JP4311405B2 - タンタル錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法。 - Google Patents
タンタル錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法。 Download PDFInfo
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Description
すなわち本発明は、[1]式(1)
(式中、Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、
R1、R2、R3及びR4は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
ここで、R1〜R10において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、
R1、R2、R3及びR4の隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、R5とR6は結合して環を形成していてもよく、R7、R8、R9及びR10の隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、
X1は任意のハロゲン原子を表し、Yは、アニオン性配位子を表し、Zは中性配位子を表し、kは0〜3までの整数を表し、mは0〜3までの整数を表し、nは0以上の整数を表す。ただし、k+m<4である。)
で示されるタンタル錯体;
[2]式(2)
(式中、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、前記と同じ意味を表し、R11は炭化水素基又は三置換シリル基を表す)
で示される置換シクロペンタジエン化合物と塩基を反応させた後、式(3)
(式中、X1、Y、Z、k、m及びnは前記と同じ意味を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
で示されるタンタル化合物を反応させることによる式(1)で示されるタンタル錯体の製造方法;
[3]式(1)で示されるタンタル錯体からなるオレフィン重合用触媒成分;
[4]該オレフィン重合用触媒成分と、下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒;
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式E1 aAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2)一般式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3)一般式E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E1、E2及びE3は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE1、複数のE2及び複数のE3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物
(B2)一般式 G+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
(B3)一般式 (L1−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、G+は無機又は有機のカチオンを表し、L1は中性ルイス塩基を表す。);
及び、[5]該オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法
を提供するものである。
(式中R1、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。)
で示されるシクロペンタジエニル型アニオン骨格を有する基としては、例えばシクロぺンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロぺンタジエニル基、n−プロピルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、sec−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、n−オクチルシクロぺンタジエニル基、テトラヒドロインデニル基、オクタヒドロフルオレニル基、フェニルシクロぺンタジエニル基、ナフチルシクロぺンタジエニル基、トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、トリフェニルシリルシクロぺンタジエニル基、tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基などの置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基、
インデニル基、メチルインデニル基、ジメチルインデニル基、エチルインデニル基、n−プロピルインデニル基、イソプロピルインデニル基、n−ブチルインデニル基、sec−ブチルインデニル基、tert−ブチルインデニル基、n−ペンチルインデニル基、ネオペンチルインデニル基、n−ヘキシルインデニル基、n−オクチルインデニル基、n−デシルインデニル基、フェニルインデニル基、メチルフェニルインデニル基、ナフチルインデニル基、などの置換もしくは無置換のインデニル基、
フルオレニル基、2−メチルフルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基、2−エチルフルオレニル基、2,7−ジエチルフルオレニル基、2−n−プロピルフルオレニル基、2,7−ジ−n−プロピルフルオレニル基、2−イソプロピルフルオレニル基、2,7−ジイソプロピルフルオレニル基、2−n−ブチルフルオレニル基、2−sec−ブチルフルオレニル基、2−tert−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−n−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−sec−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、2−n−ペンチルフルオレニル基、2−ネオペンチルフルオレニル基、2−n−ヘキシルフルオレニル基、2−n−オクチルフルオレニル基、2−n−デシルフルオレニル基、2−n−ドデシルフルオレニル基、2−フェニルフルオレニル基、2,7−ジ−フェニルフルオレニル基、2−メチルフェニルフルオレニル基、2−ナフチルフルオレニル基などの置換もしくは無置換のフルオレニル基が挙げられ、
好ましくはシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基などが挙げられる。
置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10において、ハロゲン置換の炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、これらのアルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10において、ハロゲン置換の炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、これらのアリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10においてハロゲン置換の炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としてはこれらのアラルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
これらの置換シリル基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
ハロゲン置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、これらのアルコキシ基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
ハロゲン置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、これらのアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
これらの置換シリルオキシ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
これらの置換アミノ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
これらの置換ホスフィノ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
これらの置換チオ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
