JP2011255566A - インクジェット記録装置及びインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液、並びに該洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ - Google Patents
インクジェット記録装置及びインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液、並びに該洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】インクジェット記録装置及びインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液であって、水溶性有機溶剤、水、と例えば、下記式で表される少なくとも1種の化合物を含有するインクジェット記録装置及びインクカートリッジ用洗浄液兼充填液。
(R1,R3は、水素、低級アルコキシ基、又は低級パーフルオロアルコキシ基、R2,R4は、低級パーフルオロアルキル基を表す。mは1〜25、nは0〜10、p、q、rはそれぞれ1〜10の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
この液体吐出ヘッドは、直径50μm以下の微細なオリフィスを持つノズル部や、ノズル部に繋がる圧力発生部、圧力発生部に液体を供給する液室部、液室へ流入する液体を濾過するフィルター部などから構成され、非常に高精度に加工され形成されている。
また、ヘッド当たりのノズル数も数十から数千と膨大なため、製品として出荷する前に全体が正常に動作し、吐出不良状態(ノズルより吐出できない状態、ノズル面に対して約垂直方向に吐出されない状態、吐出された液滴が所望の大きさを形成できない状態)が存在しないことを確かめる必要がある。
このような検査を行うため、検出可能な液体をヘッドに充填し、ヘッドから吐出させることで不具合を検知することが行われている。また、修理などでヘッドやインク供給系に充填したインクが外部に漏れて周囲を汚さないためにも、インクジェット記録装置内のインクを洗い流すことが必要となる。
さらに最近では、耐水性、耐光性などの観点から着色剤に顔料を用いたインクが実用化されるに至った。また、染料を用いる場合にも、同様の観点から、染料濃度を高くしたり水溶性の低いものを用いたりするなどの傾向があり、前記問題がより顕著になってきた。
特に顔料や樹脂を用いるものの場合、ヘッド内のインクが少量でも残存すると固着してしまい吐出性を低下させてしまう。そのため、例えば特許文献1、2では、樹脂溶剤をメンテナンス液に添加することを提案している。この場合は、インクの乾燥が進んでもメンテナンス液が残留固形分を溶解、再分散させる働きを付与している。
しかしながら、特許文献1、2に記載の溶剤は、ヘッド内に使用される接着剤に対して溶解性を与え接着面が膨潤する危険性がある。そのためヘッドの強度が低下し目的の剛性が得られず、意図した吐出性が得られないという問題点がある。
また、装置の洗浄性や保存性を考慮し、特許文献3に記載されているようなエチンジオール系ノニオン性界面活性剤を用いた洗浄液も提案されている。しかしながら、該洗浄液は、起泡性は低いが、一般的なアルキルアルコール系ノニオン性界面活性剤よりも水への溶解性が低く、表面張力を下げる能力も低いため洗浄力が不足している。
しかし、この特許文献4に記載の構成だけでは金属部材への微小な腐食が進行することがあり、腐食が原因でヘッドなどの耐久性の低下が問題となっている。
そこで、このような金属部材の溶出を防ぎ洗浄保存が可能となる腐食防止剤を添加した充填液が特許文献5に開示されている。しかし、洗浄性との両立は充分ではなかった。
近年、発色性や定着性を改善した顔料分散体としては顔料表面に水難溶性樹脂を被覆したマイクロエマルジョン型顔料が開発されており、これは発色性、定着性が優れている。しかし顔料表面に分散官能基を共有結合した自己分散顔料に比べて分散安定性が劣っており、乾燥後の再分散性は悪化している。また、共有結合で官能基を結合していないため、顔料周囲の環境の影響を大きく受け、温度やpH、溶剤組成、ビヒクルの有機性などで凝集を引き起こしやすい。
これらのことは、洗浄液でインクジェットヘッドを洗浄した後でも同様の傾向にあり、自己分散型顔料に比べて顔料表面に水難溶性樹脂を被覆した顔料の方が、洗浄後の液中の分散安定性が悪い傾向にある。
1) インクジェット記録装置及びこの装置に用いるインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液であって、水溶性有機溶剤、水、一般式(I)で表わされる少なくとも1種の化合物及び又は一般式(II)で表される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録装置及びインクカートリッジ用洗浄液兼充填液。
一般式(I)
一般式(II)
2) 前記水溶性有機溶剤がグリセリンであることを特徴とする1)に記載のインクジェット記録装置及びインクカートリッジ用洗浄液兼充填液。
3) 1)又は2)に記載の洗浄液兼充填液が収容されていることを特徴とするカートリッジ。
また、長期保存性、ヘッドの洗浄及び保湿性、インクの置換、充填性に優れ、ヘッドの吐出性を長期に渡り確保できる信頼性の高い洗浄液兼充填液を提供できる。
本発明の洗浄液兼充填液は、前記一般式(I)で表わされる少なくとも1種の化合物、及び又は前記一般式(II)で表される少なくとも1種の化合物を含有する。
これらの化合物はフッ素系界面活性剤であるが、その構造により、気液界面でのレベリング性に優れ、洗浄液や充填液の泡立ちを抑制する効果が極めて高く、かつ、洗浄性に優れ、ヘッド洗浄後にヘッド内をインクに置換する際のインク再充填性に優れ、高速印字などでの吐出安定性についても高い効果を有することが分かった。
また、近年、フッ素系界面活性剤の安全性、環境への影響(PFOS、PFOAの人体への蓄積性)が、特に環境問題として懸念されているが、本発明で使用するフッ素系界面活性剤は、米国環境保護庁(EPA)からも、環境に関する安全性の認可を受けており、安全性の面からも問題なく使用できる。
前記一般式(I)の化合物及び一般式(II)の化合物の含有量は、それぞれ0.01〜5質量%程度の範囲が好ましい。0.01質量%以上であれば洗浄性が悪くなったり、着色剤の残留量が多くなり過ぎたりすることはない。また、5質量%以下であれば、初期充填性が悪くなることもない。
本発明の洗浄液兼充填液は、上記一般式(I)及び又は一般式(II)の化合物を用いることにより、インクジェットヘッド内の液体流路のインクと混ざり合う浸透力と、インクとの混合後にインク中の顔料の分散状態を保持できる分散力を兼ね備えることが可能となる。さらに起泡性、消泡性に関しても、抑泡効果が高いためインクジェット記録装置内で泡の影響を与えずに、洗浄性と保存性を示すことが可能となる。
