JP4206831B2 - プロピレン−エチレンブロック共重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は柔軟性、透明性および耐熱性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン単独重合体は耐熱性、剛性等に優れるため、射出成形体、シート、フィルム、容器等の分野で幅広く利用されている。近年、軟質ポリ塩化ビニルが従来使用されてきた分野、例えば輸液バッグ、チューブ等の医療容器分野、化粧シート等の建材分野や、食品包装分野において環境問題が重視され、ポリオレフィンへの代替の検討が積極的に行われ、このため、柔軟性、耐熱性、透明性を併せ持つ材料が要望されている。しかしながら、プロピレン単独重合体は、耐熱性に優れるものの、柔軟性、透明性に劣り、ポリエチレンおよびエチレンとα−オレフィンとの共重合体は、柔軟性、透明性に優れるものの、耐熱性が劣ることから、その使用は制限されていた。また、プロピレンに少量のエチレンおよび/または炭素数4〜6のα−オレフィンを共重合させたランダム共重合体が従来より知られているが、透明性に優れたものも一部にはあるが、柔軟性は不十分であり、加えて、より柔軟な共重合体を得ようとしてエチレンおよび/または炭素数4〜6のα−オレフィン含量を増加させると、根本的に耐熱性が低下するという問題があった。
【0003】
このような問題点を解決するために、特許文献1等では、高立体規則性チーグラー・ナッタ触媒により重合される結晶性のプロピレン単独重合体、または少量のエチレンを含むランダム共重合体のマトリックスに、エチレン含量40重量%未満のエチレン−プロピレンランダム共重合体を40重量%以上分散させたプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物が開示されている。しかしながら、本発明者等の検討では、これらの共重合体は、柔軟性、透明性にある程度の改善は見られるものの、軟質ポリ塩化ビニルに比較し、いまだ柔軟性、透明性において満足できるレベルではなく、また、低分子量の低結晶性成分による表面のベタツキという問題点を有している。表面のベタツキを改善する方法として、特許文献2では、メタロセン触媒により重合された透明性、ベタツキを改良した組成物が開示されているが、未だ、透明性、柔軟性ともに不満足なものであった。
【0004】
こうした検討とは別に、立体規則性を低下させて、柔軟なポリプロピレンを得る方法が検討されており、特許文献3には、特定のチーグラー・ナッタ触媒により得られる立体規則性の低いポリプロピレンが開示されている。本発明者等の検討では、この方法によるポリプロピレンの透明性、柔軟性は優れているが、ベタツキが大きく、実用上問題があった。特許文献4には、メタロセン触媒により重合されたベタツキを改善した立体規則性の低いポリプロピレンが開示されている。しかしながら、その実施例に見られるように、得られたポリプロピレンは優れた柔軟性、透明性を有するものの、耐熱性は劣っていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−316810号公報
【特許文献2】
特開2000−239462号公報
【特許文献3】
特開平4−258611号公報
【特許文献4】
特開2001−172325号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決するため、柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備え、ベタツキの少ないプロピレン−エチレンブロック共重合体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決に鋭意取り組んだ結果、プロピレン−エチレンブロック共重合体のn−デカン可溶分量と、n−デカン可溶分中のエチレン含有量をある範囲に制御することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、エチレン含有量が1モル%以上10モル%未満であり、n−デカン可溶分量が30重量%超過90重量%以下でn−デカン可溶分中のエチレン含有量が1モル%以上20モル%未満であり、MFRが0.01g/10min以上100g/10min以下であることを特徴とするプロピレン−エチレンブロック共重合体に存する。
【0008】
以下、本発明について、詳細に説明する。
[1]プロピレン−エチレンブロック共重合体
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレンおよびエチレンからなり、n−デカン可溶分量は30重量%超過90重量%以下、好ましくは30重量%超過70重量%以下、特に好ましくは30重量%超過50重量%以下である。n−デカン可溶分量が30重量%以下では、共重合体の柔軟性が劣り、90重量%超過では、共重合体の耐熱性が劣るため好ましくない。
【0009】
n−デカン可溶分中のエチレン含有量は、1モル%以上20モル%未満、好ましくは1モル%以上10モル%未満である。n−デカン可溶分中のエチレン含有量が1モル%未満では共重合体の耐衝撃性が劣り、20モル%以上では透明性が劣るため好ましくない。共重合体中のエチレン含有量は、1モル%以上10モル%未満であり、1モル%以上5モル%未満が好ましい。共重合体中のエチレン含有量が少ないと共重合体の柔軟性が劣り、多いと共重合体の透明性が劣るため好ましくない。
【0010】
なお、本発明におけるn−デカン可溶分量は以下のようにして測定する。
試料2.2gを200mlのn−デカンに加え、145℃に加熱する。3時間145℃に保持して試料を溶解させた後、23℃まで冷却する。同温度で12時間保持した後、不溶部を濾別し、溶解部中のn−デカンを減圧下に除去し、100℃で真空乾燥させ、溶解している成分(以下n−デカン可溶分という)の重量を求め、もとの試料の重量に対する重量分率を求める。
また、本発明におけるn−デカン可溶分中のエチレン含有量は、以下のようにして求める。
【0011】
上記乾燥試料0.2gを10mmφのNMRサンプル管中で、2.0mlのオルトジクロロベンゼンと0.5mlの重ベンゼンの混合溶媒に130℃で均一に溶解させ、日本電子製EX270NMRを用いて、130℃でプロトン完全デカップリング法により13C−NMRを測定する。測定条件は、フリップアングル90。パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基のスピン−格子緩和時間のうち最長の値)とする。プロピレン系共重合体において、メチレン基およびメチン基のスピン−格子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、すべての炭素の磁化の回復は99%以上である。なお、積算回数は2,700回とした。ケミカルシフトは、頭−尾(head to tail)結合からなるプロピレン単位連鎖部の3種類のトライアッド(mm,mr,rr)のうち、メチル分岐の絶対配置が同一である、すなわち、mmで表されるプロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基にもとづくピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとして設定し、これを基準として、他のピークのピークトップのケミカルシフトを決定する。スペクトルの帰属は、H.N.Cheng,Macromol.,17,1950−55(1984)に基づいて行い、該帰属に基づいて、エチレン含量を求める。
そして、共重合体中のエチレン含有量は、上記と同様の方法で求める。
【0012】
本発明のプロピレン−エチレン共重合体のMFRは、ASTM−D−1238に従って測定する。MFRが0.01g/10min未満では、成形時に可塑化が遅いうえ、流動性が悪いため成形が困難であり好ましくない。また、MFRが100g/10minを超える場合には、成形体の力学的強度が劣る結果となり好ましくない。MFRの範囲としては、0.1g/10min以上が好ましく、0.2g/10min以上がより好ましい。また、70g/10min以下が好ましく、50g/10min以下がより好ましい。
【0013】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレンおよびエチレンからなるものであるが、プロピレンおよびエチレン以外にも、第3成分として炭素数4〜20の不飽和炭化水素が共重合されていてもよく、その割合は通常2mol%以下、好ましくは1mol%以下である。このような炭素数4〜20の不飽和炭化水素としては、例えば1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ノルボルネンおよびその誘導体などをあげることができる。
【0014】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレンと、プロピレンおよびエチレンとをブロック的に重合させた共重合体であって、ランダム共重合体ではなく、プロピレンおよびエチレンからなる重合体または共重合体の均密な混合物であり、一般的にはブロック共重合体と称されているものである。
[2]本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体の一般的製法
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、種々の方法により製造することができる。最も一般的な方法は、例えば種々のタイプの立体特異性触媒の存在下に、1段目でプロピレンの単独重合体または共重合体(以下、両者を総称して単にポリプロピレンということがある)を製造し、2段目以降で、前記ポリプロピレンの共存下に、プロピレンとエチレンの共重合によってプロピレンのゴム状共重合体を製造する方法などにより製造することができる。
【0015】
重合方法に特に制限はなく、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタンおよびトルエン等の不活性炭化水素溶媒中で行う方法、液化α−オレフィン中で行う方法、または実質的に溶媒を使用しない気相重合で行う方法を挙げることができる。生成した重合体が媒体に溶解する、いわゆる溶液重合でもよい。
立体特異性触媒を用い、2段階でブロック共重合体を製造する場合、第1段階で生成する重合体の全重合体生成量に占める割合については、特に制限はない。ただし、生産性や最終的に得られる物性を考慮して、通常は5重量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、通常95重量%以下、好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは80重量%となるように製造条件を設定する。重合温度は通常−20℃以上、好ましくは0℃以上、通常150℃以下、好ましくは100℃以下の範囲である。分子量調節剤としては水素が好ましい。
【0016】
前記立体特異性触媒としては、例えばチーグラーナッタ触媒や、メタロセン触媒、いわゆるポストメタロセン触媒を挙げることができる。ここで、ポストメタロセン触媒とは、オレフィンの重合作用を有する金属錯体を必須成分とする触媒であり、該金属錯体中にシクロペンタジエニル環のようなπ−配位性の基を持たないものであり、一般的には、窒素原子や酸素原子、リン原子のようなヘテロ原子を含むリガンドを有するものである。これらの触媒のうち、重合体の構造を精密に制御でき、かつ、比較的狭い分子量分布が得られるため、メタロセン触媒が好ましく用いられる。
【0017】
立体特異性触媒を用い、2段階でブロック共重合体を製造する場合、第2段階で生成する重合体の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法をとることができる。たとえば、三塩化チタン触媒や、塩化マグネシウム担持型チタン系触媒の存在下に、プロピレンとエチレン、必要に応じて、炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合を行わせる方法が挙げられる。
【0018】
本発明における好ましい様態は、第1段階で生成した重合体の存在下に、第1段階で使用した触媒の少なくとも一部を失活させることなく、第2段階として、プロピレンとエチレン、必要に応じて、炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合を行わせる方法である。なお、これら第1段階および第2段階の重合の後、第3段階以降の重合を追加的に行ってもよい。触媒としては、メタロセン触媒が好ましい。本発明においては、n−デカン可溶分中のエチレン含量が1モル%以上20モル%未満となるように重合条件を制御する。一般的には、プロピレンと、コモノマーであるエチレン、さらに、必要に応じて用いられる炭素数4〜20のα−オレフィンの重合反応器への供給比率を制御することによって、この要件を満たすようにする。
