以下、本発明について詳細に説明する。
式(1)で示されるシクロペンタジエン化合物[以下、シクロペンタジエン化合物(1)と称す。]において、Aで示される炭素原子を除く元素の周期律表の第14族元素としては、例えば、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子などが例示され、好ましくはケイ素原子が挙げられる。
式(1)において、Cp
1で表されるシクロペンタジエン骨格を有する基としては、例えば、式(2)
(式中、R
7、R
8、R
9及びR
10は同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基、及び、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、R
7、R
8、R
9及びR
10において、隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい。)
で示される基が挙げられ、これらの基のシクロペンタジエン骨格の二重結合の位置の相違に由来する複数の異性体が存在することもあるが、本発明ではこれらの全ての異性体を包含するものである。
かかる式(2)で示される基としては、例えばシクロぺンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、トリメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン、エチルシクロぺンタジエン、n−プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、n−ブチルシクロペンタジエン、sec−ブチルシクロペンタジエン、tert−ブチルシクロぺンタジエン、n−ペンチルシクロぺンタジエン、ネオペンチルシクロぺンタジエン、n−ヘキシルシクロぺンタジエン、n−オクチルシクロぺンタジエン、テトラヒドロインデン、オクタヒドロフルオレン、フェニルシクロぺンタジエン、ナフチルシクロぺンタジエン、トリメチルシリルシクロぺンタジエン、トリエチルシリルシクロぺンタジエン、トリフェニルシリルシクロぺンタジエン、tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエンなどの置換もしくは無置換のシクロペンタジエン、
インデン、メチルインデン、ジメチルインデン、エチルインデン、n−プロピルインデン、イソプロピルインデン、n−ブチルインデン、sec−ブチルインデン、tert−ブチルインデン、n−ペンチルインデン、ネオペンチルインデン、n−ヘキシルインデン、n−オクチルインデン、n−デシルインデン、フェニルインデン、メチルフェニルインデン、ナフチルインデン、などの置換もしくは無置換のインデン、
フルオレン、2−メチルフルオレン、2,7−ジメチルフルオレン、2−エチルフルオレン、2,7−ジエチルフルオレン、2−n−プロピルフルオレン、2,7−ジ−n−プロピルフルオレン、2−イソプロピルフルオレン、2,7−ジイソプロピルフルオレン、2−n−ブチルフルオレン、2−sec−ブチルフルオレン、2−tert−ブチルフルオレン、2,7−ジ−n−ブチルフルオレン、2,7−ジ−sec−ブチルフルオレン、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン、2−n−ペンチルフルオレン、2−ネオペンチルフルオレン、2−n−ヘキシルフルオレン、2−n−オクチルフルオレン、2−n−デシルフルオレン、2−n−ドデシルフルオレン、2−フェニルフルオレン、2,7−ジ−フェニルフルオレン、2−メチルフェニルフルオレン、2−ナフチルフルオレンなどの置換もしくは無置換のフルオレンが挙げられ、好ましくはシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、tert−ブチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン、インデン、フルオレン、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレンなどが挙げられる。
本発明において、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR17で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子が例示される。
R1〜R10で表される炭素原子数1〜20の置換アルキル基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、n−エイコシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基が例示される。
R1〜R10で表される炭素原子数7〜20の置換アラルキル基における置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられる。置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが例示される。好ましくはベンジル基が挙げられる。これらのアラルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
R1〜R10で表される炭素原子数6〜20の置換アリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられる。置換もしくは無置換の炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが例示され、好ましはフェニル基が挙げられる。これらのアリール基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
R1〜R10で表される置換シリル基とは、置換もしくは無置換の炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示される。かかる炭素原子数1〜20の置換シリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素数1〜20の一置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素数1〜20の炭化水素基で置換された二置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素数1〜20の炭化水素基で置換された三置換シリル基などが例示され、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基が例示される。これらの置換シリル基を構成する炭化水素基としては、上記のような無置換の炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された置換炭化水素基が例示される。
R1〜R10で表される置換もしくは無置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。置換もしくは無置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基が例示される。これらのアルコキシ基は、いずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
R1〜R10で表される置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基における置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられる。置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。これらのアラルキルオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
R1〜R10で表される炭素原子数6〜20の置換アリールオキシ基における置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられる。置換もしくは無置換の炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素数6〜20の無置換のアリールオキシ基などが例示される。これらの置換アリールオキシ基の具体例としては、例えば、上記炭素数6〜20の無置換のアリールオキシ基などがフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