そこで、ヘッド内の洗浄には洗浄液の物性をインクの物性に近づけることが好ましい。実際には、洗浄液の25℃における粘度を、2.5mPa・s以上にすれば、ヘッド内のインクとの粘度差を小さくすることができ、ヘッドを均一に洗浄することが可能となる。
また洗浄液の粘度が高い方が顔料インクと混合したときの顔料分散体の沈降を抑制することができ、混合安定性を向上させることが出来る。しかし、粘度が高すぎてもインクの物性と離れてしまい好ましくない。このため、25℃における粘度が15mPa・s以下であることが好ましい。
前記多価アルコール類としては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196〜198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体〜固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253〜260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199〜201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(bp237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン(bp250℃、mp25.5℃)、N−メチル−2−ピロリドン(bp202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(bp226℃)、ε−カプロラクタム(bp270℃)、γ−ブチロラクトン(bp204〜205℃)などが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199〜201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176〜177℃)などが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N−メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N−メチルエタノールアミン(bp159℃)、N−フェニルエタノールアミン(bp282−287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
また洗浄後の状態を完全に洗浄液に置換されている状態にするには、多量の液と時間を要するため効率が悪い。そこで一定の濃度までインクが混合してもインクジェット記録装置の記録品質を保つようにする必要がある。洗浄液がインクと合っていないと洗浄液中に残存したインクが凝集してインクジェットヘッドのノズルやフィルターに吸着し、吐出不良や抵抗の増加を引き起こす。そのためインクと洗浄液が混合した状態でも液物性が安定することが求められる。
さらに洗浄性やインクとの混合性を満たすことで、新たにインクを充填するときに再充填性を確保することが可能となる。
しかし水溶性有機溶剤の特性によっては保湿力や有機性などが大きく変わる。特にグリセリンは保湿性が高く親水性の高い溶剤として知られている。そのため乾燥による顔料分散体の分散破壊を抑制する面で効果がある。しかし樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させた着色樹脂微粒子を用いた場合、グリセリンの比率が高くなりすぎると分散安定状態が悪化する。
このような分散安定状態の悪化の明確な理由は判っていないが、分散溶媒の有機性によって樹脂が膨潤することに起因すると推測される。樹脂微粒子は色材と分散溶媒との両方に親和性を持っているが、インクに用いられる有機溶剤に対する耐性を高めるように設計されている。インクに用いられる水溶性有機溶剤は浸透性機能を付与する点から若干親油性が高い溶剤が用いられるため、これらの溶剤に耐え得るように樹脂設計を行っている。グリセリンの比率が上昇すると親水性が向上し、分散溶媒の親水性が上昇する。そのため樹脂の耐性と異なる分散溶媒となり、樹脂への親和性が向上し樹脂が分散媒に対して膨潤しやすくなり、分散安定性が低下すると考えられる。
樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させた着色樹脂微粒子を色材とするインクとグリセリンとを併用する場合には、その添加量は20質量%未満であることが望ましい。20質量%以上であると洗浄液兼充填液の有機性が低下しすぎるため好ましくない。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
例えば、塩基性に調整するときにはアミン類、アルカリ金属水酸化物、第四級化合物水酸化物、アルカリ金属炭酸塩が、酸性に調整するときは無機酸、有機酸が挙げられる。
具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
また、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸及び硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの一価の弱カチオンと形成する塩、酢酸、蓚酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アルギニン酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、カルボラン酸、又はこれらの化合物の誘導体などの有機酸が挙げられる。
これらのpH調整剤は上記の化合物に限定されるものではない。また、インクのpH変動に応じた特性に合わせて最適のpKaのものを適宜用いればよく、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても、バッファー剤を併用してもよい。
浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオールの少なくとも1種を含有することが望ましい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
これらの中でも望ましいのは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
浸透剤の添加量は4.0質量%以下とすることが望ましい。添加量が4.0質量%よりも多いと被洗浄対象のインクの顔料分散体の分散安定性が損なわれ、分散体の凝集が引き起こされたり、またインク流路部材への浸透性が必要以上に高くなり、部材への浸食や接着剤の膨潤、溶出などの接液問題を引き起こす。
