JPH09286905A - ポリエステル組成物とフィルムおよび中空容器 - Google Patents

ポリエステル組成物とフィルムおよび中空容器

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JPH09286905A
JPH09286905A JP9850696A JP9850696A JPH09286905A JP H09286905 A JPH09286905 A JP H09286905A JP 9850696 A JP9850696 A JP 9850696A JP 9850696 A JP9850696 A JP 9850696A JP H09286905 A JPH09286905 A JP H09286905A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性とガスバリヤー性に優れたポリエステ
ル樹脂組成物およびそれよりなるフィルム、中空容器を
提供する。 【構成】 ポリエチレンテレフタレート5〜95重量部
とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
ト95〜5重量部とを溶融混合して得られる組成物であ
って、延伸前の該組成物中における分散相の最大径が5
00nm以下であり、かつ該ポリエステル組成物の核磁
気共鳴スペクトルより求めたエステル交換率が1〜6%
の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物とそ
れより得られたフィルムおよび中空容器

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリヤー性、
透明性、耐熱性、紫外線遮断性等に優れたポリエステル
樹脂組成物と、それから得られる延伸フィルムおよび延
伸中空容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下、P
ETと称す)は、その優れた特性の故に繊維、フィル
ム、ボトルなどの原料として広く用いられている。食
品、薬品、化粧品等の包装用フィルムおよびボトル等の
容器の原料として用いられるPETは、溶融成形性が優
れており、かつ成形品においては透明性、機械的強度等
に優れ、比較的高いガスバリヤー性を有している。しか
しながら、ビール、ワイン、炭酸飲料などのような、酸
素により香気が悪化する恐れのある場合や、充填ガスの
漏洩を防止する必要がある用途では、透明性などの特性
の他に、高いガスバリヤー性が必要とされる。このよう
な用途にPETからなる容器を用いるには、容器の肉厚
を厚くしてガスバリヤー性をもたせる必要があるが、経
済的に不利になるだけではなく、容器の肉厚が厚くなる
と結晶化しやすくなり、その結果、透明性が低下し好ま
しくない。このようなPETを用いた容器やフィルムに
高いガスバリヤー性を付与するために様々な改良がなさ
れてきている。例えば高いガスバリヤー性を有するポリ
エステルやポリアミド等と組み合わせた多層容器や多層
フィルム、あるいは共重合によるガスバリヤー性の向上
などが試みられている。
【0003】またPETを用いた容器やフィルムに高い
ガスバリヤー性を付与するために、PETと高いガスバ
リヤー性を示すポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート(以下、PENと称す)を溶融混合する
ことにより、ガスバリヤー性を向上させることが試みら
れている。例えばリサーチ・ディスクロージャー誌、1
988年10月号、714頁にPETとPENとのブレ
ンド物からなる中空容器の酸素透過係数が報告されてい
るが、両者各々単独の酸素透過係数の算術平均的な値に
留まっている。
【0004】BEV−PAK AMERICAS’95
(1995年4月24〜25日 米国フロリダ)予稿集
13−58頁には、PETとPENとのブレンド物から
なるボトルが両者の算術平均から予想される値より低い
酸素透過係数を示す図が掲載されている。その理由は結
晶化度が異なるためと説明されいる。BEV−PAK
AMERICAS’95(1995年4月24〜25日
米国フロリダ)予稿集13−94頁において、PET
とPENとのブレンド物からなる広口容器がやはり両者
の算術平均から予想される値より低い酸素透過係数を示
す図が掲載されているが、両者のブレンド比が90/1
0での結晶化度はPET単独の20.2%に比べて、2
8.0%および31.2%と高い値となっている。
【0005】米国特許第3546320号には、PET
94〜60重量%とPEN6〜40重量%とからなり、
両者のセグメントから成るブロックコポリマーを少なく
とも5%含有するポリエステル組成物が開示されてい
る。特開昭63−168451号には、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂100重量部にナフタレンジカルボン酸およ
びその誘導体の少なくとも1種以上を、0.001重量
部以上、10重量部以下添加した紫外線遮断性に優れた
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が開示されている。
【0006】特開平4−239624号には、容器壁を
構成する素材がPET単位とPEN単位から主としてな
り、両単位の合計重量を基準にしてPET単位99.8
〜90重量%およびPEN単位0.2〜10重量%であ
