JPH11235804A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JPH11235804A
JPH11235804A JP10040631A JP4063198A JPH11235804A JP H11235804 A JPH11235804 A JP H11235804A JP 10040631 A JP10040631 A JP 10040631A JP 4063198 A JP4063198 A JP 4063198A JP H11235804 A JPH11235804 A JP H11235804A
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JP
Japan
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layer
sheet
decorative sheet
adhesive layer
resin
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JP10040631A
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English (en)
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Satomi Sadasue
さとみ 貞末
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】建築用化粧材等に使用される化粧シートにおい
て、化粧シート表面または裏面上への静電気の帯電が低
減され、ゴミやホコリの付着が抑制された化粧シートを
提供する。 【解決手段】基材シート21上に印刷層22が形成さ
れ、その上層に、導電性接着剤からなり表面抵抗が10
10Ω以下である接着剤層23を介して、ポリオレフィン
系樹脂等からなる表面シート24が接着されており、最
表層に、主に二液硬化型アクリルウレタン樹脂からなる
保護層25が形成された化粧シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内装材等の建材、
家具・家電製品等や車両内装材等の表面化粧に用いられ
る化粧シートにおいて、化粧シートの表面または裏面上
への静電気の帯電が低減され、ゴミやホコリの付着が抑
制された化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧シートの主材としては、塩化
ビニル系樹脂が広く用いられてきた。塩化ビニル樹脂
は、可塑剤や着色剤との親和性が高く、いろいろな性質
の製品をつくることができ、また、塩化ビニル樹脂は、
着色剤を混和させることにより樹脂を自由に着色できる
他、樹脂表面にエンボス加工等の装飾処理を行うことも
可能であり、さらに原料も安価であることからシート等
の軟質製品等に多用されてきた。
【0003】しかしながら、塩化ビニル樹脂は一般に耐
熱性が弱く、150℃程度の高温にすると熱分解して塩
化水素を放出する性質を有する。特に、軟質塩化ビニル
樹脂は熱分解しやすく、焼却時に有毒な塩化水素等の塩
素化物ガスが発生する。また、塩化ビニル樹脂は高温で
熱分解することから、樹脂廃材のリサイクルも難しい。
上記の理由等から、主材を塩化ビニル樹脂からオレフィ
ン系樹脂に代替させた化粧シートが用いられるようにな
ってきた。
【0004】しかし、上記の従来のオレフィン系樹脂を
主材とする化粧シートは、従来の塩化ビニル樹脂を主材
とする化粧シートに比較して、ゴミやホコリが付着しや
すく、静電気による人体へのショック、印刷インキの転
移不良、帯電による化粧シートの巻き取りの阻害等の問
題があった。
【0005】これらは、オレフィン系樹脂フィルムは塩
化ビニル樹脂等の他の樹脂に比較して導電性が低いこと
に起因すると考えられている。例えば、従来の化粧シー
トに用いられている軟質塩化ビニル樹脂の体積固有抵抗
は1011〜1013Ω・cmであるのに対し、ポリエチレ
ン樹脂やポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂では
1016〜1019Ω・cmと、導電性が低い。したがっ
て、導電性の低いオレフィン系樹脂を主材とする化粧シ
ートにおいては、帯電防止を図る効果的な方法が求めら
れている。
【0006】従来、かかる合成樹脂の帯電を防止する方
法としては、高分子の構造を帯電しにくくする方法、2
種の極性の異なる樹脂を組み合わせて用いる方法、表面
に界面活性剤を塗布して空気中の湿気を吸着させ、また
はイオン性界面活性剤を塗布して、イオン伝導により表
面に蓄積された電荷を放電させる方法等が知られてい
る。
【0007】化粧シートにおいては、従来、化粧シート
表面または裏面に、導電性材料(金属やカーボン)を含
有する帯電防止層を形成することにより、静電気の帯電
防止が試みられてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の方法にしたがって化粧シートの表面または裏面に
帯電防止層を形成した場合、化粧シートの多数回の巻き
取りや接触等により、帯電防止層の磨耗が避けられな
い。また、導電フィラーとして金属材料が混入されてい
る場合は、導電フィラーの自然酸化が生じ易く、帯電防
止能が低下するという問題もある。
【0009】さらに、オレフィン系樹脂フィルムを接着
するには、溶剤型ウレタン系接着剤等が用いられること
が多いが、静電気が帯電する問題に関しては、加湿装置
を設置することにより静電気を除去していた。このた
め、加湿装置等の設備投資も必要である。
【0010】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたも
のであり、化粧シートの表面または裏面上への静電気の
帯電が低減され、ゴミやホコリの付着が抑制された化粧
シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明の化粧シートは、基材シート上に、接着剤層を
介して、該接着剤層上層に主にオレフィン系樹脂からな
る表面シート層を有する化粧シートにおいて、前記接着
剤層は、導電性を有することを特徴とする。本発明の化
粧シートは、好適には、前記接着剤層の表面抵抗値は、
1010Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0012】これにより、化粧シート表面への帯電が防
止され、ゴミやホコリの吸着を抑制できる。また、接着
剤層を形成する樹脂に導電性をもたせることにより、化
粧シート製造時の層間接着工程において、加湿装置等に
よる静電気の除去が不要となる。さらに、導電性を有す
る層が表面に露出しないため、化粧シートの多数回の巻
き取りや接触等によっても、帯電防止層の磨耗を防ぐこ
とができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の化粧シートにつ
いて詳細に説明する。本発明の化粧シートを構成する基
材シートには、主にオレフィン系樹脂が用いられる。オ
レフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密