インクジェット記録用インクは、水分散性着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤、浸透剤及び水を含有する。また、必要に応じてその他の添加剤を含有する。
水分散性着色剤としては、耐候性の面から主に顔料が用いられるが、色調調整の目的で耐候性が劣化しない範囲で染料を含有しても構わない。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用、或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
また、カラー用として、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
(1)第1形態:ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の顔料を含有させたポリマーエマルジョン(顔料を含有させたポリマー微粒子の水分散物)を含有する。
(2)第2形態:表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料(以下、「自己分散性顔料」と称することもある)を含有する。
第1形態の水分散性着色剤としては、上記顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で顔料がエマルジョン中に分散していてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマー(ポリマー微粒子におけるポリマー)としてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましいのはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを使用することができる。
また、自己分散性顔料を含有するインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインク水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行なえる。
自己分散性顔料の体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合したものが好ましい。
また、前記「M」のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。
前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記着色剤のインクジェット記録用インクにおける含有量は、固形分で2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。含有量が2質量%未満であると、インクの発色性及び画像濃度が低くなってしまうことがあり、15質量%を超えると、インクが増粘して吐出性が悪くなってしまうことがあり好ましくない。
水溶性有機溶剤のインクジェット記録用インク中における含有量は、20〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。含有量が20質量%未満では、吐出安定性が低下したりインクジェット記録装置の維持装置で廃インク固着したりする可能性がある。また、50質量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣り、更に普通紙上の文字品位が低下することがある。
水溶性有機溶剤の具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、尿素、テトラメチル尿素などが挙げられる。
上記界面活性剤としては、前記洗浄液兼充填液に用いられる界面活性剤が好適に用いられる。
界面活性剤のインクジェット記録用インクにおける含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無いことがあり、3.0質量%を超えると、記録用媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えており、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。水分散性樹脂の例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。また、水分散性樹脂を2種類以上併用することは全く問題ない。
前記フルオロオレフィン単位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば−CF2CF2−、−CF2CF(CF3)−、−CF2CFCl−などが挙げられる。
前記ビニルエーテル単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、次の構造式で表わされる基が挙げられる。
このようなフッ素系樹脂微粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業社製のフルオネートFEM−500、FEM−600、ディックガードF−52S、F−90、F−90M、F−90N,アクアフランTE−5A;旭硝子社製のルミフロンFE4300、FE4500、FE4400、アサヒガードAG−7105、AG−950、AG−7600、AG−7000、AG−1100などが挙げられる。
水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用してもコポリマーとして使用してもよく、単相構造型、コアシェル型、パワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
前記不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、単官能又は多官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアノ化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらの単量体を組み合わせることにより柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行なうことにより樹脂の特性を改質することもできる。
前記不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
前記芳香族ビニル単量体類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記ビニルシアノ化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記アリル化合物単量体類としては、例えば、アリルスルホン酸とその塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
