JP4941022B2 - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、食品、日用品、医薬品などの包装分野、および電子機器関連部材などの分野において、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に、好適に用いられる透明なガスバリア性積層フィルムに関する。
食品、日用品、医薬品などの包装に用いられる包装材料や電子機器関連部材などに用いられる包装材料は、収容物の変質を抑制して、その機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、包装材料を透過する酸素、水蒸気など、収容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらの気体を遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。
通常のガスバリア性を有する包装材料としては、比較的ガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルムまたは塩化ビニリデン樹脂をコーティングしたフィルムなどがよく用いられてきたが、これらの包装材料は、高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。従って高度なガスバリア性が要求される場合には、アルミニウムなどの金属箔をガスバリア層として積層した包装材料を用いざるを得なかった。
アルミニウムなどの金属箔を積層した包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を有している。しかし、こうした包装材料では、それを透視して収容物を確認することができない、使用後に不燃物として廃棄処理しなければならない、収容物の検査に金属探知器が使用できない、などの多くの欠点を有していた。
これらの欠点を克服した包装材料として、特許文献1には、透明なプラスチックフィルムからなる基材層に、透明な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物の蒸着薄膜層をガスバリア層とし、その上に適宜のガスバリア性被膜層とを積層してなる積層フィルムが開示されている。
特開平7−164591号公報
しかし、特許文献1に記載された積層フィルムは、印刷、ラミネート、製袋などの、包装材料としての通常の加工を施したときに、酸素透過度や水蒸気透過度などのガスバリア性が劣化してしまうという欠点を有していた。そのため、本発明の目的は、食品、日用品、医薬品などの包装分野や電子機器関連部材などの分野において、包装材料としての通常の加工を施してもガスバリア性が劣化しない、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いることができる透明なガスバリア性積層フィルムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、透明プラスチックフィルム面上に、厚さ5nm以上200nm以下の無機酸化物蒸着薄膜層と、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を硬化してなる厚さ0.1μm以上20μm以下の被膜層が順次積層されてなり、
該被膜層を形成する該重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の硬化収縮率が0.2%以上10%以下であり、前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物が、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物であることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記被膜層が、前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物をフラッシュ蒸着法により前記無機酸化物蒸着薄膜層上に積層し、紫外線または電子線を照射することで硬化した被膜層であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項に記載の発明は、前記被膜層の表面がプラズマ処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルムである。

本発明によれば、食品、日用品、医薬品などの包装分野や、電子機器関連部材などの分野において、包装材料としての通常の加工を施してもガスバリア性が劣化せず、また包装材料を透視して収容物を確認することができ、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いることができる透明なガスバリア性積層フィルムを提供できる。また、本発明のガスバリア性積層フィルムは、被膜層を形成する際にフラッシュ蒸着法を用いた場合、透明蒸着装置内で基材層上にガスバリア層と被膜層とを連続して積層することにより効率的に作製できるので、生産コストを低減できる効果がある。
以下、本発明のガスバリア性積層フィルムを実施するための最良の形態を、図面に沿って説明する。図1は、本発明のガスバリア性積層フィルムの一例の断面図である。透明プラスチックフィルムからなる基材層1上に、酸化珪素蒸着薄膜、酸化アルミニウム蒸着薄膜、酸化マグネシウム蒸着薄膜などの無機酸化物蒸着薄膜層2と、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を硬化してなる被膜層3とが厚み方向に順次積層されている。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1は透明なプラスチックフィルムからなっている。透明なプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックフィルム、などが用いられる。
