JPWO2003029685A1 - 高摩擦摺動部材 - Google Patents

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Abstract

駆動系潤滑油を用いた湿式摺動条件において、安定して高い摩擦係数と良好なμ−v特性とを有し、かつ耐摩耗性に優れ、相手攻撃性の低い高摩擦摺動部材である。本発明は、油を用いた湿式摺動条件において、摩擦によってトルクを伝達する湿式摺動部材であって、金属、セラミックスあるいは樹脂などからなる基材と、この基材表面に一体的に形成され、少なくとも一部表面が湿式条件において摺動する摺動面となり、SiまたはNの少なくともいずれかを1〜50at%含有する非晶質硬質炭素膜と、を有することを特徴とする。

Description

技術分野
本発明は、油を用いた湿式摺動条件において、高い摩擦係数の得られる非晶質硬質炭素膜を有する高摩擦摺動部材に関する。更に詳しくは、基材との密着性に優れ、かつ耐摩耗性と低い相手攻撃性を有する、湿式条件下で高摩擦特性を発揮する高摩擦摺動部材に関する。
背景技術
動力伝達用摺動部材などに適した高摩擦金属系材料としては、例えば、特開平4−181022号ではニッケルリンメッキを施した湿式クラッチ用の摺動部材が挙げられている。また、特公平6−41780号では、電解ニッケルメッキを施した無段変速機用の金属ベルト部材が挙げられている。
しかし、これらのニッケルリンメッキや電解ニッケルメッキ等を施した摺動部材では、所望の高い摩擦係数を安定的に得ることができない。これは、摩擦係数が高い場合には、膜と基材の界面に生じる応力も増大するため、従来の膜処理では、膜と基材との密着性が十分ではなく、膜の剥離が生じやすいためである。従って、安定した高い摩擦係数を維持するためには、膜と基材との密着性を高めることが必要となる。
特開平7−149583号や特開平8−262445号では炭素と水素を主成分とした非晶質硬質炭素膜を被覆した摺動部材が開示されている。この非晶質硬質炭素膜は基材との密着性は高いものの、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を示す材料として、注目されるようになったものである。しかしながら、従来の珪素や窒素を含有していない非晶質硬質炭素膜は、潤滑油を用いた湿式条件下でも摩擦係数は低く、動力伝達用摺動部材等の高摩擦性が望まれる部材には適さない。
また、動力伝達用部品においては、摺動部のスティック・スリップに起因する車両全体の自励振動(ジャダ)の発生を防止することも必要である。ジャダの防止には、摩擦係数の速度依存特性(μ−v特性)に関して、すべり速度の増加に伴い摩擦係数が低下する傾向、すなわちμ−v負勾配傾向が小さいことが望ましい。しかし、一般的には、摩擦係数が高くなるほど、μ−v負勾配傾向が大きくなりやすい。従って、動力伝達用部品に適した摺動部材としては、高摩擦特性のみならず良好なμ−v特性をも有することが求められる。
さらに、相手材料への攻撃性が高いものでは、相手材に摩耗を生じさせ、最適な摺動面形状を損うこととなるため、望ましい摩擦特性が維持できないことも問題となる。
従来の湿式摺動部材ではこれら全ての特性を十分に満たすことができなかった。
そこで、本発明の目的は、基材との密着性に優れ、かつ耐摩耗性を有し、相手攻撃性が低い、湿式条件下で高摩擦特性と良好なμ−v特性とを有する高摩擦摺動部材を提供することである。
発明の開示
本発明は、油を用いた湿式摺動条件において、摩擦によってトルクを伝達する湿式摺動部材であって、基材と、この基材表面に一体的に形成され、少なくとも一部表面が湿式条件において摺動する摺動面となり、SiまたはNの少なくともいずれかを1〜50at%含有する非晶質硬質炭素膜と、を有することを特徴とする。なお、基材は金属、セラミックスあるいは樹脂からなることが好ましい。
また、この湿式摺動部材の非晶質硬質炭素膜には1〜50at%のHを含有してもよく、3〜20at%のSiを含有することが好ましい。非晶質硬質炭素皮膜の硬度はHV800以上であることが望ましく、基材と非晶質硬質炭素膜との密着力は30N以上であり、さらに非晶質硬質炭素膜の厚さは1μm以上であることが好ましい。この高摩擦摺動部材の摺動面の表面粗さは0.3〜10μmRzであることが望ましい。
上記の非晶質硬質炭素皮膜を形成するには、プラズマCVD、スパッタリング、イオンプレーティング、イオン化蒸着等のドライプロセスで合成できる。
成膜中に炭素原料ガスと同時に珪素ガスや窒素系ガスを導入して非晶質硬質炭素皮膜を形成する。この際に、珪素ガスや窒素系ガスではなく珪素あるいは窒素を含んだターゲットを使用することもできる。
また、基材と非晶質硬質炭素膜との密着力を確保するために、成膜前にプレスパッタリングすることにより、基材表面に平均高さ10〜100nm、平均の幅10〜300nmの範囲である凸部を形成しておくことが望ましい。
さらに、油は、アルカリ土類金属系清浄剤および/又は無灰分散剤を含む駆動系潤滑油であることが好ましく、非晶質硬質炭素膜の表面にはこの駆動系潤滑油から生じたCa+、C+、C13+のフラグメントを吸着していることが望ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明の高摩擦摺動部材の摺動面に形成された非晶質硬質炭素膜は、炭素および水素に加えて珪素または窒素の少なくとも1種を含有する。炭素膜が、非晶質の炭素膜であることは、X線回折試験等の結果から判定できる。また、この非晶質硬質炭素膜は、ラマン分光分析等により非晶質炭素が硬質の擬似ダイヤモンドを主成分としていることが確認できる。従ってこの非晶質硬質炭素膜はビッカース硬度が800以上を有するものである。
