JP4992090B2 - 静電結合型高分子ベシクル - Google Patents

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、水溶性でありかつ荷電したブロック共重合体により形成されるベシクルに関し、さらに詳しくは、薬物送達システム、各種材料として有用な機能を有するベシクルに関する。
背景技術
一次構造が精密に制御された高分子は、自発的に組織化を生じ、高次構造体を形成しうることが知られている。その具体例としては、ミセル、ベシクルなどの構造体が挙げられる。このような高分子の自己組織化した構造体は、多様な分子設計が可能であり、高分子が本来有している性質に加えて、新たな機能を備えた構造体となり得る。このような高分子の自己組織化した構造体を利用することが、薬物送達システムや材料科学をはじめとする種々の分野において、従前検討されている。
例えば、特開平8−188541号公報には、非荷電性セグメントと荷電性セグメントとを有するブロック共重合体からなる静電結合型高分子ミセル薬剤担体が、本発明者らの一部によって開示されている。
また、Helmut Schlaad et al., Macromolecules, volume 36, number 5, p 1417-1420には、ポリ(1,2−ブタジエン)ブロックおよびポリ(セシウム メタクリレート)ブロックからなるブロック共重合体と、ポリスチレンブロックおよびポリ(1−メチル−4−ビニルピリジウム アイオダイド)ブロックからなるブロック共重合体とを用い、ポリマーソームと称されるベシクルを形成しうることが開示されている。
高分子材料により形成される構造体は、優れた有用性が期待されるにもかかわらず、製造時にクロロホルムなどの有機溶媒を用いることがしばしば必要とされる。さらに、高分子材料の自己組織化した構造体の製造にあっては、数工程に及ぶ煩雑な操作が要求されることがある。したがって、有用性を備え、かつ簡便な操作により製造することが可能な構造体の創出が望まれるといえる。
発明の概要
本発明者らは、今般、荷電した、特定の構造の二つのブロック共重合体を用いることにより、構造安定性、環境応答性に優れた新規ベシクルを得られるとの知見を得た。また、本発明者らは、上記二つのブロック共重合体を水性溶液中で混合することにより、簡易に新規ベシクルを製造しうるとの知見を得た。本発明はこれら知見に基づくものである。
したがって、本発明は、新規ベシクルの提供をその目的としている。
そして、本発明によるベシクルは、非荷電親水性セグメントと、荷電性セグメントとを有する第一のブロック共重合体と、非荷電親水性セグメントと、第一のブロック共重合体の荷電性セグメントと反対の電荷に荷電した荷電性セグメントとを有する第二のブロック共重合体とにより形成された膜を有してなるものである。
本発明によるベシクルは、その製造において有機溶媒を用いる必要がなく、バイオマテリアルの分野やDDSにおいて有利に利用することができる。また、本発明によるベシクルは、大量の化合物を封入しうる中央空隙を有し、生体内物質および薬物の輸送キャリアーや、中央空隙を酵素の反応場とするリアクター微粒子などとして有利に利用することができる。さらに、本発明によるベシクルは、生理食塩水や血清の存在下でその構造を安定に保持することができ、その膜には半透性等の多様な機能を付与することが可能である。したがって、本発明によるベシクルは構造安定性や環境応答性に優れたバイオマテリアルまたは薬物送達システムとして有利に利用することができる。
正に荷電したブロック共重合体と、負に荷電したブロック共重合体とから形成されるベシクルの構造およびその形成されるメカニズムを示した模式図である。 暗視野顕微鏡において観察された、PEG-PeDAおよびPEG-PAspにより形成されたベシクルの写真である。 共焦点顕微鏡において観察された、PEG-PeDAおよびPEG-PAspにより形成されたベシクルの写真である。 暗視野顕微鏡において観察されたPiPrOx-P(Lys)およびPEG-PAspにより形成されたベシクルの写真である。 透過型電子顕微鏡において観察されたPiPrOx-P(Lys)およびPEG-PAspにより形成されたベシクルの写真である。 共焦点顕微鏡において観察された、生理食塩水濃度のNaCl存在下PEG-PeDAおよびPEG-PAspにより形成されたベシクルの写真である。 共焦点顕微鏡において観察された、TRITCをラベル化したデキストランの溶液を加えた場合のFITC−デキストランを内包した、PEG-PeDAおよびPEG-PAspからなるベシクルの写真である。 共焦点顕微鏡において観察された、TRITCの溶液を加えた場合のFITC−デキストランを内包した、PEG-PeDAおよびPEG-PAspからなるベシクルの写真である。 暗視野顕微鏡において観察された、血清存在下におけるPEG-PeDAおよびPEG-PAspからなるベシクルの写真である。
発明の具体的説明
本明細書において、「ベシクル」とは、内部に空隙を有し、膜により閉鎖された基本構造体を意味する。
また、本明細書において、特に断らない限り、基または基の一部としての「アルキル」または「アルコキシ」というという語は、基が直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキルまたはアルコキシを意味する。また、例えば「C1−12アルキル基」という場合の「C1−12」とは、該アルキル基の炭素数が1〜12個であることを意味する。
また、本明細書において、特に断らない限り、「アリール」とは、フェニル、ナフチル、アンスニルまたはピレニルを意味する。
また、本明細書において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。
また、本明細書において、アルキル基が「置換されていてもよい」とは、アルキル基上の1またはそれ以上の水素原子が1またはそれ以上の置換基(同一または異なっていてもよい)により置換されていてもよいことを意味する。置換基の最大数はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明らかである。
またここで置換基は、ハロゲン原子、アリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ホルミル基、ジメチルアセタール化ホルミル基、ジエチルアセタール化ホルミル基、C1−6アルコキシカルボニル基、C2−7アシルアミド基、トリC1−6アルキルシロキシ基(ここで、C1−6アルキルは同一であっても異なっていてもよい)、シロキシ基およびシリルアミノ基からなる群から選択されるものである。
ベシクル
本発明によるベシクルは、水溶性でありかつ荷電した、二つのブロック共重合体の相互作用により形成される膜を含むことを一つの特徴とする。そして、ベシクルの膜を形成する二つのブロック共重合体のうち、第一のブロック共重合体は、非荷電親水性セグメントと、荷電性セグメントとを有するものであり、第二のブロック共重合体は、非荷電親水性セグメントと、第一のブロック共重合体における荷電性セグメントと反対の電荷に荷電した荷電性セグメントとを有するものである。
図1は、一つの態様として、本発明によるベシクルの構造およびその形成されるメカニズムを示した模式図である。
図1Aにおいて、第一のブロック共重合体(a)は、非荷電親水性セグメント(c)と、正に荷電した荷電性セグメント(d)とを有し、一方、第二のブロック共重合体(b)は、非荷電親水性セグメント(e)と、負に荷電した荷電性セグメント(f)とを有する。そして、第一のブロック共重合体(a)と、第二のブロック共重合体(b)とは、電荷の相互作用が生じ得る系に置かれると自己集合し、図1Bに示される通り、荷電性セグメント(d、f)からなる、イオンコンプレックスの中間層(g)と、非荷電親水性セグメント(c、e)からなる二つの親水性層(h、i)とが形成され、この構造体(B)を膜とするベシクル(C)を生じる。
