JP5170500B2 - インクジェットヘッド用ノズル板、ヘッド、インクジェット記録用インクおよびこれを用いたインクジェット記録装置、記録方法 - Google Patents
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Description
そこで、発明者らはインクの表面張力を下げて紙への濡れ性を上げて発色性を向上させ高画質化の検討を進めてきた(特許文献1:特開2003−335987号公報、特許文献2:特開2005−298806号公報)。
この場合、インクの表面張力を下げたため、ノズルプレートの撥インク性が従来公知のものでは不十分となり、われわれはノズルの撥インク層に液状シリコーン樹脂組成物を塗布後、硬化してシリコーン皮膜を形成して用いることを提案した(特許文献3:特開2005−138383号公報)。
シリコーン樹脂をノズル撥インク層として用いることは特許文献4(特開2003−72085号公報)、特許文献5(特開2003−72086号公報)でも開示されているが、これらの場合は、液状シリコーン樹脂材料の真空蒸着、シリコーンオイルのプラズマ重合によりシリコーン皮膜を作製する等の乾式法であり、真空処理が必要となりコストや時間がかかったり、低表面張力インクに対しては撥インク性が十分ではなかった。
特許文献3によりノズルプレートの撥インク性が向上し発色性の向上が可能になったが、シリコーンで形成された撥インク層が、紙との接触、クリーニング機構等でワイパーブレードとの接触により傷がついたり磨耗したりして撥インク性が低下して、ノズル面としての機能(吐出安定性、クリーニング性等)を十分満足できない等の問題があることが体験され、特に、ヘッドの長寿命化が必要なハイエンドモデル、オフィス用モデルにはノズルプレートの機械的強度向上は必須であるとの認識を持つに至った。
(1)「ノズル部材のインク吐出面側にシリコーンを硬化させて形成した撥インク層を具備するノズル板において、硬化前シリコーンの重量平均分子量Mw(Pr)と、硬化後シリコーンのトルエン抽出物の重量平均分子量Mw(Ex)が、下記(1)式の関係にあることを特徴とするインクジェットヘッドのノズル板;
(2)「前記シリコーンを不活性雰囲気化200〜300℃で加熱硬化したものであることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェットヘッドのノズル板」、
(3)「前記シリコーン皮膜を形成したノズル板が、不活性雰囲気化200〜300℃で加熱硬化する工程および大気中200℃以下で加熱酸化する工程にて作製されたものであることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のインクジェットヘッドのノズル板」、
(4)「前記シリコーンを酸化防止剤存在化、200〜300℃で加熱硬化したものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のインクジェットヘッドのノズル板」、
(5)「前記シリコーンの硬化反応がシラノール基と加水分解性シリル基間の縮合反応であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のインクジェットヘッドのノズル板」、
(6)「前記加水分解性シリル基がアルコキシシリル基であることを特徴とする前記第(5)項に記載のインクジェットヘッドのノズル板」、
(7)「前記加水分解性シリル基がオキシムシリル基であることを特徴とする前記第(5)項に記載のインクジェットヘッドのノズル板」、
(8)「前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のノズル板を使用していることを特徴とするインクジェットヘッド」、
(9)「前記第(8)項に記載のヘッドを使用していることを特徴とするインクジェット記録装置」、
(10)「前記第(8)項に記載のヘッドを使用して、振動板を変形させることでインクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録方法」、
(11)「前記第(8)項に記載のヘッドを使用して、熱エネルギーでインクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録方法」、
(12)「インクが色材として顔料を含有したインク組成物を用いることを特徴とする前記第(9)項に記載のインクジェット記録装置」、
(13)「インク中にフッ素系界面活性剤を含有するインク組成物を用いることを特徴とする前記第(9)項に記載のインクジェット記録装置」、
(14)「インク中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(2)で示した構造であることを特徴とする前記第(13)項に記載のインクジェット記録装置;
(15)「インク中のフッ素系界面活性剤が下記一般式(3)で示した構造であることを特徴とする前記第(13)項に記載のインクジェット記録装置;
(16)「インク中に樹脂エマルジョンを含有するインク組成物を用いることを特徴とする前記第(9)項に記載のインクジェット記録装置」、
(17)「色材として顔料を含有したインク組成物を用いたインクジェット記録用インクであって、ノズル部材を有するインクジェットヘッドで吐出され、該ノズル部材は、インク吐出面側にシリコーンを硬化させて形成した撥インク層を具備し、硬化前シリコーンの重量平均分子量Mw(Pr)と、硬化後シリコーンのトルエン抽出物の重量平均分子量Mw(Ex)が、下記(1)式の関係にあることを特徴とするインクジェット記録用インク」、
(18)「前記インク組成物が、フッ素系界面活性剤を含有するものであることを特徴とする前記第(17)項に記載のインクジェット記録用インク」、
(19)「インク中の前記フッ素系界面活性剤が下記一般式(2)で示した構造のものであることを特徴とする前記第(18)項に記載のインクジェット記録用インク;