非晶質硬質炭素膜中の水素の含有量は、製造原料の種類や蒸着条件等によって異なるが、1〜50at%が望ましい。より好ましくは、20〜40at%であり、さらに好ましくは、25〜35at%である。この範囲であれば、基材との密着性もより良好となる。
非晶質硬質炭素膜中のSiの含有量およびNの含有量は、良好な密着性と耐摩耗性および湿式条件下での高摩擦性とを得るという観点から決められる。このような観点から、Siの含有量は、1〜50at%とすることが望ましい。特に相手材が金属材料やセラミックス材料の場合には、非晶質硬質炭素膜中のSiの含有量は、3〜20at%が好ましい。これは、3at%未満では充分高い摩擦係数が得られず、20at%を越えると非晶質硬質炭素膜の摩耗量が増大して好ましくないからである。さらに好ましくは、5〜15at%である。
また、非晶質硬質炭素膜中のNの含有量は、1〜50at%が適当である。N含有量が1at%未満では十分に高い摩擦係数が得られず、50at%を越えると耐摩耗性が低下するので好ましくない。特に金属やセラミックスの場合には、非晶質硬質炭素膜中のNの含有量は、3〜30at%が好ましい。
非晶質硬質炭素膜中へのSiおよびNの添加は、Si又はNを単独で添加しても良いが、SiとNとを混合添加することもできる。この場合には、Si+Nが2〜30at%であることが望ましい。
本発明の高摩擦摺動部材は、基材を設置した蒸着室内に炭素原料、珪素原料および窒素原料を導入して、珪素および窒素を含有する非晶質硬質炭素膜を基材上に蒸着させることで作製することができる。
炭素原料としては、例えば炭化水素を挙げることができ、炭化水素としてはメタン、アセチレン、エチレン等を例示することができる。特に好ましい炭素原料はメタンである。珪素原料としては、例えばテトラメチルシラン(TMS)、SiH、Si、SiCl、SiH等を挙げることが出来る。なかでもテトラメチルシランは、毒性および腐食性が低くかつ操作性が良好であることから、珪素原料としては好適である。窒素原料としては、例えば窒素(N)および窒素含有化合物を挙げることができ、窒素含有化合物としてはアンモニア、アミン等を例示できる。
炭素原料、珪素原料および窒素原料は、一般にガス状のものを、蒸着室に導入する。従って、常温で気体でないものは、適当なキャリアガスを用いて蒸着室に導入するとよい。例えば、珪素原料であるテトラメチルシラン(TMS)の場合には、一定温度に維持したテトラメチルシランに、キャリアガスとして、例えば窒素原料である窒素ガスを使用し、テトラメチルシランと窒素の混合ガスとして蒸着室に導入することができる。また、上記原料を蒸着室内に導入するに際しては、キャリアガスとしてヘリウムやアルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。さらに、原料化合物のガスと不活性ガスとの混合物をキャリアガスとして用いることもできる。
本発明の高摩擦摺動部材は、基材を設置した蒸着室内に炭素、珪素および窒素の各原料を導入して、非晶質硬質炭素膜を基材上に蒸着させることにより製作される。蒸着方法には特に制限はなく、例えば、プラズマCVD、スパッタリング、イオンプレーティング、イオン化蒸着等のドライプロセスを適宜用いることができる。
本発明において基材としては、金属系、セラミックス系および樹脂系の摺動部材を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではなく、湿式摺動部材として使用されるものであれば、そのほかの材料をも基材とすることができる。なお、金属系としては鉄合金の、例えばSK4やS35C等を挙げることができ、アルミニウム系合金としてはA2000系、AC4C等を、さらに、セラミックス系としてはSi、Al等を例示することができる。また、樹脂系の基材としてはフェノールやポリイミド等を挙げることができる。
本発明では、摺動部分を有する機械部品であって、少なくとも摺動部分を非晶質硬質炭素膜で被覆した湿式条件下で高摩擦特性を必要とする機械部品を提供できる。例えば、自動変速機、駆動力分配装置およびリミテッドスリップデファレンシャル等に用いられる湿式クラッチ、手動変速機等のシンクロナイザ、無段変速機の変速ユニット等の動力伝達用摺動部等である。従って、本発明の湿式条件となる油は、特に限定はないものの駆動系潤滑油であることが望ましい。
本発明の高摩擦摺動部材では、摺動部の非晶質硬質炭素膜の膜厚を蒸着条件を調整することにより適宜変化させることができる。また、必要とされる膜厚は、本発明の高摩擦摺動部材の用途によって異なるが、1μm以上であることが望ましい。
本発明は、油を用いた湿式摺動条件において、安定して高い摩擦係数と良好なμ−v特性とを有し、かつ耐摩耗性に優れ、相手攻撃性の低い高摩擦摺動部材を提供することにある。
本発明の高摩擦摺動部材に一体的に形成される非晶質硬質炭素膜は、従来の硬質炭素膜と異なり、珪素あるいは窒素の少なくとも1種を含有することによって、油を用いた摺動条件において、高い摩擦係数が得られる。
