JPH06211891A - N4−(置換−オキシカルボニル)−5′−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体 - Google Patents

N4−(置換−オキシカルボニル)−5′−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体

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JPH06211891A
JPH06211891A JP5342812A JP34281293A JPH06211891A JP H06211891 A JPH06211891 A JP H06211891A JP 5342812 A JP5342812 A JP 5342812A JP 34281293 A JP34281293 A JP 34281293A JP H06211891 A JPH06211891 A JP H06211891A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式 【化1】 式中、R1は飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分
枝鎖状の炭化水素基[ここで、この炭化水素基の最長の
直鎖中の炭素原子の数は3〜7の範囲である]または式
−(CH2n−Yの基[ここで、Yがシクロヘキシル基
であるとき、nは0〜4の整数であり、そしてYが1〜
4個の炭素原子を有する低級アルコキシまたはフェニル
基であるとき、nは2〜4の整数である]であり、そし
てR2は水素原子または生理学的条件下に容易に加水分
解可能な基である、により表される化合物。 【効果】 腫瘍の処置において有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、N4−(置換−オキシカルボニ
ル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体、
および腫瘍を処置するための前記誘導体を含有する薬剤
組成物に関する。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、一般式(I)
【0003】
【化2】
【0004】式中、R1は飽和もしくは不飽和の、直鎖
状もしくは分枝鎖状の炭化水素基[ここで、この炭化水
素基の最長の直鎖中の炭素原子の数は3〜7の範囲であ
る]または式−(CH2n−Y[ここで、Yがシクロヘ
キシル基であるとき、nは0〜4の整数であり、そして
Yが1〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシまたは
フェニル基であるとき、nは2〜4の整数である]であ
り、そしてR2は水素原子または生理学的条件下に容易
に加水分解可能な基である、により表される化合物なら
びに一般式(I)の化合物の水和物または溶媒和物、お
よびきわめてすぐれた薬物速度論のプロフィルをもち、
安全性の高い前記化合物を含有する抗腫瘍薬剤組成物に
関する。
【0005】多数の5−フルオロウラシル(5−FU)
前駆体が抗腫瘍剤として有用であることが知られている
が、一般にそれらの生物変換効率は腫瘍に悩む患者の処
置のためになお不十分であり、そしてそれらは腸の毒性
および免疫抑制の毒性を引き起こし、これらはそれらの
主要な投与量を制限する毒性であることは知られてい
る。
【0006】米国特許第4,966,891号は、前述
の生物変換の効率および毒性の面で改良された5−FU
の前駆体を開示している。それらはin vivoでアシルア
ミダーゼにより5’−デオキシ−5−フルオロシチジン
(5’−DFCR)に変換され、シチジンデアミナーゼ
により5’−デオキシ−5−フルオロウリジン(5’−
DFUR)に変換され、次いで肝臓、小腸および腫瘍組
織の中に優先的に局在化するピリミジンヌクレオチドホ
スホリラーゼにより5−FUに変換される。5−FU前
駆体、とくにN4−(置換−オキシカルボニル)−5’
−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体の薬物速度論
のプロフィルについての広範な研究の間に、ある種の特
定の前駆体はヒトの肝臓に優先的に局在化するが、他の
器官の中に局在化しないアシルアミダーゼのアイソザイ
ムにより5’−DFCRに選択的に変換され、そして試
験した他の化合物よりいっそう改良された薬物速度論の
プロフィルを示すことを本発明者らは発見した。上の発
見に基づいてさらに研究した結果、前述の一般式(I)
により表される特定のN4−(置換−オキシカルボニ
ル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体
(以後N4−(置換−オキシカルボニル)−5’−DF
CRと呼ぶ)は、サルにおいて選択的に改良された薬物
速度論のプロフィルを有する、すなわち、他の化合物よ
り4〜7倍より高い血液中の5’−DFURの最大濃度
(Cmax)および4倍の5’−DFURのAUC値、お
よびより低い腸毒性を有することを本発明者らは確認
し、こうして本発明を完成することができた。
【0007】上で定義した一般式(I)のそれぞれの基
は、次のようにより詳細に説明される: R1の説明:R1は飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしく
は分枝鎖状の炭化水素基[ここで、この炭化水素基の最
長の直鎖中の炭素原子の数は3〜7の範囲である]また
は式−(CH2n−Yの基[ここで、Yがシクロヘキシ
ル基であるとき、nは0〜4の整数であり、そしてYが
1〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシまたはフェ
ニル基であるとき、nは2〜4の整数である]である。
【0008】上記において、用語「飽和もしくは不飽和
の、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基[ここで、こ
の炭化水素基の最長の直鎖中の炭素原子の数は3〜7の
範囲である]」は、好ましくは、n−プロピル、1−イ
ソプロピル−2−メチルプロピル、1,1,2−トリメ
チルプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルブ
チル、3,3−ジメチルブチル、n−ペンチル、イソペ
ンチル、ネオペンチル、2−プロピルペンチル、n−ヘ
キシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、アリル、
2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、3−ペ
ンテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、3−ヘキ
セン−1−イル、4−ヘキセン−1−イル、5−ヘキセ
ン−1−イルなどを意味する。
【0009】用語「式−(CH2n−Yの基[ここで、
Yがシクロヘキシル基であるとき、nは0〜4の整数で
あり、そしてYが1〜4個の炭素原子を有する低級アル
コキシまたはフェニル基であるとき、nは2〜4の整数
である]」は、好ましくは、シクロヘキシル、シクロヘ
キシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロ
ヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチル、2−メ
トキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエ
チル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、
