JP2009228286A - シャッタースラット - Google Patents

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Fumishiro Kumon
史城 公文
Kenji Sakado
健二 坂戸
Hirokazu Yano
矢野  宏和
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Abstract

【課題】耐傷つき性、耐候性に優れたシャッタースラットを提供する。
【解決手段】金属板50の上に塗膜60を有する塗装金属板を含むシャッタースラットであって、前記シャッタースラット表面のJIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRaが、1〜10μmであり、局部山頂の平均間隔Sが、55〜200μmである、シャッタースラット。
【選択図】図3

Description

本発明は、耐候性および耐傷つき性に優れたシャッタースラットに関する。
商店や住宅等に取り付けられているシャッターは、複数の短冊状の部材が、各長辺部に形成された連結部で可動できるように連結された構造となっている。この構造により、シャッターは収納部に配置された巻き軸により巻き上げられ、商店等の間口を開放できる。逆に、シャッターは前記巻き軸から巻き出すことにより間口を遮蔽できる。前記短冊状の部材をシャッタースラットという。
シャッタースラットは、シャッターの開閉に伴いスラットの内面(通常シャッターとして使用した際に、間口側になる面であり、裏面ともいう)と、外面(前記内面と反対の面であり、おもて面ともいう)とが擦れることがあり、これにより傷つくことがある。特にシャッタースラットの曲げ加工された部分は傷つきやすく、傷を回避することはなかなか容易ではなかった。さらに雨や風により、砂等の硬くて微細な粒状物がシャッタースラットに付着すると、シャッタースラットに形成された傷をより進行させることがあった。この傷は外観を低下させるだけでなく、耐食性を損なう原因になることもあった。
このようなシャッターの耐傷つき性を改善するために、ワックスを含むポリエステル系塗装鋼板からなるシャッタースラットが提案されている。しかし、未だ十分なレベルのものは存在しなかった。
また近年、住宅等の長寿命化の要求が高まり、シャッター等の外装用建材に対しても長期の耐候性が望まれるようになってきた。
ところで、塗膜表面に凹凸を形成することにより縮み模様を付与した金属板が知られている(特許文献1、2)。この鋼板は縮み塗装金属板とも呼ばれる。縮み塗装金属板は、低光沢等の特徴を有し、意匠性に優れることから、屋根材、家電製品等に好適であるとされる。
特許第3124072号公報 特開2002−001211号公報
前述のとおり、耐傷つき性および耐候性に優れたシャッタースラットが求められているものの、未だこれらを満足するものは存在しなかった。かかる事情に鑑み、本発明は、耐傷つき性および耐候性に優れたシャッタースラットを提供することを目的とする。
発明者らは鋭意検討した結果、砂等の粒状物がシャッターに付着した際に、この粒状物が摩耗剤のような役割を果たすため、シャッターの開閉時にシャッタースラットをより傷つけることを見出した。このため、発明者らはシャッタースラット表面に凹凸を設けて、粒状物を凹部にトラップしてシャッタースラットの耐傷つき性を向上することを着想した。さらに、発明者らは縮み塗装金属板は、耐候性を向上させられることも見出した。
以上から、発明者らは表面に特定の凹凸模様を有するシャッタースラットが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち上記課題は以下の本発明により解決される。
[1]金属板の上に塗膜を有する塗装金属板を含むシャッタースラットであって、
前記シャッタースラット表面のJIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRaは、1〜10μmであり、局部山頂の平均間隔Sは、55〜200μmである、シャッタースラット。
[2]前記Raは、4〜8μmであり、前記Sは、55〜120μmである、[1]に記載のシャッタースラット。
[3]前記塗膜は、水酸基含有有機樹脂とメラミン樹脂を主成分とし、2級または3級アミンでブロックしたスルホン酸アミンを含む、[1]または[2]に記載のシャッタースラット。
[4]前記塗膜は、乾燥塗膜中に骨材を1〜30質量%含む、[3]に記載のシャッタースラット。
[5](A)金属板の上に縮み塗料を塗装する工程と、