これらの透明なプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性などが優れたものが好ましい。特に、耐熱性や寸法安定性などの面から、二軸方向に延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、透明なプラスチックフィルムは、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等などの添加剤を含有してもよい。さらに、透明なプラスチックフィルムにおいて、他の層を積層する側の表面には、密着性をよくするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施してもよい。
これらの透明なプラスチックフィルムからなる基材層1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性や他の層を積層する場合の加工適性などを考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲、特に6〜30μmの範囲であることが好ましい。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、ガスバリア層としての機能を有する無機酸化物蒸着薄膜層2の形成方法は特に限定されるものではないが、基材層1の表面に、無機酸化物蒸着薄膜層2を真空中において、より速い速度で積層する場合には、現時点では真空蒸着法が最も優れている。とくに酸化珪素蒸着薄膜の場合に効果が高い。
現時点の真空蒸着法において、真空蒸着装置内での蒸発源材料の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式や誘導加熱方式などが好ましい。また基材層1との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法などを用いることも可能である。さらに、無機酸化物蒸着薄膜層2の透明性を上げるために、酸素ガスなど吹き込んで反応性蒸着を行ってもよい。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、無機酸化物蒸着薄膜層2は、透明であり、かつ酸素、水蒸気などの収容物を変質させる気体を遮断する優れたガスバリア性を有している。この無機酸化物蒸着薄膜層2の厚さは、5〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。ここで、膜厚が5nm未満であると、均一な蒸着薄膜層が得られないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない。一方、膜厚が200nmを越えると、無機酸化物蒸着薄膜層2にフレキシビリティを保持させることが難しく、折り曲げや引っ張りなどの外部応力が加わると、無機酸化物蒸着薄膜層2に亀裂を生じるおそれがある。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、被膜層3の形成方法は、無機酸化物蒸着薄膜層2の表面に重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を硬化させて形成することができ、後述するように上記被膜層3がガスバリア性を向上する機能を発現するためには、上記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を硬化させたときの収縮率が0.2%以上10%以下であればよく、ドライコーティング、ウェットコーティング、どちらでも構わず、特に限定されるものではない。ただし、フラッシュ蒸着法により重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を未硬化のフラッシュ蒸着被膜層として無機酸化物蒸着薄膜層2上に積層し、紫外線または電子線を照射して硬化することができ、真空蒸着装置内で真空中において、基材層1上に連続して、無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3とを積層することができ、効率的で生産コストの低減が可能であるため、現時点では上記フラッシュ蒸着法を用いることが望ましい。
未硬化のフラッシュ蒸着被膜層は、真空蒸着装置内において、高温の蒸発源の中に挿入したノズルなどから、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を滴下して気化させ(フラッシュ蒸着)、無機酸化物蒸着薄膜層2上に連続して積層することができる。
未硬化のフラッシュ蒸着被膜層に紫外線を照射して硬化させる場合には、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物に光重合開始剤を混合する。具体的な光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体などを挙げることができる。これらの光重合開始剤を0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%の割合で混合される。
