JP6439280B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
だが、これらのプロピレン系ブロックコポリマーを製造する際には、リビング重合触媒が用いられている。リビング重合触媒は、理論上1つの触媒分子から1本のポリマー鎖しか得られず、生産性が悪く、用途は比較的少量の高付加価値な分野に限定される。
特許文献1には、重合可能なマクロモノマーをソフトセグメント中に共重合した分岐鎖オレフィンコポリマーを含む、特定の物性を持つオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物ならびにその製造方法が開示されている。
特許文献3には、側鎖にアイソタクチックポリプロピレンセグメントを有し、主鎖にプロピレンエチレン共重合体を有する分岐プロピレン系共重合体を含む組成物が開示されている。
[1]α−オレフィン含有率が70mol%以下であるエチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、前記結晶性プロピレン重合体と、エチレンと、少なくとも1種の炭素数3〜20のα−オレフィンとを、下記一般式(I)に記載の遷移金属触媒の存在下で重合し、分岐構造オレフィン系重合体を得る工程(重合工程)を有することを特徴とする、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、
R1〜R5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、アリール基、およびシリル基から選ばれる少なくとも1種であり、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。またR1〜R5は、隣接するものが互いに結合し縮合環を形成していてもよく、R1〜R5から選ばれる少なくとも1つが、Zと2価の架橋基を形成していてもよい。
Xは、モノアニオン性配位子、ジアニオン性配位子、および中性配位子から選ばれる少なくとも1種であり、mは、Xの数を示し、0〜5の整数である。
Zは、窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子または当該原子を含む置換基であって、前記窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子と、Mとの間で共有結合を形成するものを表わす。)
[3]前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上であることを特徴とする、上記[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、
[4]前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量([Mn(GPC)])が、50,000以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、
[5]前記熱可塑性エラストマー組成物の重量平均分子量が、400,000以下であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、
[6]前記結晶性プロピレン重合体を、下記一般式(II)に記載の遷移金属化合物を用いて重合する工程を有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
[7]前記熱可塑性エラストマー組成物中に含まれる前記結晶性プロピレン重合体の含有率が、50質量%以下であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、に存する。
本発明の製造方法で得られる熱可塑性エラストマー組成物(以下、「本発明の組成物」と称することがある。)は、エチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体(以下、「本発明の分岐構造オレフィン系共重合体」と称することがある。)を含む熱可塑性エラストマー組成物である。
以下、本発明の組成物を構成する各成分についてさらに詳細に説明する。
本発明の組成物は、本発明の分岐構造オレフィン系共重合体を構成成分として含む。
該分岐構造オレフィン系共重合体は、主鎖がエチレンおよびα−オレフィンの共重合体であり、側鎖が、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体(以下、「結晶性ポリプロピレンマクロモノマー」と称することがある。)に由来するものである。
但し、通常、本発明の分岐構造オレフィン系共重合体は、重合生成物中において、未反応原料等との混合物として存在するため、これを単離し、単独でその分子量を評価することは事実上不可能である。したがってこの分子量は後に述べられる組成物全体の分子量として評価される。
本発明の分岐構造オレフィン系共重合体の主鎖は、エチレン/α−オレフィン共重合体、すなわちエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。
エチレンおよびα−オレフィンの共重合体は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、非晶性またはゴム状物性を有する「ソフトセグメント」に相当する。前記主鎖は「ソフトセグメント」のドメイン特性に適するように、通常、低結晶性であり、好ましくは非晶質性である。
前記主鎖に用いられるジエンとしては、モノマー分子内に2つ以上の二重結合を有しているものであれば特に限定はされず、共役ジエン、非共役ジエンのいずれでもよく、またジエンは直鎖状でも分岐鎖を有していてもよく、分子内に環状構造を有していてもよい。
好ましいジエンとしては、共重合されやすい構造(例えば末端ビニル基やノルボルネン骨格)を有するものが、反応性の上で好ましい。またジエン中の二重結合部分の反応選択性が高いもの、すなわちジエン中の2つの二重結合のうち、一つの二重結合が共重合で消費され、一つの二重結合が、ポリマー中に二重結合として残るもの、が重合段階で架橋してしまうことがないため好ましい。
本発明において主鎖として用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体のガラス転移点(Tg)は、特に限定されるものではないが、そのガラス転移点(Tg)が、通常−30℃以下であり、好ましくは−50℃以下である。
本発明において主鎖として用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体の重合形式は、本発明のエラストマーの物性が得られる限りにおいては特に限定されないが、通常は主鎖中にα−オレフィンがランダムに共重合した形のエチレン/α−オレフィン共重合体である。