【0019】
第2段階で得られる重合体の量、また、必要に応じて第3段階以降の重合段階を追加する場合には、第2段階以降で得られる重合体の量の合計量については、通常、全重合体生成量の5重量%以上、好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であって、通常95重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下となるように重合温度および重合時間が選ばれる。重合温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲から選ばれる。
[2−1]メタロセン触媒および重合制御
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造に用いる触媒としては、メタロセン触媒が、重合体の構造、とりわけ、ミクロタクティシティを精密に制御できる点で好ましい。重合体のミクロタクティシティは、メタロセンのリガンドの構造や、温度、助触媒、モノマー濃度、モノマー組成などの条件により制御される。
【0020】
n−デカン可溶分量の制御は、たとえば、次のようにして行うことができる。一般に、n−デカン可溶分は非晶性に富む重合体であるから、n−デカン可溶分量は、生成重合体の結晶性を制御することによって調節可能である。一例を挙げると、プロピレン単独重合体の場合、メタロセンのリガンドの構造や、温度、助触媒、モノマー濃度によって、プロピレン単独重合体主鎖の立体規則性を制御することにより、該重合体の結晶性、ひいては、n−デカン可溶分量を制御することができる。また、重合体の結晶性は、共重合によっても制御可能である。一般に、異なる種類のモノマーを共重合することによって、単独重合体に比べて非晶性が増大した重合体を製造することができる。そして、その非晶性は、共重合体の組成によって制御され、該組成は、重合時のモノマー組成によって制御できる。
【0021】
本発明の特徴のひとつは、ブロック共重合体全体にしめるn−デカン可溶分量が比較的多く、かつ、該n−デカン可溶分中のエチレン含量が比較的少ないことである。このような性質を有するブロック共重合体は、一例を挙げると、次のような方法によって製造可能である。すなわち、メタロセン触媒を用いて、プロピレンの単独重合体を行う。この際に、プロピレン重合体の立体規則性制御を行い、比較的非晶性の高い重合体を製造する。このような立体規則性制御は、他の触媒でも可能ではあるが、メタロセン触媒によってもっとも効率的に行うことができる。その後、該触媒の存在下で、引き続きプロピレンとエチレンの共重合を行う。このとき、得られる共重合体中のエチレン含量が比較的低くなるように、プロピレンとエチレンの供給量比を制御する。このようにすることによって、1段目で生成したプロピレン単独重合体および2段目で生成したプロピレン−エチレン共重合体の両者からn−デカン可溶分が得られるため、結果としてn−デカン可溶分量が比較的多いブロック共重合体となる。また、n−デカン可溶分のうち、エチレンを含む成分は2段目から生じるが、この段階で生成する共重合体中のエチレン含量が低くなるように重合が制御されているため、2段目から生じる重合体中のn−デカン可溶分も低い値となる。さらに、この例においては、n−デカン可溶分は1段目のプロピレン単独重合体からも生じているので、結果として、ブロック共重合体全体から得られるn−デカン可溶分中のエチレン含量は低いものとなる。
[2−2]好ましいメタロセン触媒
本発明で好ましく用いられるメタロセンは、架橋基を有するC1−対称性アンサ−メタロセン(ansa−metallocene)である。非架橋のメタロセンも本発明に適用可能であるが、一般に架橋基を有するアンサ−メタロセンの方が、熱安定性などに優れているため、特に工業的な見地から好ましい。そして、架橋基を有するC1−対称性アンサ−メタロセンの中でも、共役5員環配位子を有する架橋された4族遷移金属化合物のC1−対称性を有するメタロセンがさらに好ましい。このような遷移金属化合物は公知であり、それをα−オレフィン重合用触媒成分として使用することも知られている。
【0022】
本発明のブロック共重合体を得るためには、メタロセン触媒は、以下の触媒成分[A]を必須成分とし、触媒成分[B]を含有することが好ましい。触媒成分[B]が触媒成分[C]を含有するとさらに好ましい。
触媒成分[A]: メタロセン
触媒成分[B]: 助触媒
触媒成分[C]: 有機アルミニウム化合物
以下、各成分につき説明する。
触媒成分[A]: メタロセン
本発明プロピレン重合体の製造に好ましく用いられるメタロセンは、一般式:Q(C5H4-aR2 a)(C5H4-bR3 b)MXYで表されるC1−対称性メタロセンであり、Qは2つの共役5員環配位子を架橋する結合性基を、Mは周期律表4族遷移金属を、XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜40のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR2および/またはR3がそれぞれ結合して4〜10員環を形成していてもよい。aおよびbは、それぞれ独立して、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
【0023】
2個の共役5員環配位子の間を架橋する結合性基Qとしては、具体的には下記のようなものが挙げられ、Qが炭素を含む場合の炭素数は通常1〜20である。すなわち、メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基;ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のようなケイ素含有架橋基;ジメチルゲルミレン基、ジエチルゲルミレン基、ジフェニルゲルミレン基、メチルフェニルゲルミレン基のようなゲルマニウム含有架橋基;アルキルフォスフィン;アミン等である。これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、ケイ素含有架橋基又はゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
【0024】
上記一般式において、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基等の置換されていてもよい炭素数1〜40の炭化水素基;フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロビフェニル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロフェニル基、クロロナフチル基、クロロビフェニル基等のハロゲンを含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基等のアリールオキシ基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等のケイ素含有炭化水素基;リン含有炭化水素基;窒素含有炭化水素基;又は、ホウ素含有炭化水素基である。
【0025】
R2が複数個存在するときは、それらは同一でも異なっていてもよい。また、2個のR2がシクロペンタジエニル環の隣接する炭素原子に存在する場合は、相互に結合して4〜10員環を形成し、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基、アズレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基等となってもよい。同様に、R3が複数個存在するときは、それらは同一でも異なっていてもよい。また、2個のR3がシクロペンタジエニル環の隣接する炭素原子に存在する場合は、相互に結合して4〜10員環を形成し、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基、アズレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基等となってもよい。本発明においては、一般式:Q(C5H4-aR2 a)(C5H4-bR3 b)MXYで表されるメタロセンがC1−対称性を有していればよいので、C1−対称性が保持されるかぎり、R2とR3は同じであっても良いし、異なっていてもよい。
【0026】
Mは、周期律表4族から選ばれる遷移金属原子であり、なかでもチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが好ましく、ジルコニウム、ハフニウムがさらに好ましい。
XおよびYは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ならびに炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルアミド基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基等である。XとYは同一でも異なっていてもよい。これらのうちハロゲン、炭化水素基およびアルキルアミド基が好ましい。
【0027】
Mがジルコニウムである場合、この遷移金属化合物の具体例としては、
(1)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(2)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(3)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]
(4)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−1−インデニル)ジルコニウム]
(5)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(6)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(7)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]
(8)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(9)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(10)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]
(11)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−1−インデニル)ジルコニウム]
(12)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(13)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]
(14)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]
(15)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(16)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(17)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(18)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(19)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(20)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(21)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(22)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(23)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(24)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(25)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(26)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(27)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