る共重合ポリエステル又は混合体ポリエステルの紫外線
遮断性に優れた食品包装容器が開示されている。特開平
4−331255号では、PETとPENとの2種のポ
リエステルからなる溶融混合組成物で、DSC(示差走
査熱量計)により昇温時結晶化ピーク、融点ピーク及び
降温時結晶化ピークが検出されない、耐熱性、ガスバリ
アー性、透明性及び成形性に優れた包装材料用ポリエス
テル組成物が開示されている。しかしこれらの方法では
充分なガスバリヤー性を得ようとすれば、肉厚を厚くす
る、結晶化度を上げる等の手段をとる必要があり、その
ため透明性が損なわれるという問題を生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の如くPETを用
いた容器やフィルムに高いガスバリヤー性を付与するた
めに様々な改良がなされてきているが、容器の肉厚やガ
スバリヤー性の問題を完全に解決しているとは言い難
い。ガスバリヤー性を付与するために、通常、熱処理に
より結晶化度を上げる手段が取られる。しかし該手段に
よるエネルギー損失が大きく、また工程が増加し、成形
サイクルが長くなるという問題がある。PETとPEN
とを溶融混合する技術では、混合物のガス透過係数は結
晶化度を上げる等の手段をとらない限り、ガスバリヤー
性は両者各々単独のガス透過係数の算術平均的な値に留
まっており、算術平均以上のガスバリヤー性が得られる
との報告はいまだ見当たらない。本発明の目的は、特に
結晶化度を上げる等の操作を加えずに、ガスバリヤー性
および透明性に優れたポリエステル樹脂組成物およびそ
れから得られる延伸フィルムおよび延伸中空容器(ボト
ル)を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために鋭意検討の結果、PETとPENとを
溶融混合して得られる組成物で、延伸前の該組成物中に
おける分散相の最大径を500nm以下とし、かつ該ポ
リエステル組成物のエステル交換率を特定範囲とするこ
とにより、ガスバリヤー性および透明性に優れたポリエ
ステル樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明に
到達した。
【0009】即ち本発明は、ポリエチレンテレフタレー
ト5〜95重量部とポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート95〜5重量部とを溶融混合して得
られる組成物であって、延伸前の該組成物中における分
散相の最大径が500nm以下であり、かつ該ポリエス
テル組成物の核磁気共鳴スペクトルより求めたエステル
交換率が1〜6%の範囲であることを特徴とするポリエ
ステル組成物および、ポリエステル組成物を延伸してな
るフィルムおよび中空容器である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるPETは、そ
の性質を本質的に変化させない範囲で、少量の他のエス
テル形成単位を含んでいてもよい。すなわち、本発明で
使用されるPETは、エチレンテレフタレート単位の他
に、他のエステル形成単位を20mol%以下、好まし
くは10mol%以下で含有していてもよい。他のエス
テル形成単位を構成するジカルボン酸およびジオールと
しては、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニ
ルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、またはコハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の如
き脂肪族ジカルボン酸、または1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、
デカリンジカルボン酸類、テトラリンジカルボン酸類等
の如き脂環族ジカルボン酸、およびプロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール等の如き脂肪族グリコール、ま
たは1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジ
オール等の如き脂環族グリコール、またはビスフェノー
ルA等の如き芳香族グリコールを好適なものとして挙げ
ることができる。また本発明で使用されるPETは、例
えば少量の安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオ
キシ安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等の如
き単官能化合物によって分子末端を封止されていてもよ
い。また、グリセリン、トリメシン酸、ペンタエリスリ
トール等の如き多官能化合物に由来する構成単位を極く
少量含んでいてもよい。
【0011】本発明に用いるPETは、ポリマー中の水
分率を300ppm以下、好ましくは100ppm以
下、さらに好ましくは50ppm以下に乾燥することが
望ましく、また溶融粘度は、285℃において20〜5
000Pa・s、好ましくは100〜3000Pa・s
の範囲であることが望ましい。上記溶融粘度が、20P
a・s未満のPETを使用したポリエステル樹脂組成物
では、その成形品において十分な機械的性能を示さない
おそれがある。また上記溶融粘度が、5000Pa・s
を超えるPETを使用した場合には、溶融粘度が高すぎ