本発明の分岐構造オレフィン系共重合体の側鎖は、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来するものであり、いわゆる結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来するものである。本発明の組成物において、前記側鎖は結晶状態またはガラス状態である「ハードセグメント」として機能し、「ソフトセグメント」である主鎖部分と、互いに結合することで、エラストマーとしての性質を示すようになると考えられる。具体的には、前記側鎖が、「ハードセグメント」として分子間で互いに結晶化し、「ソフトセグメント」である主鎖部分を架橋することで、組成物にエラストマーとしての性質を与える。ポリプロピレンの結晶は、他の結晶性ポリオレフィンの中でも特に剛直であり、それゆえに結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する側鎖はハードセグメントとしての性能が特に高いと考えられる。また立体規則性の高いものは融点が高く、SBCやポリエチレン系のハードセグメントを含む組成物に比べ、特に高い耐熱性を有すると考えられる。
結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの末端ビニル基とは、プロピレン重合の終了末端において、β−水素脱離やβ−メチル脱離などが起こることによって末端に不飽和結合が生じ、その生じた不飽和結合の4つの置換基のうち3つの置換基が水素原子であることを指す。この末端ビニル基は1−プロペニル基とも呼ばれる。通常、このビニル基以外の不飽和末端、例えばビニリデン基や内部オレフィンなどは、配位重合によって挿入されることは困難であり、配位重合によって結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを共重合しようとする際には特に末端がビニル基であることが重要である。
ここで[Mn(GPC)]はGPCによって測定されるマクロモノマーの数平均分子量、[Mn(NMR)]は全てのマクロモノマー分子において、各分子の一方の末端がすべてビニル基、もう一方の末端がすべてアルキル基であると仮定した場合、NMR測定により求められるビニル基以外のアルキル炭素(sp3炭素)上の総プロトン数より計算されるマクロモノマーの数平均分子量である。
また結晶性ポリプロピレンマクロモノマーとしては、剛性および耐熱性を阻害しない限り、結晶性ポリプロピレン側鎖を持つ、分岐型の結晶性ポリプロピレンマクロモノマーであってもよい。
り耐熱性が向上する点で好ましい。アイソタクチックペンタッド分率の上限は本発明の目的を阻害しない限り特に制限はされないが、通常計算上の上限である1.00が上限である。
結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの数平均分子量は、通常50,000以下、好ましくは30,000以下であり、より好ましくは10,000以下である。また前記マクロモノマーの数平均分子量(Mn)は通常1,000以上、好ましくは3,000以上である。結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの数平均分子量が前記上限超過では、重合反応に用いるマクロモノマーの重量に対する、マクロモノマーの分子数が著しく低下するため、結果的に、分岐構造オレフィン系共重合体中に導入される側鎖の本数が著しく低下する。本発明の組成物が、エラストマーとしての機能を発現するためには、本発明の分岐構造オレフィン系共重合体分子の主鎖1本あたり少なくとも2本以上の側鎖、すなわち2か所以上の物理的架橋点が必要となるが、側鎖の本数が低下することにより、分岐構造オレフィン系共重合体中の十分な数の物理的架橋点が得られなくことがあるため、エラストマー性能を損なうことがある。また、本発明に用いられる結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの分子量が前記下限未満では側鎖間の絡み合いが困難になり、ポリマー鎖間の物理的架橋点の成長が促進されないことで同じく組成物全体としてのエラストマー性能が低下することがある。
本発明の分岐構造オレフィン系共重合体に含まれる結晶性プロピレンマクロモノマー由来の側鎖の含有率は、特に限定されるものではないが、原料(マクロモノマー)換算で、分岐構造オレフィン系共重合体を構成する全原料全モノマーに対し、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。この割合が前記下限未満では実質的に側鎖を含むコポリマー鎖が少なく、ポリマー鎖間の物理的架橋が形成されにくい傾向がある。また前記上限超過では、組成物全体の柔軟性が乏しくなる傾向があり、熱可塑性エラストマーとして要求される性質に適さない場合がある。
本発明で用いられる結晶性ポリプロピレンマクロモノマー、具体的には前記アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマー、または前記シンジオタクチックポリプロピレンマクロモノマーを製造する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のマクロモノマーの製造方法を適宜用いることができ、高結晶性のポリプロピレンマクロモノマーを効率よく製造可能な方法が好ましい。より具体的には、遷移金属化合物を用いたプロピレンの配位重合によって製造され、重合終了末端が高い割合でビニル基となる手法が経済的な観点から好ましい。
32,2120)等を挙げることができる。
このうち高立体規則性と高ビニル選択性の両立の観点から、特定の置換基を持つビス(フェノキシイミン)チタン錯体を用い、プロピレンの2,1−挿入からのβ水素脱離によって、シンジオタクチックポリプロピレンの末端にビニル基を選択的に導入する方法が好ましい。
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素、酸素、または硫黄を含有する複素環基は、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、または置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、および置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
なお前記一般式(II)で表わされる遷移金属化合物は、通常、後述する共触媒と組み合わせて用いられる。好ましくは有機アルミニウムオキシ化合物、触媒前駆体と反応してこれをカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、イオン交換性層状ケイ酸塩などが共触媒として用いられ、特に好ましくは有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状ケイ酸塩が用いられる。また上記組み合わせにおいて、さらに有機アルミニウム化合物を組み合わせて用いてもよい。
重合温度、重合圧力および重合時間にも特に制限はないが、通常は、生産性や末端ビニル基の選択性を考慮して、適宜設定を行なうことができる。
重合温度としては、通常0℃以上、好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上、特に好ましくは70℃以上、また、通常150℃以下、好ましくは100℃以下の範囲である。重合圧力としては、通常0.01MPa以上、好ましくは0.05MPa以上、更に好ましくは0.1MPa以上、また、通常100MPa以下、好ましくは20MPa以下、更に好ましくは5MPa以下の範囲である。この方法で製造した場合、結晶性ポリプロピレンマクロモノマー分子の末端は、通常は、重合反応の開始末端がアルキル基、重合反応の終了末端が高い確率でビニル基になるためである。なおこの場合、マクロモノマー分子の両方の末端がビニル基になる可能性は、通常極めて低くなる。
