JPH10330394A - ヒドロキシアミノ置換ヌクレオシド誘導体 - Google Patents

ヒドロキシアミノ置換ヌクレオシド誘導体

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JPH10330394A
JPH10330394A JP9150388A JP15038897A JPH10330394A JP H10330394 A JPH10330394 A JP H10330394A JP 9150388 A JP9150388 A JP 9150388A JP 15038897 A JP15038897 A JP 15038897A JP H10330394 A JPH10330394 A JP H10330394A
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彰 松田
Takuma Sasaki
琢磨 佐々木
Satoshi Shuto
智 周東
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた抗腫瘍活性を示すヒドロキ
シアミノ置換ヌクレオシド誘導体を提供することを課題
とする。 【解決手段】 下記一般式[1] 【化1】 (式中、Bは置換基を有してもよいシトシンまたはウラ
シルを示し、R1、R2又はR3は水素原子または水酸基
の保護基である。尚、糖はリボースを示す。)で表され
るように3位がヒドロキシアミノ基に置換されたヌクレ
オシド誘導体が優れた抗腫瘍活性を示すこと見出し、本
発明を完成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な核酸誘導体、
更に詳細には優れた抗腫瘍活性を有し、抗腫瘍剤として
有用なヒドロキシアミノ置換ヌクレオシド誘導体及びそ
の薬学的に許容される塩に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、核酸系の代謝拮抗剤である抗腫瘍
剤としては、5−フルオロウラシル、テガフール、ユー
エフテイ(UFT)、ドキシフルリジン、カルモフー
ル、シタラビン、エノシタビン等のピリミジン系化合物
が知られている。一方、糖部分の3位にヒドロキシアミ
ノ基を有するヌクレオシド誘導体としては、Nucle
osides & Nucleotides,7
(2),249−269(1988)においては1−
[3−デオキシ−3−(ヒドロキシアミノ)−β−D−
キシロフラノシル]−2、4(1H、3H)−ピリミジ
ンジオンが記載されているが、本発明化合物とは糖の立
体配置が異なると共に、合成中間体としての利用だけ
で、これらの化合物の医薬的有用性、特に抗腫瘍作用に
ついての記載はない。また、Nucleosides
& Nucleotides,13(9),1871−
1889(1994)においては1−[2,3−デオキ
シ−3−(N−ヒドロキシ−N−メチルアミノ)−β−
D−threo−ペントフラノシル]チミンの坑HIV
作用について記載されているが、本発明化合物と比し、
糖部分の2位に置換基を持たないうえ、糖の立体配置が
異なる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た抗腫瘍活性を有し抗腫瘍剤として有用な新規な核酸誘
導体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を重
ねた結果、糖部分の3位にヒドロキシアミノ基を導入し
たヌクレオシド誘導体が優れた抗腫瘍活性を示し、抗腫
瘍剤として有用なものであることを見出し、本発明を完
成した。すなわち本発明は、下記一般式[1]
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Bは置換基を有してもよいシトシ
ン又はウラシルを示し、R1、R2又はR3は水素原子又
は水酸基の保護基である。尚、糖はリボースを示す。)
で表されるヒドロキシアミノ置換ヌクレオシド誘導体又
はその薬学的に許容される塩に係る。また、本発明は一
般式[1]で表されるヒドロキシアミノ置換ヌクレオシ
ド誘導体又はその薬学的に許容される塩と薬学的担体と
を含有することを特徴とする医薬組成物に係る。また、
本発明は一般式[1]で表されるヒドロキシアミノ置換
ヌクレオシド誘導体又はその薬学的に許容される塩を有
効成分とする抗腫瘍剤に係る。
【0007】
【実施の形態】本発明に斯る前記化合物[1]におい
て、置換していてもよいシトシン又はウラシルの置換基
としては、例えばハロゲン原子、低級アルキル基、脂肪
族アシル基又は芳香族アシル基等のアシル基、低級アル
コキシカルボニル基、低級アルケニルオキシカルボニル
基又はアラルキルオキシカルボニル基等の置換オキシカ
ルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては例えば
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げ
られる。低級アルキル基としては、例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、
ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアル
キル基が挙げられる。脂肪族アシル基としては、例えば
ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブ
チリル、ペンタノイル、ヘキサノイル基等の炭素数1〜
6の直鎖状又は分枝状のアシル基が、芳香族アシル基と
しては、ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナフトイル
基等が挙げられる。また、これらは置換基として、低級
アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ
基等を有してもよい。この場合、低級アルキル基、ハロ
ゲン原子としては前記と同様のものが挙げられる。低級
アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n
−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブ
トキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペン
チルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖
状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。低級アルコ
キシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、
イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、
イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニ
