JP7123111B2 - 意匠性塗料組成物 - Google Patents
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Description
本開示の目的は、低光沢、かつ、高耐候性を有する塗膜の形成に寄与できる塗料組成物を提供することにある。
[1]
少なくとも塗膜形成樹脂(A)及び架橋剤(B)を含む塗料組成物であり、
該塗料組成物を硬化させた塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上
であることを特徴とする塗料組成物。
[2]
更に、スルホン酸(C)、アミン化合物(D)及び骨材(E)を含む、[1]に記載の塗料組成物。
[3]
前記塗膜形成樹脂(A)は、水酸基を有する樹脂であり、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの変性物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載の塗料組成物。
[4]
前記架橋剤(B)は、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[5]
前記架橋剤(B)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、樹脂固形分として5質量部以上100質量部以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[6]
前記スルホン酸(C)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、1.0質量部以上18.0質量部以下である、[2]~[5]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[7]
前記アミン化合物(D)は、沸点50℃以上250℃以下の2級又は3級アミンである、[2]~[6]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[8]
前記アミン化合物(D)による、前記スルホン酸(C)の酸基の中和率は、300%以上3,000%以下である、[2]~[7]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[9]
前記骨材(E)は、アクリル樹脂粒子、ガラスビーズ、アクリロニトリル樹脂粒子、尿素樹脂粒子、セラミック繊維及びシリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[2]~[8]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[10]
前記骨材(E)は、アクリル樹脂粒子、尿素樹脂粒子及びシリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
シリカ粒子の粒子径は、1μm以上20μm以下である、[2]~[9]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[11]
鋼板及び前記鋼板の少なくとも一方の表面上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜は、少なくとも塗膜形成樹脂(A)と、架橋剤(B)とを含む塗料組成物より形成され、
前記塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上、
であることを特徴とする塗装鋼板。
[12]
鋼板及び前記鋼板の少なくとも一方の表面上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜は、[1]~[10]のいずれか1つに記載の塗料組成物より形成され、
前記塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上、
であることを特徴とする塗装鋼板。
[13]
[1]~[10]のいずれか1つに記載の塗料組成物を、被塗物に塗装する塗装工程、及び
塗装後の塗料組成物を150℃以上270℃以下の温度で乾燥及び/又は硬化させることを含む、
塗膜の製造方法。
該塗料組成物を硬化させた塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上
であることを特徴とする。
本開示の塗料組成物を用いることにより、本開示の塗料組成物を硬化させて得られた塗膜において、光沢が低くなり、かつ、耐候性が良好になる。これは、特定の理論に限定して解釈すべきではないが、以下のように考えられる。本開示の塗料組成物により形成される塗膜は、その表面において特定の算術平均高さ(Ra)及び展開面積比(Sdr)を有する凹凸構造を有する。このような塗膜では、表面積が増加するため、単位面積当たりの紫外線の受光量は減少し、その結果、塗膜の劣化を抑制できると考えられる。更に、本開示の塗料組成物より形成された塗膜が建築部材等に用いられた場合に、紫外線に照射される時間を短くすることができ、その結果、塗膜の劣化を抑制できる。これは、該塗膜が凹凸構造を有するために、ある時刻には太陽に直接照射されていた箇所が、別の時刻には太陽に直接照射されなくなるためと考えられる。更に、塗膜の表面に凹凸構造を有するため、塗膜表面上で光の乱反射が生じ、その結果、塗膜の光沢を低減できるとともに、光が散乱するために塗膜の内部への光の入射を抑制でき、塗膜内部からの劣化も防ぐことができると考えられる。
展開面積比(Sdr)={(A-B)/B}×100[%]
A:測定領域における実際の凹凸が反映された表面積(展開面積)