前記オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
前記ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
前記不飽和炭素を持つオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インクに用いたときに過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくても粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
水分散性樹脂のインクジェット記録用インクにおける含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
ここで、インクジェット記録用インクの固形分含有量は、例えばインクジェット記録用インク中から水分散性着色剤と水分散性樹脂分のみを分離する方法により測定することができる。また、水分散性着色剤として顔料を用いる場合には、熱質量分析により質量減少率を評価することにより顔料と水分散性樹脂の比率を測定できる。また、水分散性着色剤の分子構造が明らかな場合には、顔料や染料ではNMRを用いて着色剤の固形分量を定量することが可能であり、重金属原子、分子骨格に含まれる無機顔料、含金有機顔料、含金染料では蛍光X線分析を用いることにより着色剤の固形分量を定量することが可能である。
前記pH調整剤としては、調合されるインクジェット記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。pHが7未満又は11を超えるとインクジェットヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
インクジェット記録用インクの物性には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25℃でのインク粘度は5〜20mPa・sが好ましい。インク粘度を5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることにより、吐出性を確保することができる。粘度は、例えば粘度計(RE−550L、東機産業社製)を使用して25℃で測定することができる。
また、インクジェット記録用インクの静的表面張力は、25℃で20〜35mN/mが好ましく、20〜30mN/mがより好ましい。静的表面張力が20〜35mN/mの範囲にあると、浸透性を高めることによるブリーディングの低減効果が高く、普通紙印字での乾燥性が良好となるし、前処理層に濡れ易いと言うことで、発色性が良くなり白ポチも改良される。しかし、静的表面張力が35mN/mを超えると、被記録材上のインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記インクジェット記録用インクは、インクジェットヘッドとして、ピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、サーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのものを搭載するインクジェット記録装置にも良好に使用できる。
前記インクジェット記録用インクは、例えば、印字時又は印字前後に記録用媒体及び前記インクジェット記録用インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできる。
上記カートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、カートリッジの洗浄液兼充填液袋241の一例を示す概略図であり、図2は図1の洗浄液兼充填液袋241をカートリッジケース244内に収容したカートリッジ200を示す概略図である。
図1に示すように、洗浄液兼充填液注入口242から洗浄液兼充填液を洗浄液兼充填液袋241内に充填し、該洗浄液兼充填液袋中に残った空気を排気した後、該洗浄液兼充填液注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなる洗浄液兼充填液排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。洗浄液兼充填液袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、カートリッジ200として各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
本発明のカートリッジは、インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができる。
<洗浄液の調製>
表1−1の実施例1〜11、及び表2−1の比較例1〜11の各欄に示す材料を用い、まずpH調整剤、界面活性剤、及び水を混合し均一に溶解させ、次いで水溶性有機溶剤を混合し一時間攪拌を行って均一に混合した。この混合液を0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して各洗浄液兼充填液を得た。なお、表中の成分割合を示す数値は質量%である。また、用いた界面活性剤の種類を表1−2、表2−2に示す。
−ポリマー溶液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、メルカプトエタノール0.4g及びメチルエチルケトン40gを混合し、65℃に昇温した。
次いで、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
更に、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
前記ポリマー溶液28g、C.I.ピグメントイエロー74を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料を15質量%含有する固形分20質量%のイエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
まず、1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA社製ポリフォックスPF−151N、1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し、一時間攪拌を行って均一に混合した。
次いで、この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように水を添加し、一時間撹拌した。
その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子を除去してイエロー顔料インクを得た。
