JPH08188541A - 静電結合型高分子ミセル薬物担体とその薬剤 - Google Patents

静電結合型高分子ミセル薬物担体とその薬剤

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JPH08188541A
JPH08188541A JP7002210A JP221095A JPH08188541A JP H08188541 A JPH08188541 A JP H08188541A JP 7002210 A JP7002210 A JP 7002210A JP 221095 A JP221095 A JP 221095A JP H08188541 A JPH08188541 A JP H08188541A
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聡 片寄
Satoru Suwa
悟 諏方
Atsushi Harada
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    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体内で分解されやすい荷電性のタンパク
質、DNA等の薬物を安定して担持する。 【構成】 非荷電性セグメントと荷電性セグメントとを
有するブロック共重合体からなる静電結合型高分子ミセ
ル薬剤担体と、この担体に薬物担持した薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静電結合型高分子ミ
セル薬剤担体とその薬剤に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、生体内の許容部位にまで薬物を運
搬して、薬物の作用効果を安定して発現させるための薬
物運搬システム(DDS)等の分野において有用な、タ
ンパク質、DNA等の荷電性薬物の新しい高分子ミセル
薬物担体と、この担体に担持させた薬剤、そして、この
担体への薬物の担持方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】薬物運搬システム(DDS)
等に有用な方法として、高分子ミセル型薬剤が注目され
ており、すでに、この発明の発明者らによって、疎水性
の薬物を親水性セグメントと疎水性セグメントとからな
るブロック共重合体に物理的に吸着させる高分子ミセル
型薬剤が提案されている。
【0003】この物理吸着による高分子ミセル型薬剤
は、これまでにない新しい構造とその利用を可能とした
ものとして注目されている。しかしながら、この発明の
発明者によるその後の検討によると、さらに改善すべき
課題があることが明らかになってきた。それと言うの
も、この物理吸着による高分子ミセル型薬剤は、疎水性
の薬物の投与手段としては極めて優れているが、その構
造が、疎水性薬物のブロック共重合体に対する物理吸着
を本質的特徴としているため、対象とすることのできる
薬剤は、充分に疎水性を有するものに限られるという難
点があった。
【0004】そこで、このような疎水性の度合、さらに
は疎水性、親水性の区別にかかわりなく薬物を安定に担
持することができ、広範囲な応用が可能な新しい技術手
段の実現が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、非荷電性セグメントと荷電性セ
グメントとを有するブロック共重合体からなることを特
徴とする静電結合型高分子ミセル薬剤担体(請求項1)
を提供する。そしてまた、この発明は、上記の担体とし
て、非荷電性セグメントがポリエチレングリコールであ
ること(請求項2)、荷電性セグメントがポリアミノ酸
であること(請求項3)、また、ブロック共重合体が次
式(I)(II)
【0006】
【化4】
【0007】
【化5】
【0008】(式中のR1 は、水素原子、炭化水素基も
しくは官能基あるいは官能基置換炭化水素基を示し、R
2 は、NH,CO、またはR6 (CH2 q 7 であっ
て、ここでのR6 は、OCO,OCONH,NHCO,
NHCOO,NHCONH,CONHまたはCOOを、
7 は、NHまたはCOを示し、qは1以上の整数を示
し、R3 は、カルボキシル基、カルボキシル基置換炭化
水素基、アミノ基置換炭化水素基、ヒドラジノ基置換炭
化水素基もしくは(CH2 p −NHCNHNH 2
で、pは1以上の整数を示し、あるいはR3 は、含窒素
複素環基もしくは含窒素複素環基置換炭化水素基を示
し、R4 は、水素原子、ヒドロキシル基またはその結合
末端にCO,NHもしくはOのいずれかを有する炭化水
素基を示し、mは、4〜2500、nは1〜300、x