るために、PENとの溶融混合時に機械的な混合が進み
難く、本発明の材料として好ましくない。
【0012】本発明で使用されるPENは、その性質を
本質的に変化させない範囲で、少量の他のエステル形成
単位を含んでいてもよい。すなわち、本発明で使用され
るPENは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位の他に、他のエステル形成単位を20mo
l%以下、好ましくは10mol%以下で含有していて
もよい。他のエステル形成単位を構成するジカルボン酸
およびジオールとしては、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5
−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカル
ボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−
ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカル
ボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、またはコハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の如き脂
肪族ジカルボン酸、または1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカ
リンジカルボン酸類、テトラリンジカルボン酸類等の如
き脂環族ジカルボン酸、およびプロピレングリコール、
トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,
4−ブタンジオール等の如き脂肪族グリコール、または
1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオー
ル等の如き脂環族グリコール、またはビスフェノールA
等の如き芳香族グリコールを好適なものとして挙げるこ
とができる。
【0013】また本発明で使用されるPENは、例えば
少量の安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ
安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等の如き単
官能化合物によって分子末端を封止されていてもよい。
またグリセリン、トリメシン酸、ペンタエリスリトール
等の如き多官能化合物に由来する構成単位を極く少量含
んでいてもよい。本発明に用いるPENは、ポリマー中
の水分率を300ppm以下、好ましくは100ppm
以下、さらに好ましくは50ppm以下に乾燥したもの
が望ましく、また溶融粘度は、285℃において0.1
〜5000Pa・s、好ましくは1〜3000Pa・s
の範囲であることが望ましい。
【0014】上記のようなPETとPENとからなるポ
リエステル樹脂組成物では、PETは、5〜95重量
部、好ましくは30〜90重量部、PENは、95〜5
重量部、好ましくは70〜10重量部で用いられる。本
発明のポリエステル樹脂組成物には、上記のようなPE
TおよびPENの他に、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定
剤、滑剤等の添加剤を含んでもよい。
【0015】本発明で用いるエステル交換率は、(1)
式により求められる数値である。
【化1】 エステル交換率=(NT)×100/(NN+NT+TT) (1) 但し(1)式において、NNは、2個の2,6−ナフタ
レンジカルボン酸残基に挟まれたエチレングリコール残
基に由来するプロトン積分値を、NTは、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸残基とテレフタル酸残基とに挟まれ
たエチレングリコール残基に由来するプロトン積分値
を、TTは、2個のテレフタル酸残基に挟まれたエチレ
ングリコール残基に由来するプロトン積分値を示す。
【0016】スチュアートらは、ポリマー誌、第34
巻、4060頁(1993年)において、PETとPE
Nとのブレンド物のエステル交換反応の程度をプロトン
核磁気共鳴スペクトル(NMR)により求める方法を報
告している。すなわちスチュアートらはPETとPEN
とのブレンド物において、ポリマー鎖中のエチレングリ
コール残基のエチレンプロトン化学シフトがエチレング
リコール残基の両端のジカルボン酸残基の種類により異
なることを利用している。
【0017】本発明におけるエステル交換率はスチュア
ートらの方法により求めることができる。プロトンNM
Rは400MHz程度の分解能を有する機種が望まし
い。プロトンNMRを測定する際の溶媒は重クロロホル
ムとトリフルオロ酢酸との重量比を70/30とした混
合溶媒が望ましい。PETとPENとの組成物のNMR
スペクトルの例を図1に示す。図1においてポリエステ
ルの両端がテレフタル酸残基の場合は4.8ppmに、
両端が2,6−ナフタレンジカルボン酸の場合は4.9
ppmに、ポリエステルがテレフタル酸残基と2,6−
ナフタレンジカルボン酸残基とに挟まれている場合は
4.85ppmに、それぞれエチレンプロトンのピーク
が観測される。
【0018】本発明で使用されるPETにエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が含まれて
