JP6560044B2 - オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム - Google Patents

オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム Download PDF

Info

Publication number
JP6560044B2
JP6560044B2 JP2015146798A JP2015146798A JP6560044B2 JP 6560044 B2 JP6560044 B2 JP 6560044B2 JP 2015146798 A JP2015146798 A JP 2015146798A JP 2015146798 A JP2015146798 A JP 2015146798A JP 6560044 B2 JP6560044 B2 JP 6560044B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
olefin resin
olefin
cyclopentadienyl
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015146798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017025234A5 (ja
JP2017025234A (ja
Inventor
裕司 野口
裕司 野口
市野 光太郎
光太郎 市野
泰 柳本
泰 柳本
松木 智昭
智昭 松木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2015146798A priority Critical patent/JP6560044B2/ja
Publication of JP2017025234A publication Critical patent/JP2017025234A/ja
Publication of JP2017025234A5 publication Critical patent/JP2017025234A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6560044B2 publication Critical patent/JP6560044B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、該樹脂を含むペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴムに関する。
従来のエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体、例えばEPDMと、ポリプロピレン樹脂とを動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーは、架橋ゴムの代替として広く用いられているが、架橋ゴムと比較するとゴム弾性や機械物性などの点で改良の余地があった。
前述の物性を改良する方法として、エチレン系共重合体にプロピレン重合体セグメントを導入し、ポリプロピレン樹脂との相溶性を高めることが周知の技術手段として挙げられる。
例えば、特許文献1には、ハロゲン末端のオレフィン連鎖と、金属末端のオレフィン連鎖とを反応させる分岐型オレフィン系重合体の製造方法が開示されており、得られるブロックポリマーはポリプロピレン樹脂との相溶性に優れるとしている。しかしながら、この手法では、ポリマーへの官能基の導入やカップリング工程など反応工程が煩雑で生産性に劣ることや、各反応工程で生じる副生成物や残留基質による着色や異臭、溶出成分による汚染等、製品の品質面で問題が生じる懸念がある。
特許文献2では、可逆的連鎖移動技術を用い、エチレン・α−オレフィン系共重合体鎖と結晶性のプロピレン重合体鎖からなる直鎖上のブロック共重合体を得る方法が報告されており、該重合体を相溶化剤として用いたプロピレン系樹脂組成物は、剛性および強度に優れるとしている。しかしながら、この手法では可逆的連鎖移動剤が必要であることから、経済性に優れず用途が限定される。
一方、重合触媒技術を用いて経済的にエチレン系共重合体とポリプロピレンの分岐型共重合体を得ることで、ポリプロピレン樹脂との相溶性が高いエチレン系重合体を得る方法も開示されている。
たとえば、特許文献3、4および5には、エチレン系共重合体の主鎖ソフトセグメントとポリプロピレンの側鎖ハードセグメントを有する分岐型オレフィンポリマー組成物が、ポリプロピレン樹脂との親和性に優れる点で有用である旨の記載がされている。しかし、特許文献3にはプロピレン重合体を側鎖とするグラフト型オレフィンポリマーを含む組成物の具体例は開示されていない。また、特許文献4および5には、特定の重合触媒を用い、エチレン、α−オレフィンあるいはエチレン、α−オレフィン、ジエンの共重合体よりなる主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。しかし、特許文献4や5に開示された組成物は、結晶性プロピレン重合体を側鎖とする分岐型オレフィンポリマーを含むものの、開示されている技術では、グラフト型オレフィンポリマーの生成効率が低く、ポリプロピレン樹脂に配合して組成物とした場合に物性バランスの改良が不十分であると判明した。
高性能な動的架橋熱可塑性エラストマーを得るうえで適したポリプロピレン側鎖を高含量で導入した分岐型共重合体を得る場合であって、まず、前段重合で生成する末端ビニル型ポリプロピレンマクロモノマーを重合し(前段重合)、該マクロモノマーを用いる分岐型共重合体の重合(後段重合)を行う場合、該後段重合では、前記マクロモノマーを良好に溶解できる高温(例:90℃以上)にて、効率的に共重合可能かつ高分子量化可能な良共重合性触媒が必要とされる。
特開2009−227898号公報 特開2013−529705号公報 特開2001−527589号公報 国際公開第2013/061974号 特開2014−214204号公報
本発明が解決しようとする課題は、品質上問題となる副生成物などの含有量が少なく、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体鎖と結晶性のプロピレン重合体鎖とが化学的に結合した重合体を高含量で含むオレフィン系樹脂であって、プロピレン系樹脂との配合によりゴム弾性および機械物性にバランスよく優れる熱可塑性エラストマーを製造することが可能なオレフィン系樹脂、さらにその製造方法および該熱可塑性エラストマーを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の要件を満たすオレフィン系樹脂によれば、前記課題を解決できることを見出した。
本発明の構成例は、以下の[1]〜[11]である。
[1] 下記要件(I)〜(V)を満たすオレフィン系樹脂(β)。
(I)エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体からなる主鎖、およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む
(II)オレフィン系樹脂(β)に含まれるプロピレン重合体の割合Pが5〜60wt%の範囲にある
(III)オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク値が65℃未満である成分の、前記オレフィン系樹脂(β)の重量に対する割合をEwt%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値aが1.4以上である。
a=(100−E)/P ・・・(Eq−1)
(IV)示差走査熱量分析(DSC)による測定において、融点(Tm)が120〜170℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−30℃の範囲にある
(V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある
[2] オレフィン系樹脂(β)に含まれるエチレンから導かれる繰り返し単位の割合が20〜80mol%の範囲にある、[1]に記載のオレフィン系樹脂(β)。
[3] グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖が、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上であるプロピレン系重合体である、[1]または[2]に記載のオレフィン系樹脂(β)。
[4] グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量が5000〜100000の範囲にある、[1]〜[3]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)。
[5] グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量が20000〜200000の範囲にある、[1]〜[4]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)。
[6] オレフィン系樹脂(β)が、非晶性成分を示す海相と結晶性成分を示す島相とからなる相分離構造を有し、オレフィン系樹脂(β)の透過型電子顕微鏡像における島相の平均径が、50nm〜500nmの範囲にある、[1]〜[5]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)。
[7] 下記(a)および(b)の工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
(a)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程
(b)下記式[B]で表される架橋メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、工程(a)で製造された末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンと、ポリエンとを共重合する工程
(式[B]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
Mはジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[8] 工程(b)が重合温度90℃以上の溶液重合プロセスである、[7]に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
[9] [1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)を含むペレット。
[10] [1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)および/または[9]に記載のペレットと、プロピレン系樹脂(α)と、架橋剤(γ)とを含む組成物の架橋物である、熱可塑性エラストマー。
[11] [1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系樹脂(β)および/または[9]に記載のペレットと、架橋剤(γ)とを含む組成物の架橋物である、架橋ゴム。
本発明によれば、高分子量のグラフト型オレフィン系重合体[R1]を高含量で含むオレフィン系樹脂を容易に得ることができ、本発明に係るオレフィン系樹脂によれば、室温から低温領域のゴム弾性と機械物性、例えば、硬度、モジュラス、破断強度、破断伸びおよびゴム弾性とにバランスよく優れ、成形加工性や流動性に優れる熱可塑性エラストマーを容易に得ることができる。
図1は、前記要件(III)に関する、割合E(wt%)と割合P(wt%)とa値との関係を示す図である。 図2は、実施例2で得られた熱可塑性エラストマーの透過型電子顕微鏡像である。 図3は、比較例5で得られた熱可塑性エラストマーの透過型電子顕微鏡像である。
以下、本発明のオレフィン系樹脂(β)について説明する。
≪オレフィン系樹脂(β)≫
オレフィン系樹脂(β)は、オレフィン系重合体一種のみで構成されていてもよいし、二種以上のオレフィン系重合体から構成されていてもよいが、下記要件(I)〜(V)を全て満たすことを特徴としている。
(I)エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体からなる主鎖、およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む
(II)オレフィン系樹脂(β)に含まれるプロピレン重合体の割合Pが5〜60wt%の範囲にある
(III)オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク値が65℃未満である成分の、前記オレフィン系樹脂(β)の重量に対する割合をEwt%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値aが1.4以上である。
a=(100−E)/P ・・・(Eq−1)
(IV)示差走査熱量分析(DSC)による測定において、融点(Tm)が120〜170℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−30℃の範囲にある
(V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある
以下、これらの要件(I)〜(V)について具体的に説明する。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂(β)とは、前記重合体[R1]の合成の際に得られる成分を意味する。つまり、オレフィン系樹脂(β)は、前記重合体[R1]の合成の際に得られる成分として、グラフト共重合体ではないエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体、下記マクロモノマーや酸化防止剤などの添加剤を含み得る。
ただし、オレフィン系樹脂(β)は、重合体[R1]を主成分(高含量)として含み、例えば、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上の量で含む。
〔要件(I)〕
オレフィン系樹脂(β)は、重合体[R1]を必須の構成成分とする。該重合体[R1]は、主鎖および側鎖を有するグラフト共重合体であり、例えば、後述する重合方法によって合成することができる。
なお、本発明において「グラフト共重合体」とは、主鎖に対し側鎖が1本以上結合したT型ポリマー或いは櫛形ポリマーのことをいう。重合体[R1]は、プロピレン重合体からなる側鎖を有すれば特に制限されず、側鎖には本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、プロピレン由来以外の繰り返し単位を含むことができる。
重合体[R1]は主鎖構造が非晶性(あるいは低結晶性)のエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体であるにも関わらず、結晶性のプロピレン重合体からなる側鎖が化学的に結合した構造であるため、本発明のオレフィン系樹脂(β)は、一般的なエチレン/αオレフィン/ポリエン共重合体(例えば、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)に比べ、べたつきが小さく、該樹脂(β)を含むペレットを作成した時に該ペレットのハンドリング性に優れる特徴を有する。