未硬化のフラッシュ蒸着被膜層に電子線を照射して硬化させる場合には、フラッシュ蒸着被膜層の膜厚と、電子線のエネルギー条件、加工速度、除電とのバランスが重要になる。これは、過度の電子線エネルギーを供給すると、フラッシュ蒸着被膜層に帯電を引き起こし、その結果として、剥離放電によって無機酸化物蒸着薄膜層2のガスバリア性が損なわれるおそれがあるためである。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおける被膜層3の役割は、優れたガスバリア性を有する無機酸化物蒸着薄膜層2に対して、印刷、ラミネート、製袋などの通常の加工を施した場合の保護機能、および折り曲げや引っ張りなどの外部応力が加わった場合の保護機能、さらには、被膜層3形成時の硬化収縮による内部応力により無機酸化物蒸着薄膜層2を引き締めることで発現するガスバリア性向上機能である。上記被膜層3を形成する重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の硬化収縮率は0.2%以上10%以下であることが好ましく、5%以上10%以下であることがさらに好ましい。硬化収縮率が0.2%未満であると被膜層3形成時の硬化収縮による内部応力が僅かに生じるだけで、無機酸化物蒸着薄膜層2を十分に引き締めることができないため、上記ガスバリア性向上機能が期待できない。また、硬化収縮率が10%を超えると被膜層3形成時の硬化収縮による内部応力が過度に働き、無機酸化物蒸着薄膜層2との密着性が低下する可能性が高くなる。被膜層3の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。膜厚が0.1μm未満であると、被膜層3形成時の硬化収縮による内部応力が僅かに生じるだけで、ガスバリア層を十分に引き締めることができないため、上記ガスバリア性向上機能が期待できず、また、均一な被膜層を形成することも難しく、十分な保護機能が発揮できない。また、膜厚が20μmを超えると被膜層3形成時の硬化収縮による内部応力が過度に働き、無機酸化物蒸着薄膜層2との密着性が低下する可能性が高くなる。
なお、本発明でいう硬化収縮率は、下式により硬化前後の密度の変化(%)を計算することによって設定された値である。
硬化収縮率={(硬化後の密度−硬化前の密度)/硬化後の密度}×100
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、被膜層3の原材料である、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物は、モノアクリレート、ジアクリレートのうちの少なくとも1つを含有し、上記モノアクリレートと上記ジアクリレートを合わせた含有率が、混合物中、50重量%以上であることが好ましい。すなわち、3官能以上のアクリロイル基を有するアクリレートを合わせた含有率が50重量%以上であると、被膜層3形成時の硬化収縮率を10%以下に抑えることが難しく、硬化収縮による内部応力が過度に働き、無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3との密着性が低下する可能性が高くなるためである。但し、3官能以上のアクリロイル基を有するアクリレートは架橋度を向上させる効果があるため、強固な被膜層を形成する際には少量使用することが好ましく、例えばトリアクリレートを混合する場合であれば10重量%程度が望ましい。
これらのアクリレートとしては、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリアセタールアクリレート、ポリブタジエン系アクリレート、メラミンアクリレートなどの重合性が高いアクリル系のモノマーまたはオリゴマーを、適宜選定して用いることができる。
モノアクリレート、ジアクリレートおよびトリアクリレートには様々な種類があり、特に限定されないが、ガスバリア層との密着性が良好であって、効率良く未硬化のフラッシュ蒸着被膜層が形成でき、さらに衛生性に優れたものを選択することが好ましい。具体的には、モノアクリレートとしては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレートなどが挙げられる。ジアクリレートとしては、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどが挙げられる。トリアクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。これらの比率は、たとえば、モノアクリレート/ジアクリレート/トリアクリレート=50〜100/0〜50/0〜20(重量%。ただし合計は100重量%)に設定することが望ましく、最適には60/30/10(重量%)である。
重合可能なアクリル系のモノマーまたはこのモノマーとオリゴマーとの混合物の粘度は、200mPa・s/25℃以下、より好ましくは100mPa・s/25℃以下であることが望ましい。これは、真空蒸着装置内で、高温の蒸発源の中に挿入したノズルなどから、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を滴下して、瞬間的に気化させて、無機酸化物蒸着薄膜層2の表面に未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を連続して積層する際に、その粘度が高すぎると、高温の蒸発源の中に挿入したノズルなどから少量ずつ一定速度で滴下させることが困難になるためである。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品、医薬品などの包装分野および電子機器関連部材などの分野において包装材料として用いられるため、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物は、そのPII(Primary Irritation Index)が2.0以下であることが望ましい。なお、PIIとは、化学品の皮膚障害の度合を示すものであって、値が小さいほど刺激性が低い。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいては、被膜層3の表面をプラズマ処理することが望ましい。これは、食品、日用品、医薬品などの包装分野において、包装材料として用いられる際に、被膜層3の原材料として使用した重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の未硬化成分を除去して、その硬化度を向上して、食品衛生上などの問題に対処するためである。また、ガスバリア性積層フィルムの被膜層3に、他のフィルム層や印刷層などを積層する際に、被膜層3と他のフィルム層や印刷層などとの密着性を向上させるためである。
