JP5957915B2 - 洗浄液兼充填液、該洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ、該洗浄液兼充填液を用いたインクジェット記録装置の洗浄、充填、保管方法 - Google Patents
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Description
インクカートリッジにもインク貯蔵部からインク供給口までのインク通液部などの液体流路があり、インクカートリッジを再利用するときなどには、これらの液体流路を洗浄する必要が生じる。
このインクを洗い流すための洗浄液としては、従来、主溶媒(例えば水)、界面活性剤、保湿剤などを含有させた固形分を含まない溶液が用いられてきた(特許文献1など)。また、ノズル内に付着した残留物を除去するためのメンテナンス液、クリーニング液なども提案されている(特許文献2など)。しかし、最近の画像形成の高度化に伴う諸々の要求を満たすことはできない。
上記技術の他に、特許文献4には、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミドと水を含み、更には界面活性剤を含む洗浄剤組成物が開示されている。しかし、該組成物は精密機械部品又は電気・電子部品の洗浄剤として開発されたものであって、インクジェット記録装置の洗浄に用いると、インク成分の凝集、洗浄力不足、洗浄液の泡立ちなどの問題を起こすことがあるため使用できない。
また、特許文献5には、N,N−ジメチル−β−アルコキシプロピオンアミド(アルコキシ基の炭素数3〜18)及びこれを含有する洗浄剤が開示されている。しかし「炭素数4〜12のものが好ましく、炭素数5〜12のものが特に好ましい(段落0019)。」としていることからも明らかなように、炭素数が少ないものは効果がないため、発明から除外している。
そのため、従来の洗浄液では洗浄性が不十分であったり、洗浄性を確保できたとしても、インクの充填性が悪くて吐出不良を起こしたり、ヘッド内の接着剤を膨潤させてヘッドの強度低下を招き吐出安定性が得られなかったり、インクが充填されるまでの保管期間にインク流路の金属部を腐食したりするなどの問題があった。
そこで、本発明は、インクジェット記録装置及びこの装置に用いるインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液であって、液体流路の洗浄を十分に行うことができる洗浄液の機能と、印字検査に用いたインクの洗浄残渣の凝集を防ぎ、液体流路部材への侵食もなく、インク充填時に問題を起こさない充填液としての機能を持つ洗浄液兼充填液の提供を目的とする。
本発明の洗浄液兼充填液は前記構造式(1)で示されるアミド化合物を含有することを特徴とする。
また、次の2)〜4)に記載する発明も本発明の実施の形態に含まれる。
2) 更にポリエーテル変性シリコーンオイルを含有することを特徴とする1)に記載の洗浄液兼充填液。
3) 1)又は2)に記載の洗浄液兼充填液を容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
4) 1)又は2)に記載の洗浄液兼充填液を通液して液体流路を洗浄した後、該洗浄液兼充填液を充填して保管することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄、充填、保管方法。
前記アミド化合物の添加量は洗浄液兼充填液全体の25.0〜45.0質量%とする。10.0質量%未満では上記機能が十分に発揮されず、45.0質量%を超えると、液体流路部材などを侵食して吐出等に悪影響を与えることがある。なお、10.0質量%以上、25.0質量%未満の範囲は、先願(特願2011−138918)に記載された発明との同一を回避するため削除した。
シリコーンオイルは離型成分として働き、洗浄残渣の微量残留物が液体流路及びヘッドに付着するのを防止する効果を奏する。シリコーンオイルを単独で添加すると液保存性が悪化するため添加量が限られるが、前記アミド化合物と併用すれば添加量を増やすことができる。そして、液体流路表面やヘッド表面に残った洗浄液兼充填液が膜のような働きをし、インク成分の液体流路やヘッドへの付着を抑えることができる。
シリコーンオイルの添加量は洗浄液兼充填液全体の0.1〜5.0質量%が好ましく、1.0〜2.5質量%がより好ましい。0.1質量%未満では、シリコーンオイルの添加効果が十分に現れない。また、5.0質量%を超えると、洗浄液兼充填液の保存安定性に影響を与える可能性がある。
変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部が有機基で置換されたものであり、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルに分類される。
反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、メタクリル変性などがあり、非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性、フロロ変性、フェニル変性などがある。
中でも、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく、保湿剤や界面活性剤を含有する場合に有効である。ポリエーテル変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルに比べて、液に対し適度な分散性を有しているため、洗浄液兼充填液の保存性が高くなり、固着防止効果も安定して得られるのではないかと考えられる。また、ポリエーテル変性シリコーンオイルは、ジメチルシロキサン中にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加物であるポリオキシアルキレン基を有するものであり、ポリオキシアルキレン基の数によって親水基、新油基のバランス(HLB)を多様に制御できるため、吐出液体に応じて種々選択することが出来る。通常変性されているものはHLBが5〜15の範囲にあるが、変性されていないものは、HLBが0に近くなる。