R1〜R10で表される炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基などが例示され、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基が例示される。
R7〜R10における炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基とは、3つの炭化水素基で置換されたシリルオキシ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの前記と同様の炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素数1〜20の置換シリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−ブチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基などが例示され、好ましくはトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基等が例示される。
R7〜R10で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたホスフィノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、n−エイコシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基の具体例としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ−n−プロピルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジ−n−ブチルホスフィノ基、ジ−sec−ブチルホスフィノ基、ジ−tert−ブチルホスフィノ基、ジ−イソブチルホスフィノ基、tert−ブチルイソプロピルホスフィノ基、ジ−n−ヘキシルホスフィノ基、ジ−n−オクチルホスフィノ基、ジ−n−デシルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、ビストリメチルシリルホスフィノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルホスフィノ基などが例示され、好ましくはジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基等が例示される。
R7〜R10における炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環又はチオフェンを形成していてもよい。かかる炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−デシルチオ基、フェニルチオ基などが例示される。
R1〜R4のうち隣接する2つの置換基並びにR7〜R10のうち隣接する2つの置換基は任意に結合して環を形成していてもよく、R5とR6は結合して環を形成していてもよい。
R7〜R10のうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環としては、例えば、飽和の、又は不飽和の炭化水素環、チオフェン環、チアゾ−ル環、チアゾリン環、チアジアゾ−ル環、ピリジン環などのヘテロ環が例示される。
R1〜R4のうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環及びR5とR6が結合して形成される環としては、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが例示される。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが例示される。
本発明のシクロペンタジエン化合物(1)としては、例えば、(フェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(5,6−ジメチルフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メトキシフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−ジメチルアミノフェノール)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−クロロフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−フェニルフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルジメチルシリル−4−メチルフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(4−メチル−6−トリメチルシリルフェノール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(1−ナフトール−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン、
(フェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(5,6−ジメチルフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メトキシフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−ジメチルアミノフェノール)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−クロロフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−フェニルフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルジメチルシリル−4−メチルフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(4−メチル−6−トリメチルシリルフェノール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、(1−ナフトール−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン、
(フェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(5,6−ジメチルフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メトキシフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−ジメチルアミノフェノール)(インデニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−クロロフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(6−フェニルフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルジメチルシリル−4−メチルフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(4−メチル−6−トリメチルシリルフェノール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、(1−ナフトール−2−イル)(インデニル)ジメチルシラン、
(フェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(5,6−ジメチルフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−メトキシフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−ジメチルアミノフェノール)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチル−4−クロロフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−フェニルフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(6−tert−ブチルジメチルシリル−4−メチルフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(4−メチル−6−トリメチルシリルフェノール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシラン、(1−ナフトール−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジメチルシランなどが挙げられ、ジメチルシランをジエチルシラン、ジフェニルシラン等に変更したものも同様に例示される。
本発明で用いられる重合触媒成分は通常、シクロペンタジエン化合物(1)と遷移金属化合物とを混合することにより調製される。
遷移金属化合物としては、例えば、トリメシチルバナジウム テトラヒドロフラン錯体、三塩化バナジウム、三塩化バナジウム テトラヒドロフラン錯体、バナジウム(III) アセチルアセトナート、オキソバナジウム(V) アセチルアセトナート、トリス(トリメチルシリルメチル)バナジウム、トリス(トリメチルシリルメチル)バナジウム テトラヒドロフラン錯体、トリス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)バナジウム
ジメチルニオブジクロライド、五塩化タンタル、トリメチルタンタル ジクロライド、トリス(ジメチルアミノ)タンタル ジクロライド、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、ビス(ネオペンチル)タンタル トリクロライド、ペンタフェニルタンタル
三塩化クロム、三塩化クロム−3テトラヒドロフラン錯体、トリス(ビス[トリメチルシリル]メチル)クロム、ジメシチルクロム テトラヒドロフラン錯体、ジメシチルクロム 3テトラヒドロフラン錯体、トリメシチルクロム テトラヒドロフラン錯体、クロム(II) アセチルアセトナート、ビス(トリフルオロアセトキシ)クロム、トリス(トリフルオロアセトキシ)クロム、p−トリルジクロロクロム テトラヒドロフラン錯体
ジメシチルマンガン、マンガン(II) アセチルアセトナート、ビス(トリフルオロアセトキシ)マンガン、ビス(トリス[トリメチルシリル]メチル)マンガン
二塩化鉄、三塩化鉄、ジメシチル鉄、鉄(II) アセチルアセトナート、鉄(III) アセチルアセトナート、ビス(トリフルオロアセトキシ)鉄、トリス(トリフルオロアセトキシ)鉄
二塩化ルテニウム、三塩化ルテニウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム ジヒドリド、ルテニウム(III) アセチルアセトナート
二塩化コバルト、ジメシチルコバルト、トリメシチルコバルト、コバルト(II) アセチルアセトナート、コバルト(III) アセチルアセトナート、ビス(トリフルオロアセトキシ)コバルト、トリス(トリフルオロアセトキシ)コバルト
ビス(トリス[トリメチルシリル]メチル)コバルト、トリス(トリフェニルホスフィン)コバルト メチル
二塩化ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、アリルニッケルクロライド、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン) ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、trans−クロロ(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ビス(トリメチルシリルメチル)ニッケル ジピリジン、ジメチルニッケル テトラメチルエチレンジアミン、二塩化ニッケル(ジメトキシエタン)、二臭化ニッケル(ジメトキシエタン)、ビス(トリフルオロアセトキシ)ニッケル
二塩化パラジウム、酢酸パラジウム、二塩化(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム(II) アセチルアセトナート、(シクロオクタジエン)メチルパラジウム クロライド、(シクロオクテン)メチルパラジウム クロライド、(シクロオクタジエン)メチルパラジウム トリフラート、アリルパラジウム クロライド、ジメチルパラジウム テトラメチルエチレンジアミン、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム
銅(II) アセチルアセトナート、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)などが挙げられ、好ましくは、三塩化クロム、三塩化クロム−3テトラヒドロフラン錯体、p−トリルジクロロクロム テトラヒドロフラン錯体等が挙げられる。
シクロペンタジエン化合物(1)と遷移金属化合物のモル比は特に限定されないが、1:0.1から1:10の範囲が好ましく、さらに好ましくは1:0.3から1:3の範囲である。
重合触媒成分の調製は、通常、溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが挙げられる。かかる溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、溶媒の使用量は特に限定されない。
反応後、得られた反応混合物を、濃縮して固形物を析出させ、場合によっては再結晶精製するなどの手法により、重合触媒成分を取り出すことができるが、取り出すことなく重合に用いることもできる。
かくして調製される重合触媒成分は、活性化共触媒と反応させることにより、重合に用いることができ、活性化共触媒としては、亜鉛化合物、アルミ化合物、ホウ素化合物など当業者が通常用いる化合物が挙げられる。
好ましい活性化共触媒としては、アルミニウム化合物、遷移金属と対になってイオン対を形成する非アルミニウム化合物を挙げることができ、単独あるいは組み合わせた化合物と重合触媒成分とを反応させることにより、重合に用いることができる。
重合触媒成分、アルミニウム化合物、遷移金属と対になってイオン対を形成する非アルミニウム化合物を、重合時に任意の順序で仕込み、使用することができるが、任意の化合物の組合せを予め接触させて得られた反応物を用いることもできる。
本発明において用いられるアルミニウム化合物としては、公知の有機アルミニウム化合物、例えば、次式(A1)、(A2)、(A3)で示される化合物、及びアルミネート化合物が挙げられ、単独、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
(A1): 式 E1 aAl(Z)3−a で示される有機アルミニウム化合物、
(A2): 式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン、
(A3): 式 E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1〜E3は同一又は相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基であり、Zは同一又は相異なり、水素原子又はハロゲン原子を表し、aは1、2又は3で、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
式 E1 aAl(Z)3−aで示される有機アルミニウム化合物(A1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが挙げられる。
式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン(A2)又は、式 E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される構造を有する線状のアルミノキサン(A3)における、E2、E3の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2又はE3はメチル基、イソブチル基であり、bは2〜40、cは1〜40である。これらの具体例としてはメチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、ブチルアルミノキサン(BAO)などが挙げられる。
上記のアルミノキサンは市販品又は各種の方法による調製で入手することができる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて造ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて造る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて造る方法が例示できる。
