JPH07278833A - 一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 - Google Patents
一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法Info
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- JPH07278833A JPH07278833A JP6077204A JP7720494A JPH07278833A JP H07278833 A JPH07278833 A JP H07278833A JP 6077204 A JP6077204 A JP 6077204A JP 7720494 A JP7720494 A JP 7720494A JP H07278833 A JPH07278833 A JP H07278833A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 無機鉱物質皮膜のない一方向性珪素鋼板に対
し、結晶質の張力付与性絶縁皮膜を内部酸化を防止して
形成する方法を提供する。 【構成】 結晶質の張力付与性絶縁皮膜の形成に先立
ち、非晶質の酸化物皮膜を鋼板表面に形成させる。 【効果】 結晶質の張力付与性絶縁皮膜の形成中に起こ
る内部酸化を防止でき、一方向性珪素鋼板の鉄損を著し
く向上できる。
し、結晶質の張力付与性絶縁皮膜を内部酸化を防止して
形成する方法を提供する。 【構成】 結晶質の張力付与性絶縁皮膜の形成に先立
ち、非晶質の酸化物皮膜を鋼板表面に形成させる。 【効果】 結晶質の張力付与性絶縁皮膜の形成中に起こ
る内部酸化を防止でき、一方向性珪素鋼板の鉄損を著し
く向上できる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は表面にフォルステライト
等、無機鉱物質皮膜を有しない仕上げ焼鈍済みの一方向
性珪素鋼板、更には鏡面ないしはそれに近い状態に調製
した仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板に、絶縁性およ
び張力付与性の優れた皮膜を形成する方法に関するもの
である。
等、無機鉱物質皮膜を有しない仕上げ焼鈍済みの一方向
性珪素鋼板、更には鏡面ないしはそれに近い状態に調製
した仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板に、絶縁性およ
び張力付与性の優れた皮膜を形成する方法に関するもの
である。
【０００２】
【従来の技術】一方向性珪素鋼板は磁気鉄芯材料として
多用されており、特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。鉄損の低減には
鋼板に張力を付与することが有効であることが知られて
いる。鋼板に張力を付与するためには、鋼板より熱膨張
係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形成することが
有効である。仕上げ焼鈍工程で鋼板表面の酸化物と焼鈍
分離剤とが反応して生成するフォルステライト系皮膜
は、鋼板に張力を与えることができ、皮膜密着性も優れ
ている。
多用されており、特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。鉄損の低減には
鋼板に張力を付与することが有効であることが知られて
いる。鋼板に張力を付与するためには、鋼板より熱膨張
係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形成することが
有効である。仕上げ焼鈍工程で鋼板表面の酸化物と焼鈍
分離剤とが反応して生成するフォルステライト系皮膜
は、鋼板に張力を与えることができ、皮膜密着性も優れ
ている。
【０００３】更に、特開昭４８−３９３３８号公報で開
示されたコロイド状シリカとリン酸塩を主体とするコー
ティング液を焼き付けることによって絶縁皮膜を形成す
る方法は、鋼板に対する張力付与の効果が大きく、鉄損
低減に有効である。従って、仕上げ焼鈍工程で生じたフ
ォルステライト系皮膜を残した上でリン酸塩を主体とす
る絶縁コーティングを施すことが一般的な一方向性珪素
鋼板の製造方法となっている。
示されたコロイド状シリカとリン酸塩を主体とするコー
ティング液を焼き付けることによって絶縁皮膜を形成す
る方法は、鋼板に対する張力付与の効果が大きく、鉄損
低減に有効である。従って、仕上げ焼鈍工程で生じたフ
ォルステライト系皮膜を残した上でリン酸塩を主体とす
る絶縁コーティングを施すことが一般的な一方向性珪素
鋼板の製造方法となっている。
【０００４】一方、最近、フォルステライト系皮膜と地
鉄の乱れた界面構造が、鉄損に対する皮膜張力効果をあ
る程度減少させていることが明らかになってきた。そこ
で、例えば、特開昭４９−９６９２０号公報に開示され
ている如く、仕上げ焼鈍工程で生ずるフォルステライト
系皮膜を除去したり、更に鏡面化仕上げを行った後、改
めて張力皮膜を形成させることにより、更なる鉄損低減
を試みる技術が開発された。
鉄の乱れた界面構造が、鉄損に対する皮膜張力効果をあ
る程度減少させていることが明らかになってきた。そこ
で、例えば、特開昭４９−９６９２０号公報に開示され
ている如く、仕上げ焼鈍工程で生ずるフォルステライト
系皮膜を除去したり、更に鏡面化仕上げを行った後、改
