JP2021079623A - 塗装鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】縮み模様層において、低粗度でありながら低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができ、この縮み模様層により意匠が良好になりやすく、更に優れた耐候性を有する塗装鋼板を提供する。【解決手段】縮み模様層5が鋼板2の上にある塗装鋼板1である。縮み模様層5は、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、前記水酸基含有ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂との反応を触媒する酸触媒と、を含有する縮み塗料からなる。縮み模様層5の表面粗さRzは、12μm以上70μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、塗装鋼板に関し、詳細には縮み模様層を有する塗装鋼板に関する。
従来、鋼板の上に縮み模様層がある塗装鋼板が提供されている。
例えば、特許文献1には、鋼板上に形成された縮み模様塗膜(縮み模様層)の表面粗度が十点平均粗さ(Rz)で7.5〜11.5μmである塗装鋼板が開示されている。
また、特許文献2には、縮み柄を形成する塗膜の中にガラスフレークを分散させることによって大柄の縮み柄塗膜を形成する技術が開示されている。
特開2006−51652号公報 特開2002−1211号公報
特許文献1によれば、滑雪性は表面を平滑にするほど向上するが、意匠性が低下すると説明しており、特定の粗度の範囲であれば、滑雪性を保ちつつ光沢を下げることができるとしている。
また、特許文献2の縮み柄塗膜は大柄であるため、この縮み柄塗膜の表面を低粗度にすることは困難である。
本発明の目的は、縮み模様層において、低粗度でありながら低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができ、この縮み模様層により意匠が良好になりやすく、更に優れた耐候性を有する塗装鋼板を提供することである。
本発明に係る塗装鋼板は、縮み模様層が鋼板の上にある塗装鋼板であって、前記縮み模様層は、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、前記水酸基含有ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂との反応を触媒する酸触媒と、を含有する縮み塗料からなり、前記縮み模様層の表面粗さRzは、12μm以上70μm以下である。
本発明によれば、縮み模様層において、低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができ、この縮み模様層により塗装鋼板の意匠が良好になりやすく、更に優れた耐候性を有する。
図1は、一実施形態に係る塗装鋼板の一例を示す断面図である。
本発明に係る一実施形態を、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る塗装鋼板1は、鋼板2と、縮み模様層5とを備える(図1参照)。縮み模様層5は、鋼板2の上にあり、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、酸触媒と、アミン化合物を含有する縮み塗料からなる縮み塗料を硬化することによって形成される。酸触媒は、縮み塗料が硬化する際に、水酸基含有ポリエステル樹脂とアミノ樹脂との反応を促進する。一方、アミノ化合物は、酸触媒の作用を抑制する。そのため、鋼板上の塗料が熱風炉で硬化する際、塗料表層のアミン化合物が揮発して表層の酸触媒への抑制作用が減少する結果、まず、表層のみ硬化が始まる。表層の硬化層は体積収縮を伴い、微細な亀裂を生成しながら硬化が進行する。その結果、凹凸のある縮み模様層5が形成される。縮み模様層5の表面粗さRzは、12μm以上70μm以下である。
このような塗装鋼板1によれば、縮み模様層5において表面を特定の粗さRzにすることで、縮み模様層5は、低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができる。そして、この縮み模様層5により塗装鋼板1の意匠性を高くすることができる。また、縮み模様層5が鋼板2の上にあることで、鋼板2の第1面21は縮み模様層5により覆われるため、鋼板2は雨風に曝されにくくなる。また、本発明の縮み模様層5は、優れた耐候性を有する。このため、塗装鋼板1は優れた耐候性と高い意匠性を両立させることができる。
以下、塗装鋼板1を、詳細に説明する。
塗装鋼板1は、図1のように、鋼板2と、前処理層3と、下塗り層4と、縮み模様層5とを備える。そして、鋼板2の表面に、前処理層3と、下塗り層4と、縮み模様層5とが、この順で積層されている。
鋼板2は、縮み模様層5による縮み模様を除く塗装鋼板1の外形状を規定し、鋼を主要成分とした板状の部材である。鋼板2は、厚みを有すると共に、第1面21と、第2面22とを有する。第1面21は、鋼板2の厚み方向に沿って、第2面22とは反対側にある。
本実施形態において、鋼板2は、好ましくは、めっき鋼板である。めっき鋼板は、めっき層を有する。めっき層は、めっき鋼板の表層となるものであり、アルミニウム、及び亜鉛等を含有する。