ル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカ
ルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜
7の直鎖状又は分枝状のアルコキシカルボニル基が挙げ
られる。低級アルケニルオキシカルボニル基としては、
例えばビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニ
ル、イソプロペニルオキシカルボニル、1−ブテニルオ
キシカルボニル、2−ブテニルオキシカルボニル基等の
炭素数3〜7の直鎖状又は分枝状のアルケニルオキシカ
ルボニル基が挙げられる。アラルキルオキシカルボニル
基としては、例えばベンジルオキシカルボニル、フェネ
チルオキシカルボニル、α−ナフチルメチルオキシカル
ボニル、β−ナフチルメチルオキシカルボニル基等の炭
素数8〜12のアラルキルオキシカルボニル基が挙げら
れ、これらは置換基として、低級アルキル基、低級アル
コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基等を有してもよい。
【0008】R1、R2及びR3で示される水酸基の保護
基とは、ヒトを含む哺乳動物の血液及び組織内で容易に
加水分解して対応する水酸基化合物(すなわち、R1
2又はR3が水素原子である化合物)を放出する無毒の
保護基を意味し、該保護基としては、通常よく知られる
ヌクレオシドの水酸基を保護しエステルを形成するもの
であればよく、例えば置換基を有してもよい脂肪族アシ
ル基又は置換基を有してもよい芳香族アシル基等のアシ
ル基、低級アルキルカルバモイル基、アミノ酸残基等が
挙げられる。置換基を有していてもよい脂肪族又は芳香
族のアシル基としては、例えば低級アルカノイル基、ア
リールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、ア
シルオキシアシル基等が挙げられる。低級アルカノイル
基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニ
ル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ヘキサノ
イル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロ
アセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、
エトキシアセチル基等の置換基としてハロゲン原子、低
級アルコキシ基等を有することのある炭素数1〜6のア
ルカノイル基が挙げられる。アリールカルボニル基とし
ては、例えばベンゾイル、α−ナフチルカルボニル、β
−ナフチルカルボニル、2−メチルベンゾイル、3−メ
チルベンゾイル、4−メチルベンゾイル、2,4−ジメ
チルベンゾイル、4−エチルベンゾイル、2−メトキシ
ベンゾイル、3−メトキシベンゾイル、4−メトキシベ
ンゾイル、2,4−ジメトキシベンゾイル、4−エトキ
シベンゾイル、2−メトキシ−4−エトキシベンゾイ
ル、4−プロポキシベンゾイル、2−クロロベンゾイ
ル、3−クロロベンゾイル、4−クロロベンゾイル、
2,3−ジクロロベンゾイル、2−ブロモベンゾイル、
4−フルオロベンゾイル、2−カルボキシベンゾイル、
3−カルボキシベンゾイル、4−カルボキシベンゾイ
ル、2−シアノベンゾイル、4−シアノベンゾイル、2
−ニトロベンゾイル、4−ニトロベンゾイル又は2,4
−ジニトロベンゾイル基等の置換基として低級アルキル
基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル
基、ニトロ基及びシアノ基等を有することのあるベンゾ
イル又はナフチルカルボニル基が挙げられる。ヘテロ環
カルボニル基としては、例えば2−フラニルカルボニ
ル、4−チアゾリルカルボニル、2−キノリルカルボニ
ル、2−ピラジニルカルボニル、2−ピリジルカルボニ
ル、3−ピリジルカルボニル、4−ピリジルカルボニル
基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基として
は、例えばフェノキシカルボニル、α−ナフチルオキシ
カルボニル、β−ナフチルオキシカルボニル、2−メチ
ルフェノキシカルボニル、3−メチルフェノキシカルボ
ニル、4−メチルフェノキシカルボニル、2,4−ジメ
チルフェノキシカルボニル、4−エチルフェノキシカル
ボニル、2−メトキシフェノキシカルボニル、3−メト
キシフェノキシカルボニル、4−メトキシフェノキシカ
ルボニル、2,4−ジメトキシフェノキシカルボニル、
4−エトキシフェノキシカルボニル、2−メトキシ−4
−エトキシフェノキシカルボニル、2−クロロフェノキ
シカルボニル、3−クロロフェノキシカルボニル、4−
クロロフェノキシカルボニル、2,3−ジクロロフェノ
キシカルボニル、2−ブロモフェノキシカルボニル、4
−フルオロフェノキシカルボニル、β−メチル−α−ナ
フチルオキシカルボニル、β−クロロ−α−ナフチルオ
キシカルボニル基等が挙げられる。低級アルコキシカル
ボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキ
シカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポ
キシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキ
シカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert
−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘ
キシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7の直鎖状又
は分枝状のアルコキシカルボニル基が挙げられる。アシ
ルオキシアシル基としては、例えばアセチルオキシアセ
チル、プロピオニルオキシアセチル、α−(アセチルオ
キシ)プロピオニル、β−(プロピオニルオキシ)プロ
ピオニル基等が挙げられる。低級アルキルカルバモイル
基としては、例えばメチルカルバモイル、エチルカルバ
モイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、
ペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、ジメチ
ルカルバモイル、ジエチルカルバモイル基等の炭素数1
〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基でモノ又はジ置換
されたカルバモイル基が挙げられる。アミノ酸残基とし
ては、アミノ酸のカルボキシル基から水酸基を除いて形
成される基を示し、天然又は合成のアミノ酸のいずれの
由来のものでもよく、該アミノ酸としては、例えばグリ
シン、アラニン、β−アラニン、バリン、イソロイシン
等が挙げられるが、特開平1−104093号公報記載
のアミノ酸残基であればいずれであってもよい。その
他、保護基としては、例えば、THEODORA W.