いる場合、および/または本発明で使用されるPENに
エチレンテレフタレート単位が含まれている場合のエス
テル交換率は、両者の溶融によらない、即ち実質的にエ
ステル交換を起こしていない混合物の2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸残基とテレフタル酸残基とに挟まれたエ
チレングリコール残基に由来するプロトン積分値を別途
求め、それをブランクとした増加分より求めることがで
きる。
【0019】PETとPENとは本質的に非相溶であ
り、エステル交換が進行していない状態では不均一な相
を形成する。即ち多量成分がマトリックス相、少量成分
が分散相を形成し、いわゆる海島構造を呈する。本発明
において良好な透明性を得るために延伸前の組成物、具
体的にはフィルム原版、中空容器のプリフォーム等の成
形時における溶融樹脂の流れ方向に垂直な断面における
分散相の最大径が500nm以下であることが必要であ
る。分散相の最大径がこれより大きいとヘーズが大きく
なって透明性が低下する。PETとPENとからなる組
成物における分散相の大きさは以下のようにして知るこ
とができる。即ちダイヤモンドナイフを用いて約0.1
μmの切片を切り出し、四酸化ルテニウム蒸気に暴露し
て染色した後、透過型電子顕微鏡を使用して撮影するこ
とにより分散相の大きさを測定することができる。PE
T相とPEN相との判別は、PET相の方がより濃く染
色されるため容易に判別することができる。
【0020】本発明においてPETとPENとからなる
組成物における分散相の大きさが透過型電子顕微鏡で測
定しうる範囲にあることは必ずしも必須ではない。分散
相が透過型電子顕微鏡で測定しうる範囲より小さくと
も、該組成物のエステル交換率が1〜6%の範囲にあれ
ば本発明の目的を達成することができる。エステル交換
率が1%より小さいと両者の混練が充分でないため、延
伸フィルム、延伸中空容器とした際に、均一な延伸が施
されず、白化、層剥離などを起こし、好ましくない。エ
ステル交換率が6%より大きいと両者各々単独のガス透
過係数の算術平均値を下回るガス透過係数が得られず、
好ましくない。なお特表平5−508682号には、P
ETとPENとのブレンド物を有効量のリン安定剤と接
触させることからなる、ブレンド物中のエステル交換率
を固相重合の間に調節する方法、およびエステル交換率
が調整されたブレンド物が開示されているが、本発明の
ようにエステル交換率を特定範囲にすることによりガス
バリヤー性が改善されるとの記載はなく、適切なエステ
ル交換率の範囲も異なっている。
【0021】本発明のポリエステル樹脂組成物を製造す
る方法は、上記のPETとPENを混合後一軸押出機、
二軸押出機、ニーダー等で溶融混合するといった従来公
知の方法を適用することができる。本発明において透明
性の良好な、即ちヘーズの低いフィルムおよび中空容器
を得るために、エステル交換率が6%を越えない範囲内
において適切な条件で溶融混練することにより達成され
る。より具体的には、溶融混練時の樹脂温度、溶融混練
時間を適度に調整することによりガスバリヤー性、透明
性共に優れたフィルムおよび中空容器を得ることができ
る。
【0022】本発明のPETとPENより成るポリエス
テル樹脂組成物は両者の算術平均値より低い酸素透過係
数を示すのが特徴である。その理由は以下の通りであ
る。上記のエステル交換率の範囲内においてPETとP
ENは完全には相溶せず、海島構造をとっている。PE
Tが海相、PENが島相を形成するようなブレンド比率
領域において、未延伸のフィルムを透過電子顕微鏡を用
いて観察すると、紐状に分散したPENが押出方向に並
んで存在しているのが観察される。図2は本発明のPE
TとPENより成るポリエステル樹脂組成物の未延伸の
フィルムを透過電子顕微鏡を用いて観察したときの模式
図であり、図2の如く紐状のPEN粒子が二軸延伸によ
り引き延ばされ、あたかもPET相とPEN相とが互い
に重なり合って存在し、多層フィルムに近似した構造を
とるため、両者の算術平均値より良好なガスバリヤー性
を示すものと考えられる。逆のPETが島相、とPEN
が海相を形成するブレンド比率領域においても同様のこ
とがいえる。
【0023】エステル交換率が大きくなるにしたがい、
相溶性が増して島相を形成しにくくなるため、島相の数
が減少するとともにその大きさも小さくなり、ついには
均一相を形成するに至る。ここに至っては多層構造によ
る優れたガスバリヤー性の発現は望むべくもない。即ち
本発明のPETとPENとを適正な範囲のエステル交換
率となるように溶融混練して、最大径が500nm以下
の分散相を生成せしめることになる。本発明のポリエス
テル樹脂組成物は、ガスバリヤー性、透明性、耐熱性に
優れた未延伸および延伸フィルム、延伸ブロー成形によ
り得られる中空容器の材料として有用である。
【0024】
【実施例】以下、実施例、比較例によって本発明を具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。なお本実施例及び比較例で採用した評価法
は以下の通りである。 (1)水分率 測定装置:三菱化成工業(株)製、微量水分測定装置
型式:CA−05 (2)溶融粘度 測定装置:(株)島津製作所製、フローテスター 型
式:CFT−500 ダイ:直径1mm、長さ10mm 剪断速度:100