(28)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]
等が例示される。
【0028】
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物等の他の第4〜6族遷移金属化合物についても、上記と同様の化合物が挙げられる。なお、これらの化合物については、複数の異なる構造を有する化合物の混合物を用いてもよい。複数の異なる構造を有する化合物の混合物を用いることにより、本発明の共重合体に結晶性分布を導入することができる。結晶性分布の導入は、柔軟でありながら、比較的高い融点を有する樹脂の設計を可能とするため、本発明においては、好ましい様態のひとつである。またさらに、公知の三塩化チタンを主成分とする固体触媒やマグネシウム、チタン、ハロゲンを必須成分として含有する担体担持型触媒を補助的に用いることもできる。
【0029】
本発明において、特に好ましく用いられる遷移金属化合物は、下記の一般式(I)で表され、かつC1−対称性を有する化合物である。
【0030】
【化1】
一般式(I)中、A1およびA2は、異なる共役5員環配位子であって、A1およびA2の少なくとも一方は、共役5員環配位子上の隣接した置換基が結合し、5員環の2原子を含めて形成された7〜10員の縮合環を有し、Qは、2つの共役5員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基、Mは、周期律表4族から選ばれる遷移金属原子を示し、そして、XおよびYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルキルアミド基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、又は硫黄含有基を示す。
【0031】
上記の共役5員環配位子の典型例としては、例えば、置換シクロペンタジエニル基を挙げることが出来る。該置換基の具体例としては、炭素数が通常1〜40、好ましくは1〜30の炭化水素基を挙げることができる。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。
【0032】
上記の炭化水素基以外の置換基としては、ケイ素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子などを含有する炭化水素残基が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基、チエニル基などが挙げられる。
【0033】
その他の置換基としては、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、トリクロロメチル基、クロロフェニル基、クロロビフェニル基、クロロナフチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、フルオロビフェニル基、フルオロナフチル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0034】
また、前記したように、A1およびA2の少なくとも一方は、共役5員環配位子上の隣接した置換基が結合し、5員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を形成する。このような具体例としては、アズレン等の化合物やその誘導体を挙げることができる。さらに具体的には、ヒドロアズレニル基、メチルヒドロアズレニル基、エチルヒドロアズレニル基、ジメチルヒドロアズレニル基、メチルエチルヒドロアズレニル基、メチルイソプロピルヒドロアズレニル基、メチルフェニルイソプロピルヒドロアズレニル基、各種アズレニル基の水添体、ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、エチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、フェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、エチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチルジフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、メチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、エチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、メチルイソプロピル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、ビシクロ−[7.3.0]−ドデカニル基及びその誘導体、ビシクロ−[7.3.0]−ドデカジエニル基及びその誘導体、ビシクロ−[8.3.0]−トリデカニル基及びその誘導体、ビシクロ−[8.3.0]−トリデカジエニル基及びその誘導体などが例示される。
【0035】
上記の各基の置換基としては、前述した炭化水素基、ケイ素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子などを含有する炭化水素基、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。
Qは、2つの共役5員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、A1とA2とを架橋する。Qの種類に特に制限はないが、その具体例として、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、シリレン基またはオリゴシリレン基、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはオリゴシリレン基、ゲルミレン基、炭素数が通常1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などを挙げることができる。これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはゲルミレン基が好ましい。
【0036】
Mは、周期律表4族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、ジルコニウムまたはハフニウムである。
XおよびYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルキルアミド基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基又は硫黄含有基を示す。上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、スルフィナト基が好ましい。
【0037】
本発明における遷移金属化合物の具体例としては次の化合物が挙げられる。
(29)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(30)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(31)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(32)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(33)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(34)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(35)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(36)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(37)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(38)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(39)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(40)ジクロロ[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(41)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(42)ジクロロ[エチレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(43)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(44)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(45)ジクロロ[エチレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(46)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(47)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニ
ル)]ハフニウム
(48)ジクロロ[エチレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(49)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(50)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(51)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(52)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(53)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(54)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−イソプロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(55)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(56)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(57)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−イソプロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(58)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−ブチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(59)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,8−トリメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(60)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,6−トリメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(61)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(62)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−6−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(63)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−7−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(64)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−8−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(65)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−6−エチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(66)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−7−エチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(67)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−8−エチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(68)ジクロロ{[ジ(クロロメチル)シリレン](シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)}ハフニウム