めっき層は、アルミニウム、及び亜鉛以外の構成元素として、例えば、マグネシウム、ケイ素、ストロンチウム、鉄、クロム、アルカリ土類元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素、チタン、及びホウ素等を含有してもよい。アルカリ土類元素としては、例えば、ベリリウム、カルシウム、バリウム、及びラジウムが挙げられる。ランタノイド元素としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウムなどを用いることができる。
前処理層3は、下塗り層4を形成する前に、化成処理により鋼板2の表面に形成される皮膜である。
前処理層3を形成する際、化成処理剤が用いられる。化成処理剤として、例えば、クロメート処理剤、及び3価クロム酸処理剤等のクロムを含有する処理剤;リン酸亜鉛処理剤、リン酸鉄処理剤等のリン酸系の処理剤;コバルト、ニッケル、タングステン、及びジルコニウム等の金属酸化物を単独であるいは複合して含有する酸化物処理剤;腐食を防止するインヒビター成分を含有する処理剤;バインダー成分(有機、無機、有機−無機複合など)とインヒビター成分を複合した処理剤;インヒビター成分と金属酸化物とを複合した処理剤;バインダー成分と、シリカやチタニア、及びジルコニア等のゾルとを複合した処理剤が挙げられる。また、化成処理剤はクロム化合物を含有しなくてもよい。クロム化合物を含有しないとは、意図的にクロム化合物を含有させないことを意味し、不可避的不純物としてクロム化合物を含有していてもよい。
下塗り層4は、鋼板2と縮み模様層5とが並ぶ方向を上下方向とした場合に縮み模様層5の下にある層であって、下塗り塗料からなる塗膜の硬化物である。塗装鋼板1が下塗り層4を備えることで、下塗り層4は縮み模様層5と強く密着して縮み模様層5を経時的に脱落させにくくできる。
下塗り塗料は、樹脂成分と、防錆顔料と、溶剤とを含有する。下塗り塗料は、ポリ塩化ビニルのような熱可塑性樹脂系塗料ではなく、加熱されることにより硬化する塗料(焼付け架橋型塗料)であることが好ましい。
樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂系塗料、尿素樹脂系塗料、架橋剤を含有するポリエステル樹脂系塗料、ポリ塩化ビニル系樹脂、及び水性ポリマーなどが挙げられる。樹脂成分は、中でも、後述する、ポリアミンとポリイソシアネートとの反応生成物からなる尿素樹脂、メラミン樹脂で架橋されているポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂で架橋されているポリエステル樹脂、メラミン樹脂及びイソシアネート樹脂で架橋しているポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び水性ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含有することが好ましい。
尿素樹脂系塗料は、ブロックイソシアネートとポリアミンとを含有することが好ましい。尿素樹脂系塗料は下塗り層4の厚膜化を容易にさせ、この塗料によって、ワキ(気泡)を発生させることなく厚みの大きい下塗り層4を形成することができる。尿素樹脂系塗料がブロックイソシアネートを含有すると、尿素樹脂系塗料の一液化が可能となる。
尿素樹脂系塗料は、加熱されると、ブロックイソシアネートからブロック剤が解離してイソシアネート基(−NCO)が再生する。このイソシアネート基と、ポリアミン中のアミノ基(−NH)とが反応して尿素結合(−NHCONH−)を形成することにより重合する。
ブロックイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック剤と反応させてブロックすることで得られる化合物である。
ポリイソシアネートは、1分子中に複数のイソシアネートを含有する化合物である。このようなポリイソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが挙げられる。中でも、ポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネートを含有することが好ましい。この場合、尿素樹脂系塗料の性能を向上させると共に尿素樹脂系塗料のコストを低減することができる。ポリイソシアネートは単量体ではなく、プレポリマー、アダクト(トリメチロールプロパン等の付加体)、イソシアヌレート体、及びビウレット体といった誘導体であってもよい。また、2種以上のポリイソシアネートまたはその誘導体を組み合わせて使用してもよい。
ポリイソシアネートに対するブロック剤は、ブロックイソシアネートから解離する温度(解離温度)が、150℃以上となる化合物を含有することが好ましい。中でも、ブロック剤は、解離温度が170℃であるε−カプロラクタムを含有することが好ましい。また、解離温度の上限は、特に限定されないが、例えば、200℃以下、具体的には180℃以下であってもよい。解離温度が200℃以下であると、下塗り層4を形成する際のエネルギー(例えば、焼き付け温度、及び焼き付け時間)を低減できる。なお、解離温度が150℃より低いブロック剤として、例えば、解離温度120℃のクレゾール、解離温度140℃のメチルエチルケトンオキシム等が挙げられる。