本発明で用いることのできるアルミネート化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリフェニルカルベニウム トリス(2,2’,2’’−ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネート、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェノキシ)アルミネート等が挙げられる。
遷移金属と対になってイオン対を形成する非アルミニウム化合物としては、嵩高く、及び/又は電子吸引性の置換基を有し、遷移金属と対になってアニオン性を帯びる原子を有する化合物が挙げられ、かかる原子としてはホウ素原子を挙げることができ、例えば次式(B1)、(B2)、(B3)で示される化合物(総称して、化合物Bと称する。)を挙げることができ、単独、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
(B1):式BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物、
(B2):式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物、
(B3):式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
式BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物(B1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q3はハロゲン原子、炭素数1〜20個の炭化水素基、炭素数1〜20個のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20個の炭化水素で置換されたシリル基、炭素数1〜20個のアルコキシ基又は炭素数1〜20個の炭化水素で2置換されたアミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいQ1〜Q3はハロゲン原子、炭素数1〜20個の炭化水素基、炭素数1〜20個のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
(B1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物(B2)において、Z+は無機又は有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(B1)におけるQ1〜Q3と同様のものが挙げられる。
式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表される化合物の具体例としては、無機のカチオンであるZ+には、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるZ+には、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BQ1Q2Q3Q4)−には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
また、式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物(B3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(B1)におけるQ1〜Q3と同様のものが挙げられる。
式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表される化合物の具体例としては、ブレンステッド酸である(L−H)+には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1Q2Q3Q4)−には、前記と同様のものが挙げられる。
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
本発明において用いられるホウ素化合物には、架橋基を介して分子内に2原子以上のホウ素原子を含むホウ素化合物も同様に含まれる。架橋基としては置換されていてもよいフェニレン基やイミダゾールなどの複素環を挙げることができ、具体例としては、ビス(トリフェニルカルベニウム) [2,3,5,6−テトラフルオロフェニレン−1,4−ビス[トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート]]、リチウム イミダゾール−ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)付加体、トリエチルアンモニウム イミダゾール−ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)付加体などが挙げられる。
各触媒成分の使用量は、化合物(A)[前記(A1)−(A3)を総称して(A)とする]/前記重合触媒成分中の遷移金属とのモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、化合物(B)/重合触媒成分中の遷移金属のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
各触媒成分を溶液状態で使う場合の濃度については、重合触媒成分中の遷移金属が、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットル、化合物(A)が、Al原子換算で、0.01〜500ミリモル/リットルで、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットル、化合物(B)は、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルの範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
本発明において、重合に使用するモノマーは、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。かかるモノマーを以下に例示するが、本発明は下記化合物に限定されるものではない。かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、2−ノルボルネン、シクロヘキセン等が例示される。ジオレフィン化合物としては、炭化水素化合物の共役ジエン、非共役ジエンが挙げられ、かかる化合物の具体例としては、非共役ジエン化合物の具体例として、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン等が例示され、共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等を例示することができる。
共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、プロピレンと1−ブテン等、及びそれらにさらに5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用する組み合わせ等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるものではない。
本発明では、モノマーとして芳香族ビニル化合物も用いることができる。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
重合方法も、特に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、又はスラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
重合温度は、−50℃〜200℃の範囲をとり得るが、特に、−20℃〜100℃程度の範囲が好ましく、重合圧力は、常圧〜6MPa(60kg/cm2 G)が好ましい。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜選定されるが、1分間〜20時間の範囲をとることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。