(1)構成成分
本発明の組成物は、以下の本発明の分岐構造オレフィン系共重合体(以下「(A)成分」と称することがある)を含む。
(A)エチレンおよびα−オレフィンの共重合体よりなる主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体
本発明の組成物のそれ以外の構成成分としては、本発明の目的の物性を満たす範囲において特に限定されるものではないが、通常、以下の(B)および(C)の成分を含むものである(以下、それぞれ「(B)成分」、「(C)成分」と称することがある)。
(C)結晶性ポリプロピレンマクロモノマー
このうち(A)成分は、<分岐構造オレフィン系共重合体>として前述した本発明の分岐構造オレフィン系共重合体に相当する。
(B)成分は通常、上記共重合体(A)成分の合成反応において生成するエチレン/α−オレフィン共重合体中にマクロモノマーが取り込まれず、主鎖成分のみとなったポリマーに相当する。
本発明の組成物中に含まれる上記(A)、(B)および(C)成分の割合に特に限定はないが、目的の物性を満たすように任意に調整される。好ましくは(B)成分、(C)成分の含有量が少ないものであり、より好ましくは本発明の組成物は(A)成分だけで構成されるものである。
本発明の組成物中に含有される結晶性ポリプロピレンマクロモノマーおよび結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する成分、即ち、上記(C)成分と、(A)成分に側鎖として導入された結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する成分の合計の含有量は30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。一方、この含有量は1質量%以上、特に5質量%以上であることが好ましい。
本発明の組成物は物性値として、上記(1)構成成分の(A)成分、(B)成分、および(C)成分の混合物として評価されるため、通常(A)成分の主鎖であり、かつ(B)成分そのものでもあるエチレンおよびα−オレフィンの共重合体に由来するガラス転移点を有し、かつ(A)成分の側鎖であり、(C)成分そのものでもある結晶性ポリプロピレンマクロモノマーに由来する融点を有する。
上記範囲内の分子量の組成物とすることにより、組成物の溶融流動性が改善されることで成型加工性が改善され、加工しやすいエラストマーを得ることができる。
具体的には、高い破断点伸びを示す組成物であり、特に限定はされないが、通常500%以上、好ましくは700%以上、より好ましくは800%以上の破断点伸びを示す。
前記破断点伸びは、高いほどエラストマーとしての性能に優れるものであるが、前記下限未満ではエラストマーとして、特に高変形率が求められる用途での使用が制限されることがある。
(1)熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
本発明の組成物の製造方法は、目的の組成物が得られる範囲においては、特に限定されるものではなく、エチレンおよびα−オレフィンの共重合体よりなる主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体(A成分)を含み、通常、エチレンおよびα−オレフィンの共重合体(B成分)、結晶性ポリプロピレンマクロモノマー(C成分)を含む組成物を形成すればよい。具体的には(A)〜(C)の各成分をそれぞれ合成し、これらを混合して組成物にする方法や、(A)成分を製造することにより、(A)成分と(A)成分の反応原料である(C)成分と、(A)成分の合成反応において副生する(B)成分との組成物を形成する方法等が挙げられる。
(a)片末端にビニル基を有し、アイソタクチックペンタッド分率が0.80以上であり、かつ数平均分子量が50,000以下である結晶性プロピレン重合体
(b)エチレン
(c)少なくとも1種の、炭素数3〜20のα−オレフィン
または下記(a’)、上記(b)、および(c)成分を混合する混合工程と、遷移金属触媒の存在下で、前記主鎖中の(c)α−オレフィン含有量が好ましくは5mol以上、70mol%以下になるように下記(a’)、上記(b)および(c)成分を配位重合させる重合工程とを含む方法が用いられる。
上記(b)成分、および(c)成分は、前記分岐構造オレフィン系共重合体のうち、主鎖部分を形成する原料に相当する。
(b)エチレンは、特に限定されるものではなく、精製したもの、各種石油化学プラントから得られるもの等が用いられるが、品質面で精製したエチレンが好ましい。
(c)成分としては、プロセス、経済性、物性の観点から、(c−1)少なくとも1種の炭素数3〜8のα−オレフィンが好ましい。
(a’)成分は、1種を単独で用いても、シンジオタクチックペンタッド分率や数平均分子量が異なるものの2種以上を併用してもよい。
また混合の順序については特に限定されるものではなく、上記各成分を一括で仕込んで混合しても、重合反応中に追加添加して混合してもよいが、(c)のα−オレフィンについては、製造される分岐構造オレフィン系共重合体の主鎖中α−オレフィン含有率が70mol%以下となるように、好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上、好ましくは60mol%以下、より好ましくは50mol%以下となるように、用いる遷移金属触媒の性質に応じてその混合量が適宜調整される。
好ましくは、上記混合をした後、(a)成分または(a’)成分が、重合の際に使用される溶媒に溶解して、または溶融して、重合開始時に均一状態になっていることが好ましい。
この比率は、特に限定はされないが、通常は、後述する本発明のエラストマー組成物中の前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの総添加量の比率以下の値となる。具体的には、(b)エチレン、そして(c)成分がプロピレン、ブテンである場合は気体であるため、通常は(b)、(c)成分は、実際に製品中に含まれる全量に対して多く添加する。この場合、本発明のエラストマー組成物中の前記結晶性ポリプロピレンマクロモノマーの総添加量の比率よりも小さい値になり、混合した前記(b)成分および(c)成分の全量が過不足なく、主鎖に完全に取り込まれた場合は、これらの値は同じになる。
(遷移金属触媒)
本発明の製造方法は、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーと、エチレンと、少なくとも1種類の炭素数3〜20のα−オレフィンとを、下記一般式(I)に記載の遷移金属触媒の存在下、重合を行なう。すなわち、上記の重合工程を下記一般式(I)に記載の遷移金属触媒の存在下で行なう。下記一般式(I)に記載の遷移金属触媒を用いて重合することで、加工性が良好で、透明性のあるエラストマー組成物が得られる。
Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し、好ましくはチタンまたはハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
ここでヘテロ原子とは、水素原子、炭素原子以外の原子をいい、具体的には酸素、窒素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、硫黄、ハロゲンから選ばれる少なくとも1種の原子である。