Zで示される中性配位としては、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1,3−ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、スチルベン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ベンゾフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、1−(メチルチオ)プロパン、ジフェニルスルフィド、1,2−ビス(メチルチオ)エタン、3,6−ジチアオクタン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、チアシクロヘキサン、チアシクロオクタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリフェニルアミン、トリ(p−トリルアミン)、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン,N−メチルピロール,N−メチルイミダゾール、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、アセトニトリル、エチルシアニド、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド、トリ−tert−ブチルホスフィンオキサイド、トリ−n−ヘキシルホスフィンオキサイド、トリシクロヘキシルホスフィンオキサイド、ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド又はトリベンジルホスフィンオキサイドなどが挙げられ、好ましくはオレフィン類、芳香族化合物類、スルフィド類、エーテル類又はアミン類が挙げられ、さらに好ましくはエーテル類又はアミン類が挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、タンタル錯体(1)をオレフィン重合用触媒成分とするオレフィン重合用触媒であり、タンタル錯体(1)と他の共触媒成分とを接触させて得られる。該オレフィン重合用触媒としては、タンタル錯体(1)と下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒が挙げられる。。
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式E1 aAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2)一般式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3)一般式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E1、E2及びE3は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE1、複数のE2及び複数のE3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物
(B2)一般式 G+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
(B3)一般式 (L1−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は二置換アミノ基を表し、G+は無機又は有機のカチオンを表し、L1は中性ルイス塩基を表す。)
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、タンタル錯体(1)をオレフィン重合用触媒成分とするオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するものである。
物性測定は次の方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)
装置:日本電子社製 EX270、又は、Bruker社製 DPX−300
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl3又はC6D6
試料濃度:10mg/0.5mL(CDCl3又はC6D6)
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、MENUF NON、OBNUC 1H、積算回数16回
パルス角度:45度
繰り返し時間:ACQTM 3秒、PD 4秒
内部標準:CDCl3(7.26ppm)、C6D6(7.15ppm)
[電子イオン化質量分析(EI−HRMS)]
装置:日本電子社製 JMS−T100GC
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:280℃
データ処理装置:MS−56010MP
MASS RANGE:m/z 35−800
[電子イオン化質量分析(EI−MS)]
装置:日本電子社製 JMS−AX505W
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:230℃
データ処理装置:MS−MP8020D
MASS RANGE:m/z 35−1000
「(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシランの合成」
窒素下で、2−アリロキシ−1−ブロモ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン(60.00g、211.86mmol)をトルエン693mLに溶解させた。−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムの1.58Mヘキサン溶液(174.32mL、275.42mmol)を滴下し、−10℃まで徐々に昇温させた。−10℃で1.5時間攪拌した後、−78℃に冷却した。ジエチルジクロロシラン(99.86g、635.59mmol)を一気に加えて、室温まで徐々に昇温させた。50℃で1時間攪拌した後、溶媒を減圧濃縮した。ヘキサンを加えて、セライト濾過し、溶媒を減圧濃縮した。さらに70℃で減圧濃縮を3時間続けて、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシランを得た。得られた(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシランはさらに精製することなしに、次の反応に利用した。
1H−NMR(C6D6、δ(ppm)):0.99−1.20(m、10H)、1.39(s、9H)、2.14(s、3H)、4.23−4.30(m、2H)、5.03−5.10(m、1H)、5.40−5.50(m、1H)、5.70−5.83(m、1H)、7.24(s、1H)、7.56(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):324(M+)、309、273、248、233、121、93、81、57、41
窒素下で水素化ナトリウム(60wt%、5.01g、125.19mmol)に、THF102mLを加えた。この水素化ナトリウムのTHFスラリーを50℃に昇温した。アニリン(0.53g、5.69mmol)を加え、50℃でさらに1時間攪拌した。1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエン(12.75g、104.33mmol)をTHF26mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、水素ガスの発生が収まるまで50℃でさらに2時間攪拌した。20℃まで冷却した後、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシラン(30.82g、94.84mmol)をトルエン26mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で3時間攪拌を続けた。10%の炭酸水素ナトリウム水溶液64mLと10%の炭酸ナトリウム水溶液64mLを0℃に冷却した混合溶液へ得られた反応溶液を滴下して反応を停止させ、トルエン64mLを加えて分液した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧濃縮することにより、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシランを定量的に得た。得られた(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシランはさらに精製することなしに、次の反応に利用した。
1H−NMR(CDCl3、δ(ppm)):0.69−1.10(m、10H)、1.38(s、9H)、1.72(s、6H)、1.76(s、6H)、2.29(s、3H)、3.51(s、1H)、4.35−4.45(m、2H)、5.25−5.32(m、1H)、5.50−5.60(m、1H)、5.96−6.15(m、1H)、6.99(s、1H)、7.18(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):410(M+)、381、340、325、288、259、233、219、205、191、177、162、147、105、91、75、57、41