(20)「インク中の前記フッ素系界面活性剤が下記一般式(3)で示した構造のものであることを特徴とする前記第(18)項に記載のインクジェット記録用インク;
さらに、シリコーンを不活性雰囲気化で200〜300℃で加熱硬化することにより、シリコーンの酸化劣化を防いだ上で架橋反応を促進できるため、シリコーン皮膜の撥インク性と機械強度が高いレベルで両立することを見い出した。
また、シリコーン皮膜を形成したノズル板が、不活性雰囲気化200〜300℃で加熱硬化する工程および大気中200℃以下で加熱酸化する工程にて作製されたものであることにより、シリコーン皮膜は撥インク性と機械的強度を両立し、ノズル板のシリコーン皮膜以外の部分は酸化皮膜が生成し、インク接液性を維持することが可能となる。
また、シリコーンを酸化防止剤存在化、200〜300℃で加熱硬化した場合には、シリコーンの酸化劣化を防いだ上で架橋反応を促進できるため、シリコーン皮膜の撥インク性と機械的強度が高いレベルで両立し、さらにノズル板のシリコーン皮膜以外の部分は酸化皮膜が生成し、インク接液性を維持することが可能となる。
シリコーンの硬化反応がシラノール基と加水分解性シリル基間の縮合反応で、特に加水分解性シリル基がアルコキシシリル基またはオキシムシリル基である場合に効果的である。
また、インクが色材として顔料を含有したインク組成物である場合、ノズル板が磨耗しやすくなるため機械的耐久性がより必要となり、本発明は効果的である。さらにインク中にフッ素系界面活性剤を含有するインク組成物である場合に低表面張力となり本発明は効果的である。特にフッ素系界面活性剤が前記一般式(2)または(3)で示した構造である場合には非常に有効である。さらに、インク中に樹脂エマルジョンを含有する場合は、ノズル板へのインク付着性、残留性が上がったり、逆に磨耗しやすくなったりするため、本発明は効果的である。
また、クリーニング性能、吐出安定性などに優れた信頼性の高いインクジェットヘッドが提供できた。
シリコーンはSiとOからできたシロキサン結合を基本骨格とし、側鎖に有機基を有するオルガノポリシロキサン類であり、シリコーン層をノズル面上に形成する方法としては、液状のシリコーン溶液または分散液をスピンコート、ディッピング、スプレーコート等の塗布により形成する方法、電着法等が挙げられる。シリコーン層を形成する際、電着法以外ではノズル孔及びノズル板裏面をフォトレジスト、水溶性樹脂等でマスキングし、シリコーン層形成後、レジストを剥離除去すればノズル板表面のみに、シリコーンの撥インク層を形成することができる。ただし、本発明においては、これらシリコーン樹脂層の形成方法は限定されるものではない。一般的に膜厚は厚い方が機械的耐久性は高いが、しかし、本発明の場合、ノズル板の撥インク層であり、単純に基板上に上塗りするだけではなく、ノズル孔を作製しなければならない等の制限がある。シリコーン層の厚みは、0.1〜5.0μm程度が好ましく、特にノズル径精度等を考慮すると0.5〜2.0μmが好ましい。
シリコーン皮膜の硬化度を上げるには、硬化温度を上げるのが最も効果的である。ただし、硬化温度を上げすぎると表面が酸化し、本来の機能である撥インク性が低下する問題があることから、撥インク性を低下させずに硬化度を上げることが必要となる。この対策として、不活性雰囲気下での加熱硬化、酸化防止剤存在下での加熱硬化等が挙げられる。シリコーンとしては、実施例中に記載の東レダウコーニング社製シリコーンレジンSR2411、SR2410等が挙げられ、これらは機械的耐久性もさることながら、ノズル板としての撥インク性を確保できるものとして選択されたものであり、その耐久性をいかに上げるかという点でも工夫すべきである。
Mw(Ex)/Mw(Pr)は架橋度を表わす指標であり、Mw(Ex)/Mw(Pr)が小さければ架橋度が高いことを表わし、0.08未満の場合には硬化反応が進みシリコーン層の硬度等の機械的強度が十分得られる。ただし、100%硬化反応が完結するというのは考え難く、実質的にはMw(Ex)/Mw(Pr)が0になることはないと考えられるが、Mw(Ex)が検出限界以下の場合には、Mw(Ex)/Mw(Pr)は0になる。
一方、Mw(Ex)/Mw(Pr)が大きければ架橋度が低いことを表わし、撥インク性が得られても機械的強度が十分得られない。
特に、振動板を変形させるピエゾ型のもの、熱エネルギーで吐出させるサーマル型のものが効果的である。
図1に示すインクジェット記録装置は、装置本体(101)と、装置本体(101)に装着した用紙を装填するための給紙トレイ(102)と装置本体(101)に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ(103)とを備えている。そして装置本体(101)の上カバー(111)の上面は略平坦な面であり、装置本体(101)の前カバーの前面(112)が上面に対して斜め後方に傾斜し、この傾斜した前面(112)の下方側に、前方(手前側)に突き出した排紙トレイ(103)および給紙トレイ(102)を備えている。さらに、前面(112)の端部側には、前面(112)から前方側に突き出し、上カバー(111)よりも低くなった箇所にインクカートリッジ装填部(104)を有し、このインクカートリッジ装填部(104)の上面に操作キーや表示器などの操作部(105)を配置している。このインクカートリッジ装填部(104)にはインクカートリッジの脱着を行なうための開閉可能な前カバー(115)を有している。
記録ヘッド(134)を構成するヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエーター、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーターなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。このサブタンク(135)に、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部(104)に装填されたインクカートリッジからインクが補充供給される。