しかし、この高摩擦現象のメカニズムについては明らかではなかった。そこで本発明者らは、摺動後の非晶質硬質炭素膜表面に着目して以下の試験を実施した。
すなわち、プラズマCVD法で得られた従来の非晶質硬質炭素膜と、Siを17at%、および22at%含有する2種類の非晶質硬質炭素膜とについて、各々ボールオンディスク試験(試験方法、試験条件などについては実施例の(5)摺動特性評価で詳述する)を実施して、その後の非晶質硬質炭素膜表面の吸着物を分析した。ここで、試験に使用した油は市販の駆動系潤滑油であるキャッスルオートフルードT−IVであった。また、吸着物の分析には2次イオン質量分析(TOF−SIMS)法を用い、非晶質硬質炭素膜表面上のフラグメントを同定するとともにその強度を測定して吸着物を推定した。結果を表1に示す。
【表1】
Figure 2003029685
表1から非晶質硬質炭素膜へSiを含有することで摩擦係数が高くなっていることが分かる。また、これらの3種類の非晶質硬質炭素膜表面からは、Ca+、C+、C13+、SO−、C1245SO−の5種類のフラグメントが検出された。そして、Siを含有した非晶質硬質炭素膜では、Siを含有していない非晶質硬質炭素膜に比べてCa+、C+、C13+のフラグメントが多く検出されていることが分かった。
これらのフラグメントは、本試験に使用した駆動系潤滑油に含まれる添加剤によるものと考えられる。この駆動系潤滑油に含まれる主な添加剤としては、無灰分散剤であるコハク酸イミド、コハク酸エステルなどや、アルカリ土類金属系清浄剤であるCa−スルホネート、Mg−スルホネートなど、リン系極圧剤であるリン酸エステル、亜リン酸エステルなど、粘度指数向上剤であるポリメタクリレート、オレフィンコポリマーなど、あるいは無灰酸化防止剤としてのフェノール系、アミン系物質などを挙げることができる。ここで、C+、C13+は、前記の無灰分散剤であるコハク酸イミドに由来する成分と推定され、また、Ca+、SO−、C1245SO−は、アルカリ土類金属系清浄剤であるCa−スルホネート由来のものと推定される。
以上のことから、高摩擦を得る一つのメカニズムとしては、Siを最適量含有した非晶質硬質炭素膜は、上記の添加剤を含んだ駆動系潤滑油中で摺動することによって、Siを含有しない非晶質硬質炭素膜に比べてより多くの添加剤成分を吸着するために摺動時の剪断抵抗が高まって、摩擦係数が向上するものと考えられる。従って、高摩擦を得るための潤滑油は、添加剤として無灰分散剤とアルカリ土類金属系清浄剤とを含有することが望ましい。そして、各々の含有量は潤滑油全体を100重量%として、無灰分散剤は0.1〜10重量%、またアルカリ土類金属系清浄剤は0.01〜5重量%であることが望ましい。
摩擦係数が高い場合には、膜と基材の界面に生じる応力も増大し、膜の剥離が生じやすくなる。そこで、摩擦試験等により実用上必要な膜の密着力を検討した結果、鋼部品では30N以上の密着力があれば摺動中に膜の剥離は見られず実用上好ましい結果が得られることが分った。
基材と非晶質硬質炭素膜との密着性の評価は、スクラッチ試験による膜の剥離荷重の大小で評価できる。より具体的には、頂角120°、先端0.2mmRのダイヤモンドコーンに荷重を掛けて引掻くことにより膜の剥離したときの荷重を臨界荷重として、その臨界荷重の大小で膜の密着性を評価する方法である。
この密着力を確保するためには、例えば成膜前に金属系基材表面にグロー放電やイオンビーム等によるイオン衝撃によって、平均高さ10〜100nmで、平均の幅10〜300nmの範囲である凸部を形成することが好ましい。
この微細凹凸を形成した金属系基材では、アンカー効果により30N以上の密着力が得られる。凸部高さが10nm未満あるいは300nmを超える場合には十分な密着力は得られない。なお、凸部の大きさは従来の表面粗さ計(触針法)では測定できない。しかし、凸部の高さや幅は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察およびAFM(原子間力顕微鏡)などの微小な形状測定手段によって確認することが出来る。
凸部の大きさが所定のものであっても、凸部の面積が少なければ、膜の密着性には効果が得られない。凹凸面の面積を100%とした場合に、凸部の占める面積は30%以上であることが好ましい。30%以上になると膜の密着性が高いものとなる。より好ましくは、50%以上である。
また、非晶質硬質炭素膜は、HV800以上と硬質であるため、部材の耐摩耗性が向上するとともに、相手材との凝着が生じにくく相手攻撃性も低い。このように、高い耐摩耗性と低い相手攻撃性とを有するために、双方の摺動面の形状変化が少なくなる。したがって、摩擦特性の変化を長期にわたって抑制することができ、安定して高い摩擦係数を維持することが出来る。
ここで、湿式条件において高摩擦特性を有する部材として望ましい表面形状は、表面粗さが0.3〜10μmRzである。表面粗さが0.3μmRz以下では、摺動条件下において油膜を生じてしまい、高摩擦特性を確保できない。一方、10μmRz以上の粗さとした場合には、相手材への攻撃性が高くなり安定した摩擦係数を維持できない。