溶媒としては水を用いるが、水溶性有機溶剤を併用してもよい。
水溶性有機溶剤の添加量は洗浄液兼充填液全体の5〜20質量%程度が好ましい。
ここで、平衡水分量の高い水溶性有機溶剤とは、23℃、湿度80%の環境中の平衡水分量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上のものを言う。なお平衡水分量とは、水溶性有機溶剤と水の混合液を一定温度、湿度の空気中に開放し、混合液からの水の蒸発量と混合液による空気中の水の吸収量が平衡状態になったときの水分量を言う。
具体的には、塩化カリウム飽和水溶液を用いて、デシケーター内を、温度23±1℃、湿度80±3%に保ち、該デシケーター内で、各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを質量変化がなくなるまでの期間保管し、有機溶剤に吸収された水分量を測定して、次の式により求めることができる。
その具体例としては、1,2,3−ブタントリオール(bp175℃/33hPa、38質量%)、1,2,4−ブタントリオール(bp190〜191℃/24hPa、41質量%)、グリセリン(bp290℃、49質量%)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa、38質量%)、ジエチレングリコール(bp245℃、43質量%)、トリエチレングリコール(bp285℃、39質量%)、テトラエチレングリコール(bp324〜330℃、37質量%)、1,3−ブタンジオール(bp203〜204℃、35質量%)等が挙げられる。これらの中でも、グリセリンは、水分を含んだ場合に低粘度化することから特に好適である。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は0.01〜5.0質量%の範囲が好ましい。この範囲であれば、十分な添加効果が得られる。
フッ素系界面活性剤の例としては、下記構造式(2)で示されるものが挙げられるが、これに限られるわけではない。
上記構造式(2)におけるR1、R3のアルコキシ基としては、炭素数が1〜6の低級アルコキシ基が好ましい。また、R1〜R4のフッ素含有基としては、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基が好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン等が挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;第4級アンモニウム水酸化物やジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン;水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム等が挙げられる。
図1に示すインクジェット記録装置は、装置本体(101)と、装置本体(101)に装着した用紙を装填するための給紙トレイ(102)と、装置本体(101)に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ(103)と、インクカートリッジ装填部(104)とを有する。インクカートリッジ装填部(104)の上面には、操作キーや表示器などの操作部(105)が配置されている。インクカートリッジ装填部(104)は、インクカートリッジ(201)の脱着を行うための開閉可能な前カバー(115)を有している。(111)は上カバー、(112)は装置の前面である。
装置本体(101)内には、図2及び図3に示すように、左右の側板(不図示)に横架したガイド部材であるガイドロッド(131)とステー(132)とでキャリッジ(133)を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図3に示す矢示方向に移動走査する。
キャリッジ(133)には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド(134)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。サブタンク(135)には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部(104)に装填された本発明のインクカートリッジ(201)からインクが供給されて補充される。
この給紙部から給紙された用紙(142)を記録ヘッド(134)の下方側で搬送するための搬送部として、用紙(142)を静電吸着して搬送するための搬送ベルト(151)と、給紙部からガイド(145)を介して送られる用紙(142)を搬送ベルト(151)との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ(152)と、略鉛直上方に送られる用紙(142)を略90°方向転換させて搬送ベルト(151)上に倣わせるための搬送ガイド(153)と、押さえ部材(154)で搬送ベルト(151)側に付勢された先端加圧コロ(155)とが備えられ、また、搬送ベルト(151)表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ(156)が備えられている。
装置本体(101)の背面部には、両面給紙ユニット(181)が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット(181)は、搬送ベルト(151)の逆方向回転で戻される用紙(142)を取り込んで反転させて、再度、カウンタローラ(152)と搬送ベルト(151)との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット(181)の上面には手差し給紙部(182)が設けられている。