めて張力皮膜を形成させることにより、更なる鉄損低減
を試みる技術が開発された。
【０００５】ところで、一方向性珪素鋼板製造において
張力付与性の絶縁皮膜形成は、一般に、皮膜原料となる
物質を水溶液あるいは水懸濁液の状態に調製し、それを
鋼板表面に塗布し、その後高温で焼き付けるという手法
が取られる。そのため焼き付け工程において鋼板表面に
塗布された水溶液あるいは水懸濁液から水分の蒸発が起
こり、炉内の雰囲気露点はおよそ＋１０℃から＋４０℃
前後になっているものと推定される。焼き付け炉の雰囲
気ガスは窒素を主体とし、これに数％の水素を含むのが
通常である。従って、水蒸気−窒素−水素が主体で珪素
鋼に対し酸化性の雰囲気となる焼き付け炉の中で張力付
与型の絶縁皮膜を形成され、一方向性珪素鋼板製品とな
る。
張力付与性の絶縁皮膜形成は、一般に、皮膜原料となる
物質を水溶液あるいは水懸濁液の状態に調製し、それを
鋼板表面に塗布し、その後高温で焼き付けるという手法
が取られる。そのため焼き付け工程において鋼板表面に
塗布された水溶液あるいは水懸濁液から水分の蒸発が起
こり、炉内の雰囲気露点はおよそ＋１０℃から＋４０℃
前後になっているものと推定される。焼き付け炉の雰囲
気ガスは窒素を主体とし、これに数％の水素を含むのが
通常である。従って、水蒸気−窒素−水素が主体で珪素
鋼に対し酸化性の雰囲気となる焼き付け炉の中で張力付
与型の絶縁皮膜を形成され、一方向性珪素鋼板製品とな
る。
【０００６】このようにして完成した一方向性珪素鋼板
は所望の寸法に剪断され、鉄芯等の製品に加工される。
剪断や加工の際に発生する歪は一方向性珪素鋼板の鉄損
を劣化させるため、歪取り焼鈍と称される焼鈍が施され
る。このとき所定の形状に鋼板同士を積層し、焼鈍され
るのが通常である。従来の張力付与型の絶縁皮膜は非晶
質の状態にあり、熱的には準安定状態にある。そのた
め、歪取り焼鈍の間に積層された鋼板表面で絶縁皮膜同
士が融着し、製品としての組み立てが困難になるという
問題がある。従って、熱的安定性を考えた場合、張力付
与型の絶縁皮膜の主体は熱安定性に優れた結晶質である
ことが望ましい。
は所望の寸法に剪断され、鉄芯等の製品に加工される。
剪断や加工の際に発生する歪は一方向性珪素鋼板の鉄損
を劣化させるため、歪取り焼鈍と称される焼鈍が施され
る。このとき所定の形状に鋼板同士を積層し、焼鈍され
るのが通常である。従来の張力付与型の絶縁皮膜は非晶
質の状態にあり、熱的には準安定状態にある。そのた
め、歪取り焼鈍の間に積層された鋼板表面で絶縁皮膜同
士が融着し、製品としての組み立てが困難になるという
問題がある。従って、熱的安定性を考えた場合、張力付
与型の絶縁皮膜の主体は熱安定性に優れた結晶質である
ことが望ましい。
【０００７】発明者らはこの認識をもとに、種々の絶縁
皮膜原料をフォルステライト系皮膜のない、あるいは更
に鏡面化した鋼板の表面に塗布し、窒素ガスが主体で、
露点が＋１０℃から＋４０℃前後の酸化性雰囲気の中で
焼き付け、その鉄損低減効果を調べた。その結果、焼き
付け中に結晶化する皮膜材質の場合、鉄損低減効果が十
分に発揮されないことがわかった。この点を更に検討し
たところ、焼き付け中に結晶化する皮膜の場合、雰囲気
中の酸化性ガスが皮膜を通して侵入し、鋼板が内部酸化
されることを知見した。一旦、内部酸化が生じると鏡面
化の効果が減退する。
皮膜原料をフォルステライト系皮膜のない、あるいは更
に鏡面化した鋼板の表面に塗布し、窒素ガスが主体で、
露点が＋１０℃から＋４０℃前後の酸化性雰囲気の中で
焼き付け、その鉄損低減効果を調べた。その結果、焼き
付け中に結晶化する皮膜材質の場合、鉄損低減効果が十
分に発揮されないことがわかった。この点を更に検討し
たところ、焼き付け中に結晶化する皮膜の場合、雰囲気
中の酸化性ガスが皮膜を通して侵入し、鋼板が内部酸化
されることを知見した。一旦、内部酸化が生じると鏡面
化の効果が減退する。
【０００８】そのため、たとえ張力を付与できる絶縁皮
膜を形成させたとしても期待できるほどの鉄損低減効果
が得られない。従って、フォルステライト系皮膜をなく
したり、鏡面化等を施した鋼板に対し、結晶化の起こる
張力付与性の絶縁皮膜を形成する場合、従来の方法だけ
では期待できる鉄損低減効果を十分に引き出すことは困
難であった。
膜を形成させたとしても期待できるほどの鉄損低減効果
が得られない。従って、フォルステライト系皮膜をなく
したり、鏡面化等を施した鋼板に対し、結晶化の起こる
張力付与性の絶縁皮膜を形成する場合、従来の方法だけ
では期待できる鉄損低減効果を十分に引き出すことは困
難であった。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】本発明はフォルステラ
イト等無機鉱物質皮膜のない鋼板表面に、内部酸化を起
こさず、結晶質の絶縁皮膜を形成させる方法を提供する
ことを目的とする。
イト等無機鉱物質皮膜のない鋼板表面に、内部酸化を起
こさず、結晶質の絶縁皮膜を形成させる方法を提供する
ことを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】本発明は鋼板表面に無機
鉱物質皮膜のない仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板
に、あらかじめ非晶質の酸化物皮膜を形成させ、しかる
後に結晶質の張力付与型の絶縁皮膜を形成することによ
り、内部酸化を起こさせない方法を提供するものであ
る。
