JP5613053B2 - 耳鳴を処置するための間欠療法 - Google Patents

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Description

本発明は、耳鳴に悩む個体を処置するための、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩)を利用する間欠及び/又は維持療法に関する。
耳鳴(tinnitus)は一般に耳鳴り(ringing in the ears)と呼ばれ、外部音響信号源の非存在下での音の知覚である。耳鳴は「対応する機械的振動活動を蝸牛内に一切伴わず、もっぱら神経系内での活動に起因する音の知覚、すなわち実体のない聴覚認知としての耳鳴」と定義されている(Jastreboffら, J Am Acad Audiol 2000; 11(3): 162-177)。耳鳴はしばしば音耐性の低下(すなわち聴覚過敏)に関連する。
自覚的耳鳴の病態生理はよく理解されておらず、耳鳴の決定的な病因はわかっていない。多くの環境要因及び物質誘発性要因が耳鳴を引き起こしうる。最も頻繁に言及される要因には、急性音響性外傷、職場騒音、及び娯楽音楽がある。一般に耳鳴は、聴覚路内でのニューロン機能障害の結果であると思われる。この機能障害は、高次聴覚中枢により、誤って音として知覚され、聴覚神経系内での機能改変につながりうる。皮質構造における不適応性機能変化は、興奮性神経伝達と抑制性神経伝達のバランスを変化させると考えられ、より重症な耳鳴につながりうる。いずれの場合も、聴覚路及び聴覚皮質における潜在的機能不全は、前頭前皮質及び辺縁系の活動に関係づけられる。
ほとんどの場合(95%)、知覚される耳鳴は純粋に主観的な性質を持ち、例えば確認されうるような物理的音響信号源はないので、外から聞くことはできない。客観的耳鳴(例えば、患者による音の知覚が、現実の音波源、例えば蝸牛に到達する血管中の乱流からくる音によって引き起こされる場合)を排除するために、身体検査が行なわれる。耳鳴は、耳鳴の持続時間及び耳鳴発現の度合(例えば耳鳴の重症度又は煩わしさ)によって分類することができる(McCombeら, Clin Otolaryngol 2001; 26(5): 388-393、及びDavisら著「Epidemiology of Tinnitus」(「Tinnitus Handbook」Tyler R編、サンディエゴ、Singular Publishing Group、2000、p.1〜23))。耳鳴の影響について言えば、耳鳴は患者にとって著しく煩わしい場合があり、社会的及び心理学的合併症を伴う場合がある。
プラセボ効果を上回る、耳鳴及び耳鳴による煩わしさの反復可能な低減をもたらす耳鳴の特異的な医学的処置は、今のところ、まだ確立されたものがない(Dobie, Laryngoscope 1999; 109(8): 1202-1211;Eggermontら, Trends Neurosci 2004; 27(11): 676-682;及びPattersonら, Int Tinnitus J 2006; 12(2): 149-159)。したがって、耳鳴の処置又は予防に有効な医薬品及び治療法が必要とされている。Huynhら(Ann Pharmacother 1995; 29(3): 311-312)も、維持療法の必要性及び新しい耳鳴薬の開発における無処置区間(「休薬期間」)の役割を調査する必要があることを開示している。
ネラメキサン(1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサンとも呼ばれる)などの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類は、さまざまな疾患の治療に、とりわけアルツハイマー病及び神経因性疼痛を含む一定の神経学的疾患において、有用であることが見出されている。ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類は、米国特許第6,034,134号及び同第6,071,966号に詳しく開示されており、これらの特許の内容は参照により本明細書に組み込まれる。ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の治療作用は、神経細胞のN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体における過剰なグルタミン酸の効果の阻害に関係すると考えられ、それゆえに、これらの化合物は、NMDAアンタゴニスト又はNMDA受容体アンタゴニストとも分類される。ネラメキサンは、α9/α10ニコチン酸受容体アンタゴニストとしての活性を示すことも開示されている(Plazasら, Eur J Pharmacol., 2007 Jul2;566 (1-3):11-19)。
米国特許第6,034,134号は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類が、NMDA受容体アンタゴニストとしてのその活性ゆえに、耳鳴の処置に役立ちうることを開示している。
本発明者らは、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩などの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類を利用する間欠及び/又は維持療法が、耳鳴を処置するための効果的なアプローチでありうることを発見した。
維持処置は、用量を低下させた1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)を投与することにより、十分な処置効果又は安定した処置効果で、患者における耳鳴の再発を予防しうる。
そのような処置に関連する利益は、抗耳鳴効果はまだ十分でありながらも、薬物ばく露量は著しく低減されることである。
耳鳴が再発した場合、聴覚系の不可逆的な変化が進行して慢性になりうる時間があるので、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)で十分な処置効果を得られる確率は、1回目の発症時よりも低い可能性がある。
しかし、維持処置(例えば治療有効量の20〜75%)を受けている患者で耳鳴症状が再発した場合、その再燃は、維持処置を受けていない患者よりも、軽度である可能性があり、治療有効量(例えば25mgメシル酸ネラメキサンb.i.d.、又は体重が90kgより重い対象については37.5mgb.i.d.)まで直ちに引き上げられる1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)用量に対して、より鋭敏に応答しうる。
米国特許第6,034,134号明細書 米国特許第6,071,966号明細書
Jastreboffら, J Am Acad Audiol 2000; 11(3): 162-177 McCombeら, Clin Otolaryngol 2001; 26(5): 388-393 Davisら著「Epidemiology of Tinnitus」(「Tinnitus Handbook」Tyler R編、サンディエゴ、Singular Publishing Group、2000、p.1〜23) Dobie, Laryngoscope 1999; 109(8): 1202-1211 Eggermontら, Trends Neurosci 2004; 27(11): 676-682 Pattersonら, Int Tinnitus J 2006; 12(2): 149-159 Huynhら(Ann Pharmacother 1995; 29(3): 311-312 Plazasら, Eur J Pharmacol., 2007 Jul2;566 (1-3):11-19
本発明は、耳鳴を処置するための1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体であって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される誘導体に関する。
本発明のさらなる一態様は、耳鳴の処置を必要とする対象における耳鳴を処置するための医薬を製造するための、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の使用であって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される使用に関する。
本発明のさらなる一態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体応答性状態の処置を必要とする対象における当該状態を処置するための、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体であって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は前記対象に毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される誘導体に関する。
本発明のさらなる一態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体応答性状態の処置を必要とする対象における当該状態を処置するための医薬を製造するための、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の使用であって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は前記対象に毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される使用に関する。
本明細書で指定される1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体及び医薬は、上に定義した投与スキームによる投与のための誘導体及び医薬である。ある実施形態では、患者への投与スキームに関する個別情報を与えるように、誘導体/医薬を特別に適合させる。特定投与スキームに関する個別情報は、例えばパッケージ中又はパッケージ上の個別情報、剤形、例えばその外観、例えば錠剤の色又は錠剤の形状によって、及び/又は添付文書及び/又は患者情報などによって、与えることができる。
本発明のさらなる一態様では、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が、少なくとも3ヶ月の期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0%超〜75%、例えば20〜75%(例えば25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%)、又は例えば25〜50%である用量で投与される。
