JP7444926B2 - 塗装めっき鋼板、その製造方法及び建材 - Google Patents

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Description

本開示は、一般には塗装めっき鋼板及び建材に関し、詳細には、めっき層の上に、下塗層及び上塗層が設けられた塗装めっき鋼板と、この塗装めっき鋼板製の金属部材を含む建材に関する。
従来、めっき層の上に塗料層が設けられた塗装めっき鋼板が知られている。例えば特許文献1には、亜鉛系めっき層の上に、下塗り塗膜層および上塗り塗膜層が積層された塗装鋼板が開示されている。
特開2004-34591合公報
塗装めっき鋼板から建材を作製する場合、塗装めっき鋼板に曲げ加工を施すことがある。塗装めっき鋼板に曲げ加工等を施す場合、めっき層の割れに伴い、塗料層にもひび割れ(クラック)が生じることがある。この場合、塗料層が割れやすくなり、加工部の耐食性が平坦部よりも低下しやすい。塗料層のガラス転移温度(Tg)を低下させることで、塗料層の柔軟性を向上させて、ひび割れを抑制することはできる。しかしながら、塗料層のガラス転移温度を低下させると、塗料層が傷つきやすくなり、すなわち耐傷付性が低下しやすい。
本開示の目的は、加工性及び耐傷付性が優れた塗装めっき鋼板と、この塗装めっき鋼板製の金属部材を含む建材とを提供することにある。
本開示に係る塗装めっき鋼板は、鋼板と、前記鋼板を覆い、かつ、アルミニウム及び亜鉛を含有するめっき層と、前記めっき層を覆う下塗層と、前記下塗層を覆う上塗層と、を含む。前記下塗層は、架橋を有する第一ポリエステル樹脂と、ポリエステルポリオールである第一軟質樹脂とを含み、かつ、ガラス転移温度が50℃以上である。前記上塗層は、架橋を有する第二ポリエステル樹脂と、ポリエステルポリオールである第二軟質樹脂と、粒子状ワックスとを含む。
本開示に係る建材は、金属部材を含み、前記金属部材は、上記塗装めっき鋼板製である。
本開示によると、加工性及び耐傷付性が優れた塗装めっき鋼板と、この塗装めっき鋼板製の金属部材を含む建材とを提供できる。
図1は、本開示の一態様に係る塗装めっき鋼板を示す概略の断面図である。 図2は、塗装めっき鋼板をレベラー加工する様子を示す説明図である。 図3A及び図3Bは、本開示の一態様に係る建材の一例を示す概略の断面図である。
1.本開示の概要
本実施形態に係る塗装めっき鋼板1は、図1に示すように、鋼板2と、鋼板2を覆い、かつ、アルミニウム及び亜鉛を含有するめっき層3と、めっき層3を覆う下塗層4と、下塗層4を覆う上塗層5と、を含む。下塗層4は、架橋を有する第一ポリエステル樹脂と、ポリエステルポリオールである第一軟質樹脂とを含み、かつ、ガラス転移温度が50℃以上である。上塗層5は、架橋を有する第二ポリエステル樹脂と、ポリエステルポリオールである第二軟質樹脂と、粒子状ワックスとを含む。
本実施形態では、下塗層4が第一軟質樹脂を含み、かつ、上塗層5が第二軟質樹脂を含むことで、下塗層4及び上塗層5の柔軟性を向上させられる。そのため、塗装めっき鋼板1に曲げ加工等の加工を施す際に、下塗層4及び上塗層5にひび割れ(クラック)が生じることを抑制できる。また上塗層5が粒子状ワックスを含むことにより、下塗層4の表面を滑り易くすることができ、上塗層5の耐傷付性を向上させられる。また下塗層4のガラス転移温度が50℃以上であることで、下塗層4の耐傷付性を向上させられる。すなわち本実施形態では、上塗層4の表面の滑り易さと、下塗層4のガラス転移温度とによって、塗装めっき鋼板1の耐傷付性を向上させることができる。
また本実施形態に係る建材100は、上記塗装めっき鋼板1製の金属部材10を含む。
塗装めっき鋼板1を用いて建材100を製造する場合、この塗装めっき鋼板1には、曲げ加工等の加工が施される。本実施形態の塗装めっき鋼板1では、曲げ加工等の加工が施されても、下塗層4及び上塗層5にひび割れが生じにくい。このため、建材100に含まれる金属部材10の下塗層4及び上塗層5にひび割れが生じにくくすることができる。
2.塗装めっき鋼板の詳細
以下、本実施形態の塗装めっき鋼板1の構成を更に詳しく説明する。塗装めっき鋼板1は、上述の通り、鋼板2、めっき層3、下塗層4、及び上塗層5を含む。
2-1.鋼板
鋼板2は、特に限定されない。鋼板2は、例えば、低炭素鋼板、高炭素鋼板、または高張力鋼板である。
2-2.めっき層
めっき層3は、上述の通り、鋼板2を覆っている。めっき層3を作製する方法は、例えば溶融めっき法を採用できる。
めっき層3は、アルミニウム及び亜鉛を含有している。めっき層3は、アルミニウム及び亜鉛以外の成分を更に含有していてもよい。めっき層3は、例えば、マグネシウム及びケイ素のうち一方又は両方の成分を含有してもよい。めっき層3は、ストロンチウム、鉄、アルカリ土類元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素、チタン、及びホウ素からなる群から選択される一種以上の成分を含有してもよい。アルカリ土類元素の例には、ベリリウム、カルシウム、バリウム、及びラジウムが含まれる。ランタノイド元素の例には、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、及びユウロピウムが含まれる。めっき層3は、これらの成分のうち一種以上を含んでもよい。めっき層3は、クロムを含有してもよく、含有しなくてもよい。