本発明の高摩擦摺動部材は金属、セラミックス、あるいは樹脂を相手材として、湿式条件下で良好な高摩擦特性を得ることができる。非晶質硬質炭素膜と摺動する相手材として、金属では鋼やアルミニウム合金などを、セラミックスではAlやSiなどを、また、樹脂としてはフェノールやポリイミドあるいはセルロース繊維からなる抄紙に結合材としてフェノール樹脂を含浸して熱硬化させたペーパ摩擦材などを例示することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(1)摩擦特性評価A
[成膜方法]
(実施例1)
プラズマCVD法を用いて、メタンガスを炭素原料とし、珪素原料としては、テトラメチルシラン(TMS)を水素とアルゴンの混合ガスをキャリヤガスとしてプラズマ中に導入した。ここで、メタン流量は50sccm、珪素流量は10sccm、反応圧力は5torr、投入電力は500Wとした。なお、成膜温度は100℃より低いと放電が不安定になって膜密度が低下するので、成膜温度は500℃で放電処理を行った。成膜速度は6μm/hrであった。この条件で30分間成膜を行い、膜厚3μmのSi含有非晶質硬質炭素膜を得た。膜組成はそれぞれat%で、15Si−55C−30Hであった。水素量は弾性反跳粒子検出法(EDR)を用いて測定した。すなわち、2MeVのHeイオンビームで試料を衝撃して、試料中からはじき出される水素を半導体検出器により検出して試料中の水素濃度を測定する方法である。
基材としてはSK4(炭素工具鋼)で作成した、図1に示す下部試片を用いた。下部試片は内径(d1)10mm、外径(d2)32mm、高さ(h)20mmで、角度αが11°のテーパ面を有する円筒状で、テーパ面に前記の条件で非晶質硬質炭素膜を被覆して供試材としたものである。このとき、被覆面の表面粗さは1.0μmRzであった。
(実施例2)
成膜方法としてはスパッタリング法を用い、炭素原料としてはカーボンターゲットを、また窒素原料としては窒素ガスを用いて成膜した。窒素ガスの流量は10sccm、アルゴンガスの流量は50sccm、反応圧力は3mtorr、成膜出力は500W、成膜温度は250℃であった。この条件で膜厚2μmのN含有非晶質硬質炭素膜を得た。得られた膜組成はat%で、5N−80C−15Hであった。
なお、基材としては実施例1と同様形状のSK4材とし、そのテーパ面に上記のN含有非晶質硬質炭素膜を被覆して供試材とした。
(実施例3)
プラズマCVD法を用いて、メタンガスを炭素原料とし、テトラメチルシラン(TMS)を珪素原料として、また、窒素ガスを窒素原料としてプラズマ中に導入した。ここで、メタン流量は50sccm、珪素流量は4sccm、窒素流量は20sccm、反応圧力は5torr、投入電力は300Wとし、成膜温度200℃で放電処理を行った。成膜速度は4μm/hrであった。この条件で30分間成膜を行い、膜厚3μmのSiおよびN含有非晶質硬質炭素膜を得た。膜組成はそれぞれat%で、10Si−5N−55C−30Hであった。
なお、基材としては実施例1と同様形状のSK4材とし、そのテーパ面に上記SiおよびN含有非晶質硬質炭素膜を被覆して供試材とした。
(比較例1)
プラズマCVD法を用いて、メタンガスを炭素原料としてプラズマ中に導入した。ここで、メタン流量は50sccm、反応圧力は0.05torr、投入電力は200Wとし、成膜温度250℃で放電処理を行った。成膜速度は0.5μm/hrであった。この条件で240分間成膜を行い、膜厚2μmの非晶質硬質炭素膜を得た。膜組成はat%で、75C−25Hであった。
なお、基材としては実施例1と同様形状のSK4材とし、そのテーパ面に上記非晶質硬質炭素膜を被覆して供試材とした。
(比較例2)
非晶質硬質炭素膜を被覆しないで、焼入れ、焼戻し処理によりHV750になるように熱処理したSK4を供試材とした。寸法、形状は上記の実施例1〜3と同様であった。
[評価方法]
摩擦特性評価Aは、2つの摺動部材に金属を用いて、金属材−金属材間での湿式条件下での摩擦特性を評価したものである。試験方法の概略を図2に示す。
この方法は、コーン形状の試片(以下、下部試片という)の上方から、3つのブロック形状の突部を有するSK4材の試片(以下、上部試片という)を押しつけ、下部試片を回転させた際に上部試片と下部試片との間に生じる摩擦力を測定する方法である。
ここで、上部試片には比較例と同様に焼入れ、焼戻し処理によりHV750になるように熱処理したSK4材を供した。下部試片のテーパー面の表面粗度は1μmRzであった。
本評価試験は駆動系潤滑油のオイルバス中で行われた。駆動系潤滑油としては市販のキャッスルオートフルードTCを200ml使用した。試験条件を表2に示す。
【表2】
Figure 2003029685
まず、各々の条件で準備したテーパー面が非晶質硬質炭素膜で被覆された下部試片2を回転軸にセットする。次に、上部試片1の3つのブロック形状の突部が下部試片2のテーパー面に当接するように上部試片1を固定軸にセットする。上部試片1と下部試片2のすべり速度は500mm/s一定として、荷重Wを4段階に変化させて上部試片1と下部試片2をなじませる。まず荷重30kgfを負荷して5分間回転し、次に荷重を40kgfに上げて5分間回転し、さらに荷重を50kgfに上げて5分間回転させる。その後、荷重を60kgfとして15分間回転させて合計30分間のなじみ試験を終了する。しかる後に、3段階の荷重条件で摩擦係数を測定した。すなわち、40,60,80kgfの3段階である。ここで、上部試片1と下部試片2のすべり速度は100mm/s一定であり、負荷時間は各1分間ずつであった。なお、オイルバス3の油温は100℃に保持した。