鉱物質皮膜のない仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板
に、あらかじめ非晶質の酸化物皮膜を形成させ、しかる
後に結晶質の張力付与型の絶縁皮膜を形成することによ
り、内部酸化を起こさせない方法を提供するものであ
る。
【００１１】本発明の要旨は、次の通りである。 （１）鋼板表面に無機鉱物質皮膜のない仕上げ焼鈍済み
一方向性珪素鋼板に結晶質の張力付与型の絶縁皮膜を形
成する方法において、該鋼板表面に非晶質酸化物皮膜を
形成させた後、結晶質の張力付与型の絶縁皮膜を形成す
ることを特徴とする、一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成
方法。
一方向性珪素鋼板に結晶質の張力付与型の絶縁皮膜を形
成する方法において、該鋼板表面に非晶質酸化物皮膜を
形成させた後、結晶質の張力付与型の絶縁皮膜を形成す
ることを特徴とする、一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成
方法。
【００１２】（２）非晶質酸化物皮膜として鋼板片面当
たり１０mg／ｍ2 以上の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成す
ることを特徴とする（１）に記載の絶縁皮膜形成方法。 （３）非晶質酸化物皮膜として鋼板片面当たり１ｇ／ｍ
2 以上のリン酸塩を主体とした皮膜を形成することを特
徴とする（１）に記載の絶縁皮膜形成方法。 （４）張力付与型の絶縁皮膜のコーティング液がホウ酸
化合物とアルミナゾルを主体とすることを特徴とする
（１），（２），（３）の何れかに記載の絶縁皮膜形成
方法。
たり１０mg／ｍ2 以上の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成す
ることを特徴とする（１）に記載の絶縁皮膜形成方法。 （３）非晶質酸化物皮膜として鋼板片面当たり１ｇ／ｍ
2 以上のリン酸塩を主体とした皮膜を形成することを特
徴とする（１）に記載の絶縁皮膜形成方法。 （４）張力付与型の絶縁皮膜のコーティング液がホウ酸
化合物とアルミナゾルを主体とすることを特徴とする
（１），（２），（３）の何れかに記載の絶縁皮膜形成
方法。
【００１３】
【作用】結晶質の張力付与型の絶縁皮膜と鋼板との間
に、あらかじめ雰囲気シール性のある皮膜を形成するな
らば、内部酸化を防止できるのではないかと発明者らは
考え検討を重ねた。その結果、鋼板表面にあらかじめ非
晶質の酸化物皮膜を形成させた上で結晶質の絶縁皮膜を
形成させるならば、内部酸化を防止できることを確認し
た。
に、あらかじめ雰囲気シール性のある皮膜を形成するな
らば、内部酸化を防止できるのではないかと発明者らは
考え検討を重ねた。その結果、鋼板表面にあらかじめ非
晶質の酸化物皮膜を形成させた上で結晶質の絶縁皮膜を
形成させるならば、内部酸化を防止できることを確認し
た。
【００１４】まず、発明者らは非晶質の中間皮膜として
ＳｉＯ2 に着目した。一方向性珪素鋼板は通常３％程度
のＳｉを含有しているので、無機鉱物質皮膜のない一方
向性珪素鋼板を熱処理すれば表面にＳｉＯ2 を形成させ
ることができる。その際、内部酸化状でなく外部酸化状
のＳｉＯ2 が生成するように熱処理条件を選択する必要
がある。
ＳｉＯ2 に着目した。一方向性珪素鋼板は通常３％程度
のＳｉを含有しているので、無機鉱物質皮膜のない一方
向性珪素鋼板を熱処理すれば表面にＳｉＯ2 を形成させ
ることができる。その際、内部酸化状でなく外部酸化状
のＳｉＯ2 が生成するように熱処理条件を選択する必要
がある。
【００１５】内部酸化防止効果のあるＳｉＯ2 量を調べ
るため、３％のＳｉを含有する板厚０．１５mmの仕上げ
焼鈍済みの一方向性電磁鋼板について実験を行った。こ
の試料は脱炭焼鈍後、表面に生成した酸化層を酸洗によ
り除去した後、アルミナ粉末をふりかけて仕上げ焼鈍
し、フォルステライト系皮膜の生成を防止している。こ
のようにして調製した試料の表面は鏡面状態を呈する。
るため、３％のＳｉを含有する板厚０．１５mmの仕上げ
焼鈍済みの一方向性電磁鋼板について実験を行った。こ
の試料は脱炭焼鈍後、表面に生成した酸化層を酸洗によ
り除去した後、アルミナ粉末をふりかけて仕上げ焼鈍
し、フォルステライト系皮膜の生成を防止している。こ
のようにして調製した試料の表面は鏡面状態を呈する。
【００１６】次に、作製した鋼板を窒素２５％、水素７
５％、露点０℃以下の雰囲気中で温度７００℃から９５
０℃、時間３０秒から６００秒の種々の条件で焼鈍し、
表面に外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させた。形成させた
外部酸化状ＳｉＯ2 は電解抽出法によって採取しＩＣＰ
分析法で定量した。比較例として表面にＳｉＯ2 を形成
させない試料も作製した。
５％、露点０℃以下の雰囲気中で温度７００℃から９５
０℃、時間３０秒から６００秒の種々の条件で焼鈍し、
表面に外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させた。形成させた
外部酸化状ＳｉＯ2 は電解抽出法によって採取しＩＣＰ
分析法で定量した。比較例として表面にＳｉＯ2 を形成
させない試料も作製した。
【００１７】次に、メタホウ酸とコロイダルアルミナを
主成分とするコーティング液を塗布し、窒素９７％、水
素３％の雰囲気中、８５０℃で９０秒間焼き付けを行っ
