図1は、使用されるネラールおよびゲラニアール含有物質混合物の低ネラール頂部留分(j)、ネラールが豊富な側方留分(f)および低ネラール底部留分(g)への本発明の好適な任意の分離の1つの好適な実施形態を略図の形で示す。分割壁塔へのネラールおよびゲラニアール含有供給を液体の形(b)、気体の形(c)または気体および液体の形で行うことができる。
図2は、図1に示されている特徴に加えて、側方分岐(f)、側方取出点(n)および(o)が設けられた、純粋な、または高濃度の形のネラールを製造するための本発明による方法の特に好適な実施形態を略図の形で示す。
好ましくは本発明に従って実施されるゲラニアールおよびネラール含有物質混合物の蒸留分離のための方法は、連続的に実施される。その結果、出発材料として使用されるネラールおよびゲラニアール含有物質混合物は、分割壁塔および熱結合の形の2つの蒸留塔の相互連結体に連続的に供給され、本発明により得られた生成物(留分)および/または副産物が連続的に排出される。
通常、さらなるコンデンサが塔の下流に接続され、その使用温度は、分割壁塔の頂部コンデンサの使用温度より低い10から40K、好ましくは20から30Kである。これを利用して、頂部流(k)に依然として存在する低沸点物の多くを凝結させることができる。
分割壁塔をそれぞれの場合において2つの熱結合塔に取り換えることもできる。これは、特に、塔が既に存在している場合、または塔が異なる圧力で動作される場合に好ましい。熱結合塔の場合は、第1の塔の底部流をさらなる蒸発器で部分的または完全に蒸発させ、それを第2の塔に供給するのが有利であり得る。この予備蒸発は、第1の塔からの底部流が比較的大量の中沸点物を含む場合に特に適切である。この場合、予備蒸発を比較的低温レベルで行うことができ、第2の塔における蒸発器の負荷を軽減することができる。また、この手段の結果として、第2の塔のストリッピング部の付加を有意に軽減することができる。ここで、予備蒸発流を二相の形または2つの個別流の形で第2の塔に供給することができる。
さらに、分割壁塔の場合および熱結合塔の場合の両方において、供給流を予備蒸発させ、次いでそれを二相の形または2つの流れの形で塔に供給することが有利であり得る。この予備蒸発は、特に、供給流が比較的大量の低沸点物を含む場合に適切である。予備蒸発の結果として、塔のストリッピング部の負担を有意に軽減することができる。
分割壁塔および熱結合塔を、ランダム充填物もしくは構造充填物を含む充填塔として、またはトレー塔として設計することができる。ネラールを純粋な、または高濃度の形で製造するための本発明による方法において、充填塔を使用することが好ましい。この点において、比表面積が約100から750m2/m3、好ましくは約350から500m2/m3の構造金属シートまたは織物充填物が特に好適である。
本発明の場合のように、生成物の純度に特に高度な要件が課される場合は、分割壁に熱絶縁体を備えるのが好ましい。分割壁の熱絶縁体についての様々な選択肢の説明をEP−A0640367に見いだすことができる。狭い気層をその間に有する二重壁設計が特に好ましい。
分割壁塔および熱結合塔の制御については、様々な制御手法が記載されてきた。それらをUS4,230,533;DE3522234;EP0789147;Process Engineering 2(1993)33−34およびInd.Eng.Chem.Res.34(1995)、2094−2103に見いだすことができる。
複数物質混合物を低沸点、中沸点および高沸点留分に分割する場合は、通常、中沸点留分における低沸点物および高沸点物の最大許容分率に関する規格が存在する。ここでは、分離の問題にとって重要な個々の成分、所謂主要成分、またはいくつかの主要成分の合計が指定される。本発明のこの任意の工程の文脈の範囲内におけるこれらの主要成分は、高沸点二次成分としてのゲラニアールおよび低沸点二次成分としてのイソシトラールまたは異性体イソシトラールの混合物である。
中沸点留分における高沸点物成分に対する規格への遵守を、例えば、分割壁の上端における液体の分割比を介して管理することができる。ここで、分割壁の上端における液体の分割比は、好ましくは、分割壁の上端における液体の高沸点留分の主要成分の濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%、好ましくは30から50%になるように調整される。液体分割は、好ましくは、高沸点留分における主要成分の含有量がより大きい場合にはより大量の液体が供給部に供給され、高沸点留分における主要成分の含有量がより小さい場合にはより少量の液体が供給されるように調整される。
よって、中沸点留分における低沸点物に対する規格を加熱出力によって管理することができる。ここで、例えば、蒸発器における加熱出力は、分割壁の下端における液体の低沸点留分の主要成分の濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%、好ましくは30から50%になるように調整される。加熱出力は、好ましくは、低沸点留分における主要成分の含有量がより大きい場合には加熱出力が増加し、低沸点留分における主要成分の含有量がより小さい場合には加熱出力が減少するように調整される。
供給量または供給濃度の乱れを補償するために、(例えば、プロセス制御システムにおける制御規格による)対応する制御機構を介して、塔部(2)、すなわち供給部の整流部および(5)、すなわち除去部のストリッピング部への液体の定量流がそれらの正常値の30%まで低下し得ないようにすることが有利であることがさらに証明された。
分割壁の上端および側方除去点における液体の除去および分割のために、内部回収スペースおよび塔の外側に配置された回収スペースの両方が液体に好適であり、これらは、ポンプための機能を果たし、または十分に高い静止液レベルを確保して、調整要素、例えば弁による液体のさらなる制御供給を可能にする。充填塔を使用する場合は、液体を最初に回収器に閉じこめ、そこから内部または外部回収スペースに流し込む。
投資コストに関して新築物に好適な分割壁塔の代わりに、熱結合のタイプの2つの蒸留塔を、それらがエネルギー要件の観点で分割壁塔に対応するように相互連結することも可能である。それらは、既存の塔が利用可能な分割壁塔の有用な代用になり得る。相互接続体の適切な形を既存の塔における板の数に応じて選択することができる。
ゲラニアールおよびネラール含有物質混合物を分離するために望まれる場合に実施される工程0)の本実施形態の文脈の範囲内において、2つの蒸留塔が熱結合の形の相互連結体に使用される場合は、このように熱結合された両蒸留塔にその独自の蒸発器およびコンデンサを備えるのが有利であることが証明された。加えて、2つの熱結合塔を異なる圧力で動作させることができ、液体だけを接続流で2つの塔の間に輸送することができる。好適な実施形態の文脈の範囲内において、第1の塔からの底部流は、さらなる蒸発器で部分的または完全に蒸発され、次いで二相の形または1つの気体流および1つの液体流の形で第2の塔に送られる。
特に好適な実施形態の文脈の範囲内において、任意の工程0)に従って本発明による好適な分離方法は、図1に概略的に示されるプラントで実施される。好適な実施形態は、分割壁(T)を塔の縦方向に有して、上部共通塔領域(1)、下部共通塔領域(6)、整流部(2)およびストリッピング部(4)を含む供給部(2、4)、ならびにストリッピング部(3)および整流部(5)を含む除去部(3、5)を形成する分割壁塔(TK)が使用されることが注目に値する。
本発明によれば、供給材料として機能するネラールおよびゲラニアール含有物質混合物(a)が、好ましくは、供給部(2、4)の中間部に供給され、純粋な、または高濃度の形のネラールが、除去部(3、5)の中間領域から側方分岐(f)として得られ、1つまたは複数の低沸点留分が上部共通塔領域(1)から除去され、1つまたは複数の高沸点留分が下部共通塔領域(6)から除去される。