上述の通り、本発明によるベシクルは、荷電性セグメント間の静電相互作用を主な駆動力として形成されるものである。したがって、イオン強度によってベシクルの形成、解離を制御することが可能であり、その結果、本発明によるベシクルは優れた環境応答性を発揮しうるものと考えられる。
また、図1Cに示す通り、ベシクルの膜は、外層(h)、中間層(g)、および内層(i)からなる三層構造を有する。そして、本発明の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体または第二のブロック共重合体のいずれかの非荷電親水性セグメントが外層を形成し、外層を形成していない、他方のブロック共重合体の非電荷親水性セグメントが内層を形成する。
また、本発明によるベシクルは、非荷電親水性セグメントから構成される内層を有することから、その中央空隙に水性媒体を含むことができる。
本発明によるベシクルの形態は、通常球状とされる。また、本発明におけるベシクルの粒径は、中空構造を取る限り特に限定されないが、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは50nm〜10μmである。
荷電セグメント
第一のブロック共重合体に含まれる荷電性セグメントと、第二のブロック共重合体に含まれる荷電性セグメントとは、互いに反対の電荷に荷電することができる。これら二つの荷電性セグメントは通常ポリマーブロックにより構成されるが、これら荷電性セグメントの鎖長および電荷数が同等であることは、ベシクルの構造および大きさの安定性、均一性確保の観点から有利である。したがって、二つの共重合体における荷電性セグメントの鎖長および電荷数は、同一であることが好ましい。具体的には、第一のブロック共重合体に含まれる荷電性セグメントおよび第二のブロック共重合体に含まれる荷電性セグメントがそれぞれ、一価の電荷を有する繰り返し単位から構成されるポリマーブロックである場合、第一のブロック共重合体に含まれる荷電性セグメントにおける繰り返し単位の数と、二のブロック共重合体に含まれる荷電性セグメントにおける繰り返し単位の数との比は1:1であることが好ましい。荷電性セグメントにおける繰り返し単位および電荷数は、荷電性セグメントを構成するモノマー、および荷電性セグメントを製造する際の反応条件などを適宜選択することにより、調整することができる。
また、本発明において、正に荷電しうる荷電性セグメントとしてポリアミンを用いる場合、ポリアミンに酸付加して陽性に荷電させる。付加する酸の種類は、ベシクルの用法などに従って適宜決定される。
そして、本発明の好ましい態様によれば、第一または第二のブロック共重合体の正に荷電しうる荷電性セグメントは、下記式(I)で表されるものである。
(上記式中、
が、−(CHNH基または−CONH(CH−Xを表し、かつsが0〜20であり、ここで、Xが、−NH、ピリジル基、モルホリル基、1−イミダゾリル基、ピペラジニル基、4−(C1−6アルキル)−ピペラジニル基、4−(アミノC1−6アルキル)−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ピペリジニル基、ジイソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−(CHtNH、または−(NR(CHNHR10からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、ここで、Rが水素原子またはメチル基を表し、R10が水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert―ブトキシカルボニル基を表し、oが1〜5であり、pが1〜5であり、tが0〜15であり、
が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
aが0〜5,000であり、bが0〜5,000であり、かつa+bが2〜5,000である。)
上記式(I)において、Rが−CONH(CH−Xを表す場合、Xは、荷電性セグメントの繰り返し単位ごとに、同一の官能基であってもよく、または異なる官能基であってもよい。
さらに、本発明のより好ましい態様によれば、上記式(I)において、Rが−CONH(CH−NH基を表し、かつsが2〜5であり、Rが水素原子を表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200である。
また、本発明の好ましい態様によれば、第一または第二のブロック共重合体の負に荷電した荷電性セグメントは、下記式(II)で表されるものである。
(上記式中、
が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
がそれぞれ独立してメチレン基またはエチレン基を表し、
cが0〜5,000であり、dが0〜5,000であり、かつc+dが2〜5,000である。)
上記式(II)において、Rは、荷電性セグメントの繰り返し単位ごとに、同一の官能基であってもよく、または異なる官能基であってもよい。
さらに、本発明のより好ましい態様によれば、上記式(II)において、Rが水素原子を表し、Rがメチレン基を表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200である。
非荷電親水性セグメント
ブロック共重合体が含む非荷電親水性セグメントとしては、例えば、ポリエチレングリコールをはじめとするポリアルキレングリコール、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、及びそれらの誘導体などが挙げられる。上記の非荷電親水性フラグメントを含むことにより、ブロック共重合体は、水性溶液中で会合、沈殿することなく安定に存在し、効率的にベシクルを構築することができる。さらに、上記の非荷電親水性フラグメントを含むブロック共重合体によって構築されることにより、ベシクルは水性溶液中で安定した構造を保持することができる。
そして、本発明の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントおよび第二のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントは、ポリエチレングリコールおよび/またはポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)である。さらに、本発明のより好ましい態様によれば、前記第一のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントまたは第二のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントは、ポリエチレングリコールである。非荷電親水性セグメントとしてポリエチレングリコールを用いることは、ベシクルに生体適合性を付与する上で有利である。また、本発明の別のより好ましい態様によれば、前記第一のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントまたは第二のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントは、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)である。非荷電親水性セグメントとしてポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)を用いることは、ベシクルに温度応答性を付与する上で有利である。
そして、非荷電親水性セグメントとしてポリエチレングリコールを用いる場合、ポリエチレングリコールの分子量(Mw)は、好ましくは500〜15,000であり、より好ましくは1,000〜5,000である。また、非荷電親水性セグメントとしてポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)を用いる場合、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)の分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜30,000であり、より好ましくは1,000〜10,000である。非荷電親水性セグメントとして、上記の分子量を有するポリマーを用いることは、ブロック共重合体に、ミセルを形成するよりも優先的にベシクルを形成させる上で有利である。