GREENE,”PROTECTIVE GROUPS
IN ORGANIC SYNTHESIS Sec
ond Edition”,JOHN WILEY &
SONS,INC.(1991)、日本化学会編<新
実験化学講座4>「有機化合物の合成と反応(V)」1
1章 p2495 丸善(1983)、特開昭61−1
06593号公報、特開昭62−149696号公報、
特開平1−153696号公報に記載の通常の保護基と
して慣用されるもののいずれであってもよい。R1、R2
及びR3の保護基としては、好適にはアシル基が挙げら
れ、更に好適にはアセチル基、ベンゾイル基が挙げられ
る。
【0009】本発明の好ましい化合物は、前記一般式
[1]において、Bがシトシン、ウラシルであり、
1、R2又はR3が水素原子であるヒドロキシアミノ置
換ヌクレオシド誘導体又はその薬学的に許容される塩で
ある。
【0010】本発明化合物は塩の形態をも包含するもの
であり、かかる塩としては薬学的に許容される塩であれ
ば特に制限はなく、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸
塩等の無機酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホ
ン酸塩等の有機スルホン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸
塩、トリフルオロ酢酸塩等の脂肪族カルボン酸塩等の有
機酸塩等の酸付加塩が例示される。また、本発明化合物
はその水和物をも包含するものである。上記一般式
[1]で表される本発明化合物は、例えば下記反応工程
式に従い製造することができる。
【0011】
【化3】
【0012】上記反応工程式中、Uは置換基を有しても
よいウラシルを示し、Cは置換基を有しても良いシトシ
ンを示し、C’はピリミジン環上の4位が保護基で保護
されたアミノ基である置換基を有してもよいシトシンを
示し、R4、R5又はR6はシリル保護基である。尚、糖
はリボースを示す。U、C又はC’における置換基とし
ては、上述の置換していてもよいシトシン又はウラシル
の置換基が挙げられる。C’のピリミジン環上の4位の
保護基で保護されたアミノ基の保護基としては、例えば
トリチル、ジメトキシトリチル基等を例示できる。
4、R5又はR6のシリル保護基としては、例えば、ト
リメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、t
ert−ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピ
ルシリル、トリルイソプロピルシリル基等が挙げられ
る。上記反応工程i〜viiiについて下記に詳述す
る。
【0013】<反応工程i>Nucleosides
& Nucleotides,7(2),249−26
9(1988)記載の方法に準じて得られた一般式
[2]で表される化合物を適当な溶媒中、トリフルオロ
酢酸(TFA)の存在下で5’位の選択的な脱シリル反
応を行い、一般式[3]で表される化合物を得る。溶媒
としては、反応に関与しないものであれば何でもよく、
例えば、水、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
(THF)、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホル
ム、ベンゼン、キシレン、トルエン、DMSO、アセト
ニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
等が挙げられ、好ましくは水である。反応に際し、TF
Aの使用量としては、一般式[2]で表される化合物に
対し、1〜100倍モル量、好ましくは5〜50倍モル
量用いる。反応温度としては、−10〜130℃程度で
あり、好ましくは0〜50℃である。反応時間として
は、0.1〜24時間程度であり、好ましくは0.1〜
5時間である。本工程で得られた一般式[3]で表され
る化合物は、単離し又は単離せず次の反応工程iiに用
いられる。
【0014】<反応工程ii>上記反応工程iで得られ
た一般式[3]で表される化合物を適当な溶媒中、水素
化ほう素化合物の存在下で反応させることにより、一般
式[4]で表される化合物を得る。水素化ほう素化合物
としては、水素化ほう素ナトリウム又は水素化シアノほ
う素ナトリウム等が挙げられる。溶媒としては、反応に
関与しないものであれば何れでもよく、例えば、酢酸、
THF、THF−水混合溶液、酢酸−THF混合溶液、
塩酸−メタノール混合溶液等が挙げられる。反応に際
し、水素化ほう素化合物の使用量としては、一般式
[3]で表される化合物に対し、1〜20倍モル量、好
ましくは2〜10倍モル量用いる。反応温度としては、
−10〜110℃程度であり、好ましくは0〜50℃で
ある。反応時間としては、0.5〜24時間程度であ
り、好ましくは1〜5時間である。本工程iiで得られ
た一般式[4]で表される化合物は、単離し又は単離せ
ず次の反応工程iiiに用いられる。
【0015】<反応工程iii>上記反応工程iiで得
られた一般式[4]で表される化合物を適当な溶媒中、
アルゴン気流下で加水分解、例えばテトラブチルアンモ
ニウムフロライド(TBAF)、TFA又は酢酸等の存
在下で反応させることにより、一般式[1a]で表され
る化合物を得る。溶媒としては、反応に関与しないもの
であれば何れでもよく、例えば、THF、ジエチルエー
テル、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又は
水等が挙げられる。反応温度としては、−10〜130
℃程度であり、好ましくは0〜50℃である。反応に際
し、上記試薬としてはTBAFが好ましく、上記試薬の
使用量としては、一般式[4]で表される化合物に対
し、0.5〜20倍モル量、好ましくは1〜10倍モル
量用いる。反応時間としては、0.5〜50時間程度で
あり、好ましくは0.5〜5時間である。
【0016】<反応工程iv>反応工程iiで得られた
一般式[4]で表される化合物を適当な溶媒中、アルゴ
ン気流下、シリル化剤及びイミダゾールと反応させるこ
とにより、一般式[5]で表される化合物を得る。シリ
ル化剤としては、例えばtert−ブチルジフェニルク
ロロシラン(TBDPSCl)、トリメチルクロロシラ
ン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、トリイソ
プロピルクロロシラン等が挙げられ、好ましくはTBD
PSClである。反応に際し、シリル化剤の使用量とし
ては、一般式[4]で表される化合物に対し、2〜20
倍モル量、好ましくは3〜10倍モル量用いる。イミダ
ゾールの使用量としては、一般式[4]で表される化合
物に対し、2〜20倍モル量、好ましくは3〜10倍モ
ル量用いる。溶媒としては、反応に関与しないものであ
れば何れでもよく、例えば、DMF、ピリジン、ジエチ
ルエーテル、THF、ジオキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、DMSO、アセトニトリル等が挙げられ
る。反応温度としては、−10〜130℃程度であり、
好ましくは0〜50℃である。反応時間としては、1〜
60時間程度であり、好ましくは10〜40時間であ
る。本工程ivで得られた一般式[5]で表される化合
物は、単離し又は単離せず次の反応工程vに用いられ
