JP2007023356A - 低摩擦摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 摺動面の表面粗さが大きい場合であっても、低摩擦化が実現できる低摩擦摺動部材を提供する。
【解決手段】 本発明の低摩擦摺動部材1は、基材11と、基材11の摺動面側に形成され相手材と摺接する摺動層21と、を備え、摺動層21は、炭素を主成分とし、水素を30at%を超え50at%未満含み、珪素を1.5at%以上20at%以下含み、該炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が40at%以上70at%以下である非晶質炭素からなる。低摩擦摺動部材1は、軟質な摺動層21を有するため、摺動面21fの表面粗さが大きい場合であっても摺動により平滑化する。
さらに、基材11と摺動層21との間に位置し、含まれる水素量が摺動層21の非晶質炭素よりも少ない非晶質炭素からなる耐摩耗層22を備えてもよい。耐摩耗層22により、軟質な低摩擦摺動部材1に高い耐摩耗性が付与される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種装置の摺動部を構成する摺動部材に関するものであり、特に、摩擦係数の低い低摩擦摺動部材に関する。
炭素は、埋設量がほぼ無限であり、かつ無害であることから資源問題および環境問題の面からも極めて優れた材料である。炭素材料は、原子間の結合形態が多様で、ダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボン、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブなど、様々な結晶構造が知られている。中でも、非晶質構造を有するダイヤモンドライクカーボン(非晶質炭素)からなる非晶質炭素膜は、耐摩耗性、固体潤滑性などの機械的特性に優れることから、各種装置の摺動部の表面処理に利用されている。
また、摺動部の摺動性には、摺動面の表面粗さも重要である。そのため、一般的に、基材の表面粗さを小さくしてからその表面に非晶質炭素膜を形成することにより、摺動面の表面粗さを低減させ、低摩擦化している。
たとえば、特許文献1には、鉄系の基材の表面に水素含有量が10at%以下の非晶質炭素からなる非晶質炭素薄膜を形成した低摩擦摺動部材が開示されている。この非晶質炭素膜は、水素含有量が低く耐摩耗性に優れる。そのため、摺動面の表面粗さが大きいと、潤滑油の存在下で使用しても非晶質炭素膜と相手材との間に油膜が良好に形成されず摺動性が低減したり相手材を傷付けたりすることがあり、低摩擦化が阻害される。
特開2005−97570号公報
ところで、摺動面の表面粗さを小さくするための基材の加工には、時間やコストがかかるため、自動車部品など大量生産が必要な部位には望ましくない。そこで、本発明は、摺動面の表面粗さが大きい場合であっても、低摩擦化が実現できる低摩擦摺動部材を提供することを目的とする。
本発明の低摩擦摺動部材は、基材と、該基材の少なくとも摺動面側に形成され相手材と摺接する摺動層と、を備える低摩擦摺動部材であって、前記摺動層は、炭素を主成分とし、水素を30at%を超え50at%未満含み、珪素を1.5at%以上20at%以下含み、該炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が40at%以上70at%以下である非晶質炭素からなることを特徴とする。
この際、前記摺動層の硬さは、15GPa未満であるのが好ましい。また、前記摺動層の弾性率は、50〜100GPaであるのが好ましい。
さらに、前記基材の表面に形成され該基材と前記摺動層との間に位置し、含まれる水素量が前記摺動層の非晶質炭素よりも少ない非晶質炭素からなる耐摩耗層を備えるのが望ましい。
この際、前記耐摩耗層は、水素を20at%を超え30at%未満含み、珪素を0.1at%以上10at%以下含み、該炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が70at%以上90at%以下である非晶質炭素からなるのが望ましい。
本発明の低摩擦摺動部材では、摺動層を構成する非晶質炭素に含まれる水素を非晶質炭素に含有可能な程度にまで多く含む。水素を多く含む非晶質炭素は摩耗しやすく、後に詳説するように、摺動層の表面粗さが大きい場合であっても、相手材と摺接する際に摺動面が摩耗することにより摺動面が平滑になる(自己平滑性)。その結果、本発明の低摩擦摺動部材は、低摩擦係数を示す。