このとき、帯電ローラ(156)によって搬送ベルト(157)が帯電されており、用紙(142)は、搬送ベルト(151)に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ(133)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(134)を駆動することにより、停止している用紙(142)にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙(142)を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙(142)の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙(142)を排紙トレイ(103)に排紙する。
そして、サブタンク(135)内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ(201)から所要量のインクがサブタンク(135)に補給される。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
また、上記インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
図4は、インクジェットヘッドの一例の要部拡大図、図5は、同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、インク供給口(不図示)と共通液室(1b)となる彫り込みを形成したフレーム(10)と、流体抵抗部(2a)、加圧液室(2b)となる彫り込みと、ノズル(3a)に連通する連通口(2c)を形成した流路板(20)と、ノズル(3a)を形成するノズルプレート(30)と、凸部(6a)、ダイヤフラム部(6b)及びインク流入口(6c)を有する振動板(60)と、該振動板(60)に接着層(70)を介して接合された積層圧電素子(50)と、該積層圧電素子(50)を固定しているベース(40)を備えている。
ベース(40)はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子(50)を2列配置して接合している。
積層圧電素子(50)は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚さ数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層している。内部電極層は両端で外部電極に接続する。
駆動部の個別電極にはFPC8が半田接合されている。また、共通電極は積層圧電素子の(50)の端部に電極層を設けて回し込んでFPC8のGnd電極に接合させている。FPC8にはドライバIC(不図示)が実装されており、これにより駆動部(5f)への駆動電圧印加を制御している。
流路板(20)はシリコン単結晶基板からなり、流体抵抗部(2a)、加圧液室(2b)となる彫り込み、及びノズル(3a)に対する位置に連通口(2c)となる貫通口がエッチング工法によりターニングされている。
エッチングで残された部分が加圧液室(2b)の隔壁(2d)となる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部(2a)としている。
撥インク層としては、フッ素樹脂シリコーン樹脂などの樹脂層、フッ素系シランカップリング剤、Ni/PTFE共析膜などの金属/樹脂複合膜などが用いられるが、特にシリコーン樹脂、フッ素系シランカップリング剤の場合、本発明の効果が非常に顕著になる。
インク供給口と共通液室(1b)となる彫り込みを形成するフレーム(10)は樹脂成形で作製している。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室(2b)内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室(2b)内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室(1b)に流入し、共通液室(1b)からインク流入口(6c)を経て流体抵抗部(2a)を通り、加圧液室(2b)内に充填される。
本発明の洗浄液兼充填液を用いて洗浄する際には、前記圧電素子のように圧電アクチュエータにより、吐出が起こらない程度の微駆動による振動を利用して洗浄効果をより高めることも可能であり、非常に洗浄効率が向上し有効な手段である。
上記インクジェットノズル板、インクジェットヘッドは、これらインクジェット記録装置(画像形成装置)への応用が効果的であるが、これに限らず、カラーフィルター、有機EL等の製造装置、その他各種パターニング装置にも応用可能である。
インクの構成成分としては、色材、湿潤剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤、その他の添加剤(pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等)、樹脂等が挙げられる。インクが乾燥した際に、特に色材、樹脂などの固形分がノズル内に固着残留物として残り、それらが曲がりなどの吐出不良の原因となる。色材として顔料を用いた場合や樹脂として樹脂エマルジョンを用いた場合は、これらが溶媒に溶解せずに分散しているため固着残留物となり易く、本発明は有効である。顔料の場合は再分散性のあるものもあるが、樹脂エマルジョンは一度固着してしまうと、新たに吐出液体に接触しても再分散しないこと、また定着性付与のための添加であることが多く、接着機能があることから、ノズル内壁などに固着してしまうと完全に除去するのは非常に困難であったが、本発明ではそれが可能となった。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、及びコンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの中でも、溶媒と親和性の良いものが好ましい。
