JP2004255575A - 意匠性金属缶 - Google Patents

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JP2004255575A
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Shingo Amagi
慎悟 天木
Hideki Masuda
秀樹 増田
Takashi Inomata
敬司 猪股
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Abstract

【課題】立体感があり、高級感のある艶消し外観を有し、手に持った時のすべりにくさを有する意匠性金属缶を提供すること。
【解決手段】缶体の最外面にちぢみ模様塗膜(A)が形成されてなることを特徴とする意匠性金属缶であり、該ちぢみ模様塗膜(A)は、例えば、水酸基含有有機樹脂(a)、アミノ樹脂(b)、スルホン酸化合物(c)及び第2級もしくは第3級アミン(d)を含有してなる焼付硬化型塗料組成物(B)より形成することができる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体感があり、高級感のある艶消し外観及び缶を手に持った時のすべりにくさを有する意匠性金属缶に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
近年、飲料缶等の缶用分野においても高級な意匠感を有するものが要求されており、主に缶体またはその上に巻き付けるフィルム上への印刷方法を工夫することで対応されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2等参照。)。
【0003】
また、これらの方法では、平面的な柄となり立体感が得られないことから、更にオーバープリント用ワニスが塗装される2ピース缶の印刷塗装に於いて、発泡マットインキを使用することが提案されている(特許文献3等参照。)。
【0004】
一方、塗装の面からは、主に光輝性顔料を含有する塗膜の検討がなされており、メタリック調の意匠性を得ることができる塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献4等参照。)。
【0005】
しかしながら、缶体にインキ又は塗料を塗布する際の膜厚は極めて薄いことから、発泡マットインキや光輝性顔料を含有する塗料から得られる被膜は、意匠性はある程度あるものの、柄は小さく立体感に乏しいものとなっている。また、手に持った時の手触り感も従来のものとほとんど変わらず、表面は平滑ですべりやすい。
【0006】
また、光沢を著しく落すことにより高級感を持たせることも検討されているが、一般に用いられるシリカ系の艶消し剤では、添加量が多いと加工性等の塗膜性能が著しく低下するという問題があり、また、クリヤーで使用した場合には膜が濁り、膜の下の印刷等の模様がかすんでしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、立体感があり、高級感のある艶消し外観を有し、、且つ手に持った時のすべりにくさを有する意匠性金属缶を提供することである。
【0008】
【特許文献1】
特開平05−111980号公報
【特許文献2】
特開平09−103833号公報
【特許文献3】
特開平10−279852号公報
【特許文献4】
特開2001−31893号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、缶体の最外面に、ちぢみ模様塗膜を形成させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明は、缶体の最外面にちぢみ模様塗膜(A)が形成されてなることを特徴とする意匠性金属缶に関する。
【0011】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の金属缶は、缶体の外面となる側の最外面に、ちぢみ模様塗膜(A)が形成されてなるものである。
【0013】
ちぢみ模様塗膜(A)は、缶体の最外面の、表面処理されていてもよい金属素材面、缶体に塗装、印刷又はラミネートされてなる樹脂被覆面、及び缶体に巻き付けられたフィルム外面から選ばれる少なくとも1種の面の上に形成される。
【0014】
ちぢみ模様塗膜は、カラー鋼板に耐候性や低光沢の外観を付与するために考案されたものであり、家屋の屋根や壁材用プレコート鋼板に主として用いられてきた。ちぢみ模様を形成する手法は、これら従来からの方法(例えば特開平2−219881号公報、特開平5−39443号公報等参照。)を缶外面用塗料に応用することにより得ることができる。
【0015】
ちぢみ模様塗膜(A)を得ることのできる塗料組成物としては、焼付硬化型塗料であることが好ましく、特に好ましい塗料組成物として、水酸基含有有機樹脂(a)60〜95重量部とアミノ樹脂(b)5〜40重量部との和100重量部に対して、スルホン酸化合物(c)1当量と沸点30〜250℃の第2級もしくは第3級アミン1.5〜30当量との反応混合物をスルホン酸量で0.1〜4重量部含有してなる焼付硬化型塗料組成物(B)を挙げることができる。
【0016】
上記焼付硬化型塗料組成物(B)は、通常使用されているシリカ系艶消し剤を多量に使用しなくても、塗膜表面に微細なちぢみを形成させることにより塗膜の光沢を著しく下げることができるため、加工性等の塗膜物性をほとんど低下させることがなく、また、シリカ系艶消し剤を多量に使用しなくてもよいため、クリヤー塗膜が濁らないという特徴を有することが確認された。