ブロックイソシアネートを得るにあたって、任意の方法により、ポリイソシアネートとブロック剤とを反応させることができる。例えば、溶媒中のポリイソシアネートと、化学量論量又はそれよりもやや過剰量のブロック剤とを加熱下で反応させることで、ブロックイソシアネートを得ることができる。
ブロックイソシアネートの数平均分子量が1000〜4000の範囲内であることが好ましい。本実施形態では、市販品から適切なブロックイソシアネートを選択して使用することもできる。
ポリアミンは、1分子中に複数のアミノ基を含有する化合物である。このようなポリアミンとして、例えば、脂肪族(脂環式を含む)系ポリアミン、芳香族系ポリアミン等が挙げられる。ポリアミンは、中でも、脂環式ポリアミンを含有することが好ましい。脂環式ポリアミンとしては、例えば、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、ジアミノシクロヘキサン類、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等が挙げられる。脂環式ポリアミンは、中でも、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを含有することが好ましい。ポリアミンは、上記に記載された群から選択される1種または2種以上の化合物を含有できる。
尿素樹脂系塗料において、ブロックイソシアネートとポリアミンとの割合は、イソシアネート基/アミノ基のモル比が、好ましくは0.6〜2.0の範囲内、より好ましくは0.8〜1.2の範囲内である。
ポリエステル樹脂系塗料は、例えば、メラミン樹脂で架橋されているポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂で架橋されているポリエステル樹脂、並びにメラミン樹脂及びイソシアネート樹脂で架橋しているポリエステル樹脂の群から選択される少なくとも1種のポリエステル樹脂を含有できる。メラミン樹脂は、メラミン化合物を由来とする残基を含有する樹脂からなる架橋剤である。メラミン化合物として、例えばメチル化メラミン、及びブチル化メラミン等が挙げられる。イソシアネート樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と由来とする残基を含有する樹脂からなる架橋剤である。
本実施形態では、エポキシ樹脂系塗料として、塗装鋼板に適した任意のエポキシ樹脂系塗料を利用できる。
水性ポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂系樹脂、ウレタン樹脂系樹脂、ポリエステル樹脂系樹脂等が挙げられる。水性ポリマーは、水性ポリマー塗料として利用可能である。アクリル樹脂を含有する水性ポリマー塗料としては、三井化学株式会社製の商品名アルマテックス等が挙げられる。ウレタン樹脂を含有する水性ポリマー塗料としては、第一工業製薬株式会社製の商品名スーパーフレックス等が挙げられる。ポリエステル樹脂を含有する水性ポリマー塗料としては、東洋紡株式会社製の商品名ハードレン等が挙げられる。
下塗り塗料が、樹脂成分として、尿素樹脂系塗料以外の塗料を含有する場合、一度の塗装でワキを発生させずに形成できる塗膜の厚みは20μm程度であり、尿素樹脂系塗料の場合と比べて塗膜の厚みが薄くなりやすい。この場合、本実施形態では、必要に応じて、下塗り塗料の塗装を2回以上行い、下塗り層4の厚みを調整できる。
下塗り塗料は、上記の通り、防錆顔料を含有する。防錆顔料は、下塗り層4に色を付与し、鋼板2に錆を生成させにくくする成分である。防錆顔料は、例えば、クロメート系防錆顔料、又はクロメートフリー系防錆顔料を含有する。
クロメート系防錆顔料は、クロメート化合物を含有する。クロメート化合物として、例えば、ストロンチウムクロメート、ジンククロメート、カルシウムクロメート、カリウムクロメート、及びバリウムクロメート等が挙げられる。
クロメートフリー系防錆顔料は、クロメート化合物を含有しない防錆顔料である。クロメートフリー系防錆顔料としては、例えば、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸塩を含有するリン酸系防錆顔料;モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、及びモリブデン酸バリウム等のモリブデン酸塩を含有するモリブデン酸系防錆顔料;並びに水分散性シリカ、及びフュームドシリカ等の微粒シリカが挙げられる。本明細書において、「クロメート化合物を含有しない」は、意図的にクロメート化合物を含有させないことを意味し、不可避的不純物としてクロメート化合物を含有していてもよい。
また、下塗り塗料は、上記の通り、溶剤を含有する。溶剤としては、例えば、水;トルエン、及びキシレン等の炭化水素系;酢酸エチル、及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤;セロソルブ類等のエチル系溶剤;並びにメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤が挙げられる。
下塗り塗料は、任意の添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、例えば、防錆顔料以外の顔料、消泡剤、顔料分散剤、タレ防止剤、レベリング剤、及びシランカップリング剤、及びポリイソシアネートとポリアミドとの反応に対する触媒(例、有機スズ化合物)が挙げられる。防錆顔料以外の顔料として、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、及びチタニアが挙げられる。