る。
【0017】<反応工程v>反応工程ivで得られた一
般式[5]で表される化合物を適当な溶媒中、アルゴン
気流下、トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロライ
ド(TPSCl)、ジメチルアミノピリジン(DAM
P)及び塩基と反応させ、その後アンモニア存在下で反
応させることにより、一般式[6]で表される化合物を
得る。塩基としては、有機アミン類またはアルカリ金属
水酸化物が挙げられる。有機アミン類としては、例えば
トリエチルアミン(TEA)、ピリジン等が挙げられ
る。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム等が挙げられる。溶媒としては、反応
に関与しないものであれば何れでもよく、例えば、アセ
トニトリル、ジエチルエーテル、THF、DMF、ピリ
ジン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、D
MSO等が挙げられる。反応に際し、TPSClの使用
量としては、一般式[5]で表される化合物に対し、1
〜20倍モル量、好ましくは2〜10倍モル量用いる。
DAMPの使用量としては、一般式[5]で表される化
合物に対し、0.1〜10倍モル量、好ましくは0.2
〜5倍モル量用いる。塩基の使用量としては、一般式
[5]で表わされる化合物に対し、1〜10倍モル量、
好ましくは2〜10倍モル量用いる。反応温度として
は、−10〜130℃程度であり、好ましくは0〜50
℃である。反応時間としては、0.5〜50時間程度で
あり、好ましくは1〜25時間である。本工程vで得ら
れた一般式[6]で表される化合物は、単離し又は単離
せず次の反応工程viに用いられる。
【0018】<反応工程vi>反応工程vで得られた一
般式[6]で表される化合物を適当な溶媒中、アルゴン
気流下、アミノ基の保護剤、及び塩基と反応させること
により、一般式[7]で表される化合物を得る。アミノ
基の保護剤としては、例えばジメトキシトリメチルクロ
ライド(DMTrCl)、トリチルクロライド等が挙げ
られる。塩基としては、有機アミン類又はアルカリ金属
水酸化物が挙げられる。有機アミン類としては、例えば
TEA、ピリジン等が挙げられる。アルカリ金属水酸化
物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙
げられる。溶媒としては、反応に関与しないものであれ
ば何れでもよく、例えば、ジクロロメタン、クロロホル
ム、ピリジン、ジエチルエーテル、THF、ジオキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。反
応に際し、アミノ基の保護剤の使用量としては、一般式
[6]で表わされる化合物に対し、0.5〜20倍モル
量、好ましくは1〜10倍モル量用いる。塩基の使用量
としては、一般式[6]で表わされる化合物に対し、
0.5〜20倍モル量、好ましくは1〜10倍モル量用
いる。反応温度としては、−10〜130℃程度であ
り、好ましくは0〜50℃である。反応時間としては、
1〜40時間程度であり、好ましくは3〜10時間であ
る。本工程viで得られた一般式[7]で表される化合
物は、単離し又は単離せず次の反応工程viiに用いら
れる。
【0019】<反応工程vii>反応工程viで得られ
た一般式[7]で表される化合物を適当な溶媒中、アル
ゴン気流下、脱シリル化剤と反応させることにより、一
般式[8]で表される化合物を得る。脱シリル化剤とし
ては、例えばTBAF、酢酸、TFA、フッ化カリウ
ム、フッ化水素等が挙げられ、好ましくはTBAF及び
酢酸の混合物である。溶媒としては、反応に関与しない
ものであれば何れでもよく、例えば、ジクロロメタン、
クロロホルム、ジエチルエーテル、THF、ジオキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、
DMSO、水等が挙げられる。反応に際し、脱シリル化
剤の使用量としては、一般式[7]で表わされる化合物
に対し、1〜50倍モル量、好ましくは2〜20倍モル
量用いる。反応温度としては、−10〜130℃程度で
あり、好ましくは0〜50℃である。反応時間として
は、0.5〜70時間程度であり、好ましくは1〜10
時間である。本工程viiで得られた一般式[8]で表
される化合物は、単離し又は単離せず次の反応工程vi
iiに用いられる。
【0020】<反応工程viii>反応工程viiで得
られた一般式[8]で表される化合物をアルコール溶媒
中、アルゴン気流下、酸と反応させることにより、一般
式[1b]で表される化合物を得る。酸としては、例え
ば塩酸、ギ酸、酢酸等が挙げられ、好ましくは塩酸であ
る。アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブチルアルコール等が挙げら
れる。反応に際し、酸の使用量としては、一般式[8]
で表わされる化合物に対し、5〜100倍モル量、好ま
しくは10〜50倍モル量用いる。反応温度としては、
−10〜120℃程度であり、好ましくは0〜50℃で
ある。反応時間としては、0.5〜50時間程度であ
り、好ましくは1〜30時間である。上記反応工程によ
り得られた一般式[1a]および[1b]で表される化
合物は、公知慣用の方法、例えば特開昭61−1065
93号公報等に記載の方法に準じて水酸基に保護基を導
入することが可能である。
【0021】上記方法により得られる本発明化合物及び
各化合物は、通常公知の分離精製手段、例えば濃縮、溶
媒抽出、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等を用
いることにより単離精製可能である。
【0022】本発明の化合物は、適当な薬学的担体を用
いて通常の方法に従い、医薬組成物とすることができ
る。ここで用いられる担体としては、通常の薬剤に汎用
される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑
沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤等を使用す
ることができる。本発明医薬又は医薬組成物をヒトを含
む哺乳動物の腫瘍の治療剤として使用する際の投与単位
形態は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択で
き、具体的には注射剤、坐剤、外用剤(軟膏剤、貼付剤
等)、エアゾール剤等の非経口剤、錠剤、被覆錠剤、散
剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、液剤(懸濁剤、乳剤
等)の経口剤が挙げられる。
【0023】上記各種組成物は、この分野で通常知られ
た製剤化方法により製剤化される。注射剤の形態に成形
するに際しては、担体として例えば、水、エチルアルコ
ール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ
化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステア
リルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル類等の希釈剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナト
リウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤及び緩衝剤、
ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオ
グリコール酸、チオ乳酸等の安定化剤等が使用できる。
尚、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食
塩、ブドウ糖或いはグリセリンを医薬製剤中に含有せし
めてもよく、また通常の溶解補助剤、無痛化剤、局所麻
酔剤等を添加してもよい。これらの担体を添加して、常
法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤を製造すること
ができる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体とし
て例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、ラノリ
ン、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼ
ラチン、半合成グリセライド、ウィテップゾール(登録
商標:ダイナマイトノーベル社)等に適当な吸収促進剤
を添加して使用できる。軟膏剤、例えばペースト、クリ
ーム及びゲルの形態に調製する際には、通常使用される
基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合さ
れ、常法により混合、製剤化される。基剤として例えば
白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘
導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイ
ト等を使用できる。保存剤としては、パラオキシ安息香
酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息
香酸プロピル等が使用できる。貼付剤を製造する場合に
は、通常の支持体に上記軟膏、クリーム、ゲル、ペース
ト等を常法により塗布すればよい。支持体としては、
綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビ
ニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルムあるい
は発泡体シートが適当である。錠剤、散剤、顆粒剤等の
経口用固形製剤の形態に成形するに際しては、担体とし
て例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿
素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロ
ース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギ
ン酸ナトリウム、アラビアゴム等の賦形剤、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリ
ドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチル
セルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン
酸カリウム等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナト
リウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン
酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、
ステアリン酸、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制
剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム
等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デ
ンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケ
イ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸
末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用でき
る。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例
えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコー
ティング錠、二重錠、多層錠等とすることができる。カ
プセル剤は上記で例示した各種の担体と混合し、硬質ゼ
ラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製され
る。丸剤の形態に成形するに際しては、担体として例え
ばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、
カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガ
ント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラ
ン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。液体製剤は水
性又は油性の懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤で
あってもよく、これらは通常の添加剤を用いて常法に従
い、調製される。
【0024】上記製剤中に含有されるべき本発明化合物
の量は、剤型、投与経路、投与計画等により異なり一概
には言えず、広い範囲から適宜選択されるが、通常製剤
中に1〜70重量%程度とするのがよい。上記製剤の投
与方法は特に限定されず、製剤の形態、患者等の投与対
象の年齢、性別その他の条件、症状の程度等に応じて、
例えば経腸投与、経口投与、直腸投与、口腔内投与、経
皮投与等が適宜決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、
懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には経口投
与され、坐剤の場合には直腸内投与される。注射剤の場
合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と
混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で動脈
内、筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。軟
膏剤は、皮膚、口腔内粘膜等に塗布される。本発明の化
合物の投与量は、用法、患者等の投与対象の年齢、性
別、状態、腫瘍の種類、投与される本発明化合物の種
類、その他の条件等に応じて適宜選択されるが、一般に
投与単位形態当たり経口剤では約1〜1000mg、注
射剤では約0.1〜500mg、坐剤では約5〜100
0mgとするのが望ましい。また、上記投与形態を有す
る薬剤の1日当たりの投与量は、通常0.1〜200m
g/kg体重/日程度、好ましくは0.5〜100mg
/kg体重/日程度の範囲となる量を目安とするのがよ
い。これら本発明製剤は1日に1回又は2〜4回程度に
分けて投与することができる。
【0025】本発明化合物は含有する製剤を投与するこ
とにより治療できる悪性腫瘍としては、特に制限はな
く、例えば、頭頚部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸
癌、肝臓癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵
巣癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、骨・軟部肉腫、子
宮頚癌、皮膚癌、脳腫瘍等の固形癌、又は悪性リンパ
腫、白血病等が挙げられる。
【0026】
【実験例1】 <3’−デオキシ−3’−ヒドロキシアミノウリジン
(化合物[1a])の合成>3’−デオキシ−3’−ヒ
ドロキシアミノウリジン(化合物[1a])は、次の合
成実験I〜IIIを経て合成された。
【0027】
【化4】
【0028】<合成実験I:2’−O−(t−ブチルジ
メチルシリル)−3’−オキシム−3’−デオキシウリ
ジン(化合物[3])の合成>Nucleosides
& Nucleotides,7(2),249−2
69(1988)に記載の方法に基づいて得られた
2’,5’−O−ビス(t−ブチルジメチルシリル)−
3’−オキシム−3’−デオキシウリジン(化合物
[2])3.50g(7.20mmol)を0℃に冷却
した80%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液25mlに
溶解し、0℃で撹拌した。30分後、反応液を濃縮し、
残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ3.5
×13cm、ヘキサン:酢酸エチル1:1)で精製し、
標記化合物(化合物[3])2.6g(収率99%)を
白色泡状物質として得た。以下に物性値を示す。 1H-NMR (CDCl3) δ:8.91(br, 1H, NOH), 8.41(br, 1H,
3-NH), 7.55(d, 1H, H-6, J5,6= 8.1 Hz), 5.83(d, 1
H, H-5, J5,6= 8.1 Hz), 5.62( d, 1H, H-1', J1' ,2'=
6.6 Hz), 6.82(br, 1H, NHOH), 5.04(m, 1H, H-4'). 4.
18(dd, 1H, H-5'a,J5'a,4'= 1.5 Hz, J5'a,5'b= 12.0 H
z), 3.99(dd, 1H, H-5'a, J5'a,4'= 2.0 Hz, J5'a,5'b=
12.0 Hz), 0.860(s, 9H, t-Bu), 0.345 and 0.129(eac
h s, each3H, Me).
【0029】<合成実験II:2’−O−(tーブチル
ジメチルシリル)−3’−デオキシ−3’ーヒドロキシ
アミノウリジン(化合物[4])の合成>0℃で冷却し
た酢酸8mlに水素化ほう素ナトリウム82mg(2.
18mmol)を少しづつ加え、その溶液に、前記合成
実験Iで得られた化合物[3]の400mg(1.09
mmol)を酢酸3mlに溶解したものを滴下し、0℃
で撹拌した。2時間後、反応液を濃縮し、残渣を酢酸エ
チル50ml、水50mlで分液、有機層を水50ml
で2回、飽和食塩水50mlで洗浄した後に、無水硫酸
ナトリウムで乾燥した。綿栓ろ過後、ろ液を濃縮し残査
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ2.5×7
cm、酢酸エチル)で精製し、標記化合物(化合物
[4])378mg(収率94%)を白色個体状物質と
して得た。以下に物性値を示す。 FAB-MS (LR): m/z 374 (MH+, 7.9%) FAB-MS (HR): Calcd for C15H28N306Si: 374.1746. Fou
nd: 374.1718. 1H-NMR (CDCl3) δ; 10.2(br, 1H, 3-NH), 8.00(d, 1H,
H-6, J5,6= 8.1 Hz), 6.82(br, 1H, NHOH), 5.74(d, 1
H, H-5, J5,6= 8.1 Hz), 5.69(s, 1H, H-1', J1' ,2'=
2.8 Hz), 5.64(br, 1H, NHOH), 4.65(dd, 1H, H-2', J
1',2'= 2.8 Hz, J2' ,3'= 4.7 Hz), 4.10(dd, 1H, H-4',
J3',4'= 6.9 Hz, J4',5'= 1.3 Hz), 4.02(dd, 1H, H-
5'a, J5'a,4'= 1.3 Hz, J5'a,5'b= 12.1 Hz), 3.85(dd,
1H, H-5'a, J5'a,4'= 1.3 Hz, J5'a,5'b= 12.1 Hz),
3.77(br, 1H, 5'-OH), 3.66(dd, 1H, H-3', J2',3'= 4.
7 Hz, J3',4'= 6.9 Hz), 0.929(s, 9H, t-Bu), 0.155
(s, 6H, Me).
【0030】<合成実験III:3’−デオキシ−3’
−ヒドロキシアミノウリジン(化合物[1a])の合成
>前記合成実験IIで得られた化合物[4]の371m
g(1.00mmol)をテトラヒドロフラン(TH
F)10mlに溶解し、1M TBAF1.2ml
(1.2mmol)をアルゴン気流下で加え、室温で撹
拌した。1時間後、反応液を濃縮し、残渣をメタノール
で共沸した。生じた白色粉状物質をろ取し、標記化合物
(化合物[1a])185mg(収率71%)を得た。
以下に物性値を示す。 融点:205〜206℃(分解) 1H-NMR (DMSO-d6) δ: 11.3(br, 1H, 3-NH), 7.96(d, 1
H, H-6, J5,6= 8.2 Hz), 7.46(br, 1H, NHOH), 5.83
(d, 1H, H-1', J1',2'= 5.2 Hz), 5.71(br, 1H, NHOH),
5.64(d, 1H, H-5, J5,6= 8.2 Hz), 5.13(br, 1H, 5'-O
H), 4.17(m, 1H, H-2'), 3.98(ddd, 1H, H-4', J3',4'=
4.8 Hz, J4',5'a= 2.0 Hz, J4',5'b= 2.8 Hz), 3.67
(d, 1H, H-5'a, J5'a,5'b= 11.8 Hz), 3.53(d, 1H, H-
5'b, J5'a,5'b=11.8 Hz), 3.36(m, 1H, H-3'). 元素分析:計算値:C, 41.70; H, 5.05; N, 16.21(C9H13N306として) 実測値:C, 41.52; H, 5,05; N, 15.57
【0031】
【実験例2】 <3’−デオキシ−3’−ヒドロキシアミノシチジン
(化合物[1b])の合成>3’−デオキシ−3’−ヒ
ドロキシアミノシチジン(化合物[1b])は、次の合
成実験IV〜VIIIを経て合成された。
【0032】
【化5】
【0033】<合成実験IV:5’−O−(t−ブチル
ジフェニルシリル)−3’−(t−ブチルジフェニル)
シリルオキシアミノ−2’−O−(t−ブチルジメチル
シリル)−3’−デオキシウリジン(化合物[5])の
合成>前記実験例1の合成過程である合成実験IIで得
られた化合物[4]の1.11g(3.0mmol)を
ジメチルホルムアミド(DMF)30mlに溶解し、ア
ルゴン気流下でイミダゾール674mg(9.9mmo
l)及びtert−ブチルジフェニルクロロシラン(T
BDPSCl)2.34ml(9.0mmol)を加
え、室温で撹拌した。24時間後、反応液を酢酸エチル
150ml、水150mlで分液、有機層を水150m
lで2回、飽和食塩水150mlで洗浄した後に、無水
硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓ろ過後、ろ液を濃縮し
残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ5×7
cm、ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、標記
化合物(化合物[5])2.18g(収率86%)を白
色泡状物質として得た。以下に物性値を示す。 FAB-MS(LR):m/z 850 (M+, 12.3%). FAB-MS(HR):Calcd for C47H63N306Si3: 850.4099. Foun
