JP5600219B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物に関する。
熱可塑性エラストマーとは、加熱により軟化して流動性を有し、冷却するとゴム弾性を有するエラストマーをいう。具体的には、エラストマーを成形加工する際には、加工温度において溶融し、容易に周知の樹脂成形に用いる方法での成形加工が可能となるが、成形加工後に、実際に各種材料として使用する温度(以下、「使用温度」という)においては、架橋ゴム同様の物理的性質を有する、産業上極めて有用な材料である。
従来、熱可塑性エラストマーとして、ブロックコポリマー、特にトリブロックコポリマーなどの各種マルチブロックコポリマー等のポリマーが知られている。
一般に前記のブロックコポリマーは、非晶性またはゴム状物性を有する「ソフトセグメント」と、典型的な熱可塑性エラストマーの使用温度で結晶状態またはガラス状態である「ハードセグメント」とが結合した構造を有する。ハードセグメント中のポリマー鎖は、典型的な使用温度で互いに結合し、エラストマーとしての性質を示すようになる。しかしハードセグメントの溶融温度(以下「Tm」とも略記する。)またはハードセグメントのガラス転移温度(以下「Tg」とも略記する。)よりも高い温度で加熱されると、ポリマーは容易に熱可塑性挙動を示すようになる。
熱可塑性エラストマーの使用温度は、典型的には室温付近、例えば10℃から40℃の範囲であるが、使用環境や用途によって、より低温(例えば0℃以下)や、より高温(例えば50℃以上)での使用を期待され、耐熱性を要求されることがある。その場合、ハードセグメントの熱的性質が重要となる。
熱可塑性エラストマー(TPE)組成物として、よく知られるものとして、スチレン系ブロックコポリマー(SBC)が挙げられ、例えばスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーやスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー等の直鎖状トリブロックコポリマーが挙げられる。
これらのコポリマーは、よく制御されたブロック構造を有し、かつスチレンセグメントが比較的高いTgを有するため、比較的優れた耐熱性とエラストマー性のバランスを示すことが知られている。しかしこれらのスチレン系ブロックコポリマーは通常、逐次アニオン重合または直鎖ジブロックコポリマーの化学的カップリングにより製造されることから、用いることができるモノマー種が限定される。また各々のポリマー鎖が化学量論量の重合開始剤を必要とし、かつ比較的重合反応速度が遅いため、プロセスの経済性に劣る。
さらに典型的なSBCのガラス転移温度は約80〜90℃前後であるため、より高い使用温度においては、再度流動性を有し、耐熱性に乏しいため、これらのコポリマーの使用は限定される。
これらの従来技術の欠点を補うため、遷移金属化合物を用いたオレフィンモノマーの挿入、または配位重合によって、これらのブロックコポリマーまたは熱可塑性エラストマー組成物を生成することがプロセスの効率並びに原料の経済性の点から特に望まれており、オレフィン系ブロックコポリマー、具体的にはプロピレン系ブロックコポリマーによる物性改良が検討されている。
非特許文献1では、これらプロピレン系ブロックコポリマーの機械物性が詳しく評価されている。それによるとプロピレンセグメントのTmは、前述のスチレン系ブロックコポリマーのポリスチレンセグメントの持つTgに比べ高く、それにより特に高温下において、スチレン系ブロックコポリマーに比べより高いエラストマー特性を有する。だが、これらのプロピレン系ブロックコポリマーを製造する際には、リビング重合触媒が用いられている。リビング重合触媒は、理論上1つの触媒分子から1本のポリマー鎖しか得られず、生産性が制限され、用途は比較的少量の高付加価値な分野に限定される。
そこでより生産性に優れた方法で「ブロック様コポリマー」を生産する方法が検討されている。具体的な「ブロック様コポリマー」として、片末端に配位重合可能なビニル基を持つ重合体と、モノマーを共重合させることで側鎖と主鎖の性質の異なるグラフト共重合体を形成する方法が検討されている。
特許文献1には、重合可能なマクロモノマーをソフトセグメント中に共重合した分岐鎖オレフィンコポリマーを含む、特定の物性を持つオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物ならびにその製造方法が開示されている。
特許文献2には、結晶性側鎖としてアイソタクチックポリプロピレンセグメントを持ち、非晶性主鎖としてアタクチックポリプロピレンを持つ枝分かれオレフィンポリマーを含む、熱可塑性エラストマー組成物並びにその製造方法が開示されている。
特許文献3には、側鎖にアイソタクチックポリプロピレンセグメントを有し、主鎖にプロピレンエチレン共重合体を有する分岐プロピレン系共重合体を含む組成物が開示されている。
日本国特表2001−527589号公報 日本国特表2001−525463号公報 国際公開第2008/059969号
Proceedings of the National Academy of Sciences(2006) vol.103 (42) pp.15327
しかし、特許文献1に記載の分岐鎖オレフィンコポリマーでは、側鎖のTmはSBCのTgに比べて高いものの、結晶性ポリプロピレンなどに比べて低く、その耐熱性はまだ十分なものとは言えない。また特許文献1に開示されているエラストマー組成物は、発明者らが追試をしたところ、明らかにエラストマー物性が不足しているものであることがわかった。該文献に記載の分岐鎖オレフィンコポリマーは、主鎖がエチレン共重合体で、側鎖がエチレン単独重合体であるが、エチレン系重合体側鎖は、側鎖同士の結晶化は可能であるものの、結晶化後も側鎖同士の滑りが起こりやすく、物理架橋点としての機能が不十分であるため、エラストマーとしての機械的物性に劣るものと考えられる。
また、特許文献2に記載の枝分かれオレフィンポリマーは、主鎖部分としてアタクチックポリプロピレンが使用されている。しかし一般にアタクチックポリプロピレンのガラス転移点は高く、0℃程度であることが知られており、低温での脆化が著しく、熱可塑性エラストマーの用途として典型的な、結晶性樹脂への添加による低温耐衝撃性の改良効果は望めない。さらにアタクチックポリプロピレンは一般にアイソタクチックポリプロピレンとの相溶性が非常に高いことが知られており、結晶性ポリプロピレンマトリックスに添加した場合、そのマトリックス自体の構造を変化させ、剛性等機械的物性を悪化させてしまう。また主鎖と側鎖の親和性が高いことから、側鎖同士の相互作用も十分なものとは成りえず、エラストマーとしての機械的物性は十分なものとは言えない。
そして特許文献3に記載の発明は、主に流動性改良や耐衝撃性改良に関連するものであり、エラストマーについての開示はない。特許文献3において開示され、実際に製造されているマクロモノマーは分子量が高く、また分岐プロピレン共重合体のうち実際に共重合されていないマクロモノマーも含めて結晶性プロピレンの占める割合は大きく、エラストマーとしての性能を企図したものでないことは明らかである。
本発明は、上記問題に鑑み耐熱性や機械的特性といった、熱可塑性エラストマーとしての性能に優れ、かつ経済的に優れた方法により製造可能な、オレフィン系熱可塑性エラストマーを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、高結晶性のポリプロピレンセグメントを側鎖として持つエチレン系共重合体を含む組成物が、熱可塑性エラストマーとして非常に高い性能を有することを見いだした。
驚くべきことに、高結晶性のポリプロピレンを側鎖として持つ本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、従来技術による直鎖型または分岐型オレフィンコポリマーに由来する熱可塑性エラストマーに比べ、ハードセグメントを形成する側鎖成分(片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する成分)が比較的低含量であっても優れたエラストマー性を示し、特に非常に柔軟ながら弾性回復率にも優れる。これは高結晶性ポリプロピレン側鎖が物理架橋点として特に優れた作用を発揮しているものと考えられ、高結晶性ポリプロピレン側鎖とエチレン系共重合体主鎖の組み合わせによる特異かつ優れた性質を示すものとしてここに開示するものである。
すなわち本発明の要旨は、以下に存する。
(1)エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記主鎖中のα−オレフィン含有量が70mol%以下であり、前記組成物が500%以上の破断点伸びを示し、かつ300%伸長からの回復時に70%以上の弾性回復率を示す熱可塑性エラストマー組成物。
(2)前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が、0.80以上である前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(3)前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上である前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(4)前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が50000以下である前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(5)前記熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が−30℃以下である前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(6)前記熱可塑性エラストマー組成物の密度が0.880g/mL以下である前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(7)前記熱可塑性エラストマー組成物において、
A)前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、
B)前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が50000以下であり、
C)前記熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が−30℃以下であり、
D)前記熱可塑性エラストマー組成物の密度が0.880g/mL以下である、
前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(8)前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が、0.90以上である、前記(2)〜(7)のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(9)前記熱可塑性エラストマー組成物において、
A)前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上であり、
B)前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が、50000以下であり、
C)前記熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が、−30℃以下であり、
D)前記熱可塑性エラストマー組成物の密度が、0.880g/mL以下である、
前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(10)前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が0.70以上である、前記()に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(11)前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記結晶性プロピレン重合体及び前記結晶性プロピレン重合体に由来する成分を合計で30重量%以下含有する、前記(1)から(10)のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(12)エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有し、数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、下記a)〜c)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中のc)α−オレフィン含有量が5〜70mol%になるように下記a)〜c)成分を配位重合させる重合工程とを含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
a)片末端にビニル基を有し、アイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、かつ数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体
b)エチレン
c)少なくとも1種類以上の、炭素数3から20のα−オレフィン
(13)エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有し、数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、下記a)〜c)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中のc)α−オレフィン含有量が5〜70mol%になるように下記a)〜c)成分を配位重合させる重合工程とを含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
a)片末端にビニル基を有し、シンジオタクチックペンタッド分率が0.60以上であり、かつ数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体
b)エチレン
c)少なくとも1種類以上の、炭素数3から20のα−オレフィン
(14)上記遷移金属触媒が、下記一般式(VIII)で表される錯体である、上記(12)又は(13)に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
(式(VIII)中、Rは、炭素数1から30の炭化水素基であり、Tは水素原子以外の原子を1〜30個含む2価の基である。R10はルイス塩基官能性を含む炭素数5〜20のヘテロアリール基であり、前記へテロアリール基は置換基を有していてもよい。Mは周期表第4族金属であり、Xはモノアニオン性、ジアニオン性、または中性配位子であり、x’はX基の数を示し、0〜5の整数である。R10とMは互いに結合して環を形成していてもよい。また構造式中、実線は結合、破線は任意の結合、矢印は配位結合を表す。)
(15)上記混合工程において、前記a)成分の含有量が、前記a)〜c)成分の総量の30重量%以下となるように混合する、上記(12)〜(14)のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
(16)上記重合工程において、前記熱可塑性エラストマー中の、前記結晶性プロピレン重合体及び前記結晶性プロピレン重合体に由来する成分の合計が、30重量%以下となるように重合する上記(12)〜(15)のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
(17)上記(12)〜(16)の何れか1に記載の方法により製造される熱可塑性エラストマー組成物。
本発明によれば、耐熱性や、破断点伸び、弾性回復率などの機械特性に優れた熱可塑性エラストマーを、経済的な製造方法により提供することが可能になる。
図1は、実施例9の応力ひずみ曲線の測定結果である。 図2は、比較例2の応力ひずみ曲線の測定結果である。
以下、本発明の実施の形態について更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲の内で種々変形して実施することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物(以下、「本発明の組成物」と称することがある)は、エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、500%以上、好ましくは700%以上、より好ましくは800%以上の破断点伸びを示す熱可塑性エラストマー組成物である。前記破断点伸びの下限未満ではエラストマーとして、特に高変形率が求められる用途での使用が制限される。