ブロック共重合体
また、本発明の好ましい態様によれば、正に荷電しうる荷電性セグメントを有するブロック共重合体は、下記式(III)で表されるものである。
(上記式中、
が、−(CHNHまたは−CONH(CH−Xを表し、かつsが0〜20であり、ここで、Xが、−NH、ピリジル基、モルホリル基、ピペラジニル基、1−イミダゾリル基、4−(C1−6アルキル)−ピペラジニル基、4−(アミノC1−6アルキル)−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ピペリジニル基、ジイソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−(CHtNH、または−(NR(CHNHR10からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、ここで、Rが水素原子またはメチル基を表し、R10が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert―ブトキシカルボニル基を表し、oが1〜5であり、pが1〜5であり、tが0〜15であり、
が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
が水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
が−(CHgNH−を表し、かつgが0〜5であり、
aが0〜5,000であり、bが0〜5,000であり、かつa+bが2〜5,000であり、
eが5〜2,500である。)
上記式(III)において、Rが−CONH(CH−Xを表す場合、Xは、ブロック共重合体の繰り返し単位ごとに、同一の官能基であってもよく、または異なる官能基であってもよい。
また、本発明のより好ましい態様によれば、上記(III)において、Rが−CONH(CH−NH基を表し、かつsが2〜5であり、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、eが10〜300である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、正に荷電しうる荷電性セグメントを有するブロック共重合体は、下記式(IV)で表されるものである。
(上記式中、
が、−(CHNHまたは−CONH(CH−Xを表し、かつsが0〜20であり、ここで、Xが−NH、ピリジル基、モルホリル基、1−イミダゾリル基、ピペラジニル基、4−(C1−6アルキル)−ピペラジニル基、4−(アミノC1−6アルキル)−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ピペリジニル基、ジイソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−(CHtNH、または−(NR(CHNHR10からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、ここで、Rが水素原子またはメチル基を表し、R10が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert―ブトキシカルボニル基を表し、oが1〜5であり、pが1〜5であり、tが0〜15であり、
が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
が、水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
が−(CHNH−を表し、かつhが0〜5であり、
が直鎖または分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
aが0〜5,000であり、bが0〜5,000であり、かつa+bが2〜5,000であり、
fが5〜2,500である。)
上記式(IV)において、Rが−CONH(CH−Xを表す場合、Xは、ブロック共重合体の繰り返し単位ごとに、同一の官能基であってもよく、または異なる官能基であってもよい。
また、本発明の別のより好ましい態様によれば、上記式(IV)において、Rが−(CHNHを表し、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、Rが−CH(CHを表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、fが10〜300である。
また、本発明の好ましい態様によれば、負に荷電しうる荷電性セグメントを有するブロック共重合体は、下記式(V)で表されるものである。
(上記式中、
が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
がそれぞれ独立してメチレン基またはエチレン基を表し、
が水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
が−(CHgNH−を表し、かつgが0〜5であり、
cが0〜5,000であり、dが0〜5,000であり、かつc+dが2〜5,000であり、
iが5〜2,500である。)
上記式(V)において、Rは、ブロック共重合体の繰り返し単位ごとに、同一の官能基であってもよく、または異なる官能基であってもよい。
また、本発明の別のより好ましい態様によれば、上記式(V)において、Rが水素原子を表し、Rがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、iが10〜300である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、負に荷電しうる荷電性セグメントを有するブロック共重合体は、下記式(VI)で表されるものである。
(上記式中、
が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
がそれぞれ独立してメチレン基またはエチレン基を表し、
が水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
が−(CHNH−を表し、かつhが0〜5であり、
が直鎖または分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
cが0〜5,000であり、dが0〜5,000であり、かつc+dが2〜5,000であり、
jが5〜2,500である。)
上記式(VI)において、Rは、ブロック共重合体の繰り返し単位ごとに、同一の官能基であってもよく、または異なる官能基であってもよい。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、上記式(VI)において、Rが水素原子を表し、Rがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、Rが−CH(CHを表し、c+dが10〜200であり、jが10〜300である。
第一のブロック共重合体および第二のブロック共重合体の組み合わせ
本発明の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体が、ポリエチレングリコールまたはポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)から構成される非荷電親水性セグメントと、上記式(I)で表される荷電性セグメントとを有するものであり、第二のブロック共重合体が、ポリエチレングリコールまたはポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)から構成される非荷電親水性セグメントと、上記式(II)で表される荷電性セグメントとを有するものである。