また、摺動層を構成する非晶質炭素に含まれる珪素により、相手材と摺接する際に、摺動層の表面にシラノール(Si−OH)が生成される。シラノールは、摺動雰囲気中の水分を吸着すると、吸着した水分で構成される吸着水層が摺動層の表面に形成される。この吸着水層の存在により摺動時の剪断力が低下すると考えられているため、優れた潤滑性を有し、低摩擦係数を示す。
すなわち、本発明の低摩擦摺動部材は、摺動層がもつ自己平滑性と、摺動面でのシラノールの形成により、低摩擦化が実現される。
さらに、非晶質炭素が含有する炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量を上記の割合に制御することにより、炭素原子間の結合形態、すなわち非晶質炭素の構造が最適化され、優れた摺動性を示す。
この際、摺動層の硬さが15GPa未満、また、摺動層の弾性率が50〜100GPaであれば、相手材と摺接する際に、摺動層の変形により、摺動面の広範囲の面積で相手材と摺接するため、摺動面への負荷が低減され、低摩擦係数を示す。
さらに、基材と摺動層との間に位置し、含まれる水素量が摺動層の非晶質炭素よりも少ない非晶質炭素からなる耐摩耗層を形成すれば、本発明の低摩擦摺動部材に耐摩耗性が付加される。特に、耐摩耗層を構成する非晶質炭素に含まれる水素、珪素、sp2 混成軌道をもつ炭素量を上記の割合とすれば、潤滑性を維持しつつ高い耐摩耗性を示す。その結果、長時間の使用により摺動層が摩滅した場合でも、耐摩耗層を摺動面として摺動を継続することが可能となり、耐久性に優れる。
以下に、本発明の低摩擦摺動部材を実施するための最良の形態を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の低摩擦摺動部材の一例を示す模式図であって、摺動層の厚さ方向の断面図である。本発明の低摩擦摺動部材1は、基材11と、基材11の少なくとも摺動面側に形成され相手材と摺接する摺動層21と、を備える。ここで、摺動層21が「基材の摺動面側に形成され」とは、摺動層21が相手材と摺接する摺動面21fを構成すればよく、基材11の表面に直接形成されていてもよいし、図1に示すように耐摩耗層22であってもよい。
基材の形状や材質は、摺動部材として使用できれば特に限定されるものではない。基材の材質としては、金属、セラミックス、樹脂等から選ばれる材料を用いればよい。たとえば、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、アルミニウム合金、チタン合金等の金属製基材、超鋼、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス製基材、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製基材などが挙げられる。基材の形状としては、各種装置の摺動部に用いられる摺動部品であるのがよく、具体的には、ピストンや動弁系などのエンジン部品、歯車、軸受け等の機械部品等である。
また、基材の表面粗さに特に限定はないが、基材の表面粗さは、摺動層の表面粗さに反映される。したがって、基材の表面粗さと摺動層の表面粗さとは、ほぼ同等の値を有する。本発明の低摩擦摺動部材では、基材の表面粗さ(すなわち、摺動面の表面粗さに相当)が大きくても、後に詳説する自己平滑性により摩擦が低減される。具体的には、本発明の低摩擦摺動部材は、従来の非晶質炭素からなる摺動層を備える摺動部材であっても低摩擦係数を示す十点平均粗さが0.3μmRz以下の基材はもちろん、従来の摺動部材では摩擦を低減する効果が低い0.3μmRzを超える基材であっても、摩擦を低減する効果が高い。好ましい基材の表面粗さは、3μmRz以下、さらに好ましくは1.5μmRz以下である。基材の表面粗さが3μmRzを超えても摩擦を低減する効果は発現されるが、3μm以下であれば、低摩擦係数を示す。また、製造コスト等の問題を考慮すれば、基材の表面粗さは0.3μmRzより大きいのが好ましい。なお、十点平均粗さRzの算出方法は、JIS B 0601(1994)に規定された方法に従う。
摺動層は、炭素(C)を主成分とし、水素(H)を30at%を超え50at%未満含み、珪素(Si)を1.5at%以上20at%以下含み、炭素(C)のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が40at%以上70at%以下である非晶質炭素からなる。