4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、フェネチ
ル、3−フェニル−プロピル、4−フェニルブチルなど
を意味する。
【0010】本発明による化合物の最も好ましい態様に
おいて、R1はn−プロピル、n−ブチル、n−ペンチ
ル、イソペンチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブ
チル、n−ヘキシル、2−エチルブチル、フェネチルお
よびシクロヘキシルメチルである。
【0011】R2の説明:R2は水素原子または生理学的
条件下に容易に加水分解可能な基である。
【0012】上記において、用語「生理学的条件下に容
易に加水分解可能な基」は、好ましくは、アセチル、プ
ロピオニル、ベンゾイル、トルオイル、β−アラニル、
バリルなどを意味する。
【0013】本発明の好ましいN4−(置換−オキシカ
ルボニル)−5’−DFCRは次の通りである:5’−
デオキシ−5−フルオロ−N4−(プロポキシカルボニ
ル)シチジン、N4−(ブトキシカルボニル)−5’−
デオキシ−5−フルオロシチジン、5’−デオキシ−5
−フルオロ−N4−(ペンチルオキシカルボニル)シチ
ジン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ヘキシ
ルオキシカルボニル)シチジン、5’−デオキシ−5−
フルオロ−N4−(イソペンチルオキシカルボニル)シ
チジン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ネオ
ペンチルオキシカルボニル)シチジン、5’−デオキシ
−5−フルオロ−N4−[(1,1,2−トリメチルプ
ロポキシ)カルボニル]シチジン、5’−デオキシ−N
4−[(3,3−ジメチルブトキシ)カルボニル]−5
−フルオロシチジン、5’−デオキシ−5−フルオロ−
4−[(1−イソプロピル−2−メチルプロポキシ)
カルボニル]シチジン、5’−デオキシ−N4−[(2
−エチルブトキシ)カルボニル)]−5−フルオロシチ
ジン、N4−[(シクロヘキシルメトキシ)カルボニ
ル)]−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、5’
−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−フェニルエ
トキシ)カルボニル]シチジン、2’,3’−ジ−O−
アセチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(プ
ロポキシカルボニル)シチジン、2’,3’−ジ−O−
アセチル−N4−(ブトキシカルボニル)−5’−デオ
キシ−5−フルオロシチジン、2’,3’−ジ−O−ベ
ンゾイル−N4−(ブトキシカルボニル)−5’−デオ
キシ−5−フルオロシチジン、2’,3’−ジ−O−ア
セチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ペン
チルオキシカルボニル)シチジン、2’,3’−ジ−O
−アセチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
(イソペンチルオキシカルボニル)シチジン、2’,
3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−フルオ
ロ−N4−(ヘキシルオキシカルボニル)シチジン、
2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−N4
−[(2−エチルブチル)オキシカルボニル]−5−フ
ルオロシチジン、2’,3’−ジ−O−アセチル−N4
−[(シクロヘキシルメトキシ)カルボニル]−5’−
デオキシ−5−フルオロシチジン、2’,3’−ジ−O
−アセチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
[(2−フェニルエトキシ)カルボニル]シチジン、
5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(イソブトキシ
カルボニル)シチジン、5’−デオキシ−5−フルオロ
−N4−[(2−プロピルペンチル)オキシカルボニ
ル]シチジン、5’−デオキシ−N4−[(2−エチル
ヘキシル)オキシカルボニル]−5−フルオロシチジ
ン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ヘプチル
オキシカルボニル)シチジン、N4−[(2−シクロヘ
キシルエトキシ)カルボニル]−5’−デオキシ−5−
フルオロシチジン、N4−[(3−シクロヘキシルプロ
ピル)オキシカルボニル]−5’−デオキシ−5−フル
オロシチジン、N4−(シクロヘキシルオキシカルボニ
ル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、5’−
デオキシ−5−フルオロ−N4−[(3−フェニルプロ
ピル)オキシカルボニル]シチジン、および5’−デオ
キシ−5−フルオロ−N4−[(2−メトキシエトキ
シ)カルボニル]シチジン、およびそれらの水和物また
は溶媒和物。
【0014】上記化合物のうち、本発明のとくに好まし
いN4−(置換−オキシカルボニル)−5’−DFCR
は次の通りである:5’−デオキシ−5−フルオロ−N
4−(プロポキシカルボニル)シチジン、5’−デオキ
シ−5−フルオロ−N4−(イソペンチルオキシカルボ
ニル)シチジン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
−(ヘキシルオキシカルボニル)シチジン、5’−デオ
キシ−N4−[(2−エチルブチル)オキシカルボニ
ル]−5−フルオロシチジン、5’−デオキシ−5−フ
ルオロ−N4−(ネオペンチルオキシカルボニル)シチ
ジン、5’−デオキシ−N4−[(3,3−ジメチルブ
トキシ)カルボニル]−5−フルオロシチジン、5’−
デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−フェニルエト
キシ)カルボニル]シチジン、N4−[(シクロヘキシ
ルメトキシ)カルボニル]−5’−デオキシ−5−フル
オロシチジン、ことにN4−(ブトキシカルボニル)−
5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、5’−デオキ
シ−5−フルオロ−N4−(ペンチルオキシカルボニ
ル)シチジン、およびそれらの水和物または溶媒和物。
【0015】一般式(I)のN4−(置換−オキシカル
ボニル)−5’−DFCRならびにそれらの水和物また
は溶媒和物は、一般式(II)
【0016】
【化3】
【0017】式中、R4はヒドロキシ保護基、例えば、
アセチル、ベンゾイル、トリメチルシリル、t−ブチル
ジメチルシリルなどである、により表される化合物を、
一般式(III)
【0018】
【化4】 R1OCOCl (III) 式中、R1は上に定義した通りである、により表される
化合物と反応させ、そして、必要に応じて、保護基を除
去することによって製造することができる。
【0019】上記一般式(II)により表される化合物
は、米国特許第4,966,891号に記載されている
ように、5’−デオキシ−5−フルオロシチジン[ジャ
ーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Me
d.Chem.)、22、1330(1979)]の
2’,3’−ジ−O−アシル化またはシリル化による
か、あるいは文献[Synthesis,748(19
81)]に記載されている手順に類似する手順に従い、
5−フルオロシトシンを1,2,3−トリ−O−アセチ
ル−5−デオキシリボフラノースと直接カップリングす
ることによって製造することができる。
【0020】上記一般式(II)の化合物と上記一般式