【0017】
上記水酸基含有有機樹脂(a)としては、水酸基を含有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができるが、ちぢみの形成しやすさと柄安定性の点から特に水酸基を含有するポリエステル樹脂やアクリル樹脂が好ましい。
【0018】
上記水酸基含有ポリエステル樹脂としては、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、また、これらの樹脂の変性物、例えばウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0019】
上記オイルフリーポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものである。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができる。
【0020】
アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂肪酸をそれ自体既知の方法で反応せしめたものであって、油脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などを挙げることができる。アルキド樹脂の油長は30%以下、特に5〜20%程度のものが好ましい。
【0021】
ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、上記オイルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポリエステル樹脂の製造の際に用いられる酸成分及びアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステル樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが挙げられる。また、ウレタン変性アルキド樹脂は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際に用いられる各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが包含される。ウレタン変性ポリエステル樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用しうるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。上記のウレタン変性樹脂は、一般に、ウレタン変性樹脂を形成するポリイソシアネート化合物の量がウレタン変性樹脂に対して30重量%以下の量となる変性度合のものを好適に使用することができる。
【0022】
エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイソシアネート化合物を介して結合した生成物などの、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との付加、縮合、グラフトなどの反応による反応生成物を挙げることができる。かかるエポキシ変性ポリエステル樹脂における変性の度合は、一般に、エポキシ樹脂の量がエポキシ変性ポリエステル樹脂に対して、0.1〜50重量%となる量であることが好適である。
【0023】
上記ポリエステル樹脂は、数平均分子量として1,000〜80,000、好ましくは1,200〜10,000程度を有することが適当である。
【0024】
また、水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有モノマー及びこのモノマーと共重合可能なその他のモノマーからなるモノマー混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下に溶液重合法等の常法によって共重合させることによって得ることができる。
【0025】
上記水酸基含有モノマ−としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルビニルエ−テル、2−ヒドロキシプロピルビニルエ−テル、2−ヒドロキシエチルアリルエ−テルなどを挙げることができる。
【0026】
上記水酸基含有モノマ−と共重合可能なその他のモノマ−としては、例えば(メタ)アクリル酸;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、n−プロピル(メタ)アクリレ−ト、i−プロピル(メタ)アクリレ−ト、(n−、i−、t−)ブチル(メタ)アクリレ−ト、ヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、n−オクチル(メタ)アクリレ−ト、デシル(メタ)アクリレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルエ−テル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、さらにこれらのモノマ−の1種及び/又はそれ以上のモノマ−の重合体で、片末端に重合性不飽和基を有する、いわゆるマクロモノマ−も共重合可能なモノマ−として挙げることができる。本発明において、「(メタ)アクリレ−ト」は、「アクリレ−ト又はメタアクリレ−ト」を意味する。