供給流(a)を、液体(b)、気体(c)または部分液体および気体流として、予備加熱器(VH)を介して塔(TK)に導入することができる。塔の頂部流は、コンデンサ(K)で完全または部分的に凝縮される。部分的凝縮(デフレグメーター処理)の場合は、頂部コンデンサ(K)からの排ガス流(k)は、通常、低温で動作する後部コンデンサで後に凝結可能な顕著な量の凝縮可能な低沸点物を依然として含む。
コンデンサ(K)で凝結された頂部生成物を蒸留容器(DB)で緩衝させ、復帰ポンプ(RP)を介して塔復帰流(i)として塔に戻すことができる。必要であれば、蒸留分(j)をそこから得ることもできる。コンデンサを塔の頂部に統合する場合は、蒸留容器(DB)および復帰ポンプ(RP)を省くことが可能である。
底部流は、有利には、好ましくは流下膜式蒸発器として設計された循環ポンプ(UP)を介して底部蒸発器(SV)に供給される。塔(TK)の底部排出物(g)をこのポンプ循環流から除去することもできる。
純粋な、または高濃度の形のネラール生成物は、好ましくは、分割壁塔(TK)の除去部から液体側方分岐流(f)として除去される。必要であれば、気体の分岐物としての貴重な流れ(f)の生成物を除去することも可能であるが、通常はさらなるコンデンサが必要である。
塔の上部共通小領域(1)は、通常、塔の理論分離段の総数の5から50%の理論分離段を有し、塔の供給部の整流部(2)はその5から50%の理論分離段を有し、塔の供給部のストリッピング部(4)はその2から50%の理論分離段を有し、塔の除去部のストリッピング部(2)はその5から50%の理論分離段を有し、除去部の整流部(5)はその2から50%の理論分離段を有し、塔の共通下部(6)はその5から50%の理論分離段を有し、選択された百分率は合計100%になる。
好ましくは、塔の上部共通小領域(1)は、塔の理論分離段の総数の10から25%の理論分離段を有し、塔の供給部の整流部(2)はその15から30%の理論分離段を有し、塔の供給部のストリッピング部(4)はその5から20%の理論分離段を有し、塔の除去部のストリッピング部(3)はその15から30%の理論分離段を有し、除去部の整流部(5)はその5から20%の理論分離段を有し、塔の共通下部(6)はその10から25%の理論分離段を有し、選択された百分率は合計100%になる。
供給部における小領域(2)および(4)の理論分離段の総数は、除去部における小領域(3)および(5)の総数の好ましくは80から110%、特に好ましくは95から105%である。
有利には、供給点および側方取出点は、理論分離段の位置に関して、供給点が側方取出点より1から50個、好ましくは30から45個の理論分離段の分だけ高く、または低く配置されているため、塔において異なる高さに配置されている。
それは、さらに、分割壁によって分割され、小領域(2)、(3)、(4)および(5)またはそれらの部分からなる塔の小領域が構造充填物またはランダム充填物(例えば、Montz A3−500、Sulzer BXまたはCYなどの織物充填物)を備える場合に特に有利であることが証明された。また、それは、これらの小領域における分割壁が設計上断熱性である場合に有利であることが証明された。
除去部における蒸気流に対する供給部における蒸気流の比が0.8から1.2、好ましくは0.9から1.1になるように、分割壁の下端における蒸気流を、分離内部構造物の選択および/または寸法決定、および/または圧力降下をもたらす装置、例えば絞り機構の導入によって調整することができる。
塔の上部共通小領域(1)から流出する液体は、有利には、塔内または塔の外側に配置された回収スペースで回収され、除去部の液体流に対する供給部の液体流の比が、主に液体供給の場合は0.1から2.0になり、気体供給の場合は1.0から2になるように、分割壁の上端における固定設定または制御システムによって誘導的に分割される。ここで、本発明によれば、液体供給物が好適である。
上部共通小領域(1)から供給部へ流れる液体を、ポンプによって輸送し、または少なくとも1mの静的供給高さによって、好ましくはカスケード制御システムと回収スペースの液位制御システムとの併用によって定量制御下で導入することができる。制御システムは、好ましくは、供給部に導入される液体の量が所望の正常値の30%を下回ることがないように設定される。さらに、塔の除去部における小領域(3)から側方分岐および塔の除去部における小領域(5)に流れる液体は、有利には、小領域(5)に導入される液体の量が所望の正常値の30%のレベルを下回らないように制御システムによって調整される。ここで正常値は、有利には、ゲラニアール/ネラール混合物の供給量の2倍から4倍であると想定される。
好ましくは任意の工程0)の文脈の範囲内で使用される分割壁塔は、サンプルを連続的に、または時間間隔をおいて塔から液体または気体の形で採取し、好ましくはガスクロマトグラフィーによってそれらの組成を調査することができる任意のサンプリング装置を分割壁の上端および下端に有するのが好ましい。
分割壁の上端における液体の分割比は、好ましくは、側方分岐において特定の濃度既定値が達成される高沸点留分の成分(具体的にはゲラニアール)の分割壁の下端の液体における濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%、好ましくは30から50%になるように調整される。液体分割は、好ましくは、高沸点留分の成分の含有量がより大きい場合はより大量の液体が供給部に送られ、高沸点留分の成分の含有量がより小さい場合はより少量の液体が送られるように調整される。
蒸発器(SV)における加熱出力は、好ましくは、側方分岐において特定の濃度既定値が達成される低沸点留分の成分(具体的にはイソシトラール)の分割壁の下端における濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%、好ましくは30から50%になるように調整される。加熱出力は、有利には、低沸点留分の成分の含有量がより大きい場合は加熱出力が増加し、低沸点留分の成分の含有量がより小さい場合は加熱出力が減少するように調整される。
蒸留分離、すなわち低沸点副産物の除去は、好ましくは温度制御しながら行われる。使用される制御温度は、有利には、塔の上端から3から8個、好ましくは4から6個の理論分離段の分だけ下方に配置される塔の小領域(1)における測定部位である。
底部生成物の除去は、好ましくは供給量の関数として定量的に制御しながら行われるのが好ましい。
純粋な、または高濃度の形の側方生成物として得られるネラールの除去は、好ましくは、液位制御しながら行われ、使用される制御パラメータは、好ましくは塔の底部における液位である。
供給流(a)は、好ましくは、部分的または完全に予備蒸発され、二相の形、または1つの気体流および1つの液体流の形で塔に供給される。
好適な実施形態の文脈の範囲内で、分割壁塔が使用され、その分割壁は、塔に溶接されておらず、緩く配置され、十分に固着された部分セグメントの形で構成される。
塔の個々の小領域における液体分岐を、好ましくは誘導的に不均一に調整することができ、その場合、液体は、特に小領域(2)および(5)における壁領域に大量に添加され、小領域(3)および(4)における壁領域に少量添加される。
分割壁の除去側と供給側の復帰液の分割比は、好ましくは約1:1から約3:1、好ましくは約1:1から約1.5:1である。
塔の個々の小領域における分割壁の位置を、有利には、供給部および除去部の断面が異なる面積を有するように調整することができる。
好ましくは、純粋な、または高濃度のネラールを製造するために任意の工程0)に従って、本発明による方法の文脈の範囲内で実施される方法の特に好適な実施形態は、少なくとも1つの低沸点留分が、塔頂部から好ましくは4から10個の理論分離段の分だけ下方の塔の上部(1)において液体または気体、好ましくは液体の側方分岐(n)として得られることは注目に値する(図2参照)。この場合、塔上部(1)を2つの部分((1a)および(1b))に分割することが適切である。これらの部分の間において、部分(1a)から流出する液体を好適な回収器によって取り込み、下部(1b)に再び分配することができる(図2参照)。低沸点物の含有量が小さい留分、および特に異性体シトラールを含むネラールを回収器から除去することができる。