また本発明の組成物は、300%伸長からの回復時に70%以上、好ましくは75%以上の弾性回復率を示す熱可塑性エラストマー組成物である。前記300%伸長からの回復時の弾性回復率の下限未満ではエラストマー一般としての性能が不十分である。
また主鎖であるエチレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィン含有量が70mol%以下、好ましくは60mol%以下であり、より好ましくは50mol%以下である。前記含有量が多すぎると、主鎖と側鎖の相溶性が高くなりすぎ、側鎖の結晶化を鍵とする分岐構造オレフィン系共重合体間の架橋点の形成が困難になる場合がある。
本発明の組成物は、上記物性を有し、上記主鎖および側鎖を有する分岐構造オレフィン系重合体を含む限りにおいて、他にどのような構成を有していてもよいが、具体的には例えば、以下の構成及び物性を示すものが挙げられる。
・含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が0.80以上である。
・含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上である。
・含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が50000以下である。
・熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が−30℃以下である。
・熱可塑性エラストマー組成物の密度が0.880g/mL以下である。
より好ましくは、以下の構成及び物性を示すものが挙げられる。
A)含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、
B)含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が50000以下であり、
C)熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が−30℃以下であり、
D)熱可塑性エラストマー組成物の密度が0.880g/mL以下である。
又は、
A)含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上であり、
B)含有される分岐構造オレフィン系重合体の側鎖が由来する結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が、50000以下であり、
C)熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が、−30℃以下であり、
D)熱可塑性エラストマー組成物の密度が、0.880g/mL以下である。
先ず、これらの発明の構成要件についてさらに詳細に説明する。
<分岐構造オレフィン系共重合体>
本発明の組成物は、分岐構造オレフィン系共重合体を構成成分として含む。
該分岐構造オレフィン系共重合体は、主鎖がエチレン/α―オレフィン共重合体からなり、側鎖が、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体(以下、「結晶性ポリプロピレンマクロモノマー」と称することがある)に由来するものである。
上記分岐構造オレフィン系共重合体の物性値は、特に限定されるものではないが、通常結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する融点を有する。これらの好ましい値は、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーについて好ましい値と同様であるが、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの融点と異なっていてもよい。
またこの分岐構造オレフィン系共重合体の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量(Mw)はGPCによって測定され、好ましくは20万以上であり、より好ましくは30万以上である。ただし通常この分岐構造オレフィン系共重合体は、重合生成物中に、未反応原料等との混合物として存在するため、これを単離し、単独でその分子量を評価することは事実上不可能である。したがってこの分子量は後に述べられる組成物全体の分子量として評価される。
(主鎖:エチレン/α−オレフィン共重合体)
分岐構造オレフィン系共重合体の主鎖は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
エチレン/α−オレフィン共重合体は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、非晶性またはゴム状物性を有する「ソフトセグメント」に相当する。前記主鎖は、「ソフトセグメント」のドメイン特性に適するように、通常、低結晶性であり、好ましくは非晶質性である。
前記主鎖として用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体の種類は特に限定されるものではないが、具体的には、b)エチレンと、c)少なくとも1種類以上の炭素数3から20のα−オレフィンとを含む共重合体であり、特にプロセス、経済性、物性の観点から、b)エチレンと、c−1)少なくとも1種類以上の炭素数3から8のα−オレフィンとを含む共重合体が好ましい。
前記エチレン/α−オレフィン共重合体中に含まれるα−オレフィンの含量(以下、「主鎖中コモノマー含量」ということがある)は通常70mol%以下であり、好ましくは60mol%以下、より好ましくは50mol%以下である。また下限は特に制限されるものではないが、通常5mol%以上、好ましくは10mol%以上である。主鎖中α−オレフィン含量が前記上限超過の場合は、主鎖と側鎖との相溶性が高くなり過ぎ、側鎖同士が相分離ないし共結晶化する可能性を低下させ、分岐構造オレフィン系共重合体鎖の物理架橋点の形成が困難になる場合がある。また前記下限値未満では柔軟性に乏しく、エラストマーとして要求される性質に適さない場合がある。
本発明において主鎖として用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体の物性値は、特に限定されるものではないが、そのガラス転移点(T)が、通常−30℃以下であり、好ましくは−50℃以下である。
前記エチレン/α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)は好ましくは20万以上であり、より好ましくは30万以上である。本発明の組成物に含まれる分岐構造オレフィン系共重合体は分岐構造を持つため、主鎖に当たる部分の分子量を測定するのは事実上不可能であるが、同一触媒系で結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する側鎖を含まないエチレン/α−オレフィン共重合体を製造した場合の分子量や、実際の分岐構造オレフィン系共重合体の分子量から側鎖の影響を割り引くことで評価することができる。
(結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する側鎖)
本発明の組成物に含有される分岐構造オレフィン系共重合体の側鎖は、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来するものであり、いわゆる結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来するものである。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、前記側鎖は結晶状態またはガラス状態である「ハードセグメント」として機能し、「ソフトセグメント」である主鎖部分と、互いに結合することで、エラストマーとしての性質を示すようになると考えられる。具体的には、前記側鎖が、「ハードセグメント」として分子間で互いに結晶化し、「ソフトセグメント」である主鎖部分を架橋することで、組成物にエラストマーとしての性質を与える。ポリプロピレンの結晶は、他の結晶性ポリオレフィンの中でも特に剛直であり、それゆえにポリプロピレン側鎖はハードセグメントとしての性能が特に高いと考えられる。また立体規則性の高いものは融点が高く、SBCやポリエチレン系のハードセグメントを含む組成物に比べ、特に高い耐熱性を有すると考えられる。
(結晶性ポリプロピレンマクロモノマー)
本発明において用いられる結晶性ポリプロピレンマクロモノマーは、分岐構造オレフィン系共重合体において側鎖を形成する重合体であり、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体である。
結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの末端ビニル基とは、プロピレン重合の終了末端において、β−水素脱離やβ−メチル脱離などが起こることによって末端に不飽和結合が生じ、その生じた不飽和結合の4つの置換基のうち3つの置換基が水素原子であることを指す。この末端ビニル基は1−プロペニル基とも呼ばれる。通常、このビニル基以外の不飽和末端、例えばビニリデン基や内部オレフィンなどは、配位重合によって挿入されることは困難であり、配位重合によって結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを共重合しようとする際には特に末端がビニル基であることが重要である。
本発明で用いられる結晶性ポリプロピレンマクロモノマー、具体的には後述する(a)成分、または(a’)成分を製造する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のマクロモノマーの製造方法を適宜用いることができ、高結晶性のポリプロピレンマクロモノマーを効率よく製造可能な方法が好ましい。より具体的には、遷移金属化合物を用いたプロピレンの配位重合によって製造され、重合終了末端が高い割合でビニル基となる手法が経済的な観点から好ましい。
例えば前記アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマーを製造する方法としては、ステレオリジッドなC2対称架橋メタロセン触媒を用い、高温下でプロピレンを重合することによりβ−メチル基脱離反応が頻発することを利用し、末端にビニル基を導入する方法(例えば日本国特表平2001−525461号公報)、特定の部位にかさ高い置換基を有する錯体を用いることにより、または特定の部位に複素環基を有する錯体を用いることにより、比較的低温でのβメチル脱離反応の頻度を高めることで高い立体規則性を保ちながら製造する方法(例えば日本国特開平11−349634号公報、日本国特開2009−299045号公報等)、アイソタクチック構造選択的メタロセン触媒によるプロピレン中、塩化ビニルなど脱離しやすい官能基を持つビニルコモノマーを共重合させ、このコモノマーが挿入と同時にβ官能基脱離を起こし選択的に末端ビニル基を持つマクロモノマーを製造する方法(Gaynor,S.G.Macromolecules 2003,36,4692−4698)や、プロピレンの2,1−挿入が優先するプロピレン重合触媒(例えば、ピリジルジイミン鉄(II)錯体に代表されるような後周期遷移金属錯体)を用いて、比較的困難なβ−メチル基脱離過程を経ることなく、β−水素脱離を経て末端ビニル基を導入する方法(Brookhart,M.et.al.Macromolecules 1999,32,2120)等を挙げることができる。
このうち特定の部位に複素環基を有する錯体を用いることにより、比較的低温でのβメチル脱離反応の頻度を高めることで高い立体規則性を保ちながら製造する方法(例えば、日本国特開2009−299045号公報)が、高立体規則性と高ビニル選択性の両立の観点から特に好ましい。
前記シンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマーを製造する方法としては、非常に嵩高い置換基を持つ非架橋メタロセン触媒を用いる方法(Resconi,L.et.al.J.Am.Chem.Soc.1992,114,1025.)、ステレオリジッドなCs対称架橋メタロセン触媒を用い高温下でプロピレンを重合する方法(日本国特表平2001−525461号公報)、シンジオタクチック選択的メタロセン触媒によるプロピレン中、塩化ビニルなど脱離しやすい官能基を持つビニルコモノマーを共重合させ、このビニルコモノマーが挿入と同時にβ官能基脱離を起こし選択的に末端ビニル基を持つマクロモノマーを製造する方法(Kaminsky,W.et.al.Macromol.Chem.Phys.2010,ASAP)、特定の置換基を持つビス(フェノキシイミン)チタン錯体が、プロピレンの2、1−挿入からのβ水素脱離によって、シンジオタクチックポリプロピレンの末端にビニル基が選択的に導入する方法(国際公開第03/025025号、またはCherian,A.E.et.al,Macromolecules 2005,38,6268など)等が挙げられる。
このうち高立体規則性と高ビニル選択性の両立の観点から、特定の置換基を持つビス(フェノキシイミン)チタン錯体を用い、プロピレンの2、1−挿入からのβ水素脱離によって、シンジオタクチックポリプロピレンの末端にビニル基が選択的に導入する方法が好ましい。
結晶性ポリプロピレンマクロモノマーは、通常、片末端にビニル基を有するが、末端にビニル基を有さない分子を含んでいてもよく、両方の末端がいずれもビニル基である分子を含んでいてもよい。好ましくは、マクロモノマー分子の一方の末端がビニル基であり、もう一方の末端はアルキル基である。本発明において用いられる結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの製造方法としては、制限はされないが、前述の通り、経済的な観点でプロピレンの配位重合によって製造することが好ましい。この方法で製造した場合、結晶性ポリプロピレンマクロモノマー分子の末端は、通常は、重合反応の開始末端がアルキル基、重合反応の終了末端が高い確率でビニル基になるためである。なおこの場合、マクロモノマー分子の両方の末端がビニル基になる可能性は、通常極めて低くなる。
得られた結晶性ポリプロピレンマクロモノマーのうち、片末端にビニル基を有する分子の割合は、通常50%以上であり、80%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。50%未満では添加した結晶性ポリプロピレンマクロモノマーのうち、分岐構造オレフィン系共重合体に側鎖として取り込まれる割合が少なく、該共重合体のエラストマーとしての性能が不十分となるおそれがある。
片末端にビニル基を有するマクロモノマー分子の割合(t−vinyl%)は、全マクロモノマー分子のうち、ビニル基を末端に有する分子の数の比率を表し、具体的には以下のように計算される。
(t−vinyl%)=[Mn−GPC]/[Mn−NMR]×100
ここで[Mn−GPC]はGPCによって測定される数平均分子量、[Mn−NMR]は全てのマクロモノマー分子において、各分子の一方の末端がすべてビニル基、もう一方の末端がすべてアルキル基であると仮定した場合、ビニル基以外のアルキル炭素上の総プロトン数より計算される数平均分子量である。
上記特徴を満たすために、前記製造方法のような適切な触媒、重合条件を用い製造される。
また結晶性ポリプロピレンマクロモノマーとしては、剛性及び耐熱性を阻害しない限り、結晶性ポリプロピレンを側鎖に持つ、分岐型の結晶性ポリプロピレンマクロモノマーであってもよい。