本発明の低摩擦摺動部材では、特定の組成と構造を有する非晶質炭素からなる摺動層を備えることにより、自己平滑性をもたせた。ここでいう「自己平滑性」とは、相手材と摺接する際に摺動面が摩耗し、摩耗により摺動面の表面粗さが低減されて平滑になる性質である。摺動面の表面粗さが大きい場合には、潤滑油を用いた湿式条件下であっても摺動面と相手材とが固体接触する接触箇所が複数箇所存在するため、摩擦が大きくなる。ところが、適度に摩耗しやすく軟質な摺動層であれば、相手材と摺接する際に摺動面が摩耗して、摺動に適した平滑な面が形成される。その結果、摩擦は低減され、湿式条件下であれば摺動面に油膜が良好に形成され、さらに摺動性が向上する。そして、上記の非晶質炭素からなる摺動層であれば、摺動開始後、直ちに摺動面が平滑化するため、低摩擦での使用が可能となる。摺動後の摺動面は、相手材の材質や表面粗さにもよるが、0.2μmRz以下にまで平滑化される。
非晶質炭素は、Hを30at%を超え50at%未満含む。30at%を超えるHを含有する非晶質炭素では、C−C結合がHにより分断・終端化されてC−Hとなる。そのため、摺動層は、軟質で適度に摩耗しやすく、自己平滑性に優れる。Hが30at%以下であると、自己平滑性が十分に発揮されないため適さない。Hが32at%より大、33at%以上または34at%以上、さらには35at%以上であれば、さらに自己平滑性に優れる摺動層が得られるため好ましい。また、Hを50at%以上含む非晶質炭素の合成は困難である。
非晶質炭素は、Siを1.5at%以上20at%以下含む。エンジン油、CVT油などの実用油では、非晶質炭素は、含まれるSi量が多くなる程、摩擦係数が増大する傾向にある。したがって、Siが20at%以下であれば、低摩擦係数を示す。Siが10at%以下であれば、さらに摩擦係数が低下するため好ましい。また、Siを含む非晶質炭素からなる摺動層は、摺動層の表面にシラノールが生成されるため、潤滑性が向上する。Siが1.5at%以上であれば、摺動層の表面に摩擦を低減するのに十分なシラノールが生成される。さらに潤滑性を向上させるためには、Si含有量を3at%以上とするのが好ましい。
また、非晶質炭素において、主成分の炭素には、化学結合における原子軌道の違いにより、sp2 混成軌道を作って結合する炭素(以下「Csp2 」と略記)、sp3 混成軌道を作って結合する炭素(以下「Csp3 」と略記)がある。ダイヤモンドはCsp3 のみからなり、隣接する炭素原子が、sp3 混成軌道により四方向(正四面体の中心から各頂点へ向かう方向)に共有結合し、これが立体的な構造を形成する。一方、グラファイトは、Csp2 のみからなり、隣接する炭素原子が、sp2 混成軌道により同一平面内で三方向に共有結合して炭素六員環層を形成し、この炭素六員環層が積層した構造をもつ。
一般に、Csp3 のみからなり立体構造を形成するダイヤモンドの方が、Csp2 のみからなるグラファイトよりも硬く高い耐摩耗性を示す。グラファイトのC=C結合は、Csp3 による炭素−炭素結合(C−C結合)よりも強いが、グラファイトの炭素六員環層は、ファンデルワールス力により結合されている。このため、炭素六員環層間の結合は弱く、剥離し易い。よって、グラファイトは、炭素六員環層間のすべりにより潤滑性に優れるものの、摩耗し易い。ところが、非晶質炭素が珪素を含むと、珪素は立体的なsp3 混成軌道を作って結合するため、Csp2 からなる炭素六員環層が立体的なsp3 混成軌道を持つ炭素や珪素と共有結合を作る。つまり、強固なC=C結合を持つ炭素六員環層が、Csp3 やSiを仲立ちとして立体的に結合した構造となり、高い耐摩耗性を示す。
すなわち、本発明の低摩擦摺動部材では、摺動層を構成する非晶質炭素は、sp2 混成軌道をもつ炭素量が40at%以上70at%以下とした。Csp2 量が70at%以下であれば、Csp2 によるC=C結合が減少するため、構造的に摩耗しやすく自己平滑性に優れる。Csp2 量が65at%以下であれば、さらに自己平滑性に優れるため好ましい。一方、Csp2 量が40at%以上であれば、ダイヤモンドに由来する立体構造が減少するため、構造的に摩耗しやすく、自己平滑性に優れる。Csp2 量が55at%以上であれば、さらに自己平滑性に優れるため好ましい。なお、上記のCsp2 量は、非晶質炭素の炭素、つまり摺動層を構成する炭素の全体量を100at%としたときの割合である。