度または高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロ
ピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマー
オレフィン系樹脂、あるいは各種のオレフィン系熱可塑
性エラストマーを挙げることができる。
【0014】オレフィン系熱可塑性エラストマーとして
は、例えば下記のものが使用できる。 (1)特公平6−23278号公報記載の(A)ソフト
セグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以
上であり、かつ、重量平均分子量Mwと数平均分子量M
nとの比がMw/Mn≦7であり、沸騰ヘプタンに可溶
であるアタクチックポリプロピレン10〜90重量%
と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデック
スが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイ
ソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合
物からなる軟質ポリプロピレン。
【0015】特に、加熱・加圧により各種形状に成形し
たり、エンボス加工等の表面装飾を施したりする場合、
アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプ
ロピレンとの混合物からなり、かつアタクチックポリプ
ロピレンの重量比が10〜50重量%のものが好適であ
る。
【0016】包装容器等の用途に用いられるポリプロピ
レン系のオレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、
強度が重視されるため、ソフトセグメントとなるアタク
チックポリプロピレンの重量比は5重量%未満とされる
ことが多い。しかしながら、本発明のようにオレフィン
系樹脂が化粧シートに使用される場合には、柔軟性・加
工性が必要とされるため、アタクチックポリプロピレン
の重量比を10重量%以上、好適には20重量%以上と
する。
【0017】一方、アタクチックポリプロピレンの重量
比が過剰となると、シート自体が変形し易くなり、シー
トを印刷機に通したときにシートが変形して絵柄が歪ん
だり、多色刷りの場合に印刷見当(レジスタ)が合わな
くなる等の問題が発生する。また、シート成形時にも破
れ易くなるため、好ましくない。
【0018】アタクチックポリプロピレンの重量比の上
限については、輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機
を用いて絵柄層を印刷し、シートのエンボス加工、真空
成形等を行う場合は、50重量%以下、好適には40重
量%以下とする。
【0019】(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体からなる熱可塑性エラストマーであって、ブテンと
して1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3種の構
造異性体の1種以上を含有するもの。共重合体はランダ
ム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
【0020】上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合
体の好ましい具体例としては次の(A)〜(C)が挙げ
られる。 (A)特開平9−111055号公報記載のエチレン−
プロピレン−ブテン3元共重合体によるランダム共重合
体であって、好適には、単量体成分の重量比がプロピレ
ン90重量%以上であり、メルトフローレートは230
℃、23.16kgにおいて1〜50g/10分のも
の。上記のような3元ランダム共重合体100重量部に
対して、リン酸アリールエステル化合物を主成分とする
透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22
の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を熔融混練し
てなるもの。
【0021】(B)特開平5−77371号公報記載
の、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体であっ
て、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重
合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを8
0〜0重量%添加してなるもの。
【0022】(C)特開平7−316358号公報記載
のもの。エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体で
あって、プロピレンおよび/または1−ブテン含有量が
50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に
対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポ
リオレフィン80〜0重量%混合した組成物100重量
部に対して、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシル
アミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加し
てなるもの。
【0023】上記のエチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂は、単独で用いても、上記(A)〜(C)の樹
脂に、必要に応じて、さらに他のオレフィン系樹脂を混
合させて用いてもよい。
【0024】上記のオレフィン系樹脂には、透明造核剤
として上記のリン酸アリールエステル化合物の他に、タ
ルクや安息香酸アルミニウムが添加されてもよい。ま
た、特に高い透明性が要求される場合には、ソルビトー
ル系の透明造核剤が添加されてもよい。
【0025】さらに、透明造核剤の樹脂中での分散性を
向上させるため、有機カルボン酸アルカリ金属塩、β−
ジケトナートアルカリ金属塩およびβ−ケト酢酸エステ
ルアルカリ金属塩の中から選ばれた少なくとも1種の分
散剤が添加されてもよい。
【0026】ポリエステル樹脂を用いて基材シートを形
成する場合、使用される熱可塑性ポリエステル樹脂は、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合
体等に代表され、酸成分としてテレフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
およびアルコール成分としてエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール
等の脂肪族ジオールとの両者のエステルとして得られる
共重合体である。熱可塑性ポリエステル樹脂シートの厚
さは、10〜100μm程度である。
【0027】基材シート層には、紫外線吸収剤または光
安定剤のいずれか一方または両方を添加することができ
る。添加量は紫外線吸収剤、光安定剤ともに通常、0.