さらなる側方分岐(n)を介して入手可能なこのイソシトラールが豊富な副産物の留分を好適に再使用することができ、例えば、それに大規模な水素化または部分的水素化を施して、テトラヒドロゲラニオールを得ることができ、その結果として、処分が必要な廃棄物および/または副産物を回避することが可能である。
したがって、本発明により特に好適な1つの実施形態の文脈の範囲内において、任意の工程0)は、式(II)のネラールおよびゲラニアールを含む物質混合物からのネラールの蒸留分離を介して、純粋な、または高濃度の形の式(I)のネラールを製造するための連続的方法であって、
−蒸留分離は、塔の縦方向に分割壁(T)を有して上部共通塔領域(1)、底部共通塔領域(6)、整流部(2)およびストリッピング部(4)を含む供給部(2、4)、ならびにストリッピング部(3)および整流部(5)を含む除去部(3、5)を形成し、80から200個の理論分離段および複数の、好ましくは2から4つの、特に好ましくは2または3つの側方取出点を有する分割壁塔(TK)にて5から200ミリバールの絶対動作圧力で実施され、
−純粋な、または高濃度の形のネラールは、除去部(3、5)の中間領域から側方分岐(f)として得られ、
−低沸点留分(n)は、上部共通塔領域(1)から液体または気体、好ましくは液体の側方分岐として得られる当該方法に関する。
本発明に従って使用可能な分離方法のさらなる好適な実施形態は、少なくとも1つの高沸点留分が、塔底部から好ましくは1から5個の理論分離段の分だけ下方の塔の底部共通小領域(6)において気体の側方分岐(o)として得られることが注目に値する。(図2参照)その結果、高沸点物の含有量が特に小さいゲラニアールが豊富な生成物を得ることができる。この場合、塔下部(6)を2つの部分(6aおよび6b)に分割することが適切であり得る。これらの部分の間において、部分(6a)から流出される液体を好適な回収器によって取り込み、下部(6b)に再び分配することができ(図2参照)、側方分岐の気体流を除去することができる。
分割壁塔に使用される底部蒸発器(SV)は、有利には、薄膜装置、例えば流下膜式蒸発器であり得る。
頂部コンデンサ(K)を例えば板装置として構成し、塔ジャケットに統合することができる。
任意の工程0)により記載の蒸留分離方法によって入手可能な純粋な、または高濃度のネラールは、側方分岐を介して、またはさらなる側方分岐が得られる場合は中間側方分岐(f)を介して連続的に得られ、好適な実施形態の文脈の範囲内において、(それぞれの場合において得られた混合物の全量に対して)98質量%超、好ましくは98.5質量%から99.5質量%のネラール含有量、0.3質量%未満のゲラニアール含有量、および1質量%未満の他の異性体(式(IV)、(V)および(VI)のシトラール異性体)の含有量を有し、適切であれば少量のさらなる不純物を有する。
上記の上部側方分岐(n)が得られる場合は、そこで通常、ネラール含有量が80質量%未満であり、ゲラニアール含有量が0.1質量%未満であり、他の異性体、特に式(IV)、(v)および/または(VI)のシトラール異性体の含有量が20質量%超、好ましくは30質量%超の副産物混合物を得ることができる。加えて、下部側方分岐(o)においても、望まれる場合は、底部分留物(g)と全く同様に、ネラール含有量が20質量%未満であり、ゲラニアール含有量が70質量%超の生成物混合物を得ることができる。頂部留分(j)は、通常、ネラール含有量が30質量%未満である。そこから分離される低沸点留分(k)は、通常、主要成分の他に5質量%未満のネラール含有量を有する。
本発明の任意のサブ工程0)のさらなる態様は、ネラールおよび式(II)のゲラニアールを含む物質混合物からのネラールの蒸留分離によって純粋な、または高濃度の形の式(I)のネラールを連続的に製造するための、上記の分割壁塔または熱結合の形の2つの蒸留塔の相互連結体、好ましくは、80から200個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割壁塔の使用、あるいはネラールを単離するためのその使用に関する。本発明の任意のサブ工程0)のさらなる態様は、ネラールおよび式(II)のゲラニアールを含む物質混合物からのネラールの蒸留分離によって純粋な、または高濃度の形の式(I)のネラールを連続的に製造するのに好適な上記の分割壁塔または熱結合の形の2つの蒸留塔の相互連結体、好ましくは、80から200個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割壁塔に関する。
工程a):シトネラールを得るためのネラールおよび/またはゲラニアールの触媒水素化
メントールを製造するための本発明による方法の段階a)によれば、式(XIII)
のシトロネラールを得るためのネラールおよび/またはゲラニアールの触媒水素化、好ましくは上記のネラール、あるいはゲラニアールおよびネラール含有物質混合物の蒸留分離によって上記のように純粋な、または高濃度の形で製造されたネラールの触媒水素化が実施される。
ラセミシトロネラールを得るための特定の出発材料の触媒水素化方法は、当業者に既知であり、例えば、W.J.Houlihan,J.Org.Chem.1958,23,689−690;R.Giannandrea,P.Mastrorilli,G.Zaccaria,C.F.Nobile,J.Mol.Cat.A.1996,109,113−117;U.K.Singh,M.A.Vannice,J.Catal.2000,191,165−180:WO2004/007414A1に記載されている。加えて、ロジウム−ホスフィン触媒の存在下でゲラニアールまたはネラールの水素化によって光学活性シトロネラールを製造するためのエナンチオ選択的な方法がEP0000315から既知である。
反応混合物に可溶であり、少なくとも1つの一酸化炭素配位子を有する光学活性遷移金属触媒の存在下でα,β−不飽和カルボニル化合物の不斉水素化によって光学活性カルボニル化合物を製造するための改善された方法、および好ましくは本発明の文脈の範囲内で使用可能な方法が、その開示内容全体が参考として本明細書で援用され、好適な実施形態のすべてを含めて本開示の一部と見なされるべきであるWO2006/040096から既知である。該方法に有利に使用される触媒、またはその製造のための好適な配位子を、引用された開示内容に見いだすこともできる。前記水素化方法は、触媒が一酸化炭素および水素含有気体混合物で前処理され、および/または反応混合物にさらに供給される一酸化炭素の存在下で不斉水素化が実施されることが注目に値する。
好ましくは工程a)の文脈の範囲内で実施可能な水素化方法の1つの特に好適な実施形態の文脈の範囲内において、ネラールまたはゲラニアール、好ましくはネラール、さらに好ましくは約5モル%まで、特に好ましくは約2モル%までのそれぞれの他の二重結合異性体を含むネラールを反応させて光学活性シトロネラールを得る。
好ましくは実施される工程a)の不斉水素化の過程で使用される触媒を形成するために、反応混合物に可溶なロジウムの化合物、特に、Rh(OAc)3[Rh(cod)Cl]2、Rh(CO)2acac、[Rh(cod)OH]2、[Th(cod)OMe]2、Rh4(CO)12またはRh6(CO)16、およびキラル配位子として式(R−VII)の(R,R)−キラホスもしくは式(S−VII)の(S,S)−キラホス、((2R,3R)−(+)−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンまたは(2S,3S)−(−)−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)を約1:1から約1:4のモル比で使用するのが好ましい。
本発明による方法の1つの特に好適な実施形態において、約5モル%まで、好ましくは約2モル%までのゲラニアールを含むネラールをRh(OAc)
3[Rh(cod)Cl]
2、Rh(CO)
2acac、[Rh(cod)OH]
2、[Th(cod)OMe]
2、Rh
4(CO)
12またはRh
6(CO)
16、および(R,R)−キラホスの存在下で反応させ、式(R−XIII)
のD−シトロネラールを得る。