窒素下、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン(5.00g、12.17mmol)、トリエチルアミン(5.54g、54.78mmol)のトルエン溶液(80mL)に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.57Mヘキサン溶液(16.28mL、25.57mmol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させた後、室温で3.5時間攪拌した。得られた混合物を、別の容器で五塩化タンタル(5.23g、14.61mmol)をトルエン(7mL)に懸濁させ−78℃に冷却した混合物へ送液し、室温まで徐々に昇温させた。60℃まで昇温させた後、60℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮した後、ヘプタンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、溶媒を減圧下で濃縮した。ペンタンを加えて沈殿した固体を濾過して少量のペンタンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル(0.14g、収率1.8%)をオレンジ色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3、δppm)):1.00−1.32(m、10H)、1.40(s、9H)、2.38(s、3H)、2.53(s、6H)、2.57(s、6H)、7.08(s、1H)、7.29(s、1H)
精密質量測定(EI−HRMS):標準物質としてパーフルオロケロセンを用い高分解能質量分析を行い、タンタル錯体のm/zを精密に求めた。求められたm/zは654.1005となり、組成式C24H36Cl3OSiTaの理論値654.1081とよい一致を示した。
赤外分光光度計(Bruker社製 EQUINOX55)を用いて、赤外分光法により求めた。なお、ブチル分岐の特性吸収は、1378cm−1〜1303cm−1のピークを用い、1−ヘキセン単位含有量は、エチレン−1−ヘキセン共重合体1000炭素当たりのブチル分岐数として表した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記の条件で測定した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
装置:送液装置(LCポンプ)Gilson社製 Model305(ポンプヘッド25.SC)
カラム:PolymerLaboratories社製 PLgel Mixed−B 10μm(7.5mmφ×300mm)
測定温度:160℃
移動相:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:共重合体1mg/1,2,4−トリクロロベンゼン1mL
流量:2mL/分
標準物質:(標準PS分子量)5,000、10,050、28,500、65,500、185,400、483,000、1,013,000、3,390,000
実験例1で得られたタンタル錯体をオレフィン重合用触媒成分として、Symyx社製PPR(48連オートクレーブ)を用いて下記重合条件によりエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0mL、1−ヘキセン60μLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウム(以下TIBAと記す)のヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmol、及びタンタル錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=150,000、分子量分布(Mw/Mn)=1.4、共重合体中の1−ヘキセン単位含有量(SCB)=6のポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、1.0×106g製造した。
実験例1で得られたタンタル錯体をオレフィン重合用触媒成分として、Symyx社製PPR(48連オートクレーブ)を用いて下記重合条件によりエチレンの単独重合を行った。
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、アルミノキサン(東ソー・ファインケム社製 MMAO、5.8重量%Al)100μmol(Al原子換算値)、タンタル錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、2.0×105g製造した。
メチルアルミノキサンの代わりに、TIBAのヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、ペンタフルオロフェニルボラン0.30μmolを用いた以外は実験例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、1.0×105g製造した。
メチルアルミノキサンの代わりに、TIBAのヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmolを用いた以外は実験例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、1.9×106g製造した。
メチルアルミノキサンの代わりに、TIBAのヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmolを用いた以外は実験例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、2.5×106g製造した。
Claims (7)
- 式(1)
(式中、Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、
R1、R2、R3及びR4は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
ここで、R1〜R10において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、
R1、R2、R3及びR4の隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、R5とR6は結合して環を形成していてもよく、R7、R8、R9及びR10の隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、
X1は任意のハロゲン原子を表し、Yは、アニオン性配位子を表し、Zは中性配位子を表し、kは0〜3までの整数を表し、mは0〜3までの整数を表し、nは0以上の整数を表す。ただし、k+m<4である。)
で示されるタンタル錯体。 - Aがケイ素原子である請求項1に記載のタンタル錯体。
- 請求項1に記載の式(1)で示されるタンタル錯体からなるオレフィン重合用触媒成分。
- 請求項4に記載のオレフィン重合用触媒成分と、下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式E1 aAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物;
(A2)一般式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン;
(A3)一般式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E1、E2及びE3は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE1、複数のE2及び複数のE3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物;
(B2)一般式 G+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物;
(B3)一般式 (L1−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、G+は無機又は有機のカチオンを表し、L1は中性ルイス塩基を表す。) - 請求項5に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法。
- 請求項5に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合させるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
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