治療有効量の投与と、治療有効量の0〜75%、例えば0%超〜75%、又は20〜75%、例えば25〜50%の投与との間の、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)の用量の低減は、段階的に行なうことができる。例えばメシル酸ネラメキサン1日50mgの用量を12.5mg刻みで25mgの用量まで低減することができ、その場合は37.5mg用量を例えば少なくとも1週間は投与する。例えばメシル酸ネラメキサン1日75mgの用量を25mg/日の用量まで低減することができる。これは、12.5mg刻みで行なうことができ、その場合は、62.5mg/日、50mg/日、及び37.5mg/日の用量を、例えば、それぞれ少なくとも1週間は投与することができる。或いは、メシル酸ネラメキサン1日75mgの用量を、例えば50mg/日の用量に低減することができる。これは、12.5mg刻みで行なうことができ、その場合は、62.5mg/日の用量を、例えば少なくとも1週間は投与することができる。さらなる一実施形態では、メシル酸ネラメキサン1日75mgの用量を、例えば12.5mg/日の用量まで低減することができる。これは、12.5mg刻みで行なうことができ、その場合は、62.5mg/日の用量、50mg/日の用量、37.5mg/日の用量、及び25mg/日の用量を、それぞれ、例えば少なくとも1週間は投与することができる。
本発明のさらなる一態様は、耳鳴に悩む個体のための処置レジメンであって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)をその個体に投与することを含み、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%、例えば0%超〜75%、又は20〜75%又は25〜50%である用量で投与される処置レジメンに関し、この処置レジメンが耳鳴の再発後に繰り返される。
本発明によれば、耳鳴の再燃を起こした患者は、少なくとも3ヶ月、例えば少なくとも1年は、治療有効量を常用し続けてから、用量が維持量に低減される。
或いは、指定の期間後に、例えば治療有効量の0〜75%、又は0%超〜75%、又は20〜75%、例えば25〜50%である用量で3〜6ヶ月(例えば3、4、5、又は6ヶ月)の期間投与した後に、この処置レジメンを繰り返してもよい。
本発明のさらなる一態様では、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月、例えば3ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が投与されず、前記(第2)期間後はその処置レジメンが繰り返される。すなわち第3期間では、第1期間と同じ処置が行なわれ、第4期間では(第2期間と同様に)1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が投与されない。処置を伴う期間と処置を伴わない期間のこの順序を、通常は処置対象における状態の進行に依存して、数回繰り返すことができる。
指定の期間後に、例えば3〜6ヶ月(例えば3、4、5、又は6ヶ月)後に、この処置レジメンを繰り返してもよい。
本発明によれば、用量低減及び用量増加は、段階的に行なうことができる。
本発明によれば、第1投与期間に先だって、用量を増加させて第1期間の治療有効量に到達させるために、1回又は複数回の初期投与が行なわれてもよい。そのような初期投与が行なわれる場合、それは通常、段階的な方法(すなわちアップタイトレーション)で行なわれる。
本発明のさらなる一態様では、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサンが対象に投与され、その際、治療有効量の前記化合物が少なくとも3ヶ月の期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の期間は、前記化合物が治療有効量の0〜75%又は0%超〜75%である用量で投与され、その処置が必要に応じて繰り返される。
本発明のさらなる一態様では、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサンが対象に投与され、その際、治療有効量の前記化合物が少なくとも3ヶ月の期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の期間は、前記化合物が治療有効量の20〜75%である用量で投与され、その処置レジメンが必要に応じて繰り返される。
本発明のさらなる一態様では、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩、例えばメシル酸ネラメキサンが、少なくとも3ヶ月の期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の(第2)期間は、前記化合物が投与されず、前記(第2)期間後に、その処置レジメンが繰り返される。処置を伴う期間と処置を伴わない期間のこの順序を、通常は処置対象における状態の進行に依存して、数回繰り返すことができる。
本発明のさらなる一態様は、耳鳴の処置を必要とする対象における耳鳴を処置する方法であって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体をその対象に投与することを含み、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間中に1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0%超〜75%である用量で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間中に1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の20〜75%である用量で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間中に1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の25〜50%である用量で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間中は1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が投与されず、第2期間後に処置が繰り返される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間後に治療有効量に到達するための用量増加が段階的に行なわれる、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間の後、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が、耳鳴の再発後に対象に投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、耳鳴の再発後に行なわれる治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の投与が少なくとも1年は続けられる、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第2期間が3〜6ヶ月である、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、第1期間と第2期間の間に、用量を段階的に減少させる移行期間がある、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体がネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩である、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体がメシル酸ネラメキサンである、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、メシル酸ネラメキサンが第1期間中は約5mg〜約150mg/日の範囲で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、メシル酸ネラメキサンが約5mg〜約100mg/日の範囲で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、メシル酸ネラメキサンが約5mg〜約75mg/日で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、メシル酸ネラメキサンが約50mg/日で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、メシル酸ネラメキサンが約75mg/日で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日2回投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が即時放出製剤で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が放出調節製剤で投与される、上述の方法に関する。
本発明のさらなる一態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体応答性状態の処置を必要とする対象における当該状態を処置する方法であって、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体をその対象に投与することを含み、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される方法に関する。
図1は、Tinnitus-Beeintraechtigungs-Fragebogen(TBF-12)(すなわち、耳鳴障害度調査票(Tinnitus Handicap Inventory、すなわちTHI)の修正・実証された12項目のドイツ版)の変化を示す、ネラメキサンの耳鳴パイロット試験で得られたデータを示す。[発明の詳細な説明]
本明細書で使用する耳鳴という用語は、主観的耳鳴及び客観的耳鳴、並びに急性、亜急性及び慢性型のあらゆる症状発現を包含する。これは、蝸牛性耳鳴、及び難聴又は軽度難聴に関連する耳鳴も包含する。
本明細書で使用する難聴(hearing loss)という用語は聴力障害(hearing impairment)と同義であり、いくつかのグレードの難聴(例えば軽度難聴、中等度難聴、重度(severe)難聴、最重度(profound)難聴、及び聾(deafness))、並びにいくつかの特定形態、例えば音響性外傷、騒音性難聴、感音性難聴、混合性難聴、非特定難聴、聴器毒性難聴、薬物性難聴、突発性(特発性)難聴、聴覚処理障害、老人性難聴、環境化学物質誘発性難聴、手術誘発性難聴、がん誘発性難聴、放射線誘発性難聴、及び感染誘発性難聴を包含する。
本明細書で使用する対象という用語は、哺乳動物、すなわち動物及びヒトを包含する。