好ましくは本発明による方法の工程a)の過程で実施される水素化方法を実施するための記載のキラル配位子の他に、WO2006/040096に記載の配位子、特に、一般式(VIII)、(IX)および(X)
[式中、
R
31、R
32は、それぞれの場合において互いに独立して、1つまたは複数の、一般には1から約4つのエチレン二重結合、および/または置換基OR
39、NR
40R
41、ハロゲン、C
6−C
10−アリールおよびC
3−C
9−ヘタリールの群から選択される1つまたは複数の、一般には1から約4つの同一の、または異なる置換基を場合によって担持することができる、1から20個の炭素原子を有する非分枝状、分枝状または環式アルキル基であり、R
31およびR
32は、1つまたは複数の、一般には1つまたは2つのO原子を含みうる4から20員の環を形成することができ、
R
33、R
34は、それぞれの場合において互いに独立して、水素、または直鎖もしくは分枝状のC
1−〜C
4−アルキルであり、
R
35、R
36、R
37、R
38は、それぞれの場合において、置換基C
1−〜C
4−アルキル、C
6−〜C
10−アリール、C
1−〜C
4−アルコキシおよびアミノの群から選択される1つまたは複数の、一般には1から8つの、好ましくは1から4つの置換基を場合により担持可能なC
6−〜C
10−アリールであり、
R
39、R
40、R
41は、それぞれの場合において互いに独立して、水素、C
1−C
4−アルキル、C
6−C
10−アリール、C
7−C
12−アラルキルまたはC
7−C
12−アルキルアリールであり、
R
40、R
41は、ともに、NまたはOによって中断されていてよい2から5個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり得る]の配位子、好ましくは一般式(VIII)の配位子も好適である。
ここで、記載の基は、WO2006/040096に例として記載されている意味を有しうる。
好ましくは、水素化に使用される触媒は、WO2006/040096に示されている条件下で予備形成され、次いで不斉水素化は、約600から約3000ppmの一酸化炭素を含む水素の存在下で実施される。好適な実施形態の文脈の範囲内において、有利には、溶媒の添加が省かれ、特定の反応が、反応する物質および/または生成物、ならびに場合によって溶解媒体としての高沸点副産物において実施される。特に好ましくは、連続的な反応法は、本発明に従って安定化された均質触媒の再利用および/またはリサイクルによるものである。
メントールを製造するための本発明による方法の工程a)による水素化の文脈の範囲内におけるさらなる好適な実施形態は、反応混合物に可溶であり、少なくとも1つの一酸化炭素配位子を有する光学活性遷移金属触媒の存在下でα,β−不飽和カルボニル化合物の不斉水素化によって光学活性カルボニル化合物を製造するための方法において、それぞれの場合において使用される少なくとも1つの一酸化炭素配位子を有する光学活性触媒を製造するために、一酸化炭素および水素を含む気体混合物で触媒前駆体を前処理し、反応混合物にさらに供給された一酸化炭素の存在下で不斉水素化を実施する方法であって、
i)触媒前駆体の前処理を、20から90容量%の一酸化炭素、10から80容量%の水素および0から5容量%のさらなる気体(記載の容量分率は合計100容量%になる)を含む気体混合物を用いて5から100バールの圧力で実施し、
ii)このようにして得られた触媒を不斉水素化に使用する前に、過剰の一酸化炭素をそれから分離し、
iii)不斉水素化を、一酸化炭素含有量が100から1200ppmの水素の存在下で実施する方法に関する。
WO2006/040096に記載されているように実施することができる、工程i)による使用される遷移金属触媒またはその前駆体の予備形成に続いて、好適な水素化方法の工程ii)に過剰の一酸化炭素が、予備形成または前記気体混合物による前処理によって得られた触媒から分離され、触媒が不斉水素化に使用される。
過剰の一酸化炭素という用語は、ここでは、予備形成により工程i)に従って得られた反応混合物に気体の形または溶解した形で存在し、遷移金属触媒またはその前駆体に結合していない一酸化炭素を指すものと理解される。よって、触媒に結合していない過剰の一酸化炭素は、少なくとも十分に、すなわち残留量の溶存一酸化炭素が後の水素化において問題にならない程度除去される。これは、通常、予備形成に使用される一酸化炭素の約90%、好ましくは約95%以上が水素化方法のこの好適な実施形態の工程ii)に従って確実に分離される。好ましくは、工程ii)に従って、過剰の一酸化炭素が、前形成によって得られた触媒から完全に除去される。
水素化方法の好適な実施形態の工程ii)に従って、工程i)により得られた触媒、または触媒を含む反応混合物から過剰の一酸化炭素を除去することは、様々な方法で実施され得る。好ましくは、触媒、または工程i)による予備形成によって得られた触媒を含む混合物は、気体の未結合一酸化炭素が予備形成の生成物から除去されるように、約5バール(絶対)までの圧力、好ましくは約1バールから約5バールの範囲の圧力まで減圧される。
予備形成触媒の前記減圧を、例えば、本質的に当業者に既知である高圧分離器を使用して行うことができる。液体が連続相であるこの種の分離器は、例えば、Perry’s Chemical Engineers’Handbook,1997,7th edition,McGraw−Hill,pp.14.95および14.96に記載されており、起こり得る液滴吸込みの防止が14.87から14.90頁に記載されている。1バールから約5バールの範囲の所望の圧力に到達し、その間に温度が通常は10から40℃に低下するまで、予備形成触媒の減圧を一段階または二段階で行うことができる。
あるいは、工程ii)による過剰の一酸化炭素の除去を、気体、有利には反応条件下で不活性の気体を使用して、触媒または触媒を含む混合物の所謂ストリッピングによって達成することができる。ここで、ストリッピングという用語は、例えば、W.R.A.Vauck,H.A.Mueller,Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik[Basic operations of chemical process technology],Deutscher Verlag fuer Grundstoffchemie Leipzig,Stuttgart,10th edition,1984,page 800に記載されているように、触媒または触媒を含む反応混合物への気体の導入を指すものとして当業者によって理解される。ここで挙げることができる好適な不活性気体は、例として、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素および/またはCO2、好ましくは水素、窒素、アルゴンである。
工程i)による予備形成、および工程ii)による過剰の一酸化炭素の触媒からの除去の後に、本発明に従って使用可能な水素化方法のこの好適な実施形態の工程iii)に従って、選択された基質の不斉水素化を、一酸化炭素含有量が100から1200ppmの水素の存在下で実施する。
不斉水素化の反応混合物へのさらなる一酸化炭素の添加を様々な方法で実施することができる。例えば、一酸化炭素を、例えば不斉水素化に使用される水素と混合し、あるいは反応溶液に気体の形でそのまま計量供給することができる。さらなる選択肢は、例えば、一酸化炭素を容易に放出させる化合物、例えば、ギ酸塩またはオキサリル化合物を反応混合物に添加することである。
使用される水素における一酸化炭素の分率は、本発明による方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内で、約300から1000ppm、特に好ましくは400から800ppmである。
上記不斉水素化は、有利には、約1から約300バール、好ましくは約10から約100バール、特に約50から約100バールの圧力および約0℃から約100℃、好ましくは約0℃から約30℃、特に約10℃から約30℃の温度で実施される。