1〜10重量%程度であり、一般には紫外線吸収剤と光
安定剤とを併用するのが好ましい。
【0028】紫外線吸収剤として、本発明では分子中に
水酸基を有する有機系化合物を好ましく使用することが
できる。例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
特に、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミ
ル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチ
ル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−
5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0029】また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤とし
ては、特に、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ
メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラ
ヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、および2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノンが挙
げられる。
【0030】その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアク
リロイル基またはメタクリロイル基を導入した紫外線吸
収剤や、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化
セリウム、酸化チタン等の無機物等を用いることもでき
る。
【0031】基材シート層の厚さは、化粧シート成形品
の強度等を考慮して、通常、50〜200μmとする。
化粧シートの柔軟性や加工性の点から、好適には50〜
150μmとする。
【0032】基材シートとして用いられる樹脂フィルム
の片面または両面には、フィルムのラミネート性(易接
着性)や接着剤塗布性を向上させるための表面処理が施
されていてもよい。表面処理の方法としてはコロナ放電
処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理等
が挙げられ、本発明においては、いずれの方法も用いる
ことができる。
【0033】これらの方法のうち、連続処理が可能であ
り、フィルムの製造過程の巻き取り工程前に容易に実施
可能であることから、プラズマ処理、火炎処理およびコ
ロナ放電処理が好ましく、簡便さの点からコロナ放電処
理が特に好ましい。
【0034】基材シート上層には、化粧シートの装飾性
を向上させるため、装飾処理が施されていてもよい。装
飾処理の方法としては、例えば、顔料添加により基材シ
ートを着色する方法、前記基材シート上に絵柄等の模様
印刷をインキや塗料等により施して印刷層を形成する方
法、熱プレスによりエンボス加工を行う方法等がある。
【0035】印刷層は、あらかじめ顔料または染料で着
色されたオレフィン系樹脂フィルムからなる基材シート
上に直接形成してもよい。あるいは、基材シート上に二
液硬化型ポリウレタン樹脂からなるプライマー層を形成
し、その上層に印刷層を形成することもできる。
【0036】基材シートの表面に、エンボス加工により
凹凸形状からなる模様を形成する場合は、熱プレス方式
の枚葉または輪転式エンボス機を用い、加熱軟化された
樹脂シート表面にエンボス版を押圧して凹凸模様を賦形
する。エンボス加工により形成される凹凸模様の形状と
しては、木目導管溝、木目木肌、石板表面状、布目、梨
地、砂目、線状等、またはそれらを組み合わせたものが
挙げられる。
【0037】基材シート上に形成された模様の凹部に
は、必要に応じて公知のワイピング法により着色インキ
を充填することもできる。この着色インキとしては、ウ
レタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等、通常
のバインダー樹脂に、顔料または染料を添加したものを
用いる。
【0038】また、印刷層を二層構造とし、下層をベタ
印刷層(下地隠蔽印刷層)とし、上層を絵柄印刷層とす
ることもできる。模様等の印刷は、グラビア印刷、オフ
セット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの
転写印刷等、公知の印刷法により行うことができる。
【0039】印刷層の形成または基材シートの着色に用
いる顔料または染料としては、チタン白、亜鉛華、コバ
ルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔
料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリド
ン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、
アニリンブラック等の有機染料、二酸化チタン被覆雲母
等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等がある。
【0040】本発明の化粧シートは、印刷層と、その上
層に形成される表面シートとを接着する接着剤層を有す
る。該接着剤層は、スプレーコート、ロールコート、カ
ーテンフローコート等、公知の塗布法によって形成さ
れ、以下のような3つの型に分類される。
【0041】第1の型は、導電性材料からなる導電フィ
ラーが接着剤中に含有されたものである。導電フィラー
としては、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、