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体という用語は、本明細書では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン、又は1-アミノ-アルキルシクロヘキサンから誘導される化合物、例えば1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の薬学的に許容できる塩を表すために使用される。この1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は「1-アミノシクロヘキサン誘導体」と記載することもできる。
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は、一般式(I):
[式中、
R*は-(CH2)n-(CR6R7)m-NR8R9であり、
n+m=0、1、又は2であり、
R1〜R7は、水素及びC1-6アルキルからなる群より独立して選択され、R8及びR9は、水素及びC1-6アルキルからなる群より独立して選択されるか、又は全体として、低級アルキレン-(CH2)x-(式中、xは2〜5(両端を含む)である)を表す]
並びにその光学異性体、エナンチオマー、水和物、及び薬学的に許容できる塩によって表すことができる。
本発明に従って使用される1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の限定でない例には、次に挙げるものが含まれる。
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1(トランス),3(トランス),5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1(シス),3(シス),5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン(ネラメキサン)、
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-シス-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1S,5S)シス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-トランス-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1R,5S)トランス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチル-シクロヘキサン、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン、
3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメチルアミン、
1-アミノ-1,3,3,5(トランス)-テトラメチルシクロヘキサン(アキシアルアミノ基)、
3-プロピル-1,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルアミン半水和物、
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-プロピルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチル-3(シス)-プロピルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、
シス-3-エチル-1(トランス)-3(トランス)-5-トリメチルシクロヘキサミン、
1-アミノ-1,3(トランス)-ジメチルシクロヘキサン、
1,3,3-トリメチル-5,5-ジプロピルシクロヘキシルアミン、
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-プロピルシクロヘキサン、
1-メチル-3(シス)-プロピルシクロヘキシルアミン、
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(シス)-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(トランス)-エチルシクロヘキサン、
シス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、
トランス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、
N-エチル-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシルアミン、
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-メチルシクロヘキサン、
N,N-ジメチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
2-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)エチルアミン、
2-メチル-1-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)プロピル-2-アミン、
2-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-エチルアミン半水和物,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-ピロリジン、
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1R,5S)トランス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1S,5S)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(シス)-イソプロピル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(トランス)-イソプロピル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-エチル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-メチル-シクロヘキサン、
1-アミノ-5,5-ジエチル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
N-(1,3,5-トリメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-[1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-[1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3-トリメチル-シス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-[(1S,5S)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3-トリメチル-トランス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-[(1R,5S)トランス-5-エチル-3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-(1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン、
並びにその光学異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、水和物、それらの薬学的に許容できる塩、及び混合物。
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン、1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン)は米国特許第6,034,134号及び同第6,071,966号に開示されている。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物、異性体、コンジュゲート、及びプロドラッグのいずれの形態でも、本発明に従って使用することができ、本明細書における1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)への言及はいずれも、そのような塩、溶媒和物、異性体、コンジュゲート、及びプロドラッグへの言及でもあると理解すべきである。
薬学的に許容できる塩には、酸付加塩、例えば塩酸、メチルスルホン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、及び2-アセトキシ安息香酸を使って製造されるものが含まれるが、これらに限るわけではない。これらの塩(又は他の類似する塩)は全て、従来の手段によって製造することができる。塩の性質は、それが無毒性であり、所望の薬学的活性を実質的に妨害しない限り、決定的な問題ではない。
「類似体」又は「誘導体」という用語は、本明細書においては、従来の薬学的意味で、基準分子(例えばネラメキサン)に構造的に似ているが、基準分子の一つ以上の特定置換基を代替置換基で置き換えることによって基準分子に構造的に類似する分子が生じるように、標的を絞った制御された方法で修飾されている分子を指すために用いられる。改善された特質又は偏った特質(例えば、特異的標的受容体タイプにおける力価及び/又は選択性の向上、哺乳動物の血液脳関門を通り抜ける能力の増大、副作用の低減など)を持ちうる、既知化合物のわずかに修飾された異形を同定するために行われる、類似体の合成及びスクリーニング(例えば構造解析及び/又は生化学的解析を使用するもの)は、薬化学において周知のドラッグデザインアプローチである。
本明細書で使用される用語「処置する」は、対象における疾患の少なくとも一つの症状を軽減又は緩和することを意味する。本発明に関して、用語「処置する」は、発症(すなわち疾患の臨床症状発現前の期間)を抑止し、遅らせ、且つ/又は疾患を発生若しくは悪化させるリスクを低減することも表す。
用量又は量に適用される「治療(的に)有効」という用語は、それを必要とする哺乳動物への投与後に、既存の耳鳴又は耳鳴関連症状の改善をもたらすのに適した化合物又は医薬組成物の分量を指す。
本発明の組成物に関連して使用される「薬学的に許容できる」という表現は、哺乳動物(例えばヒト)に投与された場合に、その組成物の分子的実体及び他の成分が、生理学的に認容でき、不都合な反応を典型的には生じないことを指す。典型的には、「薬学的に許容できる」という用語は、哺乳動物、特にヒトにおける使用に関して、連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認されていること、又は米国薬局方若しくは他の広く認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