また、表2中の最大ヘルツ圧とは、上部試片1と下部試片2との接触部の弾性変形を考慮した実接触面の圧力の最大値である。
[評価結果]
評価結果を図3に示す。図3で横軸は荷重(kgf)、縦軸は摩擦係数である。実施例1(■)のSi含有非晶質硬質炭素膜被覆品、実施例2(▼)のN含有非晶質硬質炭素膜被覆品、および実施例3(◆)のSi,N含有非晶質硬質炭素膜被覆品では、比較例1(□)の非晶質硬質炭素膜被覆品および比較例2(○)の熱処理品に比べて、いずれの荷重条件においても高い摩擦係数値を示している。すなわち、非晶質硬質炭素膜被覆品については、炭素膜中にSiまたはNを添加すること、あるいはSiとNを同時添加することによって、湿式条件下での摩擦係数が増大することが分った。
(2)摩擦特性評価B
[成膜方法]
(実施例4)
S35C(炭素鋼)からなるプレート試片(寸法:厚さ2mm×30×30mm)表面に、実施例1と同一の成膜条件でSi含有非晶質硬質炭素膜を蒸着した。蒸着面の表面粗さは1.0μmRzであった。
(比較例3)
比較のために非晶質硬質炭素膜を蒸着していない実施例4と同一寸法のS35C材のプレート試片を処理なし品として供試材とした。
(実施例5)
SUS440C(ステンレス鋼)のプレート試片(寸法:厚さ2mm×30×30mm)の摺動面にプラズマCVD法を用いてSi含有非晶質硬質炭素膜を被覆した。メタンガスを炭素原料とし、テトラメチルシラン(TMS)を珪素原料とし、水素とアルゴンの混合ガスをキャリヤガスとしてプラズマ中に導入した。メタン流量は100sccmで、珪素流量は1sccmとした。なお、その他の成膜条件は、投入電力を500Wとし、成膜温度は500℃で、圧力は6torrとし、成膜速度は4〜7μm/hrであった。この条件で成膜時間を調整して膜厚2μmのSi含有非晶質硬質炭素膜を得た。得られた非晶質硬質炭素膜中のSi含有量は4at%であり、プレート試片の表面粗さは2.4μmRzであった。
(実施例6)
メタン流量を50sccm、珪素流量を4sccmとした以外は実施例5と同様の成膜条件で、プレート試片の摺動面にSi含有非晶質硬質炭素膜を被覆した。得られた非晶質硬質炭素膜中のSi含有量は12at%であり、プレート試片の表面粗さは2.5μmRzであった。
(実施例7)
メタン流量を50sccm、珪素流量を10sccmとした以外は実施例5と同様の成膜条件で、プレート試片の摺動面にSi含有非晶質硬質炭素膜を被覆した。得られた非晶質硬質炭素膜中のSi含有量は16at%であり、プレート試片の表面粗さは3.3μmRzであった。
(比較例4)
表面処理を施さないSUS440C(ステンレス鋼)のプレート試片(寸法は実施例5〜7と同じ)を供試材とした。なおこのプレート試片の表面粗さは2.1μmRzであった。
[評価方法]
一方の摺動部材に金属材を用い、他方にペーパ摩擦材を用いたペーパ摩擦材−金属材間の湿式摩擦試験を実施した。試験方法の概略を図4に示す。
ペーパ摩擦材には、基材としてセルロース繊維からなる抄紙に結合材としてフェノール樹脂を含浸して熱硬化させたものを用いた。なお、ペーパ摩擦材中のフェノール樹脂含浸量はペーパ摩擦材を100重量%として60重量%程度であった。このペーパ摩擦材の表面粗さは10〜15μmRzであり、また摩擦面積は200mmであった。このペーパ摩擦材を外径25.6mm、厚さ2.8mmのリング試片の断面に張付けて試験機の固定軸に取付けた。さらにプレート試片を挿入した固定ホルダを試験機の回転軸に取付けて評価試験を実施した。
本評価試験は潤滑油中で行われた。潤滑油は市販の駆動系潤滑油であるキャッスルオートフルードタイプT−IVを200ml使用した。試験条件を表3に示す。
【表3】
Figure 2003029685
まず、プレート試片5を試験機油槽(オイルバス3)の所定の位置に固定する。次にリング試片4に装着されたペーパ摩擦材6をプレート試片5に当接させ、リング試片4に20kgfの荷重Wを負荷して、すべり速度1000mm/sで30分間回転させ、ペーパ摩擦材6とプレート試片5の非晶質硬質炭素膜面とをなじませる。しかる後に、20kgfの荷重は一定ですべり速度を10段階に変化させて、各すべり速度条件における摩擦係数を測定した。
すべり速度は、50mm/s、100mm/s、300mm/s、500mm/s、700mm/s、1000mm/s、1300mm/s、1500mm/s、1700mm/s、2000mm/sとし、1分間ごとに段階的に変化させた。この間、オイルバス3の油温は80℃一定とした。
[評価結果−1]
基材をS35C(炭素鋼)とした実施例4と比較例3の測定結果を図5に示す。
図5から分かるように、実施例4(□)のSi含有非晶質硬質炭素膜被覆品は、比較例3(○)の処理なし品に比べて、いずれのすべり速度条件においても高い摩擦係数値を示している。
さらに、実施例4(□)のSi含有非晶質硬質炭素膜被覆品では、摩擦係数(μ)は、すべり速度(v)が50mm/s〜100mm/sでは増加し、100mm/s〜1000mm/sの範囲ではほぼ一定となり、1000mm/sを越えると徐々に低下している。この傾向は、比較例3(○)の処理なし品とほぼ同様の傾向であり図5ではほとんど平行している。すなわち、実施例4のSi含有非晶質硬質炭素膜被覆品は、摩擦係数が高いにもかかわらず、良好なμ−v特性を維持していることが裏付けられた。