上記の他に、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等も使用できる。また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
顔料の粒径については特に制限は無いが、最大個数換算で最大頻度が20〜150nmの粒径の顔料インクが好ましい。粒径が150nmを超えると、インクとしての顔料分散安定性が悪くなるばかりでなく、吐出安定性も劣化し、画像濃度などの画像品質も低くなり好ましくない。粒径が20nm未満では、インクの保存安定性、プリンタでの噴射特性は安定するが、そのように細かな粒径にまで分散させるには、分散操作や、分級操作が複雑となり、経済的に記録液を製造することが困難となる。
分散剤を用いて顔料を分散する場合には、公知の分散剤を適宜使用することができる。たとえば、高分子分散剤、水溶性界面活性剤などが挙げられる。
その例としては、親水性高分子として、天然系ではアラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子;アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子;キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系ではメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ブロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系ではポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等、及びこれらの塩が挙げられる。
これらの樹脂の添加量は、信頼性を考慮した上で適宜選択される。
分散相の樹脂微粒子成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられ、特にアクリルシリコーン系樹脂が効果的であるが、特に限定されるものではなく、公知のものを用いた場合に信頼性を確保するためのものであり、市販の樹脂エマルジョンを用いることも可能である。
その他の構成成分である、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐防黴剤などは前記洗浄液兼充填液の構成成分と同様であり、特に限定されるものではない。
上記インクは、前述の構成成分を媒体中に分散又は溶解し、さらに必要に応じて攪拌混合して作製する。分散はサンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
表1、表2の各実施例、参考例及び比較例の欄に示す材料を混合して、各洗浄液兼充填液を作製した。なお、表中の数値は質量%であり、イオン交換水は全体で100質量%となるように加えた。
表1、表2中の製品名などで示した材料の詳細は以下のとおりである。
・ポリエーテル変性シリコーンオイル:東レダウコーニング社製、FZ−2123
・ゾニールFS−300(フッ素系界面活性剤):ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(DuPont社製、有効成分40質量%)
・ソフタノールEP−7025(ノニオン界面活性剤):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒社製、有効成分100質量%)
・ユニセーフA−LY(ノニオン界面活性剤):ポリオキシエチレンやし油アルキルジメチルアミンオキシド(日本油脂社製)
・ECTD−3NEX(アニオン界面活性剤):ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製)
・ECTD−6NEX(アニオン界面活性剤):ポリオキシエチレン(6)アルキルエーテル酢酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製)
−ポリマー溶液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4g、メチルエチルケトン40.0gを混合し、65℃に昇温した。
次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342.0gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
前記ポリマー溶液28gとC.I.ピグメントイエロー74を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20.0g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料を15質量%含有する、固形分20質量%のイエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
以下の手順でイエロー顔料インクを調製した。
まず、1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA社製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し、1時間攪拌して均一に混合した。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、1時間撹拌した。その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、粗大粒子を除去して評価用のイエローインクとした。