本発明の医薬組成物に適用される「担体」という用語は、活性化合物(例えばネラメキサン)と一緒に投与される希釈剤、賦形剤、又は溶剤を指す。そのような医薬担体は滅菌された液体、例えば水、食塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、及び油(石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含む)であることができる。適切な医薬担体は「Remington's Pharmaceutical Sciences」A.R. Gennaro編、第20版に記載されている。
「約」又は「およそ」という用語は、通常、与えられた値又は範囲の20%以内、或いは10%以内(5%以内を含む)を意味する。或いは、とりわけ生物系においては、「約」という用語は、与えられた値の約1log(すなわち一桁)以内(2分の1〜2倍以内を含む)を意味する。
本発明の方法と併せて、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を含む医薬組成物も提供される。本発明の組成物は担体又は賦形剤(全て薬学的に許容できるもの)をさらに含みうる。本組成物は1日1回投与用、1日2回投与用、又は1日3回投与用に製剤することができる。
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばメシル酸ネラメキサンなどのネラメキサン)又はそれを含む医薬組成物は、本発明の投与スキームに従って、耳鳴の処置に使用することができる。ある実施形態では、誘導体及び/又は医薬組成物(医薬)は、本明細書に開示する特定の投与(例えば間欠的処置、維持療法、1日1回投与、1日2回投与、又は1日3回投与)に適合するか、又はそのような投与に合わせて適切に製造される。この目的のために、パッケージ及び/又は添付文書及び/又は患者情報及び/又は剤形自体が、対応する情報を含みうる。
本発明の活性成分(例えばメシル酸ネラメキサンなどのネラメキサン)又は組成物は、耳鳴を処置するための医薬の製造に使用することができ、その医薬は、本明細書に開示する特定の投与(例えば間欠的処置、維持療法、1日1回投与、1日2回投与、又は1日3回投与)に適合するか、又はそのような投与に合わせて適切に製造される。この目的のために、添付文書及び/又は患者情報は、対応する情報を含む。
本発明によれば、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)の剤形は、下記のとおり、固形、半固形、又は液状製剤であることができる。
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、従来の薬学的に許容できる無毒性の担体を含有する投薬単位製剤として、経口、局所外用、非経口、又は粘膜(例えば口腔粘膜、吸入、又は直腸)投与することができる。小児対象に投与するためのもう一つの実施形態では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体を、フレーバ付の液体(例えばペパーミントフレーバ)として製剤することができる。本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は、カプセル剤、錠剤などの形態で、又は半固形製剤、若しくは液状製剤として、経口投与することができる(「Remington's Pharmaceutical Sciences」第20版、A.R. Gennaro編を参照されたい)。
錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与するには、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、無毒性の薬学的に許容できる賦形剤、例えば結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えばラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール並びに他の還元糖及び非還元糖、微結晶セルロース、硫酸カルシウム、又はリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、又はシリカ、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウムなど)、崩壊剤(例えばバレイショデンプン又はグリコール酸デンプンナトリウム)、又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤及び着香剤、ゼラチン、甘味剤、天然ゴム及び合成ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカント又はアルギナート)、緩衝塩、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどと組み合わせることができる。
錠剤は、例えばアラビアゴム、ゼラチン、タルク、二酸化チタンなどを含有しうる濃縮糖溶液でコーティングすることができる。或いは、易揮発性有機溶媒又は有機溶媒の混合物に溶解するポリマで錠剤をコーティングすることができる。特定の実施形態では、ネラメキサンが即時放出(IR)錠剤又は放出調節(MR)錠剤に製剤される。即時放出固形剤形は、短期間、例えば60分以下での、活性成分の大半又は全ての放出を可能にし、薬物の迅速な吸収を可能にする(ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の即時放出製剤は米国特許出願公開第2006/0002999号及び同第2006/0198884号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。放出調節固形経口剤形は、長期間にわたって治療有効血漿レベルを維持し、且つ/又は活性成分の他の薬物動態特性を修飾する目的で、活性成分を同様に長期間にわたって徐放させる(ネラメキサンの放出調節製剤は米国特許出願公開第2007/0141148号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、メシル酸ネラメキサンは、メシル酸ネラメキサンの用量が50mgになるように、放出調節剤形(放出調節錠剤を含む)に製剤することができる。
軟ゼラチンカプセル剤を製剤するには、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、例えば植物油又はポリエチレングリコールと混合することができる。硬ゼラチンカプセル剤は、上述した錠剤用の賦形剤、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン(例えばバレイショデンプン、トウモロコシデンプン又はアミロペクチン)、セルロース誘導体又はゼラチンを使った活性物質の顆粒を含有しうる。液状又は半固形の薬物も硬ゼラチンカプセルに充填することができる。
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、マイクロスフェア又はマイクロカプセル(例えばポリグリコール酸/乳酸(PGLA)から作製されるもの)に導入することもできる(例えば米国特許第5,814,344号、同第5,100,669号及び同第4,849,222号、PCT公開番号WO 95/11010及び同WO 93/07861を参照されたい)。薬物の放出制御を達成するには生体適合性ポリマを使用することができ、これには、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマ、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマが含まれる。
半固形又は液状である本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の製剤も使用することができる。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、その製剤の0.1〜99重量%を構成することができ、より具体的に述べると、注射用の製剤の場合は0.5〜20重量%、経口投与に適した製剤の場合は0.2〜50重量%を構成することができる。
本発明のある実施形態では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)が放出調節製剤で投与される。放出調節剤形は、患者のコンプライアンスを改善する手段になり、薬物有害反応の発生を減少させることによって効果的且つ安全な治療を保証する手段になる。即時放出剤形と比較して、放出調節剤形は、投与後の薬理作用を引き延ばすために使用することができ、また、投薬間隔の全体にわたって血漿中濃度の変動性を低減することにより、急激なピークを排除又は低減するために使用することができる。
放出調節剤形は薬物でコーティングされたコア又は薬物を含有するコアを含みうる。次に、コア部は放出調節ポリマでコーティングされ、そのポリマ内に薬物が分散される。放出調節ポリマは徐々に崩壊して、時間の経過と共に薬物を放出する。こうして、組成物の最外層は、組成物が水性環境、すなわち消化管にばく露された時に、コーティング層を横切る薬物の拡散を効果的に減速し、そうすることにより、コーティング層を横切る薬物の拡散を調節する。薬物の正味の拡散速度は、主として、コーティング層又はコーティングマトリックスに浸透する胃液の能力及び薬物自体の溶解性に依存する。
本発明のもう一つの実施形態では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)が、経口液状製剤に製剤される。経口投与用の液状調製物は、例えば溶液剤、シロップ剤、乳剤若しくは懸濁剤の形態をとるか、又は使用前に水若しくは他の適切な溶剤で再構成するための乾燥品として提示することができる。経口投与用の調製物は活性化合物の放出制御又は放出延期が起こるように適切に製剤することができる。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類(例えばネラメキサン)の経口液状製剤はPCT国際出願第PCT/US2004/037026号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