[評価結果−2]
基材をSUS440C(ステンレス鋼)とした実施例5〜7と、比較例4の測定結果を図6に示す。図6で●は実施例5のすべり速度による摩擦係数の変化を示す。また、△は実施例6の、■は実施例7の測定結果である。○は比較例4の測定結果である。
実施例5〜7はいずれも処理なし品である比較例4に比べて、いずれのすべり速度条件においても高い摩擦係数値を示している。また、ここではSi含有非晶質硬質炭素膜のSi含有量が低い方が摩擦係数は高い傾向にある。さらに、実施例5〜7では、すべり速度の増加に伴って摩擦係数は増加し、すべり速度が1000m/s以上では、いずれの実施例でも摩擦係数はほぼ一定となり、良好なμ−v特性を維持していることが分かった。
(3)摩擦特性評価C
[成膜方法]
(実施例8〜12)
プラズマCVD法を用いて、メタンガスを炭素原料とし、テトラメチルシラン(TMS)を珪素原料とし、水素とアルゴンの混合ガスをキャリヤガスとしてプラズマ中に導入した。ここで、メタン流量と、珪素流量とを表4のように変化して、珪素含有量の異なる実施例8〜12の5水準の非晶質硬質炭素膜を作製した。成膜条件は、投入電力を500Wとし、成膜温度は500℃で、圧力は6torrとし、成膜速度は4〜7μm/hrであった。この条件で成膜時間を調整して膜厚2μmのSi含有非晶質硬質炭素膜を得た。得られた非晶質硬質炭素膜組成の分析結果を表4に併記した。
なお、基材は、6.3×15.7×10.1mmの焼入れ焼戻ししたSUS440C(HV650〜750)のブロック試験片を用い、6.3×15.7mmの面に前記の各非晶質硬質炭素膜を成膜して供試材とした。
【表4】
Figure 2003029685
(比較例5)
比較例1と同様の条件で非晶質硬質炭素膜を作製した。成膜条件および非晶質硬質炭素膜組成の分析結果を表4に併記する。
なお、基材は、実施例8〜12と同様のブロック試験片とした。
[評価方法]
本評価方法は二つの摺動部材に金属を用いた、金属材−金属材間での湿式条件下での摩擦特性を評価したものである。
リング・オン・ブロック型摩擦試験(FALEX社製 LFW−1型試験)により各非晶質硬質炭素膜の摩擦係数及び摩耗量を測定して評価した。試験方法の概略を図7に示す。非晶質硬質炭素膜7を被覆したブロック試験片6とオイルバス3内で回転している相手方リング試験片8との摩擦係数と摩耗深さとを測定した。相手方リング試験片8には、LFW−1型試験の標準試験片であるFALEX S−10リング試験片(材質:SAE4620スティール、硬さ:HV650〜770)を使用した。また、オイルバス3には駆動系潤滑油としてキャッスルオートフルードTCを100ml使用し、油温は80℃とした。
まず、ブロック試験片6とリング試験片8とを当接させ、無負荷状態でリング試験片8の回転速度を0.25m/sに設定し、次にブロック試験片6に0.23GPaとなるように荷重Wを負荷して摩擦回転させる。この状態で30分間保持した後に摩擦係数と摩耗深さとを測定した。
[評価結果]
結果を図8に示した。図8で横軸は非晶質硬質炭素膜中のSi含有量をat%で示し、縦軸は左縦軸を摩擦係数、右縦軸を摩耗深さ(μm)とした。Si含有量による摩擦係数の変化を(●)で示し、摩耗深さの変化を(○)で示した。
摩擦係数は、比較例5(Si含有量:0)に比べてSi含有量の増加に伴って実施例11のSi=15.6at%までは増加する。しかし、実施例12のSi=22.0at%では実施例8(4.1at%Si)と同じ程度まで減少する。一方、摩耗深さは、実施例10のSi=11.6at%まではほとんど変化がないが、これを越えると急激に摩耗深さが増大し、実施例12のSi=22.0at%では約1.8μmと非晶質硬質炭素膜(膜厚:2μm)が消失する直前の状態まで摩耗してしまい、耐摩耗性に問題を生じることが分る。そこで、相手材が金属材料の場合には、摩擦係数が高く、かつ耐摩耗性を兼ね備えた膜組成としては、実施例8〜11までの範囲が望ましく、3at%<Si<20at%が最適な膜組成であることが確認できた。
(4)摩擦特性評価D
[成膜方法]
(実施例13)
実施例8と同一の成膜条件で、0.4μmRzに表面研磨したFALEX S−10リング試験片表面に非晶質硬質炭素膜を被覆した。得られた非晶質硬質炭素膜のSi含有量は4.1at%であり、皮膜厚さは2μmであった。
(実施例14)
実施例10と同一の成膜条件で、0.4μmRzに表面研磨したFALEX S−10リング試験片表面に非晶質硬質炭素膜を被覆した。得られた非晶質硬質炭素膜のSi含有量は11.6at%であり、皮膜厚さは2μmであった。
(実施例15)
実施例11と同一の成膜条件で、0.4μmRzに表面研磨したFALEX S−10リング試験片表面に非晶質硬質炭素膜を被覆した。得られた非晶質硬質炭素膜のSi含有量は15.6at%であり、皮膜厚さは2μmであった。
(比較例6)
成膜方法としてはマグネトロンスパッタリング法を用い、炭素原料としては、カーボンターゲットを、また、タングステン原料としてはタングステンターゲットを用いて成膜した。基材は実施例13〜15と同様に、0.4μmRzに表面研磨したFALEX S−10リング試験片とした。非晶質硬質炭素膜の組成はat%で、10W−60C−30Hであった。また、皮膜厚さは実施例と同様に2μmであった。