-1 (3)分散相の最大径 測定装置:日本電子(株)製 JEM−1200EXII 加速電圧:100kV 撮影倍率:15,000倍 (4)核磁気共鳴スペクトル 測定装置:日本電子(株)製、型式:JNM−400α (5)酸素透過係数 ASTM D3985に準じた。 測定装置:モダンコントロールズ社製、型式:OX−T
RAN 10/50 A 測定温度条件:23℃、 相対湿度:60% (6)ヘーズ JIS K7105に準じた。 測定装置:日本電色工業(株)製、色差計 形式:Z−
Σ80型 (7)結晶化度 示差走査型熱量計(DSC)〔セイコー電子工業(株)
製、型式:DSC200〕にて、10℃/分の昇温速度
で測定した融解熱量から昇温時の結晶化熱量を差し引い
た熱量と、PETおよびPENの完全結晶の融解熱量か
ら導かれる各ブレンド比における理論融解熱量との比較
により算出した。
【0025】実施例1 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを混合後、直ちに一軸
押出機(スクリュー直径:20mmφ、L/D:25、
スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法によ
りシリンダー温度275〜285℃、Tダイ温度285
℃、スクリュー回転数72rpmの条件下で溶融混合
し、幅約120mm,厚さ約0.3mmの未延伸フィル
ムを得た。未延伸フィルムのエステル交換率は1.2%
であった。透過型電子顕微鏡による観察の結果、PEN
が分散相を形成しており、その最大径は430nmであ
った。次いで得られたシート(90mm×90mm)を
二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テンタ
ー法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:115℃、延
伸倍率:4×4、延伸速度:3m/分)し、厚み約20
μmの延伸フィルムを得た。次いで同延伸フィルムを2
45℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。このフィルム
の酸素透過係数は1.1cc・mm/m2 ・day・a
tm、30μm厚み換算のヘーズは18%であった。D
SCによる吸熱ピークが250℃に、ショルダーが26
0℃に観察され、結晶化度は31%であった。
【0026】比較例1 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを吸湿しない状態で保
存したものから、45mm二軸押出機を用い、シリンダ
ー温度285℃、スクリュー回転数110rpmの条件
下で溶融混合しペレットを得た。得られたペレットを乾
燥後、同一の条件でさらに2回、溶融混合してペレット
を得た。このペレットから、一軸押出機(スクリュー直
径:20mmφ、L/D:25、スクリュー形式:フル
フライト)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度27
5〜285℃、Tダイ温度285℃、スクリュー回転数
72rpmの条件下で溶融混合し、幅約120mm、厚
さ約0.3mmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィル
ムのエステル交換率は7.6%であった。透過型電子顕
微鏡による観察の結果、明瞭な分散相は観察されなかっ
た。次いで得られたシート(90mm×90mm)を二
軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テンター
法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:100℃、延伸
倍率:4×4、延伸速度:3m/分)し、厚み約20μ
mの延伸フィルムを得た。次いで、同延伸フィルムを2
45℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。このフィルム
の酸素透過係数は1.4cc・mm/m2 ・day・a
tm、30μm厚み換算のヘーズは0.2%であった。
DSCによる吸熱ピークが248℃に観察され、結晶化
度は約32%であった。実施例1と比較例1との酸素透
過係数の比較より、本発明の延伸フィルムが優れたガス
バリア性を示すことが分かる。
【0027】実施例2 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、60/40の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを吸湿しない状態で保
存したものから、一軸押出機(スクリュー直径:20m
mφ、L/D:25、スクリュー形式:フルフライト)
を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜285
℃、Tダイ温度285℃、スクリュー回転数72rpm
の条件下で溶融混合し、幅約120mm,厚さ約0.3
mmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのエステ
ル交換率は1.6%であった。透過型電子顕微鏡による
観察の結果、PENが分散相を形成しており、その最大
径は410nmであった。次いで得られたシート(90
mm×90mm)を二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二
軸延伸装置、テンター法〕を用い、同時二軸延伸(延伸