銀、銅等の金属や、カーボン等が用いられる。また、導
電性の金属酸化物、導電性顔料等の導電性材料を含有さ
せ、導電フィラーとすることもできる。
【0042】導電フィラーを基材シートに密着させ、さ
らに導電フィラー粒子を鎖状に連結して塗膜に導電性を
もたせるためのバインダー成分としては、常温硬化型
(一液または二液)または熱硬化型(一液または二液)
樹脂が用いられる。例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド
樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂等
の合成樹脂が挙げられる。
【0043】エポキシ樹脂としては、例えば、フェノー
ルノボラック形エポキシ樹脂、クレゾールノボラック形
エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。ポ
リイミド樹脂としては、例えば、ピロメリットイミド
形、ベンゾフェノン形、マレイミド形、ナジイミド形の
ポリイミド、ピロメリット酸形、トリメリット酸形のポ
リアミドイミド、ポリエステルイミド等が挙げられる。
【0044】導電性接着剤層には、導電フィラーの分散
性を向上させるような界面活性剤、耐磨耗性を向上させ
る滑剤等、例えば、ステアリン酸金属塩やステアリン酸
イソブチル等を添加剤として混入させてもよい。導電性
接着剤層は、0.1〜10μm程度の厚さで、体積固有
抵抗を1010Ω・cm以下、好適には108 Ω・cm程
度とする。
【0045】樹脂の導電性を高くするには、導電フィラ
ーが樹脂中に均一に分散しているだけでは不十分であ
り、さらに網目状構造(導電通路)を形成する必要があ
る。このため、導電フィラー形状の指標の一つであるア
スペクト比(長径/短径の比)も重要となる。アスペク
ト比の大きい導電フィラーほど、少ない添加量で導電性
を発現できる。
【0046】アスペクト比以外に、導電性に影響を与え
る因子としては、導電フィラーの比重、表面積や表面状
態等が挙げられる。その他にも、接着剤樹脂の導電性、
導電フィラーの添加量等が導電性に影響する。一般に、
導電フィラーの添加量が多く、粒子径および比重が小さ
い程、導電フィラーが互いに接触して網目状構造を作る
確率が高くなり、高い導電性を得られる。
【0047】第2の型は、導電性接着剤のバインダー自
身が導電性を有するため、導電フィラーとしての無機材
料の添加が必要ないものである。このような化合物とし
ては、例えば、特開平7−90060号公報記載の、
3,4−ジアルコキシチオフェンを酸化重合して得られ
るポリチオフェン化合物があり、良好な接着性および帯
電防止能を有する。
【0048】上記の2つの型が、単層の接着剤層である
のに対して、第3の型は、導電性接着剤層上に非導電性
接着剤層が形成された複層構造のものである。導電性接
着剤層として、上の2つの型に示すような接着剤層を形
成し、その上層に通常の、例えば、熱硬化性樹脂または
熱可塑性樹脂のいずれかの感熱型接着剤を用いて、非導
電性接着剤層を形成する。
【0049】この場合、導電性接着剤層の代わりに、導
電性材料を層状に形成することも可能である。例えば、
導電フィラー材料として例示した金属性材料を、金属蒸
着またはスパッタリング法により成膜し、帯電防止層と
することもできる。
【0050】また、易接着剤層(プライマー層)として
導電性材料からなる層を導入してもよい。例えば、特開
平8−127755号公報に記載されているような、ポ
リエチレンイミンを含有し、静電誘導防止性を有する架
橋反応性高分子を、本発明の化粧シートの導電性プライ
マー層として層状に形成してもよい。上記のような架橋
反応性高分子としては、側鎖にカルボキシル基および4
級アンモニウム塩基を有するビニル単量体とアクリル酸
エステル単量体との共重合高分子と、2〜4価の脂肪族
アルコールのポリグリシジルエーテルと、平均分子量2
00〜70000のポリエチレンイミンの混合組成物が
用いられる。
【0051】側鎖にカルボキシル基を有する単量体とし
ては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクロイル
オキシエチルコハク酸、フタル酸等が挙げられる。4級
アンモニウム塩基を有する単量体としては、例えば、ジ
メチルアミノエチルアクリレートまたはジメチルアミノ
エチルメタクリレートの4級化物(対イオンとしてハラ
イド、サルフェート、スルフォネート、ナイトレート、
アルキルスルフォネート等のアニオンを含む)が挙げら
れる。
【0052】脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテ
ルは、架橋硬化剤として用いられ、例えば、グリセリン
ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエ
ーテル等が挙げられる。上記の架橋反応性高分子に混合
して用いられるポリエチレンイミンは、主に直鎖状のも
のとするが、一部、分枝したものを用いてもよい。
【0053】上記のような組成からなる導電性プライマ
ー層の膜厚は、0.2〜12μm程度とし、被着体とな
る基材シートおよび上層に形成される接着剤層の組成に
合わせて、適宜決定する。上記の導電性プライマー層を
形成する場合は、その上層に例えば、ウレタン系ドライ
ラミネート用接着剤を2〜10μm程度塗布して、非導
電性接着剤層を形成する。接着剤層として、上記の3つ
の型のうちのいずれかを用いることにより、接着剤層の
体積固有抵抗を1010Ω・cm以下とすることができ
る。
【0054】接着剤層の上層に、オレフィン系樹脂を主
材とする表面シートを形成する。表面シートに用いられ
るオレフィン系樹脂は、好ましくは、前述の基材シート
に用いられるオレフィン系樹脂と同様の組成とするが、
表面シートには、通常、透明シートが用いられる。