【0027】
上記水酸基含有有機樹脂(a)と組み合わせる硬化剤としてのアミノ樹脂(b)は、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等のアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂、該メチロール化アミノ樹脂のメチロール基の一部又は全部を、メタノール、n−ブタノール、イソブタノール等によってエーテル化したアミノ樹脂などが挙げられる。アミノ樹脂(b)は、ちぢみ塗膜を安定して形成することが必要であり、アミノ樹脂の中でも特に低核体のメチルエーテル化メラミン樹脂及びメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂をメラミン樹脂中の80重量%以上含有するものであることが好適である。
【0028】
上記メラミン樹脂の具体例としては、例えばサイメル300、同303、同325、同327、同350、同730、同736、同738(以上、いずれも三井サイテック社製)、メラン522、同523(以上、いずれも日立化成社製)、ニカラックMS001、同MX430、同MX650(以上、いずれも三和ケミカル社製)、スミマールM−55、同M−100、同M−40S(以上、いずれも住友化学社製)などのメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル232、同266、同XV−514、同1130(以上、いずれも三井サイテック社製)、ニカラックMX500、同MX600、同MS35、同MS95(以上、いずれも三和ケミカル社製)、スミマールM−66B(住友化学社製)などのメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂;ユーバン20SE、同225(以上、いずれも三井東圧社製)、スーパーベッカミンJ820−60、同L−117−60、同L−109−65、同47−508−60、同L−118−60、同G821−60(以上、いずれも大日本インキ化学工業社製)などのブチルエーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0029】
水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との配合比率は、ちぢみ塗膜を安定に形成させるため、固形分重量比で(a)/(b)=60/40〜95/5、特に70/30〜93/7の範囲内が好ましい。
【0030】
焼付硬化型塗料組成物(B)中には、上記水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との反応を促進するための硬化触媒としてスルホン酸化合物(c)を含有する。該スルホン酸化合物(c)としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上混合して使用できる。これらのうち、塗料の安定性、反応促進効果、得られる塗膜の物性などの点から、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が好適である。
【0031】
上記スルホン酸化合物(c)に適度の沸点を有するアミン化合物を組み合わせることで、焼付時の塗膜の表面と内部との間で硬化速度に差を生ぜしめ、塗膜にちぢみを形成させることができる。ちぢみ形成に特に好適なアミン化合物は、沸点30〜250℃の第2級もしくは第3級のアミンであり、代表例としては、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジアリルアミン、ジアミルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジn−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−,2,6−又は3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノールなどの第2級アミン;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−エチルピリジンなどの第3級アミン;N−メチルピペラジンなどの第2級及び第3級アミノ基を有するアミンなどの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ジアルキルアミン、特にジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブルアミンなどが低臭であること及び美しい均一なちぢみを形成できることから好適である。
【0032】
スルホン酸化合物(c)および第2級もしくは第3級アミン(d)の添加量としては、水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との合計固形分量100重量部に対して、スルホン酸化合物(c)0.1〜5重量部、特に0.2〜3重量部と、該スルホン酸化合物(c)1モルに対して沸点30〜250℃の第2級もしくは第3級アミン(d)を1.5〜40モル量、特に3〜30モル量がちぢみの安定な形成の面から好ましい。
【0033】