B:測定領域における凹凸のない平面の面積
塗膜形成樹脂(A)は、架橋剤(B)と反応し得る官能基を有し、かつ、塗膜形成能を有する樹脂である限り特に制限されない。
本開示の塗料組成物が、複数種の塗膜形成樹脂(A)を含む場合、全塗膜形成樹脂(A)の水酸基価が上記範囲内にあることが好ましい。
別の態様においては、本開示の塗料組成物が、複数種の塗膜形成樹脂(A)を含む場合、塗膜形成樹脂(A)の水酸基価の平均値が上記範囲内に含まれ得る。
数平均分子量がこのような範囲内であることにより、白ボケ感のない均一な艶消し外観が得られやすくなる。本開示中において、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算により求めた値である。
一実施態様において、ポリエステル樹脂の水酸基価は、例えば5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であってもよく、5mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であってもよい。水酸基価が上記範囲内にあることで、得られる塗膜の加工性及び耐候性が優れるという利点がある
ポリエステル樹脂がこのような数平均分子量を有することにより、ポリエステル樹脂と架橋剤(B)との架橋反応が十分に進行し、高い耐湿性を有する塗膜を形成できる。また、上記のような数平均分子量のポリエステル樹脂を有することにより、形成される塗膜の架橋密度が高くなりすぎることを抑制でき、十分な伸び率を有する塗膜を形成でき、例えば、十分な折り曲げ加工性を有する塗膜を形成できる。また更に、上記のような数平均分子量のポリエステル樹脂を有することにより、本開示の塗料組成物は適切な粘度を有し得、取り扱い性が良好となり得る。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、形成される塗膜の透湿性が過度に高くなることなく、塗膜の耐湿性が十分となる。
固形分酸価がこのような範囲であることにより、例えば、耐加水分解性を向上させることができ、耐湿性を有する塗膜を形成できる。
多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール又は1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル-2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネート(BASHPN)、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-(ヒドロキシエチル)イソシアネート等を挙げることができる。多価アルコールは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸の具体例としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、無水エンド酸等を挙げることができる。多塩基酸は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂及び水酸基含有ポリエステル樹脂変性物として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ベッコライト46-118、ベッコライトM-6205-50、ベッコライトM-6401-52、ベッコライトM-6402-50(いずれもDIC社製)、バイロン220、バイロンUR3500、バイロンUR5537、バイロンUR8300、バイロンUR4410、バイロンGK13CS(いずれも東洋紡社製)等を挙げることができる。
一実施態様において、アクリル樹脂の水酸基価は、例えば、5mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であってもよく、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であってもよく、例えば、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であってもよい。
アクリル樹脂がこのような数平均分子量を有することにより、アクリル樹脂と架橋剤(B)との架橋反応が十分に進行し、高い耐湿性を有する塗膜を形成できる。また、上記のような数平均分子量のアクリル樹脂を用いることにより、形成される塗膜の架橋密度が高くなりすぎることを抑制でき、十分な伸び率を有する塗膜を形成でき、例えば、十分な折り曲げ加工性を有する塗膜を形成できる。また更に、上記のような数平均分子量のアクリル樹脂を用いることによりを有することにより、本開示の塗料組成物は適切な粘度を有し得、取り扱い性が良好となり得る。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、塗膜の透湿性が過度に高くなることなく、塗膜の耐湿性が十分となる。
固形分酸価がこのような範囲であることにより、例えば、耐加水分解性を向上させることができ、耐湿性を有する塗膜を形成できる。
アクリル樹脂の変性物としては、例えば、シリコーン変性アクリル樹脂等の変性アクリル樹脂を挙げることができる。例えば、シリコーン変性アクリル樹脂を例に挙げれば、これは、アクリル樹脂と上記したような有機シリコーンとを反応させることにより調製することができる。有機シリコーンの使用量は、通常、アクリル樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下程度である。