液状の剤形で経口投与するには、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、薬学的に許容できる無毒性の不活性担体(例えばエタノール、グリセロール、水)、懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂)、乳化剤(例えばレシチン又はアラビアゴム)、非水性溶剤(例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコール又は分画植物油)、保存剤(例えばメチル若しくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)などと組み合わせることができる。剤形を安定化するために、酸化防止剤(BHA、BHT、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸)などの安定剤も加えることができる。例えば、溶液剤は約0.2重量%〜約20重量%のネラメキサンを含有し、残りは糖並びにエタノール、水、グリセロール及びプロピレングリコールの混合物であることができる。場合により、そのような液状製剤は、着色剤、着香剤、サッカリン、及び増粘剤としてのカルボキシメチル-セルロース、又は他の賦形剤を含有してもよい。
もう一つの実施形態では、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)が、保存剤、甘味剤、安定剤、及び溶媒を含有する経口溶液剤で投与される。経口溶液剤は、一つ以上の緩衝剤、着香剤、又は追加の賦形剤を含みうる。さらなる一実施形態では、ペパーミント又は他の香料が、ネラメキサン誘導体経口液状製剤に加えられる。
吸入による投与の場合、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切な気体を使った加圧容器又は噴霧器からのエアロゾルスプレイ提示の形で、都合よく送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計測された量を送達するためのバルブを設けることによって決定することができる。化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有する、吸入器又はインサフレータ用の、例えばゼラチン製のカプセル及びカートリッジを製剤することができる。
注射による非経口適用のための溶液剤は、活性物質の薬学的に許容できる水溶性塩の水溶液に、例えば約0.5重量%〜約10重量%の濃度で製造することができる。これらの溶液剤は、安定剤及び/又は緩衝剤も含有することができ、さまざまな投薬単位アンプルに入れて、都合よく提供することができる。
本発明の製剤は、非経口的に、すなわち静脈内(i.v.)、脳室内(i.c.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、真皮下(s.d.)、又は皮内(i.d.)投与により、例えばボーラス注射又は持続注入による直接注射で、送達することができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えばアンプルに入れて、又は保存剤を添加し、多用量容器に入れて、提示することができる。或いは、活性成分は、使用前に適切な溶剤、例えば滅菌パイロジェンフリー水で再構成するための粉末状であってもよい。
本発明は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)と、場合によっては、さらなる製剤成分とを含有する一つ以上の容器を含む、医薬パック又は医薬キットも提供する。ある特定の実施形態では、ネラメキサンが、2ティスプーン容量(teaspoon capacity)のシリンジ(dosage KORC(登録商標))を使って投与するための経口溶液剤(2mg/ml)として提供される。各経口シリンジは測定用の青色ハッチマークを持ち、シリンジの右側(先端を下にした場合)にtsp単位を表す線、左側にml単位を表す線が引かれている。
至適治療有効量は、薬物を投与する際の厳密な投与様式、その投与が標的とする適応症、関与する対象(例えば体重、健康状態、年齢、性別など)、並びに担当する医師又は獣医師の選好及び経験を考慮して、実験的に決定することができる。
直腸適用のための投薬単位は溶液剤又は懸濁剤であるか、中性脂肪基剤と混合されたネラメキサンを含む坐剤若しくは停留浣腸剤、又は植物油若しくはパラフィン油と混合された活性物質を含むゼラチン直腸カプセル剤の形態で製造することができる。
本発明の組成物の毒性及び治療有効性は、実験動物で、標準的な薬学的手順により、例えばLD50(集団の50%にとって致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定することなどによって、決定することができる。治療効果と毒性効果の間の用量比が治療係数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。大きい治療係数を示す組成物は好ましい。
ヒトの治療的処置における本発明の活性化合物の適切な1日量は、経口投与の場合で約0.01〜10mg/kg体重、非経口投与の場合で0.001〜10mg/kg体重である。例えば成人の場合、メシル酸ネラメキサンの適切な1日量は、1日あたり約5mg〜約150mg、例えば1日あたり約5mg〜約120mg、約5mg〜約100mg、又は約5mg〜約75mg、又は約5mg〜約50mgの範囲内、例えば25mg又は50mgである。本発明の治療有効量として、約20mg〜150mg、例えば25mg〜100mg(例えば30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、又は95mg)、例えば50mg〜75mgの範囲内で、メシル酸ネラメキサンの1日量を投与することができる。等モル量の、ネラメキサンの他の薬学的に許容できる塩、溶媒和物、異性体、コンジュゲート、プロドラッグ又はその誘導体、例えば塩酸ネラメキサンも適している。4〜14歳の小児対象には、ネラメキサン(例えばメシル酸ネラメキサン)を、経口液状剤形として、約0.5mg/日から、10mg/日の最大用量までの用量で投与することができる。
本明細書に示す1日量は、例えば1又は2投薬単位として、1日に1回、2回、又は3回、投与することができる。したがって、1投与単位あたりの適切な用量は、1日に投与される投与単位の数で(例えば等しく)分割した1日量になり、したがって典型的には、1日量にほぼ等しいか、その2分の1、3分の1、4分の1又は6分の1になる。したがって、投与単位あたりの投薬量は、本明細書に示す各1日量から算出することができる。例えば5mgという1日量は、選択した投与レジメンに応じて、1投与単位あたり例えば約5mg、2.5mg、1.67mg、1.25mg及び0.83mgの用量を与えると理解することができる。同様に、1日あたり150mgの投薬量は、対応する投与レジメンに合わせて、1投薬単位あたり約150mg、75mg、50mg、37.5mg、及び25mgの投薬量に相当する。
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、単剤療法として投与するか、又は耳鳴の処置に処方される別の薬剤と組み合わせて投与することができる。
活性成分に適用される「組合せ」という用語は、本明細書においては、二つの活性剤を含む単一の医薬組成物(製剤)(例えばネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体と、耳鳴の処置に処方されるもう一つの薬剤とを含む医薬組成物)を定義するか、又はそれぞれが一つの活性剤を含む二つの別個の医薬組成物(例えばネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体又は耳鳴の処置に処方されるもう一つの薬剤を含む医薬組成物)であって、協同して投与されるものを定義するために用いられる。
本発明に関して、「協同的投与」という用語は、ネラメキサンなどの1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体と、第2の活性剤(例えば蝸牛性耳鳴の処置に処方されるもう一つの薬剤)とを、一つの組成物として同時に投与すること、又は異なる組成物として同時に投与すること、又は逐次的に投与することを指すために用いられる。ただし、逐次的投与が「協同的」であるとみなされるには、ネラメキサンなどの1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体と第2の活性剤とが、哺乳動物における耳鳴の処置にとって有益な効果がまだ生じうるような時間間隔で投与されなければならない。
なお、本願は特許請求の範囲に記載される発明にかんするものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.耳鳴を処置するための1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体であって、治療有効量の1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される誘導体。
2.耳鳴の処置を必要とする対象における耳鳴を処置するための医薬を製造するための、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体の使用であって、治療有効量の1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される使用。
3.第2期間中に1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が、治療有効量の0%超〜75%の用量で投与されるか、治療有効量の20〜75%の用量の用量で投与されるか、治療有効量の25〜50%である用量で投与される、上記1又は2の誘導体/使用。
4.第2期間中は1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が投与されず、第2期間後に処置が繰り返される、上記の誘導体/使用。
5.第2期間後に治療有効量に到達するための用量増加が段階的に行なわれる、上記の誘導体/使用。
6.第2期間の後、治療有効量の1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が、耳鳴の再発後に対象に投与される、上記の誘導体/使用。
7.耳鳴の再発後に行なわれる治療有効量の1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体の投与が少なくとも1年は続けられる、上記6の誘導体/使用。
8.第2期間が3〜6ヶ月である、上記の誘導体/使用。
9・第1期間と第2期間の間に、用量を段階的に減少させる移行期間がある、上記の誘導体/使用。
10.1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体がネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩である、上記の誘導体/使用。
11.1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体がメシル酸ネラメキサンである、上記10の誘導体/使用。
12.メシル酸ネラメキサンが第1期間中は約5mg〜約150mg/日の範囲、又は第1期間中は約5mg〜約100mg/日の範囲、又は第1期間中は約5mg〜約75mg/日の範囲、又は第1期間中は約50mg/日、又は第1期間中は約75mg/日で投与される、上記11の誘導体/使用。