(III)の化合物との反応は、溶媒、例えば、ピリジ
ン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリ
ル、クロロホルム、ジクロロメタンなどの中で酸受容
体、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、
4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ルチジンな
どの存在下に実施することができる。この反応は0〜3
0℃の温度において実施することができる。
【0021】保護基は、必要に応じて、反応後に、当業
者に知られている手順[有機合成における保護基“Pr
otective Groups in Organi
cSynthesis”,John Wiely &
Sons,New York,Can.J.Che
m.,49,493(1971)および米国特許第4,
966,891号]、例えば、塩基性または酸性加水分
解により除去することができる。
【0022】上記一般式(I)の化合物は、非溶媒和の
形態ならびに溶媒和された形態、例えば、水和物の形態
で存在することができる。水和は製造方法の過程で実施
することができるか、あるいは最初に無水の生成物の吸
湿性の結果として徐々に起こることがある。製剤学的に
許容されうる溶媒、例えば、エタノールを使用する溶媒
和物は、例えば、結晶化の間に得ることができる。
【0023】本発明により調製される一般式(I)のN
4−(置換−オキシカルボニル)−5’−DFCR誘導
体ならびに一般式(I)の化合物の水和物または溶媒和
物は、ヒト結腸癌CXF280および胃癌GXF97異
種移植片、マウス結腸26癌、マウスルイス(Lewi
s)肺癌などに対して、マウスにおいて非常に広い範囲
の投与量で経口的にかつ非経口的に活性を示し、そして
抗腫瘍剤として有用である。それらは効率よくアシルア
ミダーゼのアイソザイムにより5’−DFCRに変換さ
れ、シチジンデアミナーゼにより5’−DFURに変換
され、次いでピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼに
より活性代謝物5−FUに変換される。本発明は、さら
に、上記一般式(I)の化合物を含有することを特徴と
する薬剤組成物、とくに腫瘍の処置のための薬剤組成物
に関する。
【0024】本発明のN4−(置換−オキシカルボニ
ル)−5’−DFCRは、経口的または非経口的にヒト
に種々の普通の投与方法で投与することができる。その
うえ、本発明によるN4−(置換−オキシカルボニル)
−5’−DFCRは単一に使用されるか、あるいは適合
性の製剤学的担体物質と配合される。この担体物質は経
腸、経皮的または非経口的投与に適当な有機または無機
の不活性の担体物質、例えば、水、ゼラチン、アラビア
ゴム、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、
タルク、植物性油、ポリエチレングリコールまたは石油
ゼリーであることができる。薬剤組成物は固体の形態
(例えば、錠剤、糖剤、腸溶被覆錠剤、顆粒、腸溶被覆
顆粒、坐剤、カプセル剤または腸のカプセル剤)、半固
体の形態(例えば軟コウ)または液体の形態(例えば、
溶液、懸濁液またはエマルジョン)で調製することがで
きる。薬剤組成物は滅菌することができおよび/または
さらにアジュバント、例えば、防腐剤、安定剤、硬化剤
または乳化剤、香味改良剤、浸透圧変更塩類または緩衝
剤として作用する物質を含有することができる。薬剤組
成物は普通の方法で調製することができる。
【0025】本発明によるN4−(置換−オキシカルボ
ニル)−5’−DFCRは単独で使用するか、あるいは
2種またはそれ以上の混合物として使用することがで
き、そしてN4−(置換−オキシカルボニル)−5’−
DFCRの量は薬剤組成物の約0.1〜99.5重量
%、好ましくは0.5〜95重量%である。
【0026】本発明による薬剤組成物は、他の普通の抗
腫瘍剤と組み合わせて配合することができる。
【0027】本発明のN4−(置換−オキシカルボニ
ル)−5’−DFCRのアシルアミダーゼに対する感受
性およびサルにおけるそれらの薬物速度論的プロフィル
(pharmacokinetic profiles)は、次のようにして示され
る: 1.ヒトおよびサルのアシルアミダーゼに対する感受性 本発明のN4−(置換−オキシカルボニル)−5’−D
FCRを、シチジンデアミナーゼ、シチジンデアミナー
ゼ阻害剤テトラヒドロウリジン(0.4μM)の存在下
に、サルおよびヒトの肝臓の粗製抽出物と37℃におい
て60分間インキュベーションした。その後、生産物
5’−DFCRをHPLCにより分離し、そして酵素の
感受性を生産物の量から計算した。表1が示すように、
本発明において得られる化合物はヒトの肝臓のアシルア
ミダーゼに対して高度に感受性であり、それらはヒトに
おいて効率よく5’−DFCRに生物変換される(biotr
ansform)ことを示唆する。
【0028】
【表1】表1 サルおよびヒトの肝臓中アシルアミダーゼに対する感受性 アシルアミダーゼ活性(nmol/mgタンパク質/時) 化合物 サルの肝臓 ヒトの肝臓(実施例No.) 11 20 71 12 29 190 13 47 220 14 32 74 15 23 210 16 33 210 17 22 160 20 19 320 21 26 82 22 43 110 24 18 64 25 <13 160 26 20 560 27 59 110 28 25 52 29 22 50 2.サルにおける薬物速度論的プロフィル 本発明の化合物を2〜5匹のカニクイザル(3〜4k
g)の群に経口的に投与した。投与後種々の時間におい
て、血漿を採取して未変化体およびそれらの活性代謝物
5’−DFURの血液濃度を決定した。
【0029】血漿中の代謝物をHPLCにより分離し、
そしてそれらの濃度を計算した。表2が示すように、本
発明の化合物は血漿中の活性代謝物5’−DFURの高
いレベル(Cmax)およびAUCを与えた。これらの結
果が示すように、本発明により提供される化合物はヒト
における種々の腫瘍の処置に効果的に利用することがで
きる。
【0030】
【表2】表 2 サルにおける薬物速度論的プロフイル 血漿 5'DFUR 化合物 Cmax AUC (実施例No.) (μg/ml) (μg・hr/ml) 10 1.44 2.03 11 1.57 2.06 12 2.10 2.90 13 1.50 1.96 14 1.80 2.40 15 2.60 2.89 16 1.40 2.52 17 1.65 2.66 28 1.00 1.40 29 2.00 2.09 本発明の化合物の抗腫瘍活性は次のようにして示され
る: 3.ヒト結腸癌異種移植片CXF280に対する抗腫瘍
試験 CXF280腫瘍(約2×2mmの片)をBALB/c
nu/nuマウス(21〜22g)に第0日に皮下移
植した。腫瘍の体積は第14日付近で100mm3とな
ったとき、本発明の化合物を毎日3週間経口的に投与し
た。最後の処置の1日後に、腫瘍の体積を計算した。
【0031】
【表3】表 3 CXF280ヒト結腸癌を有するBALB/c nu/nuマウスに おけるフツ化ピリミジン類の抗腫瘍効果 化合物 投与量×20 増殖の 糞便の(実施例No.) (nmol/kg/日) 抑制% 観察* 実施例1 賦形剤 − N 12 0.13 68 0.3 69 0.67 86 1.0 86 1.5 96 N 13 0.13 59 0.3 66 0.67 79 1.0 91 1.5 94 N 24 0.13 37 0.3 64 0.67 75 1.0 83 1.5 89 N 対照化合物 5−FU 0.089 28 N 0.13 59 N 0.2 79 L
【0032】