一実施態様において、ウレタン樹脂は水酸基を有する。本態様においては、ウレタン樹脂の水酸基価は、例えば、5mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であってもよく、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であってもよく、例えば、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であってもよい。
ウレタン樹脂がこのような数平均分子量をもつことにより、形成される塗膜の架橋密度が高くなりすぎることを抑制でき、十分な伸び率を有する塗膜を形成でき、例えば、十分な折り曲げ加工性を有する塗膜を形成できる。また更に、上記のような数平均分子量のウレタン樹脂を用いることにより、本開示の塗料組成物は適切な粘度を有し得、取り扱い性が良好となり得る。
ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、塗膜の透湿性が過度に高くなることなく、塗膜の耐湿性が十分となる。
固形分酸価がこのような範囲であることにより、例えば、耐加水分解性を向上させることができ、耐湿性を有する塗膜を形成できる。
ポリオール化合物としては、1分子当たり2個以上の水酸基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル等のポリエーテルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、又はそれらの混合物が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネート、又はそれらの混合物が挙げられる。
鎖伸長剤としては、分子内に1個以上の活性水素を含有する化合物であれば特に限定されず、水又はアミン化合物を適用できる。アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミンや、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンや、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミンや、ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン類や、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタノール、3-アミノプロパンジオール等のアルカノールアミン等が挙げられる。
架橋剤(B)は、塗膜形成樹脂(A)と反応して硬化塗膜を形成する。
架橋剤(B)を上記の量含むことにより、塗膜形成樹脂(A)と架橋剤(B)との架橋反応が良好に進行し、得られる塗膜外観が良好となり、均一な艶消し外観が得られる。また、得られる塗膜の加工性及び耐食性が良好となり得る。
アミノ樹脂(例えば、メラミン樹脂)は、塗膜形成樹脂(A)との架橋反応性に優れており、得られる塗膜外観が特に良好となり、均一な艶消し外観が得られる。また、得られる塗膜の加工性及び耐食性が良好となり得る。
上記メラミン樹脂のなかでも、完全アルキル化型のメラミン樹脂を用いることが好ましく、このような樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル、ブチル混合型メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂等が挙げられ、これらの中では、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル、ブチル混合型メラミン樹脂が好ましい。
上記メラミン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ある態様では、上記メラミン樹脂とポリイソシアネート化合物を併用してもよい。また、必要に応じて、錫化合物、チタン化合物等の金属触媒を用いてもよい。
スルホン酸(C)は、塗膜形成樹脂(A)と架橋剤(B)との反応を促進する触媒であり、加えることによって上記反応時間を短くし得る。また、スルホン酸(C)とアミン化合物(D)とは塩を形成し得る。スルホン酸(C)とアミン化合物(D)との塩は、塗料組成物より形成される塗膜の表面硬化と内部硬化との差を大きくする作用があり、その結果として均一性が高く白ボケの少ない艶消し塗膜を形成することができる。
スルホン酸(C)の含有量が上記範囲内にあることで、均一性が高く白ボケの少ない艶消し塗膜が得られ、かつ、得られた塗膜の耐薬品性が優れるという利点がある。
アミン化合物(D)は、スルホン酸(C)の中和に寄与するために存在し、少なくともその一部が本開示の塗料組成物中にスルホン酸(C)との塩として存在し得る。アミン化合物(D)は、均一な艶消し塗膜を形成することに寄与する。
特定の理論に限定して解釈すべきではないが、中和率が上記のような範囲にあることにより、塗料組成物を焼付ける際にアミン化合物(D)が揮発し、この時にアミン化合物(D)の塩基のカウンターとしてのスルホン酸(C)が、形成される膜の表層に移行して濃化すると考えられる。このようにスルホン酸(C)が表層において濃化することにより、表層における硬化反応が促進され、その結果、塗膜表面の凹凸がより良好に形成され、艶消し外観塗膜が形成されやすくなると考えられる。
別の態様では、スルホン酸(C)とアミン化合物(D)との反応物、例えば、2級又は3級アミンでスルホン酸をブロックしたブロック化スルホン酸化合物の市販品を、塗料組成物に配合してもよい。この場合、アミン化合物(D)を併せて加えることができる。ブロック化スルホン酸化合物の市販品としては、ジノニルナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸と、これらのアミンブロック体を挙げることができる。