(B)前記工程で得た金属板を加工する工程を含む、[1]〜[4]いずれかに記載のシャッタースラットの製造方法。
本発明により、耐候性、耐傷つき性に優れたシャッタースラットが提供できる。
1.シャッタースラット
本発明のシャッタースラットは、金属板の上に塗膜を有する塗装金属板を含むシャッタースラットであって、前記シャッタースラット表面のJIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRa(以下単に「Ra」ともいう)は、1〜10μmであり、局部山頂の平均間隔S(以下単に「S」ともいう)は、55〜200μmであることを特徴とする。シャッタースラットが塗装金属板を含むとは、シャッタースラットの主要部分が塗装金属板からなり、シャッタースラットが必要に応じて他の部品を含んでいることを意味する。
Raとは、JIS B0601−1944で定義される値であり、対象物の表面からランダムに抜き取った各部分における、表面粗さを表すパラメータの1つである。具体的にRaは平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を平均した値である。本発明においては、Raは1〜10μmであるが、より好ましくは4〜8μmである。本発明において記号「〜」は、その両端の数値を含む。
Sとは、JIS B0601−1944で定義される値であり、対象物の表面からランダムに抜き取った各部分における、表面粗さを表すパラメータの1つである。具体的にSは、隣り合う局部山頂間の平均値である。本発明においては、Sは55〜200μmであるが、より好ましくは55〜120μmである。
RaとSの値(これらを合わせて「表面粗さ」ともいう)が前記範囲にあるシャッタースラットは、耐傷つき性に優れる。これは、雨や風等でシャッタースラットに付着した砂等の硬い粒状物が、シャッタースラット表面の凹部にトラップされやすいためと推察される。凹部に粒状物がトラップされると、粒状物はシャッターの開閉時に摩耗剤のようにふるまいにくくなる。そのため、本発明のシャッタースラットは、耐傷つき性に優れる。
一般に砂等の粒状物の粒径は0.3〜9μmであるため、本発明のシャッタースラットのRaは1〜10μmであり、Sは55〜200μmであることが必要である。特に、Raが4〜8μm、Sが55〜120μmであるシャッタースラットは、耐傷つき性に優れる。
また、表面粗さが前記範囲にあるシャッタースラットは、耐候性にも優れる。このメカニズムは明らかではないが、シャッタースラットの表面積が増えるため、シャッタースラットに紫外線等が照射された際に、塗膜の単位面積当たりに受ける光のエネルギーが減少するからではないかと推察される。ただし、メカニズムはこれに限定されない。
本発明のシャッタースラットは、1)通常塗装金属板に用いられる表面粗さ(以下「平坦な」ともいう)金属板の上に、表面粗さが前記範囲になるような塗膜を形成したもの(「塗膜凹凸タイプ」ともいう)であってもよく、2)表面粗さが前記範囲の金属板の上に、その金属板の表面粗さを損なわないように塗膜が形成されたもの(「金属板凹凸タイプ」ともいう)であってもよい。
通常塗装金属板に用いられる金属板のRaは0.1〜0.9μmである。
図1は、本発明のシャッタースラットの一態様を表す図である。図1中、10はシャッタースラット、11、12は他のシャッタースラットと結合するための結合部である。シャッタースラットは図2に示すように結合されてシャッターを形成し、巻き軸(図示せず)に巻き取られる。巻き軸とはシャッターを収納する際に、シャッターを巻き付ける軸である。図2中、20、30はシャッターであり、シャッター30の上にシャッター20が重なって巻き取られている。
図2に示すとおり、シャッターは巻き取られたり、再び展開されたりする際に、シャッタースラット同士が接触する。
図3は、前記1)塗膜凹凸タイプのシャッタースラットの一部の断面図である。図3において、50は金属板、60は塗膜、13は凹部、70は粒状物である。このシャッタースラット10は、平坦な金属板50の上に、表面(空気との界面)に凹凸が形成された塗膜60を有するため、表面に凹部13が形成されている。図3に示すように粒状物70が、凹部13にトラップされることにより、シャッタースラット10が、他のシャッタースラット(図2の20等)や、他の物体によって擦られたとしても、シャッタースラットには傷が付きにくくなる。
従来のシャッタースラットは、凹部13を有さなかったため、傷つきやすかった。このような凹凸を有する塗膜については後で詳しく述べる。