(69)ジクロロ{[ジ(4−クロロフェニル)シリレン](シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)}ハフニウム
(70)ジクロロ[ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(71)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(72)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(73)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(74)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(75)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(76)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(77)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(78)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(79)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(80)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(81)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(82)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(83)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(84)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(9−フルオレニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(85)ジクロロ[ジメチルシリレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(86)ジクロロ[ジメチルシリレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(87)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(88)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(89)ジブロモ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(90)ジブロモ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(91)ジブロモ[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(92)ジブロモ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(93)ジヨード[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(94)ジヨード[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(95)ジヨード[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(96)ジヨード[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(97)ジメチル[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(98)ジメチル[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(99)ジメチル[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(100)ジメチル[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(101)ジヒドリド[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(102)ジヒドリド[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(103)ジヒドリド[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(104)ジヒドリド[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(105)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(106)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(107)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(108)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(109)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(110)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(111)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(112)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(113)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(114)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(115)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(116)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(117)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(118)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(119)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(120)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(121)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(122)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(123)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(124)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(125)ジクロロ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(126)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(127)ジクロロ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(128)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(129)ジブロモ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(130)ジブロモ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(131)ジブロモ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(132)ジブロモ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(133)ジヨード[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(134)ジヨード[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(135)ジヨード[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(136)ジヨード[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(137)ジメチル[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(138)ジメチル[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(139)ジメチル[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(140)ジメチル[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(141)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム
(142)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム
(143)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム
(144)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム
(145)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−クロロメチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(146)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−クロロメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(147)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(148)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−メチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(149)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−メチル−4−イソブチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(150)ジクロロ[ジメチルシリレン(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−フルオレニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(151)ジクロロ[ジメチルシリレン(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−フルオレニル)(2−メチル−4−イソブチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(152)ジクロロ[ジメチルシリレン(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−フルオレニル)(2−メチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(153)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(154)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(155)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(156)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチルベンゾ[e]インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(157)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチルベンゾ[e]インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(158)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−5,6−シクロトリメチレン−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
また、先に例示した化合物の中心金属Mがハフニウムの代わりに、チタン、ジルコニウムに代わった化合物も例示することが出来る。これらは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合を多段で行う場合に、重合の第1段階終了時や第2段階の重合開始前に、新たに遷移金属成分を追加してもよい。前記したように、複数の異なる構造を有する化合物の混合物を用いることにより、本発明のブロック共重合体に結晶性分布を導入することができる。結晶性分布の導入は、柔軟でありながら、比較的高い融点を有する樹脂の設計を可能とするため、本発明においては、好ましい様態のひとつである。
触媒成分[B]: 助触媒
本発明において[B]成分の助触媒としては、必須成分として(1)有機アルミニウムオキシ化合物、(2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに交換することが可能なイオン性化合物、(3)ルイス酸、(4)ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、または無機ケイ酸塩、からなる群より選択される一種以上の物質を含むものである。
[B]−1: 有機アルミニウムオキシ化合物
有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、次の一般式(II)、(III)、(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化2】
【0039】
各一般式中、R3は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは、炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR3はそれぞれ同一でも異なっていてももよい。またpは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式(II)および(III)で表される化合物は、アルミノキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウムまたは二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水とから得られる、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、(b)二種類のトリアルキルアルミニウムと水とから得られる、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられる。これらの中では、メチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
【0040】
一般式(IV)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウムまたは二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(V)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(V)中、R4は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
【0041】
【化3】
【0042】
具体的には、以下の様な反応生成物、すなわち、(a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、(b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、(c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、(d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応物、(e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などを挙げることができる。
[B]−2: 成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物
成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0043】
一般式(VI)中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0044】
【化4】
上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0045】
上記の一般式(VI)中、Zは、アニオン成分であり、成分[A]が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具体的には次の化合物が挙げられる。すなわち、(a)テトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ホウ素、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等、(b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}アルミニウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等、(c)テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ガリウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム等、(d)テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン等、(e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素等、(f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン等、(g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等である。
[B]−3: ルイス酸
ルイス酸、特に成分[A]をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物、固体酸などが例示され、その具体例としては次の化合物が挙げられる。すなわち、(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物、(b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の金属ハロゲン化合物、(c)アルミナ、シリカ・アルミナ等の固体酸などを挙げることができる。
[B]−4: ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物または無機ケイ酸塩
ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。
【0046】
ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。具体的には、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(HPO4)2、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ−Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩があげられる。
【0047】
また、無機ケイ酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
【0048】
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロサイト、ハロサイト等のハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
【0049】
これら、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、または無機ケイ酸塩は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理および/または、LiCl、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、Li2SO4、MgSO4、ZnSO4、Ti(SO4)2、Zr(SO4)2、Al2(SO4)3等の塩類処理を行ったほうが好ましい。なお、処理にあたり、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。また、粉砕や造粒等の形状制御を行ってもよく、粒子性状に優れたブロック共重合体を得るためには、造粒することが好ましい。また、上記成分は、通常脱水乾燥してから用いる。これら[B]成分の必須成分としては、得られるブロック共重合体の粒子性状や、重合活性の面で、[B]−4のケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、または無機ケイ酸塩を用いることが好ましい。
触媒成分[C]: 有機アルミニウム化合物
触媒成分[C]は、触媒成分[B]の任意成分である有機アルミニウム化合物である。該有機アルミニウム化合物は、AlR1 mZ3-m(式中、R1は、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは、水素、ハロゲン、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基、mは0<m≦3の数)で示される化合物であり、具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、またはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウム、または、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素含有有機アルミニウム化合物である。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン等も使用できる。これらのうち、特に好ましいのはトリアルキルアルミニウムである。これら任意成分は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合の第1段階開始後や終了時、また、第2段階の重合開始前、開始後等に、新たに任意成分[C]を追加してもよい。