また、塗料組成物に、スルホン酸(C)とアミン化合物(D)とを加え、例えば、20~30℃で10~20分間混合してもよい。
なお、本開示において、前記スルホン酸(C)とアミン化合物(D)との塩のような化合物を使用する場合、含有量はスルホン酸換算の量を意味する。
骨材(E)を含むことにより、本開示の塗料組成物より形成される塗膜において、均一性が高く白ボケの少ない艶消し塗膜を安定的に発現させ得る。
骨材(E)を上記の範囲で加えることにより、均一な艶消し塗膜を特に安定的に発現させることができる。
本態様の骨材(E)を含むことにより、本開示の塗料組成物より得られる塗膜において、均一な艶消し塗膜を安定的に発現させ得る。
一実施態様において、骨材(E)はシリカ粒子である。
前記シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上17μm以下、例えば2μm以上15μm以下、2.5μm以上15μm以下であってもよい。なお、本開示において、骨材(E)の平均粒子径は、レーザー散乱法や回折法等を用いた通常の測定機器により求めた体積平均粒子径(D50)を指すものであり、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2300(島津製作所社製)等を使用して測定することができる。
一実施態様において、骨材(E)はアクリル樹脂粒子である。
アクリル樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上20μm以下であり、例えば2μm以上15μm以下、2.5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよい。
一実施態様において、骨材(E)は尿素樹脂粒子である。
尿素樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上20μm以下であり、例えば2μm以上15μm以下、2.5μm以上15μm以下であってもよい。
本開示の塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)に加えて、更に、熱可塑性樹脂を用いることもできる。
熱可塑性樹脂として、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化オレフィン系樹脂;塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等をモノマー成分とする単独重合体又は共重合体;セルロース系樹脂;アセタール樹脂;アルキド樹脂;塩化ゴム系樹脂;変性ポリプロピレン樹脂(酸無水物変性ポリプロピレン樹脂等);フッ素樹脂(例えば、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ素化オレフィンとビニルエーテルとの共重合体、フッ素化オレフィンとビニルエステルとの共重合体)等を挙げることができる。熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂を併用することで、形成される塗膜において、より良好な塗膜物性、例えば、より良好な塗膜強度、伸び等を得ることができる。
好ましい表面調整剤としては、アクリル系、シリコーン系及びフッ素系の界面活性剤等を挙げることができる。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
艶消し外観塗膜は、塗膜の表層部の硬化反応が速いために形成されるが、塗膜の表層部よりも内面側に存在する層(「下層部」ともいう)の流動性が大きすぎると、円形の艶ムラやワレ状肌等の外観不良が生じることがある。表面調整剤を塗料組成物に添加することで、塗膜上下層の反応温度差を保持しながら下層部の流動性を適度な状態に抑制し、上記の塗膜の外観不良を抑制し、均一な縮み肌の形成に寄与し得る。
表面調整剤の含有量は、例えば、塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である。
表面調整剤としては、例えば、ディスパロンOX-70(楠本化成社製)を挙げることができる。
無機系遮熱顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、チタン酸ナトリウム、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化クロム、酸化鉄、酸化銅、酸化セリウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物系顔料;酸化鉄-酸化マンガン、酸化鉄-酸化クロム(例えば、大日精化社製のダイピロキサイドカラーブラック#9595、アサヒ化成工業社製のBlack6350)、酸化鉄-酸化コバルト-酸化クロム(例えば、大日精化社製のダイピロキサイドカラーブラウン#9290、ダイピロキサイドカラーブラック#9590)、酸化銅-酸化マグネシウム(例えば、大日精化社製のダイピロキサイドカラーブラック#9598)、酸化マンガン-酸化ビスマス(例えば、アサヒ化成工業社製のBlack6301)、酸化マンガン-酸化イットリウム(例えば、アサヒ化成工業社製のBlack6303)等の複合酸化物顔料;アルミニウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、チタン、クロム、カルシウム等の金属系顔料;更に、鉄-クロム、ビスマス-マンガン、鉄-マンガン、マンガン-イットリウム等の合金系顔料が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