めっき層3に含まれるアルミニウムの量は、好ましくは25質量%以上75質量%以下であり、より好ましくは45質量%以上65質量%以下である。
めっき層3がマグネシウムを含む場合、めっき層3に含まれるマグネシウムの量は、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上3質量%以下である。この場合、塗装めっき鋼板1の端面耐食性を向上させることができる。めっき層3がマグネシウムを含む場合、めっき層3の柔軟性が低くなる傾向があり、塗装めっき鋼板1の加工性が低くなる傾向がある。これに対して本実施形態の塗装めっき鋼板1では、下塗層4に含まれる第一軟質樹脂及び上塗層5に含まれる第二軟質樹脂によって、下塗層4及び上塗層5の柔軟性を向上させることができる。このため、めっき層3にマグネシウムが含まれる場合であっても、塗装めっき鋼板1の加工性を向上させることができる。
めっき層3がケイ素を含む場合、めっき層3に含まれるアルミニウムの量に対するケイ素の量は、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。
2-3.下塗層
下塗層4は、上述の通り、めっき層3を覆っている。本実施形態では、下塗層4はめっき層3に直接接触している。下塗層4は、下塗塗料の硬化物であることが好ましい。下塗塗料には、ポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂(A)ともいう)及び架橋剤(以下、架橋剤(B)ともいう)が含まれる。下塗塗料には、更に第一軟質樹脂が含まれる。
ポリエステル樹脂(A)には、公知のポリエステル樹脂塗料に含まれるポリエステル樹脂が含まれ得る。ポリエステル樹脂(A)は、例えば、多価カルボン酸とポリオールとの重縮合体を含み得る。本実施形態ではポリエステル樹脂(A)が、水酸基を有するポリエステル樹脂を含むことが好ましい。この水酸基は、後述の架橋剤(B)との反応に用いられ得る。
ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が60℃以上である水酸基を有するポリエステル樹脂(A1)を10重量%以上含有することが好ましい。この場合、下塗層4のガラス転移温度が低くなり過ぎることを抑制できる。そのため、下塗層4の耐傷付性を向上させられる。ポリエステル樹脂(A1)は、ガラス転移温度が65℃以上75℃以下である水酸基を有するポリエステル樹脂(A2)を15重量%以上30重量%以下含有することがより好ましい。この場合、下塗層4のガラス転移温度が低くなり過ぎることを特に抑制でき、下塗層4の耐傷付製を特に向上させられる。さらに、下塗塗料の硬化性を確保しやすい。ポリエステル樹脂(A1)の数平均分子量は、10000以上30000以下であることが好ましく、17000以上25000以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(A1)の水酸基価は、5mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であることが好ましく、7mgKOH/g以上13mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が60℃未満である水酸基を有するポリエステル樹脂(A3)を90重量%以下含有できる。例えば、ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が40℃以上60℃未満である水酸基を有するポリエステル樹脂(A4)を含有することが好ましく、ガラス転移温度が45℃以上55℃以下である水酸基を有するポリエステル樹脂(A5)を含有することが好ましい。この場合、下塗塗料のガラス転移温度が高くなり過ぎることを抑制できる。そのため、下塗層4の柔軟性、及び下塗塗料の硬化性を確保できる。ポリエステル樹脂(A3)の数平均分子量は、1500以上6000以下であることが好ましく、2000以上5000以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(A3)の水酸基価は、20mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがより好ましい。
架橋剤(B)は、ポリエステル樹脂(A)由来の水酸基と架橋可能であれば、特に制限されない。架橋剤(B)の例には、ブロックイソシアネート等のイソシアネート化合物、メチル化メラミン等のメラミン樹脂が含まれる。架橋剤は、イソシアネート化合物のみを含んでいてもよく、メラミン樹脂のみを含んでいてもよく、イソシアネート化合物及びメラミン樹脂を含んでいてもよい。
本実施形態では、架橋剤がブロックイソシアネートを含有することが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂(A)由来の水酸基(-OH)と、ブロックイソシアネート由来のイソシアネート基(-NCO)との反応により、ウレタン結合(-NHCOO-)を形成することができる。これにより、下塗層4の耐傷付性を向上させられる。