不斉水素化を実施するために使用する溶媒の選択は、重要でない。好適な溶媒は、例えば、本発明に従って予備形成を実施するために指定される溶媒である。不斉水素化は、特に有利には、予め実施された任意の予備形成と同じ溶媒で実施される。
上記不斉水素化を実施するための反応容器は、基本的に、指定の条件下、特に指定の圧力および温度範囲内での反応を可能にし、水素化反応に好適なあらゆる反応容器、例えば、オートクレーブ、管状反応器および気泡塔等である。
本発明による方法の文脈の範囲内で好適な水素化方法の工程iii)による水素化が、本発明による方法の工程i)による触媒の前処理の過程で使用するための例えばWO2006/040096に記載されている高沸点の全体的に粘性の溶媒(例えば、特定の溶媒はオクタデカノール、ビフェニルエーテル、テキサノール、Marlotherm(登録商標)、Oxooel 9Nである)を使用して実施される場合、または水素化が、溶媒をさらに使用せずに、副産物(例えば、出発材料もしくは生成物の反応、および後の二次反応によって形成される二量体または三量体)として少量形成する高沸点物の蓄積を用いて実施される場合は、良好な気体供給、ならびに気相および凝縮相の良好な完全混合を確保するのが有利であり得る。これは、例えば、該方法の水素化工程を気体還流反応器で実施することによって可能である。気体還流反応器は、本質的に当業者に既知であり、例えば、P.Trambouze,J.−P.Euzen,Chemical Reactors,Ed.Technip,2004,pp.280−283およびP.Zehner,R.Benfer,Chem.Eng.Sci.1996,51,1735−1744ならびに例えばEP1140349に記載されている。
上記の気体循環反応器を使用する場合は、使用する気体または気体混合物(一酸化炭素を含む水素)を、単一ノズルまたは二材料ノズルを用いて、反応器に導入された出発材料および/または循環する反応混合物もしくは触媒と並行して気体循環反応器に導入するのが特に好適であることが証明された。ここで、二材料ノズルは、反応器に導入される液体および気体が、一方が他方の中にある2つの個別の管を介して、加圧下でノズル口に流れ、そこでそれらが合流することが注目に値する。
本発明による好適な水素化方法を、三級アミンを添加してもしなくても問題なく実施することができる。好ましくは、本発明による方法は、さらなる三級アミンの不在下、すなわち三級アミンを添加せずに、または触媒量のみのさらなる三級アミンの存在下で実施される。ここで、使用されるアミンの量は、使用される金属の量に対して0.5から500モル当量であり得るが、好ましくは、使用される金属の量に対して1から100モル当量である。三級アミンの選択は重要でない。例えばトリエチルアミンなどの短鎖アルキルアミンの他に、例えばトリドデシルアミンなどの長鎖アルキルアミンを使用することができる。好適な実施形態の文脈の範囲内で、本発明による水素化方法は、使用される遷移金属の量に対して、約2から30モル当量、好ましくは約5から20モル当量、特に好ましくは5から15モル当量の量の三級アミン、好ましくはトリドデシルアミンの存在下で実施される。
好ましくは本発明に従って実施される不斉水素化方法は、使用される均質触媒が反応系にさらに導入される一酸化炭素によって安定化され、その結果として、第1に触媒の耐用寿命が有意に延び、第2に均質触媒の再利用可能性が高められることが注目に値する。
したがって、例えば、本質的に当業者に既知の方法、例えば蒸留によって、例えば薄膜式蒸発器またはSambay等を用いて、得られた反応生成物を反応混合物から除去することができ、適切であれば上記の反復的予備形成の後に残留する触媒をさらなる反応の過程で使用することができる。
よって、好ましくは工程a)の過程で本発明に従って使用される水素化方法を不連続に、または半連続および連続的に実施することができ、該方法は、特に工業規模の反応に好適である。該方法を連続的に実施するのが好ましい。
本発明による好適な不斉水素化の過程で実施される工程i)による触媒前駆体の前処理(予備形成)および工程iii)による実際の不斉水素化は、有利には、個別の反応容器で実施される。予備形成触媒を実際の水素化反応器、好ましくは上記の気体循環反応器に移す場合は、例えば予備形成に使用した圧力を解除することによって、過剰の一酸化炭素を触媒から除去することができる。
水素化を、縦に接続された2つ以上、好ましくは2つまたは3つ、特に好ましくは2つの水素化反応器で行うことができる。ここで、異なるタイプの反応器または同様の反応器タイプを使用することができる。1つの好適な実施形態において、不斉水素化は、例えば、1つの反応器が主反応器として機能し、第2の反応器が後反応器として機能する2つの気体循環反応器のカスケードで実施される。反応混合物を主反応器から後反応器に移すために、例えば、要望に応じて調整される圧力勾配を使用することができる。
ラセミまたはこのようにして入手可能な光学活性シトロネラールは、通常、高収率で、かつ特に高度な化学的および光学的純度で製造される。さらなる工程b)の過程でさらに反応する、得られたシトロネラール、好ましくはD−シトロネラールの化学的純度に課される要件に応じて、それを本質的に当業者に既知の分離および/または精製方法、例えばクロマトグラフィー法または蒸留法によってさらに精製することができる。得られたシトロネラールを蒸留によってさらに精製するのが有利であり、基本的に当業者にとって好適であると思われるすべての蒸留方法および装置、例えば、蒸留塔(充填または非充填)、流下膜式蒸発器および薄膜式蒸発器等が使用可能であると証明されている。前記方法を一緒に、すなわち順次実施することもできる。したがって、流下膜式蒸発器による提示の水素化によって得られたシトロネラール含有生成物混合物の予備精製およびその後のシトロネラールの精製蒸留は、有利であることが証明された。
得られた光学活性またはラセミシトロネラールの蒸留精製および/または除去のために、DE10330934A1に開示されている分割壁塔による蒸留を実施することが好ましい。約30から約100個、好ましくは約45から約85個の理論分離段を有する分割壁塔を使用して、蒸留の圧力および温度を好適に選択すると、通常、高純度、しばしば98質量%以上の純度、好ましくは99質量%以上の純度のシトロネラールを単離することができる。
工程b)イソプレゴールを得るためのシトロネラールの環化
本発明による方法の工程b)に従って、イソプレゴールを得るための、ネラールおよび/またはゲラニアールを含む物質混合物の触媒水素化により上記工程a)によって得られたシトロネラールの環化が酸性触媒の存在下で実施される。
酸性条件下でのシトロネラールのイソプレゴールへの環化は、長きにわたって既知であった。入手可能な酸またはルイス酸試薬または触媒の概要を、例えば、E.J.Lenardao,G.V.Botteselle,F.de Azambuja,G.Perin,R.G.Jacob Tetrahedron 2007,63,6671−6712に見いだすことができる。
例えばWO2004/089299に開示されているシリカゲルもしくは酸化アルミニウムまたはそれらの混合物、例えばホウ素含有ゼオライトの場合はWO2004/101480に記載されているゼオライトなどの多様な系が従来の触媒および試薬として既知である。さらなる従来の酸またはルイス酸触媒は、例えば、Synthesis 1978,147−148およびEP1053974A1などに開示されている臭化亜鉛、あるいはBR2005002489Aに記載されているタングステン含有酸である。
さらに、EP−A1225163には、トリス(2,6−ジフェニルフェノール)アルミニウム触媒の存在下でのシトロネラールのイソプレゴールへの環化が記載されている。トリス(2,6−ジフェニルフェノール)−アルミニウムは、文献において既知であるとともに、α,β−不飽和カルボニル化合物の選択的1,4−官能化および例えばAngew.Chem.Int.Ed.2004,43,994における特定のクライゼン転位のための触媒として既知である。記載の触媒系は、本発明による方法の工程b)の過程での使用にも好適である。