【0050】
本発明で好適に用いられるメタロセン触媒は、触媒成分[A]および触媒成分[B]、任意に触媒成分[C]の接触によって得られるが、その接触方法については特に限定されない。この接触は、触媒調製時だけでなく、α−オレフィンによる予備重合時または、α−オレフィンの重合時に行ってもよい。
触媒各成分の接触時、または接触後にポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、もしくは接触させてもよい。
【0051】
接触は窒素等の不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。これらの溶媒は、水や硫黄化合物などの被毒物質を除去する操作を施したものを使用するのが好ましい。接触温度は、−20℃ないし、使用する溶媒の沸点の間で行い、特には、室温から使用する溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。
【0052】
触媒各成分の使用量は、触媒成分[B]として、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、または無機ケイ酸塩を用いる場合は、触媒成分[B]1gあたり触媒成分[A]が通常0.0001mmol以上、好ましくは0.001mmol以上であり、10mmol以下、好ましくは5mmol以下であり、触媒成分[C]が通常0mmol以上、好ましくは0.01mmol以上、通常10,000mmol以下、好ましくは100mmol以下である。また、触媒成分[A]中の遷移金属と触媒成分[C]中のアルミニウムの原子比が通常1:0以上、好ましくは1:0.1以上、通常1:1,000,000以下、好ましくは1:100,000以下である。
【0053】
このようにして得られた触媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒で洗浄して使用してもよいし、洗浄せずに用いてもよい。
洗浄の際に、必要に応じて新たに[C]成分を組合せて用いてもよい。この際に用いられる[C]成分の量は、[A]成分中の遷移金属に対する[C]成分中のアルミニウムの原子比で1:0〜10,000になるようにするのが好ましい。
【0054】
触媒として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のα−オレフィンを予備的に重合し、必要に応じて洗浄したもの使用することもできる。この予備重合は窒素等の不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよいし、液体プロピレン中で行ってもよい。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、以上の製造方法の条件を適宜選択することにより得ることができる。
【0055】
[3]プロピレン−エチレンブロック共重合体の改質
本発明のブロック共重合体には、その優れた柔軟性、透明性、耐熱性を損なわない範囲で、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体等の各種プロピレン系重合体や、高圧法ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系重合体、ポリブテン−1、スチレンとブタジエンのブロック共重合体の水添物等を添加してもよい。
【0056】
また、プロピレン系重合体の透明性向上に常用されるα−晶結晶核剤、β−晶結晶核剤を添加しても良い。さらには、柔軟性等を付与するために配合される鉱物油等のゴム用軟化剤が配合されてもよい。
本発明のブロック共重合体には、さらに、その他の各種樹脂やゴム、ガラス繊維、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレー等の充填材、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の難燃材、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、中和剤、石油樹脂等の粘着剤、ブロッキング防止剤等の各種添加剤が、必要に応じて配合されてもよい。
【0057】
本発明のブロック共重合体は、その用途に応じて従来公知の架橋剤、架橋助剤の存在下、動的に架橋することもでき、また、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸を有機過酸化物の存在下にグラフトすることもできる。
[4]プロピレン・エチレンブロック共重合体の用途
本発明のブロック共重合体は、柔軟性、透明性、耐熱性に優れている。具体的には、後述する方法による引張弾性率が通常100MPa以上、400MPa以下、好ましくは350MPa以下、より好ましくは300MPa以下、さらに好ましくは250MPa以下であって、内部光線透過率が通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、通常99%以下であり、かつ、融点を有するプロピレン−エチレンブロック共重合体である。
【0058】
このため、従来のエチレン系材料、プロピレン系材料の他、軟質PVC、熱可塑性エラストマーが用いられている種々の分野において、単体として、あるいは主成分として、好適に用いることができる。成形方法は特に限定されないが、フィルム・シートにおいては、ポリオレフィンに適用されているインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等により製膜され、単層、あるいは、2層以上の各種層を適宜必要に応じて設けることもできる。積層化に際しては、押し出しラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等も可能であり、また、フィルムを一軸あるいは二軸延伸することも可能である。延伸法としては、ロール法、テンター法、チューブラー法等が挙げられる。さらに、通常工業的に利用されるコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施すこともできる。
【0059】
本発明のブロック共重合体の優れた柔軟性、透明性、耐熱性を生かして、積層体を構成する場合、他の層を構成する材料としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体等の各種プロピレン系重合体や、高圧法ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、EVOH、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1(TPX樹脂)等の各種オレフィン系共重合体や、無水マレイン酸等で変性された接着性ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステル系エラストマー等を挙げることができる。
[4−1]フィルム・シート分野における用途
本発明のブロック共重合体またはその改質物のフィルム・シート分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、包装用ストレッチフィルム、業務用または家庭用ラップフィルム、パレットストレッチフィルム、ストレッチラベル、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シーラント用フィルム、レトルト用フィルム、レトルト用シーラントフィルム、熱溶着フィルム、熱接着フィルム、熱封緘用フィルム、バッグ・イン・ボックス用シーラントフィルム、レトルトパウチ、スタンディングパウチ、スパウトパウチ、ラミネートチューブ、重袋、繊維包装フィルム等の食品、雑貨等包装分野、ハウス用フィルム、マルチフィルム等の農業用フィルム分野、輸液バッグ、高カロリー輸液や腹膜透析用(CAPD)等の複室容器、腹膜透析用の排液バッグ、血液バッグ、尿バッグ、手術用バッグ、アイス枕、アンプルケース、PTP包装等の医療用フィルム・シート分野、土木遮水シート、止水材、目地材、床材、ルーフィング、化粧フィルム、表皮フィルム、壁紙等の建材関連分野、レザー、天井材、トランクルーム内張、内装表皮材、制震シート、遮音シート等の自動車部品分野、ディスプレーカバー、バッテリーケース、マウスパッド、携帯電話ケース、ICカード入れ、CD−ROMケース等の弱電分野、ハブラシケース、パフケース、化粧品ケース、目薬等医薬品ケース、ティッシュケース、フェイスパック等のトイレタリーまたはサニタリー分野、文具用フィルム・シート、クリアファイル、ペンケース、手帳カバー、デスクマット、キーボードカバー、ブックカバー、バインダー等の事務用品関連分野、家具用レザー、ビーチボール等の玩具、傘、レインコート等の雨具、テーブルクロス、ブリスターパッケージ、風呂蓋、タオルケース、ファンシーケース、タグケース、ポーチ、お守り袋、保険証カバー、通帳ケース、パスポートケース、刃物ケース等の一般家庭用、雑貨分野、再帰反射シート、合成紙等が挙げられる。また、基材に粘着材が塗布され、粘着性が付与されたフィルム・シート分野として、粘着テープ、マーキングフィルム、半導体またはガラス用ダイシングフィルム、表面保護フィルム、鋼鈑・合板保護フィルム、自動車保護フィルム、包装・結束用粘着テープ、事務・家庭用粘着テープ、接合用粘着テープ、塗装マスキング用粘着テープ、表面保護用粘着テープ、シーリング用粘着テープ、防食・防水用粘着テープ、電気絶縁用粘着テープ、電子機器用粘着テープ、貼布フィルム、バンソウコウ基材フィルム等医療・衛生材用粘着テープ、識別・装飾用粘着テープ、表示用テープ、包装用テープ、サージカルテープ、ラベル用粘着テープ等が挙げられる。
[4−2]射出成形、押出し成形分野における用途
本発明のブロック共重合体またはその改質物の射出成形、押出し成形分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、電気・電子部品分野における電線、コード類、ワイヤーハーネス等の被覆材料、絶縁シート、自動車部品における、コントロールケーブル被覆材、エアーバッグ・カバー、マッドガード、バンパー、ブーツ、エアホース、ランプパッキン類、ガスケット類、ウィンドウモール等の各種モール、サイトシールド、、ウェザーストリップ、グラスランチャンネル、グロメット類、制震・遮音部材、家電、弱電分野における各種パッキン類、グリップ類、ベルト類、足ゴム、ローラー、プロテクター、吸盤、冷蔵庫等のガスケット類、OA機器用各種ロール類、ホース、チューブ等の管状成形体、異型押し出し品、レザー調物品、咬合具、ソフトな触感の人形類等の玩具類、ペングリップ、ハブラシ柄等の一般雑貨類、ハウスウェア、タッパーウェア等の容器類、結束バンド、ブロー成形による輸液ボトル、食品用ボトル、化粧品用等のパーソナルケア用のボトル等各種ボトル、医療用部品におけるカテーテル、シリンジ、シリンジガスケット、点滴筒、チューブ、ポート、キャップ、ゴム栓、ディスポーザブル容器等、が挙げられ、また、発泡成形による用途も可能である。
[4−3]繊維、不織布分野における用途
本発明のブロック共重合体またはその改質物の繊維、不織布分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、連続紡糸、連続捲縮糸、短繊維、モノフィラメント等の繊維、フラットヤーン、メルトブロー法、スパンボンド法による不織布にすることにより、紙おむつ等の衛材、手術用衣服、手袋等の医療用、カーペット、その裏地、ロープ等の用途が挙げられる。また、これら不織布やモノフィラメント、フラットヤーン、スリットテープ等の編物と、フィルム・シートのラミネートによる、帆布、テント材、幌、フレキシブルコンテナー、レジャーシート、ターポリン等が挙げられる。
[4−4]改質材における用途
本発明のブロック共重合体またはその改質物は、ポリプロピレンとの親和性に優れていることから、ポリプロピレンの改質に好適に使用することができる。改質により、柔軟性、透明性、靭性等のほか、熱シール性、耐衝撃性、添加剤との親和性が改良され、成形体表面の改良にも使用することができる。また、その熱融着性を生かしたホットメルト接着剤、タッキファイヤー、アスファルト改質、ビチューメン改質、防水加工紙等も用途の一例として挙げられる。
【0060】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