ブロックイソシアネートは、例えば、ポリイソシアネートのイソシアネート基を、ブロック剤と反応させることで得られる。ポリイソシアネートとブロック剤とは公知の方法で反応させられる。
ポリイソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートからなる群から選択される一種以上を含有できる。ポリイソシアネートは、単量体でもよく、プレポリマー、アダクト(トリメチロールプロパン等の付加体)、イソシアヌレート体、及びビウレット体等の誘導体でもよい。
ブロック剤は、例えば、活性メチレン系ブロック剤、アミン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、カプロラクタム系ブロック剤からなる群から選択される一種以上を含有できる。
ブロックイソシアネートとして、市販品を使用してもよい。市販品のブロックイソシアネートの例には、住化バイエルウレタン社製の商品名スミジュールBL3175、デスモジュールBL4265、エボニック社製の商品名VESTANAT B1358A等が含まれ得る。
下塗塗料は、下塗塗料全量に対するイソシアネート基(-NCO)の含有量が5重量%以上15重量%以下となるように、ブロックイソシアネートを含むことが好ましい。この場合、下塗塗料に含まれる各成分由来の水酸基と、ブロックイソシアネート由来のイソシアネート基とを効果的に反応させることができ、下塗層4の耐傷付性を向上させられる。
下塗塗料は第一軟質樹脂を含む。すなわち下塗層4は第一軟質樹脂を含む。この第一軟質樹脂は、ポリエステルポリオールである。第一軟質樹脂は、下塗層4に柔軟性を付与することができ、塗装めっき鋼板1の加工性を向上させられる。また下塗層4の耐傷付性も向上させられる。その理由として、架橋剤(B)がブロックイソシアネートを含有する場合には、ポリエステルポリオール由来の水酸基と、上述のブロックシアネートのイソシアネート基とが反応することが考えられる。
ポリエステルポリオールは、例えば、低分子量のポリオールと、多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体との直接エステル化反応及び/又はエステル交換反応により得られる。ポリエステルポリオールは、例えば、ラクトン類またはヒドロキシカルボン酸化合物の縮重合によって製造され得る。
低分子量のポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、3,5-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールなどの脂肪族ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びテトラメチロールプロパンなどの3価以上の脂肪族又は脂環式アルコールからなる群から選択される一種以上の成分を含有できる。
多価カルボン酸は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2-メチルコハク酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、3-メチルペンタン二酸、2-メチルオクタン二酸、3,8-ジメチルデカン二酸、3,7-ジメチルデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の3量体などのトリカルボン酸類;及びピロメリット酸などのテトラカルボン酸以上のポリカルボン酸からなる群から選択される一種以上の成分を含有できる。
ラクトン類は、例えば、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、及びδ-バレロラクトンからなる群から選択される一種以上の成分を含有できる。
第一軟質樹脂の数平均分子量は、500以上3000以下であることが好ましく、1000以上2000以下であることがより好ましい。第一軟質樹脂の水酸基価は、30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以上110mgKOH/g以下であることがより好ましい。
下塗塗料に含まれる第一軟質樹脂の割合は、ポリエステル樹脂(A)全量に対して、10重量%以上30重量%以下であることが好ましく、10重量%以上18重量%以下であることがより好ましい。この場合、下塗層4の柔軟性を効果的に向上させられ、塗装めっき鋼板1の加工性を効果的に向上させられる。
下塗塗料は、必要に応じて、防錆顔料、着色顔料、溶剤、添加剤等を含有できる。防錆顔料の例には、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸系防錆顔料、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、及びモリブデン酸バリウム等のモリブデン酸系防錆顔料、酸化バナジウム等のバナジウム系防錆顔料、水分散シリカ、カルシウムイオン交換シリカ、及びフュームドシリカ等の微粒シリカ、ストロンチウムクロメート、ジンククロメート、カルシウムクロメート、及びバリウムクロメート等のクロメート系防錆顔料が含まれる。下塗塗料は、これらの防錆顔料のうち一種以上を含有することができる。