R1〜R5は、2つの隣接するものが互いに結合し縮合環を形成していてもよい。具体的には縮合環として、式(I)の共役5員環(シクロペンタジエニル環)を含む置換インデニル基、置換アズレニル基、置換フルオレニル基等を形成してもよい。
前記架橋基を形成する場合のR1〜R5は、炭素数1〜20のアルキレン基、ヘテロ原子含有アルキル基であり、具体的には炭素数1〜20のアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられ、好ましくは置換基を有していてもよいシリレン基であり、より好ましくは炭素数1〜20のアルキル基を有するシリレン基である。
Zは、窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子または当該原子を含む置換基であって、前記窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子が、Mとの間で共有結合を形成するものを表わす。前記窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子のうち、窒素または酸素が好ましい。
上記一般式(I)の遷移金属触媒において好ましいものとして、下記一般式(I−1)の遷移金属触媒が挙げられる。
R5は、上記式(I−1)におけるR5の定義と同義である。R6は、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、アリール基またはシリル基であり、好ましくはシリル基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよく、好ましい置換基は炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。
ジメチルシリル(シクロドデシルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジクロライド、ジメチルシリル(シクロドデシルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチル、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2、3-ジメチルインデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-4-インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(3-フェニルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(3、4-ジフェニルシクロペンタジエニル)ジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(シクロペンタ[l]フェナントレン-2-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(3-フェニルインデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(3-フェニル-1、5、6、7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(フルオレン-9-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(テトラヒドロフルオレン-9-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(オクタヒドロフルオレン-9-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレン-9-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)ジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)ジクロライド、ジメチルシリル(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン-1-イル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)チタニウムジクロライド。
R7〜R10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、アリール基、およびシリル基から選ばれる少なくとも1種であり、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。R1〜R5のうち、2つの隣接するものが互いに結合し縮合環を形成していてもよい。
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3-t-ブチル-5-メチル2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエニル)(3-t-ブチル-5-メチル2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(フルオレン-9-イル)(3-t-ブチル-5-メチル2-フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリル(2,7-ジ-t-ブチルフルオレン-9-イル)(3-t-ブチル-5-メチル2-フェノキシ)チタニウムジクロライド。
シクロペンタジエニル(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)チタニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)チタニウムジクロリド、tert‐ブチルシクロペンタジエニル(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)チタニウムジクロリド、シクロペンタジエニル(2,6-ジフェニルフェノキシ)チタニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6-ジフェニルフェノキシ)チタニウムジクロリド、tert‐ブチルシクロペンタジエニル(2,6-ジフェニルフェノキシ)チタニウムジクロリド、シクロペンタジエニル(2,2,4、4-テトラメチルペンタン-3-イリデンアミノ)チタニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,2,4、4-テトラメチルペンタン-3-イリデンアミノ)チタニウムジクロリド、tert-ブチルシクロペンタジエニル(2,2,4、4-テトラメチルペンタン-3-イリデンアミノ)チタニウムジクロリド。
前記遷移金属触媒(以下、成分[D]または、「触媒前駆体」という)の各々は、各種公知の共触媒、好ましくは、カチオン形成性共触媒、強ルイス酸もしくはそれら双方と組み合わせることにより、活性化させて活性触媒組成物を形成することができる。
本発明においては、通常下記の成分[E−1]〜[E−4]から選ばれる少なくとも1つの成分を共触媒(以下、成分[E]とも表す)として用いることが好ましい。
成分[E−1]:有機アルミニウムオキシ化合物