一般に、非晶質炭素を構成する炭素は、Csp2 とCsp3 との二種類であると考えられる。したがって、摺動層を構成する非晶質炭素のCsp3 量は、30at%以上60at%以下となる。また、一般に、非晶質炭素に含まれるH量やSi量が多いと、Csp3 の割合が多くなる傾向にある。このように、Csp2 やCsp3 の割合は、非晶質炭素中のH量やSi量に依存するが、組成が同じであっても、上述のように構造が異なれば、Csp2 の割合が異なる。
Csp2 、Csp3 の定量法としては、たとえば、ラマン散乱法、赤外分光法(FT−IR)、X線光電子分光法(XPS)等が挙げられる。可視光源を用いたラマン散乱法によれば、1580cm-1付近のGバンドと1350cm-1付近のDバンドとの強度比「I(D)/I(G)」から、Csp2 、Csp3 の量比を求めることができる。ところが、これらの方法では、Csp2 、Csp3 を正確に定量できないというのが一般的な解釈である。したがって、本明細書では、Csp2 、Csp3 の定量法として、多くの有機材料の構造規定において最も定量性の高い核磁気共鳴法(NMR)を採用する。Csp2 量、Csp3 量の測定には、固体NMRで定量性のあるマジックアングルスピニングを行う高出力デカップリング法(HD−MAS)を用いた。非晶質炭素の 13C NMRスペクトルでは、130ppm付近、30ppm付近に、それぞれCsp2 、Csp3 に起因するピークが見られる。それぞれのピークとベースラインとにより囲まれる部分の面積比から、全炭素におけるCsp2 、Csp3 の含有割合を算出した。
摺動層の表面粗さは、前述のように、基材の表面粗さに影響される。したがって、摺動層の表面粗さは、好ましくは3μmRz以下、さらに好ましくは1.5μmRz以下である。
摺動層の硬さは、15GPa未満であるのが好ましい。硬さが15GPa未満の摺動層であれば、相手材と摺接する際に、摺動層の変形により、摺動面の広範囲の面積で相手材と摺接して面圧が低減されるため、低摩擦係数を示す。また、摺動層の硬さは、耐摩耗性にも寄与し、15GPa未満であれば、自己平滑性にも優れる。ただし、相手材と摺動する際の面圧が高面圧(たとえばヘルツ圧200MPa以上)である場合には、摺動層の硬さは10GPa以上であるのが好ましい。
また、摺動層の弾性率は、50〜100GPaであるのが好ましい。弾性率が50〜100GPaの低弾性率であれば、相手材と摺接する際に、摺動層の変形により、摺動面の広範囲の面積で相手材と摺接するため、低摩擦係数を示す。
なお、摺動層の硬さおよび弾性率は、ナノインデンターを用いた試験により求めた。後述の耐摩耗層についても同様である。
本発明の低摩擦摺動部材が相手材と摺接する際には、乾式条件下であっても自己平滑性により低摩擦化されるが、特に、潤滑油を含む湿式条件下で低摩擦係数を示す。さらに、水分を含む潤滑油を用いると、摺動層の表面に吸着水層が形成されるため望ましい。また、摺動面と摺接する相手材としては、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、アルミニウム合金、チタン合金等の金属、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂、超鋼、アルミナ、窒化珪素等のセラミックスが好適である。また、相手材も、炭素を主成分とし、水素を30at%を超え50at%未満含み、珪素を1.5at%以上20at%以下含み、sp2 混成軌道をもつ炭素量が40at%以上70at%以下である非晶質炭素からなる摺動層を備える場合には、より摩擦係数が低減され好適である。
摺動層は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等、既に公知のCVD法、PVD法により非晶質炭素膜を成膜することにより形成できる。なかでも、プラズマCVD法により形成するのが望ましい。直流プラズマCVD法では、真空容器内に基材を配置して、反応ガスおよびキャリアガスを導入する。そして、放電によりプラズマを生成させ、反応ガス中のプラズマイオン化されたC、CH、Si等を基材に付着させ、非晶質炭素膜を形成する。この際、放電の負グローが互いに重なり合う状態にして成膜するのが望ましい。負グローが互いに重なり合った状態での成膜により、反応ガスとして用いられる炭化水素ガスが分解されやすくなり、Hを高い割合で含有し、かつ、適切な割合でCsp2 をもつ非晶質炭素が容易に形成される。また、反応ガスにはメタン(CH4 )、アセチレン(C2 2 )、ベンゼン(C6 6 )等の炭化水素ガス、Si(CH3 4 [TMS]、SiH4 、SiCl4 、SiH2 4 等の珪素化合物ガス、を用いればよい。この際、通常、キャリアガスにはアルゴンガスが用いられるが、アルゴンガスのかわりに水素ガスを用いれば、成膜中の膜表面へのイオン衝撃が低減されるため、Hを高い割合で含有し、かつ、適切な割合でCsp2 をもつ非晶質炭素が容易に形成されるため好ましい。