このとき、帯電ローラ(156)によって搬送ベルト(151)が帯電されており、用紙(142)は搬送ベルト(151)に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ(133)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(134)を駆動することにより,停止している用紙(142)にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙(142)を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。記録終了信号または用紙(142)の後端が記録領域に到達した信号を受け取ることにより、記録動作を終了して、用紙(142)を排紙トレイ(103)に排紙する。
そしてサブタンク(135)内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジから所要量のインクがサブタンク(135)に補給される。
図4は本発明を適用したインクジェットヘッドの要素拡大図、図5は同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、図示してないインク供給口(図4の表面方向から奥方向(紙の裏面方向)に向かってインクを供給する)と共通液室(12)となる彫り込みを形成したフレーム(10)と、流体抵抗部(21)、加圧液室(22)となる彫り込みとノズル(31)に連通する連通口(23)を形成した流路板(20)と、ノズル(31)を形成するノズル板(30)と、凸部(61)、ダイヤフラム部(62)およびインク流入口(63)を有する振動板(60)と、振動板(60)に接着層(70)を介して接合された積層圧電素子(50)と、積層圧電素子(50)を固定しているベース(40)を備えている。ベース(40)はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子(50)を2列配置して接合している。
積層圧電素子(50)は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層(51)と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層(52)とを交互に積層している。内部電極層(52)は両端で外部電極(53)に接続する。
積層圧電素子(50)はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部(56)と支持部(57)(非駆動部)として使用(図5)する。
2つの外部電極(53)のうち一方(図の表面方向又は奥方向(紙の裏面方向)で内部電極層(52)の一端に連なる)の外側端はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極(54)となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており、共通電極(55)となる。
駆動部の個別電極(54)にはFPC(80)が半田接合されている。また、共通電極(55)は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC(80)のGnd電極に接合している。FPC(80)には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部(56)への駆動電圧印加を制御している。
この振動板(60)の島状凸部(61)と積層圧電素子(50)の可動部(56)、振動板(60)とフレーム(10)の結合は、ギャップ材を含んだ接着層(70)をパターニングして接着している。
エッチングで残された部分が加圧液室(22)の隔壁(24)となる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部(21)とした。
このノズル板(30)のインク吐出面(ノズル表面側)は、撥インク層(90)を設けている。本発明ではシリコーンを硬化させて形成した撥インク層が形成されており、詳細は前述のとおりである。この撥インク層はシリコーン単独のみならず、他の樹脂、金属等の構成成分との混合体でも良い
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室(22)内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室(22)内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室(12)に流入し、共通液室(12)からインク流入口(63)を経て流体抵抗部(21)を通り、加圧液室(22)内に充填される。
流体抵抗部(21)は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果がある反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
まず、フッ素系界面活性剤についてだが、これをインクに含有させることによって、インク中で色材を安定に分散させ、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られる。インク中への添加量としては、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であるが、本発明では特に限定されるものではない。フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物等が挙げられ、前記一般式(1)で示した構造のものが特に信頼性の観点からも特に好ましい。さらにフッ素系化合物として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93,FC−95,FC−98,FC−129,FC−135,FC−170C,FC−430,FC−431,FC−4430(住友スリーエム社製)、メガファックF−470,F−1405,F474(大日本インク化学工業社製)、ゾニールFS−300,FSN,FSN−100,FSO(デュポン社製)、エフトップEF−351,352,801,802(ジェムコ社製)等が簡単に入手でき本発明に用いることができる。この中でも,特に信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300,FSN,FSN−100,FSO(デュポン社製)が好適に使用できる。これら市販のものは、数種類の分子量のものの混合物(前記一般式(2)ではm、nが分布を有している)であることが多いが、本発明の効果においては問題なく認められる。