温度:115℃、延伸倍率:4×4、延伸速度:3m/
分)し、厚み約20μmの延伸フィルムを得た。次いで
同延伸フィルムを245℃の雰囲気中で10秒間熱固定
した。このフィルムの酸素透過係数は0.9cc・mm
/m2 ・day・atm、30μm厚み換算のヘーズは
19%であった。DSCによる吸熱ピークが251℃
に、ショルダーが261℃に観察され、結晶化度は32
%であった。
【0028】比較例2 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、60/40の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを吸湿しない状態で保
存したものから、45mm二軸押出機を用い、シリンダ
ー温度285℃、スクリュー回転数110rpmの条件
下で溶融混合しペレットを得た。得られたペレットを乾
燥後、同一の条件でさらに2回、溶融混合してペレット
を得た。このペレットから、一軸押出機(スクリュー直
径:20mmφ、L/D:25、スクリュー形式:フル
フライト)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度27
5〜285℃、Tダイ温度285℃、スクリュー回転数
72rpmの条件下で溶融混合し、幅約120mm、厚
さ約0.3mmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィル
ムのエステル交換率は7.8%であった。透過型電子顕
微鏡による観察の結果、明瞭な分散相は観察されなかっ
た。次いで得られたシート(90mm×90mm)を二
軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テンター
法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:105℃、延伸
倍率:4×4、延伸速度:3m/分)した。また同延伸
フィルムを245℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。
この厚み約20μmの熱固定フィルムの酸素透過係数は
1.2cc・mm/m2 ・day・atmであった。D
SCによる吸熱ピークが246℃に観察され、結晶化度
は約33%であった。実施例2と比較例2との酸素透過
係数の比較より、本発明の延伸フィルムが優れたガスバ
リア性を示すことが分かる。
【0029】実施例3 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、30/70の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを吸湿しない状態で保
存したものから、一軸押出機(スクリュー直径:20m
mφ、L/D:25、スクリュー形式:フルフライト)
を用い、Tダイ法によりシリンダー温度275〜285
℃、Tダイ温度285℃、スクリュー回転数72rpm
の条件下で溶融混合し、幅約120mm,厚さ約0.3
mmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのエステ
ル交換率は1.6%であった。透過型電子顕微鏡による
観察の結果、PETが分散相を形成しており、その最大
径は380nmであった。次いで得られたシート(90
mm×90mm)を二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二
軸延伸装置、テンター法〕を用い、同時二軸延伸(延伸
温度:130℃、延伸倍率:4×4、延伸速度:3m/
分)し、厚み約20μmの延伸フィルムを得た。次いで
同延伸フィルムを245℃の雰囲気中で10秒間熱固定
した。このフィルムの酸素透過係数は0.6cc・mm
/m2 ・day・atm、30μm厚み換算のヘーズは
16%であった。DSCによる吸熱ピークが251℃
に、ショルダーが263℃に観察され、結晶化度は35
%であった。
【0030】比較例3 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、30/70の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを吸湿しない状態で保
存したものから、45mm二軸押出機を用い、シリンダ
ー温度285℃、スクリュー回転数110rpmの条件
下で溶融混合しペレットを得た。得られたペレットを乾
燥後、同一の条件でさらに2回、溶融混合してペレット
を得た。このペレットから、一軸押出機(スクリュー直
径:20mmφ、L/D:25、スクリュー形式:フル
フライト)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度27
5〜285℃、Tダイ温度285℃、スクリュー回転数
72rpmの条件下で溶融混合し、幅約120mm,厚
さ約0.3mmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィル
ムのエステル交換率は6.6%であった。透過型電子顕
微鏡による観察の結果、明瞭な分散相は観察されなかっ
た。 次いで、得られたシート(90mm×90mm)
を二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テン
ター法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:120℃、