さらに、基材の表面に形成され基材と摺動層との間に位置し、含まれる水素量が摺動層の非晶質炭素よりも少ない非晶質炭素からなる耐摩耗層を備えてもよい。上述のように、自己平滑性に優れる摺動層は、Hを多く含み摩耗しやすいため、使用条件によっては、長時間の摺動により摺動層が摩滅する。そこで、基材の表面にH量の少ない耐摩耗層を形成して、その上に摺動層を積層させることにより、本発明の低摩擦摺動部材に耐摩耗性を付加した。その結果、摺動層が摩滅した場合でも、耐摩耗層を摺動面として摺動を継続することが可能となる。また、メカニズムは明らかではないが、耐摩耗層に摺動層を積層させることにより、摺動層を単独で備える場合よりも摺動層自体の耐摩耗性が向上するため、耐久性に優れる。
この際、耐摩耗層は、Hを20at%を超え30at%未満含む非晶質炭素からなるのが好ましい。H量が20at%を超えて含まれていれば、基材との密着性や靱性に優れるため好ましい。H含有量を25at%以上とするとさらに好適である。また、H量が30at%未満であれば、耐摩耗性に優れた硬質の非晶質炭素となるため好ましい。
また、耐摩耗層がSiを含む非晶質炭素からなる場合には、摺動層が消滅して耐摩耗層が摺動面となった場合に、シラノールが生成されるため、潤滑性に優れる。Siは、0.1at%以上10at%以下含まれるのが好ましい。Si量が0.1at%以上であれば、密着性に優れるため好ましい。Si量を1.5at%以上とすると、シラノールの生成による摩擦の低減効果が良好に発現するためさらに好ましい。また、Si量が10at%以下含まれるのが好ましく、耐摩耗性に優れる。Si量を4.5at%以下とするとさらに好適である。
耐摩耗層は、炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が70at%以上90at%以下である非晶質炭素からなるのが好ましい。Csp2 量が70at%以上であれば、Csp3 によるC−C結合よりも強固なCsp2 によるC=C結合が増加するため、耐摩耗性に優れる。一方、Csp2 量が90at%を超えると、炭素六員環層の層状化が進行し、粉末状の非晶質炭素が形成されるため好ましくない。さらに好ましくは、Csp2 が、80at%以下である。
耐摩耗層は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等、既に公知のCVD法、PVD法により非晶質炭素膜を成膜することにより形成できる。なかでも、直流プラズマCVD法により形成するのが望ましい。
耐摩耗層の硬さに特に限定はないが、15GPa以上であれば優れた耐摩耗性を示す。耐摩耗層の弾性率は、70〜250GPaであるのが好ましい。より好ましくは、100〜200GPaである。
また、耐摩耗層および摺動層の厚さに特に限定はないが、耐摩耗層の厚さは0.1〜20μmであるのが好ましい。また、摺動層の厚さは、0.05〜10μmであるのが好ましい。耐摩耗層と摺動層の厚さが上記範囲であれば、摺動層の耐摩耗性が良好に向上する。なお、耐摩耗層を形成せず、摺動層を単層で用いる場合には、摺動層の厚さが厚いほど耐久性に優れるが、0.5〜2μmであるのが好ましい。
以上、本発明の低摩擦摺動部材の実施形態を説明したが、本発明の低摩擦摺動部材は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の低摩擦摺動部材は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の低摩擦摺動部材の実施例を比較例とともに、表1〜表4および図2〜図13を用いて説明する。
[実施例1]
図2に示す直流プラズマCVD(PCVD)成膜装置3を用いて、基材の表面に摺動層として非晶質炭素膜(DLC膜)を形成した。図2に示すように、直流プラズマCVD成膜装置3は、ステンレス製の容器30と、導電性を有する基台31と、ガス導入管32と、ガス導出管33と、を備える。ガス導入管32は、バルブ(図略)を介して各種ガスボンベ(図略)に接続される。ガス導出管33は、バルブ(図略)を介してロータリーポンプ(図略)および拡散ポンプ(図略)に接続される。