下塗り塗料を塗布する際、ロールコート、カーテンフローコート、及びスプレー塗装等の適宜の塗布方法が採用され得る。中でも、塗布方法として、ロールコートを採用することが好ましい。
下塗り塗料の塗布量は、鋼板2が有する第1面21の面積が1m当たり、7g以上10g以下であることが好ましい。下塗り塗料の塗布量が7g/m以上であると、下塗り層4により、塗装鋼板1の耐候性を向上させることができる。下塗り塗料の塗布量が10g/m以下であると、下塗り層4を形成する際のエネルギー(例えば、焼き付け温度、及び焼き付け時間)を低減できる。
塗装鋼板1は、上記の通り、縮み模様層5を備える。縮み模様層5は、塗装鋼板1に縮み模様を付与する層であって、縮み塗料からなる塗膜の硬化物である。縮み模様は、この塗膜が硬化する際に、塗膜が、鋼板2の上で、かつ第1面21に沿って縮むことで形成される。
縮み模様層5は、表面に縮み模様からなる凹凸構造を有する。この凹凸構造は、凸部と、凹部とを有する。
凸部は、縮み模様層5と鋼板2とが並ぶ方向において、縮み模様層5の、鋼板2とは反対側に向かって凸となる部分である。凸部は、縮み塗料からなる塗膜が縮んで硬化する際に生じる微細な亀裂が形成される。縮み塗料が熱風炉で乾燥焼付する際、まず、表層のアミノ化合物が揮発することで、酸触媒が活性化し、水酸基含有ポリエステル樹脂とアミノ樹脂との反応が促進されて塗膜を形成する。その際に塗膜は体積収縮することによって微細な亀裂を形成し、亀裂部位に絶えずバルクの塗料が供給されながら塗膜が形成される結果、凸部を形成し、それ以外は凹部となる。
凹部は、縮み模様層5の表面において凸部と隣り合っており、凸部よりも低い部分である。
縮み模様層5は厚みを有する。縮み模様層5の厚み方向は、縮み模様層5と鋼板2とが並ぶ方向と平行である。縮み模様層5の厚みは、好ましくは、15μm以上30μm以下である。この場合、縮み模様層5は、塗装鋼板1の耐候性と、耐薬品性とを高めやすくなる。縮み模様層5の厚みは、例えば、縮み模様層5と鋼板2とが並ぶ方向に沿う塗装鋼板1の断面のうち、縮み模様層5の凹凸構造に沿う曲線の中央を通る直線と、縮み模様層5の底面に沿う直線との間の距離で示される。
縮み模様層5は、凹凸構造を形成しており、通常、その構造を表す物性値として2次元粗さ計による計測値(表面粗さRz)を用いる。この表面粗さRzは、12μm以上70μm以下である。表面粗さRzがこの範囲内であることで、縮み模様層5は、低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができ、この縮み模様層5により塗装鋼板1の意匠を高めることができる。しかも、鋼板2の第1面21は耐候性に優れる縮み模様層5により覆われるため、優れた意匠性を有しかつ耐候性の良好は塗装鋼板を得ることができる。表面粗さRzは、より好ましくは、12μm以上40μm以下である。
表面粗さRzを示すものとして、例えば、2次元系の表面粗さと、3次元系の表面粗さとが挙げられる。
表面粗さRzは、JIS B 0601:2001、またはJIS B 0651:2001に準拠して2次元粗さ計で計測することができる。縮み模様層5と鋼板2とが並ぶ方向に沿う塗装鋼板1の断面のうち、縮み模様層5の凹凸構造に沿う曲線を前記JIS規格に準拠した2次元粗さ計によって測定する。表面粗さRzは、12μm以上70μm以下であることが好ましい。この場合、縮み模様層5は、低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができ、この縮み模様層5により塗装鋼板1の意匠性を高めることができる。
また、縮み塗料の硬化時に後述のアミン化合物が揮発するため、縮み模様層5はこのアミン化合物を含有していなくてもよい。本明細書では、「縮み模様層5はアミン化合物を含有しない」とは、縮み模様層5中のアミン化合物の含有量が0重量%である態様だけでなく、縮み模様層5がアミン化合物を僅か含有している態様も含む。
縮み塗料は、硬化時に縮み塗料が塗布された表面に沿って縮む性質を有し、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、アミン化合物と、酸触媒と、を含有する。縮み塗料は、加熱下で硬化する塗料(焼付け硬化塗料)であることが好ましい。
また、縮み塗料は、好ましくは、シリカ粒子を含有しない。縮み塗料がシリカ粒子を含有しない場合、シリカ粒子は腐食や劣化因子である水分を取り込みやすいが、シリカ粒子を含有しないことで樹脂劣化を加速する要因がなくなるため、塗装鋼板1の耐候性をより高くすることができる。また、縮み塗料がシリカ粒子を含有しなくても、後述の骨材を含有することで、縮み模様層5の表面を低光沢にしやすくできる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、縮み塗料の硬化時に、アミノ樹脂と反応する官能基として水酸基を含有する樹脂である。具体的には、水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基は、アミノ樹脂が有する後述のメトキシ基と反応する。このような水酸基含有ポリエステル樹脂として、例えば、油変性ポリエステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、及びシリコン変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。水酸基含有ポリエステル樹脂は、上記の群から選択される少なくとも1つの樹脂を含有できる。