た。焼き付けの際、雰囲気露点を１０℃と２０℃にして
焼き付けた。このようにして形成した皮膜は２Ａｌ2 Ｏ
3 ・Ｂ2 Ｏ3 の結晶質を主成分とする皮膜となる。
主成分とするコーティング液を塗布し、窒素９７％、水
素３％の雰囲気中、８５０℃で９０秒間焼き付けを行っ
た。焼き付けの際、雰囲気露点を１０℃と２０℃にして
焼き付けた。このようにして形成した皮膜は２Ａｌ2 Ｏ
3 ・Ｂ2 Ｏ3 の結晶質を主成分とする皮膜となる。
【００１８】比較例のＳｉＯ2 を形成させなかった試料
についても、塗布、焼き付けを行い、２Ａｌ2 Ｏ3 ・Ｂ
2 Ｏ3 を主体とする皮膜を形成させた。鋼板の内部酸化
の状況は断面を光学顕微鏡で観察しその有無を判定し
た。結果を図１に示す。図１の中で、○は内部酸化がな
いことを表し、×は内部酸化が起こっていることを表
す。
についても、塗布、焼き付けを行い、２Ａｌ2 Ｏ3 ・Ｂ
2 Ｏ3 を主体とする皮膜を形成させた。鋼板の内部酸化
の状況は断面を光学顕微鏡で観察しその有無を判定し
た。結果を図１に示す。図１の中で、○は内部酸化がな
いことを表し、×は内部酸化が起こっていることを表
す。
【００１９】焼き付け雰囲気の露点が＋１０℃、＋２０
℃の何れの場合でも、絶縁皮膜形成に先だって、鋼板表
面に１０mg／ｍ2 以上の外部酸化状ＳｉＯ2 を形成させ
るならば、内部酸化を防止できることがわかる。また、
鋼板表面に１０mg／ｍ2 の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成
させた場合、絶縁皮膜の密着性も良好であった。なお、
皮膜量の上限値は現在のところ確定できていないが、外
部酸化状であれば占積率を損なわない限りいくら厚くて
も問題ない。
℃の何れの場合でも、絶縁皮膜形成に先だって、鋼板表
面に１０mg／ｍ2 以上の外部酸化状ＳｉＯ2 を形成させ
るならば、内部酸化を防止できることがわかる。また、
鋼板表面に１０mg／ｍ2 の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成
させた場合、絶縁皮膜の密着性も良好であった。なお、
皮膜量の上限値は現在のところ確定できていないが、外
部酸化状であれば占積率を損なわない限りいくら厚くて
も問題ない。
【００２０】内部酸化を防止する非晶質酸化物としてＳ
ｉＯ2 以外にも検討を進めた。発明者らは非晶質酸化物
としてリン酸塩について検討した。実験は３％のＳｉを
含有する０．１５mm板厚の仕上げ焼鈍済みの一方向性電
磁鋼板について行った。この試料は脱炭焼鈍後、表面に
生成した酸化層を酸洗により除去した後、アルミナをふ
りかけて仕上げ焼鈍しフォルステライト系皮膜の生成を
防止している。このようにして作製した試料の表面は鏡
面状態を呈している。
ｉＯ2 以外にも検討を進めた。発明者らは非晶質酸化物
としてリン酸塩について検討した。実験は３％のＳｉを
含有する０．１５mm板厚の仕上げ焼鈍済みの一方向性電
磁鋼板について行った。この試料は脱炭焼鈍後、表面に
生成した酸化層を酸洗により除去した後、アルミナをふ
りかけて仕上げ焼鈍しフォルステライト系皮膜の生成を
防止している。このようにして作製した試料の表面は鏡
面状態を呈している。
【００２１】この鋼板の上にリン酸アルミニウムを主成
分とするコーティング液を塗布量をかけて塗布し、窒素
９７％、水素３％の雰囲気中、８５０℃で３０秒間焼き
付けを行った。この上に、メタホウ酸とコロイダルアル
ミナを主成分とするコーティング液を塗布し、窒素９７
％、水素３％の雰囲気中、８５０℃で９０秒間焼き付け
を行い、結晶質皮膜を形成させた。焼き付けの際、雰囲
気露点を＋３０℃、＋４０℃にして焼き付けを行った。
鋼板表面の内部酸化の状況は断面を光学顕微鏡で観察
し、その有無を判定した。
分とするコーティング液を塗布量をかけて塗布し、窒素
９７％、水素３％の雰囲気中、８５０℃で３０秒間焼き
付けを行った。この上に、メタホウ酸とコロイダルアル
ミナを主成分とするコーティング液を塗布し、窒素９７
％、水素３％の雰囲気中、８５０℃で９０秒間焼き付け
を行い、結晶質皮膜を形成させた。焼き付けの際、雰囲
気露点を＋３０℃、＋４０℃にして焼き付けを行った。
鋼板表面の内部酸化の状況は断面を光学顕微鏡で観察
し、その有無を判定した。
【００２２】図２は、内部酸化に対するリン酸アルミニ
ウムの皮膜量とメタホウ酸とコロイダルアルミナを主成
分とするコーティング液を焼き付けるときの雰囲気露点
の影響を示す。○は内部酸化がないことを、×は内部酸
化が起こっていることを表す。結晶質の強力付与型の絶
縁皮膜形成に先だって、鋼板表面に１ｇ／ｍ2 以上のリ
ン酸アルミニウム皮膜を形成させた場合、何れの焼き付
け露点においても内部酸化を防止できることがわかる。
なお、リン酸アルミニウム皮膜の量の上限値は確定でき
ていないが、占積率を損なわない範囲であればいくら厚
くても問題ない。
ウムの皮膜量とメタホウ酸とコロイダルアルミナを主成
分とするコーティング液を焼き付けるときの雰囲気露点
の影響を示す。○は内部酸化がないことを、×は内部酸
化が起こっていることを表す。結晶質の強力付与型の絶
縁皮膜形成に先だって、鋼板表面に１ｇ／ｍ2 以上のリ
ン酸アルミニウム皮膜を形成させた場合、何れの焼き付
け露点においても内部酸化を防止できることがわかる。
なお、リン酸アルミニウム皮膜の量の上限値は確定でき
ていないが、占積率を損なわない範囲であればいくら厚
くても問題ない。
【００２３】現在のところ、非晶質の下地皮膜形成によ