延伸倍率:4×4、延伸速度:3m/分)した。また同
延伸フィルムを245℃の雰囲気中で10秒間熱固定し
た。この厚み約20μmの熱固定フィルムの酸素透過係
数は0.8cc・mm/m2 ・day・atmであっ
た。DSCによる吸熱ピークが256℃に観察され、結
晶化度は約32%であった。実施例3と比較例3との酸
素透過係数の比較より、本発明の延伸フィルムが優れた
ガスバリア性を示すことが分かる。
【0031】実施例4 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを混合後、直ちに一軸
押出機(スクリュー直径:20mmφ、L/D:25、
スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法によ
りシリンダー温度295〜320℃、Tダイ温度320
℃、スクリュー回転数72rpmの条件下で溶融混合
し、幅約120mm,厚さ約0.3mmの未延伸フィル
ムを得た。未延伸フィルムのエステル交換率は2.9%
であった。透過型電子顕微鏡による観察の結果、PEN
が分散相を形成しており、その最大径は290nmであ
った。次いで得られたシート(90mm×90mm)を
二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テンタ
ー法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:105℃、延
伸倍率:4×4、延伸速度:3m/分)し、厚み約20
μmの延伸フィルムを得た。次いで同延伸フィルムを2
45℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。このフィルム
の酸素透過係数は1.2cc・mm/m2 ・day・a
tm、30μm厚み換算のヘーズは1.6%であった。
DSCによる吸熱ピークが246℃に観察され、結晶化
度は29%であった。
【0032】実施例5 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを混合後、直ちに一軸
押出機(スクリュー直径:20mmφ、L/D:25、
スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法によ
りシリンダー温度295〜320℃、Tダイ温度320
℃、スクリュー回転数50rpmの条件下で溶融混合
し、幅約120mm、厚さ約0.3mmの未延伸フィル
ムを得た。未延伸フィルムのエステル交換率は5.6%
であった。透過型電子顕微鏡による観察の結果、PEN
が分散相を形成しており、その最大径は10nm以下で
あった。次いで得られたシート(90mm×90mm)
を二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テン
ター法)を用い、同時二軸延伸(延伸温度:105℃、
延伸倍率:4×4、延伸速度:3m/分)し、厚み約2
0μmの延伸フィルムを得た。次いで同延伸フィルムを
245℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。このフィル
ムの酸素透過係数は1.3cc・mm/m2 ・day・
atm、30μm厚み換算のヘーズは0.4%であっ
た。DSCによる吸熱ピークが244℃に観察され、結
晶化度は約31%であった。
【0033】比較例4 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN、重量比)が、80/20の混合ペレ
ットを準備した。この混合ペレットを混合後直ちに、一
軸押出機(スクリュー直径:20mmφ、L/D:2
5、スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法
によりシリンダー温度270〜280℃、Tダイ温度2
80℃、スクリュー回転数72rpmの条件下で溶融混
合し、幅約120mm,厚さ約0.3mmの未延伸フィ
ルムを得た。未延伸フィルムのエステル交換率は0.8
%であった。透過型電子顕微鏡による観察の結果、PE
Nが分散相を形成しており、その最大径は620nmで
あった。次いで得られたシート(90mm×90mm)
を二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テン
ター法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:115℃、
延伸倍率:4×4、延伸速度:3m/分)し、厚み約2
0μmの延伸フィルムを得た。次いで同延伸フィルムを
245℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。このフィル
ムの30μm厚み換算のヘーズは31%であった。実施
例1、実施例4および実施例5と比較例4とのヘーズの
比較より、本発明の延伸フィルムが優れた透明性を示す
ことが分かる。
【0034】実施例6 PETのペレット(溶融粘度530Pa・s、測定温度
285℃、水分率20ppm)およびPENのペレット
(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分率
35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットを混合後、直ちに一軸