は0〜300で、x<nであることを示す。)のいずれ
かで表わされるものであること(請求項4)等をその態
様の一つとしている。
【0009】さらにまた、この発明は、上記の通りの担
体に薬物が担持されている静電結合型高分子ミセル担持
薬剤(請求項6)、並びにその製造のための担持方法
(請求項7)をも提供する。
【0010】
【作用】すなわち、上記の通りのこの発明は、従来の物
理吸着型高分子ミセル型薬剤の難点を克服するためのこ
の発明の発明者による検討の結果なされたものであっ
て、物理吸着型のものとは本質的に異なる、新しい静電
結合型の高分子ミセル薬物担体と、これを用いた担持薬
剤、そして薬物の担持方法を実現したものである。
【0011】上記の通りのこの発明の非荷電性セグメン
トと荷電性セグメントとからなる静電結合型高分子ミセ
ル担体においては、両セグメントともに各種のものがこ
の発明に包含される。非荷電性セグメントとしては、た
とえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオ
キシド、ポリサッカライド、ポリアクリルアミド、ポリ
置換アクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ置換
メタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
アルコール、ポリアクルル酸エステル、ポリメタクリル
酸エステル、ポリアミノ酸、もしくはそれらの誘導体由
来の各種のセグメント等が例示される。
【0012】荷電性セグメントとしては、たとえば荷電
性側鎖を有するポリアミノ酸、より具体的には、ポリア
スパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリア
ルギニン、ポリヒスチジン等が、もしくはポリリンゴ
酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレン
イミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビ
ニルイミダゾール、さらにはこれらの誘導体由来のセグ
メント等が例示されている。
【0013】これらのセグメントから構成されるこの発
明のブロック共重合体については、たとえば次のものが
例として挙げられる。すなわち、ポリエチレングリコー
ル−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体、ポリエチレ
ンオキシド−ポリグルタミン酸ブロック共重合体、ポリ
エチレングリコール−ポリアルギニンブロック共重合
体、ポリエチレングリコール−ポリヒスチジンブロック
共重合体、ポリエチレングリコール−ポリメタクリル酸
ブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリエチ
レンイミンブロック共重合体、ポリエチレングリコール
−ポリビニルアミンブロック共重合体、ポリエチレング
リコール−ポリアリルアミンブロック共重合体、ポリエ
チレンオキシド−ポリアスパラギン酸ブロック共重合
体、ポリエチレンオキシド−ポリグルタミン酸ブロック
共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリリジンブロック
共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリアクリル酸ブロ
ック共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリビニルイミ
ダゾールブロック共重合体、ポリアクリルアミド−ポリ
アスパラギン酸ブロック共重合体、ポリアクリルアミド
−ポリヒスチジンブロック共重合体、ポリメタクリルア
ミド−ポリアクリル酸、ポリメタクリルアミド−ポリビ
ニルアミンブロック共重合体、ポリビニルピロリドン−
ポリメタクリル酸ブロック共重合体、ポリビニルアルコ
ール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体、ポリビニ
ルアルコール−ポリアルギニンブロック共重合体、ポリ
アクリル酸エステル−ポリグルタミン酸ブロック共重合
体、ポリアクリル酸エステル−ポリヒスチジンブロック
共重合体、ポリメタクリル酸エステル−ポリビニルアミ
ンブロック共重合体、ポリメタクリル酸−ポリビニルイ
ミダゾールブロック共重合体等である。
【0014】これらのブロック共重合体としては、その
代表的構造としていわゆるAB型ブロック共重合体があ
る。たとえばより具体的に次式で表わされるポリエチレ
ングリコール誘導体由来の非荷電性セグネトとポリアス