って内部酸化が防止できる理由を次のように推定してい
る。結晶質の張力付与型絶縁皮膜の場合、焼き付け中に
結晶粒界を通って雰囲気中の酸化性ガスが侵入する。こ
こに鋼板が直接、接していると鋼板が内部酸化を受け
る。一方、鋼板との界面に結晶粒界をもたない非晶質皮
膜があると酸化性ガスがこれ以上侵入できない。その結
果、鋼板の内部酸化が防止される。
って内部酸化が防止できる理由を次のように推定してい
る。結晶質の張力付与型絶縁皮膜の場合、焼き付け中に
結晶粒界を通って雰囲気中の酸化性ガスが侵入する。こ
こに鋼板が直接、接していると鋼板が内部酸化を受け
る。一方、鋼板との界面に結晶粒界をもたない非晶質皮
膜があると酸化性ガスがこれ以上侵入できない。その結
果、鋼板の内部酸化が防止される。
【００２４】張力付与性の結晶質絶縁皮膜を形成するの
に先立ち、鋼板表面の内部酸化を防止する目的で形成す
る酸化物は、外部酸化状のＳｉＯ2 とリン酸アルミニウ
ム皮膜に限定されるものではなく、非晶質酸化物であれ
ば良い。リン酸塩についてもその結晶構造が非晶質であ
れば、金属はアルミニウム（Ａｌ）に限定されるもので
はなく、マグネシウム（Ｍｇ）、カルシウム（Ｃａ）や
その他の金属であってかまわない。
に先立ち、鋼板表面の内部酸化を防止する目的で形成す
る酸化物は、外部酸化状のＳｉＯ2 とリン酸アルミニウ
ム皮膜に限定されるものではなく、非晶質酸化物であれ
ば良い。リン酸塩についてもその結晶構造が非晶質であ
れば、金属はアルミニウム（Ａｌ）に限定されるもので
はなく、マグネシウム（Ｍｇ）、カルシウム（Ｃａ）や
その他の金属であってかまわない。
【００２５】また、これらのリン酸塩はその金属が１種
または２種以上の混合であってもかまわない。更に、非
晶質のリン酸塩皮膜を形成させるためのコーティング液
にはリン酸塩の原料のほかに、皮膜の結晶性を非晶質に
保つもの、例えばクロム酸やコロイダルシリカ等が含ま
れても良い。更に、外部酸化状のＳｉＯ2 形成と非晶質
リン酸塩形成は組み合わせて実施しても良い。
または２種以上の混合であってもかまわない。更に、非
晶質のリン酸塩皮膜を形成させるためのコーティング液
にはリン酸塩の原料のほかに、皮膜の結晶性を非晶質に
保つもの、例えばクロム酸やコロイダルシリカ等が含ま
れても良い。更に、外部酸化状のＳｉＯ2 形成と非晶質
リン酸塩形成は組み合わせて実施しても良い。
【００２６】
実施例１ Ｓｉを３％含有する最終板厚０．２３mmに圧延された珪
素鋼に対し、脱炭焼鈍を兼ねて珪素鋼表面にＳｉＯ2 を
含む酸化層を形成させた後、ＭｇＯを主体とする焼鈍分
離剤を塗布し、最終仕上げ焼鈍を行った。このようにし
て焼鈍した一方向性珪素鋼板表面にはフォルステライト
を主体とする皮膜が存在している。このフォルステライ
ト系皮膜付きの鋼板を硫酸とフッ化アンモニウムの水溶
液に浸漬することによりフォルステライト系皮膜を除去
し、更にフッ酸と過酸化水素水の水溶液中で化学研磨し
表面を鏡面状態に仕上げた。
素鋼に対し、脱炭焼鈍を兼ねて珪素鋼表面にＳｉＯ2 を
含む酸化層を形成させた後、ＭｇＯを主体とする焼鈍分
離剤を塗布し、最終仕上げ焼鈍を行った。このようにし
て焼鈍した一方向性珪素鋼板表面にはフォルステライト
を主体とする皮膜が存在している。このフォルステライ
ト系皮膜付きの鋼板を硫酸とフッ化アンモニウムの水溶
液に浸漬することによりフォルステライト系皮膜を除去
し、更にフッ酸と過酸化水素水の水溶液中で化学研磨し
表面を鏡面状態に仕上げた。
【００２７】次に、この試料を水素７５％、窒素２５
％、露点０℃の雰囲気中で９５０℃、６００秒間焼鈍
し、表面に片面当たり５０mg／ｍ2 の非晶質の外部酸化
状のＳｉＯ2 を形成させた。続いて、この鋼板表面にア
ルミナゾル３０重量部、メタホウ酸１５重量部、および
蒸留水を混合した懸濁液を塗布した。これを窒素、水
素、露点２０℃の雰囲気中で８５０℃で９０秒間焼き付
け、結晶質の２Ａｌ2 Ｏ3 ・Ｂ2 Ｏ3 を主体とする皮膜
を形成させた。鋼板表面に非晶質の外部酸化状のＳｉＯ
2 を形成させなかった試料にも同様にメタホウ酸とアル
ミナゾルを主体とする懸濁液を塗布し、焼き付けを行っ
た。結果を表１に示す。絶縁皮膜の焼き付けに先立ち鋼
板表面に非晶質の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させた場
合、内部酸化が防止され、良好な鉄損値をもつ一方向性
珪素鋼板を得ることができる。
％、露点０℃の雰囲気中で９５０℃、６００秒間焼鈍
し、表面に片面当たり５０mg／ｍ2 の非晶質の外部酸化
状のＳｉＯ2 を形成させた。続いて、この鋼板表面にア
ルミナゾル３０重量部、メタホウ酸１５重量部、および
蒸留水を混合した懸濁液を塗布した。これを窒素、水
素、露点２０℃の雰囲気中で８５０℃で９０秒間焼き付
け、結晶質の２Ａｌ2 Ｏ3 ・Ｂ2 Ｏ3 を主体とする皮膜
を形成させた。鋼板表面に非晶質の外部酸化状のＳｉＯ
2 を形成させなかった試料にも同様にメタホウ酸とアル
ミナゾルを主体とする懸濁液を塗布し、焼き付けを行っ
た。結果を表１に示す。絶縁皮膜の焼き付けに先立ち鋼
板表面に非晶質の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させた場
合、内部酸化が防止され、良好な鉄損値をもつ一方向性
珪素鋼板を得ることができる。
【００２８】
【表１】
【００２９】実施例２ Ｓｉを３％含有する最終板厚０．１５mmに圧延された珪