有機系遮熱顔料としては、例えば、アゾ系顔料、アゾメチン系顔料、レーキ系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料(アントアンスロン顔料、ジアミノアンスラキノニル顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、アントラピリミジン顔料等)、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、キニフタロン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
なお、本開示において、遮熱顔料とは、近赤外波長域(波長:780nm~2,500nm)の光を吸収しないか、又は近赤外波長域(波長:780nm~2,500nm)の光の吸収率が小さい顔料を示す。
本開示の塗料組成物を調製する方法は、特に限定されない。例えば、サンドグラインドミル、ボールミル、ブレンダー、ペイントシェーカー又はディスパー等の混合機、分散機、混練機等を選択して使用し、各成分を混合することにより、調製することができる。
本開示の塗料組成物の塗装の対象となる被塗物は、例えば、溶融法又は電解法等により製造される亜鉛めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、冷延鋼板等の金属板が挙げられる。また、これら鋼板又はめっき鋼板以外に、アルミニウム板(アルミニウム合金板を含む)等の金属板も塗装対象とすることができる。
上記金属板は、表面処理されていることが好ましい。具体的には、上記金属板は、アルカリ脱脂処理、湯洗処理、水洗処理等の前処理が施された後に、化成処理が施されていることが好ましい。化成処理は公知の方法で行ってよく、その例にはクロメート処理、リン酸亜鉛処理等の非クロメート処理等が含まれる。上記表面処理としては、使用する鋼板に応じて適宜選択することができるが、重金属を含まない処理が好ましい。
本開示の塗装鋼板は、鋼板、及び、該鋼板の少なくとも一方の表面に本開示の塗料組成物から形成された塗膜を有する。上記塗料組成物は、少なくとも塗膜形成樹脂(A)と、架橋剤(B)とを含む。上記塗膜の表面において、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上である。
上記下塗り塗料は従来公知のものであってよく、例えば、従来公知の非クロム系防錆塗料等が挙げられる。
下塗り塗膜を有することで、本開示の塗料組成物から形成された塗膜の密着性、耐食性を高めることができる。
ある態様において、下塗り塗膜の膜厚は、3μm以上15μm以下であり、例えば5μm以上10μm以下である。
本開示の塗膜の製造方法は、
被塗物に本開示の塗料組成物を塗装する工程、及び
前記塗料組成物を150℃以上270℃以下の温度で乾燥及び/又は硬化させることを含む。
本発明の塗料組成物からなる塗膜は、塗料組成物を鋼板等の被塗物に塗布した後、被塗物を加熱する焼付け処理を行なうことによって形成することができる。
塗料組成物の塗装は、被塗物に、バーコーター、ロールコーター、ロールカーテンコーター、カーテンフローコーター、ダイコーター又はスプレーガンを用いて行うことができる。
また、塗装後、被塗物を加熱する焼付け処理方法は特に限定しないが、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱等の加熱手段により塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得ることができる。焼付け温度(鋼板等の被塗物が達する最高温度)は、通常180℃以上250℃以下であり、焼付け時間は、通常10秒以上200秒以下である。
本発明の塗料組成物を用いて得られる塗膜の膜厚(乾燥膜厚)は、通常1μm以上30μm以下であり、例えば、上塗り塗膜である場合は、好ましくは10μm以上25μm以下である。
塗膜形成樹脂(A-1)~(A-6)として、それぞれ以下のように調製したものを用いた。
温度計、コンデンサー及び撹拌機を備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール155質量部、1,6-ヘキサンジオール222質量部、トリメチロールプロパン50質量部、イソフタル酸441質量部、アジピン酸132質量部及びキシレン26質量部を混合し、窒素気流中で230℃にまで徐々に昇温し、生成する水を留去しながら、脱水量が126質量部に達し、反応物が所定の粘度になるまでエステル化反応を行った(工程a1-1)。その後、反応容器の温度を50℃に下げた後、キシレン90質量部、T-SOL150 379質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87質量部を混合し(工程a1-2)、塗膜形成樹脂(A-1)(ポリエステル樹脂1;固形分濃度:60質量%、数平均分子量:3,000、水酸基価:55mgKOH/g)を調製した。
(工程a1-1)のモノマー組成を、ネオペンチルグリコール202質量部、1,6-ヘキサンジオール153質量部、トリメチロールプロパン66質量部及びイソフタル酸579質量部(脱水量:122質量部)に変更した以外は、前記塗膜形成樹脂(A-1)の調製方法と同様にして、塗膜形成樹脂(A-2)(ポリエステル樹脂2;固形分濃度:60質量%、数平均分子量:2,300、水酸基価:70mgKOH/g)を調製した。