さらに、重合体[R1]を含むオレフィン系樹脂(β)を熱可塑性エラストマーの原料に用いた場合、剛性・機械強度・硬度・ゴム弾性・伸びなどの物性にバランスよく優れ、さらに高温でのゴム弾性が著しく改善される特徴を有する。これは、マトリクス樹脂として用いられる結晶性ポリオレフィン、特にプロピレン系重合体に対し、重合体[R1]におけるエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体部分のドメインが相溶化し易いという効果があると同時に、該重合体[R1]は、マトリクス/ドメイン間の界面を強固に補強する効果があるため、剛性や機械強度が向上すると考えられる。
さらに、オレフィン系樹脂(β)を用いて得られる熱可塑性エラストマーは、そのドメイン内において重合体[R1]の側鎖プロピレン重合体が物理架橋点を形成できるため、剛性・機械強度・ゴム弾性に著しく優れると推察される。さらに、側鎖プロピレン重合体の融点が高温である場合には、前記効果が高温領域でも発現し、高温のゴム弾性も優れたものになると考えられる。
前記重合体[R1]の主鎖および側鎖は、下記(i)〜(v)の要件を満たすことが好ましい。
(i)主鎖が、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンと、ポリエンの共重合体からなり、前記エチレンから導かれる繰り返し単位を主鎖を構成する全繰り返し単位に対し60〜97mol%含む。
(ii)主鎖が、前記ポリエンから導かれる繰り返し単位を0.1〜7.0mol%含む。
(iii)主鎖の重量平均分子量が20000〜200000である。
(iv)側鎖が、プロピレンから導かれる繰り返し単位からなる。
(v)側鎖の重量平均分子量が5000〜100000の範囲にある。
以下、これらの要件(i)〜(v)について具体的に説明する。
〔要件(i)〕
重合体[R1]の主鎖は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンと、ポリエンとの共重合体からなり、ゴム物性として柔軟性や低温特性など基本的な性能を与える部位となる。
ここで、エチレンと共重合する炭素原子数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。
より好ましくは、炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、特に好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの直鎖状オレフィンや、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の分岐状オレフィンを挙げることができ、中でもプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
重合体[R1]の主鎖中のエチレンから導かれる繰り返し単位の割合は、主鎖に含まれる全繰り返し単位に対し、60〜97mol%、好ましくは60〜95mol%、より好ましくは65〜90mol%の範囲である。
主鎖中のエチレンから導かれる繰り返し単位のモル比が前記範囲にあると、オレフィン系樹脂(β)は柔軟性に富み低温特性に優れた性質となるため、オレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋によって得られる熱可塑性エラストマーも柔軟性と低温特性に優れる。一方、エチレンから導かれる繰り返し単位量が前記範囲を上回ると、柔軟性や低温特性などゴムとしての基本的な性能を満足しない場合がある。
前記、重合体[R1]の主鎖中のエチレンから導かれる繰り返し単位のモル比は、主鎖を製造する工程で重合反応系中に存在させるエチレンの濃度とα−オレフィンおよびポリエンの濃度の割合を制御することにより調整できる。
なお、重合体[R1]の主鎖中のエチレン/α−オレフィン/ポリエン組成割合は、例えば、後述する末端不飽和ポリプロピレンを用いない条件下で得られるエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体のエチレン/α−オレフィン/ポリエン組成割合を常法により求めることや、オレフィン系樹脂(β)のエチレン/α−オレフィン/ポリエン組成割合から末端不飽和ポリプロピレンや側鎖に由来する影響を差し引くことから求められる。
〔要件(ii)〕
重合体[R1]の主鎖が、前記ポリエンから導かれる繰り返し単位を0.1〜7.0mol%、好ましくは0.2〜6.0mol%、さらに好ましくは0.3〜5.0mol%含む。
前記ポリエンから導かれる繰り返し単位が前記範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(β)を用いて動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーは、良好な機械強度・ゴム弾性・伸び等の物性を有する。一方、ポリエンから導かれる繰り返し単位が前記範囲を下回ると、得られる熱可塑性エラストマーは、機械強度・ゴム弾性・伸びが低下し、前記範囲を上回ると、機械強度・伸びが低下し、低温特性が悪化する傾向がある。
前記ポリエンとしては、共役ポリエン、非共役ポリエンを用いることができる。これらのポリエンは単独または2種以上を用いることができる。
前記の共役ポリエンとしては、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−2,4−ペンタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−ペンチル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3− ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル− 1,3−ブタジエンが挙げられる。これらの中では、1,3−ブタジエン、イソプレンが共重合性に優れる点で特に好ましい。
また、非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエンおよび4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましい。
〔要件(iii)〕
重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量は20000〜2000000であり、好ましくは20000〜200000、好ましくは30000〜200000、より好ましくは50000〜150000である。
重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量が前記範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(β)を用いて動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーは、良好な機械強度・ゴム弾性・伸び等の物性を有する。一方、重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量が前記範囲を下回ると、得られる熱可塑性エラストマーは、機械強度・ゴム弾性・伸びが低下し、前記範囲を上回ると、オレフィン系樹脂(β)の分散不良により、所望の物性をバランスよく有する熱可塑性エラストマーを得ることが困難になる傾向がある。
重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量は、後述する製造工程において、重合系中のエチレン濃度を制御することで調整できる。エチレン濃度の制御方法としては、エチレン分圧調整や重合温度の調整が挙げられる。また、重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量の調整は重合系中に水素を供給することでも可能である。
なお、重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)よって求められるポリエチレン換算の重量平均分子量である。主鎖を構成するエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体の重量平均分子量は、例えば、後述する末端不飽和ポリプロピレンを用いない条件下で該共重合体を合成した場合のエチレン・α−オレフィンポリエン共重合体を分析することや、オレフィン系樹脂(β)を分析し、末端不飽和ポリプロピレンに由来する影響を差し引くことから求められる。
〔要件(iv)〕
重合体[R1]の側鎖は、プロピレンから導かれる繰り返し単位からなるプロピレン重合体からなり、結晶性のプロピレン重合体からなることが好ましい。
プロピレンから導かれる繰り返し単位からなるプロピレン重合体とは、好ましくは、プロピレンから導かれる繰り返し単位のモル比が、該プロピレン重合体に含まれる全繰り返し単位に対し99.5〜100mol%からなる重合体を示す。すなわち、その役割と特徴を損なわない範囲でエチレンや、プロピレン以外のα−オレフィンが少量共重合されてもよい。
さらに好ましくは、重合体[R1]の側鎖は、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上であるプロピレン重合体である。
前記特徴を有することにより、側鎖プロピレン重合体は結晶性が高くなるため、このような側鎖を有する重合体[R1]を含むオレフィン系樹脂(β)を用いて動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーは、高硬度となり高温でのゴム物性にも優れる。また、工業的に入手されるプロピレン重合体のほとんどはアイソタクチックポリプロピレンであることから、熱可塑性エラストマーのマトリクス樹脂として用いる後述のプロピレン系樹脂(α)がアイソタクチックポリプロピレンである場合、重合体[R1]の側鎖はアイソタクチックポリプリプロピレン重合体鎖であることが、オレフィン系樹脂(β)のプロピレン系樹脂(α)への相溶性を高め、マトリクス/ドメイン間の界面補強効果も高くなり、さらに剛性や機械強度が向上した熱可塑性エラストマーを得ることができる。
重合体[R1]は、例えば、後述するオレフィン系樹脂(β)の製造工程(b)において、工程(a)で生成する末端不飽和ポリプロピレンであるマクロモノマーとエチレンとα−オレフィンとポリエンとを共重合することにより得ることができる。この場合、マクロモノマーの組成および立体規則性が、重合体[R1]の側鎖の組成および立体規則性に相当する。従って工程(a)で生成するマクロモノマーの組成および立体規則性を公知の方法を用いて算出すれば、その組成および立体規則性を重合体[R1]の側鎖の組成および立体規則性とみなすことができる。
〔要件(v)〕
重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量は、5000〜100000、好ましくは5000〜60000、さらに好ましくは5000〜25000の範囲である。
重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量が前記範囲にあることで、プロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)の相溶性が高まり、得られる熱化可塑性エラストマーの物性バランスが向上するうえ、成形時の流動性も良好になる。
重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量が、前記範囲を下回ると、オレフィン系樹脂(β)とプロピレン系樹脂(α)とを用いて得られる熱可塑性エラストマーにおいて、オレフィン系樹脂(β)とプロピレン系樹脂(α)との界面強度が弱くなり、得られる熱可塑性エラストマーの機械強度やゴム弾性などの物性バランスが低下するおそれがあり、また、前記範囲を上回ると、得られる熱可塑性エラストマーの成形時の流動性が悪くなり、加工性が悪化する原因となる場合がある。
なお、重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量は、オレフィン系樹脂(β)のGPC測定により低分量側の溶出成分として分離されるプロピレン重合体鎖の分子量を解析する、または、下記工程(a)などで予め合成されたポリプロピレン(マクロモノマー)のGPC測定を行うことで求めることができる。
重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量の調整方法は、後述する製造工程(a)において、重合温度や重合圧力を調整する方法が挙げられる。
〔要件(II)〕
前記オレフィン系樹脂(β)に含まれるプロピレン重合体の割合(以下、「割合P」ともいう)をPwt%としたとき、Pが5〜60wt%の範囲にある。割合Pは好ましくは8〜50wt%、より好ましくは8〜40wt%である。
ここで、オレフィン系樹脂(β)に含まれるプロピレン重合体とは、重合体[R1]の合成の際に得られる成分全体中に含まれるプロピレン重合体の割合、つまり、重合体[R1]の合成の際に得られる成分中に含まれる、主鎖に取り込まれたプロピレン重合体側鎖と主鎖に取り込まれなかったポリプロピレンとの総和を示す。
割合Pが前記の範囲にあることで、オレフィン系樹脂(β)を用いて動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーは、柔軟性や低温特性やゴム弾性といった熱可塑性エラストマーとしての基本的な性能を満足しながら、オレフィン系重合体[R1]を含むことによる剛性・機械強度・硬度・ゴム弾性・伸びにバランスよく優れ、さらに、高温でのゴム弾性にも優れる。一方、割合Pが前記の範囲を上回ると、オレフィン系樹脂(β)中の、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体部分の割合が少なくなるため、得られる熱可塑性エラストマーは、柔軟性、低温特性およびゴム弾性といったエラストマーとしての基本的な性能を発揮しない場合がある。また、割合Pが前記の範囲を下回ると、得られる熱可塑性エラストマーには柔軟性、低温特性やゴム弾性といった熱可塑性エラストマーとしての基本的な性能は発現するものの、重合体[R1]を含むことによる各種物性の著しい向上は見込めない傾向にある。
割合Pは、たとえば、後述する重合工程(b)に用いる末端不飽和ポリプロピレンの重量と、得られたオレフィン系樹脂(β)の重量の比率から求められる。
また、末端不飽和ポリプロピレンとは、下記末端構造(I)〜(IV)で表される不飽和末端を有するポリプロピレンを意味する。末端構造(I)〜(IV)における「Poly」は、末端構造と、該末端構造以外のプロピレン重合体分子鎖との結合位置を示す。
前記末端不飽和ポリプロピレンにおける不飽和末端の割合は、末端不飽和ポリプロピレンに含まれる1000炭素原子あたり通常0.1〜10個であるが、より好ましくは0.4〜5.0個である。さらに、一般的に末端ビニルと呼ばれる末端構造(I)で表される不飽和末端の割合は、末端不飽和ポリプロピレンに含まれる炭素原子1000個あたり、通常0.1〜2.0個であるが、好ましくは、0.4〜2.0個の範囲にある。