【表4】 化合物 投与量×21 増殖の 糞便の(実施例No.) (nmol/kg/日) 抑制% 観察* 実施例2 賦形剤 − N 10 0.13 39 0.3 56 0.67 75 1.5 86 2.25 93 N 13 0.13 46 0.3 72 0.67 84 1.5 95 2.25 100 N 14 0.13 68 0.3 68 0.67 85 1.5 94 N 2.25 100 N 27 0.13 26 0.3 72 0.67 84 1.5 94 N 2.25 103 N 対照化合物 5−FU 0.089 NE N 0.13 20 N 0.2 58 L NE:作用なし * 糞便の観察(N:正常の糞便、L:ゆるい通過) 上記表3に記載する腫瘍の増殖の抑制(%)を次の式か
ら計算した:
【0033】
【数1】 抑制%={1−(T−V0)/(C−V0)}×100 V0=処置を開始する前の腫瘍の体積、T=処置した群
からの腫瘍の体積、C=対照群からの腫瘍の体積。
【0034】表3に示すように、本発明により提供され
る化合物は腸の毒性を引き起こさないで安全に投与さ
れ、そして5−FUよりも非常に有効であった。
【0035】4.マウス結腸26癌に対する抗腫瘍およ
び抗悪液質(anticachexia)活性 本発明の代表的化合物(実施例13)の抗腫瘍活性を次
のようにして測定した。マウス(CDF1)を第0日に
結腸26癌(106細胞)で皮下接種した。動物が悪液
質となったとき、化合物を第21日から毎日7回投与し
た。最後の処置の1日後に、腫瘍重量増加、宿主体重増
加、脂肪組織の重量、血清中のグルコースおよび急性期
タンパクIAP(免疫抑制酸性タンパク質)の濃度を測
定した。表4に示すように、賦形剤で処置したマウスは
悪液質のパラメーター、例えば、脂肪組織の重量、血清
グルコースおよびIAPのレベルが異常であったが、実
施例13の化合物による処置は腫瘍の増殖を抑制しそし
て悪液質を改善した。
【0036】
【表5】表 4 結腸26腺癌を有するマウスにおけるフツ化ピリミジン類を使用する 腫瘍の悪液質の改善 化合物 投与量×7 腫瘍重量 胴体重量 脂肪組織 血清グル 血清 (nmol/kg) の変化 の変化 の重量 コース IAP(実施例No.) (μg/ml) (g) (g) (mg) (mg/dl) 賦形剤 1.65 1.5 11 91 1167 13 0.125 1.24 1.6* 22* 118* 1195 0.25 0.91* 3.4* 42* 120* 1020 0.5 0.79* 4.2* 63* 147* 805* 1 0.006 5.6* 85* 127* 795* * P<0.05/賦形剤の群の対応する値 本発明の代表的化合物(実施例13、14および17)
の毒性(LD50)は、マウスに21日間毎日経口的に投
与して調べた。実験から得られた代表的なLD50値は5
00mg/kg/日より大きかった。
【0037】本発明のN4−(置換−オキシカルボニ
ル)−5’−DFCRの患者への投与量/日は、彼の重
量および治療すべき状態に依存して変化するが、一般に
0.5〜500mg/1kg体重、好ましくは約2〜2
00mg/1kg体重である。サルにおける本発明の化
合物の経口的投与後の5’−DFURのCmaxおよびA
UCのデータを考慮するとき、本発明の化合物はヒトに
おいて米国特許第4,966,891号に開示されてい
る化合物より3〜5倍より高い活性を有することを期待
できることに注意すべきである。同一の理由から、本発
明の化合物は前記米国特許の化合物より3〜5倍より低
い投与量で十分な活性を示すことを期待することができ
る。本発明は安全の高い抗腫瘍性医薬組成物を提供する
ことができる。
【0038】次の実施例によって本発明をさらに説明す
る。これらの実施例は本発明を限定しない。
【0039】参考例:出発物質の製造2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
フルオロシチジンの製造 (a)5’−デオキシ−5−フルオロシチジンから 5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(50mg)を
乾燥ピリジン(1.3ml)中に溶解した。この溶液
に、酢酸無水物(39ml)を0℃において撹拌しなが
ら添加した。反応混合物をを0℃において3時間撹拌し
た。溶媒を減圧下に除去した後、残留物を酢酸エチルと
氷冷水との間に分配した。酢酸エチル層を硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてジクロ
ロメタン/メタノール=9/1)により精製し、次いで
イソプロパノールから再結晶化すると、37mgの
2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
フルオロシチジンが得られた:191.5−193℃、
FAB−MS m/z330(MH+)。
【0040】(b)5−フルオロシトシンおよび1,
2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−
リボフラノースから 乾燥アセトニトリル(15ml)の中のヨウ化ナトリウ
ム(3.6g)およびクロロトリメチルシラン(794
μl)の溶液を、モレキュラシーブ4A(200mg)
とともに0℃において5分間撹拌した(無色の塩化ナト
リウムが撹拌の間に析出した)。1,2,3−トリ−O
−アセチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノース
(2.0g)を添加し、そしてこの混合物を0℃におい
て30分間撹拌した。次いで、5−フルオロシトシ(し
1.12g)から新しく製造したトリメチルシリル5−
フルオロシトシンの乾燥アセトニトリル溶液(5ml)
を0℃において添加し、そして室温において3時間撹拌
した。この混合物を濾過し、濾液を真空濃縮し、そして
残留物をジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液
との間に分配した。水性層をCH2Cl2/MeOH(1
0:1)で抽出した。一緒にした有機層をを無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、そして減圧下に蒸発させた。残留物
をシリカゲルクロマトグラフィーにより溶離液としてC
2Cl2/MeOH(15:1)を使用して精製し、次
いでイソプロパノールから再結晶化すると、1.24g
の2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5
−フルオロシチジンが得られた。
【0041】
【実施例】実施例1 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
フルオロ−N4−[(プロポキシカルボニル)シチジン
の製造 CH2Cl2(15ml)および乾燥ピリジン(983m
l)の溶液に、n−プロピルクロロホルメート(957
ml)を撹拌しかつ氷浴で冷却しながら滴々添加した。
室温において30分間撹拌した後、この混合物を減圧下
に蒸発乾固した。残留物をエーテルと重炭酸ナトリウム
の飽和水溶液との間に分配した。有機層をブラインで洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。
【0042】濾液を蒸発させると、2’,3’−ジ−O
−アセチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
(プロポキシカルボニル)シチジン(2.5g)が得ら
れた:EI−MS m/z415(M+);1H−NMR
(d6−DMSO)δ0.92(3H,t,J=7.3H
z)、1.37(3H,d,J=6.3Hz)、1.63
(2H,sex,J=7.3Hz)、4.06−4.14
(3H,m)、5.11(1H,t,J=6.3Hz)、
5.47(1H,d.d.,J=4.6&6.3Hz)、5.