温度計、コンデンサー、滴下ロート及び撹拌機を備えた反応容器に、キシレン87質量部、T-SOL150 219質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート292質量部を仕込み、窒素雰囲気下で130℃に昇温した。これに、スチレン300質量部、メタクリル酸メチル61質量部、メタクリル酸n-ブチル510質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル116質量部及びアクリル酸13質量部からなるモノマー溶液と、開始剤としてカヤエステルO(化薬アクゾ社製、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサネート)85質量部及びキシレン92質量部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下ロートを通じて3時間で等速滴下し、その後、反応物温度を130℃で30分間保持した。次に、カヤエステルO 10質量部及びキシレン40質量部からなる開始剤溶液を30分で等速滴下し、その後、反応物を130℃で2時間保持し、塗膜形成樹脂(A-3)(アクリル樹脂1;固形分濃度:60質量%、数平均分子量:3,500、水酸基価:45mgKOH/g)を調製した。
モノマー組成を、スチレン200質量部、メタクリル酸メチル382質量部、アクリル酸n-ブチル282質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル127質量部及びアクリル酸9質量部に変更した以外は、前記塗膜形成樹脂(A-3)の調製方法と同様にして、塗膜形成樹脂(A-4)(アクリル樹脂2;固形分濃度:60質量%、数平均分子量:3,600、水酸基価:50mgKOH/g)を調製した。
温度計、コンデンサー及び撹拌機を備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール368質量部、1,6-ヘキサンジオール118質量部、イソフタル酸464質量部、アジピン酸51質量部及びキシレン71質量部を混合し、窒素気流中で230℃にまで徐々に昇温し、生成する水を留去しながら、脱水量が113質量部に達し、反応物が所定の粘度になるまでエステル化反応を行った(工程a5-1)。その後、反応容器の温度を50℃に下げた後、ヘキサメチレンジイソシアネート117質量部、ジブチルチンジラウレート0.5質量部、キシレン456質量部及びシクロヘキサノン527質量部を混合し、110℃で反応させた。IR(島津フーリエ変換赤外分光光度計FTIR―8400S:島津製作所社製)でイソシアネート基に由来するピークが消失するまで反応を継続し(工程a5-2)、塗膜形成樹脂(A-5)(ポリウレタン樹脂1;固形分濃度:50質量%、数平均分子量:2,700、水酸基価:42mgKOH/g)を調製した。
(工程a5-1)のモノマー組成を、ネオペンチルグリコール314質量部、1,6-ヘキサンジオール193質量部及びイソフタル酸493質量部(脱水量:107質量部)に、(工程a5-2)に加えた組成を、ヘキサメチレンジイソシアネート236質量部、ジブチルチンジラウレート0.5質量部、キシレン494質量部及びシクロヘキサノン565質量部に変更した以外は、前記塗膜形成樹脂(A-5)の調製方法と同様にして、塗膜形成樹脂(A-6)(ポリウレタン樹脂2;固形分濃度:50質量%、数平均分子量:4,400、水酸基価:27mgKOH/g)を調製した。
[塗料組成物1の調製]
塗膜形成樹脂(A-1)83.4質量部、溶剤としてT-SOL 150/ソルフィット=1/1(質量比)の混合溶液 9.2質量部、着色顔料としていてブラック6350 50.1質量部をディスパーで撹拌、混合し、混合物を得た。
次に、卓上式SGミル1500W型分散機(大平システム社製)に、得られた混合物全量とガラスビーズ100質量部(顔料分散塗料の合計質量と同量(又は1.5倍に相当する量)を入れ、ブラック6350の粒子径が10μm以下となるまで顔料分散を実施し、顔料分散塗料を調製した。
更に、この顔料分散塗料142.7質量部に対して、架橋剤(B-1)15.0質量部、スルホン酸(C-1)2.4質量部、アミン化合物(D-1)4.0質量部、骨材(E-1)5.0質量部及び表面調整剤としてディスパロンOX-70 1.12質量部を、ディスパーで撹拌、混合し、塗料組成物を得た。なお、アミン化合物(D-1)は、スルホン酸(C-1)の中和率が540%となるように加えた。
得られた塗料組成物を、フォードカップNo.4で100秒(25℃)となるようT-SOL 150/シクロヘキサノン=1/1の混合溶液を用いて希釈し、塗料組成物1を得た。
厚さ0.4mmの溶融亜鉛めっき鋼板をアルカリ脱脂した後、リン酸処理剤サーフコートEC2310(日本ペイント・サーフケミカルズ社製)を、鋼板表面及び裏面に塗布することにより化成処理を施し、乾燥した。
次に、得られた鋼板の裏面に、裏面下塗り塗料として、スーパーラックR-90(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製、エポキシ樹脂系塗料)を、乾燥膜厚が5μmとなるようにバーコーターを用いて塗装し、素材到達最高温度230℃となる条件で60秒間焼付けを行い、裏面塗膜を形成した。
下塗り塗料として、フレキコート612WWヨウプライマー(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製、ポリエステル樹脂系プライマー)を、乾燥膜厚が5μmになるようにバーコーターを用いて塗装し、素材到達最高温度215℃となる条件で25秒間焼付けを行い、下塗り塗膜を形成した。
その後、上記で得られた塗料組成物1を、乾燥塗膜が22μmとなるようにバーコーターを用いて塗装し、素材最高到達温度220℃となる条件で25秒間焼付けを行い、表面上塗り塗膜を形成し、塗装鋼板を得た。得られた塗膜の明度(L*値)は23.4であった。
