JP2007238891A - オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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太一 千田
Takahiro Hino
高広 日野
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秀典 花岡
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Abstract

【課題】オレフィン重合用触媒を提供すること。
【解決手段】式(1)
Figure 2007238891

(Mは第4族の遷移金属原子、Aは第14族元素、R〜Rは水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アラルキル基等を表し、R〜R10、X及びXは水素、ハロゲン、アルキル基等を表し、nは3〜7を表す。)で示される遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒成分。
【選択図】なし

Description

本発明は、高活性なオレフィン重合用触媒に関する。
シクロペンタジエンとフェノールが第14族の原子で結合した化合物を有する第4族の遷移金属錯体は高活性なオレフィン重合用触媒成分であることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。工業的な観点からより高活性なオレフィン重合用触媒の開発が望まれている。
特開平9−87313号公報
本発明は、高活性なオレフィン重合用触媒を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、シクロペンタジエンとフェノールが第14族の原子で結合した化合物を有する第4族の遷移金属錯体において、第14族原子の置換基を環状構造で束縛することにより、より高活性なオレフィン重合用触媒となることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、式(1)
Figure 2007238891
(式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、
Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、
、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
、R、R、R、R、R10、X及びXは同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
ここで、R〜R10、X及びXにおいて、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、
、R、R及びRの隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、R、R、R及びRの隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、R及びR10は結合して環を形成していてもよく、nは3〜7の整数を表す。)
で示される遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒成分;
該オレフィン重合用触媒成分と、下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒、
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式E AlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3)一般式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)