着色顔料の例には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、クロム酸塩、カルシウムカーボネート等の無機顔料、シアニングリーン、シアニンブルー等の有機顔料等が含まれる。
溶剤の例には、トルエン、キシレン等の炭化水素系;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;セロソルブ類等のエチル系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤が含まれる。下塗塗料は、これらの溶剤のうち一種以上の成分を含有できる。
添加剤の例には、消泡剤、顔料分散剤、タレ防止剤、レベリング剤、シランカップリング剤、体質顔料が含まれる。体質顔料の例には、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタニアが含まれる。下塗塗料は、これの添加剤のうち一種以上の成分を含有できる。
下塗塗料は、上記のポリエステル樹脂(A)と、架橋剤と、第一軟質樹脂と、必要に応じて顔料、溶剤、添加剤とを混合することで、作製され得る。
下塗層4は、例えば、めっき層3上に下塗塗料を塗布した後、加熱硬化させることで作製できる。めっき層3上に下塗塗料を塗布する方法としては、ロールコート、カーテンフローコート、スプレー塗装などの適宜の塗布方法が採用され得る。下塗塗料の加熱温度は、最高到達温度が200℃以上260℃以下であることが好ましい。下塗塗料の塗膜の加熱時間は15秒以上90秒以下であることが好ましい。
このようにして作製された下塗層4には、第一ポリエステル樹脂と、第一軟質樹脂が含まれる。第一ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂(A)と架橋剤との反応物を含む。このため、第一ポリエステル樹脂は架橋を有する。架橋剤がブロックイソシアネートを含有する場合、第一ポリエステル樹脂は、架橋としてウレタン結合を有する。
また下塗層4のガラス転移温度は、50℃以上であり、60℃以上であることがより好ましい。この場合、下塗層4に傷が付きにくくなり、下塗層4の耐傷付性を向上させることができる。また下塗層4のガラス転移温度は、80℃以下であることが好ましく、75℃以下であることがより好ましい。この場合、下塗層4の柔軟性を確保できる。すなわち本実施形態では、下塗層4のガラス転移温度が50℃以上80℃以下であることにより、下塗層4の耐傷付性と柔軟性を両立させることができる。
下塗層4の厚みは、3μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。この場合、下塗層4の柔軟性及び耐傷付性を効果的に向上させることができる。
2-4.上塗層
上塗層5は、上述の通り、下塗層4を覆っている。本実施形態では、上塗層5は下塗層4に直接接触している。上塗層5は、上塗塗料の硬化物である。本実施形態の上塗塗料は、水酸基を有するポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂(C)ともいう)と、イソシアネート基を有する架橋剤(以下、架橋剤(D)ともいう)とを含有する。上塗塗料は、更に第二軟質樹脂を含む。
ポリエステル樹脂(C)は、公知のポリエステル樹脂塗料に含まれるポリエステル樹脂のうち、水酸基を有するポリエステル樹脂を含み得る。
ポリエステル樹脂(C)は、例えば、ガラス転移温度が10℃以上50℃以下である水酸基を有するポリエステル樹脂(C1)を10重量%以上50重量%以下含有することが好ましい。この場合、上塗層5の耐傷付性、柔軟性、及び耐候性を向上させることができる。ポリエステル樹脂(C1)の数平均分子量は、1,000以上6,000以下の範囲内であることが好ましい。ポリエステル樹脂(C1)の水酸基価は、40mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、60mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが好ましい。
架橋剤(D)は、水酸基を有するポリエステル樹脂(C)と架橋可能で、かつ、イソシアネート基をしていれば、特に制限なく用いられる。ポリエステル樹脂(C)由来の水酸基(-OH)と、架橋剤(D)由来のイソシアネート基(-NCO)との反応により、ウレタン結合(-NHCOO-)を形成することができる。これにより、上塗層5の耐傷付性を向上させられる。架橋剤(D)は、例えば、ブロックイソシアネートを含有できる。上塗塗料がブロックイソシアネートを含有する場合、上塗塗料中のブロックイソシアネートが、下塗塗料中のブロックイソシアネートと同じでもよく、異なっていてもよい。
上塗塗料は、上塗塗料に対するイソシアネート基(-NCO)の含有量が5重量%以上15重量%以下となるように、ブロックイソシアネートを含むことが好ましい。この場合、上塗塗料に含まれる各成分由来の水酸基と、ブロックイソシアネート由来のイソシアネート基とを効果的に反応させることができ、上塗層5の耐傷付性を向上させられる。