油変性ポリエステル樹脂としては、例えば、DIC株式会社製の「ベッコライトM−6601−60−S」が挙げられる。
オイルフリーポリエステル樹脂としては、例えば、DIC株式会社製の「ベッコライト−M6602−60−S」「ベッコライト46−118」、三井化学株式会社製の「アルマテックスP−646」等が挙げられる。
また、水酸基含有ポリエステル樹脂は、上記例示の樹脂以外で、かつ無変性の樹脂であってもよい。このような水酸基含有ポリエステル樹脂は、縮み塗料の硬化時に、アミノ樹脂と反応できれば、通常の塗料に配合される樹脂であってもよい。
水酸基含有ポリエステル樹脂の量は、縮み塗料の固形分に対して、30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
アミノ樹脂は、縮み塗料の硬化時に、水酸基含有ポリエステル樹脂と反応する樹脂であって、メトキシ基を含有する。このメトキシ基は、上記の通り、水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基と反応する。アミノ樹脂は、水酸基含有ポリエステル樹脂と反応することで、架橋構造を形成する役割と、ちぢみ模様を縮み模様層5に付与する役割を担っている。このようなアミノ樹脂は、具体的にはヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂である。ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂は、メチル化メラミン樹脂中の6個のメチロール基をアルコキシ化した樹脂である。また、メチル化メラミン樹脂は、メラミン環の3個のアミノ基にホルムアルデヒドが付加した6個のメチロール基を有する樹脂である。
ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂として、例えば、日本サイテックインダストリーズ製の「サイメル300」、「サイメル303」、「サイメル1130−266J」、株式会社三和ケミカル製の「ニカラックMW−30」、「ニカラックMX−40」、住友化学株式会社製の「スミマールM−100C」、「スミマールM−40S」等が挙げられる。
また、メチル化メラミン樹脂に類似する樹脂として、例えばブチル化メラミン樹脂が挙げられる。このブチル化メラミン樹脂は、水酸基含有ポリエステル樹脂との反応が遅く、塗装鋼板1に縮み模様を与えにくい。
アミノ樹脂の量は、縮み塗料の固形分に対して、5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
酸触媒は、縮み塗料が硬化する際に、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂との反応を触媒する成分である。酸触媒は、具体的にはスルホン酸系化合物を含む。このため、縮み塗料中でスルホン酸系化合物はアミン化合物との中和物として存在するため、未使用の縮み塗料を保存させやすくできる。スルホン酸系化合物はスルホン酸基を含有する化合物である。スルホン酸系化合物としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。スルホン酸は、上記の群から選択される少なくとも1つの成分を含有できる。また、酸触媒は、上記の成分以外に、水酸基含有ポリエステル樹脂とアミノ樹脂との反応を触媒する任意の化合物を含むことができる。
酸触媒の量は、縮み塗料の硬化時に、水酸基含有ポリエステル樹脂とアミノ樹脂との反応を触媒し、かつアミン化合物よりも少なければ特に限定されない。酸触媒の量は、例えば、縮み塗料の固形分に対して、0.1重量%以上5重量%以下である。
アミン化合物は、未硬化の縮み塗料中で酸触媒の触媒作用を抑制する化合物である。このため、アミン化合物は、縮み塗料中で酸触媒に対するブロッキング剤として機能する。縮み塗料は、酸触媒よりも多くのアミン化合物を含有していてもよい。この場合、縮み塗料中で、アミン化合物の一部は酸触媒とで中和物を形成し、アミン化合物の残部は未反応のままで存在する。また、縮み塗料を調整する際、過剰量のアミン化合物に酸触媒と添加し、未反応の酸触媒がなくなるまでアミン化合物と酸触媒とを混合して中和物を作製し、この中和物とアミン化合物との混合物を、水酸基含有ポリエステル樹脂等と混合してもよい。このように縮み塗料がアミン化合物を含有することで、アミン化合物は酸触媒を中和物として存在させるため、未使用の縮み塗料を保存させやすくできる。
アミン化合物が室温で液状である場合、酸触媒と未反応のアミン化合物は溶剤として縮み塗料中に存在する。
また、縮み塗料が硬化する際、中和物が酸触媒とアミン化合物とに解離すると共に、アミン化合物が揮発する。
アミン化合物の沸点は、好ましくは、50℃以上300℃以下であり、好ましくは80℃以上150℃以下である。アミン化合物の沸点がこの範囲であると、アミン化合物は、縮み塗料の硬化時に適度に揮発でき、縮み模様の柄を安定して形成しやすくなる。
アミン化合物は、好ましくは、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