成分[E−2]:触媒前駆体と反応して、これをカチオンに交換することが可能なイオン性化合物
成分[E−3]:ルイス酸
成分[E−4]:層状化合物
成分[E−1]の有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、次の一般式(III−1)、(III−2)、(III−3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(III−1)および(III−2)で表される化合物は、有機アルミニウムオキシ化合物(以下、「アルミノキサン」と称することがある。)であって、一種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、メチルアルミノキサン等の一種類のトリアルキルアルミニウムと水とから得られるアルミノキサンや、メチルエチルアルミノキサン等の2種類以上のトリアルキルアルミニウムと水とから得られる、2種類以上のアルキル基を有するアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン、メチル−n−オクチルアルミノキサンがより好ましい。
上記の有機アルミニウムオキシ化合物は、複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
ン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が含まれる。好ましく用いられるのはトリフェニルカルボニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、メチルジオクタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウムである。
層状化合物としては、具体的に、以下に挙げる無機珪酸塩と、イオン交換性層状化合物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これら具体例のうち好ましくは、カオリン族、ハロサイト族、蛇紋石族、スメクタイト、バーミキュライト鉱物、雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、より好ましくはスメクタイト、バーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトであり、さらに好ましくはモンモリロナイトである。
成分[E−1]から[E−4]のうち、好ましくは[E−1]の有機アルミニウムオキシ化合物、成分[E−2]のカチオンに交換することが可能なイオン性化合物、成分[E−3]のルイス酸が用いられ、特に好ましくは[E−1]の有機アルミニウムオキシ化合物である。
本発明の重合工程において、上述の触媒前駆体成分[D]および共触媒成分[E]の他に、任意成分として微粒子担体(以下、成分[F]とも表す)を共存させてもよい。成分[F]は、無機または有機の化合物からなるものであって、円相当径で通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常5mm以下、好ましくは2mm以下の粒径を有する微粒子状の担体である。
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの(共)重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素等の(共)重合体、などからなる多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる(ここで、「(共)重合体」とは「重合体」と「共重合体」の一方または双方をさす。)。
また、細孔容積は、通常0.1cm3/g以上、好ましくは0.3cm3/g以上、更に好ましくは0.8cm3/g以上である。
微粒子担体としては、上記例示の各種の無機担体及び/又は有機担体のうち、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
なお、本発明の重合工程で用いる触媒は、上記の成分[D]および成分[E]、並びに任意成分である上記の成分[F]の他に、本発明の趣旨を損ねない限りにおいて、以下の成分[G]等の他の成分を含有していてもよい。
上記重合工程において、触媒としてさらに下記一般式(VII)で表される有機アルミニウム化合物(以下、成分[G]とも表す)を用いてもよい。
[E]成分としての有機アルミニウムオキシ化合物[E−1]を用いる場合、モル基準で[D]成分量の少なくとも50倍で用いられる。[E]成分として、[E−2]成分、もしくは[E−3]成分のうち固体ルイス酸以外のものを用いる場合、その[D]成分に対するモル比は、通常0.5〜10、より好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜5であ
る。
本発明の製造方法における重合工程において、その条件は目的物が得られる範囲において特に制約はないが、好ましくは結晶性ポリプロピレンマクロモノマーと、エチレンおよびα−オレフィンが、同時に上記触媒(活性触媒組成物を使用する場合は、該組成物。以下同様)に接触することが好ましい。より好ましくはエチレンおよびα−オレフィンと、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを予め混合しておき、ここに上記触媒を接触させる方法である。さらに好ましくは、該ポリプロピレンマクロモノマーが溶融、あるいはモノマーまたは溶媒に実質的に溶解した状態で上記触媒と接触することが好ましい。結晶性ポリプロピレンマクロモノマーは重合前に一括投入されていても良いし、重合中に逐次、または連続的に投入されても良い。また結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを製造する工程と、結晶性ポリプロピレンマクロモノマーを他のオレフィンモノマーと共重合し、本発明の組成物を製造する工程とを連続的に行うこともできる。
上記重合に際して、製造される分岐構造オレフィン系共重合体の流動性が適当なものとなるように分子量(MFR)調整剤を使用することができる。分子量の調整には、重合中、触媒上に生成したポリマー連鎖を別の原子上に移動させ、別の原子に置き換えることで触媒活性種を再生させる手法が用いられ、このような効果を示す添加剤を連鎖移動剤と呼ぶ。この連鎖移動剤としては[D]成分である有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、水素などが通常重合活性に悪影響を与えない点で好ましく、特に製品への残留可能性が低い点で水素が好ましい。
本発明の組成物は、柔軟性、透明性、耐熱性に優れているため、従来のエチレン系材料、プロピレン系材料の他、軟質PVC、熱可塑性エラストマーが用いられている種々の分野において、単体として、あるいは主成分として、または添加剤として好適に用いることができる。
本発明の組成物またはその改質物のフィルム・シート分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。