上塗塗料は、第二軟質樹脂を含む。すなわち上塗層5は第二軟質樹脂を含む。この第二軟質樹脂は、ポリエステルポリオールである。第二軟質樹脂は、上塗層5に柔軟性を付与することができ、塗装めっき鋼板1の加工性を向上させられる。また上塗層5の耐傷付性も向上させられる。その理由としては、ポリエステルポリオール由来の水酸基と、上述のブロックシアネートのイソシアネート基とが反応することが考えられる。第二軟質樹脂は、下塗塗料に含まれる第一軟質樹脂であるポリエステルポリオールと同様の材料を用いることができる。
第二軟質樹脂の数平均分子量は、500以上3000以下であることが好ましく、1000以上2000以下であることがより好ましい。第二軟質樹脂の水酸基価は、30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以上110mgKOH/g以下であることがより好ましい。
上塗塗料に対する第二軟質樹脂の割合は、ポリエステル樹脂(B)全量に対して、5重量%以上20重量%以下であることが好ましく、10重量%以上18重量%以下であることが好ましい。この場合、上塗層5の柔軟性を効果的に向上させられ、塗装めっき鋼板1の加工性を効果的に向上させられる。
上塗塗料は、粒子状ワックスを含む。この場合、上塗層5の表面に、粒子状ワックスの一部を露出させることができる。それにより、上塗層5の表面の滑り性を向上させられ、上塗層5の耐傷付性を向上させられる。上塗層5に粒子状ワックスが含まれない場合、塗装めっき鋼板1に連続ロールフォーミング等の成型加工を施す際に、上塗層5のムシレ、スクラッチ(擦り傷)等が生じることがある。これは、加工用ロールと上塗層5との間の摩擦抵抗が大きいためである。それに対して、本実施形態の上塗層5は、表面に粒子状ワックスの一部が露出し、上塗層5の表面の滑り性が向上しているため、上塗層5のムシレ、スクラッチ等が生じにくい。
粒子状ワックスは、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、及びフィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンックス等の合成炭化水素系ワックスからなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。本実施形態では、粒子状ワックスが、ポリテトラフルオロエチレンワックスであることが好ましい。この場合、上塗層5の表面の滑り性を特に向上させることができ、上塗層5の耐傷付性を特に向上させることができる。本実施形態の上塗塗料は、粒子状ワックスとして、ポリテトラフルオロエチレンワックスのみを含有することも好ましい。
粒子状ワックスの90%径(D90)は、5μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。この場合、上塗層5の表面から粒子状ワックスを脱落しにくくすることができる。製造後の塗装めっき鋼板1は、例えば円筒状に巻き取られる(図2参照)。この塗装めっき鋼板1を平坦に矯正する場合、レベラー100が備える複数のロール10で押圧される。粒子状ワックスの90%径(D90)が5μmよりも大きい場合、上塗層5の表面からワックスが脱落することがあり、ロール10の表面にワックスが付着・堆積することがある。ロール10の表面にワックスが付着・堆積したまま、塗装めっき鋼板1を押圧し続けると、塗装めっき鋼板1の表面汚染、固まったワックスによる押し込み傷等が生じることがある。ロール10を頻繁に清掃することで、これらを抑制できるが、生産効率が低下する。それに対して本実施形態では、粒子状ワックスの90%径(D90)が5μm以下であることにより、粒子状ワックスの脱落が抑制されるため、塗装めっき鋼板1の表面汚染、固まったワックスによる押し込み傷等を抑制することができる。またロール10の清掃頻度が少なくなるため、生産効率を向上させることができる。また粒子状ワックスの50%径(D50)は、3μm以下であることが好ましい。なお、粒子状ワックスの90%径(D90)及び50%径(D50)とは、それぞれ粒子状ワックスのレーザー回折・散乱法粒子径分布における体積基準の積算分率における90%径及び50%径を意味し、例えば、レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製の品番マイクロトラックFRA)によって測定することができる。
上塗塗料は粒子状ワックスを0.3重量%以上2.0重量%以下含有することが好ましく、0.7重量%以上1.5重量%以下含有することが好ましい。この場合、上塗層5の表面の滑り性を効果的に向上させられ、上塗層5の耐傷付性を効果的に向上させられる。
上塗塗料は、必要に応じて、顔料、溶剤、添加剤などを含有することができる。
顔料としては、塗装鋼板の上塗層に含まれる一般的な着色顔料を用いることができる。このような着色顔料の例には、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe、Fe)等の無機着色顔料、ハンザエロー、ピラゾロンオレンジ、アゾ系顔料等の有機着色顔料が含まれる。上塗塗料は、これらの着色顔料のうち一種以上を含むことができる。