81(1H,d,J=4.6Hz)、8.31(1H,b
r.s)、10.63(1H,br.s)。
【0043】実施例1の方法に類似する方法に従い、次
の化合物が得られた(R1およびR2は一般式(I)中の
それらと同一である)。実施例9の化合物は、既知の
2’,3’−ジ−O−ベンゾイル−5’−デオキシ−5
−フルオロシチジン(米国特許第4,966,891
号)から、実施例1の方法に類似する方法により製造し
た。
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】実施例10 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(プロポキシカ
ルボニル)シチジンの製造 CH2Cl2(17ml)中の2’,3’−ジ−O−アセ
チル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(プロポ
キシカルボニル)シチジン(2.5g)の溶液に、1N
NaOH(17ml)を撹拌しかつ氷浴で冷却しなが
ら滴々添加した。0℃において1時間撹拌した後、Me
OH(0.9ml)をこの混合物に添加した。反応混合
物のpHを濃塩酸の添加により6に調節し、そして分配
した。水性層をCH2Cl2/MeOH(95/5)の混
合溶媒で連続的に(40ml×10)抽出した。一緒に
した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過
した。この溶液を蒸発させ、そして残留物を酢酸エチル
から再結晶化すると、5’−デオキシ−5−フルオロ−
4−(プロポキシカルボニル)シチジンが無色の結晶
として得られた(1.6g、収率79.8%):融点1
25−126.5℃;EI−MSm/z331
(M+)。
【0047】実施例10の方法に類似する方法に従い、
次の化合物が得られた(R1およびR2は一般式(I)中
のそれらと同一である)。
【0048】
【表8】
【0049】実施例19 4−(シクロヘキシルオキシカルボニル)−5’−デ
オキシ−5−フルオロシチジンの製造 5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(2.5g)を
乾燥ピリジン(20ml)中に溶解した。この混合物
に、塩化トリメチルシリル(3.4ml)を0℃におい
て滴々添加し、そして室温において30分間撹拌した。
この反応混合物に、シクロヘキシルクロロホルメート
(2.0ml)を0℃において一度に添加した。この混
合物を0℃において1時間撹拌した後、ピリジンを減圧
下に蒸発させた。次いで残留物を飽和水性NaHCO3
とエーテルとの間に分配した。有機層をブラインで洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして減圧下に濃
縮した。この残留物にクエン酸(2.0g)およびメタ
ノール(50ml)を添加した。この混合物を室温にお
いて一夜撹拌した。溶媒を減圧下に除去した後、残留物
をCH2Cl2/MeOH(95:5)中に溶解し、そし
て水性NaOHで中和した。有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカ
ゲルクロマトグラフィーにより溶離液としてCH2Cl2
/MeOH(20:1)を使用して精製し、次いで酢酸
エチルから再結晶化すると、N4−(シクロヘキシルオ
キシカルボニル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチ
ジンが得られた(3.47g;収率92%):M+13
4−136℃、FAB−MS m/z372(M
+)。
【0050】実施例19の方法に類似する方法に従い、
次の化合物が得られた(R1およびR2は一般式(I)中
のそれらと同一である)。
【0051】
【表9】
【0052】実施例28 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ネオペンチル
オキシカルボニル)シチジンの製造 5’−デオキシ−2’,3’−ジ−O−アセチル−5−
フルオロシチジン(1.5g)および乾燥ピリジン
(0.74ml)を乾燥ジクロロメタン(15ml)中
に溶解した。この混合物に、ネオペンチルクロロホルメ
ート(3当量)のトルエン溶液を0℃において滴々添加
し、そして室温において1時間撹拌した。溶媒を減圧下
に除去した後、残留物をエーテルと炭酸ナトリウムの飽
和水溶液との間に分配した。有機層を連続的に水および
ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そし
て減圧下に濃縮すると、粗製2’,3’−ジ−O−アセ
チル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ネオペ
ンチルオキシカルボニル)シチジンが淡黄色油としてが
得られた。粗生成物をエタノール(15ml)中に溶解
し、そして氷浴上で冷却した。次いで1N水性水酸化ナ
トリウム溶液を滴々添加し、その間温度を15℃以下に
維持した。添加の完結後、反応混合物を0℃において濃
塩酸で中和した。この溶液を減圧下に濃縮し、そして濃
縮物を水とCH2Cl2/MeOH(95:5)の混合溶
液との間に分配した。水性層をCH2Cl2/MeOH
(95:5)で10回(各々20ml)逆抽出した。す
べての有機層をを一緒にし、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより溶離液としてCH2Cl2
MeOH(20:1)を使用して精製すると、5’−デ
オキシ−5−フルオロ−N4−(ネオペンチルオキシカ
ルボニル)シチジン(1.37g;収率84%)が非晶
質粉末として得られた:FAB−MS m/z360
(MH+);1H−NMR(d6−DMSO)δ0.93
(9H,s)、1.31(3H,d,J=6.3Hz)、
3.68(1H,q,J=5.9Hz)、3.81(2
H,br.s)、3.87−3.92(1H,m)<4.
04−4.09(1H,m)、5.05(1H,d,J=
5.9Hz)、5.41(1H,br.d,J=5.3H
z)、5.67(1H,dd,J=1.3,3.6H
z)、8.04(1H,br.s)、10.53(〜1
H,br.s)。
【0053】実施例29 5’−デオキシ−N4−[(3,3−ジメチルブトキ
シ)カルボニル]−5−フルオロシチジン この化合物は実施例28の方法に類似する方法に従い製
造したが、ただし3,3−ジメチルブチルクロロホルメ
ートをアシル化剤として使用した:非晶質粉末(収量7
1%);FAB−MS m/z374(MH+);1H−
NMR(d6−DMSO)δ0.93(9H,s)、1.
31(3H,d,J=6.3Hz)、1.55(2H,
t,J=7.3Hz)、3.68(1H,q,J=5.9
Hz)、3.84−3.93(1H,m)、4.03−4.
09(1H,m)、4.15(2H,t,J=7.3H
z)、5.05(1H,d,J=5.9Hz)、5.40
(1H,br,d,J=5.3Hz)、5.67(1H,
dd,J=1.3,4.0Hz)、8.00(1H,b
r.s)、10.53(〜1H,br.s)。
【0054】次の実施例によって、本発明の化合物を含
有する薬剤組成物の調製を説明する。
【0055】実施例A 各々が次の成分を含有するインターロツキングカプセル
剤をそれ自体既知の方法に従い製造した: N4−(ブトキシカルボニル)−5’−デオキシ− 5−フルオロシチジン 100mg コーンスターチ 20mg 二酸化チタン 385mg ステアリン酸マグネシウム 5mg フィルム 20mg PEG6000 3mg タルク 10mg 543mg実施例B 各々が次の成分を含有する錠剤をそれ自体既知の方法に
従い製造した: N4−(ブトキシカルボニル)−5’−デオキシ− 5−フルオロシチジン 100mg ラクトース 25mg コーンスターチ 20.2mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4mg ステアリン酸マグネシウム 0.8mg フィルム 10mg PEG6000 1.5mg タルク 4.5mg 166mg実施例C 乾燥非経口的投与の形態をそれ自体既知の方法に従い製
造した: (1)合計5gのN4−(ブトキシカルボニル)−5’
−デオキシ−5−フルオロシチジンを75mlの蒸留水
中に溶解し、この溶液を細菌学的濾過にかけ、次いで1
0本のバイアルの中に無菌的に分割した。次いでこの溶
液を凍結乾燥して、1バイアルあたり500mgの無菌
の乾燥した固体を得た。
【0056】(2)きれいなN4−(ブトキシカルボニ
ル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチジンを500
mg/バイアルまたはカプセルの量で受器の中に密閉
し、そして加熱滅菌した。
【0057】上の乾燥投与形態は、適当な無菌の水性溶
媒、例えば、注射用の水または非経口的投与のための等
張塩化ナトリウムまたは5%のテキストロースの添加に
より、使用前に復元した。
【0058】本発明の主な特徴および態様は、次の通り
である。
【0059】1、一般式(I)
【0060】
【化5】
【0061】式中、R1は飽和もしくは不飽和の、直鎖
状もしくは分枝鎖状の炭化水素基[ここで、この炭化水