すなわち、包装用ストレッチフィルム、業務用または家庭用ラップフィルム、パレットストレッチフィルム、ストレッチラベル、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シーラント用フィルム、レトルト用フィルム、レトルト用シーラントフィルム、熱溶着フィルム、熱接着フィルム、熱封緘用フィルム、バッグ・イン・ボックス用シーラントフィルム、レトルトパウチ、スタンディングパウチ、スパウトパウチ、ラミネートチューブ、重袋、繊維包装フィルム等の食品、雑貨等包装分野、ハウス用フィルム、マルチフィルム等の農業用フィルム分野、輸液バッグ、高カロリー輸液や腹膜透析用(CAPD)等の複室容器、腹膜透析用の排液バッグ、血液バッグ、尿バッグ、手術用バッグ、アイス枕、アンプルケース、PTP包装等の医療用フィルム・シート分野、土木遮水シート、止水材、目地材、床材、ルーフィング、化粧フィルム、表皮フィルム、壁紙等の建材関連分野、レザー、天井材、トランクルーム内張、内装表皮材、制震シート、遮音シート等の自動車部品分野、ディスプレーカバー、バッテリーケース、マウスパッド、携帯電話ケース、ICカード入れ、CD−ROMケース等の弱電分野、ハブラシケース、パフケース、化粧品ケース、目薬等医薬品ケース、ティッシュケース、フェイスパック等のトイレタリーまたはサニタリー分野、文具用フィルム・シート、クリアファイル、ペンケース、手帳カバー、デスクマット、キーボードカバー、ブックカバー、バインダー等の事務用品関連分野、家具用レザー、ビーチボール等の玩具、傘、レインコート等の雨具、テーブルクロス、ブリスターパッケージ、風呂蓋、タオルケース、ファンシーケース、タグケース、ポーチ、お守り袋、保険証カバー、通帳ケース、パスポートケース、刃物ケース等の一般家庭用、雑貨分野、再帰反射シート、合成紙等が挙げられる。また、基材に粘着材が塗布され、粘着性が付与されたフィルム・シート分野として、粘着テープ、マーキングフィルム、半導体またはガラス用ダイシングフィルム、表面保護フィルム、鋼鈑・合板保護フィルム、自動車保護フィルム、包装・結束用粘着テープ、事務・家庭用粘着テープ、接合用粘着テープ、塗装マスキング用粘着テープ、表面保護用粘着テープ、シーリング用粘着テープ、防食・防水用粘着テープ、電気絶縁用粘着テープ、電子機器用粘着テープ、貼布フィルム、バンソウコウ基材フィルム等医療・衛生材用粘着テープ、識別・装飾用粘着テープ、表示用テープ、包装用テープ、サージカルテープ、ラベル用粘着テープ等が挙げられる。
本発明の組成物またはその改質物の射出成形、押出し成形分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、電気・電子部品分野における電線、コード類、ワイヤーハーネス等の被覆材料、絶縁シート、自動車部品における、コントロールケーブル被覆材、エアーバッグ・カバー、マッドガード、バンパー、ブーツ、エアホース、ランプパッキン類、ガスケット類、ウィンドウモール等の各種モール、サイトシールド、ウェザーストリップ、グラスランチャンネル、グロメット類、制震・遮音部材、家電、弱電分野における各種パッキン類、グリップ類、ベルト類、足ゴム、ローラー、プロテクター、吸盤、冷蔵庫等のガスケット類、OA機器用各種ロール類、ホース、チューブ等の管状成形体、異型押し出し品、レザー調物品、咬合具、ソフトな触感の人形類等の玩具類、ペングリップ、ハブラシ柄等の一般雑貨類、ハウスウェア、タッパーウェア等の容器類、結束バンド、ブロー成形による輸液ボトル、食品用ボトル、化粧品用等のパーソナルケア用のボトル等各種ボトル、医療用部品におけるカテーテル、シリンジ、シリンジガスケット、点滴筒、チューブ、ポート、キャップ、ゴム栓、ディスポーザブル容器等、が挙げられ、また、発泡成形による用途も可能である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物またはその改質物の繊維、不織布分野における用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、連続紡糸、連続捲縮糸、短繊維、モノフィラメント等の繊維、フラットヤーン、メルトブロー法、スパンボンド法による不織布にすることにより、紙おむつ等の衛材、手術用衣服、手袋等の医療用、カーペット、その裏地、ロープ等の用途が挙げられる。また、これら不織布やモノフィラメント、フラットヤーン、スリットテープ等の編物と、フィルム・シートのラミネートによる、帆布、テント材、幌、フレキシブルコンテナー、レジャーシート、ターポリン等が挙げられる。
本発明の組成物またはその改質物は、ポリプロピレンとの親和性に優れていることから、ポリプロピレンの改質に好適に使用することができる。改質により、柔軟性、透明性、靭性等のほか、熱シール性、耐衝撃性、添加剤との親和性が改良され、成形体表面の改良にも使用することができる。また、その熱融着性を生かしたホットメルト接着剤、タッキファイヤー、アスファルト改質、ビチューメン改質、防水加工紙等も用途の一例として挙げられる。
なお以下の実施例における物性測定、分析等は下記の方法に従ったものである。
熱可塑性エラストマー組成物の重量平均分子量(Mw)は、GPC測定により求めた。GPC測定は、Waters社製アライアンスGPCV2000を用い、検出器には示差屈折計と粘度計を用いて行った。カラムは東ソー社製TSKgel GMH6−HTを4本用いた。
移動相溶媒にはオルトジクロロベンゼンを用い、135℃、1.0mL/minで流出させた。得られたデータはPolymer Laboratories社製の単分散標準ポリスチレンを用い、その保持時間から汎用校正曲線法によりポリエチレンに換算して算出した。用いた数値は、Kpst=1.38E−4、αpst=0.70、Kpe=4.77E−4、αpe=0.70である。
ポリマーの融点(Tm)並びにガラス転移点(Tg)の測定は、DSC測定により行った。DSC測定は、PerkinElmer社製「DiamondDSC」を使用し、20℃で1分等温、10℃/分で20〜210℃までの昇温、210℃で5分等温、10℃/分で210〜−70℃まで降温、−70℃で5分等温の後、10℃/分で−70〜210℃までの昇温時の測定により求めた。
片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレンマクロモノマーの数平均分子量([Mn/NMR])は、1H-NMRスペクトルを測定し、全てのマクロモノマー分子の片末端をビニル基と仮定した場合のアルキル基の総プロトン数より求めた。また該マクロモノマーの立体規則性(アイソタクチックペンタッド分率、シンジオタクチックペンタッド分率)は、ポリマーの13C−NMRスペクトルの測定より求めた。
熱可塑性エラストマー組成物の密度は、電子比重計(アルファミラージュ社製「SD−200L」)を用いて、水置換法により23℃で測定した。
熱可塑性エラストマー組成物のエラストマーとしての物性値(破断点伸び、破断点強さ、弾性回復率)は、得られた熱可塑性エラストマー組成物の成形品を評価することにより求めた。
熱可塑性エラストマー中に含有するマクロモノマーの量は、昇温溶出分別法(TREF法)による溶出成分の量により測定した。具体的には、クロス分別クロマトグラフ(CFC)により、測定をおこなった。
CFCは、結晶性分別を行う昇温溶出分別(TREF)部と、分子量分別を行うゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)部を有する。このCFCを用いた分析を以下のように行った。以下に記載の各溶出温度での溶出量を順に測定した。
