する方法としては種々のものが在る。一般的には、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着方式の真空蒸着装置における加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が好ましく用いられる。蒸着薄膜層2と基材1の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着薄膜層の透明性を上げるため、蒸着の際に酸素ガスなどを吹き込んで行う反応蒸着を採用しても一向に構わない。
他方、重合し得るモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物のいずれかからなる真空蒸着硬化被膜層3は、本発明のガスバリア透明積層体に金属箔並の高度なガスバリア性を付与するために無機酸化物からなる蒸着薄膜層2上に設けるものである。
それを達成するため、この真空蒸着硬化被膜層3は、真空蒸着した重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物を、その被膜層の厚みが0.02〜20μm、より好ましくは0.2〜10μmとなるようにして蒸着させ、さらに硬化させてなるものである。上記真空蒸着した重合し得るるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物に含まれる各成分およびその方法についてさらに詳細に説明する。
真空蒸着硬化被膜層3は、例えばアクリル系などの重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物からなる樹脂成分を、真空下において加熱気化させて蒸着薄膜層2面に蒸着し、しかる後電子線または紫外線照射により硬化させて得られるものである。紫外線照射にて硬化させる場合には、第二の成分として光重合開始剤を混合させる。
真空蒸着硬化被膜層3の膜厚は、本発明において特徴的な被膜とするために、0.02〜20μmが好ましく、より好ましくは0.2〜10μmとする。これは膜厚が0.02μmを下回ると均一な被膜に形成することが困難となり、また、20μmを超えると硬化速度が低下し、十分に硬化させることが困難となるからである。
特に、重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物からなる被膜を蒸着形成後、その硬化に電子線を用いる場合は、真空蒸着硬化被膜層3の膜厚と電子線エネルギー条件、加工速度および除電とのバランスが重要となる。過度のエネルギー供給は帯電を引き起こし、その結果として起こる放電によりバリア性が損なわれる場合がある為注意を要する。
重合しうるモノマー、オリゴマーとしては、例えばアルキド、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリアセタールアクリレート、ポリブタジエン系アクリレート、メラミンアクリレート等の重合性二重結合を有するアクリル系モノマーあるいはオリゴマーを挙げることができる。また、モノマー或いはオリゴマーとしては、その反応性官能基の保有数に応じて一官能、二官能、三官能、及びそれ以上の多官能のものを適宜選定して用いることもできる。これらモノマー或いはオリゴマーは、二種類以上を混合して用いることができる。
また、モノマー或いはオリゴマーの分子量は10,000以下、好ましくは2,000以下、さらに好ましくは100〜600とする。また、その粘度は、常温で500cps以下、好ましくは100cps以下とする。
紫外線の照射により硬化をを行う場合には、例えばベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体等の光重合開始剤を、上述モノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%の割合で添加する。
本発明のガスバリア透明積層体は、上記した真空蒸着硬化被膜層3上にさらに他の層を積層することも可能である。例えば印刷層、外側基材層、中間層、ヒートシール層等である。
印刷層は包装袋などとして実用に供するために形成されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤等が添加されてなるインキにより構成される、文字、絵柄等である。インキタイプとしては、表刷りタイプ及び裏刷りタイプ等どちらでも構わない。形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1〜2.0μmで良い。
また外側基材層は、前記した蒸着薄膜層と真空蒸着硬化薄膜とが中間層なるように積層される層で、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が機械的強度の面から一般的には好ましく用いらる。その中では、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等がより好ましく用いられる。
外側基材層の厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的には5〜50μmの範囲内である。またその積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルーションラミネート法等の公知の方法が採用できる。
また中間層は、袋状包装体用の包装材料として用いた場合に破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの内から選ばれることが好ましい。
この中間層の厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的に5〜50μmの範囲内である。またその積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルーションラミネート法等の公知の方法が採用できる。