素基の最長の直鎖中の炭素原子の数は3〜7の範囲であ
る]または式−(CH2n−Yの基[ここで、Yがシク
ロヘキシル基であるとき、nは0〜4の整数であり、そ
してYが1〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシま
たはフェニル基であるとき、nは2〜4の整数である]
であり、そしてR2は水素原子または生理学的条件下に
容易に加水分解可能な基である、により表される化合物
ならびに一般式(I)の化合物の水和物または溶媒和
物。2、R1がn−プロピル、1−イソプロピル−2−
メチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、n
−ブチル、イソブチル、2−エチルブチル、3,3−ジ
メチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペン
チル、2−プロピルペンチル、n−ヘキシル、2−エチ
ルヘキシル、n−ヘプチル、アリル、2−ブテン−1−
イル、3−ブテン−1−イル、3−ペンテン−1−イ
ル、4−ペンテン−1−イル、3−ヘキセン−1−イ
ル、4−ヘキセン−1−イル、5−ヘキセン−1−イ
ル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シク
ロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−
シクロヘキシルブチル、2−メトキシエチル、2−エト
キシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロ
ピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、フェ
ネチル、3−フェニル−プロピルおよび4−フェニルブ
チルから成る群より選択される上記第1項記載の化合
物。
【0062】3、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
−(プロポキシカルボニル)シチジン、5’−デオキシ
−5−フルオロ−N4−(ヘキシルオキシカルボニル)
シチジン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(イ
ソペンチルオキシカルボニル)シチジン、5’−デオキ
シ−5−フルオロ−N4−(ネオペンチルオキシカルボ
ニル)シチジン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
−[(1,1,2−トリメチルプロポキシ)カルボニ
ル]シチジン、5’−デオキシ−N4−[(3,3−ジ
メチルブトキシ)カルボニル]−5−フルオロシチジ
ン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(1−イ
ソプロピル−2−メチルプロポキシ)カルボニル]シチ
ジン、5’−デオキシ−N4−[(2−エチルブチル)
オキシカルボニル]−5−フルオロシチジン、N4
[(シクロヘキシルメトキシ)カルボニル)]−5’−
デオキシ−5−フルオロシチジン、5’−デオキシ−5
−フルオロ−N4−[(2−フェニルエトキシ)カルボ
ニル]シチジン、2’,3’−ジ−O−アセチル−5’
−デオキシ−5−フルオロ−N4−(プロポキシカルボ
ニル)シチジン、2’,3’−ジ−O−アセチル−N4
−(ブトキシカルボニル)−5’−デオキシ−5−フル
オロシチジン、2’,3’−ジ−O−ベンゾイル−N4
−(ブトキシカルボニル)−5’−デオキシ−5−フル
オロシチジン、2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−
デオキシ−5−フルオロ−N4−(ペンチルオキシカル
ボニル)シチジン、2’,3’−ジ−O−アセチル−
5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(イソペンチル
オキシカルボニル)シチジン、2’,3’−ジ−O−ア
セチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ヘキ
シルオキシカルボニル)シチジン、2’,3’−ジ−O
−アセチル−5’−デオキシ−N4−[(2−エチルブ
チル)オキシカルボニル]−5−フルオロシチジン、
2’,3’−ジ−O−アセチル−N4−[(シクロヘキ
シルメトキシ)カルボニル]−5’−デオキシ−5−フ
ルオロシチジン、2’,3’−ジ−O−アセチル−5’
−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−フェニルエ
トキシ)カルボニル]シチジン、5’−デオキシ−5−
フルオロ−N4−(イソブトキシカルボニル)シチジ
ン、5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−プ
ロピルペンチル)オキシカルボニル]シチジン、5’−
デオキシ−N4−[(2−エチルヘキシル)オキシカル
ボニル]−5−フルオロシチジン、5’−デオキシ−5
−フルオロ−N4−(ヘプチルオキシカルボニル)シチ
ジン、N4−[(2−シクロヘキシルエトキシ)カルボ
ニル]−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、N4
−[(3−シクロヘキシルプロピル)オキシカルボニ
ル]−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、N4
(シクロヘキシルオキシカルボニル)−5’−デオキシ
−5−フルオロシチジン、5’−デオキシ−5−フルオ
ロ−N4−[(3−フェニルプロピル)オキシカルボニ
ル]シチジン、および5’−デオキシ−5−フルオロ−
4−[(2−メトキシエトキシ)カルボニル]シチジ
ン、とくにN4−(ブトキシカルボニル)−5’−デオ
キシ−5−フルオロシチジンおよび5’−デオキシ−5
−フルオロ−N4−(ペンチルオキシカルボニル)シチ
ジン、から成る群より選択される上記第1項記載の化合
物。
【0063】4、治療学的に活性な物質として使用する
ための、とくに抗腫瘍活性物質として使用するための上
記第1、2または3項記載の化合物。
【0064】5、一般式(II)
【0065】
【化6】
【0066】式中、R4はヒドロキシ保護基である、に
より表される化合物を、一般式(III)
【0067】
【化7】 R1OCOCl (III) 式中、R1は上に定義した通りである、により表される
化合物と反応させ、そして、必要に応じて、保護基を除
去することからなる、上記第1、2または3項記載の化
合物の製造方法。
【0068】6、上記第1項記載の一般式(I)の化合
物、あるいは一般式(I)の化合物の水和物または溶媒
和物を活性成分として含有することを特徴とする、とく
に腫瘍を処置するための薬剤組成物。
【0069】7、抗腫瘍剤を製造するための上記第1、
2または3項記載の化合物の使用。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 N−(置換−オキシカルボニル)−
5′−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】式中、Rは飽和もしくは不飽和の、直鎖
状もしくは分枝鎖状の炭化水素基[ここで、この炭化水
素基の最長の直鎖中の炭素原子の数は3〜7の範囲であ
る]または式−(CH−Y[ここで、Yがシクロ
ヘキシル基であるとき、nは0〜4の整数であり、そし
てYが1〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシまた
はフェニル基であるとき、nは2〜4の整数である]で
あり、そしてRは水素原子または生理学的条件下に容
易に加水分解可能な基である、により表される化合物な
らびに一般式(I)の化合物の水和物または溶媒和物、
およびきわめてすぐれた薬物動態のプロフィルをもち、
安全性の高い前記化合物を含有する抗腫瘍薬剤組成物に
関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】多数の5−フルオロウラシル(5−FU)
プロドラツグが抗腫瘍剤として有用であることが知られ
ているが、一般にそれらの生物変換効率は腫瘍に悩む患
者の処置のためになお不十分であり、そしてそれらは腸
毒性および免疫抑制の毒性を引き起こし、これらはそ
れらの投与量を制限する主要な毒性であること知られ
ている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】米国特許第4,966,891号は、前述
の生物変換の効率および毒性の面で改良された5−FU
プロドラツグを開示している。それらはin viv
oでアシルアミダーゼにより5’−デオキシ−5−フル
オロシチジン(5’−DFCR)に変換され、シチジン
デアミナーゼにより5’−デオキシ−5−フルオロウリ
ジン(5’−DFUR)に変換され、次いで肝臓、小腸
および腫瘍組織の中に優先的に局在化するピリミジンヌ
クレオチドホスホリラーゼにより5−FUに変換され
る。本発明者らは、5−FUプロドラツグ、とくにN
−(置換−オキシカルボニル)−5’−デオキシ−5−
フルオロシチジン誘導体の薬物動態のプロフィルについ
ての広範な研究の途上、ある種の特定のプロドラツグ