まず、容器30内に設置された基台31の上に、基材10を配置した。基材10は、マルテンサイト系ステンレス鋼SUS440C(焼入れ焼戻し品、HRC58)製のブロック試験片(6.3mm×15.7mm×10.1mm)とした。次に、容器30を密閉し、ガス導出管33に接続されたロータリーポンプおよび拡散ポンプにより、容器30内のガスを排気した。排気された容器30内にガス導入管32からH2 ガスを導入し、ガス圧を144Paとした。
次に、プラズマ電源により−100Vの電圧を印加し、基材10をグロー放電させた(符号35に相当)。放電電力を所定の値に調整し、グロー放電により基材10の温度が所望の温度に達したら、ガス導入管32から反応ガスとしてTMSガスおよびCH4 ガスを所定の流量で導入し、さらにH2 ガスを導入して基材10の表面にDLC膜を成膜した。反応ガスおよびキャリアガス(以下「混合ガス」と記載)の流量を表1に示す。
なお、成膜条件は、成膜圧力445Pa、放電電圧372V(電流1.0A)、成膜終了時の基材温度が285℃であった。1時間の成膜により3μmの膜厚のDLC膜をもつ実施例1の摺動部材(ブロック試験片)が得られた。なお、基材10は、表面粗さの異なる3種類を用意し、それぞれ、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3とした。
[実施例2]
混合ガスを表1に示す流量とし、成膜中に負グローが重なり合うように基材10を配置した(「PCVD−HCD」と略記)他は、実施例1と同様にして実施例2の摺動部材(ブロック試験片)を作製した。
[実施例3]
混合ガスを表1に示す流量とした他は、実施例2と同様にして実施例3の摺動部材(ブロック試験片)を作製した。
[比較例1]
混合ガスを表1に示す流量とした他は、実施例1と同様にして比較例1の摺動部材(ブロック試験片)を作製した。なお、基材10は、表面粗さの異なる2種類を用意し、それぞれ、比較例1−1、比較例1−2とした。
[比較例2および比較例3]
混合ガスを表1に示す流量とした他は、実施例1と同様にして比較例2および比較例3の摺動部材(ブロック試験片)を作製した。
[比較例4]
マグネトロンスパッタリング(SP)法により、基材の表面にSiを含有しないDLC膜を成膜して、比較例4の摺動部材(ブロック試験片)を得た。なお、基材は、表面粗さの異なる2種類のSUS440Cブロック試験片を用意し、それぞれ、比較例4−1、比較例4−2とした。
[比較例5]
ホロカソード(HCD)法により、基材の表面にCrN膜を成膜して、比較例5の摺動部材(ブロック試験片)を得た。なお、基材は、表面粗さの異なる2種類のSUS440Cブロック試験片を用意し、それぞれ、比較例5−1、比較例5−2とした。
表1に、実施例1〜3および比較例1〜5の各摺動部材に形成された摺動層(DLC膜またはCrN膜)の成膜方法およびPCVDにおける混合ガスの流量を示す。また、表2に、実施例1〜3および比較例1〜4の各摺動部材に形成されたDLC膜の膜組成、Csp2 とCsp3 の割合、硬さおよび弾性率を示す。なお、DLC膜の硬さおよび弾性率は、ナノインデンター試験機(東陽テクニカ製MTS)を用いた試験により求めた。
DLC膜中のSi含有量は、電子プローブ微小部分析法(EPMA)、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)、ラザフォード後方散乱法(RBS)により定量した。また、H含有量は、弾性反跳粒子検出法(ERDA)により定量した。ERDAは、2MeVのヘリウムイオンビームをDLC膜表面に照射して、はじき出される水素を半導体検出器により検出し、膜中の水素濃度を測定する方法である。Csp2 量、Csp3 量の測定には、既に説明した核磁気共鳴法(NMR)を用いた。
Figure 2007023356
Figure 2007023356
[摺動試験および摩擦特性の評価]
上記各ブロック試験片について、リング・オン・ブロック型摩擦試験機(FALEX社製型試験機)による摺動試験を行った。図3に、リング・オン・ブロック型摩擦試験機の概略図を示す。図3に示すように、リング・オン・ブロック型摩擦試験機4は、ブロック試験片40と、相手材となるリング試験片41とから構成される。ブロック試験片40とリング試験片41とは、ブロック試験片40に形成された被膜20の摺動面20fとリング試験片41とが当接する状態で設置される。リング試験片41はオイルバス42中に回転可能に設置される。本摺動試験では、リング試験片41として、本摩擦試験機の標準試験片であるS−10リング試験片(材質:SAE4620スチール浸炭処理材、形状:φ35mm、幅8.8mm、表面粗さ:1.5〜2μmRz)を用いた。また、オイルバス42には、80℃に加熱保持したエンジン油(トヨタ自動車株式会社製 SL 5W-30)を用いた。