なお、実施例において、MFRは、ASTM−D−1238に従って測定した。n−デカン可溶分に含まれるエチレンの量については、13C−NMRにて測定した。
【0061】
プロピレン−エチレンブロック共重合体の融点は、DuPont社製熱分析システムTA2000を使用して、以下の方法で求めた。試料(約5〜10mg)を200℃で3分間融解後、10℃/minの速度で30℃まで降温した後に、10℃/minで200℃まで昇温することにより融解曲線を得て、最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点として求めた。
【0062】
本発明で得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体の物性は、以下の方法で作成したサンプルを用いて下記(a)〜(d)に従って測定した。すなわち、プロピレン−エチレンブロック共重合体100重量部に対して、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(日本チバガイギー社製「IRGANOX 1010」)を0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(日本チバガイギー社製「IRGAFOS168」)を0.05重量部、中和剤として協和化学工業社製「DHT−4A」を0.03重量部添加し、ラボプラストミルを用いて設定温度200℃、150rpmで1分間溶融混練した後、(株)神藤金属社油圧式プレス成形機を用いて、設定温度200℃、圧力100kg/cm2で厚さ2mmのプレスシートサンプルを作成した。
(a) 密度: JIS K 7112に準拠し、水中置換法にて測定した。
(b) 硬度: JIS K 7215に準拠し、タイプDのデュロメータ硬さを測定した。
(c) 引張特性: JIS K 7113に準拠し、2号形試験片を用いて、温度23℃、引張速度50mm/minにて、引張弾性率および引張破断点伸びを測定した。
(d) 内部平行光線透過率: JIS K 7105に準拠して測定した。
【0063】
実施例1
(1) ジクロロ{1,1′−ジメチルシリレン[2−メチルベンゾ[e]インデニル][2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル]}ハフニウムの合成2−メチルベンゾ[e]インデン(1.87g,10.4mmol)を脱水したn−ヘキサン(38ml)に溶解させた溶液に、n−ブチルリチウム(1.59M,6.6ml,10.5mmol)を0℃でシリンジにて添加した。はじめ透明だった溶液は、しだいに濁り、沈殿を形成した。白色懸濁液を室温で24時間攪拌し、カニューレにて濾過した。得られた白色固体を乾燥n−ヘキサン(10ml×2回)で洗浄し、減圧下に乾燥してふわふわした白色固体(1.84g,収率=95%)を得た。
【0064】
ここで得られた白色固体(2−メチルベンゾ[e]インデニルリチウム,0.94g,5.1mmol)を乾燥テトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(40ml,1/1 v/v)に溶解させた。一方、ジメチルジクロロシラン(2.60g,20.2mmol)を乾燥テトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(20ml,1/1 v/v)に溶解させ、この溶液を、先に得られた2−メチルベンゾ[e]インデニルリチウムの溶液に、−5℃にて1時間かけて滴下した。滴下終了後、速やかに0℃に昇温して攪拌し、さらに室温で2時間攪拌した。淡黄色サスペンジョンから減圧下に溶媒を除去し、黄色ペーストを得た。このペーストから乾燥ジエチルエーテル(10ml×3回)で抽出操作を行い、得られた溶液をカニューレにて濾過した。濾液を集め、減圧下に溶媒を除去した後、恒量になるまで減圧乾燥を行い、2−メチルベンゾ[e]インデニルジメチルクロロシランの粘稠な黄色オイルを得た(1.35g,収率=100%)。
400MHz 1H−NMR(CDCl3,室温):δ8.01(d,J=8.04Hz,1H),7.79(d,J=7.80Hz,1H),7.54(m,2H),7.44−7.35(m,2H),7.16(s,1H),3.73(s,1H),2.31(s,3H),0.29(s,3H),0.06(s,3H)
ここで得られた2−メチルベンゾ[e]インデニルジメチルクロロシラン(1.35g,5.1mmol)を乾燥ジエチルエーテル(30ml)に溶解させた。一方、実施例1(1)記載の方法で得られた2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニルリチウム(1.13g,5.1mmol)を、別途、N−メチルイミダゾール(10μmol)を含む乾燥テトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(30ml,1/1 v/v)に溶解させた。ここで得られた溶液を、前記2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニルリチウムの湯溶液に、温度0℃にて15分間で添加した。0℃で1時間攪拌し、さらに室温で2時間攪拌した。その後、30mlの氷水を反応混合物に加え、迅速に攪拌して反応をクエンチした。水層を分離し、ジエチルエーテル(30ml×2回)で抽出を行った。油層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後濾過し、溶媒ならびに揮発分を除去した。さらに揮発分を完全に除去し、粗生成物を粘稠な暗褐色のオイルとして得た。ここで得られた粗生成物を、n−ヘキサンを溶媒として、テトラヒドロフランにて不活性化したシリカゲルカラムを通して精製した。生成物を含むフラクションを集め、溶媒を除去し、さらに減圧乾燥して黄褐色の固体生成物を得た(1.72g,収率=76%)。
【0065】
ここで得られた固体生成物の全量を乾燥n−ヘキサン(25ml)に溶解させ、この溶液に、−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.58M,5.1ml,8.0mmol)を、シリンジを用いて5分間で添加した。混合物を−78℃で攪拌し、ゆっくりと室温まで昇温させた後、室温にて終夜攪拌を行った。黄色みを帯びたサスペンジョンを窒素雰囲気下、1.5時間還流し、熱時濾過を行った。固体残渣をn−ヘキサン(15ml×2回)で洗浄し、減圧乾燥を行い、ジリチオ{1,1′−ジメチルシリレン[2−メチルベンゾ[e]インデニル][2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル]}の黄褐色粉末(1.80g,収率=100%)を得た。
【0066】
不活性ガス雰囲気で満たされたグローブボックス内で、ジリチオ{1,1′−ジメチルシリレン[2−メチルベンゾ[e]インデニル][2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル]}(0.469g,1.0mmol)および四塩化ハフニウム(0.320g,1.0mmol)を秤量し、ガス導入コックを備えた100ml丸底フラスコに加えた。フラスコをグローブボックスから取り出し、−5℃の冷浴に浸した。乾燥トルエン(70ml)および乾燥ジエチルエーテル(10ml)をシリンジにて加えた後、サスペンジョンを15時間攪拌した。この間、温度は徐々に室温まで上昇した。得られたサスペンジョンをセライト濾過し、減圧下に溶媒を除去し、黄色の粗錯体(0.696g,収率=99%)を得た。1H−NMRにて得られた粗錯体を分析したところ、主成分は2種類の異性体であった。粗錯体にトルエン(5ml×3回)による抽出操作を施し、固体残渣を減圧乾燥し、ジクロロ{1,1′−ジメチルシリレン[2−メチルベンゾ[e]インデニル][2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル]}ハフニウムを淡黄色の粉末(0.13g,収率=19%)として得た。1H−NMRおよびNOE測定による分析の結果、主成分はexo−syn異性体であり、マイナー成分はexo−anti異性体であった。なお、exo−syn/exo−anti=10/1(mol比)であった。トルエン抽出液から溶媒を除去して減圧乾燥し、n−ヘキサン(10ml×3回)で洗浄したところ、オレンジ色の粉末(0.41g,収率=58%)が得られた。1H−NMRによる分析の結果、これはexo−anti異性体が主成分の錯体であり、exo−syn/exo−anti=1/2.5(mol比)であった。
exo−anti異性体:400MHz 1H−NMR(CDCl3,室温):δ8.03(d,J=7.83Hz,1H),7.71(d,J=7.83Hz,1H),7.55(m,2H),7,46(m,1H),7.41(s,1H),7.33(m,2H),7.23(m,2H),7.16(m,1H),6.92(d,J=11.6Hz,1H),6.18(m,1H),5.96(m,1H),5.88(m,1H),5.48(s,1H),5.04(br.s,1H),2.59(s,3H),2.14(s,3H),1.20(s,3H),1.13(s,3H)
exo−syn異性体:400MHz 1H−NMR(CDCl3,室温):δ8.06(d,J=7.83Hz,1H),7.77(d,J=7.83Hz,1H),7.60(m,2H),7.52(t,J=7.33Hz,1H),7.35−7.15(m,6H),6.97(d,J=11.62Hz,1H),6.04(m,1H),5.82(m,1H),5.70(m,1H),5.55(s,1H),4.71(br.s,1H),2.59(s,3H),2.37(s,3H),1.23(s,3H),1.13(s,3H)
(2) 粘土鉱物の化学処理
300ml丸底フラスコに、脱塩水(94ml)、硫酸リチウム1水和物(14.5g)および硫酸(21.9g)を採取し、攪拌下に溶解させた。この溶液に、市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL,29.4g)を分散させ、10分間かけて沸騰するまで昇温し、沸点(105℃)で120分間攪拌を行った。その後、脱塩水200mlを加えて冷却し、得られたスラリーを濾過してウェットケーキを回収した。回収したケーキを1,000mlビーカーにて、脱塩水(500ml)を用いて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を2回繰り返した。最終的に得られたケーキを、空気下100℃で3時間乾燥し、化学処理モンモリロナイト(24.0g)を得た。
【0067】
(3) 予備重合
実施例1(2)で得られた化学処理モンモリロナイト(1.02g)を200℃で2時間減圧乾燥した。これに、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.50mmol/ml,4.0ml)を加え、室温で30分間撹拌した。この懸濁液にトルエン(25ml)を加え、撹拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返して粘土スラリーを得た。
【0068】
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(0.06mmol)と、実施例1(1)で得られたジクロロ{1,1′−ジメチルシリレン[2−メチルベンゾ[e]インデニル][2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル]}ハフニウム(exo−syn/exo−anti=10/1(mol比),21.1mg,30.0μmol)を加えてあらかじめ反応させトルエン溶液とした。この錯体溶液全量を上記粘土スラリーに加え、室温で1時間撹拌し、触媒スラリーを得た。
【0069】
次いで、内容積2リッターの誘導撹拌式オートクレーブ内に、上記触媒スラリーを全量導入した。さらに、トリイソブチルアルミニウム(0.06mmol)を含有するトルエン(90ml)を導入し、オートクレーブ内に、30℃で液化プロピレン(30ml)を導入し、30℃で90分間予備重合を行った。得られた予備重合触媒スラリーを200ml丸底フラスコに回収し、上澄みを除いた後、トリイソブチルアルミニウム(0.018mmol)を含有したトルエン(70ml)で洗浄した。この予備重合触媒は、固体触媒成分1gあたりポリプロピレン4.0gを含有していた。
(4) プロピレン−エチレンブロック共重合