13.ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回投与される、上記10〜12のいずれか一項の誘導体/使用。
14.ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日2回投与される、上記12の誘導体/使用。
15.ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が即時放出製剤で投与されるか、放出調節性剤で投与される、上記10〜14のいずれか一項の誘導体/使用。
16.1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体応答性状態の処置を必要とする対象における当該状態を処置するための1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体であって、治療有効量の1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は前記対象に毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される誘導体。
17.1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体応答性状態の処置を必要とする対象における当該状態を処置するための医薬を製造するための、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体の使用であって、治療有効量の1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が少なくとも3ヶ月の第1期間は前記対象に毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体が治療有効量の0〜75%である用量で投与される使用。
代表的製剤の例
よく使用される溶媒、補助剤及び担体を利用して、活性成分を錠剤、コート錠、カプセル剤、点滴液、坐剤、注射及び注入調製物などに加工し、経口経路、直腸経路、非経口経路、その他の経路で、治療的に適用することができる。経口投与に適した錠剤は、従来の製錠技法によって製造することができる。以下の例は、例示のために記載するに過ぎず、限定と解釈してはならない。
製剤例1:メシル酸ネラメキサン即時放出錠剤
次の表に、活性構成成分、コーティング剤、及び他の賦形剤を含む、投与量12.5、25.0、37.5、及び50.0mgのネラメキサン即時放出錠剤の構成を示す。
表1−メシル酸ネラメキサン、12.5mgフィルムコート錠
表2−メシル酸ネラメキサン、25.0mgフィルムコート錠
表3−メシル酸ネラメキサン、37.5mgフィルムコート錠
表4−メシル酸ネラメキサン、50.0mgフィルムコート錠
実施例
以下に、実施例を挙げて本発明を例示するが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
耳鳴の処置に関するネラメキサンの二重盲検プラセボ対照パイロット治験
このパイロットプロジェクトの目的は、耳鳴の処置としてのネラメキサンの有効性を評価するための臨床治験を行なうことだった。この試験の主目的は、少なくとも中等度の重症度である主観的耳鳴を持つ被験者において、3つの異なる投与量(25、50又は75mg/日)でのメシル酸ネラメキサンの有効性、認容性及び安全性を、プラセボと比較することだった。
試験デザイン
二重盲検、多施設、ランダム化、プラセボ対照、並行群間試験で、少なくとも中等度の重症度である耳鳴を患う被験者におけるネラメキサンの有効性を評価した。特定の組み入れ基準を満たし、特定の除外基準のいずれにも合致しない、約100人の患者を、4つの二重盲検処置群(メシル酸ネラメキサン25、50、75mg/日、又はプラセボ)のそれぞれにランダム化して、患者を全部で約400人にした。
16週間の二重盲検処置期間は、4週間のアップタイトレーション(uptitration)期間と、不変の維持b.i.d.投薬が行なわれる12週間の固定用量処置期間とからなった。ただし、認容性が低い場合、治験責任医師は、25mg/日(又はプラセボをそれぞれ)の用量削減を検討できるものとした。処置期間後に、能動的処置及び並行治療制限を伴わない4週間の経過観察期間を設けた。この試験には、全部で7回の試験来院、すなわちスクリーニング、ベースライン、並びに4、8、12、16、及び20週目の最後を含めた。(治験参加者はメシル酸ネラメキサン(例えば1日2回投与される25mg即時放出錠剤として50mg)又はプラセボを16週間にわたって毎日2回投与される。メシル酸ネラメキサンは、12週間の固定用量処置期間に先立つ4週間のアップタイトレーション期間中、週に12.5又は25mgずつ、アップタイトレーションした。4週間の経過観察期間で処置を追跡した)。
各患者を評価するための予定来院は次のとおりにした。
来院1(スクリーニング):同意書への署名後に、被験者は身体検査及び臨床検査を受けた。試験に関する患者の適格性を、組み入れ/除外基準のチェックによって評価した。初回耳鳴問診(Tinnitus Interview)を行なった。被験者は、Tinnitus-Beeintraechtigungs-Fragebogen(TBF-12)(すなわち、25項目耳鳴障害度調査票(Tinnitus Handicap Inventory、すなわちTHI)(Newman CWら「Development of the Tinnitus Handicap Inventory」Arch Otolaryngol Head Neck Surg 1996; 122(2): 143-148;Newman CWら「Psychometric adequacy of the Tinnitus Handicap Inventory (THI) for evaluating treatment outcome」J Am Acad Audiol 1998; 9(2): 153-160)の修正・実証された12項目のドイツ版(Greimel KVら, Tinnitus-Beeintraechtigungs-Fragebogen (TBF-12). Manual. Frankfurt am Main: Swets & Zeitlinger B.V.; 2000))、病院不安抑うつ尺度-抑うつ下位尺度(HADS-D)質問表(Hospital Anxiety and Depression Scale - Depression Subscale (HADS-D) Questionnaire)及び聴覚過敏(Hyperacusis/Geraeuschueberempfindlichkeit-Fragenbogen(GUEF))質問表(該当する場合)の記入も行なった。
来院2(ベースライン):有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その事象/変化を記録した。被験者を、組み入れ/除外基準の点検に基づいて、試験適格性について評価した。治験手順並びに併用許可薬及び併用禁止薬を被験者と共に点検した。初回耳鳴問診を行なった。被験者はTBF-12、HADS-D質問表及びGUEF質問表(該当する場合)の記入も行なった。被験者を試験に組み入れ、試験薬(プラセボ又はネラメキサン)を後述のように分配した。
来院3(4週目):この来院は4週間アップタイトレーションシーケンスの最後に行なわれた。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その事象/変化を記録した。経過観察耳鳴問診を行なった。被験者はTBF-12、HADS-D質問表及びGUEF質問表(該当する場合)の記入も行なった。服薬コンプライアンスを評価し、次の4週間分の薬を後述のように分配した。
来院4(8週目):この来院は1回目の4週間固定用量二重盲検処置期間の最後に行なわれた。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その変化を記録した。ネラメキサン投薬前濃度を決定するために血液試料を採取した。経過観察耳鳴問診を行なった。被験者はTBF-12、HADS-D質問表及びGUEF質問表(該当する場合)の記入も行なった。服薬コンプライアンスを評価し、次の4週間分の薬を後述のように分配した。
来院5(12週目):この来院は2回目の4週間固定用量二重盲検処置期間の最後に行なわれた。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その変化を記録した。経過観察耳鳴問診を行なった。被験者はTBF-12、HADS-D質問表及びGUEF質問表(該当する場合)の記入も行なった。服薬コンプライアンスを評価し、次の4週間分の薬を後述のように分配した。
来院6(16週目、処置の最後):この来院は12週間固定用量二重盲検処置期間の最後に行なわれた。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その変化を記録した。臨床検査評価を行なった。経過観察耳鳴問診を行い、被験者はTBF-12、HADS-D質問表及びGUEF質問表(該当する場合)の記入を行なった。純音聴力検査(空気伝導)も行なった。
来院7(20週目):この来院は最後の試験薬投薬後の4週間経過観察期間の最後に行なわれた。併用薬並びに最後の来院以降に起こった有害事象の点検を被験者と共に行なう。経過観察耳鳴問診を行い、被験者はTBF-12、HADS-D質問表及びGUEF質問表(該当する場合)の記入を行なった。
ネラメキサンの投与
メシル酸ネラメキサン即時放出錠剤(12.5mg及び25mg)並びに対応するプラセボ錠剤をフィルムコート錠として投与した。
薬はブリスターボックスに入れて供給され、これを来院2から来院5まで分配した。各ブリスターボックスには、4処置週間用の4枚のブリスターカードと、予備として1枚のブリスターカードを入れた。ブリスターカードは処置週によって識別された。ブリスターカード内の1日分の薬は日によって識別された。各試験日用の試験薬は4つの独立した錠剤からなった。1枚のブリスターカードには、32錠(7×4錠、1日あたり4錠、及び1日分の予備4錠)が含まれた。患者1人あたりの薬のパッケージ1個は、5つのボックスからなった。ボックス2は、ボックス1(アップタイトレーション期間)用の予備薬として加えられ、被験者がボックス1のブリスターカード又はボックス全体を失った場合にのみ分配されるものとした。
試験薬は来院2(ベースライン、0日目)時に分配された。各患者は、二重盲検試験薬のブリスターカード(すなわち32錠)5枚(予備ブリスター1枚を含む)が入っているブリスターボックス1箱を受け取った。被験者には、試験薬を分配した翌日から開始して、彼らがそれぞれの次の試験来院(来院3)のために再訪するまで、毎日2錠を2回(4錠/日)服用するように指示した。活性薬を受け取るように割り当てられた被験者については、アップタイトレーション期間中の盲検化を保証するために、いくつかのプラセボ錠剤を投与レジメン中に組み込んだ。25、50、又は75mgメシル酸ネラメキサン/日のターゲット固定維持用量の投与を二重盲検処置の第5週から開始して、試験の間はずっと続けた。以降の各来院(4、8及び12週目の最後に対応する来院3、4、及び5)時に、患者は、次の試験来院までの介入的処置期間のための二重盲検薬が入っている4週間分のブリスターカード5枚を含むブリスターボックスを新たに一箱受け取った。投薬スケジュールを表5に示す。