またヒートシール層は袋状包装体などを形成する際の接着層となるべく設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹
脂により形成される。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。このヒートシール層は、例えば、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用い形成することができる。
以下、本発明のガスバリア透明積層体を具体的な実施例を挙げてさらに説明する。
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。電子線加熱方式による真空蒸着装置の真空チャンバー内で金属アルミニウムを蒸発させ、さらにそこに酸素ガスを導入して、前記基材の片面に膜厚が15nmの酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層を設けた。次いで前記真空チャンバー内で下記組成のコーティング剤を蒸発させ、前記工程で設けられた蒸着薄膜層上に、厚さ0.02μmの被膜を被覆し、さらにその表面に電子線を照射することにより硬化させ、真空蒸着硬化被膜層を積層させ、実施例1に係る本発明のガスバリア透明積層体を得た。
<コーティング剤の組成>
アクリル末端シランカップリング剤(信越化学社製 KBM5103)と水酸基含有アクリレート(ナガセケムテックス社製 DA−314)を1:3に混合した。
真空蒸着硬化皮膜層の膜厚を0.2μmとなるように設けた以外は、実施例1と同様の条件で実施例2に係る本発明のガスバリア透明積層体を得た。
真空蒸着硬化皮膜層の膜厚を10μmとなるように設けた以外は、実施例1と同様の条件で実施例3に係る本発明のガスバリア透明積層体を得た。
真空蒸着硬化皮膜層の膜厚を20μmとなるように設けた以外は、実施例1と同様の条件で実施例3に係る本発明のガスバリア透明積層体を得た。
アルゴンと窒素ガスの比率が4:1である混合ガスを使用し、500Wのパワーをかけてプラズマ処理をし、蒸着薄膜層と真空蒸着硬化皮膜層との間にプラズマ処理層を設けた以外は、実施例4と同様の条件にて実施例5に係る本発明のガスバリア透明積層体を得た。
真空蒸着硬化皮膜層の膜厚を0.01μmとなるように設けた以外は、実施例1と同様の条件で実施例6に係る比較のための透明積層体を得た。
真空蒸着硬化皮膜層の膜厚を25μmとなるように設けた以外は、実施例1と同様の条件で実施例7に係る比較のための透明積層体を得た。
<二次加工:印刷加工>
実施例1〜5のガスバリア透明積層体と実施例6、7の透明積層体の真空蒸着硬化皮膜層上に、裏刷り用ウレタン系インキを用いてグラビア印刷法により印刷層を設け、各実施例に対応する後加工サンプルを得た。
<テスト1>
実施例1〜5のガスバリア透明積層体と実施例6、7の透明積層体、並びにそれらの後加工サンプルのそれぞれについて、酸素透過率(cc/m2・day・atm)を測定し、そのバリア性の良否について判定した。評価基準は以下の通りである。それらの結果を表1に示す。
<評価基準>
(良好)◎ > ○ > △ > ×(不良)
<テスト2>
実施例1〜5のガスバリア透明積層体と実施例6、7の透明積層体のそれぞれについて、その蒸着薄膜層と真空蒸着硬化被膜層の密着性をセロハンテープ剥離法により評価し、密着性の良否を判定した。評価基準は以下の通りである。それらの結果を表1に示す。
<評価基準>
(良好)◎ > ○ > △ > ×(不良)
そして最後に、これらの各測定結果を踏まえ、総合評価をし、それらの良否を判定した。評価基準は上記と同様である。
<評価基準>
(良好)◎ > ○ > △ > ×(不良)
Figure 2005178010
実施例6、7の透明積層体は、包装材料として用いられる条件とした、気体等を遮断する高度なガスバリア性、後加工に対する耐性などを全て満たすものではないが、実施例1〜5の本発明に係るガスバリア透明積層体はそれを全て満たしていると言える。
本発明のガスバリア透明積層体の断面説明図である。
符号の説明
1 ・・基材
2 ・・蒸着薄膜層
3 ・・真空蒸着硬化被膜層
4、5・・プラズマ処理層

Claims (6)

  1. 透明プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、膜厚が5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層が設けられ、さらにその上に、重合しうるモノマー、オリゴマー、或いはそれらの混合物のいずれかからなり、その膜厚が0.02〜20μmの真空蒸着硬化被膜層が少なくとも設けられていることを特徴とするガスバリア透明積層体。
  2. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア透明積層体。
  3. 前記重合しうるモノマーおよびオリゴマーが、アクリレート基、メタクリレート基もしくはビニル基、などの重合部分を持つことを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア透明積層体。
  4. 前記真空蒸着硬化被膜層は、電子線または紫外線の照射により硬化されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスバリア透明積層体。
  5. 前記基材と蒸着薄膜層、及び/または蒸着薄膜層と真空蒸着硬化被膜層の間に、プラズマ処理層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガスバリア透明積層体。
  6. 前記プラズマ処理層が、プラズマガスとして窒素、アルゴンなどの不活性ガス、酸素、二酸化炭素などの反応性ガス、またはこれらの混合物を使用したプラズマ処理により設けられたものであることを特徴とする請求項5に記載のガスバリア透明積層体。
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