パラギン酸を荷電性セグメントとするAB型ブロック共
重合体
【0015】
【化6】
【0016】について説明すると、このものは、たとえ
ばポリエチレングリコールとポリ(α,β−アスパラギ
ン酸)からなるポリエチレングリコール−ポリ(α,β
−アスパラギン酸)ブロック共重合体であって、まず、
β−ベンジル−L−アスパルテート−N−カルボン酸無
水物を、片末端一級アミノ基のポリエチレングリコール
(分子量約200〜250000)を開始剤として重合
することにより合成される。このポリエチレングリコー
ル−ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)ブロッ
ク共重合体における(β−ベンジル、L−アスパルテー
ト)部分の分子量は約205〜62000まで可変であ
る。この共重合体をアルカリ処理して脱ベンジル化を行
うことによりポリエチレングリコール−ポリ(α,β−
アスパラギン酸)ブロック共重合体を得る。
【0017】また、ブロック共重合体としてカチオン性
セグメントを有する次式で表わされポリエチレングリコ
ール−ポリリシンブロック共重合体
【0018】
【化7】
【0019】の場合には、まず、ε−カルボベンゾキシ
−L−リシン無水物を、片末端一級アミノ基のポリエチ
レングリコール(分子量200〜250000)を開始
剤として重合させることにより合成される。得られたポ
リエチレングリコール−ポリ(ε−カルボベンゾキシ−
L−リシン)ブロック共重合体をメタンスルホン酸を用
いて脱保護反応を行うことで、ポリエチレングリコール
−ポリリシンブロック共重合体を得る。
【0020】また、この発明においては、たとえば以上
のようなブロック共重合体からなる高分子ミセル中に静
電的に担持させることのできる薬物としては、特にその
種類に限定はないが、ペプチドホルモン、タンパク質、
DNA、RNA、オリゴヌクレオチド等の高分子性薬
物、アドリアマイシン、ダラノマイシン等の分子内に荷
電性官能基を有する低分子性薬物等が例示される。
【0021】これらの薬物を、高分子ミセルに担持させ
る際には、ブロック共重合体と薬物あるいはその溶液と
を混合することを基本としているが、さらには、透析、
攪拌、希釈、濃縮、超音波処理、温度制御、pH制御、
有機溶媒の添加等の操作を適宜に付加することができ
る。
【0022】たとえば、上記の通り例示した[化6]の
ポリエチレングリコール−ポリ(α,β−アスパラギン
酸)ブロック共重合体に、抗菌性酵素であるリゾチーム
を封入させる場合には、共重合体の水溶液を適切な混合
比、イオン強度、およびpH等の条件においてリゾチー
ム水溶液と混合することで、担持されることができる。
【0023】さらに、たとえば前記の[化7]のポリエ
チレングリコール−ポリリシンブロック共重合体にDN
Aを担持させる場合には、共重合体の水溶液に、適切な
混合比、イオン強度、およびpH等の条件においてDN
A溶液を混合し、DNAを担持することができる。以上
の通りのこの発明の静電結合型高分子ミセル薬剤担体と
これを用いた担持薬剤は、安定な高分子ミセル構造とな
り、その内核に効率よくタンパク質やDNA等の荷電物
質を取り込むことができる。このため、生体内で分解さ
れやすい荷電性薬物を安定化して体内投与することがで
きる。
【0024】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。もちろん、この発明は、以下の例
に限定されるものではない。実施例1 ポリ−L−リシン(重合度20、0.43mg)を蒸留
水(1.0ml)に、ポリエチレングリコール−ポリア
スパラギン酸ブロック共重合体(PEG−P(As
p)、PEGの分子量5000、ブロック共重合体1本
鎖当たり23個のアスパラギン酸残基のもの、1.0m
g)を蒸留水(0.1ml)に溶解した後に、この各々
の溶液を混合した。このものについて動的光散乱測定を
行うと会合体の重量平均粒径41.3nm、数平均粒径
36.0nmと測定された。またこの混合水溶液につい
て電気泳動光散乱測定を行うと、会合体の表面のゼータ
電位が0.643,0.569mVと測定された。実施例2 ポリアスパラギン酸(重合度20、0.32mg)を蒸
留水(1.0ml)に、ポリエチレングリコール−ポリ
−L−リシンブロック共重合体(PEG−P(Ly
s)、PEGの分子量5000、ブロック共重合体1本
鎖当たり20個のL−リシン残基のもの、1.0mg)
を蒸留水(1.0ml)に溶解した後に、この各々の溶
液を混合した。このものについて動的光散乱測定を行う
と重量平均粒径28.2nm、数平均粒径24.8nm
と測定された。実施例3 ニワトリ卵白リゾチーム(1.0mg)を蒸留水(1.