そして、本発明のより好ましい態様によれば、上記式(I)において、Rが−CONH(CH−NHを表し、かつsが2〜5であり、Rが水素原子を表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、上記式(II)において、Rが水素原子を表し、Rがメチレン基を表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体が上記式(III)で表されるブロック共重合体であり、第二のブロック共重合体が上記式(V)で表されるブロック共重合体である。
また、本発明の別のより好ましい態様によれば、上記式(III)で表されるブロック共重合体において、Rが−CONH(CH−NHを表し、かつsが2〜5であり、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、eが10〜300であり、上記式(V)においてRおよびRが前記の通りであり、Rがメチレン基を表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、iが10〜300である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体が上記式(IV)で表されるブロック共重合体であり、第二のブロック共重合体が上記式(V)で表されるブロック共重合体である。
そして、本発明の別のより好ましい態様によれば、上記式(IV)において、Rが−(CHNHを表し、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、Rが−CH(CHを表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、fが10〜300であり、上記式(V)において、Rが前記の通りであり、Rがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、iが10〜300である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体が上記式(III)で表されるブロック共重合体であり、第二のブロック共重合体が上記式(VI)で表されるブロック共重合体である。
また、本発明の別のより好ましい態様によれば、上記式(III)において、Rが−CONH(CH−NHを表し、かつsは2〜5であり、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、eが10〜300であり、上記式(VI)において、Rが前記の通りであり、Rがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、Rが−CH(CHを表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、jが10〜300である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、第一のブロック共重合体が上記式(IV)で表されるブロック共重合体であり、第二のブロック共重合体が上記式(VI)で表されるブロック共重合体である。
そして、本発明の別のより好ましい態様によれば、上記式(IV)において、Rが−(CHNHを表し、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、Rが−CH(CHを表し、aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、fが10〜300であり、上記式(VI)において、R、RおよびRが前記の通りであり、Rがメチレン基を表し、cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、jが10〜300である。
ベシクルの利用
本発明によるベシクルは、その中央空隙に化合物を内包することができる。本発明によるベシクルはまた、その膜に化合物を挿入することができる。上記化合物は、ベシクルの用途およびその性質に応じて適宜選択することができるが、例えば、薬物、タンパク質、蛍光色素、核酸、微粒子などが挙げられる。
製造方法
ブロック共重合体の合成(1)
本発明におけるブロック共重合体の製造方法の一例として、スキームAにおいて、負に荷電しうるブロック共重合体であるポリエチレングリコール−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体(VIII)、および正に荷電しうるブロック共重合体であるポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体のアミノ化体(IX)の製造方法について説明する。
ポリエチレングリコール−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体(VIII)
まず、負に荷電しうるブロック共重合体である、ポリエチレングリコール−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体について説明する。
β−ベンジル−L−アスパルテート−N−カルボン酸無水物を、片末端一級アミノ基のポリエチレングリコールを開始剤として重合する。次に、得られたポリエチレングリコール−ポリβ−ベンジル−アスパルテート共重合体(VII)をアルカリ処理して脱ベンジル化を行うことによりポリエチレングリコール−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体(VIII)を得る。
ポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体のアミノ化体(IX) 次に、正に荷電しうるブロック共重合体である、ポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体のアミノ化体(IX)について説明する。
上記スキームAにおけるポリエチレングリコール−ポリβ−ベンジル−アスパルテート共重合体(VII)と、HN−R−NH(ここで、Rは−(CH2〜5−である)で表されるアミンとを、DMFなどの溶媒中にて反応させ、さらにHClなどを用いて酸付加させることにより、ポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体のアミノ化体(IX)が得られる。
上記手法によれば、ブロック共重合体(VIII)における負に荷電したポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロックの鎖長および電荷数と、ブロック共重合体(IX)における正に荷電したポリアスパラギン酸のアミノ化ブロックの鎖長および電荷数とを容易に同等とすることができる。したがって、上記手法は、均質なベシクルを効率的に製造するために有利である。
ブロック共重合体の合成(2)
また、本発明におけるブロック共重合体の別の一例である、負に荷電しうるブロック共重合体であるポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体(XI)、および正に荷電しうるブロック共重合体であるポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(L−リシン)ブロック共重合体(XIII)の製造方法について説明する。
ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体(XI)
まず、負に荷電したブロック共重合体である、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体についてスキームBにて説明する。