化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2)一般式 G(BQで表されるホウ素化合物
(B3)一般式 (L−H)(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。);
及び、該オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法、
を提供するものである。
本発明により得られる重合用触媒は、オレフィンの重合反応の触媒として高い活性を示し、工業的に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
式(1)で示される遷移金属錯体(以下、遷移金属錯体(1)と略す。)において式(2)
Figure 2007238891
(式中R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で示されるシクロペンタジエニル型アニオン骨格を有する基としては、例えばシクロぺンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロぺンタジエニル基、n−プロピルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、sec−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、n−オクチルシクロぺンタジエニル基、テトラヒドロインデニル基、オクタヒドロフルオレニル基、フェニルシクロぺンタジエニル基、ナフチルシクロぺンタジエニル基、トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、トリフェニルシリルシクロぺンタジエニル基、tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基などの置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基、
インデニル基、メチルインデニル基、ジメチルインデニル基、エチルインデニル基、n−プロピルインデニル基、イソプロピルインデニル基、n−ブチルインデニル基、sec−ブチルインデニル基、tert−ブチルインデニル基、n−ペンチルインデニル基、ネオペンチルインデニル基、n−ヘキシルインデニル基、n−オクチルインデニル基、n−デシルインデニル基、フェニルインデニル基、メチルフェニルインデニル基、ナフチルインデニル基、などの置換もしくは無置換のインデニル基、
フルオレニル基、2−メチルフルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基、2−エチルフルオレニル基、2,7−ジエチルフルオレニル基、2−n−プロピルフルオレニル基、2,7−ジ−n−プロピルフルオレニル基、2−イソプロピルフルオレニル基、2,7−ジイソプロピルフルオレニル基、2−n−ブチルフルオレニル基、2−sec−ブチルフルオレニル基、2−tert−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−n−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−sec−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、2−n−ペンチルフルオレニル基、2−ネオペンチルフルオレニル基、2−n−ヘキシルフルオレニル基、2−n−オクチルフルオレニル基、2−n−デシルフルオレニル基、2−n−ドデシルフルオレニル基、2−フェニルフルオレニル基、2,7−ジ−フェニルフルオレニル基、2−メチルフェニルフルオレニル基、2−ナフチルフルオレニル基などの置換もしくは無置換のフルオレニル基が挙げられ、
好ましくはシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基などが挙げられる。
遷移金属錯体(1)においてAで示される元素の周期律表の第14族元素としては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子などが例示され、好ましくは炭素原子、ケイ素原子が例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びn−エイコシル基が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、ハロゲン置換の炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、これらのアルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXおいて、炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが例示され、好ましはフェニル基が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、ハロゲン置換の炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、これらのアリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが例示され、好ましくはベンジル基が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいてハロゲン置換の炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としてはこれらのアラルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭化水素基で置換されたシリル基の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示される。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の一置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された二置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された三置換シリル基などが例示され、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基が挙げられる。
これらの置換シリル基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、X及びXにおいてハロゲン置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、これらのアルコキシ基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素原子数6〜20のアリールオキシ基などが例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいてハロゲン置換の炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、上記炭素原子数6〜20のアリールオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいてハロゲン置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、これらのアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R、R、R及びRにおける炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基とは、3つの炭化水素基で置換されたシリルオキシ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの前記と同様の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−ブチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基などが例示され、好ましくはトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基が挙げられる。
これらの置換シリルオキシ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXにおいて、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基などが例示され、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基等が挙げられる。
これらの置換アミノ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
置換基R、R、R及びRにおいて、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたホスフィノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、n−エイコシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基の具体例としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ−n−プロピルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジ−n−ブチルホスフィノ基、ジ−sec−ブチルホスフィノ基、ジ−tert−ブチルホスフィノ基、ジ−イソブチルホスフィノ基、tert−ブチルイソプロピルホスフィノ基、ジ−n−ヘキシルホスフィノ基、ジ−n−オクチルホスフィノ基、ジ−n−デシルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、ビストリメチルシリルホスフィノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルホスフィノ基などが例示され、好ましくはジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基が挙げられる。
これらの置換ホスフィノ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
置換基R、R、R及びRにおいて、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環あるいはチオフェンを形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−デシルチオ基、フェニルチオ基などが例示される。
これらの置換チオ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
、R、R及びRのうち隣接する2つの置換基、R、R、R及びRのうち隣接する2つの置換基並びにR及びR10の隣接する2つの置換基は、任意に結合して環を形成していてもよい。
、R、R及びRのうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環としては、例えば、飽和の、又は不飽和の炭化水素環、チオフェン環、チアゾ−ル環、チアゾリン環、チアジアゾ−ル環、ピリジン環などのヘテロ環が例示される。
、R、R、R、R及びR10のうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが例示される。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが例示される。
本発明の遷移金属錯体(1)におけるnは、第14族原子の置換基で形成される環構造の大きさを表し、3〜7の整数を表す。好ましくは4又は5である。
本発明の遷移金属錯体(1)としては、例えば、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(2−ナフトキシ)]チタニウム、
ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−ナフトキシ)]チタニウム、
ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(インデニル)(2−ナフトキシ)]チタニウム、
ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム、ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(フルオレニル)(2−ナフトキシ)]チタニウム、