これらは、単独または二種以上を混合して用いることも可能で、また、後述するアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の各種界面活性剤と混合して用いることも可能である。
まず色材としては、従来公知のものを使用することができるが、本発明では特に顔料インクの場合に効果的である。
水溶性染料としてはカラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で、好ましくは耐水、耐光性が優れたものが用いられる。
これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料および食用染料として、
C.I.アシッドイエロー;17,23,42,44,79,142、
C.I.アシッドレッド;1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、
C.I.アシッドブルー;9,29,45,92,249、
C.I.アシッドブラック;1,2,7,24,26,94、
C.I.フードイエロー;3,4、
C.I.フードレッド;7,9,14、
C.I.フードブラック;1,2、
直接性染料として、
C.I.ダイレクトイエロー;1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144、
C.I.ダイレクトレッド;1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、
C.I.ダイレクトオレンジ;26,29,62,102、
C.I.ダイレクトブルー;1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、
C.I.ダイレクトブラック;19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171、
塩基性染料として、
C.I.べーシックイエロー;1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、
C.I.ベーシックレッド;2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、
C.I.べーシックブルー;1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、
C.I.ベーシックブラック;2,8、
反応性染料として、
C.I.リアクティブブラック;3,4,7,11,12,17、
C.I.リアクティブイエロー;1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、
C.I.リアクティブレッド;1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97、
C.I.リアクティブブルー;1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95、
等が使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を用いるとインクの表面張力を下げて紙への濡れ性が上がり発色性を向上させる効果が大きいが、ノズル板の撥インク性が落ちるため、吐出安定性、クリーニング性能が劣るという問題があった。しかし本発明のノズル板を使用すれば、撥インク性が確保でき、フッ素系界面活性剤の効果が有効に発揮できることとなった。ただし、本発明はフッ素系界面活性剤に限定されたものではなく、通常の炭化水素系界面活性剤等にも適応されるものである、これら界面活性剤を界面活性機能部位から分類すると、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性界面活性剤に分類できる。
カチオン界面活性剤としてはアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等がある。
ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシド等がある。
両性界面活性剤としてはイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン等がある。
インク組成物中でのこれら界面活性剤の添加量は0.01重量%〜5.0重量%であり、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。0.01重量%未満では添加した効果は無く、5.0重量%より多い添加では記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題がある。前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