前記不飽和末端の定量は、末端不飽和ポリプロピレンの末端構造を1H−NMRで決定することにより求められる。1H−NMRは常法に従って測定すればよい。末端構造の帰属は、Macromolecular Rapid Communications 2000, 1103等に記載の方法に従って行うことができる。
例えば、末端構造(I)の場合、δ4.9〜5.1(2H)の積分値Aとし、プロピレン重合体に由来する全積分値をBとすると、1000炭素原子あたりの末端構造(I)の割合は1000×(A/2)/(B/2)の式で求められる。他の末端構造の割合を求める場合も、水素の比に注意しながら各構造に帰属されるピークの積分値に置き換えればよい。
〔要件(III)〕
オレフィン系樹脂(β)は、オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク値が65℃未満である成分の、前記オレフィン系樹脂(β)の重量に対する割合E(以下、「割合E」ともいう)をEwt%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値a(以下、「a値」ともいう)が1.4以上、好ましくは1.6以上、さらに好ましくは2.2以上である。
a=(100−E)/P ・・・(Eq−1)
前記微分溶出曲線は、溶出温度が−20℃〜140℃の範囲において、得られる累積溶出曲線を微分して得られるものである。さらに前記微分溶出曲線において現れる各溶出ピークを正規分布曲線にピーク分離することで、各溶出ピークの成分比を求めることができる。ここで、−20℃未満での可溶成分割合(CFC測定の冷却工程において−20℃においても温度上昇溶離分別(TREF)カラム内に保持されない成分の割合)をE(<−20℃)wt%、−20℃以上65℃未満にピークを持つ溶出成分の割合の和をE(<65℃)wt%、65℃以上140℃以下にピークを持つ溶出成分の割合の和をE(≧65℃)wt%、140℃で溶解しない成分割合をE(>140℃)wt%とし、E(<−20℃)+E(<65℃)+E(≧65℃)+E(>140℃)=100とした場合、割合E=E(<−20℃)+E(<65℃)と定義される。
通常、オレフィン系樹脂(β)は140℃のオルトジクロロベンゼンに対して全量可溶であり、65℃以上にピーク分離が容易である明瞭なピークを検出できることから、E(>140℃)=0の場合、割合E=100−E(≧65℃)である。
前記CFC測定における検出計としては、赤外分光光度計(検出波長3.42μm)を用いることが好ましい。
前記a値が前記範囲にあることは、オレフィン系樹脂(β)に重合体[R1]、すなわちプロピレン重合体部位を側鎖として有するエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体が高含量で含まれることを示している。
割合E(wt%)と割合P(wt%)とa値との関係を図1に示す。
図1において、a=1の関係を示す点線は、重合体[R1]を含まない場合、すなわちエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体とプロピレン重合体との混合物の場合を示す。一方、オレフィン系樹脂(β)中の重合体[R1]の含有率が高まるにつれ、割合Pに対する割合Eの値は小さくなる。図1に示すように、a値が大きな値をとることは、重合体[R1]の含有率が高いことを示す。本発明のオレフィン系樹脂(β)は、a値が1.4以上であることを特徴とする。
通常、市販のエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体は(例えば、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)は、エチレンの組成が90mol%〜50mol%程度となるよう調整されたポリマーであり、非晶性(あるいは低結晶性)であるため、割合Eは実質100%となる。
このような重合体を用い、オレフィン系樹脂(β)を用いない場合に得られる熱可塑性エラストマーは、柔軟性、低温特性およびゴム弾性といった通常の熱可塑性エラストマーの基本的な性能は発現するものの、剛性・機械強度・硬度や高温でのゴム弾性については優れた性質を示さない。
また、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体とプロピレン重合体とを単純に混合した場合、すなわち、前述のa=1のような関係を示す場合には、硬度、剛性および高温でのゴム弾性において性能の良好な性質を示さないばかりか、柔軟性、低温特性およびゴム弾性といった通常の熱可塑性エラストマーの基本的な性能も満足しない恐れがある。
一方、本発明のオレフィン系樹脂(β)は、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体に結晶性のプロピレン重合体が化学的に結合した重合体である重合体[R1]を高含量で含むため、E値が小さい特徴があり、特にa値が前記範囲にあることで、オレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋により得られる熱可塑性エラストマーは、前記市販品や混合物を用いた場合に比べ、硬度・剛性・機械強度・ゴム弾性が著しく改善され、高温下でのゴム弾性にも優れる。
一方、a値が前記範囲を下回る場合とは、オレフィン系樹脂(β)中の重合体[R1]の含有量が十分ではない場合が考えられ、この場合、所望の物性バランスを有する熱可塑性エラストマーを得ることができない傾向にある。
〔要件(IV)〕
オレフィン系樹脂(β)は、示差走査熱量分析(DSC)による測定において、融点(Tm)が120〜170℃の範囲にあり、好ましくは120〜165℃、より好ましくは130〜160℃の範囲ある。
融点(Tm)が前記範囲にあることで、重合体[R1]側鎖のプロピレン重合体の結晶性が高く、このような重合体[R1]を含むオレフィン系樹脂(β)を用いて動的架橋して得られる熱可塑性エラストマーは、高硬度かつ高温でのゴム物性も優れたものとなる。
さらに前記融点に関する融解ピークの面積から算出される融解熱量(ΔH)は、好ましくは5〜50J/gであり、より好ましくは5〜40J/g、さらに好ましくは10〜30J/gの範囲にある。この融解熱量は、要件(II)に示したプロピレン重合体の割合を満たすことに関係する性質であって、本発明において必須の要件ではないが、要件(II)に示したプロピレン重合体の割合Pを見積もるうえで有用である。
前記融点(Tm)および融解熱量(ΔH)は、DSCにより一度昇温工程を経て試料が融解した後、30℃までの冷却工程により結晶化させ、2度目の昇温工程(昇温速度10℃/分)で現れる吸熱ピークを解析したものである。
オレフィン系樹脂(β)は、DSCにより測定されるガラス転移温度(Tg)が−80〜−30℃、好ましくは−80〜−40℃、より好ましくは−70℃〜−50℃の範囲にある。
前記ガラス転移温度(Tg)は、重合体[R1]の主鎖部位であるエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体に関係する性質であり、ガラス転移温度(Tg)が前記範囲にあることにより、このようなTgを有するオレフィン系樹脂(β)を用いて得られる熱可塑性エラストマーは、柔軟性、低温特性およびゴム弾性に優れる。
前記範囲のガラス転移温度(Tg)は、例えば、下記工程(b)において、エチレン組成やα−オレフィンの種類を調整することで得ることができる。
〔要件(V)〕
オレフィン系樹脂(β)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある。前記極限粘度[η]は、好ましくは1.0〜4.0dl/g、さらに好ましくは1.0〜3.0dl/gである。
極限粘度が前記範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋により得られる熱可塑性エラストマーは良好な機械物性を示し、さらに良好な成形加工性も有する。
オレフィン系樹脂(β)は、前記要件(I)〜(V)に加え、さらに要件(VI)および/または(VII)を同時に満たすことが好ましく、特に前記要件(I)〜(VII)を同時に満たすことが好ましい。以下、要件(VI)および(VII)について具体的に説明する。
〔要件(VI)〕
オレフィン系樹脂(β)は、非晶性成分を示す海相と結晶性成分を示す島相とからなる相分離構造を有し、オレフィン系樹脂(β)の透過型電子顕微鏡像における島相の平均径が、好ましくは50nm〜500nmの範囲にあり、より好ましくは50nm〜300nmの範囲にある。オレフィン系樹脂(β)がこのような平均径の島相を有するということは、オレフィン系樹脂(β)が非常に微細なミクロ相分離構造を形成するといえる。
なお、前述の相分離構造を有しているかどうかの観察は、例えば以下のようにして実施する。
まず、オレフィン系樹脂(β)を混練成形評価装置に投入し、200℃、60rpmで5分間溶融混練する。得られたオレフィン系樹脂(β)を170℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、5分間加熱後、10MPaの加圧下で、1分間成形したのち、20℃で10MPaの加圧下で3分間冷却することにより所定の厚みのシートを作製することにより試験片を得る。
得られた試験片を0.5mm角の小片とし、ルテニウム酸(RuO4)によって染色する。さらにダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで得られた小片を約100nmの膜厚の超薄切片とする。この超薄切片にカーボンを蒸着させて透過型電子顕微鏡(加速電圧100kV)で観察する。
このように観察方法によると、プロピレン重合体鎖は、該鎖が形成するラメラ構造の結晶間非晶部位が選択的にルテニウム酸に染色にされるため、より高いコントラストとして観察される。
島相の平均径は、得られた観察像を、市販の画像解析ソフトを用いて、画像処理および画像解析をすることにより、島相の平均長径として得ることができる。
この透過型電子顕微鏡像に現れる相分離構造は、非晶性(もしくは低結晶性)であるエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体に起因する海相と、結晶性であるプロピレン重合体に起因する島相によるものであると考えられる。
エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体が海相となるのは該共重合体部分が主成分として存在していることを示しており、これはオレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋により得られる熱可塑性エラストマーにおいて、良好な柔軟性、低温特性およびゴム弾性が発現するうえで重要な特徴である。さらに、オレフィン系樹脂(β)が前記のような非常に微細なミクロ相分離構造を形成することは、オレフィン系樹脂(β)に、非晶成分(もしくは低結晶性成分)と結晶成分の相溶効果を高める重合体[R1]が高含量で含まれていることを示しており、これは既に説明した通り、オレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋により得られる熱可塑性エラストマーが、著しく優れた物性をバランスよく有するエラストマーとなるうえで、重要な特徴である。
一方重合体[R1]を主成分として高含量で含まないオレフィン系樹脂(β)は、結晶成分に起因する相が明瞭な島相とならず連続相を形成する場合がある。このような樹脂を用いた場合、柔軟性、低温特性およびゴム弾性が著しく劣る熱可塑性エラストマーが得られる場合がある。
また、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体とプロピレン重合体の単なるポリマーブレンドや重合体[R1]を高含量で含まない樹脂の場合は、前記のような微細な相分離構造は形成されず、粗大な島相が観測されると考えられる。このような樹脂を用いた場合、得られる熱可塑性エラストマーは良好な物性バランスを発現しないと考えられる。
〔要件(VII)〕
オレフィン系樹脂(β)は、オレフィン系樹脂(β)全体に対するエチレンから導かれる繰り返し単位の割合が、好ましくは20〜80mol%、より好ましくは40〜80mol%、さらに好ましくは50〜75mol%の範囲にある。
オレフィン系樹脂(β)に含まれるエチレンから導かれる繰り返し単位の割合が前記範囲にあると、オレフィン系樹脂(β)は柔軟性に富み低温特性に優れた性質となるため、オレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋によって得られる熱可塑性エラストマーも柔軟性と低温特性に優れる。
オレフィン系樹脂(β)全体に対するエチレンから導かれる繰り返し単位の割合は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
<オレフィン系樹脂(β)の製造方法>
オレフィン系樹脂(β)は、例えば、下記(a)および(b)の各工程を含む製造方法により製造できる。
(a)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、プロピレンを重合し末端不飽和ポリプロピレン(マクロモノマー)を製造する工程
(b)下記式[B]で表される架橋メタロセン化合物[B]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、工程(a)で製造された末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンと、ポリエンとを共重合する工程
高性能な動的架橋熱可塑性エラストマーを得るうえで適した重合体[R1]を得るには、工程(a)で生成する末端不飽和ポリプロピレン(マクロモノマー)を、工程(b)にて、該マクロモノマーが良好に溶解できる高い温度、例えば90℃以上の高温においても、高分子量の重合体を与え、かつマクロモノマーを効率的に共重合する特徴を有する良共重合性触媒を用いることが好ましい。この点において、前記製造方法では、工程(b)において、前記特徴を有する良共重合性触媒となる架橋メタロセン化合物[B]を使用するため、従来得られなかった、前記特性を有するオレフィン系樹脂(β)を得ることができ、該樹脂(β)により、前記課題を解決することができる。すなわち、このような架橋メタロセン化合物[B]を用いることで、例えば、高温溶液重合においても高分子量の重合体[R1]を含むオレフィン系樹脂(β)を得ることができ、さらに共重合性が極めて高いため、重合体[R1]の含有率の高いオレフィン系樹脂(β)を得ることができる。加えて、架橋メタロセン化合物[B]を触媒として用いる場合、エチレンとコモノマーとの交互共重合性能が高いことに由来し、低温特性に優れる重合体が得られる点においても特徴がある。そのためオレフィン系樹脂(β)および、オレフィン系樹脂(β)を用いた動的架橋により得られる熱可塑性エラストマーは、低温においても良好な柔軟性を保持できる。
(式[B]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
Mはジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
以下、工程(a)および(b)について順に説明する。
〔工程(a)〕
工程(a)は、オレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するプロピレン系重合体の原料である末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程である。