などが挙げられ、シクロヘキシ−1−イリデンをシクロペント−1−イリデン、シクロヘプト−1−イリデン、シクロオクト−1−イリデン、シクロブト−1−イリデン、シラシクロヘキシ−1−イリデン、シラシクロペント−1−イリデン、シラシクロヘプト−1−イリデン、シラシクロオクト−1−イリデン、シラシクロブト−1−イリデンとしたもの、チタニウムをジルコニウム、ハフニウムとしたもの、ジクロロをジフルオロ、ジブロモ、ジヨードとしたものも同様に例示される。
遷移金属錯体(1)は、例えば、特開平9−87313号公報において開示されている方法、あるいは特願2005−198510号において記載されている方法により製造することができる。より具体的には、式(3)
Figure 2007238891
(式中、A、R、R、R、R、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表し、Rは炭化水素基又は三置換シリル基を表す)
で示される置換シクロペンタジエン化合物及び塩基を反応させた後、式(4)
Figure 2007238891
(式中、X及びXは前記と同じ意味を表し、X及びXは同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
ここで、X及びXにおいて、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい)
で示される遷移金属化合物を反応させる方法、あるいは、式(3)で示される置換シクロペンタジエン化合物及び塩基を反応させた後、ハロゲン化シリル化合物を反応させた後、式(4)で示される遷移金属化合物を反応させる方法により、製造することができる。
置換基R11における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などの炭素原子数2〜10のアルケニル基;ベンジル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基などの炭素原子数7〜12のアラルキル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基などのアルコキシアルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば、2−クロロ−2−プロペニル基などが挙げられる。
置換基R11における3置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
かかる置換基R11としては、収率よく遷移金属錯体(1)を製造し得る観点から、好ましくはアルケニル基又はアルキル基であり、さらに好ましくはアリル基又はメチル基である。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明のオレフィン重合用触媒は、遷移金属錯体(1)をオレフィン重合用触媒成分とするオレフィン重合用触媒であり、遷移金属錯体(1)と他の共触媒成分とを接触させて得られる。該オレフィン重合用触媒としては、遷移金属錯体(1)と下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒があげられる。
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式E AlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3)一般式E3{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは夫々炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2)一般式 G(BQで表されるホウ素化合物
(B3)一般式 (L−H)(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は二置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
(A1)一般式E AlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等があげられる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムである。
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン又は(A3)一般式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサンにおけるE及びEとしては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基があげられる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E及びEはそれぞれ独立にメチル基又はイソブチル基であり、bは2〜40であり、cは1〜40である。
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に限定はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン又は脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を、結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて作る方法などがあげられる。
(B1)一般式BQで表されるホウ素化合物において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子である。Q〜Qは、好ましくは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数2〜20の2置換アミノ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
(B1)一般式BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等があげられ、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物において、Gは無機又は有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q〜Qは上記の(B1)におけるQ〜Qと同様である。
(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物において、無機のカチオンであるGには、例えば、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるGには、例えば、トリフェニルメチルカチオンなどがあげられる。また、(BQとしては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4-トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどがあげられる。
(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物において、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q〜Qは上記の(B1)におけるQ〜Qと同様である。
(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物において、(L−H)には、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどがあげられ、(BQには、前述と同様のものがあげられる。
(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
化合物(B)としては、通常、(B1)一般式BQで表されるホウ素化合物、(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物又は(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物のいずれかを用いる。
オレフィン重合用触媒の製造での各触媒成分を接触させる方法においては、任意の2つの触媒成分を予め接触させて、その後もう一つの触媒成分を接触させてもよい。また、各触媒成分は重合反応装置中で接触させてもよく、各触媒成分を重合反応装置中に任意の順序で別々に投入してもよく、任意の2つ以上の触媒成分を予め接触させたものを投入してもよい。
なかでも、遷移金属錯体(1)と(A1)有機アルミニウム化合物とを予め接触させることが好ましく、モノマーの不存在下で、遷移金属錯体(1)と(A1)有機アルミニウム化合物とを予め接触させることがより好ましい。
各触媒成分の使用量としては、化合物(A)(アルミニウム原子換算)/遷移金属錯体(1)のモル比は、通常0.1〜10000、好ましくは5〜2000である。化合物(A)として(A1)有機アルミニウム化合物を用いる場合、化合物(A1)/遷移金属錯体(1)のモル比は、より好ましくは0.3〜500、さらに好ましくは0.5〜100である。また、化合物(B)/遷移金属錯体(1)のモル比は、通常0.01〜100、好ましくは0.5〜10である。
各触媒成分を溶液状態で使う場合の濃度については、遷移金属錯体(1)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットル、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルであり、化合物(A)の濃度は、アルミニウム原子換算で、通常0.01〜500ミリモル/リットル、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットルであり、化合物(B)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットル、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、遷移金属錯体(1)をオレフィン重合用触媒成分とするオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するものである。
重合に使用するオレフィンとしては、鎖状オレフィン、環状オレフィン等を用いることができ、1種類のオレフィンを用いて単独重合を行ってもよく、2種類以上のオレフィンを用いて共重合を行ってもよい。通常、該オレフィンとしては、炭素原子数2〜20のオレフィンが用いられる。
鎖状オレフィンとしては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテンなどの炭素原子数3〜20のα−オレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,9−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、1,13−テトラデカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−エチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの共役ジエンなどを挙げることができる。
環状オレフィンとしては、脂環族化合物として、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセンなどのモノオレフィン;5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、7−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7−エチル−2,5−ノルボルナジエン、7−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、7−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ペンチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ヘキシル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−メチルエチル−2,5−ノルボルナジエン、7−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、7−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、7−フルオロ−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジクロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−メチル−2,5−ノルボルナジエン、1−エチル−2,5−ノルボルナジエン、1−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、1−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、1−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、ビニルシクロヘキセンなどの非共役ジエン;1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどの共役ジエンなどをあげることができる。また、芳香族化合物として、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