溶剤の例には、水;トルエン、キシレンなどの炭化水素系;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;セロソルブ類などのエチル系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤が含まれる。下塗塗料は、これらの溶剤のうち一種以上の成分を含有することができる、
添加剤の例には無機フィラー、有機フィラー、体質顔料などを用いることができる。無機フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、窒化ホウ素などを用いることができる。有機フィラーとしては、例えば、平均粒径が1μm以上50μm以下であるアクリル樹脂ビーズ、ナイロンビーズなどの熱可塑性樹脂ビーズが挙げられる。
上塗塗料は、上記のポリエステル樹脂(B)と、架橋剤と、第二軟質樹脂と、粒子状ワックスと、必要に応じて顔料、溶剤、添加剤とを混合することで、作製され得る。
上塗層5は、例えば、下塗層4上に上塗塗料を塗布した後、加熱硬化させることで作製できる。下塗層4上に上塗塗料を塗布する方法としては、ロールコート、カーテンフローコート、スプレー塗装等の適宜の塗布方法が採用され得る。上塗塗料の加熱温度は、最高到達温度が200℃以上250℃以下であることが好ましい。塗膜の加熱時間は20秒以上90秒以下であることが好ましい。
このようにして作製された上塗層5は、第二ポリエステル樹脂と、第二軟質樹脂と、粒子状ワックスとが含まれる。第二ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂(B)と架橋剤との反応物を含む。このため、第二ポリエステル樹脂は架橋を有する。架橋剤がブロックイソシアネートを含有する場合、第二ポリエステル樹脂は、架橋としてウレタン結合を有する。
上塗層5のガラス転移温度は、10℃以上60℃以下であることが好ましく、20℃以上50℃以下であることがより好ましい。この場合、上塗層5の耐傷付性、柔軟性、耐候性を確保することができる。
上塗層5の厚みは、10μm以上25μm以下の範囲内であることが好ましい。この場合、上塗層5の柔軟性、耐傷付性、耐候性を効果的に向上させることができる。
2-5.塗装めっき鋼板
上記の通り、鋼板2を覆うめっき層3上に下塗層4を設け、更に下塗り層4上に上塗層5を設けることにより、本実施形態の塗装めっき鋼板1を作製することができる。
2-6.変形例
塗装めっき鋼板1の構成は、上述の構成に限定されない。
例えば図1には、鋼板2の一面上に設けられためっき層3、下塗層4、及び上塗層5が示されているが、鋼板2の他面上にもめっき層3、下塗層4、及び上塗層5が設けられていてもよい。すなわち、鋼板2の両面に、めっき層3、下塗層4、及び上塗層5が設けられていてもよい。
例えば塗装めっき鋼板1が、鋼板2、めっき層3、下塗層4、及び上塗層5以外の層を備えていてもよい。例えば、めっき層3と下塗層4との間に、めっき層3の化成処理によって作製される化成処理皮膜が設けられていてもよい。例えば鋼板2とめっき層3との間に合金層が設けれらていてもよい。例えば下塗層4と上塗層5との間に、中塗層が設けられていてもよい。中塗層は、エポキシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料等の公知の塗料から形成され得る。中塗層は、エポキシ樹脂系塗料及びポリエステル樹脂系塗料以外の塗料から形成されてもよい。
また上述の塗装めっき鋼板1を製造する方法では、めっき層3上に形成した下塗塗料の塗膜を加熱硬化させて下塗層4を形成した後に、下塗層4上に形成した上塗塗料の塗膜を加熱硬化させて上塗層5を形成しているが、これに限定されない。例えば、めっき層3上に下塗塗料の塗膜を形成した後、下塗塗料の塗膜上に上塗塗料の塗膜を形成して、下塗塗料の塗膜及び上塗塗料の塗膜を同時に加熱硬化させることで、下塗層4及び上塗層5を同時に作製してもよい。
3.建材の詳細
本実施形態の建材100は、上述の通り、金属部材10を含む。この金属部材10は、上記塗装めっき鋼板1製である。すなわち、塗装めっき鋼板1は建材用である。
建材100の例には、雨戸、ドア、物置、雨樋等の建材加工品、サイディング、サンドイッチパネル等の外壁材、屋根材等が含まれる。
図3Aは、サンドイッチパネルである建材100を示す。この建材100は、金属部材10からなる一対の金属外皮と、一対の金属外皮間にある芯材11とを備える。金属部材10は塗装めっき鋼板1から作製される。図3Aに示すように、金属外皮は加工部12を備える。加工部12は、塗装めっき鋼板1に曲げ加工が施されることによって作製され、詳細には、塗装めっき鋼板1に鋭角な曲げ加工(90度以上の曲げ加工)が施されることによって作製される。
図3Bは、屋根材である建材100を示す。この建材100は、塗装めっき鋼板1から作製された金属部材10で構成されている。すなわち建材100自体が塗装めっき鋼板1製であってもよい。図3Bに示すように、金属部材10は加工部12を備える。加工部12は、塗装めっき鋼板1に曲げ加工が施されることによって作製され、詳細には、塗装めっき鋼板1に鋭角な曲げ加工(90度以上の曲げ加工)が施されることによって作製される。