まず、β−ベンジル−L−アスパルテート−N−カルボン酸無水物を、片末端一級アミノ基のポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)を開始剤として重合する。次に、得られたポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリβ−ベンジル−アスパルテート共重合体(X)をアルカリ処理して脱ベンジル化を行うことによりポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(α,β−アスパラギン酸)ブロック共重合体(XI)を得る。
ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(L−リシン)ブロック共重合体(XII)
また、正に荷電したブロック共重合体である、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(L−リシン)ブロック共重合体についてスキームCにて説明する。
まず、ε(ベンジルオキシカルボニル)−L−リシン N−カルボン酸無水物を、片末端一級アミノ基のポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)を開始剤として重合させる。得られたポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(ε−カルボベンゾキシ−L−リシン)ブロック共重合体(XII)を酸を用いて脱保護反応を行うことにより、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリリシンブロック共重合体(XIII)が得られる。
ベシクルの製造
本発明によるベシクルは、ブロック共重合体間の静電相互作用を利用して形成されることから、第一のブロック共重合体と第二のブロック共重合体とを、水性溶液中で混合することにより、簡易に製造することができる。さらに、本発明による製造方法によれば、有機溶媒を用いなくともベシクルを製造しうることから、バイオマテリアルの分野やDDSにおいて有利に利用することができる。
本発明による製造にあっては、まず、第一のブロック共重合体を含んでなる第一の水性溶液と、第二のブロック共重合体を含んでなる第二の水性溶液とを用意する。ここで、第一および第二の水性溶液は、所望により濾過して精製してもよい。
上記第一の水性溶液における第一のブロック共重合体の総電荷数と、第二の水性溶液における第二のブロック共重合体の総電荷数との比率は、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは約1:1である。ブロック共重合体における総電荷数は、ブロック共重合体中の荷電性セグメントを構成する繰り返し単位の数およびその繰り返し単位が有する電荷数などに応じて当業者により適宜決定される。上記の比率にて二つのブロック共重合体を用いることは、均質なベシクルを効率的に製造する上で有利である。
また、第一の水性溶液における第一のブロック共重合体、および第二の水性溶液における第二のブロック共重合体の濃度は、上記のブロック共重合体間の総電荷数の比率およびブロック共重合体の水性溶液への溶解度、ベシクルの形成効率などを勘案して適宜決定される。
また、ブロック共重合体はいずれも水溶性であることから、第一および第二の水性溶液における溶媒は、好ましくは水、バッファーであり、より好ましくは10mM Tris/HClバッファーなどが挙げられる。
また、第一および第二の水性溶液におけるpHは、ベシクルの形成を妨げない範囲で適宜調整してよく、好ましくはpH5〜pH9であり、より好ましくはpH約7である。
pHの調整は、水性溶液における溶媒としてバッファーを用いることにより簡易に行うことができる。第一および第二の水性溶液のpHを調整して用いることは、ブロック共重合体の荷電状態を保持し、効率的にベシクルを形成するために有利である。
また、上記第一および第二の水性溶液の温度は、ブロック共重合体の溶媒に対する溶解度に応じて適宜決定されるが、好ましくは10〜80℃であり、より好ましくは20〜60℃である。
また、上記第一および第二の水性溶液におけるイオン強度は、ベシクルの形成を妨げない範囲で適宜調整してよく、好ましくは10〜300mMであり、より好ましくは10〜150mMである。
次に、本発明による製造方法にあっては、第一の水性溶液と、第二の水性溶液とを混合する。混合方法は特に限定されず、第一の水性溶液に第二の水性溶液を加えてもよく、第二の水性溶液に第一の水性溶液を加えてもよい。また、容器に第一の水性溶液と、第二の水性溶液とを同時に加えて混合してもよい。このようにして得られる、第一の水性溶液と、第二の水性溶液との混合液は適宜攪拌してもよい。
第一の水性溶液と、第二の水性溶液とを混合する際の温度は、ベシクルの形成を妨げない範囲であれば特に限定されないが、ブロック共重合体の温度に応じた溶解度を勘案して設定されることが好ましい。このような混合する際の温度としては、例えば、20〜50℃である。
そして、本発明による製造方法にあっては、上記混合液を静置することにより、混合溶液中にてベシクルを生成させる。混合液を静置する時間は、ベシクルの形成効率によって異なるが、例えば、5〜30時間である。
また、本発明によるベシクルに化合物を内包させる場合、例えば、ベシクル形成の間に、第一および第二のブロック共重合体を含む混合液中に化合物を添加することにより、ベシクル中に化合物を内包させることができる。また、第一および第二の水性溶液のいずれか一方または両方に予め化合物を添加し、これらの混合溶液を調製することにより、ベシクル中に化合物を内包させてもよい。したがって、本発明による製造方法は、好ましくはベシクルに内包するための化合物を添加することを含んでなる。化合物をベシクルに内包させる際には、さらに、透析、希釈、濃縮、撹拌などの操作を適宜に付加することができる。また、化合物をベシクルの膜に挿入する場合にも上記と同様の手法を用いることができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
1−1:ポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)(PEG−PBLA)の合成
200ml ナスフラスコにPEG−NH(分子量2000) 250mg (0.125mmol)を加え、ベンゼンを加えて溶液を得た。この溶液の凍結乾燥を行い、水分の除去を行った。次にナスフラスコ内部をArガスにて置換し、シリンジを用いてDMF/CHCl = 1:4の混合溶媒5mlを加え、PEG−NH溶液を得た。また、別の100ml ナスフラスコに、β−ベンジル−L−アスパラテート N−カルボン酸無水物(BLA−NCA)2.5g (10.6mmol:85eq)を加え、さらに、DMF3ml、CHCl50mlを加えて溶液を得た。この溶液を、シリンジを用いてPEG−NH溶液の入ったナスフラスコへ撹拌しながら加えた。次に、溶液の入ったナスフラスコを35℃の恒温漕に漬け、溶液を撹拌しながら2日間反応させた。IRによりNCA固有のピークの消失を確認した後、反応液中に5倍量程度のエーテルを加えて、沈殿物を得た。この沈殿をろ過し、エーテルで数回洗浄した。次に、沈殿物をベンゼンにより凍結乾燥を行い、PEG−PBLAを得た。
PEG−PBLAについて、H NMR測定を行い、3.5ppm付近のPEGのエチレン鎖ピークと、5ppm付近のベンゼン環に隣接するメチレン鎖ピークのプロトン比からBLAの重合度を約100と算出した。また、GPC測定を行ったところ、その分子量分布は1.18であった。
1−2:ポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸(PEG−PAsp)の合成 200mlナスフラスコに、1−1にて得られたPEG−PBLA 300mgおよびアセトニトリル5mlを加えて、溶液を得た。この溶液に1N NaOH水溶液を2.5ml加え、室温にて1時間撹拌した。得られた反応溶液を透析チューブ(MWCO 3500)に入れ、蒸留水を外液として透析を3日間行った。外液を数回交換し、内液を回収した後、凍結乾燥を行い、PEG−PAspを白色固体として得た。