押出機(スクリュー直径:20mmφ、L/D:25、
スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法によ
りシリンダー温度275〜285℃、Tダイ温度285
℃、スクリュー回転数72rpmの条件下で溶融混合
し、幅約120mm,厚さ約0.3mmの未延伸フィル
ムを得た。未延伸フィルムのエステル交換率は1.3%
であった。透過型電子顕微鏡による観察の結果、PEN
が分散相を形成しており、その最大径は420nmであ
った。次いで得られたシート(90mm×90mm)を
二軸延伸機〔東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テンタ
ー法〕を用い、同時二軸延伸(延伸温度:105℃、延
伸倍率:4×4、延伸速度:3m/分)し、厚み約20
μmの延伸フィルムを得た。次いで同延伸フィルムを2
45℃の雰囲気中で10秒間熱固定した。このフィルム
の酸素透過係数は1.2cc・mm/m2 ・day・a
tm、30μm厚み換算のヘーズは20%であった。D
SCによる吸熱ピークが249℃に、ショルダーが26
0℃に観察され、結晶化度は約32%であった。
【0035】実施例7 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットから、45mm二軸押
出機を用い、シリンダー温度285℃、スクリュー回転
数75rpmの条件下で溶融混合しペレットを得た。得
られたペレットを乾燥後、シリンダー温度275℃〜2
85℃の条件で射出成形してプリフォームを得た。次い
で容量1000mlのブロー金型を使用して、延伸温度
90℃〜120℃にて延伸してボトルを得た。ボトルの
胴部の平均厚みは約300μm、ヘーズは1%、酸素透
過係数は1.2cc・mm/m2 ・day・atm、エ
ステル交換率は4.8%であった。透過型電子顕微鏡に
よる観察の結果、PENが分散相を形成しており、その
最大径は10nm以下であった。DSCによる吸熱ピー
クは245℃に観察され、結晶化度は約28%であっ
た。
【0036】比較例5 PETのペレット(溶融粘度2400Pa・s、測定温
度285℃、水分率20ppm)およびPENのペレッ
ト(溶融粘度480Pa・s、測定温度285℃、水分
率35ppm)をタンブラーにより混合し、ブレンド比
(PET/PEN重量比)が、80/20の混合ペレッ
トを準備した。この混合ペレットから、45mm二軸押
出機を用い、シリンダー温度300℃、スクリュー回転
数75rpmの条件下で溶融混合しペレットを得た。得
られたペレットを乾燥後、シリンダー温度275℃〜2
85℃の条件で射出成形してプリフォームを得た。次い
で容量1000mlのブロー金型を使用して、延伸温度
90℃〜120℃にて延伸してボトルを得た。該ボトル
の胴部の平均厚みは約300μm、ヘーズは0.2%、
酸素透過係数は1.4cc・mm/m2 ・day・at
m、エステル交換率は6.3%であった。透過型電子顕
微鏡による観察の結果、明瞭な分散相は観察されなかっ
た。DSCによる吸熱ピークが245℃に観察され、結
晶化度は約29%であった。実施例7と比較例5との酸
素透過係数の比較より、本発明の延伸ボトルが優れたガ
スバリヤー性を示すことが分かる。
【0037】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明においてPETとPENとを溶融混合し、延伸前の該
組成物中における分散相の最大径を500nm以下と
し、かつ該ポリエステル組成物のエステル交換率を特定
範囲とすることにより、極めて透明性およびガスバリヤ
ー性に優れたポリエステル樹脂組成物が得られる。本発
明のポリエステル樹脂組成物は、特に結晶化度を上げる
手段を取らなくても優れたガスバリヤー性が得られ、か
つ透明性に優れているので、フィルム、シート、容器、
繊維等の材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】NMRスペクトル 本発明のPETとPENとの組成物のエステル交換率を
求めるためのNMRスペクトルの一例を示す。
【図2】本発明のPETとPENより成るポリエステル
樹脂組成物の未延伸のフィルムを透過電子顕微鏡を用い
て観察したときの模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 22:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレンテレフタレート5〜95重量
    部とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
    ート95〜5重量部とを溶融混合して得られる組成物で
    あって、延伸前の該組成物中における分散相の最大径が
    500nm以下であり、かつ該ポリエステル組成物の核
    磁気共鳴スペクトルより求めたエステル交換率が1〜6
    %の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエステル組成物を延伸
    してなるフィルム。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリエステル組成物を延伸
    してなる中空容器。
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