WO2007/039342およびWO2007/039366にも同様にアルミニウム含有均質触媒、具体的にはアルミニウム上に1つまたは複数のシロキシド配位子を有するものが開示されている。開示されているアルミニウム−シロキシド化合物は、シトロネラールのイソプレゴールへの環化を含む分子内プリンス反応のための触媒として好適である。
本発明によれば、アルミニウム含有触媒、具体的にはルイス酸アルミニウム含有触媒の存在下での工程b)によるシトロネラールのイソプレゴールへの環化を実施するのが好ましい。
本発明による方法の工程b)の文脈の範囲内において特に好適なシトロネラールのイソプレゴールへの環化のための方法が、その開示内容全体が参考として本明細書で援用され、すべての優先権および実施形態を含むその開示内容が本開示の一部と見なされるべきであるWO2006/092433に記載されている。その引用特許出願には、式(I)
[式中、
Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4は、同一、または異なっており、それぞれの場合において互いに独立して、それぞれの場合において置換基C
1−〜C
6−アルキル、C
1−〜C
6−ペルフルオロアルキル、C
1−〜C
6−アルコキシ、C
7−〜C
12−アラルキル、ハロゲン、−SiR
5aR
6aR
7a、置換または無置換C
6−〜C
10−アリール、−NR
8aR
9a、−SR
10aおよび−NO
2の群から選択される1から7つの同一の、または異なる置換基を場合によって担持することができる、6から15個の炭素原子を有するアリール基または2から15個の炭素原子を有するヘテロアリール基であり、
R
1、R
2、R
3、R
4は、同一、または異なっており、それぞれの場合において互いに独立して、水素、C
1−C
6−アルキル、C
1−〜C
6―ペルフルオロアルキル、C
1−〜C
6−アルコキシ、C
7−〜C
12−アラルキル、ハロゲン、−SiR
5bR
6bR
7b、置換または無置換C
6−〜C
10−アリール、−NR
8bR
9b、−SR
10bおよび−NO
2であり、R
1もしくはR
2および/またはR
3もしくはR
4は、Aと一緒になって、芳香族または非芳香族環を形成することができ、
Aは、(1)飽和またはモノもしくは多不飽和および/または部分的芳香族であってよく、ヘテロ原子O、SおよびNR
11の群から選択される1つまたは複数の同一の、または異なるヘテロ原子、および/または官能基C(O)、S(O)およびS(O)
2の群から選択される1つまたは複数の同一の、または異なる官能基を場合によって有することができ、置換基C
1−〜C
6−アルキル、C
1−〜C
6−ペルフルオロアルキル、C
1−〜C
6−アルコキシ、C
1−〜C
10−アシルオキシ、C
7−〜C
12−アラルキル、ハロゲン、−SiR
5cR
6cR
7c、置換または無置換C
6−〜C
10−アリール、置換または無置換C
2−〜C
10−ヘタリール、−NR
8cR
9c、−SR
10c、−NO
2、C
1−〜C
12−アシルおよびC
1−〜C
10−カルボキシの群から選択される1つまたは複数の同一の、または異なる置換基を場合によって担持することができる、1から25個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝状および/または環式炭化水素基であり、あるいは
(2)それぞれの場合において置換基C
1−〜C
6−アルキル、C
1−〜C
6−ペルフルオロアルキル、C
1−〜C
6−アルコキシ、C
7−〜C
12−アラルキル、ハロゲン、−SiR
5dR
6dR
7d、置換または無置換C
6−〜C
10−アリール、−NR
8dR
9d、−SR
10dおよび−NO
2の群から選択される1から5つの置換基を場合によって担持することができる、6から15個の炭素原子を有するアリール基または2から15個の炭素原子を有するヘテロアリール基であり、あるいは
(3)−O−、−S−、−N(R
11)−、−S(O)−、−C(O)−、−S(O)
2−、−P(R
11)−、−(R
11)P(O)−およびSi(R
12R
13)の群から選択される官能基またはヘテロ原子であり、
基R
5a、R
6a、R
7a、R
8a、R
9a、R
10aからR
5d、R
6d、R
8d、R
9d、R
10dおよびR
11からR
13は、それぞれの場合において互いに独立して、C
1−〜C
6−アルキル、C
7−〜C
12−アラルキルおよび/または置換または無置換C
6−〜C
10−アリールであり、基R
8aおよびR
9a、R
8bおよびR
9b、R
8cおよびR
9c、R
8dおよびR
9dは、それぞれの場合において互いに独立して、一緒になって、O、SおよびNR
11a基から選択される1つまたは複数の同一の、または異なるヘテロ原子を有することができる、2から8個の炭素原子を有する環式炭化水素基を形成することもでき、R
11aは、R
11について示されている意味を有することができる]のビス(ジアリールフェノール)配位子と、式(XIV)
(R
14)
3-pAlH
p (XIV)
[式中、
Alはアルミニウムであり、
R
14は、1から5個の炭素原子を有する分枝状または非分枝状アルキル基であり、
pは、0または1から3の整数である]のアルミニウム化合物、および/または式(XV)
MAlH
4 (XV)
[式中、
Alはアルミニウムであり、
Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである]のアルミニウム化合物とを反応させることによって得られる具体的なジアリールフェノキシアルミニウム化合物が開示されている。
好ましくは本発明による方法の工程b)の過程において使用されるジアリールフェノキシアルミニウム化合物を製造するために使用される式(I)のビス(ジアリールフェノール)は、それぞれの場合において芳香族基またはヘテロ芳香族基(Ar1からAr4)によってフェノールヒドロキシ基と相対的な両オルト位が置換されており、構造要素Aを介して互いに結合されており、さらなる置換基(R1からR4)を場合によって担持することもできる2つのフェノール系を有する。記載のジアリールフェノキシアルミニウム化合物は、式(I)の前記ビス(ジアリールフェノール)配位子とアルミニウム化合物(XIV)または(XV)との反応の反応生性物または生成物混合物として得られる。
好ましくは本発明による方法の文脈の範囲内において使用されるジアリールフェノキシアルミニウム化合物は、一般式(Ia)
の配位子の前記反応によって得られるものである。
式(Ia)の配位子も同様に、それぞれの場合において芳香族基またはヘテロ芳香族基(Ar1からAr4)によってフェノールヒドロキシ基と相対的な両オルト位が置換されており、構造要素Aを介して互いに結合されており、さらなる置換基(R1からR4)を場合によって担持することもできる2つのフェノール系を有し、構造要素Aは、それぞれの場合においてフェノールヒドロキシ基と相対的なパラ位で2つのフェノール系に結合している。ここで、基Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、基R1、R2、R3、R4および構造要素Aは、式(I)について以上に記載されている意味を有しうる。
好ましくは工程b)の文脈の範囲内において本発明に従って使用されるジアリールフェノキシアルミニウム化合物を製造するための特に好適なビス(ジアリールフェノール)配位子は、WO2006/092433に記載されているように、式(Ia
1)、(Ia
2)または(Ia
3)の配位子を反応させることによって得られるものである。特に本発明による方法の工程b)の文脈の範囲内において使用されるジアリールフェノキシアルミニウム化合物は、前記WO2006/092433に記載されているように、式(XI)
[式中、
基R
30は、C
1−〜C
6−アルキルまたはC
1−〜C