オレフィンの共重合を行う場合のオレフィンの組み合わせとしては、例えば、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセンなどの鎖状オレフィン/鎖状オレフィンの組み合わせ;エチレン/ビニルシクロヘキサン、エチレン/ノルボルネン、エチレン/テトラシクロドデセン、エチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、プロピレン/ビニルシクロヘキサン、プロピレン/ノルボルネン、プロピレン/テトラシクロドデセン、プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの鎖状オレフィン/環状オレフィンの組み合わせなどをあげることができる。
重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素(ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等)又はハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド等)を溶媒として用いる溶媒重合又はスラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、連続式重合又は回分式重合のどちらでも可能である。
重合温度は、−50℃〜300℃の範囲を取り得るが、特に、−20℃〜250℃の範囲が好ましい。重合圧力は、常圧〜90MPaが好ましい。重合時間は、一般的に、目的とする重合体の種類、反応装置によって適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、本発明は重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
以下、本発明を実験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
<錯体の製造>
物性測定は次の方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)
装置:日本電子社製 EX270、又は、Bruker社製 DPX−300
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl
試料濃度:10mg/0.5mL(CDCl
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、MENUF NON、OBNUC 1H、積算回数16回
パルス角度:45度
繰り返し時間:ACQTM 3秒、PD 4秒
内部標準:CDCl(7.26ppm)
(2)質量スペクトル
[電子イオン化質量分析(EI−MS)]
装置:日本電子社製 JMS−AX505W
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:230℃
データ処理装置:MS−MP8020D
MASS RANGE:m/z 35−1000
[参考例1]
「ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、錯体1と記す。)の合成」
1−(シクロペンタジエニル)−1−(2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)シクロヘキサンを用いて、特願2005−198510号に記載の方法と同様に合成を行い、錯体1を得た。
窒素雰囲気下、1−(シクロペンタジエニル)−1−(2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)シクロヘキサン(1.90g、5.86mmol)をトルエン(60mL)に溶解させ、これを0℃に冷却した。この溶液にn−ブチルリチウムの1.58Mヘキサン溶液(4.45mL、7.03mmol)を滴下し、50℃で1時間攪拌した。クロロトリメチルシラン(0.76g、7.03mmol)を滴下して、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却した後、四塩化チタン(1.33g、7.03mmol)をトルエン10mLに溶解させた溶液を滴下して、室温まで昇温した。その後90℃で2時間加熱した後、室温に冷却して、反応混合物をセライト濾過し、得られた濾液を濃縮した。ヘキサンから再結晶することにより錯体1をオレンジ色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm)):1.42(s,9H)、1.47−1.67(m、6H)、2.00−2.12(m、4H)、2.38(s、3H)、6.19−6.21(m、2H)、6.96−7.02(m、3H)、7.34(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):426(M)、411、375
[参考例2]
「ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、錯体2と記す。)の合成」
1−(シクロペンタジエニル)−1−(2−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサンを用いて、参考例1に記載の方法と同様に合成を行い、錯体2を得た。
H−NMR(CDCl、δppm)):1.59−1.71(m、6H)、1.93−2.05(m、2H)、2.06−2.19(m、2H)、2.23(s、3H)、2.35(s、3H)、6.15−6.17(m、2H)、6.85(s、1H)、6.94−6.96(m、2H)、7.27(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):384(M)、349、305
[参考例3]
「ジクロロ[シクロヘキシ−1−イリデン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、錯体3と記す。)の合成」
1−(シクロペンタジエニル)−1−(2−メトキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)シクロヘキサンを用いて、参考例1に記載の方法と同様に合成を行い、錯体3を得た。
H−NMR(CDCl、δppm)):1.50−1.75(m、6H)、1.95−2.09(m、2H)、2.10−2.20(m、2H)、2.43(s、3H)、6.22−6.24(m、2H)、6.96−6.98(m、2H)、7.06(s、1H)、7.22−7.50(m、7H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):446(M)、367
[参考例4]
「ジクロロ[シラシクロペント−1−イリデン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、錯体4と記す。)の合成」
1−(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)−1−(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)シラシクロペンタンを用いて、特開平9−87313号公報に記載の方法と同様に合成を行い、錯体4を得た。
窒素雰囲気下、1−(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)−1−(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)シラシクロペンタン(3.04g、7.40mmol)、トリエチルアミン(3.37g、33.31mmol)のトルエン溶液(47mL)に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.60Mヘキサン溶液(10.41mL、16.65mmol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させた後、室温で1.5時間攪拌した。得られた混合物を−78℃に冷却した後、四塩化チタン(2.11g、11.10mmol)をトルエン(11mL)に溶解させた溶液を滴下し、室温まで徐々に昇温させた。90℃まで昇温させた後、90℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮した後、ヘプタンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、溶媒を減圧下で濃縮した。ペンタンから再結晶することにより、錯体4をオレンジ色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm)):1.05−1.16(m、2H)、1.22−1.36(m、2H)、1.75−1.98(m、4H)、1.41(s、9H)、2.14(s、6H)、2.35(s、3H)、2.36(s、6H)、7.08(s、1H)、7.16(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):484(M)、469、433
[参考例5]
「ジクロロ[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、比較錯体1と記す。)の合成」
特開平9−87313号公報に記載の方法と同様に合成を行い、比較錯体1を得た。
[参考例6]
「ジクロロ[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、比較錯体2と記す。)の合成」
2−(1−シクロペンタジエニル−1−メチルエチル)−1−メトキシ−4,6−ジメチルベンゼンを用いて、参考例1に記載の方法と同様に合成を行い、比較錯体2を得た。
H−NMR(CDCl、δppm)):1.60(s、6H)、2.24(s、3H)、2.35(s、3H)、6.08−6.10(m、2H)、6.87(s、1H)、6.94−6.96(m、2H)、7.13(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):344(M)、329、293
[参考例7]
「ジクロロ[ジメチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)]チタニウム(以下、比較錯体3と記す。)の合成」
特開平9−87313号公報に記載の方法と同様に合成を行い、比較錯体3を得た。
<エチレン−α−オレフィン共重合体の製造>
物性測定は次の方法で行った。
(1)共重合体中の1−ヘキセン単位含有量(SCB、単位:1/1000C)
赤外分光光度計(Bruker社製 EQUINOX55)を用いて、赤外分光法により求めた。なお、ブチル分岐の特性吸収は、1378cm−1〜1303cm−1のピークを用い、1−ヘキセン単位含有量は、エチレン−1−ヘキセン共重合体1000炭素当たりのブチル分岐数として表した。
(2)分子量及び分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記の条件で測定した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
装置:送液装置(LCポンプ)Gilson社製 Model305(ポンプヘッド25.SC)
カラム:PolymerLaboratories社製 PLgel Mixed−B 10μm(7.5mmφ×300mm)
測定温度:160℃
移動相:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:共重合体1mg/1,2,4−トリクロロベンゼン1mL
流量:2mL/分
標準物質:(標準PS分子量)5,000、10,050、28,500、65,500、185,400、483,000、1,013,000、3,390,000
[実施例1〜8]
錯体(錯体1〜4)をオレフィン重合用触媒成分として、Symyx社製PPR(48連オートクレーブ)を用いて下記重合条件によりエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。重合結果を表1〜4に示す。
[比較例1〜6]
比較錯体(比較錯体1〜3)をオレフィン重合用触媒成分として、Symyx社製PPR(48連オートクレーブ)を用いて下記重合条件によりエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。重合結果を表に示す。