PEG−PAspについてH NMR測定を行い、3.5ppm付近のPEGエチレン鎖ピークと、2.6ppm付近のポリアスパラギン酸のメチレンピークとのプロトン比からポリアスパラギン酸の重合度を約98と算出した。この結果から、PBLAの脱保護反応が定量的に進行したことを確認し、分子量を13500と見積もった。
1−3:ポリエチレングリコール−ポリβ−ベンジル−L−アスパルテートの1,5−ペンタンジアミンによるアミノ化体(PEG−PeDA)の合成
PEG−PBLA 200mgを200mLナスフラスコ中にてベンゼンに溶解し、凍結乾燥行った。次に、上記ナスフラスコに DMF8mlを加え撹拌し、さらに蒸留精製した1,5−ジアミノペンタン 3.2ml (0.89mol)を加え、40℃にて2日間撹拌した。反応液を氷冷し、この溶液に10%酢酸溶液16mlを加えた。次に、この反応液を透析チューブに入れ、0.01N HClを外液として2日間透析を行った。さらに、蒸留水を外液と数回透析を行った。内液を回収した後、凍結乾燥を行い,PEG−PeDAを白色固体として得た。
PEG−PeDAについてH NMR測定を行い、3.5ppm付近のPEGエチレン鎖ピークと、3ppm付近の1級アミンに隣接するCH2ピークとのプロトン比から、アミノ化された単位の重合度を約100と算出した。この結果から、アスパラギン酸の側鎖に1,5-ジアミノペンタンが定量的に導入されたことが確認された。また、PEG−PeDAの分子量は21900であった。
1−4:PEG−PeDAとPEG−PAspによるベシクルの形成
10mM Tris/HCl(pH7.4)をバッファーとし、PEG−PeDAとPEG−PAspをそれぞれ、1mg/mlに調製した。PEG−PeDA溶液およびPEG−PAsp溶液中の電荷数が等しくなるように溶液を量り取りPEG−PeDA/PEG−PAsp(w/w)=1.62)、それぞれの溶液を0.22μmのメンブランフィルターにて濾過し、得られた二つの溶液を混合し、撹拌した後、室温にて静置した。
1−5:PEG−PeDAとPEG−PAspによるFITC−デキストランを内包したベシクルの形成
10mM Tris/HCl(pH7.4)をバッファーとし、PEG−PeDAとPEG−PAspをそれぞれ、1mg/mlに調製した。蛍光色素FITCをラベル化した分子量42000のデキストランをPEG−PAsp溶液に1.5μg/mlの濃度で加えて溶解させた。次に、PEG−PeDA溶液およびPEG−PAsp溶液中の電荷数が等しくなるように溶液を量り取り(PEG−PeDA/PEG−PAsp(w/w)=1.62)、それぞれの溶液を0.22μmのメンブランフィルターにて濾過し、得られた二つの溶液を混合し、撹拌した後、室温にて静置した。
1−6:暗視野顕微鏡による観察:ベシクルの分析
1−4にて得られた溶液をスライドガラス上に滴下し、カバーガラスをかけそのまま暗視野顕微鏡にて観察した。結果は図2に示される通りであった。約1〜10μmの球状集合体による散乱光が観察され、その集合体は中空構造を有していた。
1−7:共焦点顕微鏡による観察
1−5にて得られた溶液をガラスプレート上に滴下し、共焦点顕微鏡にて観察したところ、結果は図3に示される通りであった。約1〜10μmの球状集合体が観察された。さらに、その球状集合体の内相にFITCによる蛍光発光が観察され、集合体は中空構造を有し、かつ内水相の空間にFITC−デキストランが存在することが確認された。
実施例2
2−1: ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(ε(ベンジルオキシカルボニル)−L−リシン)(PiPrOx−PLys(Z))の合成
ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−NH(PiPrOx−NH)20mg (0.44 x 10−2mmol)をナスフラスコに量り取り、ベンゼンに溶解し、凍結乾燥した。次に、ナスフラスコをAr置換し、DMF1mlを加えた。また、別のナスフラスコに、PiPrOx−NHに対し80ユニット相当量(107.8mg, 0.352mmol)のε(ベンジルオキシカルボニル)−L−リシン N−カルボキン酸無水物(Lys(Z)−NCA)を、Ar下にて量り取り、DMFを加え(1ml)溶解させた。得られた溶液を、シリンジを用いてPiPrOx-NH2の入ったナスフラスコへ撹拌しながら加えた。次に、溶液の入ったナスフラスコを37.5 ℃の恒温槽に浸け、溶液を撹拌しながら4日反応させた。IRにてNCA固有のピークの消失を確認した後、反応液を10倍量程度のへキサン中に滴下し、沈殿物を得た。この沈殿を濾過し、へキサンで数回洗浄した。次に、沈殿物をナスフラスコに移し、真空乾燥した後、ベンゼンを用いて凍結乾燥を行い、PiPrOx−PLys(Z)を得た。
PiPrOx−PLys(Z)について 1H NMR測定を行い、1.0 ppm付近のPiPrOx側鎖のメチル基に由来するピークと、4.9 ppm付近のベンゼン環に隣接するメチレン鎖ピークのプロトン比からLys(z)−NCAの重合度は約79と算出した。また、GPC測定を行ったところ、その分子量分布1.2であった。
2−2: ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリ(L−リシン)(PiPrOx−P(Lys))の合成
2−1にて得られたPiPrOx−PLys(Z)100 mgにトリフルオロ酢酸(TFA)5mlを加え攪拌して溶液を得た。次に、この溶液に30% HBr/AcOH 10 mlを加え、1.5時間攪拌した。得られた溶液を、その15倍量程度のヘキサン中に滴下し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、ヘキサンにて洗浄した。次に、沈殿物を水に溶解し、透析チューブ(MWCO 3500)に入れ、蒸留水を外液として透析を行った。外液を数回交換し、外液のpHがほぼ中性になった後、内液を回収し、凍結乾燥を行い、PiPrOx−P(Lys)を得た。
PiPrOx−P(Lys)についてH NMR測定を行い、1.0ppm付近のPiPrOx側鎖のメチル基に由来するピークと、4.2ppm付近PLysのα-メチンに由来するピークとのプロトン比からLysの重合度は約82と算出した。
2−3:ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)−ポリβベンジル−L−アスパルテート(PiPrOx−PBLA)の合成
PiPrOx-NH2 20 mg(0.44× 10-2 mmol)をナスフラスコに量り取り、ベンゼンに溶解し凍結乾燥した。このナスフラスコをArにて置換し、CH2Cl2 1mLを加えた。次に、PiPrOx-NH2に対し80ユニット相当量(88 mg, 3.2 x 10-4 mol)のBLA−NCAを、Ar下にて別のナスフラスコに量り取り、CH2Cl2 1mLを加え、溶解した。得られた溶液をシリンジでPiPrOx-NH2のナスフラスコへ撹拌しながら加えた。このナスフラスコを37.5 ℃の恒温槽に浸け、溶液を撹拌しながら3日反応させた。IRでNCA固有のピークの消失を確認した後、反応液を10倍量程度のへキサン中に滴下し、沈殿物を得た。沈殿物を濾過し、へキサンにて数回洗浄した。さらに、沈殿物をナスフラスコに移し、真空乾燥した後、ベンゼンを用いて凍結乾燥を行い、PiPrOx−PBLAを得た。
PiPrOx−PBLAについて1H NMR測定(CD2Cl2)を行い、1.0ppm付近のPiPrOx側鎖のメチル基に由来するピークと、5.1 ppm付近のベンゼン環に隣接するメチレン鎖ピークとのプロトン比からBLA-NCAの重合度は約80と算出した。また、GPC測定を行ったところ、その分子量分布は1.1であった。
2−4: ポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸(PEG-PAsp)の合成
1−2と同様の手法により、ポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸(PEG-PAsp)を得た。