本工程は、ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]の存在下で、プロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程である。
前記末端不飽和ポリプロピレンの不飽和末端とは前述の末端構造(I)〜(IV)のいずれかを意味する。前記不飽和末端のうち末端構造(I)の占める割合は通常、30%以上であり、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。
なお、前述の不飽和末端のうち末端構造(I)の占める割合とは、末端不飽和ポリプロピレンに含まれる1000炭素原子あたりに存在する前述の末端構造(I)〜(IV)のそれぞれの個数の和に対する、該1000炭素原子あたりに存在する末端構造(I)の個数の比を百分率で表したものである。
遷移金属化合物[A]は後述する化合物[C]と組み合わせて用いることが好ましく、このような触媒は、末端不飽和ポリプロピレンの製造に好適に用いられる。
末端不飽和ポリプロピレンを製造するオレフィン重合用触媒としては、Resconi, L. JACS 1992, 114, 1025−1032などに記載されているように古くから知られている。
オレフィン系共重合体[R1]の側鎖としては、アイソタクチック又はシンジオタクチックな末端不飽和ポリプロピレン、より好ましくはアイソタクチックな末端不飽和ポリプロピレンが好適であるため、この工程(a)もこのような末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程であることが好ましい。
高立体規則性かつ、末端構造(I)を有する末端不飽和ポリプロピレン含量の多いマクロモノマーを製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒としては、特開平6−100579号公報、特表2001−525461号公報、特開2005−336091号公報、特開2009−299046号公報、特開平11−130807号公報、特開2008−285443号公報等により開示されている遷移金属化合物[A]を好適に用いることができる。
前記遷移金属化合物[A]としてより具体的には、架橋ビス(インデニル)ジルコノセン類およびハフノセン類からなる群から選択される化合物を好適な例として挙げることができる。より好ましくは、ジメチルシリル架橋ビス(インデニル)ジルコノセン又はハフノセンである。さらに好ましくは、ジメチルシリル架橋ビス(インデニル)ジルコノセンであり、ジルコノセンを選択すると、末端不飽和ポリプロピレンの挿入反応により生じる長鎖分岐ポリマーの生成が抑制され、オレフィン系樹脂(β)を用いて得られる熱可塑性エラストマーは、所望の物性を発現するため好ましい。なお、工程(a)において前記長鎖分岐ポリマーが多く生成される場合、オレフィン系樹脂(β)を用いて得られる熱可塑性エラストマーは、剛性等の物性を損なう恐れがある。
前記遷移金属化合物[A]としては、より具体的には、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド又はジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルを好適な化合物として用いることができる。
工程(a)は、気相重合、スラリー重合、バルク重合、溶液(溶解)重合のいずれの方法においても実施可能であり、特に重合形態は限定されない。
工程(a)が、溶液重合で実施される場合、重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられ、1種単独または2種以上を用いることができる。なお、これらのうち、後処理工程の負荷低減の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、工程(a)の重合温度は、通常、50℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃の範囲、より好ましくは、80℃〜130℃の範囲であり、重合温度を適切にコントロールすることで、所望の分子量および立体規則性の末端不飽和ポリプロピレンを得ることができる。
工程(a)の重合圧力は、通常、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。本発明における工程(a)ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
また、反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
工程(a)における、ポリマー(末端不飽和ポリプロピレン)濃度は、定常運転時は、5〜50wt%であり、好ましくは、10〜40wt%である。重合能力における粘度制限、後処理工程(脱溶媒)の負荷および生産性の観点から、15〜50wt%であることが好ましい。
工程(a)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンの重量平均分子量は、5000〜100000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5000〜60000、さらにより好ましくは5000〜25000の範囲である。前記範囲の重量平均分子量を有する末端不飽和ポリプロピレンであることにより、後述する工程(b)において、末端不飽和ポリプロピレンのモル濃度をエチレンあるいはα−オレフィンに対して相対的に高めることができ、主鎖へのプロピレン重合体の導入効率が高くなる。一方、末端不飽和ポリプロピレンの重量平均分子量が前記範囲を上回る場合、末端不飽和ポリプロピレンのモル濃度が相対的に低くなり、主鎖への導入効率が低くなる場合があり、前記範囲を下回る場合、融点が低下するなどの実用上の問題が生じる場合がある。
工程(a)では、狭い分子量分布(Mw/Mn)、例えば1.5〜3.0、好ましくは1.7〜2.5程度の末端不飽和ポリプロピレンを製造することができる。
ただし、工程(b)では、場合によっては、異なる分子量の末端不飽和ポリプロピレンの混合物を用いてもよい。
工程(a)において製造される末端不飽和ポリプロピレンの1H−NMRにて測定される不飽和末端の割合は、炭素原子1000個あたり、通常0.1〜10個であるが、好ましくは0.4〜5.0個の範囲にある。さらに末端構造(I)の割合、いわゆる末端ビニル量は、炭素原子1000個あたり、通常0.1〜2.0個であるが、好ましくは、0.4〜2.0個の範囲にある。末端ビニル量が少なすぎると、該プロピレンの主鎖への導入効率が低くなり、重合体[R1]の生成量が少なくなり所望の効果が得られない場合がある。
1H−NMRにて測定する末端ビニル量の算出は、例えばMacromolecular Rapid Communications 2000, 1103に記載の方法に従って行うことができる。
〔工程(b)〕
工程(b)は、前記式[B]で表される架橋メタロセン化合物[B]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、工程(a)で製造された末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンと、ポリエンとを共重合する工程である。
工程(b)では、高温にて十分な活性を示し、高共重合性かつ高分子量化可能な触媒の選定が重要となる。末端ビニルポリプロピレン(前記末端構造(I)を有するポリプロピレン)は、4位にメチル分岐を有し、立体的に嵩高い構造を有するので、直鎖状のビニルポリマーに比べ重合が難しい。また、末端ビニルポリプロピレンは、ポリマーが析出してくる低温条件では、共重合されにくい。このため、工程(b)における触媒には、好ましくは、90℃以上の重合温度にて十分な活性を発現し、主鎖を所望の分子量にする性能が求められる。
このような観点から、高含量の重合体[R1]を含有するオレフィン系樹脂(β)に得るには、工程(b)において、架橋メタロセン化合物[B]が好適に用いられる。
架橋メタロセン化合物[B]は、後述する化合物[C]と組み合わせて用いることが好ましく、このような触媒は、重合体[R1]の製造に好適に用いられる。
以下、本発明で用いられる架橋メタロセン化合物[B]の化学構造上の特徴について説明する。
架橋メタロセン化合物[B]は、構造上、次の特徴[m1]および[m2]を備える。
[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有するフルオレニル基(以下「置換フルオレニル基」ともいう。)である。
[m2]二つの配位子が、アリール(aryl)基を有する、炭素原子またはケイ素原子からなるアリール基含有共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
以下、架橋メタロセン化合物[B]が有する、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
(置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基)
式[B]中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましく、隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
例えば、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、または、R1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上が炭化水素基(以下「炭化水素基(f1)」ともいう。)、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基またはケイ素含有基(以下「ケイ素含有基(f2)」ともいう。)、好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基である。その他、R1、R2、R3およびR4としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)を挙げることもできる。
炭化水素基(f1)としては、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、例えば、直鎖状または分岐状の炭化水素基(例:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、環状飽和炭化水素基(例:シクロアルキル基)、環状不飽和炭化水素基(例:アリール基)が挙げられる。炭化水素基(f1)としては、前記例示の基のうち互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。
炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基等が挙げられる。
ケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基であり、例えば、式[B]中のシクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、N−メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
1、R2、R3およびR4のうちの二つ以上が水素原子以外の置換基である場合は、該置換基は互いに同一でも異なっていてもよく、R1、R2、R3およびR4のうちの隣接する二つの基同士は互いに結合して脂環または芳香環を形成していてもよい。
(置換フルオレニル基)
式(B)中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、“R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であること”はない。
重合活性の観点からは、R6およびR11がいずれも水素原子でないことが好ましく;R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことが更に好ましく;R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であり、且つR7とR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。また、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることも好ましい。
5〜R12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、前記炭化水素基(f1)として例示した基と同様の基が挙げられる。R5〜R12におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、前記ケイ素含有基(f2)として例示した基と同様の基が挙げられる。R5〜R12におけるヘテロ原子含有基としては、前記ヘテロ原子含有基として例示した基と同様の基が挙げられる。
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する式[II]〜[VI]で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。
(架橋部)
式(B)中、R13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示し、Y1は炭素原子またはケイ素原子を示す。オレフィン系樹脂(β)の製造方法において重要な点は、架橋部の架橋原子Y1に、互いに同一でも異なっていてもよいアリール(aryl)基[R13およびR14]が結合していることである。製造上の容易性から、R13およびR14は互いに同一であることが好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、前記炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6〜14、好ましくは6〜10の非置換アリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基が挙げられる。
これらの基における置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基が更に好ましい。
(架橋メタロセン化合物[B]のその他の特徴)
式[B]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3〜10の脂環族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が挙げられる。
Qにおけるハロゲン化炭化水素基としては、Qの例示として挙げた前記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
炭素原子数4〜10の中性の共役または非共役ジエンの具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基などが挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、または、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