0ml)に、PEG−P(Asp)(3.0mg)を蒸
留水(3.0ml)に溶解した後に、この各々の溶液を
混合した。このものについて動的光散乱測定を行うと重
量平均粒径24.9nm、数平均粒径23.1nmと測
定された。実施例4 牛インスリン(1.42mg)を0.0005N塩酸
(1.5ml)に、PEG−P(Lys)粒径(0.5
8mg)を蒸留水(1.0ml)に溶解した後に、各々
の溶液を混合した。このものについて動的光散乱測定を
行うと重量平均粒径24.5nm、数平均粒径22.4
nmと測定された。実施例5 次の反応式
【0025】
【化8】
【0026】に沿って、ポリエチレングリコール−ポリ
リシンブロック共重合体を合成した。図1は、PEG分
子量4,300、L−リシン残基20個の場合の 1H−
NMRスペクトルを示したものである。このPEG−P
(Lys)ブロック共重合体(PEGの分子量4,30
0、ポリリシン鎖の平均重合度20)を、Salmon Teste
s DNAの50μg/mlの0.1M PBS(pH
7.4)溶液1.0mlと、DNAのリン酸基に対し
て、PEG−P(Lys)のリシン残基数が0.25,
0.50,1.0,2.0,4.0,10,20倍当量
となるように0.1M PBS+0.6M NaCl+
2mM Na2 EDTA(pH7.4)1.0mlにそ
れぞれ溶解し、両者を混合した後、3時間室温で静置し
た。このとき、いずれのサンプルにおいても沈殿は確認
されなかった。一方、ポリリシンホモポリマーを用いた
コンプレックスでは、リシン残基数:DNAのリン酸基
数の比(=r)が1.0,2.0のサンプルにおいて沈
殿が形成される。その後、各サンプルから20μl取
り、0.9%アガロースゲルにより電気泳動を行ったと
ころ、DNAに対するPEG−P(Lys)の添加量が
増すにつれて泳動するDNAの量が減少し、DNAに対
して電荷が等量となるPEG−P(Lys)の添加量
(r=1.0)でDNAの泳動がほぼ抑えられた。この
ことから、PEG−P(Lys)ブロック共重合隊とD
NAとが定量的に安定なポリイオンコンプレックス形成
をしていることを確認した。
【0027】しかし、PEG−P(Lys)ブロック共
重合体のリシン重合度と同程度の重合度を有するポリリ
シンホモポリマー(分子量1000−4000)を用い
た場合には、ポリリシンホモポリマー添加によるDNA
の泳動の抑制は見られず、安定なコンプレックスは得ら
れなかった。実施例6 PEG−P(Lys)ブロック共重合体を、Salmon Tes
tes DNAの50μg/mlの1mMPBS(pH7.
4)溶液1.0mlとDNAのリン酸基に対してPEG
−P(Lys)のリシン残基数が0.10,0.20,
0.50,1.0倍当量となるように1mM PBS
(pH7.4)1.0mlに溶解し、両者を混合してコ
ンプレックスを形成させた。1晩4℃で静置した後、各
サンプルの熱融解曲線をメタノールを50vol%加え
て、260nmの紫外線吸光度を用いて測定した。
【0028】その結果、コントロールのDNAは約45
℃において1段の融解過程を示したが、DNAとPEG
−P(Lys)のコンプレックスでは、約45℃と約6
5℃において2段階の融解過程を示した。約45℃にお
ける吸光度の上昇は、PEG−P(Lys)の添加量を
増すにつれて順次減少し、代わりに約65℃における吸
光度の上昇分が増加した。そして、DNAに対してPE
G−P(Lys)1.0倍当量まで加えたサンプルにお
いて、約45℃における吸光度の上昇を消滅し、約65
℃における吸光度の上昇のみ観測され、DNAの構造が
完全に安定化されたことが示された。これによりDNA
とPEG−P(Lys)とが化学量論的にコンプレック
ス形成することが確認された。
【0029】なお、図2は、DNAのリン酸基に対して
PEG−P(Lys)のリシン残基数が0.50倍当量
の場合と、Free DNA、およびP(Lys)/D
NAの場合とを比較したものである。この図2からも顕
著な差異が認められる。
【0030】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
り、安定に高分子ミセル構造により薬物担持が可能な担
体と、この担体に担持した薬剤が提供される。生体内に
おいて分解されやすいタンパク質、DNA等の荷電物質
を安定に取込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PEG−P(Lys)の 1H−NMRスペクト
ル図である。
【図2】PEG−P(Lys)/DNAと、Free
DNAおよびP(Lys)/DNAの場合との融解状態
の測定結果を対比した図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】なお、図2は、DNAのリン酸基に対して
PEG−P(Lys)のリシン残基数が0.50倍当量
の場合と、Free DNA、およびP(Lys)/D
NAの場合とを比較したものである。この図2からも顕
著な差異が認められる。実施例7 ポリ−L−リシン(重合度20)4mgを4mlのリン
酸緩衝液4mlに溶解させた。ポリエチレングリコール
−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体(PEG−P
(Asp)、PEGの分子量5000、ブロック共重合
体1本当たり20個のアスパラギン酸残基のもの、2.