図3A及び図3Bに示す建材100を作製する過程においては、鋭角な曲げ加工等の種々の曲げ加工が塗装めっき鋼板1に施される。本実施形態の塗装めっき鋼板1は加工性に優れるため、塗装めっき鋼板1に曲げ加工を施しても、下塗層4及び上塗層5にひび割れ(クラック)が生じにくい。このため、建材100に含まれる金属部材10の下塗層4及び上塗層5に、ひび割れが生じにくくすることができる。
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1から8、比較例1から3)
鋼板及びめっき層を備えるめっき鋼板として、「エスジーエル(登録商標)」(日鉄住金鋼板株式会社製、板厚:0.5mm、両面付着量:150g/m)(以下、SGL)を用意した。
下記の表1に示す組成を有する下塗塗料及び上塗塗料を用意した。
めっき層上に、バーコーターで下塗塗料を塗布して塗膜を形成した、この塗膜を、最高到達温度235℃になるように40秒間加熱することで塗膜を硬化させて、厚み5μmの下塗層を形成した。
下塗層上に、バーコーターで上塗塗料を塗布して塗膜を形成した。この塗膜を、最高到達温度が235℃になるように50秒間加熱することで塗膜を硬化させて、厚み20μmの上塗層を形成した。
このようにして、実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板を作製した。
なお、表1に記載されている下塗塗料及び上塗塗料に含まれる各成分の詳細は、以下の通りである。
・ポリエステル樹脂1:LH822-01(商品名、エボニック社製)(ガラス転移温度:17℃、水酸基価:50mgKOH/g、数平均分子量:5,000)。
・ポリエステル樹脂2:VYLON29XS(商品名、東洋紡社製)(ガラス転移温度:72℃、水酸基価:7mgKOH/g、数平均分子量:22,000)。
・ポリエステル樹脂3:LH820-16(商品名、エボニック社製)(ガラス転移温度:55℃、水酸基価:20mgKOH/g、数平均分子量:5,000)。
・ポリエステル樹脂4:ALKYNOL TPLS2013(水酸基価:94mgKOH/g、数平均分子量:2,350)。
・エポキシ樹脂:jER1004(商品名、三菱ケミカル社製)エポキシ当量:925、数平均分子量:1,650)。
・架橋剤:ブロックイソシアネート。
・軟質樹脂1:DESMOPHEN C1200(商品名、コベストロ社製)(水酸基価:56.1mgKOH/g)。
・軟質樹脂2:DESMOPHEN C1100(商品名、コベストロ社製)(水酸基価:109mgKOH/g)。
・ワックス1:KTL-1N(商品名、喜多村社製)(90%径(D90):3.3μm)。
(評価)
実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板の、下塗層及び上塗層のガラス転移温度、加工性、耐傷付性、レベラー汚染、耐候性を評価した。各評価の評価方法及び評価基準は以下の通りである。
(ガラス転移温度)
実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板から、下塗層及び上塗層を剥がしとり、下塗層及び上塗層のガラス転移温度を、TMA(Thermomechanical Analysis)法による針進入法にて測定した。その結果を下記の表1に示す。
(加工性)
実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板から50mm×150mmの試験片を切り出した。この試験片を、塗膜(上塗層及び下塗層)を外側にして、0.5mm厚の鋼板をn枚挟むようにして、180度折り曲げた。折曲げ後の試験片の塗膜を10倍ルーペで目視で観察した。クラックが生じなくなる鋼板の枚数(ノークラックT数)を測定し、以下の基準で評価した。その結果を下記の表1に示す。
A:ノークラックT数が6以下。
B:ノークラックT数が7以上。
(耐傷付性)
実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板の表面を、新東科学株式会社製の連続荷重式引掻強度試験機(先端の直径が0.3mmのダイヤモンド針を使用)で引掻いた。下塗層が露出するのに要する荷重を測定し、以下の基準で評価した。その結果を下記の表1に示す。
A:下塗層が露出するのに要する荷重が900g以上。
B:下塗層が露出するのに要する荷重が900g未満。
(レベラー汚染)
実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板の表面上で、レスカ社製のフリクションプレーヤーを用いて、軌跡がらせん状になるように、ステンレス球を摺動させた。摺動距離は20mとした。摺動後のステンレス球の状態を確認して、以下の基準で評価した。その結果を下記の表1に示す。
A:ステンレス球に、ワックス、屑などがほとんど付着していない。
B:ステンレス球に、ワックス、屑などが付着している。
(耐候性)
実施例1から8及び比較例1から3の塗装めっき鋼板について、超促進耐候性試験機(岩崎電気製、型番SUV-F2)および耐湿試験機(スガ試験機株式会社製、型番CT-3)を用い、照射時間24時間、ブラックパネル温度63℃、紫外線強度100mW/cm2の条件でのUV照射試験と、試験時間24時間、槽内温度50℃、槽内湿度98%以上の条件での湿潤試験を1サイクルとする試験サイクルを10サイクル繰り返して行った。