(好ましい架橋メタロセン化合物[B]の例示)
以下に、架橋メタロセン化合物[B]の好適な具体例を示す。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式[II]で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[III]で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式[IV]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[V]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[VI]で示される構造の化合物に由来する基を指す。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、前記例示の化合物の「ハフニウム」を「ジルコニウム」に変えた化合物、「ジクロリド」を「ジフルオライド」、「ジブロミド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」または「メチルエチル」などに変えた化合物、「シクロペンタジエニル」を「3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル」、「3,5−ジメチル−シクロペンタジエニル」、「3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル」または「3−メチル−シクロペンタジエニル」などに変えた化合物を挙げることもできる。
以上の架橋メタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の方法としては、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開第04/029062号に記載の方法が挙げられる。
以上のような架橋メタロセン化合物[B]は、1種単独または2種以上を用いることができる。
工程(b)は、溶液(溶解)重合において実施可能であり、重合条件については、重合体[R1]を合成できる条件であれば、特に限定されないが、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
重合反応液を得る工程とは、重合溶媒を用いて、架橋メタロセン化合物[B]、好ましくは、前記式[B]におけるY1に結合しているR13、R14が、フェニル基、あるいは、アルキル基またはハロゲン原子により置換されたフェニル基であり、R6およびR7、ならびに、R10およびR11が互いに結合して前記式[II]〜[VI]で表される環を形成したである化合物の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、ポリエンと、工程(a)にて製造された末端不飽和ポリプロピレンとの共重合体の重合反応液を得る工程である。
工程(b)では、工程(a)にて製造された末端不飽和ポリプロピレンが、溶液状またはスラリー状にて工程(b)において反応器にフィードされることが好ましい。この際のフィード方法は、特段限定されるものではなく、工程(a)にて得られた重合液を連続的に工程(b)の反応器にフィードしてもよく、工程(a)の重合液を一旦バッファータンクに溜めたのちに、工程(b)の反応器にフィードしてもよい。
前記重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独または2種以上を用いることができる。また、工程(b)で重合溶媒を用いる場合には、該溶媒は、工程(a)で用いられる重合溶媒と同一でも異なっていてもよい。なお、これらのうち、工業的観点からはヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましく、さらにオレフィン系樹脂(β)との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、工程(b)の重合温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜200℃の範囲、90℃以上も好ましく、より好ましくは100〜200℃の範囲であり、重合体[R1]の分子量、用いる架橋メタロセン化合物[B]の重合活性によるが、高温(100℃以上)であることが末端不飽和ポリプロピレンの主鎖への導入効率を向上させるために好ましい。
工程(b)の重合圧力は、通常、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
工程(b)の反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
工程(b)の共重合時における、ポリマー(オレフィン系樹脂(β)に含まれる全ポリマー)濃度は、定常運転時は、5〜50wt%であり、好ましくは、10〜40wt%である。重合能力における粘度制限、後処理工程(脱溶媒)負荷及び生産性の観点から、15〜35wt%であることが好ましい。
得られる重合体[R1]の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、後述の化合物[C1]の使用量により調節することもできる。該化合物[C1]としては、具体的には、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、ジエチル亜鉛等が挙げられる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
[化合物[C]]
本発明に係るオレフィン系樹脂(β)の製造方法では、前述した工程(a)および(b)において用いられる遷移金属化合物[A]および架橋メタロセン化合物[B]と共に、化合物[A]および化合物[B]以外の化合物[C]を用いることが好ましい。
化合物[C]は、遷移金属化合物[A]および架橋メタロセン化合物[B]と反応して、オレフィン重合用触媒として機能するものであり、具体的には、[C1]有機金属化合物、[C2]有機アルミニウムオキシ化合物、および、[C3]遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
以下、[C1]〜[C3]の化合物について順次説明する。
([C1]有機金属化合物)
前記[C1]有機金属化合物として、具体的には下記の式(C1−a)で表される有機アルミニウム化合物、式(C1−b)で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、および、式(C1−c)で表される周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。なお、[C1]有機金属化合物には、後述する[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は含まないものとする。
a pAl(ORbqrs (C1−a)
(式(C1−a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+r+s=3である。)
3AlRc 4 (C1−b)
(式(C1−b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
de4 (C1−c)
(式(C1−c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。)
前記式(C1−a)で表される有機アルミニウム化合物としては、次のような式(C−1a−1)〜(C−1a−4)で表される化合物を例示できる。
a pAl(ORb3-p (C−1a−1)
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)
a pAlY3-p (C−1a−2)
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)
a pAlH3-p (C−1a−3)
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)
a pAl(ORbqs (C−1a−4)
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)
式(C1−a)で表される有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ORb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化された炭化水素アルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリド等、部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム等を挙げることができる。
また、本発明では、(C1−a)に類似する化合物も使用することができ、このような化合物として例えば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物、具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
前記式(C1−b)で表される化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを挙げることができる。
前記式(C1−c)で表される化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
また、[C1]有機金属化合物としては、前記化合物以外にも、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
さらに、重合系内で前記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどを、前記[C1]有機金属化合物として使用することもできる。
前記[C1]有機金属化合物は、1種単独または2種以上を用いることができる。
([C2]有機アルミニウムオキシ化合物)
前記[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、例えば、特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。[C2]有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
従来公知のアルミノキサンは、例えば以下のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお、前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有していてもよい。
また、得られる前記アルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、前記式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物として例示した化合物と同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
前記有機アルミニウム化合物は、1種単独または2種以上を用いることができる
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分、または、前記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、特に、塩素化物、臭素化物などのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また、前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である化合物であることが好ましい。
前記[C2]有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
(式(III)中、R17は炭素原子数が1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、4つのR18は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば、下記式(IV)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
19−B(OH)2 (IV)
(式(IV)中、R19は前記式(III)におけるR17と同じ基を示す。)
前記式(IV)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸が挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独または2種以上を用いることができる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物として例示した化合物と同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独または2種以上を用いることができる。
前記[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独または2種以上を用いることができる。
([C3]遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物[C3](以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許第5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
前記イオン性化合物としては、例えば、下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
(式(V)中、R20はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R21〜R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
20としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
また、イオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスホニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらに、イオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VI)または(VII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
(式(VI)中、Etはエチル基を示す。)
(式(VII)中、Etはエチル基を示す。)
前記ボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩が挙げられる。
前記カルボラン化合物として具体的には、例えば、4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩が挙げられる。