【0055】表面シートの表面には、エンボス加工によ
り凹凸形状からなる模様を形成することもできる。エン
ボス加工には、熱プレス方式の枚葉または輪転式エンボ
ス機を用い、加熱軟化された樹脂シート表面にエンボス
版を押圧して凹凸模様を賦形する。エンボス加工により
形成される凹凸模様の形状としては、木目導管溝、木目
木肌、石板表面状、布目、梨地、砂目、線状等、または
それらを組み合わせたものが挙げられる。
【0056】表面シート上に形成された模様の凹部に
は、必要に応じて公知のワイピング法により着色インキ
を充填することもできる。この着色インキとしては、ウ
レタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等、通常
のバインダーに顔料または染料を添加したものを用い
る。
【0057】また、本発明の化粧シートは、好適には、
前記表面シートの上層に、保護層を有する。前記保護層
は、好適には、イソシアネート基を有する化合物を含有
する樹脂からなり、前記オレフィン系樹脂層は水酸基を
有する有機系紫外線吸収剤を含有する。
【0058】表面シート上層の最表層に形成される保護
層は、化粧シート表面の耐擦傷性を向上させるために設
けられ、膜厚は、通常、1〜10μm程度とする。保護
層に用いられる樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、
フッ素樹脂、珪素樹脂、紫外線又は電子線で硬化する多
官能アクリレート等があるが、好ましいものとして、例
えば、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤
(硬化剤)とする二液硬化型ポリウレタン樹脂が挙げら
れる。
【0059】オレフィン系樹脂を主材とする化粧シート
においては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる
層を含有すると、層間の接着性および耐光密着性が低下
する傾向がある。そのため、保護層の主材として塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体を用いず、例えば、ポリオー
ルを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とす
る二液硬化型ポリウレタン樹脂を用いることにより、上
記のような層間接着性の低下を防ぐことができる。
【0060】ポリオールとしては、分子中に2個以上の
水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、
ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポ
リカーボネートポリオール等が用いられる。
【0061】また、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネー
トが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシア
ネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネー
ト、あるいはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ
ート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の
脂肪族イソシアネート等が用いられる。あるいはまた、
上記各種イソシアネートの付加体、または多量体を用い
ることもできる。例えば、トリレンジイソシアネートの
3量体等がある。
【0062】2液硬化型ウレタン系樹脂の場合、より好
ましくは、イソシアネートのもつイソシアネート基の数
(mol数)を、それと反応すべきポリオールのもつ水
酸基の数(mol数)より過剰とし、ウレタン結合を生
じた後でも、余剰のイソシアネート基を確実に、且つ、
より多量に残留させるようにするとよい。その場合、イ
ソシアネート基の数/水酸基の数は、最大1.4程度で
ある。
【0063】分子末端にイソシアネート基を有するプレ
ポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的に
は、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル
結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等
である。適宜、これらの1種又は2種以上の骨格構造を
採用する。なお、分子鎖中にウレタン結合がある場合
は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反応
して、アロファネート結合を生じて、このアロファネー
ト結合によっても架橋反応を起こす。
【0064】前記保護層には、化粧シートの耐光性向上
を目的として、紫外線吸収剤を含有させることができ
る。紫外線吸収剤としては、前記基材シートまたは表面
シートに含有させることができるものと同様のものを使
用することができる。特に、紫外線吸収剤として、分子
中に水酸基を有する有機系の化合物を使用する場合、保
護層はイソシアネート基を有する樹脂を使用して形成す
るのが好ましい。
【0065】このような組み合わせにしておくと、紫外
線吸収剤がブリード(溶出)して保護層に入ったとき
に、その紫外線吸収剤の水酸基と保護層中のイソシアネ
ート基とが反応してウレタン結合を形成し、保護層中に
捕捉される。したがって、紫外線吸収剤の経時的なブリ
ードが防止される。上記のようなブリード防止方法は、
特に、有機系の紫外線吸収剤がブリードし易いオレフィ
ン系樹脂の場合に有効である。
【0066】本発明の化粧シートの層構成について、図
面を参照して下記に説明する。本発明の化粧シートは、