(比較例7)
皮膜処理を施さない0.4μmRzに表面研磨したFALEX S−10リング試験片を供試材とした。
[評価方法]
本評価方法は一方の摺動部材に金属材を用い、他方にセラミックス材を用いた金属材−セラミックス材間での湿式条件下での摩擦特性を評価する方法である。
前記の摩擦特性評価Cと同様のリング・オン・ブロック型摩擦試験(FALEX社製 LFW−1型試験)により各非晶質硬質炭素膜の摩擦係数を測定して評価した。試験方法の概略を図9に示す。ここでは、図7とは異なり、リング試験片8の表面に非晶質硬質炭素膜7が被覆されている。そして、セラミックス材からなるブロック試験片6とオイルバス3内で接触回転させて摩擦係数を測定した。
ここで、非晶質硬質炭素膜7が被覆されているリング試験片と摺動する相手材のセラミックスブロック6は、AlとSiであり、いずれも2〜3μmRzの表面粗さのものである。なお、セラミックスブロック6の寸法は、6.3×15.7×10.1mmで、6.3×15.7mmの面をリング試験片8に接触させて測定した。また、オイルバス3には駆動系潤滑油としてキャッスルオートフルードTCを100ml使用し、油温は80℃とした。
まず、ブロック試験片6とリング試験片8とを当接させ、300Nの荷重Wを負荷し、各すべり速度で10分間保持して摩擦係数値を求めた。すべり速度は、0.1m/s、0.3m/s、0.5m/sの3水準とした。
[評価結果]
結果を図10及び図11に示す。図10はAlセラミックスブロックと摺動したSi含有量の異なる非晶質硬質炭素膜のすべり速度に対する摩擦係数の変化を示している。ここで記号はそれぞれ(◆)が実施例13(4.1%Si)、(□)が実施例14(11.6%Si)、(△)が実施例15(15.6%Si)、(●)は比較例6(10%W)である。Si含有の非晶質硬質炭素膜の摩擦係数はいずれのすべり速度においてもW含有の非晶質硬質炭素膜の摩擦係数よりも高い値を示している。
また、図11はSiセラミックスブロックと摺動したSi含有量の異なる非晶質硬質炭素膜のすべり速度に対する摩擦係数の変化を示している。ここで記号はそれぞれ(◆)が実施例13(4.1%Si)、(□)が実施例14(11.6%Si)、(△)が実施例15(15.6%Si)、(●)は比較例7の処理なしリングである。ここでも、図10と同様にSi含有の非晶質硬質炭素膜の摩擦係数はいずれのすべり速度においても処理なしリングの摩擦係数よりも高い値を示している。
すなわち、3〜20at%のSiを含有する非晶質硬質炭素膜は、相手材がセラミックス材であっても金属材と同様に湿式条件下において摩擦係数が増大することが分かった。
(5)摺動特性評価
[試料の作成]
Si添加量を0〜30at%(H含有量を除くat%で)まで6段階に変化させたSi含有非晶質硬質炭素膜をSKH55材からなる厚さ3mm、直径30mmのディスク試片の表面に被覆して供試材とした。すなわち、Siの添加量は0、8、17、22、26、32at%の6段階であった。非晶質硬質炭素膜の成膜方法は実施例1と同様とした。ディスク試片の表面粗さは0.2μmRz以下であり、また、形成された各Si含有非晶質硬質炭素膜の厚さは3μmであった。
[評価方法]
Si含有非晶質硬質炭素膜の摺動特性はボールオンディスク試験により駆動系潤滑油中で評価した。相手材は直径6.35mmのSUJ2ボールとした。各添加量のSi含有非晶質硬質炭素膜を形成したディスク試験片を所定の治具にセットし、荷重50N、速度0.2m/sの条件で摩擦係数を測定した。
[評価結果]
図12にボールオンディスク試験の結果、すなわち非晶質硬質炭素膜中へのSi添加量による摩擦係数の変化を示す。ここで、Si(at%)およびC(at%)はH含有量を除いて計算した値で、Si(at%)+C(at%)=100(at%)である。比較材であるSKH55の処理なし品の摩擦係数は図中に破線で示した0.1であった。
図12からSi無添加の非晶質硬質炭素膜の摩擦係数は、未処理のSKH55に比べて低いが、Si含有非晶質硬質炭素膜では、Si添加量の増加(C量の減少)に伴い摩擦係数は高くなる傾向にあることが分った。特にSi添加量が10at%を越えるとSi含有非晶質硬質炭素膜の摩擦係数は、未処理のSKH55の摩擦係数よりも高くなることが確認できた。
(6)硬さ評価
上記(5)の摺動特性評価に使用した試片と同様にして作成した各Si含有非晶質硬質炭素膜被覆試片を用い、各試片のマイクロビッカース硬度HVを測定し、Si添加量と非晶質硬質炭素膜の硬さとの関係を調べた。各試片の被覆厚さは3μmであった。
結果を図13に示す。Si無添加に比べるとSiを添加することによって多少硬度は低下するものの、Siが30at%以上でもHV1500以上と、SKH55未処理品のHV800に比べて極めて高い値が得られた。したがって,本発明のSi含有非晶質硬質炭素膜を被覆した材料は、Siの添加量に係わらず耐摩耗性に優れた材料であることが分った。
産業上の利用の可能性
本発明の目的は、油を用いた湿式摺動条件において、安定した高い摩擦係数と良好なμ−v特性を有し、かつ耐摩耗性に優れ、相手攻撃性の低い高摩擦摺動部材を提供することである。