32mg)をリン酸緩衝液2.32mlに溶解した後、
この各々の溶液を混合した。このものについて動的光散
乱測定を行うと会合体の重量平均粒径44.7nm、数
平均粒径41.3nmと測定された。 実施例8 ポリ−L−リシン(重合度20)4mgを4mlのリン
酸緩衝液4mlに溶解させた。PEG−P(Asp)
(PEGの分子量5000、ブロック共重合体1本当た
り80個のアスパラギン酸残基のもの、4.5mg)を
リン酸緩衝液4.5mlに溶解した後、この各々の溶液
を混合した。このものについて動的光散乱測定を行うと
会合体の重量平均粒径43.6nm、数平均粒径41.
8nmと測定された。 実施例9 ポリエチレングリコール−ポリ−L−リシンブロック共
重合体(PEG−P(Lys)、PEGの分子量500
0、ブロック共重合体1本当たりの20個のリシン残基
のもの)5mgをリン酸緩衝液1mlに溶解させたもの
と、ポリエチレングリコール−ポリアスパアラギン酸ブ
ロック共重合体(PEG−P(Asp)、PEGの分子
量5000、ブロック共重合体1本当たり20個のアス
パラギン酸残基のもの)5mgを含むリン酸緩衝液1m
lを混合した。このものについて動的光散乱測定を行う
と会合体の重量平均粒径30.8nm、数平均粒径2
8.8nmと測定された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片寄 聡 神奈川県川崎市多摩区5−21−14 (72)発明者 諏方 悟 千葉県野田市山崎梅の台15−3 ハイツナ カムラB1−3 (72)発明者 原田 敦史 千葉県松戸市松戸1495 ユーハイムウメオ カ202

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非荷電性セグメントと荷電性セグメント
    とを有するブロック共重合体からなることを特徴とする
    静電結合型高分子ミセル薬物担体。
  2. 【請求項2】 非荷電性セグメントがポリエチレングリ
    コールである請求項1の担体。
  3. 【請求項3】 荷電性セグメントがポリアミノ酸である
    請求項1の担体。
  4. 【請求項4】 ブロック共重合体が次式(I)または
    (II) 【化1】 【化2】 (式中のR1 は、水素原子、炭化水素基もしくは官能基
    あるいは官能基置換炭化水素基を示し、R2 は、NH,
    CO、またはR6 (CH2 q 7 であって、ここでの
    6 は、OCO,OCONH,NHCO,NHCOO,
    NHCONH,CONHまたはCOOを、R7 は、NH
    またはCOを示し、qは1以上の整数を示し、R3 は、
    カルボキシル基、カルボキシル基置換炭化水素基、アミ
    ノ基置換炭化水素基、ヒドラジノ基置換炭化水素基もし
    くは(CH2 p −NHCNHNH 2 基で、pは1以上
    の整数を示し、あるいはR3 は、含窒素複素環基もしく
    は含窒素複素環基置換炭化水素基を示し、R4 は、水素
    原子、ヒドロキシル基またはその結合末端にCO,NH
    もしくはOのいずれかを有する炭化水素基を示し、m
    は、4〜2500、nは1〜300、xは0〜300
    で、x<nであることを示す。)で表わされるものから
    なる請求項1の担体。
  5. 【請求項5】 R3 が、−COOH,−CH2 COO
    H,−(CH2 3 −NH2 ,−(CH2 2 NHCN
    HNH2 ,または次式 【化3】 で表わされる複素環基である請求項4の担体。
  6. 【請求項6】 荷電性薬物が反対の荷電を有する請求項
    1ないし5のいずれかの担体に担持されていることを特
    徴とする静電結合型高分子ミセル担持薬剤。
  7. 【請求項7】 荷電性薬物を、これと反対の荷電を有す
    る請求項1ないし5のいずれかの担体と混合し、高分子
    ミセル内に荷電性薬物を静電結合により担持させること
    を特徴とする荷電性薬物の静電結合型高分子ミセル担体
    への担持方法。
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