前記ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
前記イソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の例えば周期表第1族または第2族の金属、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
前イオン化イオン性化合物[C3]は、1種単独または2種以上を用いることができる。
遷移金属化合物[A]、架橋メタロセン化合物[B]に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの[C2]有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
有機金属化合物[C1]は、有機金属化合物[C1]と、遷移金属化合物[A]あるいは架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C1/M)が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物[C2]は、有機アルミニウムオキシ化合物[C2]中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物[A]あるいは架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C2/M)が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物[C3]は、イオン化イオン性化合物[C3]と、遷移金属化合物[A]あるいは架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C3/M)が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
なお、オレフィン系樹脂(β)の製造の際には、本発明の目的を損なわない範囲で、ゴム、無機充填剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、結晶核剤などの添加剤を用いることがある。
このような添加剤を用いた場合、得られる成分には、これらの添加剤が含まれることがあるが、本発明では、このような添加剤を含む場合もオレフィン系樹脂(β)という。
〔工程(c)〕
オレフィン系樹脂(β)の製造方法は、工程(a)および(b)に加え、必要に応じて、工程(b)で生成する重合体を回収する工程(c)を含んでもよい。本工程は、工程(a)および(b)において用いられる有機溶剤を分離してポリマーを取り出し製品形態に変換する工程であり、溶媒濃縮、押し出し脱気、ペレタイズ等の従来公知の工程であればよい。
前記オレフィン系樹脂(β)は、下記ペレットや熱可塑性エラストマーなどに用いることができるが、この際には、前記のような種々の添加剤や重合体[R1]以外の他の樹脂とを含む組成物としてこれらに用いることができる。
前記添加剤や他の樹脂の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂(β)と添加剤や他の樹脂との合計100重量%に対し、重合体[R1]が5〜100重量%、好ましくは25〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%となるように含まれている態様を例示することができる。
≪ペレット≫
前記ペレットは本発明のオレフィン系樹脂(β)を含んでいればよく、さらには、前記のような種々の添加剤や重合体[R1]以外の他の樹脂を含んでいてもよい。
なお本発明のペレットの表面には、粉体などが付着することを防ぐための添加剤が存在していてもよい。
本発明のペレットは、ペレタイザーを備えた押出機を用いて、混練、造粒することによって得ることができる。
本発明のペレットは、特に制限されないが、形状としては、球状、円柱状、角柱状、スポンジ状などが挙げられ、アスペクト比は好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1〜1.5である。また、大きさについても特に制限されないが、通常0.1〜50mm程度の大きさであり、好ましくは0.5〜30mm、さらに好ましくは1〜10mm、特に好ましくは3〜8mmである。
ペレットの大きさは、任意に選んだ10個のペレット(ペレット1〜10)のそれぞれの最大長さLmax1〜10と最小長さLmin1〜10とをノギスを用いて測定し、その平均値をペレットの大きさとして表す。
ペレットの大きさ=(Lmax1+Lmax2+Lmax3+Lmax4+Lmax5+Lmax6+Lmax7+Lmax8+Lmax9+Lmax10+Lmin1+Lmin2+Lmin3+Lmin4+Lmin5+Lmin6+Lmin7+Lmin8+Lmin9+Lmin10)/20
≪熱可塑性エラストマー≫
本発明の熱可塑性エラストマーは、オレフィン系樹脂(β)および/または前記ペレットと、プロピレン系樹脂(α)と、架橋剤(γ)とを含む組成物を用いて作成され、好ましくは、該組成物の架橋物であり、より好ましくは、該組成物を後述する動的に熱処理して架橋することによって得られる動的熱処理物である。
通常のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、プロピレン系樹脂のマトリクス中に、柔軟なエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体がドメイン相を形成することにより、ゴム弾性が発現する。
一方、オレフィン系樹脂(β)には、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体を主鎖にプロピレン重合体を側鎖とするグラフト型オレフィン系重合体[R1]が含まれるため、該オレフィン系樹脂(β)とプロピレン系樹脂(α)とを混合した際、重合体[R1]による相溶化効果で、それぞれの樹脂が良好に分散する。さらに、オレフィン系樹脂(β)は重合体[R1]を高含量で含むため、その相溶化効果により、プロピレン重合体のラメラ構造部分がドメイン相に侵入し、マトリクス・ドメイン間の界面を強固にするとともに、ドメイン相の剛性と耐熱性を向上させることができる。これにより、本発明の熱可塑性エラストマーは、機械物性に優れ高温でのゴム弾性に優れる。
前述のオレフィン系樹脂(β)は、任意の配合割合にて、プロピレン系樹脂(α)と良好に相容することからプロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との含有割合に特段の制限はないが、プロピレン系樹脂(α)およびオレフィン系樹脂(β)の合計に対してプロピレン系樹脂(α)が好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜60重量%、本発明のオレフィン系樹脂(β)が好ましくは20〜90重量%、より好ましくは40〜85重量%であることが加工性の点で望ましい。
[プロピレン系樹脂(α)]
プロピレン系樹脂(α)は、プロピレンの単独重合体であるか、または、プロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体から構成される。該共重合体としては、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても構わない。前述の炭素数4〜20のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。この中でも1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンのα−オレフィンを好ましく用いることができる。
プロピレン系樹脂(α)は前記重合体のうち1つの重合体のみから構成されてもよいし、複数の重合体から構成されていてもよい。前記プロピレン系樹脂(α)はチーグラーナッタ触媒等で重合される。
プロピレン系樹脂(α)としては、市販のプロピレン系樹脂の中から、特に制限なく用いることができる。市販のプロピレン系樹脂の例として、いわゆるホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂が挙げられる。
以下、プロピレン系樹脂(α)の好ましい態様について説明する。プロピレン系樹脂(α)は、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が、通常0.1〜100g/10分、好ましくは0.3〜60g/10分の範囲内にある。
プロピレン系樹脂(α)のMFRが0.1g/10分より小さい場合、熱可塑性エラストマー中のプロピレン系樹脂(α)とオレフィン系樹脂(β)との分散性が悪化し、熱可塑性エラストマーのゴム弾性が低下する傾向にある。プロピレン系樹脂(α)のMFRが100g/10分より大きい場合、プロピレン系樹脂(α)自体の強度が低下し、熱可塑性エラストマーの機械的強度が低くなる傾向にある。
プロピレン系樹脂(α)は、オレフィン系樹脂(β)に含まれうる、末端不飽和プロピレン重合体とは異なる。実質的にプロピレン系樹脂(α)の末端構造は飽和炭化水素であり、具体的には不飽和末端の割合は1000炭素原子あたり通常0.1未満である。
[架橋剤(γ)]
前記架橋剤(γ)としては、例えば、有機過酸化物、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等のフェノール系加硫剤が挙げられるが、中でも有機過酸化物が好ましく用いられる。
架橋剤(γ)は単独で用いてもよく、また2種以上を用いてもよい。
有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
中でも、臭気性、スコーチ安定性等の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびn−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましい。
架橋剤(γ)は、オレフィン系樹脂(β)の量100重量部に対して0.01〜15重量部、好ましくは0.03〜12重量部の割合で用いられる。架橋剤を前記割合で用いると、オレフィン系樹脂(β)が架橋した熱可塑性エラストマーが得られ、耐熱性、引張特性およびゴム弾性が十分な成形体が得られる。また、この熱可塑性エラストマーは成形性に優れている。
[架橋助剤]
本発明では、前記架橋剤(γ)による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド、エレチングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ビニルブチラートまたはビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーを配合することができる。このような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、ジビニルベンゼンは、取扱い易く、オレフィン系樹脂(β)への相溶性が良好であり、かつ架橋剤(γ)として有機過酸化物を使用する場合、有機ペルオキシド可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性にバランスのとれた熱可塑性エラストマーが得られるため最も好ましい。
架橋助剤は単独で用いてもよく、また2種以上を用いてもよい。
[熱可塑性エラストマーの製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマーは、好ましくは、前記組成物を動的架橋して得られ、より好ましくは、前記オレフィン系樹脂(β)と、プロピレン系樹脂(α)と、架橋剤(γ)、好ましくは有機過酸化物と、必要に応じて配合されるその他の成分との混合物を、動的に熱処理して架橋することによって得られる。
なお、本発明の熱可塑性エラストマーは、前記組成物が部分的架橋されたものであってもよく、完全に架橋されたものであってもよい。
本発明において、「動的に熱処理する」とは、前記重合体組成物を溶融状態で混練することをいう。
前記動的な熱処理は、非開放型の装置中で行うことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理の温度は、通常、オレフィン系樹脂(β)の融点〜300℃の範囲であり、好ましくは150〜280℃、より好ましくは170〜270℃である。混練時間は、通常、1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、最高剪断速度で通常10〜100,000sec-1、好ましくは100〜50,000sec-1、より好ましくは1,000〜10,000sec-1、更に好ましくは2,000〜7,000sec-1の範囲である。
前記混練の際の混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例:バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
[熱可塑性エラストマーの用途]
本発明の熱可塑性エラストマーは、用途に応じて適宜成形され使用される。該成形法としては、一般に使用される成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等が挙げられる。用途としては自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、フラッパードアシール、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウィンドガスケット、コーナーモールディング、グラスエンキャプシュレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、各種パッキン類など)、土木・建材部品(止水材、目地材、建築用窓枠など)、スポーツ用品(ゴルフクラブ、テニスラケットのグリップ類など)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類など)、医療用機器部品、電線、雑貨などの広汎な分野が挙げられる。
≪架橋ゴム≫
本発明の架橋ゴムは前記オレフィン系樹脂(β)と架橋剤(γ)とを含む組成物を用いて作成され、好ましくは、該組成物の架橋物である。
該組成物におけるオレフィン系樹脂(β)に対する架橋剤(γ)の使用量は、前記と同様である。
前記架橋ゴムは、従来公知の方法で得ることができ、例えば、前記混錬装置を用いて、前記オレフィン系樹脂(β)と、架橋剤(γ)と、必要に応じて配合されるその他の成分との組成物を調製し、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入し、架橋することで得ることができる。