図4は、前記2)金属板凹凸タイプのシャッタースラットの一部の断面図である。図4の符号は図3と同様に定義される。図4においては、凹部13は、金属板に設けられた凹凸により形成される。図4に示すシャッタースラット10も、図3と同様に耐傷つき性に優れる。このような凹凸を有する金属板については後で詳しく述べる。
2.金属板
本発明には、公知の金属板を使用できる。本発明に用いられる金属板の例には、溶融Znめっき鋼板、溶融Zn−Al系合金めっき鋼板、溶融Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板、溶融Alめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板が含まれる。
本発明の金属板は、表面処理されていることが好ましい。具体的には、本発明の金属板は、アルカリ脱脂処理、湯洗処理や水洗処理等の前処理が施された後に、化成処理が施されていることが好ましい。化成処理は公知の方法で行ってよく、その例にはクロメート処理や非クロメート処理が含まれる。
塗膜凹凸タイプのシャッタースラットとする場合は、金属板の表面粗さは、前記範囲にある必要はなく、通常の塗装金属板の表面粗さのレベルであればよい。一方、金属板凹凸タイプのシャッタースラットとする場合は、金属板の表面粗さは前記範囲に調整される。金属板の表面粗さを調整する方法は公知の方法を用いてよい。例えば、金属板表面を研磨する、またはエンボス加工を施すなどして調整してよい。しかしながら、本発明のシャッタースラットとしては、作業性等の観点から、塗膜凹凸タイプであることが好ましい。
3.塗膜
本発明のシャッタースラットは、金属板の上に形成された塗膜を有する。塗膜とは、塗料を塗装して得た膜である。塗膜は金属板の片面に設けられていればよいが、両面に設けられていてもよい。
(1)塗膜凹凸タイプのシャッタースラットにおける塗膜
まず、塗膜凹凸タイプのシャッタースラットにおける塗膜(以下「縮み塗膜」ともいう)について説明する。
この塗膜は、いわゆる縮み塗料を塗装して得られる塗膜であってもよく、または一般の塗装金属板に用いられる塗料を塗布して形成し、その後でエンボス加工等の表面加工を施して、表面粗さを所期の範囲に調整した塗膜であってもよい。
縮み塗料とは、塗装により縮み模様、すなわちちりめん状の凹凸模様が形成された塗膜を与える塗料である。縮み塗料としては、公知のものを用いてよいが、本発明においては、水酸基含有有機樹脂とメラミン樹脂を主成分とし、2級または3級アミンでブロックしたスルホン酸アミンを含む塗料が好ましい。
水酸基含有有機樹脂としては公知の樹脂を用いてよいが、その具体例には、ポリエステル樹脂、シリコンポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が含まれる。中でも水酸基含有有機樹脂としては、酸価10〜80mgKOH/gの樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂が特に好ましい。ポリエステル樹脂の具体例には、一般に塗料用として使用される油変性ポリエステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂等が含まれる。メラミン樹脂の具体例には、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂等が含まれる。
水酸基含有有機樹脂とメラミン樹脂は、酸触媒の存在下で焼き付けると硬化反応を起こす。酸触媒の例には、ドデシルベンゼンスルホン酸やパラトルエンスルホン酸等の有機酸が含まれる。酸触媒として、これらの有機酸と2級アミンまたは3級アミンとを反応させてなる塩を使用すると、触媒活性が一時的に抑制される。しかし、塗装時の焼付け工程において塗膜表面からアミンが揮発するため、塗膜表層部の硬化が塗膜内部より先行して始まる。その後、塗膜内部が硬化・収縮するため、塗膜表層の先行硬化した膜にしわが発生し、縮み柄模様が発現する。
メラミン樹脂の配合量は、通常配合される量としてよいが、水酸基含有有機樹脂100質量部に対して、10〜40質量%とすることが好ましい。
有機酸と2級アミンまたは3級アミンとを反応させてなる塩の配合量も、通常配合される量としてよいが、水酸基含有有機樹脂100質量部に対して、1〜10質量%とすることが好ましい。
この塗膜の厚みは、2〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。このような凹凸を有する塗膜の厚みは、重量法で測定した際の平均厚みの値をいう。