<重合条件>
(A−1)
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0ml、1−ヘキセン60μlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、TIBAのヘキサン溶液(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/l)40μl、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmol、及び錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。
(A−2)
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0ml、1−ヘキセン50μlを仕込み、70℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、TIBAのヘキサン溶液(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/l)40μl、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmol、及び錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。
(B−1)
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0ml、1−ヘキセン50μlを仕込み、70℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、TIBAのヘキサン溶液(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/l)40μl、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmol、及び錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。
Figure 2007238891
Figure 2007238891
Figure 2007238891
Figure 2007238891

Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 2007238891
    (式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、
    Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、
    、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
    、R、R、R、R、R10、X及びXは同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
    ここで、R〜R10、X及びXにおいて、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、
    、R、R及びRの隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、R、R、R及びRの隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、R及びR10は結合して環を形成していてもよく、nは3〜7の整数を表す。)
    で示される遷移金属錯体を含有することを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
  2. nが4又は5である請求項1に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  3. 請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒成分と、下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
    化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
    (A1)一般式E AlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
    (A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
    (A3)一般式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサン
    (式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
    (B1)一般式 BQで表されるホウ素化合物
    (B2)一般式 G(BQで表されるホウ素化合物
    (B3)一般式 (L−H)(BQで表されるホウ素化合物
    (式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
  4. 請求項3に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  5. 請求項3に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合させることを特徴とするエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。



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WO2013061974A1 (ja) 2011-10-24 2013-05-02 三菱化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

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