前記架橋ゴムは、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース等のホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム等の防振ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト等のベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材等のシール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジ、その他ホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジ、インシュレーションパイプ等の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品;OA機器用ロール、工業用ロール;雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラテックス製品、ゴルフボール等の家庭用品;プラスチック改質用、熱可塑性エラストマー用、エンジニアリングプラスチック改質用などの用途に広く用いられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
(1)融点(Tm)および融解熱量ΔHの測定
オレフィン系樹脂の融点(Tm)および融解熱量ΔHの測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社、RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/minで200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/minで30℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、そのピークトップ温度を融点(Tm)として求めた。また、融解熱量ΔHは前記融解ピークの面積を算出し求めた。なお融解ピークが多峰性の場合は、全体の融解ピークの面積を算出し求めた。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社製、RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/minで200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/minで−100℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した。2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、この屈曲より低温部分のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点における接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(3)クロス分別クロマトグラフ(CFC)測定
オレフィン系樹脂における、オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク値が65℃未満である成分の割合E(wt%)の算出方法については、要件(III)の項に記載したが、以下では、具体的には、下記条件で行った。
装置:クロス分別クロマトグラフCFC2(Polymer ChAR)、検出器(内蔵):赤外分光光度計 IR4(Polymer ChAR)、検出波長:3.42μm(2,920cm-1)固定、試料濃度:120mg/30mL、注入量:0.5mL、降温時間:1.0℃/min、溶出区分:4.0℃間隔(−20℃〜140℃)、GPCカラム:Shodex HT−806M×3本(昭和電工社)、GPCカラム温度:140℃、GPCカラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社)、分子量較正法:汎用較正法(ポリスチレン換算)、移動相:o−ジクロロベンゼン(ジブチルヒドロキシトルエン添加)、流量:1.0mL/min
(4)極限粘度測定
オレフィン系樹脂の極限粘度[η]の測定は135℃のデカリン中で測定した。
(5)13C−NMR測定
オレフィン系樹脂中のエチレン、α−オレフィンおよびジエンの組成分析、およびマクロモノマー(M−1)の立体規則性の確認を目的に、次の条件で13C−NMR測定を実施した。
装置:ブルカーバイオスピン社製AVANCEIII500CryoProbe Prodigy型核磁気共鳴装置、測定核:13C(125MHz)、測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:45°(5.00μ秒)、ポイント数:64k、測定範囲:250ppm(−55〜195ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:512回、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)、ケミカルシフト基準:ベンゼン−d6(128.0ppm)
(6)1H−NMR測定
マクロモノマー(M−1)の構造の分析のため、次の条件で1H−NMR測定を実施した。
装置:日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置、測定核:13H(400MHz)、測定モード:シングルパルス、パルス幅:45°(5.25μ秒)、ポイント数:32k、測定範囲:20ppm(−4〜16ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:64回、測定溶媒:1,1,2,2,−テトラクロロエタン−d2、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:0.12Hz)、ケミカルシフト基準:1,1,2,2,−テトラクロロエタン(5.91ppm)
(7)GPC測定
オレフィン系樹脂および下記マクロモノマー(M−1)の分子量分析および残存マクロモノマー量の見積もりのために、次の条件でGPC分析を実施した。
装置:Waters社製 Alliance GPC 2000型、カラム:TSKgel GMH6−HT ×2およびTSKgel GMH6−HTL ×2(いずれも東ソー社製、内径7.5mm×長さ30cm)、カラム温度:140℃、移動相:オルトジクロロベンゼン(0.025%ジブチルヒドロキシトルエン含有)、検出器:示差屈折計、流量:1.0mL/min、試料濃度:0.15%(w/v)、注入量:0.5mL、サンプリング時間間隔:1秒、カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
(8)透過型電子顕微鏡観察
オレフィン系樹脂の相構造の観察は透過型電子顕微鏡を用いて以下の通り実施した。オレフィン系樹脂40gおよび酸化防止剤Irganox(40mg)をラボプラストミル(東洋精機社製)に投入し、200℃、60rpmで5分間溶融混練し、ブレス加工によりシート状に成形した。得られた成形体を、0.5mm角の小片とし、ルテニウム酸(RuO4)によって染色した。さらにダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで得られた小片を約100nmの膜厚の超薄切片とした。この超薄切片にカーボンを蒸着させて透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7650)を用いて相構造を観察した。
(9)アイソタクチックペンタッド分率(mmmm:〔%〕)
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたペンタッド分率(mmmm:%)は、マクロモノマー(M−1)においてMacromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
(使用試薬)
以下の実施例および比較例において、トルエンはGlassContour社製有機溶媒精製装置を用いて精製したものを用いた。メチルアルミノキサンのトルエン溶液は、日本アルキルアルミ社製の20wt%メチルアルミノキサン/トルエン溶液を用いた。トリイソブチルアルミニウムは東ソー・ファインケム社製のものを用いた。
以下、オレフィン系樹脂の製造例について説明する。なお、分析および評価サンプルのため、下記方法による製造を複数回実施していることがある。
[実施例1] オレフィン系樹脂(β−1)の製造
工程(a):末端ビニルポリプロピレンマクロモノマー(M−1)の製造
触媒として使用したジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドは特許第3737134号に開示されている方法に従って合成した。
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、トルエン1.5Lを装入したのち、85℃に昇温した。そこに600rpmで重合器内部を撹拌しながらプロピレン240リットル/hrを連続的に供給し、液相および気相を飽和させた。引き続きプロピレンを連続的に供給した状態で、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.5mol/L)を5.0mL(7.5mmol)、次いで、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.0020mol/L)を6.0mL(0.012mmol)加え、常圧下、85℃で30分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を少量の塩酸を含む5Lのメタノール中に加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、末端不飽和プロピレン重合体(マクロモノマー(M−1))63.4gを得た。得られた重合体の分析結果を表1−2に示す。
工程(b):オレフィン系樹脂(β−1)の製造
まず、下記式で示される化合物(1)を公知の方法によって合成した。
次に、充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、マクロモノマー(M−1)5.0gとキシレン500mlを装入したのち、95℃に昇温し、マクロモノマーを溶解させた。そこにエチレン180リットル/hrおよびプロピレン50リットル/hrを連続的に供給し、液相および気相を飽和させた。引き続きエチレンおよび1−ブテンを連続的に供給した状態で、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENBとも記す)1.5mL(11.1mmol)、トリイソブチルアルミニウムのデカン溶液(1.0mol/L)を2.0mL(2.0mmol)、前記化合物(1)のトルエン溶液(0.010mol/L)を3.0mL(0.030mmol)加え、次いで、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C654)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を15mL(0.060mmol)加え、常圧下、95℃で30分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、酸化防止剤Irganox1010(BASF社製)を含むメタノール溶液を加え、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂(β―1)23.3gを得た。得られたオレフィン系樹脂(β―1)の分析結果を表1−1に示す。また、得られたオレフィン系樹脂(β―1)は重合工程のみにより製造されるため、着色や異臭、溶出成分による汚染等、製品の品質面で問題となる副生成物等を含まない。
得られた樹脂(β―1)を透過型電子顕微鏡で相構造を観察した。その結果、樹脂(β−1)は非晶性成分により形成される海相と結晶性成分により形成される島相とからなる相分離構造を有し、島相の平均径は250nmであった。
[比較例1] オレフィン系樹脂(β'−1)の製造
実施例1の工程(b)において、マクロモノマー(M−1)を加えないこと以外、実施例1と同様に重合を実施し、オレフィン系樹脂(β'−1)18.8gを得た。得られたオレフィン系樹脂(β'−1)の分析結果を表1−1および表1−3に示す。
[比較例2] オレフィン系樹脂(β"−1)の製造
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、オレフィン系樹脂(β'−1)15.7gとマクロモノマー(M−1)4.3gとキシレン500mlとを装入したのち、95℃に昇温し、オレフィン系樹脂(β'−1)とマクロモノマー(M−1)とを溶解させた。得られた溶液を少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、酸化防止剤Irganox1010(BASF社製)を含むメタノール溶液を加え、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂(β"−1)20.0gを得た。得られたオレフィン系樹脂(β"−1)の分析結果を表1−1に示す。
得られた樹脂(β"−1)を透過型電子顕微鏡で相構造を観察した。その結果、樹脂(β"−1)には相分離構造が観察されたが、その島相は粗大でマイクロメートルオーダーでの分散が認められた。
[比較例3] オレフィン系樹脂(D−1)の製造
化合物(1)のトルエン溶液(0.0020mol/L)5.0mL(0.01mmol)に変えて、下記化合物(2)のトルエン溶液(0.0020mol/L)6.0mL(0.012mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてオレフィン系樹脂(D−1)を製造した。得られたオレフィン系樹脂(D−1)は29.3gであった。得られたオレフィン系樹脂(D−1)の分析結果を表1−1に示す。化合物(2)は特表2006−525314号公報に記載されている方法により合成した。
比較例3において、マクロモノマー(M−1)を添加しない以外は同様に重合して得られた樹脂(D’−1)を前述の方法で分析した結果を表1−3に示す。この樹脂(D’−1)を、オレフィン系樹脂(D−1)の主鎖を構成する共重合体であるとした。
[比較例4] オレフィン系樹脂(D−2)の製造
トリイソブチルアルミニウムのデカン溶液(1.0mol/L)2.0mL(2.0mmol)に変えて、メチルアルミノキサントルエン溶液(東ソーファインケム社製、MMAO−3A、Al原子濃度:1.0mmol/L)2.0mLを用い、化合物(1)のトルエン溶液(0.010mol/L)3.0mL(0.03mmol)に変えて、下記化合物(3)であるrac−エチレンビス(インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリドのトルエン溶液(0.0060mol/L)1.0mL(0.006mmol)を用い、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C654)のトルエン溶液(4.0mmol/L)15mL(0.060mmol)を加えないこと以外は、実施例1と同様にオレフィン系樹脂(D−2)を製造した。得られたオレフィン系樹脂(D−2)は32.4gであった。得られたオレフィン系樹脂(D−2)の分析結果を表1−1に示す。rac−エチレンビス(インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリドはSTREM CHEMICHALS社製を用いた。
比較例4において、マクロモノマー(M−1)を添加しない以外は同様に重合して得られた樹脂(D’−2)を既述の方法で分析した結果を表1−3に示す。この樹脂(D’−2)を、オレフィン系樹脂(D−2)の主鎖を構成する共重合体であるとした。