縮み塗料は、上記したメカニズムにより、骨材を含んでいなくても塗膜に縮み模様を与える。このため、本発明の縮み塗膜は、骨材を含んでいなくてもよい。しかしながら、縮み塗料が骨材を含んでいると塗膜としたときの縮み模様の均一性が向上し、かつ塗膜の膜厚不足が抑制される。よって、本発明の縮み塗料は骨材を含むことが好ましい。骨材とは塗料に添加される充填剤であり、その例には、シリカ粉末、有機樹脂粒子、有機樹脂繊維、無機ガラス粒子、無機化合物繊維が含まれる。
中でも骨材としては鱗片状の骨材が好ましい。鱗片状とは、鱗状の細片状であることをいう。鱗片状の骨材の例にはガラスフレークが含まれる。ガラスフレークは公知の方法で金属被覆処理がなされていてもよい。ガラスフレークの平均粒径は10〜300μmであることが好ましい。このようなガラスフレークを含む塗膜は、縮み模様の均一性、耐傷つき性や塗装性のバランスに優れるからである。
本発明においては、ガラスフレークの平均厚さをt(μm)、縮み塗膜の平均膜厚をT(μm)とするとき、1≦t≦T/2を満足することが好ましい。tが1μmであると、塗装工程でガラスフレークに曲りや割れが発生し易いため、縮み柄模様の均一性や耐傷つき性が低下することがある。逆にtがT/2を超えると、ガラスフレークの角が最表層塗膜の表面から突出し、塗膜同士の擦れ合いにより耐摩耗性が低下し、フレークが脱落することもある。
ガラスフレークの平均粒径はレーザー回折法、平均厚さは単粒子膜法によって測定される。
ガラスフレークは、乾燥塗膜中に1〜30質量%含まれていることが好ましい。縮み模様の均一性、耐傷つき性や塗装性のバランスに優れるからである。乾燥塗膜とは、乾燥された塗膜であり、溶媒等の揮発成分を実質的に含まない膜をいう。
このように、鱗片状の骨材を含む塗膜は、鱗片状の骨材が塗膜に分散しており、鱗片状の骨材は、金属板の表面と平行または表面に対して傾斜した位置に存在する。
本発明の縮み塗膜は、骨材として有機樹脂粒子を含んでいてもよい。有機樹脂粒子を含む塗膜は、塗膜の耐衝撃性等を向上させる。有機樹脂粒子の例には、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂等からなるビーズが含まれる。本発明においては、マトリックス樹脂との濡れ性や、塗膜としたときの耐候性を考慮すると、アクリル樹脂やポリアクリロニトリル樹脂(PAN)のビーズが好ましい。
有機樹脂粒子は、その平均粒径R(μm)が、縮み塗膜の平均膜厚T(μm)に対して1≦R/T≦2の関係を満足することが好ましい。R/Tが1未満であると、塗膜の耐衝撃性の向上効果が十分でないことがある。逆に、R/Tが2を超えると、ビーズが塗膜から脱落し、塗膜欠陥を発生させることがある。有機樹脂粒子は、乾燥塗膜中に1〜30質量%含まれることが好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、塗膜の耐衝撃性の向上効果が十分でないことがある。逆に前記含有量が30質量%を超えると、塗料の粘度が上昇して塗装が困難となることがある。有機樹脂粒子の平均粒径は、レーザー回折法によって測定される。
本発明の縮み塗膜は、滑剤を含んでいてもよい。滑剤とは、一般に、樹脂に添加されて樹脂と金属との摩擦や付着を防止するために添加される添加剤をいう。本発明における滑剤の例には、フッ素樹脂粉末、ワックスやシリコーンオイルが含まれる。
中でも、本発明の滑剤としてはフッ素樹脂粉末が好ましい。フッ素樹脂粉末の例には、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等の粉末が含まれる。本発明においては潤滑性に優れるためPTFE粉末が好ましい。フッ素樹脂粉末は、その平均粒径r(μm)が縮み塗膜の平均膜厚T(μm)に対してr/T≦1の関係を満足することが好ましい。r/Tが1を超えると、塗膜の加工性、密着性が低下することがある。フッ素樹脂粉末は、乾燥塗膜に対して0.1〜10質量%の割合で含まれることが好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、潤滑効果が不十分であり、10質量%を超えると塗膜の加工性や密着性が低下することがある。
ワックスの例には、公知の天然ワックス、合成ワックスが含まれる。天然ワックスの例には、天然パラフィン、カルナバロウが含まれる。合成ワックスの例には、合成パラフィン、ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス、四フッ化エチレン等のフッ素樹脂系ワックス、高級脂肪酸等の脂肪酸系ワックス、脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸のアルコールエステル等のエステル系ワックス、ポリグリセロール等のアルコール系ワックス、金属石けんが含まれる。