2級アミン化合物として、例えば、ジエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピリジン、ジイソプロピルアミン、及びジ(n−プロピル)アミン等が挙げられる。
3級アミン化合物として、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、及び4−エチルピリジン等が挙げられる。
アミン化合物は、上記の具体的な化合物に限定されない。
アミン化合物の量は、縮み塗料の未硬化時に、酸触媒の触媒作用を抑制し、かつ酸触媒よりも多ければ、特に限定されない。アミン化合物の量は、例えば、縮み塗料の固形分に対して、0.1重量%以上5重量%以下である。また、酸触媒に対するアミン化合物のモル比は、1.0以上3.0以下である。
縮み塗料は、シリカ粒子以外の骨材を更に含有できる。この場合、縮み塗料の塗膜が硬化する際に、骨材は塗膜で生じる縮みの起点になりやすい。このため、骨材は塗装鋼板1に縮み模様を与えやすくする。骨材として、例えば、無機骨材、及び有機骨材が挙げられる。骨材は、無機骨材、及び有機骨材のうち少なくとも1方を含むことができる。
無機骨材として、例えば、ガラス繊維等が挙げられる。骨材がガラス繊維を含む場合、ガラス繊維の直径は、好ましくは1μm以上40μm以下である。また、ガラス繊維の平均繊維長さは、好ましくは300μm以下である。平均繊維長さが300μm以下であると、縮み模様の柄を安定して形成しやすくなり、塗装鋼板1の耐候性と、意匠性とを向上させることができる。平均繊維長さは、より好ましくは、250μm以下であり、特に好ましくは、200μm以下である。平均繊維長さの下限は、特に限定されないが、例えば5μm以上である。ガラス繊維の平均繊維長さは、走査型電子顕微鏡で撮影された10個のガラス繊維の長さの平均値として算出される。
有機骨材は、粒子状の材料であることが好ましい。このような有機骨材として、例えば、尿素樹脂粒子、及びアクリル樹脂ビーズ等が挙げられる。有機骨材が粒子状である場合、有機骨材の平均粒子径は、好ましくは、100μm以下である。この場合、縮み模様の柄を安定して形成することができる。有機骨材の平均粒子径は、より好ましくは80μm以下であり、特に好ましくは50μm以下である。有機骨材の平均粒子径の下限は、特に限定されないが、例えば1μm以上である。有機骨材の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により、D50として測定される。
骨材の量は、好ましくは、縮み塗料の固形分に対して、5重量%以上40重量%以下である。骨材の量が5重量%以上であると、縮み模様が安定して得られやすくなる。また、骨材の量が20重量%以下であると、加工性を維持しながら耐摩耗性をえることができる。
骨材が、ガラス繊維と、粒子状の有機骨材との両方を含む場合、ガラス繊維と、有機骨材との比率は、好ましくは、0.5以上3以下である。
縮み塗料は、ワックス成分を更に含有できる。この場合、ワックス成分は、耐擦り傷性を付与することができる。ワックス成分として、例えば、天然系ワックス成分、及び合成系ワックス成分が挙げられる。
天然系ワックス成分は、天然成分から抽出され、必要に応じてこの抽出物を生成することで得られる成分である。天然系ワックス成分として、例えば、カルナウバ、木ロウ、密ロウ、ラノリン、パラフィン、黄色ワセリン、白色ワセリン、及びマイクロクリスタリンが挙げられる。
合成系ワックス成分は、化学反応により人工的に作製された成分である。合成系ワックス成分として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、及びエチレンビスステアリン酸アマイドが挙げられる。
ワックス成分は、上記の群から選択される少なくとも1つの成分を含むことができる。中でも、ワックス成分は、ポリテトラフルオロエチレンを含むことが好ましい。
縮み塗料は、任意の着色顔料、体質顔料、添加剤を更に含有してもよい。着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、及び黄鉛等の無機顔料、シアニングリーン、及びシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム粉、及び銅粉等の金属粉末で、体質顔料としては、硫酸バリウム、タルク、及びマイカ等を含有できる。また、添加剤としては、顔料分散剤;レベリング剤;沈降防止剤;並びに破泡剤等が挙げられる。
縮み塗料を塗布する際、ロールコート、カーテンフローコート、及びスプレー塗装等の適宜の塗布方法が採用され得る。中でも、塗布方法として、ロールコートを採用することが好ましい。
縮み塗料の塗布量は、クリアー塗料の組成等に応じて、クリアー塗料の塗布量を任意に設定できるため、特に限定されない。縮み塗料の塗布量は、例えば、鋼板2が有する第1面21の面積が1m当たり、29g以上40g以下にできる。縮み塗料の塗布量が29g/m以上であると、縮み模様層5により、塗装鋼板1の耐候性を向上させることができる。縮み塗料の塗布量が40g/m以下であると、縮み模様層5を形成する際のエネルギー(例えば、焼き付け温度、及び焼き付け時間)を低減できる。
縮み塗料の塗膜を加熱下で焼き付けて硬化させる場合、この塗膜の、焼き付け温度は200℃以上250℃以下であってもよく、焼き付け時間は20秒以上2分以下であってもよい。