前記ポリマー溶液17.5g、C.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料を15質量%含有する、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
まず、3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、Dupont社製Zonyl FSO−100、0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し、一時間攪拌を行って均一に混合した。
次いで、この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように水を添加し、一時間撹拌した。
その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子を除去してマゼンタ顔料インクを得た。
前記のようにして調製した実施例及び比較例の各洗浄液兼充填液を1時間静置し、静置後の液の状態を目視で観察して次の基準で評価した。結果を表3−1、表3−2に示す。
○:分離や不溶解物がなく、均一な状態である。
×:成分の一部が分離するか、又は不溶解物があり、不均一な状態である。
東機産業社製の粘度計RE80Lを使用し、100回転で25℃のときの洗浄液兼充填液の粘度を測定した。結果を表3−1、表3−2に示す。
洗浄液兼充填液97質量%、インク3質量%の混合液を作成し、65℃で50時間放置して外観変化を目視で観察し、次の基準で評価した。結果を表3−1、表3−2に示す。
○:洗浄液兼充填液とインクの分離の有無が判らない。
△:混合液に濃淡が見られる。
×:洗浄液兼充填液とインクの分離が起こっている。
また、洗浄液としての均一性を確保できないものはインクと混合した段階で不均一であるため、評価から除外した。
・初期状態の設定
インクジェットプリンター(リコー社製IPSIO GX3000)のインク供給経路やヘッド内のインクを純水で置換し、その後、ブラックインク、シアンインクの代わりに調整例のマゼンタインクを充填したカートリッジ、及びマゼンタインク、イエローインクの代わりに調製例のイエローインクを充填したカートリッジを取り付け、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を10回繰り返し、インク供給経路やヘッド内のインクを調製例のインクに置き換えた。その後、ノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが無くなるまでヘッドリフレッシング動作を行った。
インクジェットプリンターのノズル抜けが無いことを確認した後、洗浄液兼充填液を充填したカートリッジを全カートリッジの代わりに取り付け、ヘッドリフレッシング動作を6回行った。その後、プリンターの維持ユニットを動作させ、各ヘッドから4.5ccだけ吸引し再び充填する動作を3回繰り返した。再度洗浄液兼充填液を充填した後、各ヘッドから2cc吸引し、ノズル面をワイピングすることによりインクジェットプリンター内の経路の洗浄を行った。
最後に吸引した洗浄液兼充填液を回収し、イエローインクについては421nm、マゼンタインクについては563nmでの吸光度測定を行い、インクの同波長の吸光度と比較することにより、回収した洗浄液兼充填液中のインク着色微粒子の濃度(質量%)を算出し、次の基準で洗浄性を評価した。結果を表3−1、表3−2に示す。
○:3%未満
×:3%以上
なお、<洗浄液兼充填液とインクとの混合性>評価において分離が起こった比較例1、6、7、9(表3−2中の△、×の例)の洗浄液兼充填液は、評価装置(インクジェットプリンター)中でインクと混合すると粒径の大きな沈殿物が発生し、評価装置のノズル詰まりやフィルター詰まりが発生するため評価から除外した。
インクジェットプリンター(リコー社製IPSIO GX3000)を用い、<洗浄液兼充填液の洗浄性>で述べた洗浄処理によりプリンターを洗浄し、洗浄液兼充填液を残したまま、ノズル面に保湿キャップをした状態で50℃、60%RH環境下で1ヶ月間放置した後、調製例で示したイエローインク、マゼンタインクを充填したインクカートリッジを取り付け、初期充填動作を行った。
その後、ノズルチェックパターンを印字し、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を繰り返し、ノズルチェックにおいて吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)が無くなるまでのヘッドリフレッシング回数(最大8回まで)を測定し、次の基準で評価した。結果を表3−1、表3−2に示す。
○:ヘッドリフレッシング2回以下
△:ヘッドリフレッシング3回以上4回以下
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、もしくは回復不能
なお、洗浄液兼充填液の洗浄性評価と同様に、比較例1、6、7、9の洗浄液兼充填液は、評価から除外した。
実施例1で用いた界面活性剤(I)−1に代えて、下記表4に示す界面活性剤(I)−5〜(I)−10を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例12〜17の洗浄液兼充填液を調製した。
また、実施例1で用いた界面活性剤(II)−3に代えて、下記表5に示す界面活性剤(II)−5〜(II)−8を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例18〜21の洗浄液兼充填液を調製した。
これらの洗浄液兼充填液を用いて、実施例1と同様の評価を行ったところ、ほぼ同等の結果が得られた。
241 洗浄液兼充填液袋
242 洗浄液兼充填液注入口
243 洗浄液兼充填液排出口
244 カートリッジケース
Claims (3)
- インクジェット記録装置及びこの装置に用いるインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液であって、水溶性有機溶剤、水、一般式(I)で表わされる少なくとも1種の化合物及び又は一般式(II)で表される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録装置及びインクカートリッジ用洗浄液兼充填液。
一般式(I)
一般式(II)
- 前記水溶性有機溶剤がグリセリンであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置及びインクカートリッジ用洗浄液兼充填液。
- 請求項1又は2に記載の洗浄液兼充填液が収容されていることを特徴とするカートリッジ。
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