この被膜層3をプラズマ処理する際に、DC電源またはRF電源を用いて、プラズマを連続的に安定して発生させ、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の未硬化成分を効率よく除去するためには、水素、酸素、窒素、二酸化炭素などの通常のガスと、ヘリウム、アルゴンなどの少なくとも1種類の不活性ガスとを含むプラズマ処理用の混合ガスを使用することが望ましい。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、基材層1上に、少なくとも無機酸化物蒸着薄膜層2と、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を硬化してなる被膜層3とを順次積層したものであればよく、さらに複雑な積層構造をとっていてもよい。たとえば、基材層1の両側の表面に、無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3とをそれぞれ順次積層してもよい。また、無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3との積層体の上に無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3との積層体を二重に積層してもよい。さらに、被膜層3の表面に印刷層を積層してもよい。この場合、従来から用いられている通常の印刷インキを用い、周知の印刷方式や塗布方式などによって、厚さ0.1〜2.0μmの印刷層を特に制約なく積層することができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムを他のフィルムと積層して、食品、日用品、医薬品などの包装分野や電子機器関連部材などの分野において、包装材料として用いることもできる。たとえば、本発明のガスバリア性積層フィルムを最外層として使用し、その内面(被膜層3)側に、接着剤を介して中間フィルム層やヒートシール層などを積層した構成にしてもよい。また、本発明のガスバリア性積層フィルムを中間層として使用し、その外面(基材層1)側に接着剤を介して外側フィルム層などを積層し、その内面(被膜層3)側に接着剤を介してヒートシール層などを積層した構成にしてもよい。
上記の中間フィルム層または外側フィルム層としては透明なフィルム層が用いられる。こうした透明なフィルム層としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアクリルニトリル系フィルム、ポリイミド系フィルムなどが挙げられる。上記のヒートシール層としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、およびこれらの金属架橋物、などの合成樹脂が用いられる。中間フィルム層、外側フィルム層、ヒートシール層の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。上記の接着剤としては、1液硬化型または2液硬化型のポリウレタン系接着剤などが用いられる。接着剤を介してこれらの層を積層するには、ドライラミネート法などが用いることができる。また、ヒートシール層の他の積層方法として、ヒートシール層の合成樹脂を、熱溶融押出する方法(エクストルージョンラミ)を用いることもできる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
以下の実施例1、2、3においては、図1に示したように、基材層1上に、無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3とを順次積層したガスバリア性積層フィルムを作製した。
<実施例1>
基材層1として厚さ12μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、真空蒸着装置内に設置した。電子線加熱方式で酸化珪素を蒸発させて、基材層1上に厚さ20nmの酸化珪素蒸着薄膜からなる無機酸化物蒸着薄膜層2を積層した。次に、大気圧下において、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物(硬化収縮率:6.3%)をメチルエチルケトンにて希釈したアクリル固形分50重量%の希釈混合液を基材層1上に塗布し、70℃乾燥にてメチルエチルケトンを十分に蒸発させた後、電子線を照射して硬化させ、厚さ0.5μmの被膜層3を形成した。こうして実施例1のガスバリア性積層フィルムを作成した。
<実施例2>
基材層1として厚さ12μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、真空蒸着装置内に設置した。電子線加熱方式で酸化珪素を蒸発させて、基材層1上に厚さ20nmの酸化珪素蒸着薄膜からなる無機酸化物蒸着薄膜層2を積層した。連続して、フラッシュ蒸着法により、無機酸化物蒸着薄膜層2上に2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物(硬化収縮率:6.3%)からなる、厚さ0.5μmの未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を積層した。フラッシュ蒸着被膜層に電子線を照射して硬化させ、被膜層3を形成した。こうして実施例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例2と同様にして、基材層1上に酸化珪素蒸着薄膜からなる無機酸化物蒸着薄膜層2と被膜層3とを順次積層した後、DC電源を用い窒素とアルゴンとの1/1混合ガスをプラズマ化して、被膜層3の表面をプラズマ処理した。こうして実施例3のガスバリア性積層フィルムを作製した。
<比較例1>