各成分の種類及び量を、表1A~1Hに記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料組成物2~30及び塗料組成物34~41を調製した。得られた塗料組成物を用いて、実施例1の塗装鋼板の製造と同様に、塗装鋼板を形成した。得られた塗膜の明度(L*値)は、いずれも22.5~24.9の範囲(濃彩色)であった。
顔料種及び量を、ブラック6350 1.2質量部、タイペーク CR-97 1.6質量部、TAROX 合成酸化鉄 HY-100 42.7質量部、TODA COLOR KN-V 1.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物31を調整した。得られた塗料組成物31を用いて、実施例1の塗装鋼板の製造と同様に、塗装鋼板を形成した。得られた塗膜の明度(L*値)は51.6(中彩色)であった。
顔料種及び量を、COLOR BLACK FW200 BEADS 18.6質量部、タイペーク CR-97 10.4質量部、TODA COLOR KN-V 2.6質量部、LIONOL BLUE SPG-8 6.3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物32を調整した。得られた塗料組成物32を用いて、実施例1の塗装鋼板の製造と同様に、塗装鋼板を形成した。得られた塗膜の明度(L*値)は18.2(濃彩色)であった。
顔料種及び量を、ブラック6350 19.7質量部、タイペーク CR-97 70.3質量部、TAROX 合成酸化鉄 HY-100 4.6質量部、TODA COLOR KN-V 0.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物33を調整した。得られた塗料組成物33を用いて、実施例1の塗装鋼板の製造と同様に、塗装鋼板を形成した。得られた塗膜の明度(L*値)は54.7(中彩色)であった。
[架橋剤(B)]
(B-1)サイメル303(オルネクス・ジャパン社製)、メチル化メラミン樹脂;固形分濃度:100質量%
(B-2)スーパーベッカミン L-155-70(DIC社製)、ブチル化メラミン樹脂;固形分濃度:70質量%
(B-3)アミディア G-1850(DIC社製)、尿素樹脂;固形分濃度:60質量%
[スルホン酸(C)]
(C-1)ドデシルベンゼンスルホン酸(花王ケミカル社製)
(C-2)パラトルエンスルホン酸(江南化工社製)
[中和アミン(D)]
(D-1)トリエチルアミン、3級アミン;沸点:90℃
(D-2)ジイソプロピルアミン、2級アミン;沸点:84℃
(D-3)ジエタノールアミン、2級アミン;沸点:268℃
[骨材(E)]
(E-1)ニップシール E-200A(東ソー・シリカ社製)、シリカ微粒子;平均粒子径:3μm
(E―2)ニップジェル AZ-6A0(東ソー・シリカ社製)、シリカ微粒子;平均粒子径:6μm
(E-3)GASIL HP270(PQコーポレーション社製)、シリカ微粒子;平均粒子径:9μm
(E-4)GASIL HP395(PQコーポレーション社製)、シリカ微粒子;平均粒子径:14μm
(E-5)ガンツパール GM-0801(アイカ工業社製)、アクリル樹脂微粒子;平均粒子径:8μm
(E-6)パーゴパックM4(ロンザ・ジャパン社製)、尿素樹脂粒子;粒子径:4μm
(E-7)ガンツパール GM-2801(アイカ工業社製)、アクリル樹脂微粒子;平均粒子径:28μm
[その他]
表面調整剤:
・ディスパロンOX-70(楠本化成社製)、アクリル系表面調整剤;固形分濃度:30質量%
顔料:
・ブラック6350(アサヒ化成工業社製)、クロム鉄酸化物
・COLOR BLACK FW200 BEADS(オリオン・エンジニアドカーボンズ社製)、カーボンブラック
・タイペーク CR-97(石原産業社製)、二酸化チタン
・TAROX 合成酸化鉄 HY-100(チタン工業社製)、黄酸化鉄
・TODA COLOR KN-V(戸田ピグメント社製)、酸化第二鉄
・LIONOL BLUE SPG-8(トーヨーカラー社製)、銅フタロシアニン
溶剤:
・T-SOL 150(JXTGエネルギー社製)、芳香族系溶剤
・ソルフィット(クラレ社製)、アルコール系溶剤
・シクロヘキサノン(昭栄化学工業社製)、ケトン系溶剤
表の評価結果は、以下のように評価したものである。
実施例及び比較例で得られた塗膜表面の算術平均高さ(Ra)は、表面粗さ測定機HANDYSURF E-35B(東京精密社製)を用いて、JIS B 0601-2001に準拠して測定した。
実施例及び比較例で得られた塗膜表面の展開面積比(Sdr)は、レーザー顕微鏡OPTELICS HYBRID C3(レーザーテック社製、拡大倍率:50倍)を用いて、ISO 25178に準拠して測定した。
実施例及び比較例で得られた塗膜の外観を目視により観察し、塗膜の艶消し外観の程度を、下記基準に従って評価した。
◎ :塗膜全体が均一でかつ明瞭に艶消し外観が形成されている。
○ :艶消し外観が形成されているが、ごく一部分が不均一及び/又は不明瞭である。
△ :艶消し外観が形成されているが、部分的に不均一及び/又は不明瞭である。
× :艶消し外観が形成されているが、著しく不均一及び/又は不明瞭である。
××:艶消し外観が形成されていない。
実施例及び比較例で得られた塗膜の60°光沢度を、光沢計VG 7000(日本電色工業社製)を用い、JIS K 5600-4-7(鏡面光沢度)に準拠して測定した。光沢度は、下記基準に従って評価した。
◎:光沢度が1.0以下
〇:光沢度が1.0を超え1.5以下
△:光沢度が1.5を超え2.5以下
×:光沢度が2.5を超える