d: 850.4119. 1H-NMR (CDCl3)δ; 8.28(br , 1H, 3-NH), 7.64-7.25
(m, 21H, H-6 and arom),5.85(d, 1H, H-1', J1',2'=
2.4 Hz), 5.79(d, 1H, 3'-NH, J3',3'-NH= 9.2 Hz), 5.
16(d, 1H, H-5, J5,6= 8.1 Hz), 4.31(dd, 1H, H-2', J
1',2'= 2.4 Hz, J2' ,3'= 4,8 Hz), 3.86(m, 2H, H-5'),
3.51(dd, 1H, H-4', J3',4'= 8.9 Hz, J4', 5'= 4.1 H
z), 3.31(ddd, 1H, H-3', J2',3'= 4.8 Hz, J3',4'= 8.
9 Hz, J3',3'- NH= 9.2Hz), 1.08, 1.04 and 0.881(each
s, each 3H, Me).
【0034】<合成実験V:5’−O−(t−ブチルジ
フェニルシリル)−3’−(t−ブチルジフェニル)シ
リルオキシアミノ−2’−O−(t−ブチルジメチルシ
リル)−3’−デオキシシチジン(化合物[6])の合
成>前記合成実験IVで得られた化合物[5]の2.1
0mg(2.5mmol)をアセトニトリル30mlに
溶解し、アルゴン気流下、0℃で2,4,6−トリイソ
プロピルベンゼンスルフォニルクロリド(TPSCl、
以下同じ)2.27g(7.5mmol)、及びジメチ
ルアミノピリジン(DMAP)122mg(1.0mm
ol)を加えた後、トリエチルアミン(TEA)1.0
5ml(7.5mmol)を加え室温に戻し撹拌した。
1時間後、アンモニア水30mlを加えた。2時間後、
反応液を酢酸エチル250ml、水250mlで分液、
有機層を水250mlで2回、飽和食塩水250mlで
洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓ろ
過後、ろ液を濃縮し残査をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(φ5×8cm、クロロホルム:メタノール=
10:1)で精製し標記化合物(化合物[7])2.0
2g(収率95%)を得た。以下に物性値を示す。 FAB-MS (LR) : m/z 850(M+, 8.3%). FAB-MS (HR) : Calcd for C47H65N405Si3: 849.4259. F
ound: 849.4225. 1H-NMR (CDCl3)δ:7.711-7.16(m, 23H, H-6, 4-NH2 an
d arom), 5.80(s, 1H, H-1'), 5.75(d, 1H, 3'-NH, J
3',3'-NH= 11.3 Hz), 5.03(d, 1H, H-5, J5,6= 7.4Hz),
4.38(d, 1H, H-2', J2',3'= 4.1Hz), 3.91-3.80(m, 2
H, H-5'), 3.52(dd,1H, H-4', J3',4'= 11.6 Hz, J
4',5'= 4.2Hz), 3.24(ddd, 1H, H-3', J2',3'=4.1 Hz,
J3',4'= 11.6 Hz, J3',3'-NH= 11.3 Hz), 1.06, 1.03 a
nd 0.881(eachs, each 9H, t-Bu), 0.292 and 0.161(ea
ch s, each 3H, Me).
【0035】<合成実験VI:5’−O−(t−ブチル
ジフェニルシリル)−3’−(t−ブチルジフェニル)
シリルオキシアミノ−2’−O−(t−ブチルジメチル
シリル)−3’−デオキシ−4−N−(4、4’ージメ
トキシトリチル)−シチジン(化合物[7])の合成>
前記合成実験Vで得られた化合物[6]の849mg
(1.0mmol)をジクロロメタン10mlに溶解
し、TEA237ml(1.7mmol)及びジメトキ
シトリチルクロライド(DMTrCl)508mg
(1.5mmol)を加え、アルゴン気流下、室温で撹
拌した。6時間後、反応液を濃縮し残査を酢酸エチル5
0ml、水50mlで分液、有機層を水50ml、飽和
食塩水50mlで洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。綿栓ろ過後、ろ液を濃縮し残査をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(φ2.5×12cm、ヘキ
サン:酢酸エチル=3:2)で精製し、標記化合物(化
合物[7])1.12g(収率97%)を白色泡状物質
として得た。以下に物性値を示す。 1H-NMR (CDCl3)δ :7.58-6.79(m, 34H, H-6 and arom),
6.67(br, 1H, 4-NH), 5.77(s, 1H, H-1'), 5.73(d, 1
H, 3'-NH, J3',3'-NH= 9.0 Hz), 4.75(d, 1H, H-5, J
5,6= 7.6 Hz), 4.33(d, 1H, H-2', J2',3'= 3.9Hz), 3.