[評価1]
ブロック試験片40の上から90Nの荷重(ヘルツ面圧170MPa)をかけ、ブロック試験片40とリング試験片41とを摺動速度0.3m/sで30分間摺動させた後、摩擦係数を測定した。ここで、ヘルツ面圧とは、ブロック試験片40とリング試験片41との接触部の弾性変形を考慮した実接触面の圧力の最大値である。表3および図4に、実施例1−1、実施例2、実施例3、比較例1−1および比較例2のブロック試験片の摩擦係数の測定結果を示す。なお、摺動面の表面粗さは、非接触の表面形状測定機(Zygo製 New View 5000)により測定した。
実施例1−1、実施例2および実施例3では、比較例1−1および比較例2よりも摩擦係数が大きく低下した。なお、比較例2は、摺動層の硬さも弾性率も小さいが、Csp2 量が75at%でC=C結合が多く存在し、構造的に耐摩耗性に優れるため、自己平滑性が発揮されず、摺動性の向上はあまり見られなかった。
[評価2]
荷重を300N(ヘルツ面圧310MPa)とした他は、評価1と同様にして摩擦係数を測定した。表3および図5に実施例1−1、比較例1−1および比較例2のブロック試験片の摩擦係数の測定結果を、図6に摩耗量を、示す。
また、図7(A)および図7(B)に、実施例1−1および比較例1−1のブロック試験片について、上記非接触の表面形状測定機により測定した摺動後の摺動面の表面粗さを示す。
実施例1−1は、比較例1−1および比較例2の摺動部材よりも耐摩耗性に劣るものの、低い摩擦係数を示した。なお、ヘルツ面圧が増大すると、硬さの小さい摺動層であると摺動層が損傷するが、実施例1−1の摺動層の硬さは10GPa以上であるため、高負荷であっても低摩擦係数を示した。さらに、図7(A)より実施例1−1の摺動面は自己平滑化されているのがわかる。比較例1−1と実施例1−1の摺動面の表面粗さに大きな差はないが、図7(B)より、比較例1−1の摺動面は、摺動前後で表面粗さが保持されることがわかる。
[評価3]
荷重を300N(ヘルツ面圧310MPa)とした他は、評価1と同様にして摩擦係数を測定した。表3および図8に、実施例1、比較例1、4および5の異なる表面粗さを有する各摺動部材の摩擦係数を、異なる2種類の表面粗さを有するSUS440Cブロック試験片(未成膜、以下「SUS440C」と記載)の摩擦係数と共に示す。
各摺動部材は、SUS440Cよりも摺動性が向上した。特に、実施例2の各摺動部材では、摺動面の表面粗さが0.8μmRz以上、さらには1.3μmRz以上であっても、その優れた自己平滑性から低い摩擦係数を示した。実施例1−2と比較例1−2は共に摺動面の表面粗さが0.8μmRzであるが、実施例1−2の摩擦係数は非常に低い値であった。また、比較例の摺動部材では、摺動面の表面粗さが1.3μmRz以上であると、同程度の表面粗さをもつSUS440Cの摩擦係数に近い値を示した。
Figure 2007023356
以上、評価1〜評価3からわかるように、実施例1〜実施例3の摺動部材では、摺動面の表面粗さが粗くても自己平滑性に優れ、効果的に摩擦が低減された。また、Siを含む摺動層をもつ摺動部材の摺動面には、DLC膜に含まれるSiが摺動雰囲気中の水分や酸素と反応して生成されたシラノールが誘導体化XPS分析で検出された。このシラノールは、摺動面上で吸着水を吸着層として保持する役目を果たし、摩擦係数を低減する効果がある。よって、実施例1〜実施例3の摺動部材では、自己平滑性を向上させ、かつ、低摩擦物質であるシラノールが生成されたことにより、低摩擦が発現されたものと推察される。
しかしながら、低摩擦係数を示す摺動層だけでは、摺動条件によっては耐摩耗性が不十分である場合がある。そこで、耐摩耗性を付与するために耐摩耗層と摺動層の2層からなるDLC膜をもつ実施例4および実施例5の摺動部材(ブロック試験片)を作製し、これらについても、比較例3のブロック試験片とともに、摩擦係数と摩耗量を測定した。
[実施例4および実施例5]
基材の表面に耐摩耗層として、比較例3と同様のDLC膜を成膜した。さらに、混合ガスの流量を変更した他は実施例1と同様にして、耐摩耗層の上に摺動層を形成して、実施例4および実施例5の摺動部材(ブロック試験片)を作製した。