実施例及び比較例で得られた塗装鋼板を、JIS B 7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験機であるサンシャインウェザーメーターS80(スガ試験機社製)を使用し、2,000時間及び5,000時間の促進耐候性試験を行った。運転条件は、以下のとおりである。
放射照度:255W/m2
ブラックパネル温度:63℃
水噴射時間:120分中18分
促進耐候性試験後の各塗装鋼板の外観について、色差計SM-T45(スガ試験機社製)を用いて評価を行った。評価基準は次のとおりであり、〇以上を合格とした。
◎ :色差(ΔE)が1.0以下
〇 :ΔEが1.0を超え2.0以下
× :ΔEが2.0を超え5.0以下
××:ΔEが5.0を超える
一方で、比較例1~8の塗料組成物に示すように、形成された塗膜のRa及び/又はSdrが特定の範囲から外れる場合には、形成された塗膜が低光沢及び/又は均一な艶消し外観とならない、或いは、促進耐候性試験において変退色が大きく耐候性の劣る結果となった。
Claims (7)
- 少なくとも塗膜形成樹脂(A)、架橋剤(B)、スルホン酸(C)、アミン化合物(D)及びシリカ粒子を含む塗料組成物であり、
前記塗膜形成樹脂(A)の水酸基価が、27mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、
前記架橋剤(B)が、アミノ樹脂を含み、
前記架橋剤(B)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、樹脂固形分として5質量部以上100質量部以下であり、
前記スルホン酸(C)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、1.0質量部以上18.0質量部以下であり、
前記アミン化合物(D)によるスルホン酸(C)の酸基の中和率は、300%以上3,000%以下であり、
前記シリカ粒子の粒子径は、1μm以上20μm以下であり、
前記シリカ粒子の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であり、
以下の方法により測定される、該塗料組成物を硬化させた塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上
であることを特徴とする塗料組成物。
[算術平均高さ(Ra)及び展開面積比(Sdr)の測定方法]
塗料組成物を、乾燥塗膜が22μmとなるようにバーコーターを用いて鋼板に塗装し、素材最高到達温度220℃となる条件で25秒間加熱し、硬化させた塗膜について、表面の算術平均高さ(Ra)をJIS B 0601-2001に準拠して測定し、表面の展開面積比(Sdr)をISO 25178に準拠して測定する。 - 前記塗膜形成樹脂(A)は、水酸基を有する樹脂であり、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの変性物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記架橋剤(B)は、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
- 前記アミン化合物(D)は、沸点50℃以上250℃以下の2級又は3級アミンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
- 鋼板及び前記鋼板の少なくとも一方の表面上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜は、少なくとも塗膜形成樹脂(A)と、架橋剤(B)と、スルホン酸(C)と、アミン化合物(D)と、シリカ粒子とを含む塗料組成物より形成され、
前記塗膜形成樹脂(A)の水酸基価が、27mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、
前記架橋剤(B)が、アミノ樹脂を含み、
前記架橋剤(B)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、樹脂固形分として5質量部以上100質量部以下であり、
前記スルホン酸(C)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、1.0質量部以上18.0質量部以下であり、
前記アミン化合物(D)によるスルホン酸(C)の酸基の中和率は、300%以上3,000%以下であり、
前記シリカ粒子の粒子径は、1μm以上20μm以下であり、
前記シリカ粒子の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であり、
前記塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上、
であることを特徴とする塗装鋼板。 - 鋼板及び前記鋼板の少なくとも一方の表面上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜は、請求項1~4のいずれか1項に記載の塗料組成物より形成され、
前記塗膜の表面における、算術平均高さ(Ra)が1.2μm以上であり、かつ展開面積比(Sdr)が800%以上、
であることを特徴とする塗装鋼板。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の塗料組成物を、被塗物に塗装する塗装工程、及び
塗装後の塗料組成物を150℃以上270℃以下の温度で乾燥及び/又は硬化させることを含む、
塗膜の製造方法。
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