シリコーンオイルの例には、フルオロシリコーン、アルキルシリコーンが含まれる。
ワックスやシリコーンオイルの添加量は、所期のレベルの塗膜の潤滑性を発現するように適宜選択される。
本発明の縮み塗膜は、発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。他の成分の例には、顔料等の着色剤や紫外線吸収剤等が含まれる。
また、前述のとおり、本発明の縮み塗膜は、一般に塗装金属板に用いられる通常の塗料を塗装して得た塗膜に、エンボス加工や研磨処理等の表面加工を施して、表面粗さを所期の範囲に調整した塗膜であってもよい。一般の塗装金属板に用いられる塗料の例には、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系、アクリル/フッ素樹脂混合系、ウレタン系等の塗料が含まれる。エンボス加工や研磨処理等は公知の方法により行ってよい。
しかしながら、作業性や凹凸模様の均一性等に優れるため、縮み塗膜は、縮み塗料を塗装してなる塗膜であることが好ましい。
本発明のシャッタースラットは、縮み塗膜の上に、さらに、縮み塗膜の凹凸をほとんど変化させることなく形成された第二の塗膜を有していてもよい。縮み塗膜は、第二の塗膜よりも内側に存在するので、このように形成されたシャッタースラットは、塗膜凹凸タイプの中でも特に「内層凹凸タイプ」と呼ばれることがある。
(2)金属板凹凸タイプのシャッタースラットにおける塗膜
金属板凹凸タイプのシャッタースラットにおける塗膜(以下「通常塗膜」ともいう)は、一般の塗装金属板に用いられる塗料を塗布して形成された塗膜であることが好ましい。
以上、2つのタイプのシャッタースラットにおける塗膜について説明したが、本発明のシャッタースラットは、前述のとおり塗膜凹凸タイプであることが好ましい。製造が容易であり、表面の凹凸が精密に調整されたシャッタースラットを得られるからである。よって、以下は、特に断りのない限り、塗膜凹凸タイプのシャッタースラットについて説明する。
4.下塗り塗膜
本発明のシャッタースラットは、前記塗膜と金属板の間には下塗り塗膜が形成されていてもよい。下塗り塗膜を有する場合、前記の縮み塗膜(「金属板凹凸タイプ」の場合は通常塗膜、「内層凹凸タイプ」の場合は、縮み塗膜と第二の塗膜)は、上塗り塗膜とも呼ばれる。下塗り塗膜には公知のものを用いてよい。その例には、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ・ウレタン樹脂系、フェノキシ樹脂系の塗料を塗装して得られる塗膜が含まれる。下塗り塗膜の膜厚は、1〜15μmであることが好ましく、3〜10μmがより好ましい。上塗り塗膜との密着性に優れるからである。
5.シャッタースラットの製造方法
本発明のシャッタースラットは、発明の効果を損なわない範囲で任意に製造できるが、以下、好ましい製造方法を説明する。
本発明のシャッタースラットは、(A)金属板の上に縮み塗料を塗装する工程と、(B)前記工程で得た金属板を加工する工程を経て製造されることが好ましい。
(A)工程
本工程では、金属板の上に縮み塗料を塗装する。金属板は既に述べたものを準備すればよい。金属板には必要に応じて化成処理や、下塗り塗装が施されていてもよい。
縮み塗料は、既に述べた成分を溶媒に分散または溶解させて得てよい。溶媒には、公知の有機溶媒や水を用いることができる。溶媒に各成分を分散または溶解させる手段も公知の手段を用いてよい。公知の手段の例には、三本ロールやビーズミルが含まれる。
金属板に縮み塗料を塗装する工程は、具体的には、塗料を塗布する工程(塗布工程)と当該塗膜を加熱して乾燥させる工程(焼付工程)を含むことが好ましい。塗料を金属板の両面に塗布する方法の例には、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、ナイフコートが含まれる。塗料の塗布量は所望の膜厚となるように調整される。
焼付工程は、公知の方法に準じて行ってよい。例えば、塗料が塗布された金属板を、到達板温度が150〜250℃となるように行うことが好ましい。
(B)工程
本工程では、前記工程で得た金属板を加工してシャッタースラットを得る。加工は公知の方法に準じて行えばよい。例えば、塗装金属板に切断加工、曲げ加工等を施すことによりシャッタースラットを製造してよい。