前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの構造とは、特に限定されるものではないが、具体的にはそのマクロモノマー中のポリプロピレンが、立体規則性の高い構造を有するものである。ポリプロピレンの立体規則性の高さを表す因子として、「ペンタッド(分率)」が用いられる。ペンタッドはポリプロピレンの隣り合う側鎖メチル基の相対的配置の連続性を示すもので、この値が高ければ高いほど、立体規則性が高いと解釈される。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)とは、5個のプロピレンモノマー単位が連続してメソ結合している連鎖の中心のプロピレン単位の、全プロピレン単位に対する割合を百分率で表したものである。シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)は、5個のプロピレンモノマー単位が連続してラセミ結合している連鎖の中心のプロピレン単位の、全プロピレン単位に対する割合を百分率で表したものである。ペンタッドは通常、13C‐NMRによって決定される。なお具体的には日本国特開2003−292700号公報に記載の方法により求められる。本発明において用いられるポリプロピレンマクロモノマーの構造としては、好ましくは、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が高いもの、またはシンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)が高いものである。これらのものは「ハードセグメント」として、分岐構造オレフィン系共重合体間に、より強固な結晶化度の高い結晶を形成することにより、これがより強固な架橋点として作用することで優れたエラストマー性能を与えると考えられるためである。
アイソタクチックペンタッド分率の高い結晶性ポリプロピレンマクロモノマー(以下、「アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマー」と称することがある)としては、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が、通常0.80以上、好ましくは0.90以上である。アイソタクチックペンタッド分率が大きくなるに伴い、融点が上昇し、より耐熱性が向上する点で好ましい。上限は本発明の目的を阻害しない限り特に制限はされないが、通常計算上の上限である1.00が上限である。
シンジオタクチックペンタッド分率の高いポリプロピレンマクロモノマー(以下、「シンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマー」と称することがある)としては、シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)が、通常0.60以上であり、好ましくは0.70以上であり、より好ましくは0.80以上であり、さらに好ましくは0.90以上である。シンジオタクチックペンタッド分率が向上するに連れ、融点が向上し、より耐熱性が向上するので好ましい。上限は本発明の目的を阻害しない限り特に制限はされないが、通常計算上の上限である1.00が上限である。
分岐構造オレフィン系共重合体の側鎖としてより好ましいものは、規則性が比較的低い場合でも、少量の側鎖成分量で本発明の効果が得られる点で、シンジオタクチックペンタッド分率の高いポリプロピレンマクロモノマーである。
側鎖の構成成分としては、エチレンや、プロピレン以外のα−オレフィンを含んでいてもよい。ポリプロピレンを重合する過程で導入されうる若干量の異種結合や重合時の溶解性を補償するための若干量のコモノマーは、側鎖の剛性並びに耐熱性を著しく阻害しない限りにおいて許容される。側鎖の剛性ならびに耐熱性を保つ面では、プロピレンの単独重合体が好ましい。
結晶性ポリプロピレンマクロモノマーは、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上の融点を有する。融点は示差熱分析(DSC)によって規定することができ、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの結晶性の指標として用いることができる。非晶性、または低結晶性のポリプロピレンマクロモノマーは物理的架橋点を形成しうるハードセグメントとして働くことができず、分岐構造オレフィン系共重合体中に側鎖として存在したとしてもエラストマーとしての性能は期待されない。
本発明に用いられる結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの分子量は特に限定されないが、目的とする物理的及び機械的特性の組成物を得るために任意に調節することが出来る。
結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの分子量は、H−NMRスペクトルによって定量される末端ビニル基を基準に、結晶性ポリプロピレンマクロモノマー分子において、各分子の一方の末端がすべてビニル基、もう一方の末端がすべてアルキル基と仮定した場合のビニル基以外の炭素(sp炭素)上の総プロトン数より求められる。前記マクロモノマーの数平均分子量(Mn)は通常50000以下、好ましくは30000以下であり、より好ましくは10000以下である。また通常1000以上、好ましくは3000以上である。前記上限超過では、重合反応に用いるマクロモノマーの重量に対する、マクロモノマーの分子数が著しく低下するため、結果的に、分岐構造オレフィン系共重合体中に導入される側鎖の本数が著しく低下する。本発明のエラストマーが、エラストマーとしての機能を発現するためには、該共重合体ポリマー分子の主鎖1本あたり少なくとも2本以上の側鎖、すなわち2か所以上の物理的架橋点が必要となるが、側鎖の本数が低下することにより、分岐構造オレフィン系共重合体中の十分な数の物理的架橋点が得られなくことがあるため、エラストマー性能を損なうことがある。また前記下限未満では側鎖間の絡み合いが困難になり、ポリマー鎖間の物理的架橋点の成長が促進されないことで同じく組成物全体としてのエラストマー性能が低下することがある。
本発明に用いられる側鎖の分子量分布に特に限定はないが、側鎖分子量による精密な物性制御を可能にするため、側鎖分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。Mw/Mnで通常1以上であり、6以下、好ましくは3以下である。
分岐構造オレフィン系共重合体に含まれる結晶性プロピレンマクロモノマー由来のポリプロピレン側鎖の量は、特に限定されるものではないが、原料(マクロマー)換算で、全モノマーに対し、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下である。前記下限未満では実質的に側鎖を含むコポリマー鎖が少なく、ポリマー鎖間の物理的架橋が形成されにくい傾向がある。
また前記上限超過では、組成物全体の柔軟性が乏しくなる傾向があり、熱可塑性エラストマーとして要求される性質に適さない場合がある。
本発明のエラストマー組成物は、結晶性プロピレン重合体が比較的低含量であってもエラストマーとしての機能を発現する。したがって、従来のポリオレフィン系エラストマーでは不可能であった、非常に柔軟で、低密度でありながら、高い耐熱性を持ち、かつエラストマー性能の高い組成物を製造することが可能である。
分岐構造オレフィン系共重合体ポリマー鎖一本に含まれる側鎖の本数は特に限定はされるものではないが、通常2本以上が好ましい。側鎖が2本以上存在することで、この分岐構造オレフィン系共重合体は弾性を持ったポリマー鎖間架橋として働き、エラストマーとしての機能を発現すると考えられる。しかしながら通常、主鎖一本あたりの側鎖の本数には分布が存在するため、それぞれのポリマー鎖あたりの正確な本数の評価は事実上不可能であり、その本数は平均値として表される。本数の評価は、13C−NMRによって実際に主鎖に結合した側鎖の数を評価する方法や、H−NMRによって共重合中に取り込まれたマクロモノマーの量から本数を計算する方法、さらに簡易的にはマクロモノマーの仕込み量と分岐構造共重合体の数平均分子量から計算する方法などが存在し、いずれの方法によっても本分岐構造オレフィン系共重合体を特徴付けることができる。
<熱可塑性エラストマー組成物>
(1)構成成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記分岐構造オレフィン系共重合体(以下「(E)成分」ということがある)を含む。それ以外の構成成分としては、本発明の目的の物性を満たす範囲において特に限定されるものではないが、通常、以下の(F)及び(G)の成分を含むものである。
(E)エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体
(F)エチレン/α−オレフィン共重合体
(G)結晶性ポリプロピレンマクロモノマー
このうち(E)は、<分岐構造オレフィン系共重合体>として前述したものに相当する。
(F)は通常、上記共重合体(E)の合成反応において生成するエチレン/α−オレフィン共重合体中にマクロモノマーが取り込まれず、主鎖成分のみとなったポリマー鎖に相当する。
(G)は通常、上記共重合体(E)の合成反応において取り込まれなかった未反応のマクロモノマーに相当する。(E)の合成反応の反応系に添加されたマクロモノマーは、通常、(E)の側鎖として取り込まれるか、(G)として本発明の熱可塑性エラストマー組成物中に含まれる。
(E)中に取り込まれるマクロモノマーと、(G)の重量比率は、特に限定されるものではなく、目的に物性を満たすよう、適宜調整される。
組成物中に含まれる上記(E)、(F)、(G)成分の割合に特に限定はないが、目的の物性を満たすように任意に調整される。好ましくは(F)、(G)が少ないものであり、より好ましくは(E)だけで構成されるものである。
上記(E)〜(G)成分を含む組成物は、上記の通り(E)成分の製造時の共重合反応の結果得られるものであっても、また(E)〜(G)成分をそれぞれ独立に合成して混合してもよいが、製造面での容易さから、上記(E)成分の製造時の共重合反応の結果得られるものが好ましい。
(2)物性
本発明の組成物は物性値として、上記(1)構成成分の(E)成分、(F)成分、(G)成分の混合物として評価されるため、通常(E)成分の主鎖であり、かつ(F)成分そのものでもあるエチレン/α−オレフィン共重合体に由来するガラス転移点を有し、かつ(E)成分の側鎖であり、(G)成分そのものでもある結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する融点を有する。
本発明の組成物のガラス転移点は通常−30℃以下、好ましくは−50℃以下である。本発明の組成物のガラス転移点は、上記(F)成分のガラス転移点に左右されるため、通常(F)成分と同様の範囲のガラス転移点を有するが、本発明の組成物中の組成比等により、ガラス転移点が一致しない場合がある。また、本発明の組成物の融点は、上記(G)成分の融点に左右されるため、通常結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの融点について好ましい値とした値と同様の範囲の融点を有するが、本発明の組成物中の組成比等により、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの融点とは一致しない場合がある。
組成物の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量(Mw)はGPCによって測定され、好ましくは20万以上であり、より好ましくは30万以上である。
また、分岐構造オレフィン系共重合体成分及びエチレン/α−オレフィン共重合体成分((E)成分および(F)成分)が、結晶性ポリプロピレンマクロモノマー((G)成分)よりも十分に高い分子量である場合には、GPCによる分子量測定においてその2つの成分は分別して評価することができる。その場合、分岐構造オレフィン系共重合体成分及びエチレン/αオレフィン共重合体成分((E)成分および(F)成分)に相当する数平均分子量(Mn)を評価することができ、特に限定されるものではないが、通常10万以上であり、好ましくは20万以上であり、通常100万以下であり、好ましくは80万以下である。
本発明の組成物のエラストマーとしての物性は、例えばProceedings of the National Academy of Sciences(2006)vol.103(42)pp.15327(上述の非特許文献1)のExperimental Section、またはMacromolecules 2008,41,9548−9555に記載の方法によって判定することができる。
本発明の組成物の密度は、特に限定されるものではないが、通常0.880g/mL以下であり、好ましくは0.875g/mL以下であり、より好ましくは0.870g/mL以下である。前記上限超過では柔軟性に乏しくなる傾向があり、特に熱可塑性エラストマー組成物の重要な用途であるアイソタクチックポリプロピレンとのコンパウンドにおいて耐衝撃性向上効果の低下や、混和性低下に伴う白化等の物性不良の原因となる場合がある。なお下限については、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に制限はない。
(熱可塑性エラストマー組成物の製造方法)
(1)熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、目的の組成物が得られる範囲においては、特に限定されるものではなく、エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体(E)を含み、通常、(F)エチレン/α−オレフィン共重合体、(G)結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを含む組成物を形成すればよい。具体的には(E)〜(G)の各成分をそれぞれ合成し、混合し組成物にする方法や、(E)成分を製造することにより、(E)成分の反応原料である(F)、(G)成分との組成物を形成する方法等が挙げられる。
本発明の組成物の製造においては、製造効率が有利な点で、通常下記a)〜c)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中のc)α−オレフィン含有量が5〜70mol%になるように下記a)〜c)成分を配位重合させる重合工程とを含む方法が用いられる。
a)片末端にビニル基を有し、アイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、かつ数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体
b)エチレン
c)少なくとも1種類以上の、炭素数3から20のα−オレフィン
または下記a’)、上記b)およびc)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中のc)α−オレフィン含有量が5〜70mol%になるように下記a’)、上記b)およびc)成分を配位重合させる重合工程とを含むことを特徴とする。
a’)片末端にビニル基を有し、シンジオタクチックペンタッド分率が0.60以上であり、かつ数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体
上記b)成分、およびc)成分は、前記分岐構造オレフィン系共重合体のうち、主鎖部分を形成する原料に相当する。
b)エチレンは、特に限定されるものではなく、精製したもの、各種石油化学プラントから得られるもの等が用いられるが、品質面で精製したエチレンが好ましい。
c)成分としては、プロセス、経済性、物性の観点から、c−1)少なくとも1種類以上の炭素数3から8のα−オレフィンが好ましい。
上記(a)〜(c)、または(a’)〜(c)を混合する工程としては、特に限定されるものではなく、次工程で上記成分を遷移金属触媒の存在下、配位重合させる工程の妨げにならない限りにおいていかなる混合方法も選択することができる。
また混合の順序については特に限定されるものではなく、上記各成分を一括で仕込んで混合しても、重合反応中に追加混合してもよいが、c)のα−オレフィンに関しては、主鎖中のαオレフィン含量が5〜70mol%になるように、用いる遷移金属触媒の性質に応じて混合量は適宜調整される。
上記(a)〜(c)、または(a’)〜(c)を混合する工程において、前記(a)〜(c)総量中の前記a)成分、または(a’)〜(c)総量中のa’)成分の含有量は、特に制限されないが、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。
この比率は、特に限定はされないが、通常は、後述する本発明のエラストマー組成物中の前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの総添加量の比率以下の値となる。具体的には、b)エチレン、そしてc)がプロピレン、ブテンである場合は気体であるため、通常はb)、c)成分は、a)又はa’)に対して多く添加する。この場合、本発明のエラストマー組成物中の前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの総添加量の比率よりも小さい値になり、混合した前記b)、c)成分の全量が過不足なく、主鎖に完全に取り込まれた場合は、これらの値は同じになる。