表4に、実施例4および実施例5の各摺動部材に形成されたDLC膜の膜組成、膜厚および表面粗さを示す。また、摩擦係数と摩耗量は、[評価1]の条件で測定した。測定結果を図9および図10に示す。
図9によれば、実施例4および実施例5の摺動部材は、比較例3よりも低い摩擦係数を示した。さらに、図10によれば、実施例4および実施例5では、比較例3の摺動部材には劣るものの、摩耗深さが減少した。実施例4および実施例5の摩耗深さは、単層である実施例1−1の摩耗深さ(図6)よりも大幅に低減された。これは、下層に硬質の耐摩耗層を形成したことで、摺動層自体の耐摩耗性が向上したためであると推測される。
Figure 2007023356
また、図11、図12および図13に、実施例1−1、実施例5および比較例3の各摺動部材について、上記非接触の表面形状測定機により測定した摺動後の摺動面の表面粗さを示す。なお、図11〜図13において、左図は摺接部の摩滅形状を示し、右図は摺接部の中央部の表面粗さを示す。
実施例1−1(図11)と実施例5(図12)の摩滅形状から、摺動層と耐摩耗層との2層からなる実施例5の摺動部材は、摺動層の摩滅が低減されたことがわかった。そして、実施例5の摺動部材の摩滅形状は、比較例3(図13)の摩滅形状と大きく差がないことが分かった。また、実施例1−1と実施例5は、ともに、摺接部の表面粗さが小さく、比較例3の摺動部材よりも自己平滑性に優れた。すなわち、実施例5の摺動部材は、自己平滑性と耐摩耗性に優れた摺動部材であった。
本発明の低摩擦摺動部材の一例を示す模式図であって、摺動層の厚さ方向の断面図である。 直流プラズマCVD成膜装置の概略図である。 リング・オン・ブロック型摩擦試験機の概略図である。 実施例1−1、実施例2、実施例3、比較例1−1および比較例2の摺動部材の摩擦係数の測定結果を示すグラフである。 実施例1−1、比較例1−1および比較例2の摺動部材の摩擦係数の測定結果を示すグラフである。 実施例1−1、比較例1−1および比較例2の摺動部材の摩耗量を示すグラフである。 実施例1−1(A)および比較例1−1(B)の摺動部材の摺動後の摺動面の表面粗さを示す。 実施例1、比較例1、比較例4、5およびSUS440Cの摺動面の表面粗さと摩擦係数との関係を示したグラフである。 比較例3、実施例4および実施例5の摺動部材の摩擦係数の測定結果を示すグラフである。 比較例3、実施例4および実施例5の摺動部材の摩耗量を示すグラフである。 実施例1−1の摺動部材の摺動後の摺動面の摩滅形状および表面粗さを示す。 実施例5の摺動部材の摺動後の摺動面の摩滅形状および表面粗さを示す。 比較例3の摺動部材の摺動後の摺動面の摩滅形状および表面粗さを示す。
符号の説明
10,11:基材
21:摺動層 20f,21f:摺動面
22:耐摩耗層

Claims (8)

  1. 基材と、該基材の少なくとも摺動面側に形成され相手材と摺接する摺動層と、を備える低摩擦摺動部材であって、
    前記摺動層は、炭素を主成分とし、水素を30at%を超え50at%未満含み、珪素を1.5at%以上20at%以下含み、該炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が40at%以上70at%以下である非晶質炭素からなることを特徴とする低摩擦摺動部材。
  2. 前記摺動層の表面粗さは、十点平均粗さで3μmRz以下である請求項1記載の低摩擦摺動部材。
  3. 前記摺動層の硬さは、15GPa未満である請求項1記載の低摩擦摺動部材。
  4. 前記摺動層の弾性率は、50〜100GPaである請求項1記載の低摩擦摺動部材。
  5. 潤滑油を含む湿式条件下で使用される請求項1記載の低摩擦摺動部材。
  6. さらに、前記基材の表面に形成され該基材と前記摺動層との間に位置し、含まれる水素量が前記摺動層の非晶質炭素よりも少ない非晶質炭素からなる耐摩耗層を備える請求項1〜5のいずれかに記載の低摩擦摺動部材。
  7. 前記耐摩耗層は、水素を20at%を超え30at%未満含み、珪素を0.1at%以上10at%以下含み、該炭素のうちsp2 混成軌道をもつ炭素量が70at%以上90at%以下である非晶質炭素からなる請求項6記載の低摩擦摺動部材。
  8. 前記耐摩耗層の厚さは0.1〜20μmであり、前記摺動層の厚さは、0.05〜10μmである請求項6記載の低摩擦摺動部材。
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