図1〜図3に示すように、基材シート上に印刷層が形成
され、その上層に接着剤層を有し、さらにその上層に、
主にオレフィン系樹脂からなる表面シートが形成されて
いる。表面シートは、通常、透明なシートが用いられる
が、半透明もしくは不透明であってもよい。
【0067】上記の基本的なシート構成には、種々の変
更を加えることができる。例えば、図1は、接着剤層を
導電性接着剤層からなる単層構造とした場合の断面図で
ある。図2も、接着剤層を導電性接着剤層からなる単層
構造とした場合であるが、図1の構成の表面シート上層
に、さらに保護層が形成された化粧シートの断面図であ
る。図3および図4は、接着剤層が導電性接着剤層と非
導電性接着剤層の2層からなる複層構造となっており、
表面シート上層に保護層が形成された化粧シートの断面
図である。
【0068】本発明の化粧シートは、各種の被着体に積
層させて使用することもできる。被着体が最終製品であ
り、その表面化粧のために化粧シートを積層する場合、
あるいは、必要に応じて化粧シートの力学的強度を補強
したり、隠蔽性を付与する場合に、被着体に化粧シート
裏面を積層する。
【0069】化粧シート自体の接着性により、熱融着等
で被着体に化粧シートを積層させることが可能な場合
は、化粧シート裏面に接着剤層を設けなくともよい。ま
た、化粧シート自体では被着体と接着しない場合は、適
当な接着剤を用いて化粧シートを積層させる。
【0070】被着体材料のうち、各種素材の平板、曲面
板等の板材、立体的形状物品、シート(あるいはフィル
ム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、
木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MD
F)等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、ポリカー
ボネート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ンビニルアセテート共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ
スチレン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、AB
S樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロ
ース系樹脂、ゴム等の樹脂等がある。
【0071】被着体材料のうち、もっぱら板材、あるい
は立体形状物品として用いられる素材としては、ガラ
ス、陶磁器等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンク
リート)等のセメント、ケイ酸カルシウム、石膏等の非
セメント窯業系材料等がある。もっぱらシート(あるい
はフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、
和紙等の紙、あるいは炭素、石綿、チタン酸カリウム、
ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布等
がある。
【0072】これら各種被着体への積層方法としては、
例えば、(1)接着剤を介して板状基材に加圧ローラー
で加圧して積層する方法、(2)特公昭50−1913
2号公報、特公昭43−27488号公報等に記載され
るように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型に挿入し
て、両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充
填した後、冷却して、樹脂成形品の成形と同時に、その
表面に化粧シートを接着積層する、いわゆる射出成形同
時ラミネート方法、(3)特公昭56−45768号公
報、特公昭60−58014号公報等に記載されるよう
に、成形品の表面に、化粧シートを間に接着剤層を介し
て対向ないしは載置し、成形品からの真空吸引による圧
力差により、化粧シートを成形品表面に積層する、いわ
ゆる真空プレス積層方法、(4)特公昭61−5895
号公報、特公平3−2666号公報等に記載の、円柱、
多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接
着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラ
ーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シー
トを加圧接着して積層していく、いわゆるラッピング加
工方法、(5)実公大15−31122号公報、特開昭
48−47972号公報等に記載の、まず化粧シートを
板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の
化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材と
の界面に到達させ、断面がV字状、またはU字状の溝を
切削し、次いで、該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝
を折り曲げ箱体、または柱状体を成形する、いわゆるV
カットまたはUカット加工方法等がある。
【0073】また、本発明の化粧シートを凹凸立体物に
貼り合わせる方法としては、前記方法のうち、(4)ラ
ッピング加工法、(5)Vカット加工法、(2)射出成
形同時ラミネート法、(3)真空プレス積層法等が好ま
しい。
【0074】本発明の化粧シートは、各種被着体に積層
させ、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いるこ
とができる。用途としては、例えば、壁、天井、床等の