(2)重合工程
(遷移金属触媒)
上記重合工程で用いられる遷移金属触媒は、特に限定されるものではないが、エチレンと所望のα−オレフィンを共重合し、分岐構造オレフィン系共重合体の主鎖部分として十分な物理的または機械的な性能を得るために必要な分子量のエチレン/α−オレフィン共重合体を生成することが出来、かつ結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの有意量を取り込ませることが可能な触媒である。
触媒の種類として、不均一触媒、均一触媒のいずれも用いることができる。このうち、製造した熱可塑性エラストマーが、優れた性能を発揮するためには、前記分岐構造オレフィン系共重合体の側鎖の原料となるマクロモノマーが、主鎖中に均質に共重合されることが好ましく、このためには均質な、狭い分子量分布を持つ主鎖コポリマーが製造可能である点で均一触媒が好ましく用いられ、遷移金属錯体を用いた均一触媒がより好ましい。
上記遷移金属錯体は、通常1つ以上の非局在化π−結合配位子または多価ルイス塩基配位子を含む、元素周期律表の3〜15族から選択される遷移金属の錯体が含まれる。例えばメタロセン錯体、ハーフメタロセン錯体、拘束幾何錯体および多価ピリジルアミン錯体または他のポリキレート化塩基錯体が含まれ、好ましくはメタロセン錯体である。
具体的な遷移金属錯体を用いた触媒の構造としては、例えば、日本国特開平9−87313号公報、日本国特開平11−166010号公報、日本国特開2004−238387号公報、日本国特開2006−63041号公報、日本国特開2007−217284号公報、日本国特開2007−238891号公報、日本国特開2008−297287号公報、国際公開第08/112133号、国際公開第04/024740号、国際公開第03/40195号、国際公開第03/78480号、国際公開第03/78483号、国際公開第02/92610号、国際公開第02/38628号、国際公開第02/02577号、米国出願公開第2003/0004286号明細書、米国出願公開第2004/220050号明細書、米国出願公開第2004/010103号明細書、米国特許第6515155号明細書、米国特許第6555634号明細書、米国特許第6320005号明細書、米国特許第6150297号明細書、米国特許第6103657号明細書、米国特許第6034022号明細書、米国特許第6268444号明細書、米国特許第6103657号明細書、米国特許第6015868号明細書、米国特許第5866704号明細書、米国特許第5470993号明細書、等に記載の化合物が挙げられる。
本発明において好ましく用いられる遷移金属錯体としては、周期表第4族金属錯体、さらに好ましくは、下記式(VIII)で表される錯体が挙げられる。
式(VIII)中、Rは、炭素数1から30の炭化水素基であり、Tは水素原子以外の原子を1〜30個含む2価の基である。R10はルイス塩基性を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であり、該へテロアリール基は置換基を有していてもよい。Mは周期表第4族金属であり、Xはモノアニオン性、ジアニオン性、又は中性配位子であり、x’はX基の数を示し、0〜5の整数である。R10とMは互いに結合して環を形成していてもよい。
また構造式中、実線は結合、破線は任意の結合、矢印は配位結合を表す。
式(VIII)中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。
は、水素原子以外の原子を1〜30個含む2価架橋性基である。なお、Tを構成する原子としては、少なくとも水素原子以外の原子を1〜30個含んだ上で、さらに水素原子を含んでいてもよい。Tは、好ましくは、置換基を1つもしくは2つ有する置換メチレン基、または置換シリレン基であり、前記置換メチレン基又は置換シリレン基が有する置換基としては、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
10はルイス塩基性を有する含む炭素数5〜20のヘテロ原子含有アリール基であり、好ましくは、ピリジン−2−イル基であり、ピリジン−2−イル基は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シリル基であり、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよく、アルキル基、シクロアルキル基はその構造中に炭素、水素以外の原子(以下、ヘテロ原子という)を含んでいてもよい。またR10とMは互いに結合を形成していてもよい。
は周期表第4族金属を表し、好ましくは、ハフニウムである。
はモノアニオン性、ジアニオン性、又は中性配位子基であり、好ましくはモノアニオン性配位子基である。
x’は、X基の数を示し、x’は0〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
構造式中、実線は結合、破線は任意の結合、矢印は配位結合を表す。
式(VIII)で表される錯体としては、下述の式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)で表される化合物が挙げられる。このうち式(IX)で表される化合物が好ましく、式(X)で表される化合物がより好ましく、式(XI)又は式(XII)で表される化合物が最も好ましい。
式(IX)中、M、X、x’、RおよびTは式(VIII)の定義と同じである。
11、R12、R13およびR14は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、アリール基もしくはシリル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。R11、R12、R13およびR14のうち、2つの隣接するものが互いに結合し、それにより縮合環を形成していてもよい。
式(X)中、M、Xおよびx’は式(VIII)の定義と同じである。
は、各々の存在で独立に、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
aは置換基Rの数を表し、その値は1〜5であり、好ましくは1又は2である。
(Rとして好ましくは、窒素に対して2箇所のオルト位にRを2つ有するものであり、より好ましくは、Rがイソプロピル基、またはt−ブチル基である。
は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、前記アルキル基、アリール基は更に置換基を有していてもよい。
またRは、2つの隣接するR-基が互いに結合し、縮合環を形成していてもよい。
cは、置換基Rの数を表し、その値は1〜4である。
15およびR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20のアルキル基もしくはアリール基であり、更に置換基を有していてもよく、好ましくはR15およびR16の少なくとも一方が水素原子以外の基であり、好ましくはR15およびR16が共にアルキル基、又はR15又はR16のいずれか一方がアリール基である。
式(XI)及び式(XII)中、M、Xおよびx’は、式(VIII)の定義と同じである。
17およびR18は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、それぞれ更に置換基を有していてもよく、R-17基R-18基が互いに結合しそれにより環を形成していてもよい。
Arは炭素数6〜20のアリール基を表し、好ましくは2−イソプロピルフェニル基または融合多環式アリール基であり、より好ましくは2-イソプロピルフェニル基、o−トリル基、フェナントレン基のいずれかであり、更に好ましくは2-イソプロピルフェニル基である。
式(XI)に含まれる、特に好ましい遷移金属錯体としては、以下のものが挙げられる。
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド]ジメチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド]ジメチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド]ジメチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロライド;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド]ジエチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド]ジエチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド]ジエチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロライド。
また、式(XII)に含まれる、特に好ましい遷移金属錯体としては以下のものが挙げられる。
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](o−トリル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](o−トリル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](o−トリル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロライド;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロライド;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](フェナントレン−5−イル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](フェナントレン−5−イル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
および
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド](フェナントレン−5−イル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロライド。
式(XIII)中、M、Xおよびx’は、式(VIII)の定義と同じである。
は、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基であり、更に置換基を有していてもよい。
aは、置換基Rの数を表し、その範囲は1〜5であり、好ましくは1又は2である。
(Rとして好ましくは、窒素原子に対するオルト位に2箇所に前記アルキル基Rを有するものであり、より好ましくはイソプロピル基もしくはt−ブチル基である。
は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、もしくは炭素数6〜20のアリール基であり、更に置換基を有していてもよく、2つの隣接するR-基が互いに結合し、環を形成していてもよい。
cは、Rの数を表し、かつその範囲は1〜4を表し、好ましくは1又2である。
17およびR18は、前に定義されるとおりである。
また、最も好ましい前記式の遷移金属錯体は、下記式(XIV)で表されるものである。
式(XIV)中、Mは前に定義される通りであり、結合、任意の結合および電子対寄与相互作用は、それぞれ、実線、破線および矢印によって表される。
(共触媒)
前記遷移金属触媒(以下、成分[A]として表すか、「触媒前駆体」と言い換える)の各々は、各種公知の共触媒、好ましくは、カチオン形成性共触媒、強ルイス酸もしくはそれら双方と組み合わせることにより、活性化させて活性触媒組成物を形成することができる。
本発明においては、通常下記の成分[B−1]〜[B−4]から選ばれる少なくとも1つの成分を共触媒(以下、成分[B]とも表す)として用いることが好ましい。
成分[B−1]:有機アルミニウムオキシ化合物、
成分[B−2]:触媒前駆体と反応して、これをカチオンに交換することが可能なイオン性化合物、
成分[B−3]:ルイス酸、
成分[B−4]:層状化合物
また成分[B−1]の有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、次の一般式(XIX)、(XX)、(XXI)で表される化合物が挙げられる。
[上記の各一般式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30はそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基を示す。またp、qは1〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。]
一般式(XIX)および(XX)で表される化合物は、有機アルミニウムオキシ化合物(以下、「アルミノキサン」と称することがある)であって、一種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、メチルアルミノキサン等の一種類のトリアルキルアルミニウムと水とから得られるアルミノキサンや、メチルエチルアルミノキサン等の2種類以上のトリアルキルアルミニウムと水とから得られる、2種類以上のアルキル基を有するアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン、メチル−n−オクチルアルミノキサンがより好ましい。
上記の有機アルミニウムオキシ化合物は、複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。一般式(XXI)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウムまたは二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(XXII)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(XXII)中、R30は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
30−B−(OH) (XXII)
成分[B−2]の、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、下記一般式(XXIII)で表される化合物が挙げられる。
[K]e+[Z]e− (XXIII)
一般式(XXIII)中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルベニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリシクロヘキシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、メチルジオクタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が含まれる。好ましく用いられるのはトリフェニルカルボニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、メチルジオクタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウムである。
上記の一般式(XXIII)中、Zは、アニオン成分であり、成分[A]が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、テトラフェニルホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(ノナフルオロビフェニル)ホウ素等;の有機ホウ素化合物アニオン、テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム等;の有機アルミニウム化合物アニオン、テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム等;の有機ガリウム化合物アニオン、テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン等;の有機リン化合物アニオン、)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素等;の有機ヒ素化合物アニオン、テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン等;の有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。このうち好ましく用いられるのは、有機ホウ素化合物アニオンであり、具体的にはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(ノナフルオロビフェニル)ホウ素等のテトラキス(ペルフルオロアリール)ホウ素化合物である。