素鋼に対し、脱炭焼鈍を行った。続いて脱炭焼鈍の際、
珪素鋼表面に生成するＳｉＯ2 を含む酸化層を酸洗によ
って除去した。次に、アルミナをふりかけ仕上げ焼鈍を
行った。このような方法で調製した鋼板はその表面にフ
ォルステライトをもたず、表面は鏡面状態を呈する。続
いて、この試料を水素７５％、窒素２５％、露点０℃の
雰囲気中で９５０℃、３６０秒間焼鈍し、片面当たり２
０mg／ｍ2 の非晶質の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させ
た。
素鋼に対し、脱炭焼鈍を行った。続いて脱炭焼鈍の際、
珪素鋼表面に生成するＳｉＯ2 を含む酸化層を酸洗によ
って除去した。次に、アルミナをふりかけ仕上げ焼鈍を
行った。このような方法で調製した鋼板はその表面にフ
ォルステライトをもたず、表面は鏡面状態を呈する。続
いて、この試料を水素７５％、窒素２５％、露点０℃の
雰囲気中で９５０℃、３６０秒間焼鈍し、片面当たり２
０mg／ｍ2 の非晶質の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させ
た。
【００３０】次に、この鋼板表面にアルミナゾル３０重
量部、メタホウ酸１５重量部、および蒸留水を混合した
懸濁液を塗布した。これを窒素、水素、露点１０℃の雰
囲気中で８５０℃で９０秒間焼き付け、結晶質の２Ａｌ
2 Ｏ3 ・Ｂ2 Ｏ3 を主体とする皮膜を形成させた。非晶
質の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させなかった試料にも
同様にメタホウ酸とアルミナゾルを主体とする懸濁液を
塗布し、焼き付けを行った。結果を表２に示す。絶縁皮
膜の焼き付けに先立ち鋼板表面に非晶質の外部酸化状の
ＳｉＯ2 を形成させた場合、内部酸化が防止され、良好
な鉄損値を得ることができる。
量部、メタホウ酸１５重量部、および蒸留水を混合した
懸濁液を塗布した。これを窒素、水素、露点１０℃の雰
囲気中で８５０℃で９０秒間焼き付け、結晶質の２Ａｌ
2 Ｏ3 ・Ｂ2 Ｏ3 を主体とする皮膜を形成させた。非晶
質の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成させなかった試料にも
同様にメタホウ酸とアルミナゾルを主体とする懸濁液を
塗布し、焼き付けを行った。結果を表２に示す。絶縁皮
膜の焼き付けに先立ち鋼板表面に非晶質の外部酸化状の
ＳｉＯ2 を形成させた場合、内部酸化が防止され、良好
な鉄損値を得ることができる。
【００３１】
【表２】
【００３２】実施例３ Ｓｉを３％含有する最終板厚０．１５mmに圧延された珪
素鋼に対し、脱炭焼鈍を行った後、ＭｇＯを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布し仕上げ焼鈍した。このフォルステ
ライト皮膜付きの鋼板を硫酸とフッ化アンモニウムの水
溶液に浸漬することにより、フォルステライト皮膜を除
去した。更にフッ酸と過酸化水素水の水溶液中で化学研
磨し表面を鏡面状態に仕上げた。この試料にリン酸アル
ミニウム５０重量部を含む塗布液を塗布し８５０℃、３
０秒間焼鈍し、片面当たり２．４ｇ／ｍ2 の非晶質のリ
ン酸アルミニウム皮膜を形成させた。
素鋼に対し、脱炭焼鈍を行った後、ＭｇＯを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布し仕上げ焼鈍した。このフォルステ
ライト皮膜付きの鋼板を硫酸とフッ化アンモニウムの水
溶液に浸漬することにより、フォルステライト皮膜を除
去した。更にフッ酸と過酸化水素水の水溶液中で化学研
磨し表面を鏡面状態に仕上げた。この試料にリン酸アル
ミニウム５０重量部を含む塗布液を塗布し８５０℃、３
０秒間焼鈍し、片面当たり２．４ｇ／ｍ2 の非晶質のリ
ン酸アルミニウム皮膜を形成させた。
【００３３】続いて、これにアルミナゾル３０重量部、
メタホウ酸１５重量部、および蒸留水を混合した懸濁液
を塗布した。これを窒素、水素、露点４０℃の雰囲気中
で８５０℃で９０秒間焼き付け、結晶質の２Ａｌ2 Ｏ3
・Ｂ2 Ｏ3 を主体とする皮膜を形成させた。比較例とし
て鋼板表面にリン酸アルミニウム皮膜を形成させず、直
接、アルミナゾルとメタホウ酸を主成分とするコーティ
ング液を塗布、焼き付けした試料も作製した。結果を表
３に示す。表３から張力付与性の結晶質絶縁皮膜の焼き
付けに先立ち、鋼板表面に非晶質のリン酸アルミニウム
を形成させた場合、内部酸化が防止され、良好な鉄損が
得られる。
メタホウ酸１５重量部、および蒸留水を混合した懸濁液
を塗布した。これを窒素、水素、露点４０℃の雰囲気中
で８５０℃で９０秒間焼き付け、結晶質の２Ａｌ2 Ｏ3
・Ｂ2 Ｏ3 を主体とする皮膜を形成させた。比較例とし
て鋼板表面にリン酸アルミニウム皮膜を形成させず、直
接、アルミナゾルとメタホウ酸を主成分とするコーティ
ング液を塗布、焼き付けした試料も作製した。結果を表
３に示す。表３から張力付与性の結晶質絶縁皮膜の焼き
付けに先立ち、鋼板表面に非晶質のリン酸アルミニウム
を形成させた場合、内部酸化が防止され、良好な鉄損が
得られる。
【００３４】
【表３】
【００３５】実施例４ Ｓｉを３％含有する最終板厚０．２３mmに圧延された珪
素鋼に対し、脱炭焼鈍を行った。続いて脱炭焼鈍の際、
珪素鋼表面に生成するＳｉＯ2 を含む酸化層を酸洗によ
って除去した。次に、アルミナをふりかけ仕上げ焼鈍を
行った。このような方法で調製した鋼板はその表面にフ