ここで、樹脂エマルジョンとは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても良い。分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は一般的には10〜70重量%程度であり、樹脂微粒子の粒径は特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、平均粒径で10〜1000nmが好ましく、さらに20〜300nmが好ましいが、本発明では特に限定されるものではない。分散相の樹脂微粒子成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂などが挙げられ、特にアクリルシリコン系樹脂が効果的であるが、本発明においてはこれら樹脂エマルジョンの種類に限定されるものではなく、公知のものを用いた場合に信頼性を確保するためのものであり、市販の樹脂エマルジョンを用いることも可能である。市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−100、E−2002、E−5002(スチレン‐アクリル系樹脂エマルジョン 日本ペイント製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン 大日本インキ化学製)、ジョンクリル775(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン ジョンソンポリマー製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン 日本ゼオン製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン サイデン化学製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリル−シリコン系樹脂エマルジョン 東洋インキ製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン 御国色素製)などが挙げられる。
インク組成物中の前記樹脂微粒子の含有量としては、一般的には0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%であるが、本発明では特に限定されるものではない。
Ni電鋳ノズル表面上に、シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン社製SR2411 加水分解性シリル基がオキシムシリル基)をスプレー法にて塗布して約1.0μmシリコーン層を形成した。この際、ノズル孔及びノズル板裏面を水溶性樹脂でマスキングし、シリコーン層塗布形成後、剥離除去して形成した。これを大気中で260℃30分間加熱硬化させて撥インク層とした。
このようにして作製したノズル板(撥インク層表面積:4cm2)をトルエン8ml中に浸漬して、38kHz、1W/cm2の超音波を30時間照射した後のトルエン抽出液をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)装置に注入して重量平均分子量Mw(Ex)を測定した。一方、シリコーンレジンSR2411の重量平均分子量Mw(Pr)もGPCにて測定し、Mw(Ex)/Mw(Pr)を求めた。
キャボット製カーボンブラック分散体(スルホン基付加型自己分散タイプ)を用いて、以下の処方で混合攪拌後、0.8μmポリプロピレンフィルターにて濾過しインクを作製した。
ブラック分散体 40重量部
CAB−O−JET 200(スルホン基付加型 キャボット製)
アクリルシリコン系樹脂エマルジョン 8重量部
ナノクリルSBCX−2821 東洋インキ製
1,3−ブタンジオール 18重量部
グリセリン 9重量部
2−ピロリドン 2重量部
フッ素系界面活性剤FS−300(Du Pont社製) 2重量部
前記一般式(2)中、m=6〜8、n=26以上のもの
プロキセルLV(アビシア社製) 0.2重量部
イオン交換水 20.8重量部
実施例1において、シリコーン層の硬化条件をN2雰囲気化で200℃1.5時間とした。
実施例1において、シリコーン層の硬化条件をN2雰囲気化で250℃1時間とした。
実施例1において、シリコーン層の硬化条件をN2雰囲気化で300℃30分とした。
実施例1において、シリコーン層の硬化条件をN2雰囲気化で320℃30分とした。
実施例1において、シリコーン層の硬化条件をN2雰囲気化で280℃30分とし、さらにノズル板を大気中で180℃1時間加熱した。
Ni電鋳ノズル表面上に、シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン社製SR2410 加水分解性シリル基がアルコキシシリル基)にヒンダードフェノール系酸化防止剤IRGANOX1010(チバ・スペシャルティーケミカルズ製)を0.5%添加した後、スプレー法にて塗布して約1.0μmシリコーン層を形成した。この際、ノズル孔及びノズル板裏面を水溶性樹脂でマスキングし、シリコーン層塗布形成後、剥離除去して形成した。これを大気中で270℃30分加熱硬化させて撥インク層とした。
作製したノズル板は実施例1と同様にMw(Ex)/Mw(Pr)を求め、また、以下のインクに対する後退接触角を測定した。
マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントマゼンタ122を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のマゼンタ顔料分散液とした。これを用いて以下の処方で混合攪拌後、0.8μmポリプロピレンフィルターにて濾過しインクを作製した。
マゼンタ分散液 40重量部
ジエチレングリコール 20重量部
グリセリン 10重量部
フッ素系界面活性剤 1重量部
前記一般式(3)中、n=4、m=21、p=4、Rf=CF2CF3のもの
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
イオン交換水 28.5重量部
Ni電鋳ノズル表面上に、シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン社製SR2410 加水分解性シリル基がアルコキシシリル基)にヒンダードフェノール系酸化防止剤IRGANOX1076(チバ・スペシャルティーケミカルズ製)を0.7%添加した後、スプレー法にて塗布して約1.0μmシリコーン層を形成した。この際、ノズル孔及びノズル板裏面を水溶性樹脂でマスキングし、シリコーン層塗布形成後、剥離除去して形成した。これを大気中で250℃1時間加熱硬化させて撥インク層とした。