成分[B−3]のルイス酸、特に成分[A]をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々のトリフェニルホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ノナフルオロビフェニル)ホウ素等;の有機ホウ素化合物、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムハイドライド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド等;の金属ハロゲン化合物、アルミナ、シリカーアルミナ等;の固体酸などが例示され、好ましくは有機ホウ素化合物であり、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ノナフルオロビフェニル)ホウ素などのトリス(ペルフルオロアリール)ホウ素が挙げられる。
成分[B−4]の層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。
層状化合物としては、具体的に、下記する無機珪酸塩と、イオン交換性層状化合物が挙げられる。
無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成品としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、カオリン族、ハロサイト族、蛇紋石族、スメクタイト、バーミキュライト鉱物、雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、より好ましくはスメクタイト、バーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトであり、さらに好ましくは、モンモリロナイトである。
成分[B−4]における層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。このような結晶構造を有するイオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ−Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HO等の多価金属の結晶性酸性塩があげられる。
これら、〔B−4〕層状化合物は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理および/または、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SO等の塩類処理を行ったほうが好ましい。また、粉砕や造粒等の形状制御を行ってもよく、粒子性状に優れた重合体を得るためには、造粒することが好ましい。また、上記成分は、通常脱水乾燥してから用いる。
成分[B−1]〜[B−4]のうち、好ましくは[B−4]層状化合物が用いられ、特に好ましくは無機珪酸塩が用いられる。
(微粒子担体)
本発明の重合工程において、上述の触媒前駆体成分[A]及び共触媒成分[B]の他に、任意成分として微粒子担体(以下、成分[C]とも表す)を共存させてもよい。成分[C]は、無機又は有機の化合物からなるものであって、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常5mm以下、好ましくは2mm以下の粒径を有する微粒子状の担体である。
無機担体としては、例えば、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、ZnO等の酸化物、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−Cr、SiO−Al−MgO等の複合金属酸化物などが挙げられる。
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの(共)重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素等の(共)重合体、などからなる多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。これらの比表面積は、通常20m/g以上、好ましくは50m/g以上、また、通常1000m/g以下、好ましくは700m/g以下の範囲である。
細孔容積は、通常0.1cm/g以上、好ましくは0.3cm/g以上、更に好ましくは0.8cm/g以上の範囲である。
微粒子担体としては、上記例示の各種の無機単体及び/又は有機担体のうち、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、本発明のα−オレフィン重合用触媒は、上記の成分[A]及び成分[B]、並びに任意成分である上記の成分[C]の他に、本発明の趣旨を損ねない限りにおいて、他の成分を含有していてもよい。
(有機アルミニウム)
上記重合工程において、触媒としてさらに下記一般式(XXIV)で表される有機アルミニウム化合物(以下、成分[E]とも表す)を用いてもよい。
AlR31 3−m (XXIV)
[一般式(XXIV)中、R31は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、またmは0<m≦3の整数である。]
有機アルミニウム化合物として好ましくは具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、またはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン等も使用できる。これらを混合して用いてもよい。これらのうち特にトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムアルコキシド、またはアルキルアルミニウムジアルコキシドが好ましい。これら任意成分は2種以上組み合わせて用いてもよい。
触媒前駆体[A]成分、共触媒[B]成分、及び任意に有機アルミニウム[E]成分を接触させて活性触媒組成物とするが、その接触方法は特に限定されない。この接触は、触媒調製時だけでなく、本発明の組成物の製造時、好ましくは上記(a)〜(c)、または(a’)〜(c)を、混合および配位重合する工程で行ってもよい。接触は窒素等の不活性ガス中や、後述する重合反応時に行なっても溶媒中で行なってもよい。溶媒を使用する際は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行なうのが好ましい。
接触温度は、−20℃〜溶媒沸点の間で行い、特には、室温から溶媒沸点の間で行うのが好ましい。用いられる触媒/共触媒のモル比は、好ましくは1:10,000〜100:1、より好ましくは1:5000〜10:1、最も好ましくは1:1000〜1:1である。
[B]成分としての有機アルミニウムオキシ化合物[B−1]を用いる場合モル基準で遷移金属触媒の量の少なくとも50倍で用いられる。[B]成分として、[B−2]成分、もしくは[B−3]成分のうち固体ルイス酸以外のものを用いる場合、その[A]成分に対するモル比は、通常0.5:1〜10:1、より好ましくは1:1〜6:1、最も好ましくは1:1〜5:1である。
[B]成分として、[B−3]における固体ルイス酸、もしくは[B−4]成分用いる場合は、[B]成分1gあたり[A]成分が通常0.0001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmolである。任意で[E]成分を0〜10000mmol、好ましくは0.01〜100mmolの範囲で用いる。
(重合工程)
本発明の製造方法における重合工程において、その条件は目的物が得られる範囲において特に制約はないが、好ましくは結晶性ポリプロピレンマクロモノマーと、エチレン及びα−オレフィンが、同時に上記触媒(活性触媒組成物を使用する場合は、該組成物。以下同様)に接触することが好ましい。より好ましくはエチレン及びα−オレフィンと結晶性ポリプロピレンマクロモノマーをあらかじめ混合しておき、ここに上記触媒を接触させる方法である。結晶性ポリプロピレンマクロモノマーは重合前に一括投入されていても良いし、重合中に逐次、または連続的に投入されても良い。また結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを製造する工程と、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを他のオレフィンモノマーと共重合し、本発明のエラストマー組成物を製造する工程とを連続的に行うこともできる。このとき、前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの総添加量は、特に限定されるものではないが、重合工程の結果、得られる本発明のエラストマー組成物中、前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマー、及び該モノマーに由来する成分の合計が50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下になるように調整される。なお、該マクロモノマーに由来する成分とは、(E)として前述した分岐構造オレフィン系共重合体の側鎖を構成する、該マクロモノマー由来の部分構造を意味する。
前記上限超過では、組成物全体の柔軟性が乏しくなる傾向があり、熱可塑性エラストマーとして要求される性質に適さない場合がある。下限は本発明の組成物の性能を損なわない限り限定されるものではないが、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上である。添加量が少ない方が、柔軟性が高いエラストマーが得られ、経済性の面でも有利なため好ましい。
前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーは、重合工程の後、本発明の組成物中において、(E)として前述した分岐構造オレフィン系共重合体の側鎖成分として取り込まれたものと、(G)として前述した未反応マクロモノマーのいずれかの形で存在する。すなわち、本発明の組成物中の、前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマー、及び該マクロモノマーに由来する成分の合計の重量比は、前記製造工程における前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの総添加量、具体的には前記(a)または(a’)として表した前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの仕込み重量と、得られたエラストマー組成物との重量比と同じである。
本発明のエラストマー組成物を製造する反応には溶媒を用いても用いなくてもよい。溶媒を用いる場合、その例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、n−ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などを挙げることができる。これらの中でも、炭化水素類が好ましい。なお、これらの溶媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なおこれらの溶媒を使用した場合、その溶媒は通常、反応終了後に、公知の方法を用いて除去されるため、本発明の組成物中には通常は含まれないが、本発明の組成物の物性を損なわない範囲のごく少量程度の溶媒が残留していてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記記載の溶媒を使用する溶媒重合でも製造できる他、実質的に溶媒を使用しない液相無溶媒重合、気相重合、溶融重合も使用可能である。また、重合方式は、連続重合及び回分式重合のいずれでもよい。多段階に条件を変更するいわゆる多段重合を採用してもよい。
触媒濃度は特に限定されないが、例えば反応方式が溶液重合の場合、反応液1Lに対して通常0.01mg以上、好ましくは0.05mg以上、更に好ましくは0.1mg以上、また、通常100g以下、好ましくは50g以下、更に好ましくは25g以下の範囲である。
重合温度、重合圧力及び重合時間にも特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行なうことができる。すなわち、重合温度としては、通常−70℃以上、好ましくは−50℃以上、更に好ましくは−30℃以上、特に好ましくは−20℃以上、また、通常150℃以下、好ましくは100℃以下の範囲である。また、重合圧力としては、通常0.01MPa以上、好ましくは0.05MPa以上、更に好ましくは0.1MPa以上、また、通常100MPa以下、好ましくは20MPa以下、更に好ましくは5MPa以下の範囲である。
重合時間としては、通常0.1時間以上、好ましくは0.2時間以上、更に好ましくは0.3時間以上、また、通常30時間以下、好ましくは25時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは15時間以下の範囲である。
重合体の流動性が適当なものとなるように分子量(MFR)調整剤を使用することができる。調整剤としては水素が好ましい。
(熱可塑性エラストマー組成物の用途)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、透明性、耐熱性に優れているため、従来のエチレン系材料、プロピレン系材料の他、軟質PVC 、熱可塑性エラストマーが用いられている種々の分野において、単体として、あるいは主成分として、または添加剤として好適に用いることができる。成形方法は特に限定されないが、フィルム・シートにおいては、ポリオレフィンに適用されているインフレーション法、T ダイ法、カレンダー法等により製膜され、単層、あるいは、2層以上の各種層を適宜必要に応じて設けることもできる。積層化に際しては、押し出しラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等も可能であり、また、フィルムを一軸あるいは二軸延伸することも可能である。延伸法としては、ロール法、テンター法、チューブラー法等が挙げられる。さらに、通常工業的に利用されるコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施すこともできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の優れた柔軟性、透明性、耐熱性を生かして、積層体を構成する場合、他の層を構成する材料としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体等の各種プロピレン系重合体や、高圧法ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、EVOH、エチレン・ノルボルネン共重合体等のエチレン系重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1(TPX樹脂) 等の各種オレフィン系共重合体や、無水マレイン酸等で変性された接着性ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステル系エラストマー等を挙げることができる。