ォルステライトをもたず、表面は鏡面状態を呈する。こ
の試料にリン酸アルミニウム５０重量部を主体とし、こ
れにクロム酸とコロイダルシリカを含む塗布液を塗布
し、８５０℃で３０秒間焼き付け、片面当たり１．５ｇ
／ｍ2 の非晶質のリン酸アルミニウム皮膜を形成させ
た。
素鋼に対し、脱炭焼鈍を行った。続いて脱炭焼鈍の際、
珪素鋼表面に生成するＳｉＯ2 を含む酸化層を酸洗によ
って除去した。次に、アルミナをふりかけ仕上げ焼鈍を
行った。このような方法で調製した鋼板はその表面にフ
ォルステライトをもたず、表面は鏡面状態を呈する。こ
の試料にリン酸アルミニウム５０重量部を主体とし、こ
れにクロム酸とコロイダルシリカを含む塗布液を塗布
し、８５０℃で３０秒間焼き付け、片面当たり１．５ｇ
／ｍ2 の非晶質のリン酸アルミニウム皮膜を形成させ
た。
【００３６】続いて、これにアルミナゾル３０重量部、
メタホウ酸１５重量部、および蒸留水を混合した懸濁液
を塗布した。これを窒素、水素、露点３０℃の雰囲気中
で８５０℃で９０秒間焼き付け、２Ａｌ2 Ｏ3 ・Ｂ2 Ｏ
3 の結晶質を主体とする皮膜を形成させた。比較例とし
てリン酸アルミニウム皮膜を形成させず、アルミナゾル
とメタホウ酸を主成分とするコーティング液を塗布、焼
き付けした試料も作製した。結果を表４に示す。表４か
ら張力付与性の結晶質絶縁皮膜の焼き付けに先立ち、鋼
板表面に非晶質のリン酸アルミニウム皮膜を形成させた
場合、内部酸化が防止され、良好な鉄損が得られる。な
お、何れの実施例においても本発明に比べ、比較例の方
が皮膜形成後の磁束密度（Ｂ8 ）が低い。これは鋼板表
面に内部酸化層が形成され、鋼板断面積に占める鉄の割
合が減少することが原因で、皮膜形成前の素材特性によ
るものではない。本発明はかかる実施例に限定されるも
のではない。
メタホウ酸１５重量部、および蒸留水を混合した懸濁液
を塗布した。これを窒素、水素、露点３０℃の雰囲気中
で８５０℃で９０秒間焼き付け、２Ａｌ2 Ｏ3 ・Ｂ2 Ｏ
3 の結晶質を主体とする皮膜を形成させた。比較例とし
てリン酸アルミニウム皮膜を形成させず、アルミナゾル
とメタホウ酸を主成分とするコーティング液を塗布、焼
き付けした試料も作製した。結果を表４に示す。表４か
ら張力付与性の結晶質絶縁皮膜の焼き付けに先立ち、鋼
板表面に非晶質のリン酸アルミニウム皮膜を形成させた
場合、内部酸化が防止され、良好な鉄損が得られる。な
お、何れの実施例においても本発明に比べ、比較例の方
が皮膜形成後の磁束密度（Ｂ8 ）が低い。これは鋼板表
面に内部酸化層が形成され、鋼板断面積に占める鉄の割
合が減少することが原因で、皮膜形成前の素材特性によ
るものではない。本発明はかかる実施例に限定されるも
のではない。
【００３７】
【表４】
【００３８】
【発明の効果】本願の絶縁皮膜形成方法により、鋼板表
面にフォルステライト等の無機鉱物質皮膜のない仕上げ
焼鈍済み一方向性珪素鋼板、更には鏡面状態の仕上げ焼
鈍済み一方向性珪素鋼板に対しても結晶質の張力付与性
の絶縁皮膜を形成でき、一方向性珪素鋼板の鉄損値の低
減が可能になるのでその工業的効果は甚大である。
面にフォルステライト等の無機鉱物質皮膜のない仕上げ
焼鈍済み一方向性珪素鋼板、更には鏡面状態の仕上げ焼
鈍済み一方向性珪素鋼板に対しても結晶質の張力付与性
の絶縁皮膜を形成でき、一方向性珪素鋼板の鉄損値の低
減が可能になるのでその工業的効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図１】内部酸化に対する外部酸化状ＳｉＯ2 の量と皮
膜焼き付け時の露点の影響を示す図表。○は内部酸化が
起こっていないことを表し、×は内部酸化が起こってい
ることを表す。
膜焼き付け時の露点の影響を示す図表。○は内部酸化が
起こっていないことを表し、×は内部酸化が起こってい
ることを表す。
【図２】内部酸化に対するリン酸アルミニウム皮膜の量
と皮膜焼き付け時の露点の影響を示す図表。○は内部酸
化が起こっていないことを表し、×は内部酸化が起こっ
ていることを表す。
と皮膜焼き付け時の露点の影響を示す図表。○は内部酸
化が起こっていないことを表し、×は内部酸化が起こっ
ていることを表す。
Claims (4)
- 【請求項１】 鋼板表面に無機鉱物質皮膜のない仕上げ
焼鈍済み一方向性珪素鋼板に結晶質の張力付与型の絶縁
皮膜を形成する方法において、該鋼板表面に非晶質酸化
物皮膜を形成させた後、結晶質の張力付与型の絶縁皮膜
を形成することを特徴とする一方向性珪素鋼板の絶縁皮
膜形成方法。 - 【請求項２】 非晶質酸化物皮膜として鋼板片面当たり
１０mg／ｍ2 以上の外部酸化状のＳｉＯ2 を形成するこ
とを特徴とする請求項１に記載の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項３】 非晶質酸化物皮膜として鋼板片面当たり
１ｇ／ｍ2 以上のリン酸塩を主体とした皮膜を形成する
ことを特徴とする請求項１に記載の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項４】 張力付与型の絶縁皮膜のコーティング液
がホウ酸化合物とアルミナゾルを主体とすることを特徴
とする請求項１，２，３の何れかに記載の絶縁皮膜形成