建築物の内装、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧、
家具または家電、OA機器のキャビネットの表面化粧、
自動車、電車等の車両内装、航空機内装、窓ガラスの化
粧等が挙げられる。
【0075】
【実施例】(実施例1)実施例1は、接着剤層が単一層
であり、導電性樹脂を接着剤として用いる化粧シートの
例である。図1に本実施例の化粧シートの断面図を示
す。本実施例の化粧シートは、基材シート11上層に印
刷層12が形成され、その上層に導電性接着剤層13を
介して表面シート14が積層され、最上層に保護層15
が形成された構造を有する。
【0076】基材シート11としては、チタン白、カー
ボンブラックおよび黄鉛により不透明な黄褐色の着色が
施された、膜厚100μmの高密度ポリエチレン系フィ
ルムを用いる。高密度ポリエチレン系フィルムとして
は、高密度ポリエチレン60重量部に対し、スチレンブ
タジエンゴム10重量部、および無機充填剤として炭酸
カルシウム10重量部が添加された組成のものを用い
る。
【0077】基材シート11上にグラビア印刷により木
目柄を印刷し、印刷層12を形成する。印刷層12上層
に、ポリチオフェン系導電性接着剤を、グラビア方式に
より2g/m2 (dry)で塗布し、導電性接着剤層1
3を形成する。さらに、導電性接着剤層13上に、アイ
ソタクチックポリプロピレンのハードセグメント80重
量部とアタクチックポリプロピレンのソフトセグメント
20重量部との混合物からなるオレフィン系熱可塑性樹
脂を、厚さ80μmで溶融押出しし、同時に木目導管形
状に表面加工されたエンボスロールにより表面にエンボ
ス加工を施して表面シート14を形成する。これによ
り、図1に示す本実施例の化粧シートが得られる。
【0078】(実施例2)実施例2は、接着剤層が単一
層の導電性接着剤層である化粧シートの例である。図2
に本実施例の化粧シートの断面図を示す。本実施例の化
粧シートは、基材シート21上層に印刷層22が形成さ
れ、その上層に導電性接着剤層23を介して表面シート
24が積層され、最上層に保護層25が形成された構造
を有する。
【0079】基材シート21としては、実施例1の化粧
シートの基材シート11と同様に着色された、膜厚10
0μmの高密度ポリエチレン系フィルムを用いる。高密
度ポリエチレン系フィルムには、実施例1の化粧シート
の基材シート11と同様に、無機充填剤(体質顔料)を
適宜添加する。基材シート21上にグラビア印刷により
木目柄を印刷し、印刷層22を形成する。印刷層22上
層に、アクリル系導電性接着剤を、グラビア方式により
2g/m2 (dry)で塗布し、導電性接着剤層23を
形成する。
【0080】導電性接着剤層23上にポリプロピレン樹
脂を厚さ80μmで溶融押出しし、導管形状に表面加工
した冷却ロールで冷却固化させ、表面シート24とす
る。表面シート24上にコロナ放電処理を施して、全面
に木目導管形状のエンボス加工を行う。その後、全面に
着色インキを塗布し、ただちに表面をドクターブレー
ド、ゴムロール等で掻き取って余分なインキを除去し、
賦形されたエンボス凹部にのみ着色インキを残して(ワ
イピング部26)、ワイピング処理を行う。さらに、ウ
レタン系樹脂を塗布することにより保護層25を形成す
る。これにより、図2に示す本実施例の化粧シートが得
られる。
【0081】(実施例3)本実施例の化粧シートは、非
導電性接着剤層および導電性接着剤層からなる、複層構
造となった接着剤層を有する化粧シートの例である。図
3に本実施例の化粧シートの断面図を示す。本実施例の
化粧シートは、基材シート31上層に印刷層32が形成
され、その上層に導電性接着剤層33および非導電性接
着剤層34の2層からなる接着剤層を介して表面シート
35が積層され、最表層に保護層36が形成された構造
を有する。
【0082】基材シート31としては、着色された膜厚
80μmのポリプロピレン系フィルムを用いる。基材シ
ート31上にウレタン系インクを用いてグラビア印刷を
行い、木目柄の印刷層32を形成する。
【0083】印刷層32の上層に、導電フィラーを含有
するアクリル系導電性接着剤を、グラビア方式により2
g/m2 (dry)で塗布し、導電性接着剤層33を形
成する。さらに、導電性接着剤層33上層にウレタン系
接着剤を、10g/m2 (dry)でグラビアリバース
方式により塗工して非導電性接着剤層34を形成する。
【0084】次に、非導電性接着剤層34上にポリプロ
ピレン樹脂を厚さ60μmで溶融押出しし、冷却ロール
で冷却固化させ、表面シート35とする。表面シート3
5を再加熱してエンボス加工を行い、木目導管形状を賦
形する。さらに、ウレタン系樹脂を塗布することによ
り、最表層に保護層36を形成する。
【0085】(実施例4)本実施例の化粧シートは、実
施例3と同様に、接着剤層が複層構造である化粧シート
の例であり、導電性接着剤層には、ポリチオフェン化合
物を用いる。図4に本実施例の化粧シートの断面図を示
す。本実施例の化粧シートは、基材シート41上層に印
刷層42が形成され、その上層に導電性接着剤層43お
よび非導電性接着剤層44の2層からなる接着剤層を介
して表面シート45が積層され、最表層に保護層46が
形成された構造を有する。
【0086】基材シート41としては、チタン白、カー
ボンブラックおよび黄鉛により不透明な黄褐色の着色が
施された、膜厚100μmの高密度ポリエチレン系フィ
ルムを用いる。高密度ポリエチレン系フィルムとして
は、高密度ポリエチレン60重量部に対し、スチレンブ
タジエンゴム10重量部、および無機充填剤として炭酸
カルシウム10重量部が添加された組成のものを用い
る。
【0087】基材シート41上にグラビア印刷により木
目柄を印刷し、印刷層42を形成する。印刷層42の上
層に、ポリチオフェン化合物からなる導電性接着剤層4
3を形成する。導電性接着剤層43となるフィルムの形