76(s, 6H, dimethyl), 3.76-3.64(m, 2H, H-5'), 3.27
(m, 1H, H-4'), 3.00(ddd, 1H, H-3', J2',3'=3.9 Hz,
J3',4' = 11,4 Hz, J3',3'-NH= 9.0 Hz), 1.04, 0.969
and 0.886(each s, each 9H, t-Bu), 0.278 and 0.168
(each s, each 3H, Me).
【0036】<合成実験VII:3’−デオキシ−4−
N−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−ヒドロ
キシアミノシチジン(化合物[8])の合成>前記合成
実験VIで得られた化合物[7]の505mg(0.4
4mmol)をTHF4mlに溶解し、1M TBAF
1.58ml(1.58mmol)及び酢酸94μl
(1.58mmol)をアルゴン気流下で加え、室温で
撹拌した。3時間後、反応液を酢酸エチル50ml、水
50mlで分液、有機層を水50mlで4回、飽和食塩
水50mlで洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。綿栓ろ過後、ろ液を濃縮し残査をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(φ2×12cm、クロロホル
ム:メタノール=8:1)で精製し、標記化合物(化合
物[8])217mg(収率88%)を白色個体物質と
して得た。以下に物性値を示す。 1H-NMR (CDCl3) δ :7.70(d, 1H, H-6, J5,6= 7.4 Hz),
7.31-6.81(m, 13H, arom), 6.96(br, 1H, 4-NH), 5.64
(s, 1H, H-1'), 5.13(d, 1H, H-5, J5,6 =7.4 Hz), 4.4
4(m, 1H, H-2'), 4.11(m, 1H, H-4'), 3.87(d, 1H, H-
5'a, J5'a,5'b= 11.4 Hz), 3.84(d, 1H, H-5'b, J
5'a,5'b= 11.4 Hz), 3.76(s, 6H, dimethyl), 3.59(m,
1H, H-3').
【0037】<合成実験VIII:3’−デオキシ−
3’−ヒドロキシアミノシチジン(化合物[1b])の
合成>前記合成実験VIIで得られた化合物[8]の5
6mg(0.1mmol)を10%conc.塩酸/エタノ
ール溶液1mlに溶解し、アルゴン気流下、室温で撹拌
した。24時間後、conc.塩酸100μlを加えた。2
時間後、反応液を濃縮しエタノールで共沸した後、クロ
ロホルム25ml、水25mlで分液、水層をクロロホ
ルム25mlで3回洗浄した後に、水層を濃縮し、標記
化合物(化合物[1b])32mg(収率97%)を白
色泡状物質として得た。以下に物性値を示す。 融点:240℃(分解) 1H-NMR (DMSO-d6)δ:8.25(d, 1H, H-6, J5,6= 7.8 H
z), 6.21(d, 1H, H-5, J5, 6= 7.8 Hz), 5.93(d, 1H, H-
1', J1',2'= 4.6 Hz), 4.49(dd, 1H, H-2', J1',2'= 4.
6 Hz, J2',3'= 6.0 Hz), 4.45(m, 1H, H-4'), 3.93(dd,
1H, H-3', J2',3'=6.0 Hz, J2',3'= 5.8 Hz), 3.76(d
d, 1H, H-5'a, J4',5'b= 2.5 Hz, J5'a,5'b=12.2 Hz),
3.65(dd, 1H, H-5'b, J5'a,5'b= 12.2 Hz, J4',5'b= 2.
7 Hz).
【0038】
【薬理試験例1 殺細胞作用】ラットL1210細胞を
1×105cells/wellで96穴プレートに播
種した。本発明化合物[1a]、[1b]を精製水に溶
解させた後、RPMI1640メディウムで種々の濃度
に希釈し、各wellに添加し培養した。5%CO2
ンキュベーターで37℃、3日間の接触後、MTT法に
より細胞数を計測した。各化合物[1a]、[1b]の
殺細胞作用をコントロールの細胞数を50%減少させる
薬剤濃度(IC50)として表した。結果を表1に示す。
また、比較化合物としてテトラヘドロン レターズ(T
etrahedron Letters),Vol.3
1,No.4,531−534(1990)に記載の
2’−デオキシ−2’−(ヒドロキシアミノ)−ウリジ
ンを用いて、同様の試験をした。
【0039】
【表1】
【0040】この結果から明らかなように、本発明化合
物は、既知化合物である2’−デオキシ−2’−(ヒド
ロキシアミノ)−ウリジンと比較して強力な殺細胞活性
を示し、その有効性が確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 彰 北海道札幌市北区北24条西12丁目1−7− 501 (72)発明者 佐々木 琢磨 石川県金沢市泉野町4丁目12−5−401 (72)発明者 周東 智 北海道札幌市西区平和3条10丁目2−10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[1] 【化1】 (式中、Bは置換基を有してもよいシトシンまたはウラ
    シルを示し、R1、R2又はR3は水素原子または水酸基
    の保護基である。尚、糖はリボースを示す。)で表され
    るヒドロキシアミノ置換ヌクレオシド誘導体又はその薬
    学的に許容される塩。
  2. 【請求項2】 Bはシトシン又はウラシルであり、
    1、R2又はR3が水素原子である請求項1記載のヒド
    ロキシアミノ置換ヌクレオシド誘導体又はその薬学的に
    許容される塩。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の何れか記載のヒドロキ
    シアミノ置換ヌクレオシド誘導体又はその薬学的に許容
    される塩と薬学的担体とを含有することを特徴とする医
    薬組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2の何れか記載のヒドロキ
    シアミノ置換ヌクレオシド誘導体又はその薬学的に許容
    される塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
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