二重盲検処置期間中はずっと、患者は、毎日2×2錠の薬を12時間という一定間隔で服用し続けることとした。来院4及び6(8週目及び16週目)の日に患者が午前分の試験薬を既に服用し終わっていた場合は、予定の血液採取を行なわないことにした。治験責任医師は、十分な量の試験薬を再分配する必要があった。患者は12時間という一定間隔で2×2錠を服用し続けるものとし、投薬前ネラメキサン血液採取のために来院4及び6の時間枠内に再訪した。
表5−メシル酸ネラメキサンの投与
認容性が低い場合、治験責任医師は、午前中の大きい方の錠剤を省くことによる25mg/日の用量削減(これは、75mg/日及び50mg/日メシル酸ネラメキサン群でのみ、有効用量削減を構成する)を検討できるものとした。午前分の大きい方の錠剤(それぞれ25mg又はプラセボ)を省いた後、これらの患者は、午前分として小さい方の1錠(それぞれ12.5mg又はプラセボ)だけを服用し、夜分としてサイズの異なる2錠(それぞれ12.5mg、25mg又はプラセボ)を服用しつつ、計画どおりに試験を続けることができる。この用量は試験の最後まで一定に維持することとした。
被験者には、個人的に都合のよい(ただし試験中は常に一定した)時点に、可能な場合は常に、12時間という一定の投薬間隔で(例えば6:00時と18:00時又は8:00時と20:00時)、試験薬を服用するように指示した。各試験来院時に、治験責任医師は、前日の試験薬服用時点を尋ねた。服薬コンプライアンスを評価するために、4、8、12、及び16週目の最後(又は早期終了時)に、患者は、5枚のブリスターカードが入ったそれぞれのブリスターボックスを持って、試験施設を再訪した。
有効性
主要アウトカム
・ベースライン(来院2)からエンドポイント来院(来院6、すなわち16週目)までのTBF-12合計スコアの変化を、この試験における主要有効性エンドポイントとした。
副次アウトカム
・エンドポイント来院を除く全てのベースライン後来院時のTBF-12合計スコア(値及びベースラインからの絶対変化)。
・16週目から20週目までのTBF-12合計スコアの変化(値及び絶対変化)。
・全てのベースライン後来院時のTBF-12要因スコア(値及びベースラインからの絶対変化、16週目から20週目までの変化を含む)。
・聴覚過敏が存在する場合は、全てのベースライン後来院時の、聴覚過敏質問表GUEF(「Geraeuschueberempfindlichkeits-Fragebogen」)、値及びベースラインからの絶対変化(16週目から20週目までの変化を含む)、合計スコア及び要因スコア。
・臨床的全般的印象の変化:耳鳴経過観察問診の項目27を、何らかの改善(値1、2、3)と改善なし(値4、5、6、7)及び著しい改善(値1、2)と著しい改善なし(値3、4、5、6、7)に応答を二分した後に、要約した。
・全てのベースライン後来院時のHADS-Dの合計スコア並びにうつ病及び不安下位尺度(値及びベースラインからの絶対変化、16週目から20週目までの変化をも含む)。
・全てのベースライン後来院時の耳鳴問診(初回及び経過観察)の値;経過観察問診の項目8、9、10、19、20、21、24、25及び26に関してベースラインからの絶対変化及び16週目から20週目までの変化。
データ解析
有効性解析は全て、ITT集団に対して、LOCF(last-observation-carried-forward)法を使って行なった。感度を得るために、治験実施計画書に適合した対象集団(per-protocol set)の解析及び観察された症例(observed cases)の解析も行なった。主要有効性(検証的試験)及び副次有効性基準(探索的)を検定するために使用した全ての統計的検定、並びに探索的解析に使用した他の全ての統計的検定は、5%有意水準で行なわれる両側仮説検定とした。全ての変量について標準的記述統計を計算した。
ベースライン(来院2)から16週目までのTBF-12合計スコアの変化は、処置群及び試験施設を要因とし、ベースラインTBF-12合計スコアを共変量とする、二元配置ANOVAモデルを使って解析した。
副次有効性パラメータについては、ネラメキサンとプラセボとの比較を、適当であれば来院ごとに、処置群及び試験施設を要因とし、有効性パラメータの対応するベースライン値を共変量とする二元配置ANCOVAを使って行なった。
考察
この臨床試験は、有効性及び安全性に関して前途有望な結果を示した。50mg又は75mgメシル酸ネラメキサンの最終1日量で16週間の二重盲検処置後(来院6)に、患者は、プラセボ又は低用量(25mg)メシル酸ネラメキサンで処置された群とは明確に異なる、耳鳴の明確な改善(TBF-12で測定されるもの)を報告した。その処置期間を、どの薬も投与しない4週間のウォッシュアウト期間で追跡した。注目すべきことに、先に50mg又は75mgのメシル酸ネラメキサンによる処置を受けていた被験者は、その耳鳴のさらなる関連した改善を報告し、プラセボ又は低用量ネラメキサンを受けていた被験者では、そのような改善は報告されなかった。これは全く予想外の臨床観察だった。4週間のウォッシュアウトの最後(20週目、来院7)には、50mg群とプラセボ群の間のTBF-12改善の差が、統計的に有意になった。これらの結果を次の表6及び図1に示す。
表6−ベースラインから全てのベースライン後来院までのTBF-12合計スコアの変化(ITT-LOCF)
これらの知見は、薬物投与を中断した後でさえ耳鳴を持続的に改善する能力をネラメキサンが持つことを証明している。したがってネラメキサンは、患者が耳鳴の悪化を起こさない休薬区間を可能にする、耳鳴の処置における間欠療法として、又は用量を低下させたネラメキサンを投与することによって患者における耳鳴の再発を予防するための、耳鳴の処置における維持療法として、役立ちうる。
耳鳴の処置に関するネラメキサンの二重盲検プラセボ対照治験
このプロジェクトの目的は、耳鳴の処置としてのネラメキサンの持続的効果をさらに評価するための臨床治験を行なうことである。この試験の主目的は、初回発症、持続性、片側又は両側主観的耳鳴を持つ被験者において、ネラメキサンの有効性、認容性及び安全性を、プラセボと比較することである。
試験デザイン
二重盲検、多施設、ランダム化、プラセボ対照、並行群間試験で、耳鳴を患う被験者におけるネラメキサンの有効性を評価する。特定の組み入れ基準を満たし、特定の除外基準のいずれにも合致しない患者を、二重盲検処置群にランダム化する。
試験薬物用量に依存して4又は5週間のアップタイトレーション期間を含む17週間にわたって、被験者をネラメキサン又はプラセボで処置した後、処置中止後の薬物の持続的効果を調べるために12週間の無処置観察期間を設ける。
ターゲット1日量が50mgメシル酸ネラメキサンである被験者(<90kgの体重)は4週間後に定常状態に達し、ターゲット総1日量が75mgメシル酸ネラメキサンである患者(≧90kgの体重)は5週間の処置後に定常状態に達する。75mg用量で用量制限有害事象を起こした患者については、その患者を50mg/日に切り替えることによって、投与量を減らすことができる。50mg/日の最低投与量を認容できない患者は中断させる。
各患者を評価するための予定来院は次のとおりである。
来院1(スクリーニング):同意書への署名後に、被験者は身体検査及び臨床検査を受ける。試験に関する患者の適格性を、組み入れ/除外基準のチェックによって評価する。
来院2(ベースライン):有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その事象/変化を記録する。被験者を組み入れ/除外基準の点検に基づいて試験適格性について評価する。治験手順並びに併用許可薬及び併用禁止薬を被験者と共に点検する。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。被験者を試験に組み入れ、試験薬(プラセボ又はネラメキサン)を後述のように分配する。
来院3(5週目):この来院はアップタイトレーションシーケンスの最後に行なわれる。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その事象/変化を記録する。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。薬を後述のように分配する。
来院4(9週目):この来院は1回目の4週間固定用量二重盲検処置期間の最後に行なわれる。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その変化を記録する。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。薬を後述のように分配する。
来院5(13週目):この来院は2回目の4週間固定用量二重盲検処置期間の最後に行なわれる。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その変化を記録する。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。薬を後述のように分配する。
来院6(17週目、処置の最後):この来院は12週間固定用量二重盲検処置期間の最後に行なわれる。有害事象及び併用薬/併存疾患の変化について被験者に質問し、その変化を記録する。臨床検査評価を行なう。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。
来院7(21週目):この来院は最後の試験薬投薬の4週間後に行なわれる。併用薬並びに最後の来院以降に起こった有害事象の点検を被験者と共に行なう。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。
来院8(25週目):この来院は最後の試験薬投薬の8週間後に行なわれる。併用薬並びに最後の来院以降に起こった有害事象の点検を被験者と共に行なう。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。
来院9(29週目):この来院は最後の試験薬投薬後の12週間の経過観察期間の最後に行なわれる。併用薬並びに最後の来院以降に起こった有害事象の点検を被験者と共に行なう。安全性パラメータ及び有効性パラメータを評価する。
ネラメキサンの投与
メシル酸ネラメキサン即時放出錠剤(12.5mg及び25mg)並びに対応するプラセボ錠剤をフィルムコート錠として投与する。
薬は来院2から来院5まで分配される。各試験日用の試験薬は別々の4錠からなる。投薬スケジュールを表7に示す。
二重盲検処置期間中はずっと、患者は、毎日2×2錠の薬を12時間という一定間隔で服用し続けることとする。
表7−メシル酸ネラメキサンの投与
用量制限有害事象があった場合、治験責任医師は、75mg/日群でのみ、25mg/日の用量削減を検討することができる。50mg/日の最低投与量を認容できない患者は中断させる。