成方法(特開平7−90060号公報記載)を以下に示
す。
【0088】空気を水20mL中のポリスチレンスルホ
ン酸(分子量4,000)2.0g(1.1ミリモ
ル)、3,4−エチレンジオキシチオフェン0.5g
(3.5ミリモル)および硫酸鉄(III)0.05g
(0.2ミリモル)の溶液中に24時間にわたって室温
で導入する。これにより、淡青色の色調を有する組成物
が得られる。
【0089】上記のポリチオフェン化合物からなる組成
物をメタノールおよび水の混合物(1:1)で、0.8
重量%の固体含有量に希釈し、グラビア方式により印刷
層42上に塗布する。コーティングされたフィルムを7
0℃で乾燥させることにより、印刷層42が形成された
基材シート41上に、150mg/m2 (乾燥時)のフ
ィルムが形成される。上記のようなフィルム状の導電性
接着剤層は、相対湿度0%において表面抵抗が3×10
6 Ω・cm程度である。
【0090】次に、導電性接着剤層43上層にウレタン
系接着剤を、10g/m2 (dry)でグラビアリバー
ス方式により塗工して非導電性接着剤層44を形成す
る。続いて、非導電性接着剤層44上に、アイソタクチ
ックポリプロピレンのハードセグメント80重量部とア
タクチックポリプロピレンのソフトセグメント20重量
部との混合物からなるオレフィン系熱可塑性樹脂を、厚
さ80μmで溶融押出しし、同時に木目導管形状に表面
加工されたエンボスロールにより表面にエンボス加工を
施して表面シート45を形成する。さらに、ウレタン系
樹脂を塗布することにより、最表層に保護層46を形成
する。これにより、図4に示す本実施例の化粧シートが
得られる。
【0091】(比較例1)比較例1は、接着剤層が単一
層である実施例2の化粧シートにおいて、接着剤層の材
質を非導電性接着剤としたものである。したがって、比
較例1の化粧シートは、基材シート上層に印刷層が形成
され、その上層に非導電性接着剤層を介して表面シート
が積層され、最上層に保護層が形成された構造を有す
る。
【0092】(比較例2)比較例2は、実施例3の化粧
シートにおいて、複層からなる接着剤層の導電性接着剤
層をなくし、非導電性接着剤単層としたものである。し
たがって、比較例2の化粧シートは、基材シート上層に
印刷層が形成され、その上層に非導電性接着剤層を介し
て表面シートが積層され、最上層に保護層が形成された
構造を有する。
【0093】(灰付着性試験)実施例2、実施例3、比
較例1および比較例2の化粧シートについて、たばこの
灰付着性の試験を行った。化粧シート表面を乾いた面布
で10回摩擦した後、たばこの灰より10mmの距離に
近づけた結果、比較例1の化粧シートは、たばこの灰が
付着したが、実施例2の化粧シートは、たばこの灰が付
着しなかった。このように、接着剤層が単層の場合、導
電性接着剤を用いることにより、たばこの灰の付着性が
改善された。
【0094】同様の試験の結果、比較例2の化粧シート
は、たばこの灰が付着したが、実施例3の化粧シート
は、たばこの灰が付着しなかった。このように、非導電
性接着剤層単層の接着剤層を、導電性接着剤層と非導電
性接着剤層との複層構造とすることにより、たばこの灰
の付着性が改善された。
【0095】本発明の化粧シートは、上記の実施の形態
に限定されない。例えば、基材シートまたは表面シート
の主材を、オレフィン系樹脂からポリエステル樹脂また
はアクリル樹脂に変更できる。その他、本発明の要旨を
逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0096】
【発明の効果】本発明の化粧シートによれば、化粧シー
トの表面または裏面上への静電気の帯電が低減され、シ
ート上へのゴミやホコリの付着が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1に示した化粧シート
の断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2に示した化粧シート
の断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例3に示した化粧シート
の断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例4に示した化粧シート
の断面図である。
【符号の説明】
11、21、31、41…基材シート、12、22、3
2、42…印刷層、13、23、33、43…導電性接
着剤層、14、24、35、45…表面シート、25、
36、46…保護層、26…ワイピング部、34、44
…非導電性接着剤層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材シート上に、接着剤層を介して、該接
    着剤層上層に主にオレフィン系樹脂からなる表面シート
    層を有する化粧シートにおいて、 前記接着剤層は、導電性を有することを特徴とする、 化粧シート。
  2. 【請求項2】前記接着剤層の表面抵抗値は、1010Ω・
    cm以下である、 請求項1記載の化粧シート。
JP10040631A 1998-02-23 1998-02-23 化粧シート Pending JPH11235804A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20040095153A (ko) * 2003-05-06 2004-11-12 나오시 사이수 이동 난간용 인쇄 시일
JP2006201436A (ja) * 2005-01-20 2006-08-03 Nitto Denko Corp 偏光板、偏光板の製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
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