6−ペルフルオロアルキルである]のビス(ジアリールフェノール)配位子と、式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物、好ましくはトリメチルおよび/またはトリエチルアルミニウム、特に好ましくはトリエチルアルミニウムとを反応させることによって得られるものである。
ここで、C1−〜C6−アルキルは、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルを指すものと理解される。
C1−〜C6−ペルフルオロアルキルという用語は、水素原子のすべてがフッ素原子によって置換された、1から6個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ナノフルオロブチル、好ましくはトリフルオロメチルを指すものと理解される。
本発明の文脈の範囲内で特に好適なジアリールフェノキシアルミニウム化合物は、式(Ia
2−3)
のビス(ジアリールフェノール)配位子とトリメチルまたはトリエチルアルミニウム、好ましくはトリエチルアルミニウムとを、それに記載されている好適な実施形態およびそれらの組合せのすべてを含む前記WO2006/092433に記載されている条件下で反応させることによって得られる化合物である。
本発明による好適なさらなるビス(ジアリールフェノール)配位子は、2つのトリフルオロメチル基を有する式(Ia
2−1)
の配位子である。
好適な実施形態の文脈の範囲内において、本発明に従って実施される工程b)は、式(XII)
のイソプレゴールを製造するための方法であって、式(XIII)
のシトロネラールを、式(I)
[式中、
Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、R
1、R
2、R
3、R
4およびAは、式(I)について示されている意味を有する]のビス(ジアリールフェノール)配位子と、式(XIV)
(R
14)
3-pAIH
p (XIV)
[Alはアルミニウムであり、
R
14は、1から5個の炭素原子を有する分枝状または非分枝状アルキル基であり、
pは、0または1から3の整数である]のアルミニウム化合物、および/または式(XV)
MAlH
4 (XV)
[式中、
Alはアルミニウムであり、
Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである]のアルミニウム化合物とを反応させることによって得られる触媒の存在下で環化することを含む方法の形で実施される。
本発明に従って実施される環化方法のこの好適な実施形態を実施するための詳細を、この点においてもその開示内容全体が参考として援用される既に引用したWO2006/092433に見いだすことができる。
好ましくは工程b)による環化のために本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物は、例えば、上記式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子と、式(XIV)
(R14)3-pAIHp (XIV)
のアルミニウム化合物とを反応させることによって得られる。
ここで、R14は、1から5個の炭素原子を有する分枝状または非分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチルまたはネオペンチルである。指数pは、0または1から3の整数である。好ましくは、指数pは、1または0であり、特に好ましくは0である。式(XIV)の好適な化合物は、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、特に好ましくはトリメチルアルミニウムおよびトリエチルアルミニウムである。
この代替として、好ましくは本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物は、上記の式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子と式(XV)
MAlH4 (XV)
[式中、Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである]のアルミニウム化合物とを反応させることによっても得られる。水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウムおよび水素化アルミニウムカリウムならびにそれらの混合物も、好ましくは上記の式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子を反応させることによって、本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を製造するのに好適である。さらに、式(XIV)および(XV)の前記化合物の混合物も、上記の式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子との反応によって、本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を製造するのに好適である。
反応は、有利には、式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子の1つ、特に好ましくは上記の式(Ia2−3)の配位子を式(XIV)または(XV)の化合物と接触させるように実施される。有利には、該反応は、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)等の不活性有機溶媒中で実施され、予め乾燥した溶媒または無水溶媒の使用が特に有利であると考えられる。通常、該反応は、約−100℃から約100℃、好ましくは約−50℃から約50℃、特に好ましくは約−30℃から30℃の温度で行われる。
好ましくは工程b)の過程において本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物の製造中に、式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子は、式(XIV)および(XV)の化合物と反応する。理論的には、各アルミニウム原子は、1から3つのフェノールヒドロキシ基と反応することができる。使用される式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子の立体的特性または要件により、ここでは、結果として、線形構造体または網状体などの比較的高分子量の構造体が形成され得る。
ここで有利には、使用される式(XIV)および/または(XV)の化合物に対する式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子のモル比は、完全に反応しない式(XIV)および/または(XV)の化合物の量ができるだけ少なくなるように選択される。好ましくは、前記比は、式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子を式(XIV)および(XV)の化合物と接触させた後に、式(XIV)および/または(XV)の未反応化合物が存在しなくなるように選択される。経済的側面を考慮すると、使用される式(I)または(Ia)の配位子の超過量を低く抑えるのが望ましい。特に好ましくは、式(I)または(Ia)のビス(ジアリールフェノール)配位子および式(XIV)および/または(XV)の化合物は、約4:1から約1:1、極めて好ましくは約3:1から約1.5:1、最も好ましくは約1.5:1のモル比で使用される。
本発明の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内で、好ましくは本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を製造するために、該方法は、初期充填物として、溶解度に応じて、式(I)または(Ia)の選択された配位子を好適な有機溶媒、例えばトルエンに溶解させた約0.001から約1モル溶液を約−10から約30℃の温度で導入し、式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物を好ましくは溶液、例えば、トルエン中トリメチルまたはトリエチルアルミニウムの溶液の形で添加することを含む。