被験者には、個人的に都合のよい(ただし試験中は常に一定した)時点に、可能な場合は常に、12時間という一定の投薬間隔で(例えば6:00時と18:00時又は8:00時と20:00時)、試験薬を服用するように指示する。
有効性
主要アウトカム
・ベースライン(来院2)から処置の最後までのTBF-12合計スコアの変化を、この試験における主要有効性エンドポイントとする。
副次アウトカム
・全てのベースライン後来院時のTBF-12及びTBF-12要因スコア(値及びベースラインからの絶対変化)
・耳鳴の大きさ(11段階のリッカート尺度)
・耳鳴の煩わしさ(11段階のリッカート尺度)
・耳鳴の生活への影響(11段階のリッカート尺度)
・耳鳴の大きさ、耳鳴の煩わしさ及び耳鳴の生活への影響の合計スコア(Tスコア)。
データ解析
有効性解析は全て、ITT集団に対して、LOCF(last-observation-carried-forward)法を使って行なう。主要有効性(検証的試験)及び副次有効性基準(探索的)を検定するために使用する全ての統計的検定、並びに探索的解析に使用する全ての統計的検定は、5%有意水準で行なわれる両側仮説検定である。
考察
この臨床試験により、薬物投与を中断した後でさえ耳鳴を持続的に改善する能力をネラメキサンが持つこと、そしてそれゆえに、ネラメキサンは、患者が耳鳴の悪化を起こさない休薬区間を可能にする、耳鳴の処置における間欠療法として、又は用量を低下させたネラメキサンを投与することによって患者における耳鳴の再発を予防するための、耳鳴の処置における維持療法として、役立ちうることが、さらに証明されると予想される。
難聴の処置に関するネラメキサンのプラセボ対照治験
試験デザイン
この試験の主目的は、難聴の処置における75mgまでの1日量でのメシル酸ネラメキサンの安全性及び有効性を、プラセボと比較して調べることである。
ネラメキサンの投与
メシル酸ネラメキサン25mg放出調節錠剤及び対応するプラセボ錠剤をフィルムコート錠として投与する。
メシル酸ネラメキサン(又はプラセボ)を、1週間にわたる25mgの1日量から開始して、1週間間隔で25mgずつ投与量を増加させて、75mgの最大1日量までアップタイトレーションする。
処置は試験1日目の夜に開始する。開始1日量は、就寝時に7日間服用される1回あたり25mgのメシル酸ネラメキサンである。8日目に、メシル酸ネラメキサンの1日量を、新たに7日間にわたって、50mgに増やす(1週間にわたって夜に2錠)。15日目に、患者を75mgメシル酸ネラメキサンまでアップタイトレーションする。患者は13週間にわたってネラメキサンを服用し続ける(13週間にわたって夜に1日1回3錠)。1日75mgを認容できない患者は、予定された全処置継続期間の残りの期間については、メシル酸ネラメキサン用量を25mg〜50mg減らすことができる。例えば、75mg用量を認容できなかった患者は、50mg用量に後戻りさせる。その場合は、その患者に、7週間という予定された全処置継続期間の残りの期間について、50mg用量に留まるように求める。この投与レジメンを表8に示す。
表8−メシル酸ネラメキサンの投与
本発明は、本明細書に記載する具体的実施形態によってその範囲を限定されるものではない。実際、上述の説明から当業者には、本明細書に記載する実施形態の他に、本発明のさまざまな変更実施形態が明白になるだろう。そのような変更実施形態は添付の請求項の範囲に包含されるものとする。
本明細書で言及する特許、特許出願、刊行物、試験方法、文献、及び他の材料は全て、参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (32)

  1. 耳鳴の処置を必要とする対象における耳鳴を処置するための医薬を製造するための、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩の使用であって、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が投与されないかまたは治療有効量の0%超〜75%である用量で投与され、ただし、第2期間中にネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が投与されない場合には、第2期間後に第1期間の処置が繰り返される、上記使用。
  2. 第2期間中にネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が、治療有効量の0%超〜75%の用量で投与されるか、治療有効量の20〜75%の用量の用量で投与されるか、治療有効量の25〜50%である用量で投与される、請求項1の使用。
  3. 第2期間後に治療有効量に到達するための用量増加が段階的に行なわれる、請求項1又は2の使用。
  4. 第2期間の後、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が、耳鳴の再発後に対象に投与される、請求項1〜3のいずれか一項の使用。
  5. 耳鳴の再発後に行なわれる治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩の投与が少なくとも1年は続けられる、請求項4の使用。
  6. 第2期間が3〜6ヶ月である、請求項1〜5のいずれか一項の使用。
  7. 第1期間と第2期間の間に、用量を段階的に減少させる移行期間がある、請求項1〜6のいずれか一項の使用。
  8. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩がメシル酸ネラメキサンである、請求項1〜7のいずれか一項の使用。
  9. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は5mg〜150mg/日の範囲で投与される、請求項8の使用。
  10. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は5mg〜100mg/日の範囲で投与される、請求項9の使用。
  11. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は5mg〜75mg/日の範囲で投与される、請求項9の使用。
  12. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は50mg/日で投与される、請求項9の使用。
  13. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は75mg/日で投与される、請求項9の使用。
  14. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回投与される、請求項1〜13のいずれか一項の使用。
  15. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日2回投与される、請求項14の使用。
  16. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が即時放出製剤で投与されるか、放出調節性剤で投与される、請求項1〜15のいずれか一項の使用。
  17. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩を含む耳鳴を処置するための医薬品組成物であって、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が少なくとも3ヶ月の第1期間は毎日投与され、その後、少なくとも1ヶ月の第2期間は、ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が投与されないかまたは治療有効量の0%超〜75%である用量で投与され、ただし、第2期間中にネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が投与されない場合には、第2期間後に第1期間の処置が繰り返されるために、組成物が適切にパッケージされている、上記組成物。
  18. 第2期間中にネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が、治療有効量の0%超〜75%の用量で投与されるか、治療有効量の20〜75%の用量の用量で投与されるか、治療有効量の25〜50%である用量で投与されるために組成物が適切にパッケージされている、請求項17の組成物。
  19. 第2期間後に治療有効量に到達するための用量増加を段階的に行えるように組成物が適切にパッケージされている、請求項17又は18の組成物。
  20. 第2期間の後、治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が、耳鳴の再発後に対象に投与される、請求項17〜19のいずれか一項の組成物。
  21. 耳鳴の再発後に行なわれる治療有効量のネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩の投与が少なくとも1年は続けられる、請求項20の組成物。
  22. 第2期間が3〜6ヶ月である、請求項17〜21のいずれか一項の組成物。
  23. 第1期間と第2期間の間に、用量を段階的に減少させる移行期間がある、請求項17〜22のいずれか一項の組成物。
  24. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩がメシル酸ネラメキサンである、請求項17〜23のいずれか一項の組成物。
  25. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は5mg〜150mg/日の範囲で投与される、請求項24の組成物。
  26. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は5mg〜100mg/日の範囲で投与される、請求項25の組成物。
  27. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は5mg〜75mg/日の範囲で投与される、請求項25の組成物。
  28. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は50mg/日で投与される、請求項25の組成物。
  29. メシル酸ネラメキサンが第1期間中は75mg/日で投与される、請求項25の組成物。
  30. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回で投与するために組成物が適切にパッケージされる、請求項17〜29のいずれか一項の組成物。
  31. ネラメキサン又は薬学的に許容できるその塩が1日2回投与するために組成物が適切にパッケージされる、請求項30の組成物。
  32. 組成物が即時放出製剤で投与されるか、放出調節性剤で投与される、請求項17〜31のいずれか一項の組成物。
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