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1上に酸化珪素蒸着薄膜からなる無機酸化物蒸着薄膜層2のみを積層し、被膜層3は積層しなかった。こうして比較例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
<比較例2>
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物(硬化収縮率:6.3%)の代わりに、トリプロピレングリコールジアクリレート(硬化収縮率:11.5%)を用いた。その他の条件は実施例1と同様であった。こうして比較例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
<比較例3>
実施例2のガスバリア性積層フィルムにおいて、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物(硬化収縮率:6.3%)の代わりに、トリプロピレングリコールジアクリレート(硬化収縮率:11.5%)を用いた。その他の条件は実施例2と同様であった。こうして比較例3のガスバリア性積層フィルムを作製した。
以下、上記のようにして作製した実施例1、2、3および比較例1、2、3のそれぞれの単体フィルムのガスバリア性積層フィルムを単体フィルムという。
次に、実施例1、2、3および比較例2、3のそれぞれの単体フィルムの被膜層3の表面および比較例1の単体フィルムの無機酸化物蒸着薄膜層2の表面に、厚さ1.2μmの印刷層を積層した。以下、これらを印刷フィルムという。
次に、実施例1、2、3および比較例1、2、3のそれぞれの印刷フィルムの印刷層の表面に、5g/mのポリウレタン系接着剤を介して厚さ50μmのポリプロピレンのヒートシール層を積層した。以下、これらを積層フィルムという。
<比較評価>
1.酸素透過度
実施例1、2、3および比較例1、2、3の単体フィルム、印刷フィルムおよび積層フィルムについて、モダンコントロール社製の酸素透過度計(MOCON OX-TRAN 2/21)により、30℃−70%RH雰囲気下での酸素透過度(cc/m・24h・MPa)を測定した。
2.水蒸気透過度
実施例1、2、3および比較例1、2、3の単体フィルムについて、モダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN-W 3/31)により、40℃−90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m・24h)を測定した。
3.ラミネート強度
実施例1、2、3および比較例1、2、3の積層フィルムから15mm幅にスリットした試験片について、通常のテンシロン型万能試験機により、ラミネート強度(N/15mm)を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
[表1]

Figure 0004941022
表1からわかるように、実施例1、実施例2および実施例3のガスバリア性積層フィルム(単体フィルム、印刷フィルムおよび積層フィルム)は、低い酸素透過度および水蒸気透過度と、高いラミネート強度を兼ね備えている。特に、実施例3の積層フィルムはラミネート強度が高かった。
一方、被膜層が積層されていない比較例1のガスバリア性積層フィルム(単体フィルム、印刷フィルムおよび積層フィルム)は、実施例1、実施例2および実施例3のガスバリア性積層フィルムと比較して、酸素透過度、水蒸気透過度が高くガスバリア性に劣っていた。特に、印刷フィルムおよび積層フィルムでは酸素透過度がかなり高く、ガスバリア性が著しく劣っていた。
また、被膜層の原材料としてトリプロピレングリコールジアクリレート(硬化収縮率:11.5%)を用いた比較例2、比較例3のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2および実施例3のガスバリア性積層フィルムと比較して、積層フィルムのラミネート強度が著しく劣っていた。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、は、食品、日用品、医薬品などの包装分野、および電子機器関連部材などの分野において、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いられる。
本発明のガスバリア性積層フィルムの一例の断面図である。
符号の説明
1…基材層
2…無機酸化物蒸着薄膜層
3…被膜層

Claims (3)

  1. 透明プラスチックフィルム面上に、厚さ5nm以上200nm以下の無機酸化物蒸着薄膜層と、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物を硬化してなる厚さ0.1μm以上20μm以下の被膜層が順次積層されてなり、
    該被膜層を形成する該重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の硬化収縮率が0.2%以上10%以下であり、前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物が、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 前記被膜層が、前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物をフラッシュ蒸着法により前記無機酸化物蒸着薄膜層上に積層し、紫外線または電子線を照射することで硬化した被膜層であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記被膜層の表面がプラズマ処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
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