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6077204A JP2664337B2 (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | 一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6077204A JP2664337B2 (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | 一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07278833A true JPH07278833A (ja) | 1995-10-24 |
| JP2664337B2 JP2664337B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=13627304
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6077204A Expired - Fee Related JP2664337B2 (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | 一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2664337B2 (ja) |
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| JPH10306380A (ja) * | 1997-05-06 | 1998-11-17 | Nippon Steel Corp | 低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 |
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| JP2002309381A (ja) * | 2001-04-13 | 2002-10-23 | Nippon Steel Corp | 方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
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| WO2019013351A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
| WO2019013348A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
| WO2019013350A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
| WO2019013352A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
| WO2019013355A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
| WO2019013347A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板、及び方向性電磁鋼板の製造方法 |
| WO2019013354A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
| WO2019013353A1 (ja) | 2017-07-13 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
| JP2019019360A (ja) * | 2017-07-13 | 2019-02-07 | 新日鐵住金株式会社 | グラス被膜のない方向性電磁鋼板用原板とその製造方法及び絶縁被膜の密着性が良好な方向性電磁鋼板の製造方法 |
| JP2019137874A (ja) * | 2018-02-06 | 2019-08-22 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板とその製造方法 |
| WO2020012666A1 (ja) | 2018-07-13 | 2020-01-16 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
| WO2020012665A1 (ja) | 2018-07-13 | 2020-01-16 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
| WO2020149334A1 (ja) | 2019-01-16 | 2020-07-23 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板用の中間鋼板及びそれらの製造方法 |
| WO2020149349A1 (ja) | 2019-01-16 | 2020-07-23 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
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1994
- 1994-04-15 JP JP6077204A patent/JP2664337B2/ja not_active Expired - Fee Related
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