測定装置 :ダイヤインスツルメンツ社製 CFC−T102L
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム(ジーエルサイエンス社製 )
カラム充填剤 : 表面不活性処理ガラスビーズ FlusinGH 80/100メッ シュ(ジーエルサイエンス社製)
GPCカラム :昭和電工社製 AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒 :オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度 :3mg/mL
注入量 :0.4mL
結晶化速度 :1℃/分
溶媒流速 :1mL/分
GPC測定時間:34分
GPC測定後安定時間:5分
溶出温度 :
0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,50,60,70,80,85,90,94,98,102,106,110,114,118,122,125,130,140℃
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1AIR検出器
測定波長:3.42μm
測定する樹脂組成物を、0.5mg/mLのブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含むオルトジクロロベンゼン(ODCB)に140℃で完全に溶解し、測定試料溶液とした。この試料溶液を上記測定装置のサンプルループを経て、140℃に保持されたTREFカラムに注入し、所定の第1溶出温度まで徐々に冷却しポリマーサンプルを結晶化させる。所定の温度で30分保持した後、ODCBをTREFカラムに通液することにより、溶出成分がGPC部に注入されて分子量分別が行われ、赤外検出器によりクロマトグラムが得られる。その間TREF部では次の溶出温度に昇温され、第1溶出温度のクロマトグラムが得られた後、第2溶出温度での溶出成分がGPC部に注入される。以下同様の操作を繰り返すことにより、各溶出温度での溶出成分のクロマトグラムが得られる。
上記CFC測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
また、各クロマトグラムから、次の手順により分子量分布が求められる。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下のものである。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10-4、α=0.7
PP : K=1.03×10-4、α=0.78
なお、第1溶出温度でのクロマトグラムでは、溶媒に添加したBHTによるピークと溶出成分の低分子量側とが重なる場合があるが、その際は図1のようにベースラインを引き、分子量分布を求める区間を定める。
マクロモノマー残存率の計算は以下のように実施した。
まずTREFによって75℃以上に溶出した成分を、重合によって消費されなかった残存マクロモノマーと定義し、CFC溶出曲線から75℃以上溶出成分の質量分率を求めた。
一方、重合によって得られた重合体中に含まれる、マクロモノマーに由来する成分の質量分率は、初期に導入したマクロモノマー質量を得られた重合体の質量で割ることによって算出した。
これにより、マクロモノマー残存率を以下の通り計算した。
[マクロモノマー残存率(%)]=[75℃以上溶出成分(質量%)]/[重合体中マクロモノマー由来成分(質量%)]×100
全光線透過率の測定は、JIS K7361−1に従って実施された。
測定にはプレス成型もしくは射出成型によって作成された2mm厚のシートを使用した。
使用機器 :日本電色工業株式会社製 濁度計(曇り度計)NDH2000
測定方法 :シングルビーム法
光源 :D65/A
標準合わせ:空気層(0.100合わせ)
サンプル約5gを190℃、5MPaで約3分間プレス成形し、約0.5mm厚のシートを作成した。これをJIS K6251(加硫ゴムの引っ張り試験方法)に記載のダンベル状8号型用打ち抜き刃にて裁断し、試験片を作成した。
測定器はオリエンテック社製STA−1225を用いた。チャック間距離を20mmとし、試験片を15mm/分の速度で単調に破断するまで伸長させ、破断時の伸びと強さを記録した。
また試験片を同じ速度で300%(=60mm)伸長させた後、クロスヘッド方向を反転させ、同じ速度で応力がゼロになるまで収縮させた。応力がゼロに到達した時点での伸びを記録し、この残留伸びから弾性回復率を計算した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、それぞれ厚み1.0mmのスペーサーを用いて200℃で熱プレスし、室温まで放冷することで厚み1.0mmのシートを作成した。
このサンプルの弾性回復挙動から物性を評価した。
また同じ厚み1.0mmのシートを黒色の背景上に配置し、その白濁度合いから透明性を目視で評価した。
[rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド(以下、「錯体M1」)の合成]
錯体M1は、国際公開第2008/059969号の、製造例M−1に記載の方法に従って合成した。
[アイソタクチックポリプロピレンマクロモノマー(マクロモノマーA)の製造]
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、精製ヘキサン(1000mL)、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム社「MMAO−3A」 2.1mmol[Al換算原子])を6mL導入した。反応容器を70℃に加熱し、プロピレンを0.80MPaで飽和させ、製造例1で得られた錯体M1(4.0μmol)のトルエン溶液を反応容器に圧送し、重合反応を開始した。反応中、プロピレンを追加して反応器の圧力を0.80MPaに保った。60分後、エタノールを導入して反応を停止させた。得られたポリマーを濾取し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、280gのポリマーを得た。得られたマクロモノマーの数平均分子量([Mn(GPC)])は10900であり、13C−NMRによって測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は0.82であった。またDSCによって測定される融点(Tm)は138℃であった。
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル(錯体C1)の製造方法
錯体C1は、米国特許第6,265,338号明細書の実施例UTに記載の方法に従って合成した。