試験後の塗装めっき鋼板の上塗層にセロハン粘着テープを貼着した後、これを引き剥がした場合の、上塗層の剥離の有無を確認し、その結果を下記基準により評価した。
A:上塗層の剥離が認められない。
B:上塗層の剥離が、上塗層の5%未満の領域で認められる。
C:上塗層の剥離が、上塗層の5%以上30%未満の領域で認められる。
D:上塗層の剥離が、上塗層の30%以上の領域で認められる。
また、上塗層の光沢及び色相を、促進耐候性試験前と試験後にそれぞれ測定し、これに基づいて光沢保持率及び色相変化を導出した。その結果を下記基準により評価した。光沢と色差は色差計(スガ試験機株式会社製 色差計SM45型)を使用して測定した。光沢の保持率(%)は、試験後の60°鏡面光沢に基づいて導出した値である。色相変化は、ハンター色差式により導出された試験前後の色調変化(△E)である。
光沢保持率
A:70%以上。
B:50%以上70%未満。
C:30%以上50%未満。
D:30%未満。
色相変化
A:3.0以下。
B:3.0より大きく、6.0以下。
C:6.0より大きく、9.0以下。
D:9.0より大きい。
Figure 0007444926000001
1 塗装めっき鋼板
2 鋼板
3 めっき層
4 下塗層
5 上塗層
100 建材

Claims (9)

  1. 鋼板と、
    前記鋼板を覆い、かつ、アルミニウム及び亜鉛を含有するめっき層と、
    前記めっき層を覆う下塗層と、
    前記下塗層を覆う上塗層と、を含み、
    前記下塗層は、水酸基を有するポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂(A)と、イソシアネート化合物を含有する架橋剤(B)と、ポリエステルポリオールとを含有する下塗塗料の硬化物であり、かつ、ガラス転移温度が50℃以上であり、
    前記下塗塗料に含有されるポリエステルポリオールは、水酸基価が50mgKOH/g以上110mgKOH/g以下のポリカーボネートポリエステルポリオールであり、
    前記上塗層は、水酸基を有するポリエステル樹脂(C)と、イソシアネート基を有する架橋剤(D)と、ポリエステルポリオールと、粒子状ワックスとを含有する上塗塗料の硬化物であり、
    前記上塗塗料に含有されるポリエステルポリオールは、水酸基価が50mgKOH/g以上110mgKOH/g以下のポリカーボネートポリエステルポリオールである、
    塗装めっき鋼板。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が60℃以上である水酸基を有するポリエステル樹脂(A1)を10重量%以上含有する、
    請求項1に記載の塗装めっき鋼板。
  3. 前記架橋剤(B)は、ブロックイソシアネートを含有する、
    請求項1又は2に記載の塗装めっき鋼板。
  4. 前記粒子状ワックスが、ポリテトラフルオロエチレンワックスである、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の塗装めっき鋼板。
  5. 前記粒子状ワックスの90%径(D90)が、5μm以下である、
    請求項4に記載の塗装めっき鋼板。
  6. 前記上塗層のガラス転移温度が、10℃以上60℃以下である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の塗装めっき鋼板。
  7. 建材用である、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の塗装めっき鋼板。
  8. 金属部材を含み、
    前記金属部材は、請求項1から7のいずれか一項に記載の塗装めっき鋼板製である、
    建材。
  9. 鋼板と、
    前記鋼板を覆い、かつ、アルミニウム及び亜鉛を含有するめっき層と、
    前記めっき層を覆う、ガラス転移温度が50℃以上の下塗層と、
    前記下塗層を覆う上塗層と、を含む塗装めっき鋼板の製造方法であり、
    水酸基を有するポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂(A)と、イソシアネート化合物を含有する架橋剤(B)と、ポリエステルポリオールとを含有する下塗塗料をめっき層上に塗布した後、加熱硬化させることで前記下塗層を作製し、
    前記下塗塗料に含有されるポリエステルポリオールは、水酸基価が50mgKOH/g以上110mgKOH/g以下のポリカーボネートポリエステルポリオールであり、
    水酸基を有するポリエステル樹脂(C)と、イソシアネート基を有する架橋剤(D)と、ポリエステルポリオールと、粒子状ワックスとを含有する上塗塗料を下塗層上に塗布した後、加熱硬化させることで前記上塗層を作製し、
    前記上塗塗料に含有されるポリエステルポリオールは、水酸基価が50mgKOH/g以上110mgKOH/g以下のポリカーボネートポリエステルポリオールである、
    塗装めっき鋼板の製造方法。
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