2−5:PiPrOx-P(lys)およびPEG-PAspによるベシクルの形成
PiPrOx-P(lys)およびPEG-PAspを用い、1−4と同様の手法により、ベシクルを製造した。
2−6:暗視野顕微鏡による観察:ベシクルの分析
2−5にて得られた溶液をスライドガラス上に滴下し、カバーガラスをかけそのまま観察した。暗視野顕微鏡にて観察したところ、結果は図4に示される通りであった。約1〜10μmの球状集合体が存在し、その集合体は中空構造を有していた。
2−7:透過型電子顕微鏡による観察
2−5にて得られた溶液をホルムバール支持膜を張ったCuグリッド上に滴下し、さらに酢酸ウランを微量滴下し、余分な水分を濾紙により吸い取った後に乾燥させグリッドを作製した。透過型電子顕微鏡にて観察したところ、結果は図5に示される通りであった。約100nm〜10μmの球状集合体が存在し、その集合体は膜を有した中空構造を有していた。
実施例3
3−1:生理食塩水濃度のNacl存在下におけるPEG−PeDAとPEG−PAspによるベシクルの形成
生理食塩水濃度である150mMのNaClを含む10mM Tris/HCl(pH7.4)のバッファーを用いて、PEG−PeDAとPEG−PAspをそれぞれ、1mg/mlに調製した。次に、蛍光色素FITCをラベル化した分子量42000のデキストランをPEG−PAsp溶液に1mg/mlの濃度で加えて溶解させた。次に、PEG−PeDA溶液およびPEG−PAsp溶液中の電荷数が等しくなるように溶液を量り取り(PEG−PeDA/PEG−PAsp(w/w)=1.62)、それぞれの溶液を0.22μmのメンブランフィルターにて濾過し、得られた二つの溶液を混合し、撹拌した。次に、得られた溶液を20分間の超音波処理した後、室温にて静置した。次に、この溶液をバッファーで100倍に希釈して溶液を得た。
3−2:共焦点顕微鏡による観察
3−1にて得られた溶液をガラスプレート上に滴下し、共焦点顕微鏡にて観察した。その結果、図6に示される通り、約1〜10μmの球状集合体が観察された。また、球状集合体の内相にはFITCによる蛍光発光が観察された。
さらに、上記溶液を室温で三ヶ月以上静置した後、共焦点顕微鏡による観察を行ったところ、上記球状集合体はその形態を保持していた。この結果から、上記球状集合体は約10μMOsmのコロイド浸透圧の存在下、その構造を室温で三ヶ月以上保持することが確認された。
実施例4
分子量の異なる蛍光色素を用いたベシクルの膜透過性の確認
4−1:蛍光色素溶液のベシクルへの添加
分子量443.5の蛍光色素テトラメチルローダミンイソシアネート(TRITC)およびTRITCをラベル化した分子量約70000のデキストランをそれぞれ、150mMのNaClを含む10mM Tris/HCl(pH7.4)のバッファーに溶解させた。次に、得られた2種類の溶液900μLをそれぞれ、3−1にて得られたFITCを内包する球状集合体を含む溶液100μLに加えた。
4−2:共焦点顕微鏡による観察
4−1にて得られた溶液をそれぞれガラスプレート上に滴下し、共焦点顕微鏡にて観察した。
TRITCをラベル化したデキストランの溶液を加えた場合、図7に示される画像が得られた。図7において、球状集合体の内相ではFITCの緑色の蛍光が観察され、球状集合体の外相ではTRITCの赤色の蛍光が観察された。一方、TRITCの溶液を加えた場合、図8に示される画像が得られた。図8において、球状集合体の内相ではFITCの緑色とTRITCの赤色とが重なった黄色の蛍光が観察された。
図7および図8に示される通り、TRITCをラベル化したデキストランは球状集合体の内相へ透過せず、上記デキストランより低分子量のTEITCは球状集合体の内相へ透過しており、球状集合体の膜は半透過性を示すことが確認された。
実施例6
血清存在下におけるPEG−PeDAおよびPEG−PAspからなるベシクルの安定性の確認
6−1:ベシクルの調製および血清の添加
生理食塩水濃度である150mMのNaClを含む10mM Tris/HCl(pH7.4)のバッファーを用い、PEG−PeDAとPEG−PAspをそれぞれ、1mg/mlに調製した。PEG−PeDA溶液およびPEG−PAsp溶液中の電荷数が等しくなるように溶液を量り取った(PEG−PeDA/PEG−PAsp(w/w)=1.62)。次に、それぞれの溶液を0.22μmのメンブランフィルターにて濾過し、得られた二つの溶液を混合し、撹拌した後、室温にて静置した。この混合溶液90μLに10μLのウシ胎児血清を加え、再び撹拌した後、37℃にて静置した。
6−2:暗視野顕微鏡による観察
6−1にて得られた溶液を1日静置した後、ガラスプレート上に滴下し、暗視野顕微鏡にて観察した。図9に示される通り、約1〜5μmの球状集合体が存在し、その集合体は中空構造を有していた。この結果、10%の血清が存在する溶液中において、球状集合体は中空構造を保持することが確認された。

Claims (21)

  1. 非イオン性の非荷電親水性セグメントと、正イオンに荷電した荷電性セグメントとを有する第一のブロック共重合体と、非イオン性の非荷電親水性セグメントと、負イオンに荷電した荷電性セグメントとを有する第二のブロック共重合体とにより形成された膜を含む、ベシクル。
  2. 前記膜が、外層、中間層、および内層からなる三層構造を有し、前記第一のブロック共重合体の荷電性セグメントと、前記第二のブロック共重合体の荷電性セグメントとが静電相互作用により結合し、該荷電性セグメントが中間層を構成し、前記非荷電親水性セグメントが前記外層および内層を構成する、請求項1に記載のベシクル。
  3. 第一のブロック共重合体または第二のブロック共重合体のいずれかの非荷電親水性セグメントが前記外層を形成し、該外層を形成していない、他方のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントが前記内層を形成する、請求項2に記載のベシクル。
  4. 前記第一のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントおよび第二のブロック共重合体の非荷電親水性セグメントが、ポリエチレングリコールおよび/またはポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)である、請求項1に記載のベシクル。
  5. 前記第一のブロック共重合体の荷電性セグメントが、下記式(I)で表されるものである、請求項1に記載のベシクル。
    (上記式中、
    が、−(CHNHまたは−CONH(CH−Xを表し、かつsが0〜20であり、ここで、Xが、−NH、ピリジル基、モルホリル基、1−イミダゾリル基、、ピペラジニル基、4−(C1−6アルキル)−ピペラジニル基、4−(アミノC1−6アルキル)−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ピペリジニル基、ジイソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−(CHtNH、または−(NR(CHNHR10からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、ここで、Rが水素原子またはメチル基を表し、R10が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert―ブトキシカルボニル基を表し、oが1〜5であり、pが1〜5であり、tが0〜15であり、
    が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
    aが0〜5,000であり、bが0〜5,000であり、かつa+bが2〜5,000である。)
  6. が−CONH(CH−NHを表し、かつsが2〜5であり、
    が水素原子を表し、
    aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200である、請求項5に記載のベシクル。