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例2で得られたポリプロピレンマクロモノマーA(4.0g)、変性メチルアルミノキサン(日本アルキルアルミ社「RMAO」4.2mmol[Al換算原子])、乾燥トルエン(500mL)を導入した。該反応器を100℃に加熱し、15分間攪拌した後、35℃まで冷却した。破裂板のついた触媒フィーダーに、製造例3で得られた錯体C1(5μmol)をトルエン(6mL)に溶解させ導入した。反応器を70℃に再び加熱し、プロピレンとエチレンの混合ガス(プロピレン/エチレン=35/65モル比)を重合槽に0.40MPaまで導入した後、精製窒素で触媒フィーダーより錯体C1のトルエン溶液を導入して反応を開始した。反応中、混合ガスを追加して反応器の圧力を0.40MPaに保った。30分後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを濾別し、濾取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、39.0gのポリマー(熱可塑性エラストマー組成物)を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性を表1に記す。
[(N−2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニルアミド)ジメチル(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン))ハフニウムジメチル(錯体C2)の合成]
錯体C2は国際公開第2008/112133号、Working Example 4に記載の方法に従って合成した。
精製窒素で置換された、攪拌翼を内蔵する内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブ内に、製造例2で得られたポリプロピレンマクロモノマー(4.0g)、トリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエン(BHT)の1:1混合物(100μmol)、乾燥トルエン(500mL)を導入した。触媒フィーダーに、錯体C2(40μmol)とトリスペンタフルオロフェニルボラン(44μmol)をトルエン(30mL)に溶解させ導入した。該反応器を100℃に加熱し、15分間攪拌した後、70℃まで冷却した。プロピレン30mLを重合槽に導入し、エチレンを重合槽に0.40MPaまで導入した後、窒素圧で触媒を導入して反応を開始した。反応中、エチレンを追加して反応器の圧力を0.50MPaに保った。30分後、エタノールを導入して反応を停止させた。反応器内のガスを放出し、反応溶液をエタノールに投入してポリマーを沈殿させた。ろ取したポリマーをさらにエタノールで洗浄し、一定量になるまで減圧下乾燥させ、20.4gのポリマーを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性を表1に記す。
比較例1において用いられるトリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエン(BHT)の1:1混合物(100μmol)を、トリイソブチルアルミニウム(200μmol)に変更した以外は比較例1と同様に反応を行い、33.8gのポリマーを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性を表1に記す。
と考えられる。
重合時間を20分とした以外は実施例1と同様に重合を行い、30.9gのポリマーを得た。得られたポリマーを、実施例1と同様の物性評価を行うとともに、クロス分別クロマトグラフ(CFC)を測定した。得られたグラフを図2に示した。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性と、CFCによる75℃以上溶出成分の割合及びマクロモノマーの残存率を表2に記す。
比較例1において用いられるトリイソブチルアルミニウム/ブチルヒドロキシトルエン(BHT)の1:1混合物(100μmol)を、トリイソブチルアルミニウム(300μmol)に変更した以外は比較例1と同様に反応を行い、33.8gのポリマーを得た。得られたポリマーの物性を表2に記す。またCFC測定の結果を図3に示した。
そして実施例2におけるマクロモノマー残存率は、比較例3に比べて大幅に低く、本発明に開示の触媒が高いマクロモノマー取り込み能力を有することは明らかである。また全光線透過率の測定結果から、実施例2と比較例3は、ほぼ同じマクロモノマー含量であるが、マクロモノマーが取り込まれた量が多い実施例2の重合体の透明性が向上している。
このことからマクロモノマー取り込み能力が、得られる重合体の透明性に寄与していることが強く示唆され、このことは本発明の方法により得られる効果であると考えられる。
Claims (7)
- α−オレフィン含有率が70mol%以下であるエチレン/α−オレフィン共重合体の主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、
前記結晶性プロピレン重合体と、エチレンと、少なくとも1種の炭素数3〜20のα−オレフィンとを、下記一般式(I)に記載の遷移金属触媒の存在下で、重合し、分岐構造オレフィン系共重合体を得る工程(重合工程)を有することを特徴とする、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
R1〜R5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、アリール基、およびシリル基から選ばれる少なくとも1種であり、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。またR1〜R5は、隣接するものが互いに結合し縮合環を形成していてもよく、R1〜R5から選ばれる少なくとも1つが、Zと2価の架橋基を形成していてもよい。
Xは、モノアニオン性配位子、ジアニオン性配位子、および中性配位子から選ばれる少なくとも1種であり、mは、Xの数を示し、0〜5の整数である。
Zは、窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子または当該原子を含む置換基であって、前記窒素、リン、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子と、Mとの間で共有結合を形成するものを表わす。) - 前記結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率が、0.80以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 前記結晶性プロピレン重合体のシンジオタクチックペンタッド分率が、0.60以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 前記結晶性プロピレン重合体の数平均分子量([Mn(GPC)])が、50,000以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 前記熱可塑性エラストマー組成物の重量平均分子量が、400,000以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 前記結晶性プロピレン重合体を、下記一般式(II)に記載の遷移金属化合物を用いて重合する工程を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 前記熱可塑性エラストマー組成物中に含まれる前記結晶性プロピレン重合体の含有率が、50質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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