ヒトの肝臓に優先的に局在化するが、他の器官の中に
局在化していないアシルアミダーゼのアイソザイムによ
り5’−DFCRに選択的に変換され、そしてそれら
は、試験した他の化合物よりいっそう改良された薬物
のプロフィルを示すことを発見した。上の発見に基
づいてさらに研究した結果、前述の一般式(I)により
表される特定のN−(置換−オキシカルボニル)−
5’−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体(以後N
−(置換−オキシカルボニル)−5’−DFCRと呼
ぶ)は、サルにおいて選択的に改良された薬物動態のプ
ロフィルを有する、すなわち、他の化合物より4〜7
い血液中の5’−DFURの最大濃度(Cmax
および4倍大きい5’−DFURのAUC値、およびよ
り低い腸毒性を有することを本発明者らは確認し、
こに本発明を完成することができた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】本発明により調製される一般式(I)のN
−(置換−オキシカルボニル)−5’−DFCR誘導
体ならびに一般式(I)の化合物の水和物または溶媒和
物は、ヒト結腸癌CXF280および胃癌GXF97異
種移植片、マウス結腸癌26、マウスルイス(Lewi
s)肺癌などに対して、マウスにおいて非常に広い範囲
の投与量で経口的にかつ非経口的に活性を示し、そして
抗腫瘍剤として有用である。それらは効率よくアシルア
ミダーゼのアイソザイムにより5’−DFCRに変換さ
れ、シチジンデアミナーゼにより5’−DFURに変換
され、次いでピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼに
より活性代謝物5−FUに変換される。本発明は、さら
に、上記一般式(I)の化合物を含有することを特徴と
する薬剤組成物、とくに腫瘍の処置のための薬剤組成物
に関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】
【表3】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【表4】 上記表3に記載する腫瘍の増殖の抑制(%)を次の式か
ら計算した:
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】表3に示すように、本発明により提供され
る化合物は腸毒性を引き起こさないで安全に投与さ
れ、そして5−FUよりも非常に有効であった。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】4.マウス結腸癌26に対する抗腫瘍およ
び抗悪液質(anticachexia)活性 本発明の代表的化合物(実施例13)の抗腫瘍活性を次
のようにして測定した。マウス(CDF)を第0日に
結腸癌26(10細胞)で皮下接種した。動物が悪液
質となったとき、化合物を第21日から毎日7回投与し
た。最後の処置の1日後に、腫瘍重量増加、宿主体重増
加、脂肪組織の重量、血清中のグルコースおよび急性期
タンパクIAP(免疫抑制酸性タンパク質)の濃度を測
定した。表4に示すように、賦形剤で処置したマウスは
悪液質のパラメーター、例えば、脂肪組織の重量、血清
グルコースおよびIAPのレベルが異常であったが、実
施例13の化合物による処置は腫瘍の増殖を抑制しそし
て悪液質を改善した。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】
【表5】 本発明の代表的化合物(実施例13、14および17)
の毒性(LD50)は、マウスに21日間毎口経口的に
投与して調べた。実験から得られた代表的なLD50
は500mg/kg/日より大きかった。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】本発明のN−(置換−オキシカルボニ
ル)−5’−DFCRの患者への投与量/日は、患者
体重および治療すべき状態に依存して変化するが、一般
に0.5〜500mg/1kg体重、好ましくは約2〜
200mg/1kg体重である。サルにおける本発明の
化合物の経口的投与後の5’−DFURのCmaxおよ
びAUCのデータを考慮するとき、本発明の化合物はヒ
トにおいて米国特許第4,966,891号に開示され
ている化合物より3〜5倍より高い活性を有することを
期待できることに注意すべきである。同一の理由から、
本発明の化合物は前記米国特許の化合物より3〜5倍よ
り低い投与量で十分な活性を示すことを期待することが
できる。本発明は安全の高い抗腫瘍性医薬組成物を提
供することができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】(b)5−フルオロシトシンおよび1,
2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−
リボフラノースから ヨウ化ナトリウム(3.6g)およびクロロトリメチル
シラン(794μl)の乾燥アセトニトリル(15m
l)溶液を、モレキュラシーブ4A(200mg)とと
もに0℃において5分間撹拌した(無色の塩化ナトリウ
ムが撹拌の間に析出した)。1,2,3−トリ−O−ア
セチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノース(2.
0g)を添加し、そしてこの混合物を0℃において30
分間撹拌した。次いで、5−フルオロシトシ(1.12
g)から新しく製造したトリメチルシリル5−フルオロ
シトシンの乾燥アセトニトリル溶液(5ml)を0℃に
おいて添加し、そして室温において3時間撹拌した。こ
の混合物を濾過し、濾液を真空濃縮し、そして残留物を
ジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液との間に
分配した。水性層をCHCl/MeOH(10:
1)で抽出した。一緒にした有機層をを無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、そして減圧下に蒸発させた。残留物をシ
リカゲルクロマトグラフィーにより溶離液としてCH
Cl/MeOH(15:1)を使用して精製し、次い
でイソプロパノールから再結晶化すると、1.24gの
2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
フルオロシチジンが得られた。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】
【実施例】実施例1 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
フルオロ−N−[(プロポキシカルボニル)シチジン
の製造 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
フルオロシチジン(2g)の CHCl(15ml)
および乾燥ピリジン(983μl)の溶液に、n−プロ
ピルクロロホルメート(957μl)を撹拌しかつ氷浴
で冷却しながら滴した。室温において30分間撹拌し
た後、この混合物を減圧下に蒸発乾固した。残留物をエ
ーテルと重炭酸ナトリウムの飽和水溶液との間に分配し
た。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、そして濾過した。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】実施例10 5’−デオキシ−5−フルオロ−N−(プロポキシカ
ルボニル)シチジンの製造 CHCl(17ml)中の2’,3’−ジ−O−ア
セチル−5’−デオキシ−5−フルオロ−N−(プロ
ポキシカルボニル)シチジン(2.5g)の溶液に、1
N NaOH(17ml)を撹拌しかつ氷浴で冷却しな
がら滴した。0℃において1時間撹拌した後、MeO
H(0.9ml)をこの混合物に添加した。反応混合物
のpHを濃塩酸の添加により6に調節し、そして分配し
た。水性層をCHCl/MeOH(95/5)の混
合溶媒で連続的に(40ml×10)抽出した。一緒に
した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過
した。この溶液を蒸発させ、そして残留物を酢酸エチル
から再結晶化すると、5’−デオキシ−5−フルオロ−
−(プロポキシカルボニル)シチジンが無色の結晶
として得られた(1.6g、収率79.8%):融点1
25−126.5℃;EI−MSm/z331
(M)。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【表8】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】実施例19 −(シクロヘキシルオキシカルボニル)−5’−デ
オキシ−5−フルオロシチジンの製造 5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(2.5g)を
乾燥ピリジン(20ml)中に溶解した。この混合物
に、塩化トリメチルシリル(3.4ml)を0℃におい
て滴し、そして室温において30分間撹拌した。この
反応混合物に、シクロヘキシルクロロホルメート(2.