焼付硬化型塗料組成物(B)には、搬送や成形加工時の傷の発生を抑えるため潤滑剤(d)を含有することができる。潤滑剤(d)は得られる皮膜の動摩擦係数を調整することができるものであり、潤滑剤(d)の軟化点として30℃以上、好ましくは33〜150℃の範囲内にあるものが適しており、例えば、ポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ポリオレフィンワックス、動物系ワックス、植物系ワックスなどのワックス類を挙げることができるが、中でもポリエチレン系ワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスであることが適している。潤滑剤(d)は1種で又は2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との合計固形分量100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.5〜2重量部の範囲内が適している。
【0034】
焼付硬化型塗料組成物(B)には、さらにちぢみ模様を安定に形成させるためちぢみ模様調整剤(e)を添加することができる。該ちぢみ模様調整剤(e)としては、例えば平均粒径10μm以下のシリカ微粉末、平均粒径2〜70μmの有機樹脂微粒子、直径2〜50μmで長さ30μm〜5mmの有機樹脂繊維、平均粒径2〜70μmの無機質ガラス微粒子、直径2〜50μmで長さ10μm〜5mmの無機質繊維などを挙げることができ、ちぢみ模様調整剤(e)の添加量としては、水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との合計固形分量100重量部に対して1〜30重量部、特に2〜15重量部の範囲内が適している。
【0035】
焼付硬化型塗料組成物(B)は、着色顔料を含有しないクリヤー塗料として使用することができるが、着色顔料を含有するエナメル塗料としても使用することができる。着色顔料としては、塗料分野で通常使用されている着色顔料、例えば、シアニンブルー、シアニングリーン、アゾ系やキナクリドン系などの有機赤色顔料、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系及びキノフタロン系などの有機黄色顔料;チタン白、チタンイエロー、ベンガラ、カーボンブラック、黄鉛及び各種焼成顔料などの無機着色顔料が挙げられ、必要に応じて、アルミニウ粉、銅粉、ニッケル粉、酸化チタン被覆マイカ粉、酸化鉄被覆マイカ粉及び光輝性グラファイトなどの光輝性顔料;塗料用としてそれ自体既知の消泡剤、レベリング剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0036】
また、焼付硬化型塗料組成物(B)は、取扱い上及び塗装性の面などから、通常、有機溶剤が含有せしめられる。
【0037】
該有機溶剤としては、上記水酸基含有有機樹脂(a)、アミノ樹脂(b)などを溶解ないし分散できるものが使用でき、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素などの炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系溶剤などを挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
本発明の金属缶は、ちぢみ模様形成可能な塗料を、例えば、
(1)缶状に成形した金属板(塗装及び/又は印刷がされていてもよい)の外面側に直接塗装、硬化させる方法、
(2)金属平板(塗装及び/又は印刷がされていてもよい)の缶の外面となる側に塗装、硬化させた後、缶状に成形加工する方法、
(3)フィルム(印刷がされていてもよい)上に塗装、硬化させた後、該フィルムを缶にラミネート又は巻き付ける方法、
(4)缶にラミネート又は巻き付けられたフィルム(印刷がされていてもよい)上に塗装、硬化させる方法
等を用いることにより得られる。
【0039】
上記金属板としては、飲料缶、缶詰用缶、蓋、キャップ等に用いることができる金属板であればいずれも使用することができ、例えばアルミニウム板、ティンフリースチール板、ブリキ板等を挙げることができる。
【0040】
塗料の塗装は、ロールコータ塗装、スプレー塗装等の公知の塗装方法によって塗装することができ、塗装膜厚は特に限定されるものではないが、乾燥膜厚として2〜30μm、特に5〜20μm程度であることが好ましい。塗膜の焼付条件は、通常、約90〜330℃の温度で約5秒〜約30分間程度である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0042】
ポリエステル樹脂の合成
合成例1
加熱装置、攪拌機、還流装置、水分離器、精留塔、温度計等を備えた通常のポリエステル樹脂製造装置を用い、反応槽に無水フタル酸740部、イソフタル酸498部、アジピン酸145部、ネオペンチルグリコール735部、および1.6−ヘキサンジオール236部を仕込み加熱した。原料が融解後、攪拌を開始し、反応温度を230℃まで昇温させ、230℃に2時間保持して生成する縮合水は精留塔を通じて系外へ留去した。ついで反応槽にキシロールを90部添加し溶剤縮合法に切り替えて反応を続け、酸価が5mgKOH/gに達した時点で反応を終了し冷却した。冷却後キシロールを1414部加えて固形分60%のポリエステル樹脂溶液a1を得た。得られた樹脂は水酸基価79mgKOH/g、数平均分子量は約1,300であった。
【0043】
合成例2