(フィルム・シート分野における用途)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物またはその改質物のフィルム・シート分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、包装用ストレッチフィルム、業務用または家庭用ラップフィルム、パレットストレッチフィルム、ストレッチラベル、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シーラント用フィルム、レトルト用フィルム、レトルト用シーラントフィルム、熱溶着フィルム、熱接着フィルム、熱封緘用フィルム、バッグ・イン・ボックス用シーラントフィルム、レトルトパウチ、スタンディングパウチ、スパウトパウチ、ラミネートチューブ、重袋、繊維包装フィルム等の食品、雑貨等包装分野、ハウス用フィルム、マルチフィルム等の農業用フィルム分野、輸液バッグ、高カロリー輸液や腹膜透析用(CAPD)等の複室容器、腹膜透析用の排液バッグ、血液バッグ、尿バッグ、手術用バッグ、アイス枕、アンプルケース、PTP包装等の医療用フィルム・シート分野、土木遮水シート、止水材、目地材、床材、ルーフィング、化粧フィルム、表皮フィルム、壁紙等の建材関連分野、レザー、天井材、トランクルーム内張、内装表皮材、制震シート、遮音シート等の自動車部品分野、ディスプレーカバー、バッテリーケース、マウスパッド、携帯電話ケース、ICカード入れ、CD−ROMケース等の弱電分野、ハブラシケース、パフケース、化粧品ケース、目薬等医薬品ケース、ティッシュケース、フェイスパック等のトイレタリーまたはサニタリー分野、文具用フィルム・シート、クリアファイル、ペンケース、手帳カバー、デスクマット、キーボードカバー、ブックカバー、バインダー等の事務用品関連分野、家具用レザー、ビーチボール等の玩具、傘、レインコート等の雨具、テーブルクロス、ブリスターパッケージ、風呂蓋、タオルケース、ファンシーケース、タグケース、ポーチ、お守り袋、保険証カバー、通帳ケース、パスポートケース、刃物ケース等の一般家庭用、雑貨分野、再帰反射シート、合成紙等が挙げられる。また、基材に粘着材が塗布され、粘着性が付与されたフィルム・シート分野として、粘着テープ、マーキングフィルム、半導体またはガラス用ダイシングフィルム、表面保護フィルム、鋼鈑・合板保護フィルム、自動車保護フィルム、包装・結束用粘着テープ、事務・家庭用粘着テープ、接合用粘着テープ、塗装マスキング用粘着テープ、表面保護用粘着テープ、シーリング用粘着テープ、防食・防水用粘着テープ、電気絶縁用粘着テープ、電子機器用粘着テープ、貼布フィルム、バンソウコウ基材フィルム等医療・衛生材用粘着テープ、識別・装飾用粘着テープ、表示用テープ、包装用テープ、サージカルテープ、ラベル用粘着テープ等が挙げられる。
(射出成形、押出し成形分野における用途)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物またはその改質物の射出成形、押出し成形分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、電気・電子部品分野における電線、コード類、ワイヤーハーネス等の被覆材料、絶縁シート、自動車部品における、コントロールケーブル被覆材、エアーバッグ・カバー、マッドガード、バンパー、ブーツ、エアホース、ランプパッキン類、ガスケット類、ウィンドウモール等の各種モール、サイトシールド、ウェザーストリップ、グラスランチャンネル、グロメット類、制震・遮音部材、家電、弱電分野における各種パッキン類、グリップ類、ベルト類、足ゴム、ローラー、プロテクター、吸盤、冷蔵庫等のガスケット類、OA(Office Automation)機器用各種ロール類、ホース、チューブ等の管状成形体、異型押し出し品、レザー調物品、咬合具、ソフトな触感の人形類等の玩具類、ペングリップ、ハブラシ柄等の一般雑貨類、ハウスウェア、タッパーウェア等の容器類、結束バンド、ブロー成形による輸液ボトル、食品用ボトル、化粧品用等のパーソナルケア用のボトル等各種ボトル、医療用部品におけるカテーテル、シリンジ、シリンジガスケット、点滴筒、チューブ、ポート、キャップ、ゴム栓、ディスポーザブル容器等、が挙げられ、また、発泡成形による用途も可能である。
(繊維、不織布分野における用途)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物またはその改質物の繊維、不織布分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、連続紡糸、連続捲縮糸、短繊維、モノフィラメント等の繊維、フラットヤーン、メルトブロー法、スパンボンド法による不織布にすることにより、紙おむつ等の衛材、手術用衣服、手袋等の医療用、カーペット、その裏地、ロープ等の用途が挙げられる。また、これら不織布やモノフィラメント、フラットヤーン、スリットテープ等の編物と、フィルム・シートのラミネートによる、帆布、テント材、幌、フレキシブルコンテナー、レジャーシート、ターポリン等が挙げられる。
(改質材における用途)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物またはその改質物は、ポリプロピレンとの親和性に優れていることから、ポリプロピレンの改質に好適に使用することができる。改質により、柔軟性、透明性、靭性等のほか、熱シール性、耐衝撃性、添加剤との親和性が改良され、成形体表面の改良にも使用することができる。また、その熱融着性を生かしたホットメルト接着剤、タッキファイヤー、アスファルト改質、ビチューメン改質、防水加工紙等も用途の一例として挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
なお以下の実施例における物性測定、分析等は下記の方法に従ったものである。
(1)GPC測定
ポリマーの数平均分子量(Mn)は、GPC測定により求めた。GPC測定は、Waters社製アライアンスGPCV2000を用い、検出器には示差屈折計と粘度計を用いておこなった。カラムはWaters社製HT6Eを4本とHT2を1本を組み合わせて用いた。
移動相溶媒には0.01重量%のジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、140℃、1.0mL/minで流出させた。得られたデータはPolymer Standards Service社製の単分散標準ポリエチレンを用いて較正した。サンプルは通常140℃のオーブンに測定24時間前に投入して溶解させた。
実施例における組成物の分子量は、特に断りのない限り、結晶性ポリプロピレンマクロモノマー((G)成分)と、分岐構造オレフィン系共重合体成分((E)成分)及びエチレン/α−オレフィン共重合体成分((F)成分)を分別し、(E)成分と(F)成分の混合物の数平均分子量として評価された。
(2)DSC測定
ポリマーの融点(T)並びにガラス転移点(T)の測定は、DSC測定によりおこなった。DSC測定は、オートサンプラーを備えたTA Instruments社製Q1000示差走査熱量計を用いておこなった。アルミパンに封入されたサンプルを窒素下で測定し、室温から10℃/minの速度で200℃まで昇温した後、10℃/minで−100℃まで降温し、さらに10℃/minの速度で200℃まで昇温した。T及びTの値は2回目の昇温時のものを記録した。
(3)NMR測定
本発明により得られた片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレンマクロモノマーの数平均分子量(Mn)は、H-NMRスペクトルを測定し、全てのマクロモノマー分子の片末端をビニル基と仮定した場合のアルキル基の総プロトン数より求めた。また本発明により得られた該マクロモノマーの立体規則性(アイソタクチックペンタッド分率、シンジオタクチックペンタッド分率)は、ポリマーの13C−NMRスペクトルの測定より求めた。
ポリマーのH-NMR測定には、H/BB可変Z磁場勾配プローブを備えたVarian社製Inova500(H観測周波数500MHz)を使用した。5mmサンプルチューブにポリマーサンプルを30mg投入し、0.6mLの1,1,2,2−テトラクロロエタン−dに完全に溶解させた後、135℃、フリップ角45°、パルス間隔10秒の条件で24回以上積算した。
ポリマーの13C−NMRには、10mmφZ磁場勾配プローブを備えたVarian社製Inova600(13C観測周波数150MHz)を使用した。5mmサンプルチューブにポリマーサンプルを50mg投入し、0.6mLの1,1,2,2−テトラクロロエタン−dに完全に溶解させた後、135℃、フリップ角45°、プロトン完全デカップリング、パルス間隔5秒の条件で500回以上積算した。
(4)物性測定
本発明により得られたポリマーのエラストマーとしての物性値(破断点伸び、破断点強さ、弾性回復率)は、得られたポリマーの成形品を評価することにより求めた。実施例1〜7については下記条件―1により求めた。
(条件―1)
ポリマーサンプルを200℃で熱プレスし、室温まで放冷することでフィルムを作成した。このフィルムを厚み約0.5mm、長さ7.5mm、幅2.0mmのドックボーン型に切り抜き、物性測定用の試料(以下、単にサンプルということがある)とした。
機械特性試験はInstron1123試験機を用いて行われた。試験は以下の2つの方法を適用した。
(i)破断点伸びおよび破断点強さ
サンプルを5.08mm/min(0.01sec−1)の速度で、単調に破断するまで伸長させ、破断時の伸びと強さを記録した。
(ii)弾性回復率
サンプルを(i)と同じ速度で所定の歪まで伸長させた後、クロスヘッド方向を反転させ、同じ速度で応力がゼロになるまで収縮させた。応力がゼロに到達した後クロスヘッド方向を再び反転させ、同じクロスヘッド速度で先程よりも長い伸長に到達させた。この段階的な伸長サイクルをサンプルが破断するかサンプルがグリップから引き抜けるまで繰り返した。
破断点伸びおよび破断点強さは(i)の試験の結果を採用した。また回復率は(ii)において300%伸長からの回復を記録した。
(条件―2)
実験スケールの向上に伴う条件最適化により、実施例8〜11、及び比較例1〜5については、以下の条件−2により物性試験を行なった。
(シートの作成)
サンプル約5gを190℃、5MPaで約3分間プレス成形し、約0.5mm厚のシートを作成した。これをJIS K6251(加硫ゴムの引っ張り試験方法)に記載のダンベル状8号型用打ち抜き刃にて裁断し、試験片を作成した。
(物性試験)
測定器はオリエンテック社製STA−1225を用いた。チャック間距離を20mmとし、15mm/minの速度で単調に破断するまで伸長させ、破断時の伸びと強さを記録した。
またサンプルを同じ速度で300%(=60mm)伸長させた後、クロスヘッド方向を反転させ、同じ速度で応力がゼロになるまで収縮させた。応力がゼロに到達した時点での伸びを記録し、この残留伸びから弾性回復率を計算した。
(5)密度測定
本発明で得られたポリマーの密度は、電子比重計(アルファミラージュ社製「SD−200L」)を用いて、水置換法により23℃で測定した。
(6)融点及びガラス転移点の測定
DSC(PerkinElmer社製「DiamondDSC」)を使用し、20℃で1分等温、10℃/分で20〜210℃までの昇温、210℃で5分等温、10℃/分で210〜−70℃まで降温、−70℃で5分等温の後、10℃/分で−70〜210℃までの昇温時の測定により求めた。
(製造例1)
[rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド(以下、「錯体M1」)の合成]
錯体M1は、国際公開第2008/059969号の、製造例M−1に記載の方法に従って合成した。
(製造例2)
[rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド(以下、「錯体M2」)の合成]
錯体M2は、日本国特開2004−02259号公報の、製造例1に記載の方法に従って合成した。
(製造例3)
[アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーA)の製造方法]
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積1Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、精製ヘキサン(500mL)、修飾メチルアルミノキサンのヘプタン溶液(Al濃度:1.47mol/L)を10mL導入した。反応容器を70℃に加熱し、プロピレンを0.6MPaで飽和させ、製造例1で得られた錯体M1(4.0μmol)のヘプタン溶液を高圧アルゴンで反応容器に圧送し、重合を開始した。60分後、プロピレン圧が0.4MPaまで低下したところでプロピレンを放出して反応を停止させた。得られたポリマーをろ取し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、28gのポリマー(マクロモノマーA)を得た。H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は12200であり、13C−NMRによって測定されるアイソタクチックペンタッド分率[mmmm]は0.92であった。またDSCによって測定されるTは141.7℃であった。得られたアイソタクチックポリプロピレンマクロモノマーの物性値を表1に示す。
(製造例4)
[アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーB)の製造]
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積1Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、精製ヘキサン(500mL)、修飾メチルアルミノキサンのヘプタン溶液(Al濃度:1.47mol/L)を3mL導入した。反応容器を70℃に加熱し、プロピレンを0.2MPaまで導入した後、製造例2で得られた錯体M2(1.0μmol)のヘプタン溶液を高圧アルゴンで反応容器に圧送し、重合を開始した。反応中、プロピレンを追加して反応器の圧力を0.2MPaに保った。60分後、プロピレンを放出して反応を停止させた。ポリマーをろ取し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、34gのポリマー(マクロモノマーB)を得た。H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は26900であり、13C−NMRによって測定されるアイソタクチックペンタッド分率[mmmm]は0.97であった。またDSCによって測定されるTは146.3℃であった。得られたアイソタクチックポリプロピレンマクロモノマーの物性値を表1に示す。
(製造例5)
[ビス[2,4−ジ−tert−ブチル−6−[[(3,5−ジフルオロフェニル)イミノ]メチル]フェノラト]チタニウムジクロライド(以下、「錯体M3」)の合成]
錯体M3はCherian,A.E.et.al. Macromolecules 2005,38,6268.に記載の方法で合成した。錯体M3の構造式を以下式(X)で示す。
(製造例6)
[ビス[2,4−ジ−tert−ブチル−6−[[(3,5−ジクロロフェニル)イミノ]メチル]フェノラト]チタニウムジクロライド(以下、「錯体M4」)の合成]
錯体M4は、Cherian,A.E.et.al.Macromolecules 2005,38,6268.に記載の方法で合成した。錯体M4の構造式を以下式(Y)で示す。
(製造例7)
[ビス[2−トリメチルシリル−6−[[(3,5−ジフルオロフェニル)イミノ]メチル]フェノラト]チタニウムジクロライド(以下、「錯体M5」)の合成]
錯体M5は、Cherian,A,E.et.al. Macromolecules 2005,38,6268.に記載の方法で合成した。錯体M5の構造式を以下式(Z)で示す。
(製造例8)
[シンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーC)の製造]
磁気撹拌子を備えた6オンスガラス反応器(LabCrest社製AndrewGlass)を130℃で一晩乾燥した後、真空下放冷した。窒素下、乾燥メチルアルミノキサンおよび乾燥トルエン(140mL)を導入した。該反応器を氷浴にて0℃に冷却した。この時点で反応器内をプロピレンで3回置換し、その後30psiのプロピレンで溶液を飽和させた。錯体M3(50μmol)をトルエン(10mL)に溶解させ、ガスタイトシリンジを用いて反応器に導入し、反応を開始させた。6時間後、メタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をメタノール/塩酸溶液に投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにメタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させた。3.1gのポリマー(マクロモノマーC)を得た。H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は5000であり、13C−NMRによって測定されるシンジオタクチックペンタッド分率[rrrr]は0.80であった。またDSCによって測定されるTは113.4℃であった。得られたシンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマーの物性値を表2に示す。
(製造例9)
[シンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーD)の製造]
錯体M4を用いた以外は製造例6と同様の操作を行い、4.0gのポリマー(マクロモノマーD)を得た。H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は4000であり、13C−NMRによって測定されるシンジオタクチックペンタッド分率[rrrr]は0.67であった。またDSCによって測定されるTは87.4℃であった。得られたシンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマーの物性値を表2に示す。
(製造例10)
[シンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーE)の製造]
錯体M5を用いた以外は製造例6と同様の操作を行い、4.0gのポリマー(マクロモノマーE)を得た。H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は7600であり、13C−NMRによって測定されるシンジオタクチックペンタッド分率[rrrr]は0.94であった。またDSCによって測定されるTは145.8℃であった。得られたシンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマーの物性値を表2に示す。
(製造例11)
[(N-2,6−ジイソプロピルフェニルアミド)ジメチル(α-ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン))ハフニウムジメチル(錯体C1)の合成]
錯体C1は国際公開第2008/112133号、Working Example 4に記載の方法に従って合成した。錯体C1の構造式を以下式(W1)で示す。
(実施例1)
[アイソタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレンプロピレンコポリマーの製造]
磁気撹拌子を備えた6オンスガラス反応器(LabCrest社製AndrewGlass)を130℃で一晩乾燥した後、真空下放冷した。窒素下、製造例3で得られたポリプロピレンマクロモノマーA(0.20g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(10μmol)、乾燥トルエン(45mL)を導入した。
該反応器を100℃に加熱し、10分間撹拌した。その後反応器を70℃に冷却した。この時点で反応器内をプロピレンで3回置換し、その後6psiのプロピレンで溶液を飽和させた。次に反応器を30psiのエチレンで加圧し、飽和させた。錯体C1(5.0μmol)とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.3μmol)をトルエン(5.0mL)に溶解させ、ガスタイトシリンジを用いて反応器に導入し、反応を開始させた。
反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を30psiに保った。15分後、メタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をメタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにメタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、2.2gのポリマーを得た。得られたポリマーにつきGPC測定を行ない、ポリプロピレンマクロモノマーAを除いた生成物の数平均分子量を求めた。結果を表3に示す。
(実施例2)
[アイソタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレンプロピレンコポリマーの製造]
マクロモノマーとして製造例4で得られたポリマー(マクロモノマーB)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、2.4gのポリマーを得、数平均分子量を測定した。
(実施例3)
[アイソタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレン−1−オクテンコポリマーの製造]
磁気撹拌子を備えた6オンスガラス反応器(LabCrest社製 AndrewGlass)を130℃で一晩乾燥した後、真空下放冷した。窒素下、1−オクテン(2.0mL)、製造例3で得られたポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーA)(0.40g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(10μmol)、乾燥トルエン(45mL)を導入した。該反応器を100℃に加熱し、10分間撹拌した。その後反応器を70℃に冷却した。この時点で反応器内をエチレンで3回置換し、その後15psiのエチレンで溶液を飽和させた。錯体C1(5.0μmol)とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.3μmol)をトルエン(5.0mL)に溶解させ、ガスタイトシリンジを用いて反応器に導入し、反応を開始させた。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を15psiに保った。所望時間の後、メタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をメタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにメタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、2.7gのポリマーを得た。得られたポリマーにつき、実施例1と同様に数平均分子量を測定した。
(実施例4)
[シンジオタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレンプロピレンコポリマーの製造]
磁気撹拌子を備えた6オンスLabCrest(登録商標)ガラス反応器(Andrew Glass)を130℃で一晩乾燥した後、真空下放冷した。窒素下、製造例8で得られたポリプロピレンマクロモノマー(0.20g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(10μmol)、乾燥トルエン(45mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、10分間撹拌した。その間反応器内をプロピレンで3回置換し、その後6psiのプロピレンで溶液を飽和させた。次に反応器を30psiのエチレンで加圧し、飽和させた。錯体C1(5.0μmol)とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.3μmol)をトルエン(5.0mL)に溶解させ、ガスタイトシリンジを用いて反応器に導入し、反応を開始させた。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を30psiに保った。15分後、メタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をメタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにメタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、2.3gのポリマーを得た。得られたポリマーにつき、実施例1と同様に数平均分子量を測定した。
(実施例5)
[アイソタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレンプロピレンコポリマーの製造]
マクロモノマーとして製造例9で得られたポリマーを用いた以外は、実施例4と同様に操作を行い、1.8gのポリマーを得、数平均分子量を測定した。
(実施例6)
[アイソタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレンプロピレンコポリマーの製造]
マクロモノマーとして製造例10で得られたポリマーを用いた以外は実施例4と同様に操作を行い、1.6gのポリマーを得、数平均分子量を測定した。
(実施例7)
[シンジオタクチックポリプロピレン分枝を持つエチレン−1−オクテンコポリマーの製造]
磁気撹拌子を備えた6オンスLabCrest(R)ガラス反応器(AndrewGlass)を130℃で一晩乾燥した後、真空下放冷した。窒素下、製造例10で得られたポリプロピレンマクロモノマー、1−オクテン(2.0mL)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(10μmol)、乾燥トルエン(50mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、10分間撹拌した。この時点で反応器内をエチレンで3回置換し、その後15psiのエチレンで溶液を飽和させた。錯体C1(5μmol)とトリルペンタフルオロフェニルボラン(5.3μmol)をトルエン(5.0mL)に溶解させ、ガスタイトシリンジを用いて反応器に導入し、反応を開始させた。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を15psiに保った。所望時間の後、メタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をメタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにメタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、1.9gのポリマーを得た。得られたポリマーにつき、実施例1と同様に数平均分子量を測定した。
実施例1〜7で製造された熱可塑性エラストマー組成物の物性並びに機械的特性を表3に示す。
なお、表3中の「マクロモノマー含量」は、得られた組成物の重量に対する、重合時に仕込んだマクロモノマーの重量百分率を表し、「融点」、「ガラス転移点」は、得られたエラストマー組成物の物性値を表す。
表3に示すようにマクロモノマーを共重合させた何れのポリマーも優れた破断点伸び、破断点強さ及び弾性回復率を示した。意外にもシンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマーを共重合させた組成物は特に優れた弾性回復率を示し、ハードセグメントとしてより優れた性能をもつことを示唆している。
(実施例8)(実施例7のスケールアップと密度測定)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例10で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、1−オクテン(20mL)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(100μmol)、乾燥トルエン(500mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、15分間撹拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C1(50μmol)とトリスペンタフルオロフェニルボラン(50μmol)をトルエン(6.0mL)に溶解させ導入した。該反応器を再び70℃に加熱した後、エチレン圧で触媒を導入して反応を開始した。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を0.20MPaに保った。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、31.5gのポリマーを得た。このポリマーの密度を測定したところ、0.861g/mLであった。
(実施例9)(実施例6のスケールアップと密度測定)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例10で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(100μmol)、乾燥トルエン(500mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、15分間撹拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C1(50μmol)とトリスペンタフルオロフェニルボラン(50μmol)をトルエン(6.0mL)に溶解させ導入した。該反応器を70℃に再び加熱し、プロピレンとエチレンの混合ガス(プロピレン/エチレン=45/55モル比)を重合槽に0.30MPaまで導入した後、精製窒素で触媒を導入して反応を開始した。反応中、混合ガスを追加して反応器の圧力を0.40MPaに保った。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、28.2gのポリマーを得た。このポリマーの密度を測定したところ、0.861g/mLであった。
(実施例10)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例10で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(100μmol)、乾燥トルエン(500mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、15分間撹拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C1(50μmol)とトリスペンタフルオロフェニルボラン(50μmol)をトルエン(6.0mL)に溶解させ導入した。プロピレン42mLを重合槽に導入し、さらにエチレンを重合槽に0.30MPaまで導入した後、該反応器を再び70℃に加熱し、エチレン圧で触媒を導入して反応を開始した。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を0.40MPaに保った。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、21.3gのポリマーを得た。
(実施例11)
α-オレフィンとして、1-オクテンの代わりに1-ヘキセンを用いた以外は実施例8と同様に重合を行い、16.3gのポリマーを得た。
(製造例11) ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル(錯体C2)の製造方法
錯体C2は、米国特許第6,265,338号明細書の実施例UTに記載の方法に従って合成した。
(比較例1)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例10で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、変性メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社「MMAO−3A」 2.1mmol[Al換算原子])、乾燥トルエン(1000mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、15分間攪拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C2(5μmol)をトルエン(5mL)に溶解させ導入した。プロピレン150mLを重合槽に導入した後、該反応器を60℃に加熱し、触媒を導入して反応を開始した。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、59.6gのポリマーを得た。
(比較例2)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例10で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、変性メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社「MMAO−3A」 2.1mmol[Al換算原子])、乾燥トルエン(1000mL)を導入した。該反応器を70℃に加熱し、15分間攪拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C2(2.5μmol)をトルエン(2.5mL)に溶解させ導入した。エチレンを0.4MPaまで重合槽に導入し、次いでプロピレン150mLを重合槽に導入した後、該反応器を60℃に加熱し、触媒を導入して反応を開始した。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、34.1gのポリマーを得た。