[実施例1]
板厚0.5mm、片面当りめっき付着量120g/mの溶融Zn−5%A1合金めっき鋼板を塗装原板として準備した。この塗装原板を酸洗し、Ni系表面調整剤(NPC500:日本ペイント株式会社製)で表面調整した後、塗布型クロメート(NRC300NS:日本ペイント株式会社製)処理を施して乾燥した。次に、クロム酸系防錆顔料を配合したポリエステル樹脂系下塗り塗料を塗布し、焼付けることにより乾燥塗膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。
100質量部のポリエステル樹脂(分子量約3000)と、30質量部のメチル化メラミンと、3質量部のスルホン酸の2級または3級アミン塩(ジーNブチルアミン/ドデシルベンゼンスルホン酸=10/1(モル比)中和物、特許第3124072号の実施例1参照)を含む塗装金属板用熱硬化型塗料を準備した。この塗料に骨材として、アクリル樹脂ビーズを5質量部加え、塗料1を得た。
下塗り塗膜が形成された塗装原板に、塗料1を塗布し、到達板温度230℃で50秒焼付けることにより縮み塗膜を形成した。縮み塗膜の膜厚は、重量法により25μmと測定された。
得られた塗装鋼板は、以下のように評価された。
1)表面粗さ(Ra、S)
JIS B0601−1944に準じて、算術表面粗さRaと局部山頂の平均間隔Sを測定した。
2)耐傷つき性
図5に示すように、塗装鋼板90を塗膜面が上になるように台の上に置き、関東ローム層粉末(JIS Z8901 試験用粉体I−11種)を振りかけた。さらにその上に1/2インチデュポン押し出し試験具80を配置した。押し出し試験具には1kgfの荷重81がかけられた。この状態において、鋼板を図の矢印方向に、30mmのストローク、100往復/分で、10000回動かし、動かした回数と鋼板の表面の状態の関係を求めた。
鋼板表面の状態は目視により観察し、以下の基準で鋼板の耐傷つき性を評価した。
表層に傷あり:◎
上塗り塗膜の中層に傷が至るが下塗り塗膜には達しない傷あり:○
鋼板の素地が露出:×
これらの結果を表1に示す。
[実施例2]
骨材を含まない以外は実施例1と同様にして塗料2を得た。この塗料2を用いて、実施例1と同様にして塗装鋼板を準備し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
通常の塗装金属板用塗料である、ポリエステル系塗料(ニッペスーパーコート250HQ フルグロス)を準備した。この比較用塗料を用いて、実施例1と同様にして、塗装鋼板を準備し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2009228286
実施例と比較例から、本発明のシャッタースラットは耐傷つき性に優れることが明らかである。
本発明シャッタースラットは、耐候性、耐傷つき性に優れるため、商店や住宅等のシャッターとして有用である。
本発明のシャッタースラットの一例を示す断面図 シャッターが巻き取られた状態を表す断面図 塗膜凹凸タイプのシャッタースラットの一部の断面図 金属板凹凸タイプのシャッタースラットの一部の断面図 塗装鋼板の耐傷つき性試験を示す図
符号の説明
10 シャッタースラット
11 結合部
12 結合部
13 凹部
20 シャッター
30 シャッター
50 金属板
60 塗膜
70 粒状物
80 1/2インチデュポン押し出し試験具
81 荷重
90 塗装鋼板

Claims (5)

  1. 金属板の上に塗膜を有する塗装金属板を含むシャッタースラットであって、
    前記シャッタースラット表面のJIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRaは、1〜10μmであり、局部山頂の平均間隔Sは、55〜200μmである、シャッタースラット。
  2. 前記Raは、4〜8μmであり、前記Sは、55〜120μmである、請求項1記載のシャッタースラット。
  3. 前記塗膜は、水酸基含有有機樹脂とメラミン樹脂を主成分とし、2級または3級アミンでブロックしたスルホン酸アミンを含む、請求項1記載のシャッタースラット。
  4. 前記塗膜は、乾燥塗膜中に骨材を1〜30質量%含む、請求項3記載のシャッタースラット。
  5. (A)金属板の上に縮み塗料を塗装する工程と、
    (B)前記工程で得た金属板を加工する工程を含む、請求項1記載のシャッタースラットの製造方法。
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