作製したノズル板は実施例1と同様にMw(Ex)/Mw(Pr)を求め、また、以下のインクに対する後退接触角を測定した。
特開2001−139849号公報に記載の調製例3を参考に、銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散液を追試調製した。
まず始めに、ポリマー溶液の調製として、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
前述で得られたポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。その後、3本ロールミル((株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0wt%のシアン色のポリマー微粒子分散液160gを得た。
この分散液を用いて以下の処方で混合攪拌後、0.8μmポリプロピレンフィルターにて濾過しインクを作製した。
1,3−ブタンジオール 22重量部
グリセリン 8重量部
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量部
プロキセルLV(アビシア社製) 0.5重量部
イオン交換水 12.5重量部
実施例3で作製し、3000回ワイピングした後のノズル板を用いてヘッドを作製し、前述した図1,2,3にて示したプリンター(リコー製IPSiO G707)に装着して、実施例1で作製したインクを用いて以下の方法で吐出安定性を評価した。
画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%duty、記録密度は360dpi、ワンパス印字で連続500枚の印写を行なった後も、5%チャートベタ部のスジ,白抜け,噴射乱れは認められなかった。すなわち、本発明のノズル面は初期だけでなく3000回のワイピング、500枚の通紙においても十分な撥インク性を維持しており、撥インク性、機械的強度の両面が優れていることがわかった。
実施例1において、シリコーン層の硬化条件を大気中で常温12時間とした。
実施例1において、シリコーン層の硬化条件をN2雰囲気化180℃1.5時間とした。
実施例6において、シリコーン層の硬化条件を大気中で150℃2時間とした。
12 共通液室
20 流路板
21 流体抵抗部
22 加圧液室
23 連通口
24 隔壁
30 ノズル板
31 ノズル
40 ベース
50 積層圧電素子
51 圧電層
52 内部電極層
53 外部電極
54 個別電極
55 共通電極
56 駆動部(可動部)
57 支持部
60 振動板
61 島状凸部
62 ダイヤフラム部
63 インク流入口
70 接着層
80 FPC
90 撥インク層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
Claims (16)
- 前記シリコーンを不活性雰囲気化200〜300℃で加熱硬化したものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドのノズル板。
- 前記シリコーン皮膜を形成したノズル板が、不活性雰囲気化200〜300℃で加熱硬化する工程および大気中200℃以下で加熱酸化する工程にて作製されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドのノズル板。
- 前記シリコーンを酸化防止剤存在化、200〜300℃で加熱硬化したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドのノズル板。
- 前記シリコーンの硬化反応がシラノール基と加水分解性シリル基間の縮合反応であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェットヘッドのノズル板。
- 前記加水分解性シリル基がアルコキシシリル基であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッドのノズル板。
- 前記加水分解性シリル基がオキシムシリル基であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッドのノズル板。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のノズル板を使用していることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項8に記載のヘッドを使用していることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項8に記載のヘッドを使用して、振動板を変形させることでインクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項8に記載のヘッドを使用して、熱エネルギーでインクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録方法。
- インクが色材として顔料を含有したインク組成物を用いることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
- インク中にフッ素系界面活性剤を含有するインク組成物を用いることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
- インク中に樹脂エマルジョンを含有するインク組成物を用いることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
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