(製造例12) rac−ジメチルシリレンビス[2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピルフェニル)インデニル]ハフニウムジクロライド(錯体M6)の製造方法
錯体M6は、日本国特開2009−299045号公報の、実施例11に記載の方法に従って合成した。
(製造例13) アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマーの製造方法
撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,698gを投入し、98%硫酸501gを滴下した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:19.5μm)を300g添加後撹拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、洗浄した。回収したケーキに硫酸リチウム1水和物324gの水900mL水溶液を加え90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、pH>4まで洗浄した。回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、275gの化学処理モンモリロナイトを得た。
内容量50mLのフラスコに上記で得た化学処理モンモリロナイトを509mg秤量した。精製窒素下でトリイソブチルエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mmol/mL)を2.0mL添加して、室温で30分反応させた後、トルエン20mLで2回洗浄した。
上記洗浄済みモンモリロナイトにトリイソブチルアルミニウム(30μmol/mL)と製造例12で合成した錯体M6(3.0μmol/mL)を含む混合トルエン溶液を5.1mL加え、室温で1時間攪拌した。
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mol/L)を1mL導入した、液化プロピレン625gを導入し、その後上記触媒スラリー200mgを圧入し、70℃まで昇温して重合開始とした。1時間後に、プロピレンをパージして重合を終わらせた。重合体収量を秤量したところ359gのポリプロピレンを得た。
H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は77.8kg/molであり、13C−NMRによって測定されるアイソタクチックペンタッド分率[mmmm]は0.90であった。またDSCによって測定されるTmは155.9℃であった。
(製造例14)ポリエチレンマクロモノマーの製造方法
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、精製トルエン(500mL)、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al濃度:2.6mol/L)を0.25mL導入した。一方、破裂板のついた触媒フィーダーに、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド(アルドリッチ社より購入、27.4μmol)のトルエン溶液を導入した。反応容器を90℃に加熱し、エチレンを0.2MPaまで導入した後、触媒をエチレン圧で反応容器に圧入し、重合を開始した。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を0.2MPaに保った。20分後、エタノールを導入して反応を停止させた。ポリマーをろ取し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、43gのポリマーを得た。H-NMRによって測定される末端ビニル基を基準とした数平均分子量は14.0kg/molであった。またDSCによって測定されるTmは133.2℃であった。
(比較例3)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例13で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(100μmol)、乾燥トルエン(500mL)を導入した。該反応器を100℃に加熱し、15分間攪拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C1(33μmol)とトリスペンタフルオロフェニルボラン(35μmol)をトルエン(6.0mL)に溶解させ導入した。プロピレン30mLを重合槽に導入し、該反応器を70℃に加熱し、エチレンを重合槽に0.30MPaまで導入した後、エチレン圧で触媒を導入して反応を開始した。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を0.40MPaに保った。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、31.2gのポリマーを得た。
GPCによる分子量測定を試みたところ、組成物中の結晶性ポリプロピレンマクロモノマーと、分岐構造オレフィン系共重合体成分を含むエチレン/α−オレフィン共重合体成分とを分別することが困難であったため、本例については組成物全体の数平均分子量をMnとして記載した。
(比較例4)
マクロモノマーとしてポリプロピレンマクロモノマーの代わりに製造例14で製造したポリエチレンマクロモノマーを用いる以外は比較例3と同様に重合を実施し、32.4gのポリマーを得た。
(比較例5)
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例14で得られたポリエチレンマクロモノマー(4.0g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエンの1:1混合物(100μmol)、乾燥トルエン(500mL)を導入した。該反応器を100℃に加熱し、15分間攪拌した後、35℃まで冷却した。オートクレーブ内に1−ヘキセン(20mL)を導入した。一方破裂板のついた触媒フィーダーに、錯体C1(33μmol)とトリスペンタフルオロフェニルボラン(35μmol)をトルエン(6.0mL)に溶解させ導入した。該反応器を70℃に加熱し、エチレンを重合槽に0.10MPaまで導入した後、エチレン圧で触媒を導入して反応を開始した。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を0.20MPaに保った。所望時間の後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、26.5gのポリマーを得た。
実施例8〜11、比較例1〜5で製造された組成物の物性ならびに機械的特性を表4に示す。
表4に示すとおり、実施例8〜11で製造された組成物はいずれも優れたエラストマー性を示した。
一方、比較例1、2で製造された組成物は、優れた破断点伸び、弾性回復率を示すものの、ガラス転移点が高く、エラストマーに要求される基本的な性能の1つである低温での耐衝撃性は期待されない。また破断点強さが極端に低くなる挙動を示した。これについてはさらに応力ひずみ曲線を示し考察する。
実施例9と比較例2の応力ひずみ曲線を図1及び図2にそれぞれに示す。
実施例9では、破断点にかけて応力の強い立ち上がりが見られる。これは主鎖中に導入された結晶性ポリプロピレン側鎖同士が強い相互作用(延伸に伴う結晶化)を及ぼし、ポリマー分子間の物理架橋点として振舞うことで高いエラストマー性能を発揮していることがわかる。
一方、比較例2では初期立ち上がりのあと、破断点にかけて応力の立ち上がりはほとんど見られず、ポリマーは塑性変形していることがわかる。このことから、比較例2における低ひずみでの高い弾性回復率や、高い破断点伸びは、主鎖であるアタクチックポリプロピレン自身の分子のからみ合い相互作用によるものであって、結晶性ポリプロピレン側鎖の効果が現れていないことは明らかである。この場合、主鎖中のα−オレフィン含量が高いために、主鎖と側鎖の親和性が高まり、側鎖間の結晶化を阻害していると考えられる。すなわち結晶性ポリプロピレン側鎖同士の相互作用を高め物理架橋点としての機能を発揮させるためには、主鎖の組成比が本発明で開示された範囲にあることが極めて重要である。
比較例3で製造された組成物は、優れた破断点伸びは示すものの、弾性回復率に劣り、優れたエラストマーとは言えない。
比較例4では破断点伸びが非常に低く、弾性回復率の測定において切れてしまうため、弾性回復率の測定が困難であった。
比較例5で製造された組成物は、優れた破断点伸びは示すものの、弾性回復率に劣り、優れたエラストマーとは言えない。一方、実施例11で製造された組成物は、非常に高い弾性回復率を示した。実施例11は、比較例5と同じエチレン/1−ヘキセン主鎖ながら、結晶性ポリエチレン側鎖の代わりに結晶性ポリプロピレン側鎖を持つことから、結晶性ポリエチレン側鎖に比べ、結晶性ポリプロピレン側鎖が物理的架橋点として特に優れていると言える。
以上のことから、本発明において開示される組成物が、熱可塑性エラストマーとして特に優れた性能を示すことがわかる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2011年10月24日出願の日本特許出願(特願2011−233247)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明によれば、耐熱性や、破断点伸び、弾性回復率などの機械特性に優れた熱可塑性エラストマーを、経済的な製造方法により提供することが可能になる。

Claims (17)

  1. エチレン/α―オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記主鎖中のα−オレフィン含有量が70mol%以下であり、前記組成物が500%以上の破断点伸びを示し、かつ300%伸長からの回復時に70%以上の弾性回復率を示す熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が、0.80以上である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が50000以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が−30℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記熱可塑性エラストマー組成物の密度が0.880g/mL以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、
    A)前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、
    B)前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が50000以下であり、
    C)前記熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が−30℃以下であり、
    D)前記熱可塑性エラストマー組成物の密度が0.880g/mL以下である、
    請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が、0.90以上である、請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、
    A)前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上であり、
    B)前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量が、50000以下であり、
    C)前記熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移点が、−30℃以下であり、
    D)前記熱可塑性エラストマー組成物の密度が、0.880g/mL以下である、
    請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が0.70以上である、請求項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記結晶性プロピレン重合体及び前記結晶性プロピレン重合体に由来する成分を合計で30重量%以下含有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  12. エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有し、数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、下記a)〜c)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中のc)α−オレフィン含有量が5〜70mol%になるように下記a)〜c)成分を配位重合させる重合工程とを含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    a)片末端にビニル基を有し、アイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、かつ数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体
    b)エチレン
    c)少なくとも1種類以上の、炭素数3から20のα−オレフィン
  13. エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有し、数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、下記a)〜c)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中のc)α−オレフィン含有量が5〜70mol%になるように下記a)〜c)成分を配位重合させる重合工程とを含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    a)片末端にビニル基を有し、シンジオタクチックペンタッド分率が0.60以上であり、かつ数平均分子量が50000以下である結晶性プロピレン重合体
    b)エチレン
    c)少なくとも1種類以上の、炭素数3から20のα−オレフィン
  14. 前記遷移金属触媒が、下記一般式(VIII)で表される錯体である、請求項12又は13に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。

    (式(VIII)中、Rは、炭素数1から30の炭化水素基であり、Tは水素原子以外の原子を1〜30個含む2価の基である。R10はルイス塩基性を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であり、前記へテロアリール基は置換基を有していてもよい。Mは周期表第4族金属であり、Xはモノアニオン性、ジアニオン性、又は中性配位子であり、x’はX基の数を示し、0〜5の整数である。R10とMは互いに結合して環を形成していてもよい。また構造式中、実線は結合、破線は任意の結合、矢印は配位結合を表す。)
  15. 前記混合工程において、前記a)成分の含有量が前記a)〜c)成分の総量の30重量%以下となるように混合する、請求項12〜14の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  16. 前記製造方法において、前記熱可塑性エラストマー組成物中の、前記結晶性プロピレン重合体及び前記結晶性プロピレン重合体に由来する成分の合計が、30重量%以下となるように重合させる請求項12〜15のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  17. 請求項12〜16の何れか1項に記載の方法により製造される熱可塑性エラストマー組成物。
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