[実施例2]
表2の各成分を表2の通り計量し、東洋精機(株)製ラボプラストミル(容量100cc)を用いて、回転数100rpmで1分25秒間混練した。その後、回転数を60rpmに下げて5秒間混練し、ラボプラストミルを停止した。そこに、下記架橋剤成分を投入し、ラボプラストミルによる混練(回転数:60rpm)を再開し(混練時間:15秒)、その後、再び回転数を100rpmに上げて2分15秒間混練した。以上の工程(動的架橋)により、熱可塑性エラストマーを得た。得られた熱可塑性エラストマーをラボプラストミルから取り出した。なお、ラボプラストミルにおける混練温度は200℃とした。
<架橋剤成分>
有機過酸化物(PHSA):0.28g
ジビニルベンゼン(DVB810):0.19g
パラフィンオイル(PW−100):0.47g
[比較例5〜8]
表2の成分を表2の量で用いた以外は実施例2と同様の方法によって、熱可塑性エラストマーを得た。
(1)MFR
得られた熱可塑性エラストマーのMFRを、ASTM D 1238に準拠して230℃、10kg荷重で測定した。結果を表3に示す。
(2)硬度
得られた熱可塑性エラストマーを、50tプレス成形機(KMF100−1E、コータキ(株)製)を用いて、温度190℃、10分間の条件でプレスした後、室温、5分間の条件で冷却プレスを行い、20cm角、2mm厚のシートを得た。得られたシートを重ねて厚さ12mmとし、JIS K6253に従い硬度(JIS−A)を測定した。結果を表3に示す。
(3)引張試験
前記(2)と同様の方法で得られたシートを用いて、JIS K6251に従い、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、モジュラス、破断強度、破断伸びを測定した。結果を表3に示す。
(4)圧縮永久歪(CS)
前記(2)と同様の方法で得られたシートを用いて、JIS K6250の6.5およびJIS K6262(2013)に従って、表3の各温度にて、22時間処理後の圧縮永久歪を測定した。結果を表3に示す。
(5)透過型電子顕微鏡観察
前記「(2)硬度」と同様の方法で得られたシートを用いた以外は、前述の「(8)透過型電子顕微鏡観察方法」と同様の方法で、実施例2および比較例5で得られた熱可塑性エラストマー観察した。実施例2で得られた熱可塑性エラストマーの結果を図2、比較例5で得られた熱可塑性エラストマーの結果を図3に示す。
表3の結果によると、実施例2で得られる熱可塑性エラストマーは、比較例5〜8で得られる熱可塑性エラストマーと比較して、モジュラス・破断強度・破断伸びにおいて高い値となり、圧縮永久歪(CS)は小さい値となっている。これは樹脂(β−1)にグラフト型オレフィン系重合体が高含量で含まれることに由来して、機械物性とゴム弾性とのバランスが大幅に改善されていることを示している。特に、実施例2では70℃の圧縮永久歪が小さいことから、高温でも良好なゴム弾性を発現していることを示している。
図2および図3に示す透過型電子顕微鏡像において、黒色部分が主にゴム成分(エチレン・プロピレン・ENB共重合体の架橋物)からなるドメイン相、白色部分が主にプロピレン系樹脂からなるマトリクス相であり、白色の筋状の形態は共重合体側鎖のプロピレン重合体のラメラ構造体であると考えられる。実施例2で得られた熱可塑性エラストマーの透過型電子顕微鏡像(図2)および比較例5で得られる熱可塑性エラストマーの透過型電子顕微鏡像(図3)を比較すると、図2ではプロピレン重合体のラメラ構造体がドメイン相内にも侵入しており、さらにマトリクス/ドメインの界面部分にもラメラ構造体が貫通するモルフォロジーが観測されている。一方、図3にはこのようなモルフォロジー上の特徴は観察されない。これは、樹脂(β−1)にグラフト型オレフィン系重合体が高含量で含まれることでプロピレン系樹脂との相溶性が高まったためで、前記ラメラ構造体がマトリクス・ドメイン間の界面を強固にするとともに、ドメイン相の剛性と耐熱性を向上させているものと推察される。これにより本発明の熱可塑性エラストマーは、特に機械物性に優れ、高温でのゴム弾性に優れると考えられる。

Claims (11)

  1. 下記要件(I)〜(V)を満たすオレフィン系樹脂(β)。
    (I)エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体からなる主鎖、およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む
    (II)オレフィン系樹脂(β)に含まれるプロピレン重合体の割合Pが5〜60wt%の範囲にある
    (III)オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク値が65℃未満である成分の、前記オレフィン系樹脂(β)の重量に対する割合をEwt%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値aが1.4以上である。
    a=(100−E)/P ・・・(Eq−1)
    (IV)示差走査熱量分析(DSC)による測定において、融点(Tm)が120〜170℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−30℃の範囲にある
    (V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある
  2. オレフィン系樹脂(β)に含まれるエチレンから導かれる繰り返し単位の割合が20〜80mol%の範囲にある、請求項1に記載のオレフィン系樹脂(β)。
  3. グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖が、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上であるプロピレン系重合体である、請求項1または2に記載のオレフィン系樹脂(β)。
  4. グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量が5000〜100000の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)。
  5. グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖の重量平均分子量が20000〜200000の範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)。
  6. オレフィン系樹脂(β)が、非晶性成分を示す海相と結晶性成分を示す島相とからなる相分離構造を有し、オレフィン系樹脂(β)の透過型電子顕微鏡像における島相の平均径が、50nm〜500nmの範囲にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)。
  7. 下記(a)および(b)の工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
    (a)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程
    (b)下記式[B]で表される架橋メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、工程(a)で製造された末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンと、ポリエンとを共重合する工程
    (式[B]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
    6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
    13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
    1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
    Mはジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
    Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  8. 工程(b)が重合温度90℃以上の溶液重合プロセスである、請求項7に記載のオレフィン系樹脂(β)の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)を含むペレット。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)および/または請求項9に記載のペレットと、プロピレン系樹脂(α)と、架橋剤(γ)とを含む組成物の架橋物である、熱可塑性エラストマー。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂(β)および/または請求項9に記載のペレットと、架橋剤(γ)とを含む組成物の架橋物である、架橋ゴム。
JP2015146798A 2015-07-24 2015-07-24 オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム Active JP6560044B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015146798A JP6560044B2 (ja) 2015-07-24 2015-07-24 オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015146798A JP6560044B2 (ja) 2015-07-24 2015-07-24 オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017025234A JP2017025234A (ja) 2017-02-02
JP2017025234A5 JP2017025234A5 (ja) 2018-08-30
JP6560044B2 true JP6560044B2 (ja) 2019-08-14

Family

ID=57950177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015146798A Active JP6560044B2 (ja) 2015-07-24 2015-07-24 オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6560044B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7011977B2 (ja) * 2018-05-17 2022-02-10 三井化学株式会社 オレフィン系樹脂の製造方法
WO2020184421A1 (ja) * 2019-03-12 2020-09-17 三井化学株式会社 オレフィン系樹脂、その架橋物およびそれらの製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5204727B2 (ja) * 2009-06-19 2013-06-05 三井化学株式会社 ゴム組成物およびその用途
CN103890023B (zh) * 2011-10-24 2016-11-16 三菱化学株式会社 热塑性弹性体组合物及其制造方法
JP2014214204A (ja) * 2013-04-24 2014-11-17 三菱化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017025234A (ja) 2017-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10975223B2 (en) Resin composition and use thereof
JP6017089B2 (ja) オレフィン系樹脂、その製造方法およびプロピレン系樹脂組成物
US11466149B2 (en) Preparation of bimodal rubber, thermoplastic vulcanizates, and articles made therefrom
US20170081509A1 (en) Propylene-based resin composition
US20190264014A1 (en) Thermoplastic elastomer composition, method for producing same and molded body
JP6668023B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその製造方法、並びに成形体
EP3827033A1 (en) Preparation of bimodal rubber, thermoplastic vulcanizates, and articles made therefrom
JP6560044B2 (ja) オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム
JP6564289B2 (ja) オレフィン系樹脂とその製造方法および組成物並びに成形体
JP6624831B2 (ja) オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム
JP6594137B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP6594140B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP6594139B2 (ja) 造核剤含有プロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP6666089B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物および成形体
JP6594138B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP6814272B2 (ja) オレフィン系樹脂、該樹脂の製造方法、ペレット、熱可塑性エラストマーおよび架橋ゴム
JP6615554B2 (ja) オレフィン系樹脂、その製造方法および組成物並びに成形体
JP6514617B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその製造方法、並びに成形体
JP6514618B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその製造方法、並びに成形体
JP7483392B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180718

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180718

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6560044

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250