本発明の高摩擦摺動部材は、例えば自動変速機、駆動力分配装置およびリミテッドスリップデファレンシャル等に用いられる湿式クラッチ、手動変速機等のシンクロナイザ、無段変速機の変速ユニット等の動力伝達用摺動部等に用いることによって、ユニットのトルク容量ならびに耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、金属材−金属材間摩擦試験に用いた下部試験片の形状を示す図である。
図2は、金属材−金属材間摩擦試験の概略図である。上部試片1に荷重Wを負荷して下部試片2に押しつけオイルバス3中で回転させて摩擦試験を行う。
図3は、金属材−金属材間摩擦試験での摩擦係数の比較のグラフである。
(■)は実施例1、(▼)は実施例2、(◆)は実施例3、(□)は比較例1、(○)は比較例2の結果を示す。
図4は、ペーパ摩擦材−金属材間摩擦試験の概略図である。リング試片4にペーパ摩擦材6を張り付けオイルバス3中で回転しているプレート試片5に荷重Wで押しつけ摩擦試験を行う。
図5は、基材をS35C(炭素鋼)としたときのペーパ摩擦材−金属材間摩擦試験でのすべり速度による摩擦係数の変化を比較したグラフである。(□)は実施例4、(○)は比較例3の処理なし品の結果を示す。
図6は、基材をステンレス鋼としたときのペーパ摩擦材−金属材間摩擦試験でのすべり速度による摩擦係数の変化を比較したグラフである。(●)は実施例5の、(△)は実施例6の、(■)は実施例7の測定結果である。(○)は比較例4の結果である。
図7は、リング・オン・ブロック試験の概略図である。ブロック試験片6に形成した非晶質硬質炭素膜7とオイルバス3中で回転するリング試験片8とを接触させ荷重Wを負荷して摩擦試験を行う。
図8は、リング・オン・ブロック試験により得られた非晶質硬質炭素膜のSi含有量による摩擦係数の変化と、摩耗深さの変化とを示すグラフである。(●)は左目盛りの摩擦係数の変化、(○)は右目盛りの摩耗深さの変化を示す。
図9は、リング・オン・ブロック試験の概略図であるが、6はセラミックスブロック試験片であり、リング試片8の表面にSi含有量を変化させた非晶質硬質炭素膜7を形成して摩擦試験を行う。
図10は、Alセラミックスと摺動したSi含有量の異なる非晶質硬質炭素膜のすべり速度に対する摩擦係数の変化を示している。ここで記号はそれぞれ(◆)が実施例13、(□)が実施例14、(△)が実施例15、(●)は比較例6である。また、図11はSiセラミックスと摺動したSi含有量の異なる非晶質硬質炭素膜のすべり速度に対する摩擦係数の変化を示している。ここで記号はそれぞれ(◆)が実施例13、(□)が実施例14、(△)が実施例15、(●)は比較例7の処理なしリングである。
図12は、ボールオンディスク試験によって得られた非晶質硬質炭素膜のSi含有量による摩擦係数の変化を示すグラフである。
図13は、非晶質硬質炭素膜のSi含有量によるビッカース硬さの変化を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 油を用いた湿式摺動条件において、摩擦によってトルクを伝達する高摩擦摺動部材であって、
    基材と、該基材表面に一体的に形成され、少なくとも一部表面が湿式条件において摺動する摺動面となり、SiまたはNの少なくともいずれかを1〜50at%含有する非晶質硬質炭素膜と、
    を有することを特徴とする高摩擦摺動部材。
  2. 前記非晶質硬質炭素膜は1〜50at%のHを含有する請求の範囲第1項に記載の高摩擦摺動部材。
  3. 前記非晶質硬質炭素膜は3〜20at%のSiを含有する請求の範囲第1項または第2項に記載の高摩擦摺動部材。
  4. 前記非晶質硬質炭素膜の硬度がHV800以上である請求の範囲第1項1ないし第3項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  5. 前記基材と前記非晶質硬質炭素膜との密着力が30N以上である請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  6. 前記非晶質硬質炭素膜の厚さは1μm以上である請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  7. 前記摺動面の表面粗さが0.3〜10μmRzである請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  8. 前記基材は、金属、セラミックス、あるいは樹脂のいずれかである請求の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  9. 前記油は、少なくともアルカリ土類金属系清浄剤および無灰分散剤のうち1種以上を含む駆動系潤滑油である請求の範囲第1項ないし第8項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  10. 前記非晶質硬質炭素膜表面に、少なくともCa+、C+、または、C13+のうちの1種以上を吸着している請求の範囲第1項ないし第9項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
  11. 前記非晶質硬質炭素膜と摺動する相手材は、金属、セラミックス、あるいは樹脂のいずれかである請求の範囲第1項ないし第10項のいずれかに記載の高摩擦摺動部材。
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