精製窒素で置換された、いかり型攪拌翼を内蔵する5リッターの誘導攪拌式オートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.1mmol/ml)を5.0ml装入した。実施例1(3)で得られた予備重合触媒スラリーを、固体触媒成分として50.0mg装入し、液化プロピレン1,560gを装入した。その後60℃まで昇温し、1段目の重合開始とした。150分後に、内温を45℃に調整した。さらにエチレンをエチレン分圧として0.70MPa装入後、2段目の重合開始とした。気相部のエチレン濃度が18.7mol%になるようにエチレンおよびプロプレンをガスで供給しながら、45℃で重合を継続した。100分後に、モノマーをパージして重合を終わらせた。重合前後のオートクレーブ重量変化より生成したプロピレン・エチレンブロック共重合体の収量を求めたところ、463gであった。
(5) プロピレン−エチレンブロック共重合体の分析
得られたブロック共重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。n−デカン可溶分は、37.4重量%であった。また、該n−デカン可溶分中のエチレン含量は、5.3mol%であった。また、ブロック共重合体のMFRは、8.3g/10minであった。
(6) 物性測定
実施例1(4)で得られた重合体を用いて、前記した方法によりプレスシートサンプルを作成し、得られたプレスシートの物性測定を行った。密度=0.8803g/cm3,D硬度=56,引張弾性率=218MPa、引張破断点伸び=891%,内部光線透過率=86.0%、融点=143.2℃であった。得られたプレスシートは、柔軟性・透明性・耐熱性ともに良好であり、かつ、べたつきもなかった。
【0070】
比較例1
(1) ジクロロ{1,1′−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのラセミ体の合成
2−フルオロ−4−ブロモビフェニル(6.35g,25.3mmol)を、ジエチルエーテル(50ml)とn−ヘキサン(50ml)の混合溶媒に溶かし、t−ブチルリチウムのn−ペンタン溶液(33ml,50.6mmol,1.54N)を−78℃で滴下した。−10℃で2時間攪拌し、この溶液に2−エチルアズレン(3.55g,22.8mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。n−ヘキサン(30ml)を加え、上澄みをデカンテーションで除去した。さらに、この操作をもう一度繰り返した。得られた黄色沈殿に、0℃でn−ヘキサン(30ml)とテトラヒドロフラン(40ml)を加えた。次いで、N−メチルイミダゾール(50μl)とジメチルジクロロシラン(1.4ml,11.4mmol)を加え、室温まで昇温し、室温で1時間攪拌した。この後、希塩酸を加え、分液して後有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去すると、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−1,4−ジヒドロアズレン)の粗生成物(8.3g)が得られた。
【0071】
次に、上記で得られた粗生成物をジエチルエーテル(30ml)に溶かし、−70℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(14.9ml,22.8mmol,1.53N)を滴下し、徐々に昇温して、室温で一夜攪拌した。さらに、トルエン(200ml)を加え、−70℃に冷却し、四塩化ハフニウム(3.6g,11.4mmol)を加え、徐々に昇温し、室温で4時間攪拌した。得られたスラリーから、減圧下に大部分の溶媒を留去し、ジエチルエーテル(50ml)を加え、得られたスラリーを濾過した。ジエチルエーテル(5ml×2)、エタノール(15ml×2)、n−ヘキサン(10ml×2)で洗浄すると、ジクロロ{1,1′−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのラセミ・メソ混合物(4.53g,収率42%)が得られた。得られたラセミ・メソ混合物を1H−NMRで分析した結果、ラセミ体76.6%、メソ体23.4%の混合物であることがわかった。
【0072】
ここで得られたラセミ・メソ混合物(4.5g)をジクロロメタン(35ml)に懸濁し、高圧水銀灯(100W)を用いて1時間光照射した。減圧下に溶媒を留去し、得られた固体にトルエン(25ml)とジクロロメタン(11ml)を加え、60℃に加熱すると均一溶液となった。減圧下にジクロロメタンを留去すると結晶が析出した。得られた結晶を濾過して、ヘキサン(5ml)で2回洗浄し、減圧下乾燥すると、ラセミ体(1.79g)が得られた。
(2) プロピレン−エチレンブロック共重合
錯体として、比較例1(1)で得られたものを使用した以外は、実施例1(4)と同様にして重合を行った。最終的に得られたプロピレン系樹脂組成物は、798gであった。
(3) プロピレン−エチレンブロック共重合体の分析
得られたブロック共重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。n−デカン可溶分は、23.5重量%であった。また、該n−デカン可溶分中のエチレン含量は、4.7mol%であった。また、ブロック共重合体のMFRは、7.8g/10minであった。
(4) 物性測定
比較例1(2)で得られた重合体を用いて、前記した方法によりプレスシートサンプルを作成し、得られたプレスシートの物性測定を行った。密度=0.8885g/cm3,D硬度=62,引張弾性率=511MPa、引張破断点伸び>854%,内部光線透過率=65.3%、融点=157.2℃であった。得られたプレスシートは、柔軟性・透明性ともに、実施例1で得られたものと比較して不良であった。
【0073】
比較例2
(1) ジクロロ{1,1′−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのメソ体の合成
比較例1(1)で得られたジクロロ{1,1′−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのラセミ・メソ混合物(4.53g,収率42%)からジエチルエーテルを用いてラセミ体の沈殿を得、この操作を繰り返し行うことにより、メソ体の濃度を高め、ジエチルエーテルを減圧下に除去してメソ体リッチな錯体混合物を得た。得られた混合物からジエチルエーテルを用いてメソ体を選択的に抽出し、再びジエチルエーテルを減圧下に除去し、n−ヘキサンで洗浄してジクロロ{1,1′−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのメソ体150mgを得た。
(2) プロピレン・エチレンブロック共重合
実施例1(2)で得られた化学処理モンモリロナイト(1.02g)を200℃で2時間減圧乾燥した。これに、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.50mmol/ml,4.0ml)を加え、室温で30分間撹拌した。この懸濁液にトルエン(25ml)を加え、撹拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返して粘土スラリーを得た。ついで、このスラリーから別のフラスコに、粘土として50mg分のスラリーを分取した。
【0074】
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(3.0μmol)と、比較例2(1)で得られたmeso−ジクロロ{1,1′−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウム(1.5μmol)を加えてあらかじめ反応させトルエン溶液とした。この錯体溶液全量を上記で分取した粘土スラリーに加え、室温で1時間撹拌し、触媒スラリーを得た。
【0075】
次いで、内容積5リッターの誘導撹拌式オートクレーブ内に、上記触媒スラリーを全量導入した。さらに、トリイソブチルアルミニウム(0.06mmol)を含有するトルエン(90ml)を導入し、オートクレーブ内に、30℃で液化プロピレン(30ml)を導入し、30℃で90分間予備重合を行った。
【0076】
以下、引き続き実施例1(4)と同様に重合を行い、プロピレン系樹脂組成物23gを得た。
(3) プロピレン−エチレンブロック共重合体の分析
得られたブロック共重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。n−デカン可溶分は、99.6重量%であった。また、該n−デカン可溶分中のエチレン含量は、9.6mol%であった。また、ブロック共重合体のMFRは100g/10min以上であったが、分子量が小さく正確な値は測定できなかった。得られたブロック共重合体は、透明性が高く、柔軟ではあったが、べたつきがひどく、成形不能であった。
比較例3
(1) プロピレン−エチレンブロック共重合
錯体として、比較例1(1)で得られたものを使用し、2段目の気相部のエチレン濃度が76mol%になるようにした以外は、実施例1(4)と同様にして重合を行った。最終的に得られたプロピレン系樹脂組成物は、731gであった。
(2) プロピレン−エチレンブロック共重合体の分析
得られたブロック共重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。n−デカン可溶分は、52.8重量%であった。また、該n−デカン可溶分中のエチレン含量は、43.1mol%であった。また、ブロック共重合体のMFRは、10.2g/10minであった。
(3) 物性測定
比較例3(2)で得られた重合体を用いて、前記した方法によりプレスシートサンプルを作成し、得られたプレスシートの物性測定を行った。密度=0.8881g/cm3,D硬度=57,引張弾性率=431MPa、引張破断点伸び>883%,融点=157.0℃であった。得られたプレスシートは、柔軟性は優れていたが、白色で透明性がきわめて不良であり、内部光線透過率の正確な測定はできなかった。
以上の結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、柔軟性・透明性・耐熱性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体が得られる。よって、本発明は工業的にきわめて価値が高い。
Claims (8)
- エチレン含有量が1モル%以上10モル%未満であり、n−デカン可溶分量が30重量%超過90重量%以下でn−デカン可溶分中のエチレン含有量が1モル%以上20モル%未満であり、MFRが0.01g/10min以上100g/10min以下であることを特徴とするプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- n−デカン可溶分中のエチレン含有量が1モル%以上10モル%未満であることを特徴とする請求項1記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- プロピレンブロックとプロピレン−エチレン共重合体ブロックとから成ることを特徴とする請求項1又は2記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- 炭素数4〜20の不飽和炭化水素が共重合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- 炭素数4〜20の不飽和炭化水素の共重合量が2モル%以下であることを特徴とする請求項4記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- エチレン含有量が1モル%以上5モル%未満であり、n−デカン可溶分量が30重量%超過50重量%以下でn−デカン可溶分中のエチレン含有量が1モル%以上10モル%未満であり、MFRが0.2g/10min以上50g/10min以下のプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、該ブロック共重合体がプロピレンブロックと、該ブロック共重合体に対して2モル%以下の炭素数4〜20の不飽和炭化水素が共重合されていてもよいプロピレン−エチレン共重合体ブロックとから成ることを特徴とするプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- メタロセン触媒の存在下に第1段階でプロピレンの重合を行い、次いで第2段階でプロピレンとエチレンとの共重合を行う過程を経て製造されたものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
- 第1段階での重合量が全重合量の30重量%超過80重量%未満であることを特徴とする請求項7記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
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