また、本実施形態において、鋼板2の第2面22に、任意の塗料からなる保護層が形成されてもよい。この場合、第2面22は保護層により覆われるため、鋼板2の第2面22は雨風、及び薬品等に曝されにくくなる。このため、塗装鋼板1は優れた耐候性と、耐薬品性とを有することができる。
(変形例)
上記実施形態では縮み模様層5の表面は露出しているが、縮み模様層5の表面に1以上のクリア層が形成されていてもよい。この場合、クリア層が縮み模様層5を覆うため、塗装鋼板1の耐候性と、耐薬品性とを更に高めることができる。クリア層は、任意のクリア塗料を縮み模様層5の表面に塗布することで形成できる。
上記実施形態では、塗装鋼板1は、前処理層3を備えているが、前処理層3を備えなくてもよい。この場合、下塗り層4は、鋼板2の表面に形成される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
<縮み塗料の調製>
{実施例1〜10、及び比較例1〜7}
後掲の表に示す成分を混合することで、各実施例及び比較例の塗料を得た。塗料を調整する際、容器内のアミン化合物にスルホン酸系化合物を添加し、その後、スルホン酸系化合物がアミン化合物により完全に中和するまで容器の内容物を混合した。なお、後掲の表に示す成分の詳細は、下記の通りである。
・水酸基含有ポリエステル樹脂:DIC株式会社製ベッコライト46−118(不揮発分60%、水酸基価115、数平均分子量2,500)、
・アミノ樹脂:日本サイテックインダストリーズ製サイメル303(不揮発分100%、ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂)、
・アミン化合物:トリエチルアミン、
・スルホン酸系化合物:パラトルエンスルホン酸、
・骨材A:有機樹脂ビーズ(アクリル樹脂ビーズ)(平均粒子径20μm)、
・骨材B:有機樹脂粒子(尿素樹脂粒子)(平均粒子径20μm)、
・骨材C:ガラス繊維(直径13μm、平均繊維長さ35μm)、
・シリカ粒子:平均粒径7μm、
・ワックス成分:ポリテトラフルオロエチレン(株式会社喜多村製 KTL−8N(商品名))
Figure 2021079623
{製造例1〜2}
次に、各実施例及び比較例の縮み塗料を用いて、下記の手順で塗装鋼板を作製した。なお、各製造例に用いられた、化成処理剤、及び下塗り塗料の詳細は、下記の通りである。
・化成処理剤:クロメート前処理材(日本パーカライジング社製 ZM1300)、
・下塗り塗料:ポリエステル/メラミン樹脂系塗料(アクゾノーベル・コーティングス社製 FX39プライマー)。
[製造例1]
鋼板として、55%Al−Zn−Mg系溶融めっき鋼板である「エスジーエル(登録商標)」(日鉄住金鋼板株式会社製、板厚:0.8mm、両面付着量:150g/m)(以下、SGLという場合がある)を用意した。
この鋼板の表面に化成処理剤をロールコートで塗布して化成処理を施すことで前処理層を形成した。
次に、鋼板の第1面の面積1m当たり7〜11gの塗布量で、下塗り塗料をロールコートにより前処理層の表面に塗布した。その後、下塗り塗料が塗布された鋼板を、200〜220℃の焼き付け温度の下で、30〜50秒間、加熱することで、下塗り塗料の塗膜を焼き付けて下塗り層を形成した。下塗り層の形成後、縮み模様層の厚みが17〜25μmとなるよう、鋼板の第1面の面積1m当たり30〜49gの塗布量で、各実施例及び比較例の塗料をロールコートで下塗り層の表面に塗布することで塗膜を形成した。その後、この塗膜が形成された鋼板を、220〜240℃の焼き付け温度の下で、30〜50秒間、加熱することで、塗装鋼板が得られた。
[製造例2]
鋼板として、55%Al−Zn系溶融めっき鋼板である「ガルバリウム鋼板(登録商標)」(日鉄住金鋼板株式会社製、板厚:0.8mm、両面付着量:150g/m)(以下、GLという場合がある)を用いた以外は、製造例1と同様にして、塗装鋼板を作製した。
<評価>
各製造例で得られた塗装鋼板を、下記のように評価した。この評価結果を後掲の表2に示す。
{縮み柄}
各製造例の塗装鋼板の表面を目視で確認し、この表面に縮み模様が形成されている場合を「有」、縮み模様が形成されていない場合を「無」とした。
{表面粗さ}
各製造例の塗装鋼板の表面から得られる粗さ曲線を触針法により作成した。そして、この粗さ曲線を用い、塗装鋼板の表面粗さを示す十点平均粗さRz及び算術平均粗さRaをJIS B 0601:2001に準拠して測定した。塗装鋼板の表面粗さを測定するにあたって、2次元粗さ計(株式会社東京精密製のSURFCOM 1500SD−JDE12(型番))を用い、測定長さを8.0mmとし、カットオフ値を0.8mmとした。
{耐候性}
JIS K 5600−7−6:2002に準拠して、各製造例の縮み模様層の耐候性を試験し、試験後の縮み模様層を下記項目に従って評価した。
A:縮み模様層の表面にチョーキングが生じていない、
B:縮み模様層の表面にチョーキングが生じている。
{光沢度}
各製造例の塗装鋼板の表面から得られる光沢度Gsを光沢度計(日本電色工業株式会社製のSE−2000)により求めた。このとき、塗装鋼板表面の法線に対する光の入射角度θを60°とし、塗装鋼板の表面に入射する光束φosと、塗装鋼板の表面を鏡面反射した光束φとの百分比を下記式(1)により算出した。そして、この百分比を光沢度Gsとした。なお、光沢度Gsを求める前に、樹脂製の標準板を用いて光沢度計の測定値をゼロ点補正した。