  7. 前記第二のブロック共重合体の荷電性セグメントが、下記式(II)で表されるものである、請求項1に記載のベシクル。
    (上記式中、
    が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
    がそれぞれ独立してメチレン基またはエチレン基を表し、
    cが0〜5,000であり、dが0〜5,000であり、かつc+dが2〜5,000である。)
  8. が水素原子を表し、
    がメチレン基を表し、
    cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200である、請求項7に記載のベシクル。
  9. 第一のブロック共重合体が、下記式(III)で表されるものである、請求項1に記載のベシクル。
    (上記式中、
    が、−(CHNHまたは−CONH(CH−Xを表し、かつsが0〜20であり、ここで、Xが、−NH、ピリジル基、モルホリル基、1−イミダゾリル基、ピペラジニル基、4−(C1−6アルキル)−ピペラジニル基、4−(アミノC1−6アルキル)−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ピペリジニル基、ジイソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−(CHtNH、または−(NR(CHNHR10からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、かつRが水素原子またはメチル基を表し、R10が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert―ブトキシカルボニル基を表し、oが1〜5であり、pが1〜5であり、tが0〜15であり、
    が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
    が水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
    が−(CHgNH−を表し、かつgが0〜5であり、
    aが0〜5,000であり、bが0〜5,000であり、かつa+bが2〜5,000であり、
    eが5〜2,500である。)
  10. が−CONH(CH−NHを表し、かつsが2〜5であり、
    が水素原子を表し、
    がメチル基を表し、
    aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、
    eが10〜300である、請求項9に記載のベシクル。
  11. 第一のブロック共重合体が、下記式(IV)で表されるものである、請求項1に記載のベシクル。
    (上記式中、
    が、−(CHNHまたは−CONH(CH−Xを表し、かつsが0〜20であり、ここで、Xが−NH、ピリジル基、モルホリル基、1−イミダゾリル基、ピペラジニル基、4−(C1−6アルキル)−ピペラジニル基、4−(アミノC1−6アルキル)−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ピペリジニル基、ジイソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−(CHtNH、または−(NR(CHNHR10からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、ここで、Rが水素原子またはメチル基を表し、R10が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert―ブトキシカルボニル基を表し、oが1〜5であり、pが1〜5であり、tが0〜15であり、
    が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
    が、水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
    が−(CHNH−を表し、かつhが0〜5であり、
    が直鎖または分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
    aが0〜5,000であり、bが0〜5,000であり、かつa+bが2〜5,000であり、
    fが5〜2,500である。)
  12. が−(CHNHを表し、
    が水素原子を表し、
    がメチル基を表し、
    が−CH(CHを表し、
    aが0〜200であり、bが0〜200であり、かつa+bが10〜200であり、
    fが10〜300である、請求項11に記載のベシクル。
  13. 第二のブロック共重合体が、下記式(V)で表されるものである、請求項1に記載のベシクル。
    (上記式中、
    が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
    がそれぞれ独立してメチレン基またはエチレン基を表し、
    が水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
    が−(CHgNH−を表し、かつgが0〜5であり、
    cが0〜5,000であり、dが0〜5,000であり、かつc+dが2〜5,000であり、
    iが5〜2,500である。)
  14. が水素原子を表し、
    がメチレン基を表し、
    がメチル基を表し、
    cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、
    iが10〜300である、請求項13に記載のベシクル。
  15. 第二のブロック共重合体が、下記式(VI)で表されるものである、請求項1に記載のベシクル。
    (上記式中、
    が、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、
    がそれぞれ独立してメチレン基またはエチレン基を表し、
    が水素原子または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
    が−(CHNH−を表し、かつhが0〜5であり、
    が直鎖または分岐鎖のC1−12アルキル基を表し、
    cが0〜5,000であり、dが0〜5,000であり、かつc+dが2〜5,000であり、
    jが5〜2,500である。)
  16. が水素原子を表し、
    がメチレン基を表し、
    がメチル基を表し、
    が−CH(CHを表し、
    cが0〜200であり、dが0〜200であり、かつc+dが10〜200であり、
    jが10〜300である、請求項15に記載のベシクル。
  17. 前記第一のブロック共重合体が請求項9に記載の式(III)で表されるブロック共重合体であり、前記第二のブロック共重合体が請求項13に記載の式(V)で表されるブロック共重合体である、請求項1に記載のベシクル。
  18. 前記第一のブロック共重合体が請求項11に記載の式(IV)で表されるブロック共重合体であり、前記第二のブロック共重合体が請求項13に記載の式(V)で表されるブロック共重合体である、請求項1に記載のベシクル。
  19. 前記第一のブロック共重合体が請求項9に記載の式(III)で表されるブロック共重合体であり、前記第二のブロック共重合体が請求項15に記載の式(VI)で表されるブロック共重合体である、請求項1に記載のベシクル。
  20. 前記第一のブロック共重合体が請求項11に記載の式(IV)で表されるブロック共重合体であり、前記第二のブロック共重合体が請求項15に記載の式(VI)で表されるブロック共重合体である、請求項1に記載のベシクル。
  21. 化合物を内包するものである、請求項1に記載のベシクル。
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