0ml)を0℃において一度に添加した。この混合物を
0℃において1時間撹拌した後、ピリジンを減圧下に蒸
発させた。次いで残留物を飽和水性NaHCOとエー
テルとの間に分配した。有機層をブラインで洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして減圧下に濃縮し
た。この残留物にクエン酸(2.0g)およびメタノー
ル(50ml)を添加した。この混合物を室温において
一夜撹拌した。溶媒を減圧下に除去した後、残留物をC
Cl/MeOH(95:5)中に溶解し、そして
水性NaOHで中和した。有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲ
ルクロマトグラフィーにより溶離液としてCHCl
/MeOH(20:1)を使用して精製し、次いで酢酸
エチルから再結晶化すると、N−(シクロヘキシルオ
キシカルボニル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチ
ジンが得られた(3.47g;収率92%):融点13
4−136℃、FAB−MS m/z372(M
)。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】
【表9】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】実施例28 5’−デオキシ−5−フルオロ−N−(ネオペンチル
オキシカルボニル)シチジンの製造 5’−デオキシ−2’,3’−ジ−O−アセチル−5−
フルオロシチジン(1.5g)および乾燥ピリジン
(0.74ml)を乾燥ジクロロメタン(15ml)中
に溶解した。この混合物に、ネオペンチルクロロホルメ
ート(3当量)のトルエン溶液を0℃において滴し、
そして室温において1時間撹拌した。溶媒を減圧下に除
去した後、残留物をエーテルと炭酸ナトリウムの飽和水
溶液との間に分配した。有機層を連続的に水およびブラ
インで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減
圧下に濃縮すると、粗製2’,3’−ジ−O−アセチル
−5’−デオキシ−5−フルオロ−N−(ネオペンチ
ルオキシカルボニル)シチジンが淡黄色油として得られ
た。粗生成物をエタノール(15ml)中に溶解し、そ
して氷浴上で冷却した。次いで1N水性水酸化ナトリウ
ム溶液を滴し、その間温度を15℃以下に維持した。
添加の完結後、反応混合物を0℃において濃塩酸で中和
した。この溶液を減圧下に濃縮し、そして濃縮物を水と
CHCl/MeOH(95:5)の混合溶液との間
に分配した。水性層をCHCl/MeOH(95:
5)で10回(各々20ml)逆抽出した。すべての有
機層をを一緒にし、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そし
て減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーにより溶離液としてCHCl/MeO
H(20:1)を使用して精製すると、5’−デオキシ
−5−フルオロ−N−(ネオペンチルオキシカルボニ
ル)シチジン(1.37g;収率84%)が非晶質粉末
として得られた:FAB−MS m/z360(M
);H−NMR(d−DMSO)δ0.93
(9H,s)、1.31(3H,d,J=6.3H
z)、3.68(1H,q,J=5.9Hz)、3.8
1(2H,br.s)、3.87−3.92(1H,
m)4.04−4.09(1H,m)、5.05(1
H,d,J=5.9Hz)、5.41(1H,br.
d,J=5.3Hz)、5.67(1H,dd,J=
1.3,3.6Hz)、8.04(1H,br.s)、
10.53(〜1H,br.s)。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】上の乾燥投与形態は、適当な無菌の水性溶
媒、例えば、注射用の水または非経口的投与のための等
張塩化ナトリウムまたは5%のキストロースの添加に
より、使用前に復元した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 車 勇 神奈川県藤沢市鵠沼松が丘4−16−26 (72)発明者 三輪 昌敬 神奈川県鎌倉市植木436−1 鎌倉グリー ンマンシヨン404 (72)発明者 村崎 千佳子 神奈川県鎌倉市腰越1677−58 (72)発明者 新間 信夫 神奈川県茅ケ崎市緑が浜7−57 (72)発明者 梅田 勲 神奈川県横浜市神奈川区白幡南町1−1 インペリアル東白楽ガーデンハウスB− 513

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 式中、R1は飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分
    枝鎖状の炭化水素基[ここで、この炭化水素基の最長の
    直鎖中の炭素原子の数は3〜7の範囲である]または式
    −(CH2n−Y[ここで、Yがシクロヘキシル基であ
    るとき、nは0〜4の整数であり、そしてYが1〜4個
    の炭素原子を有する低級アルコキシまたはフェニル基で
    あるとき、nは2〜4の整数である]であり、そしてR
    2は水素原子または生理学的条件下に容易に加水分解可
    能な基である、により表される化合物ならびに一般式
    (I)の化合物の水和物または溶媒和物。
  2. 【請求項2】 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4
    (プロポキシカルボニル)シチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ヘキシルオキ
    シカルボニル)シチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(イソペンチル
    オキシカルボニル)シチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ネオペンチル
    オキシカルボニル)シチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(1,1,2
    −トリメチルプロポキシ)カルボニル]シチジン、 5’−デオキシ−N4−[(3,3−ジメチルブトキ
    シ)カルボニル]−5−フルオロシチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(1−イソプ
    ロピル−2−メチルプロポキシ)カルボニル]シチジ
    ン、 5’−デオキシ−N4−[(2−エチルブチル)オキシ
    カルボニル]−5−フルオロシチジン、 N4−[(シクロヘキシルメトキシ)カルボニル]−
    5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−フェニ
    ルエトキシ)カルボニル]シチジン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
    フルオロ−N4−(プロポキシカルボニル)シチジン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−N4−(ブトキシカル
    ボニル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、 2’,3’−ジ−O−ベンゾイル−N4−(ブトキシカ
    ルボニル)−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
    フルオロ−N4−(ペンチルオキシカルボニル)シチジ
    ン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
    フルオロ−N4−(イソペンチルオキシカルボニル)シ
    チジン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
    フルオロ−N4−(ヘキシルオキシカルボニル)シチジ
    ン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−N4
    −[(2−エチルブチル)オキシカルボニル]−5−フ
    ルオロシチジン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−N4−[(シクロヘキ
    シルメトキシ)カルボニル]−5’−デオキシ−5−フ
    ルオロシチジン、 2’,3’−ジ−O−アセチル−5’−デオキシ−5−
    フルオロ−N4−[(2−フェニルエトキシ)カルボニ
    ル]シチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(イソブトキシ
    カルボニル)シチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−プロピ
    ルペンチル)オキシカルボニル]シチジン、 5’−デオキシ−N4−[(2−エチルヘキシル)オキ
    シカルボニル]−5−フルオロシチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ヘプチルオキ
    シカルボニル)シチジン、 N4−[(2−シクロヘキシルエトキシ)カルボニル]
    −5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、 N4−[(3−シクロヘキシルプロピル)オキシカルボ
    ニル]−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、 N4−(シクロヘキシルオキシカルボニル)−5’−デ
    オキシ−5−フルオロシチジン、 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(3−フェニ
    ルプロピル)オキシカルボニル]シチジン、および 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−[(2−メトキ
    シエトキシ)カルボニル]シチジン、とくに N4−(ブトキシカルボニル)−5’−デオキシ−5−
    フルオロシチジンおよび 5’−デオキシ−5−フルオロ−N4−(ペンチルオキ
    シカルボニル)シチジン、から成る群より選択される請
    求項1の化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1の一般式(I)の化合物、ある
    いは一般式(I)の化合物の水和物または溶媒和物を活
    性成分として含有することを特徴とする、とくに腫瘍を
    処置するための、薬剤組成物。
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