前記ポリマー溶液17.5gとC.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料を15質量%含有する、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
以下の手順でマゼンタ顔料インクを調製した。
まず、3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、DuPont社製ゾニールFSO−100を0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し、1時間攪拌して均一に混合した。この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、1時間撹拌した。その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、粗大粒子を除去して評価用のマゼンタインクとした。
洗浄液兼充填液97質量%、インク3質量%の混合液を作製し、65℃で50時間放置した後、外観変化を、目視により、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:分離の有無が判らない。
△:濃淡が見られる。
×:分離が起こっている。
・初期状態の設定
インクジェットプリンター(IPSIO GX3000、リコー社製)のインク供給経路やヘッド内のインクを純水で置換し、その後、ブラック、シアンインクの代わりに前記評価用のマゼンタインクを充填したカートリッジを、マゼンタ、イエローインクの代わりに前記評価用のイエローインクを充填したカートリッジを取り付け、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を10回繰り返し、インク供給経路やヘッド内のインクを評価用インクに置き換えた。その後、ノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが無くなるまでヘッドリフレッシング動作を行った。
・洗浄処理
インクジェットプリンターのノズル抜けが無いことを確認した後、洗浄液兼充填液を充填したカートリッジを全カートリッジの代わりに取り付け、ヘッドリフレッシング動作を6回実施した。その後、プリンターの維持ユニットを動作させ、各ヘッドから4.5ccだけ吸引し再び充填する動作を3回繰り返した。再度充填後、各ヘッドから2cc吸引し、ノズル面をワイピングすることによりインクジェット記録装置内の経路を洗浄した。
・洗浄性の評価
最後の吸引洗浄液兼充填液を回収し、マゼンタインクで563nm、イエローインクで421nmでの吸光度測定を行い、インクの同波長の吸光度との比較により、回収した洗浄液兼充填液中のインク着色微粒子の濃度(質量%)を算出し、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:3%未満
△:3%以上、5%未満
×:5%以上
インクジェットプリンター(IPSIO GX3000、リコー社製)を用い、洗浄液兼充填液でインクジェットプリンターのインク流路を洗浄した後、同じ洗浄液兼充填液を充填し、ノズル面に保湿キャップをして50℃、60%RH環境下で1ヶ月間放置した。その後、前述した評価用のイエローインク、マゼンタインクを充填したインクカートリッジを取り付け、インク充填動作を実施した。次いで、ノズルチェックパターンを印字し、インク充填動作後にヘッドリフレッシング動作を繰り返し、ノズルチェックを行って吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)が無くなるまでのヘッドリフレッシング回数により次の基準でインク充填性を評価した(最大8回まで)。
〔評価基準〕
◎:ヘッドリフレッシング1回
○:ヘッドリフレッシング2回
△:ヘッドリフレッシング3回〜4回
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、又は回復不能
・初期状態の設定
インクジェットプリンターに使用されている一般的なSUSフィルターをφ13で切り出し、マゼンタインクを100mL通液して初期状態の流体抵抗(A)を求めた。
次いで、150mmの水頭差でマゼンタインクを10L通液し、インク成分及び異物が付着したフィルターを作製して、10L通液後の流体抵抗(B)を求めた。
上記流体抵抗値(A)、(B)から、流体抵抗上昇値(B−A)を求めた。
・洗浄処理
上記マゼンタインクを10L通液したフィルターに対し、各洗浄・機能回復液を50mL通液させた後、改めて新しいマゼンタインクを100mL通液して、流体抵抗(C)を求めた。
・洗浄性の評価
上記各測定値から、次式により流体抵抗の回復率を算出し、下記の基準で評価した。
回復率(%)=〔(B−C)/(B−A)〕×100
〔評価基準〕
◎:80%以上
○:60%以上、80%未満
△:40%以上、60%未満
×:40%未満
また、より好適な量のシリコーンオイルを含有する実施例14は、インク充填性や流体抵抗上昇抑制効果が一層向上した。
一方、比較例では、アミド化合物の含有量が適量でないため、インクとの混合性が不十分であったり、洗浄性、インク充填性が悪い結果となった。
2a 流体抵抗部
2b 加圧液室
2c 連通口
2d 隔壁
3a ノズル
5f 駆動部
5g 支持部(非駆動部)
6a 凸部
6b ダイヤフラム部
6c インク流入口
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
201 インクカートリッジ
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