光沢度Gs(θ)(%)=φs/φos×100 ・・・(1)
参考資料として、JIS規格(JIS Z 8741)によると、屈折率が1.567であるガラス板において、入射角度θが60°で、かつガラス板表面の鏡面反射率が10%である場合に光沢度Gs(60°)は100%とされ、入射角度θが20°で、かつガラス板表面の鏡面反射率が5%である場合に光沢度(20°)は100%とされている。
{耐傷付き性}
各製造例の塗装鋼板の表面に対して45度の角度で10円玉硬貨を当てた状態で、塗装鋼板の表面の表面を、1.0kgの荷重で30mm程度、引掻いた。その後、塗装鋼板の表面の表面を目視で評価した。塗装鋼板の表面において、傷がない場合を〇、下塗り層までの剥離があったが鋼板表面に傷がない場合を△、縮み模様層を含む表層の剥離があり、かつ鋼板表面まで傷がある場合を×とした。
Figure 2021079623
(まとめ)
上記の通り、第1態様は、縮み模様層(5)が鋼板(2)の上にある塗装鋼板(1)である。縮み模様層(5)は、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、酸触媒とを含有する。酸触媒は、前記水酸基含有ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂との反応を触媒する。縮み模様層(5)の表面粗さRzは、12μm以上70μm以下である。
第1態様によれば、縮み模様層(5)において表面を特定の粗さRzにすることで、縮み模様層(5)は、低光沢の表面と、色深さとを容易に得ることができる。そして、この縮み模様層(5)により塗装鋼板(1)の意匠が高くになりやすくなる。また、縮み模様層(5)が鋼板(2)の上にあることで、鋼板(2)の第1面(21)は縮み模様層(5)により覆われるため、鋼板(2)は雨風に曝されにくくなる。このため、塗装鋼板(1)は優れた耐候性と、高い意匠性とを両立させることができる。
第2態様は、第1態様の塗装鋼板(1)であって、前記縮み塗料は、シリカ粒子を含有しない。
第2態様によれば、シリカ粒子による腐食や劣化因子の影響が小さくなる。しかも縮み模様の大きさを安定化するため、表面粗さRzが安定した縮み模様層(5)が得られやすくなり、これにより、塗装鋼板(1)の耐候性と、高い意匠性とを両立させることができる。
第3態様は、第1又は第2態様の塗装鋼板(1)であって、前記縮み塗料は、未硬化時に前記酸触媒の触媒作用を抑制するアミン化合物を更に含有する。
第3態様によれば、縮み塗料中でアミン化合物は酸触媒を中和物として存在させるため、未使用の縮み塗料を保存させやすくできる。
第4態様は、第3態様の塗装鋼板(1)であって、前記アミン化合物は、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
第4態様によれば、縮み塗料中でアミン化合物は酸触媒を中和物として存在させるため、未使用の縮み塗料を保存させやすくできる。
第5態様は、第1〜第4態様のいずれか1つの塗装鋼板(1)であって、前記酸触媒は、スルホン酸系化合物を含む。
第5態様によれば、縮み塗料中でスルホン酸系化合物はアミン化合物との中和物として存在するため、未使用の縮み塗料を保存させやすくできる。
第6態様は、第1〜第5態様のいずれか1つの塗装鋼板(1)であって、鋼板(2)は、めっき鋼板である。
第6態様によれば、めっき鋼板のうち、表層のめっき層は鋼製の部分を覆って保護するため、鋼製の部分は、雨風に曝されにくくなる。このため、めっき鋼板は優れた耐候性と、高い意匠性とを両立させることができ、塗装鋼板1の耐候性と、意匠性とを向上させることができる。
1 塗装鋼板
2 鋼板
5 縮み模様層

Claims (6)

  1. 縮み模様層が鋼板の上にある塗装鋼板であって、
    前記縮み模様層は、水酸基含有ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、前記水酸基含有ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂との反応を触媒する酸触媒と、を含有する縮み塗料からなり、
    前記縮み模様層の表面粗さRzは、12μm以上70μm以下である、
    塗装鋼板。
  2. 前記縮み塗料は、シリカ粒子を含有しない、
    請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 前記縮み塗料は、未硬化時に前記酸触媒の触媒作用を抑制するアミン化合物を更に含有する、
    請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  4. 前記アミン化合物は、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、
    請求項3に記載の塗装鋼板。
  5. 前記酸触媒は、スルホン酸系化合物を含む、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装鋼板。
  6. 前記鋼板は、めっき鋼板である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装鋼板。
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