合成例1において、反応槽に最初に仕込む原料組成を無水フタル酸592部、イソフタル酸747部、アジピン酸145部、ネオペンチルグリコール735部および1.6−ヘキサンジオール295部およびトリメチロールプロパン68部の組成とする以外、合成例1と同様に合成を行い、固形分60%のポリエステル樹脂溶液a2を得た。得られた樹脂は水酸基価42mgKOH/g、数平均分子量約2,100であった。
【0044】
塗料組成物の製造
製造例1〜6
下記表1に示す配合組成に従って塗料化を行い、各塗料組成物を得た。なお、製造例5及び6の塗料組成物は比較例用に作成した。
【0045】
【表1】
Figure 2004255575
【0046】
表1に示す各注(*1)〜(*6)の原料は以下の内容のものである。
(*1)サイメル303:三井サイテック社製、低分子量メチルエーテル化メラミン樹脂。
(*2)NACURE 5225:米国、キング インダストリイズ社製、ドデシルベンゼンスルホン酸の2級アミン等モル中和物溶液。
(*3)サイリシア446:富士シリシア化学社製、無定型シリカ微粉末、平均粒子径約4.5μm。
(*4)ミズカシルP−526:水澤化学工業社製、無定型シリカ微粉末、平均粒子径約3μm。
(*5)オルガソール2002EX−D:仏国、アト・シミー社製、ナイロン12の樹脂微粒子、平均粒子径約10μm。
(*6)オルガソール2002ES−3:仏国、アト・シミー社製、ナイロン12の樹脂微粒子、平均粒子径約30μm。
【0047】
試験用缶の製造及び評価
実施例1〜4及び比較例1〜2
350cc飲料缶用缶体に成形加工されたPETフィルムラミネートアルミニウム缶(フィルム厚さ12μm)に、製造例1〜6で得られた塗料組成物をスプレーで乾燥膜厚が18μmとなるように塗布し、220℃で1分間加熱した。得られた缶体について下記試験方法に従って各種試験を行った。得られた結果について後記表2に示す。
【0048】
試験方法
立体意匠感:塗面の立体感を目視にて下記基準により評価した。
○:凹凸が顕著であり、意匠性に優れる。
△:凹凸が顕著ではなく、意匠性に乏しい。
×:凹凸感が認められない。
【0049】
手触り感:塗面の手触りを、下記基準により実際に缶に触れて官能評価した。
○:ザラザラした和紙のような手触りで、すべりにくい。
△:和紙ほどではない、少しザラザラした手触りで、ややすべりやすい。
×:のっぺりとした手触りで、すべりやすい。
【0050】
密着性:試験缶の塗膜表面にナイフで素地に達するように、直交する縦横11本づつの平行な線を1mm間隔で引き、1mm×1mmのマス目を100個作成した。この碁盤目にセロハン粘着テープを密着させて瞬時にテープを剥がした際の塗膜の剥離程度を下記基準により評価した。
○:塗膜の剥離は少なく、マス目の塗膜は90個以上残存。
△:塗膜の剥離が認められ、マス目の塗膜は50個以上90個未満残存。
×:塗膜の剥離が著しく、マス目の塗膜の残存数は50個未満。
【0051】
文字視認性:350cc飲料缶用缶体に成形加工されたPETフィルムラミネートアルミニウム缶(フィルム厚さ12μm)に、縦横約2mmの大きさの文字からなる文章を印刷し、その上に製造例1〜6の塗料組成物をスプレーで乾燥膜厚が18μmとなるように塗布し、220℃で1分間加熱した。得られた缶の印刷の文字が読めるかどうかを下記基準により評価した。
○:問題なく文字が読める。
△:細かい部分などが少し読みにくい。
×:全く文字を読む事ができない。
【0052】
【表2】
Figure 2004255575
【0053】
【発明の効果】
本発明の金属缶は、缶の最外面にちぢみ模様を形成させてなるものであり、立体感があり、高級感のある艶消し外観を有し、手に持った時のすべりにくいという特徴を有する。また、クリヤーのちぢみ模様塗膜を、印刷されたものの上に塗装しても印刷模様や文字が著しく見づらくなることもなく、高級意匠性缶体として極めて優れたものである。

Claims (7)

  1. 缶体の最外面にちぢみ模様塗膜(A)が形成されてなることを特徴とする意匠性金属缶。
  2. 缶体の最外面が、表面処理されていてもよい金属素材面、缶体に塗装、印刷又はラミネートされてなる樹脂被覆面、及び缶体に巻き付けられたフィルム外面から選ばれる少なくとも1種の面である請求項1に記載の意匠性金属缶。
  3. ちぢみ模様塗膜(A)が、水酸基含有有機樹脂(a)、アミノ樹脂(b)、スルホン酸化合物(c)及び第2級もしくは第3級アミン(d)を含有してなる焼付硬化型塗料組成物(B)より形成されてなるものである請求項1又は2に記載の意匠性金属缶。
  4. 焼付硬化型塗料組成物(B)中の水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との含有比率が固形分重量比で(a)/(b)=60/40〜95/5の範囲内である請求項3に記載の意匠性金属缶。
  5. 焼付硬化型塗料組成物(B)が、水酸基含有有機樹脂(a)とアミノ樹脂(b)との合計固形分量100重量部に対して、スルホン酸化合物(c)0.1〜4重量部と該スルホン酸化合物(c)1モルに対して沸点30〜250℃の第2級もしくは第3級アミン(d)を1.5〜40モル量含有するものである請求項3又は4に記載の意匠性金属缶。
  6. 水酸基含有有機樹脂(a)が、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項3〜5のいずれか一項に記載の意匠性金属缶。
  7. ちぢみ模様塗膜(A)の膜厚が乾燥膜厚として2〜30μmの範囲内にある請求項1〜6のいずれか一項に記載の意匠性金属缶。
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