使用される式(I)または(Ia)の配位子と式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物との反応は、一般に高速で行われ、選択された反応条件に応じて、たいていの場合は約10分から約2時間後、しばしば約1時間後に完了する。より反応性の弱い反応物質を使用する場合は、反応混合物の温度を短時間で上昇させるのが有利であり得る。
特に、反応させる式(I)または(Ia)の配位子および式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物の選択された溶媒への溶解度、濃度ならびに反応温度に関して、選択された反応条件に応じて、好ましくは工程b)の過程において本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物は、使用した溶媒または溶媒混合物中の固体、懸濁液または溶液の形で得られる。好ましくは本発明に従って使用される、得られたビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を、それぞれの場合において得られた形でさらに使用または分離し、使用した溶媒を除去することができる。
ここで、単離を、当業者に既知であり、有利であると思われる方法によって行うことができる。好ましくは本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物の単離、貯蔵および/またはさらなる処理は、酸素および水分を徹底的に排除して実施されるのが好ましい。
本発明による好適なイソプレゴールを製造するための方法を実施するために、該方法は、最初に、上記のように、本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を好適な溶媒に溶解させた溶液を製造することを含む。本発明によれば、次いで、環化されるラセミまたは非ラセミシトロネラールがこの溶液に添加される。ここで、シトロネラールをそのまま、または有利には前記好適な溶媒の1つに溶解させた溶液の形で添加することができる。本発明による方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、式(I)または(Ia)の選択された配位子をトルエンに溶解させた溶液が最初に製造され、次いで、有利には撹拌しながら、トルエン溶液の形の式(XIV)および/または(XV)の選択されたアルミニウム化合物、好ましくはトリメチルまたはトリエチルアルミニウム化合物が添加される。
基本的に、本発明による好適な環化方法を実施するための出発材料として、任意の方法により製造可能なシトロネラールが好適である。しかし、本発明の文脈の範囲内において、ゲラニアールおよび/またはネラールの不斉水素化により上記工程a)に従って得られる光学活性シトロネラールを使用するのが好ましい。純度が約90から約99.9質量%、特に好ましくは約95から約99.9質量%であるシトロネラールを使用するのが好ましい。
環化されるシトロネラールの添加は、有利には、約−40℃から約40℃の範囲、約−20℃から約20℃の範囲の温度で行われる。このために、本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物の製造溶液が、有利にはこの範囲の温度、例えば−10℃から10℃の範囲の温度まで冷却され、予備冷却されたシトロネラールまたは予備冷却されたシトロネラール溶液が添加される。
シトロネラールまたはその溶液の添加を、全量が一回で添加され、またはそれが分割して、もしくは連続的に製造触媒溶液に添加されるように実施することができる。そこで、好適な溶媒は、前記溶媒、特にトルエンである。環化されるシトロネラールをそのまま、すなわち溶媒をさらに添加せずに使用するのが好ましい。溶媒を使用する場合は、(触媒製造のため、および環化反応を実施するための)溶媒の全量は、有利には、反応させるシトロネラールの溶媒に対する容量に対する比が約2:1から約1:20、好ましくは約1.5:1から約1:10になるように選択される。
反応させるシトロネラールと、本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物の使用量との定量比は、その製造に使用される式(I)または(Ia)および式(XIV)および/または(XV)の化合物の量、すなわち使用される式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物に対する、使用される配位子の定量比によって決定づけられる。
本発明によれば、使用される式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物の量に対する、反応させるシトロネラールの相対的な量は、モル比が約5:1から約1000:1、好ましくは約10:1から約500:1、特に好ましくは約50:1から約200:1になるように選択される。
これとは無関係に、使用される式(I)または(Ia)の配位子と使用される式(XIV)および/または(XV)のアルミニウム化合物との比を、好ましくは本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を製造するために上記範囲内で変えることができる。
反応パートナおよび反応条件の選択に応じて、シトロネラールのイソプレゴールへの環化は、一般に高速で行われ、通常は約0.5から約10時間後、しばしば約5時間後に完了する。反応の進行を、本質的に当業者に既知の方法、例えば、クロマトグラフィー法、具体的にはガスクロマトグラフィー法、あるいはHPLC法によって監視することができる。
本発明による好適な環化方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、シトロネラールのイソプレゴールへの環化は、助剤(iv)、例えば酸、好ましくは有機酸の存在下で実施される。例として、有利に使用することができる有機酸は、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、好ましくは酢酸である。前記酸は、有利には、反応させるシトロネラールの量に対して、約0.5から約10質量%の量で使用される。有利には、それらは、例えば混合物の形でシトロネラールと一緒に反応混合物に添加される。
1つの特に好適な実施形態において、シトロネラールの環化によってイソプレゴールを製造するための本発明による好適な方法は、無水カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよびビニルエーテルから選択される少なくとも1つの助剤(iv)の存在下で実施される。
前記物質類の助剤(iv)をそれぞれの場合において個々に、または互いの混合物の形で使用することができる。混合物の場合は、1つの物質類の化合物からなるものを使用するのが好ましい。特に好ましくは、個々の化合物が使用される。以下に記載するように前記化合物を使用して、一般には、望ましくない副産物の形成を著しく抑制することが可能である。
1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、シトロネラールの上記環化は、式(XVI)
[式中、
基R
20およびR
20’は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、分枝状または非分枝状C
1−C
12−アルキル基またはC
7−C
12−アラルキル基またはC
6−C
10−アリール基であり、記載の基は、それぞれの場合において、OR
10e、SR
10f、NR
8eR
9eおよびハロゲンの群から選択される1つまたは複数の、一般には1から約3つの同一の、または異なる置換基を有しえ、R
20およびR
20’は、一緒になって、1つまたは複数のエチレン二重結合、ならびにO、SおよびNR
11bの群から選択される1つまたは複数の同一の、または異なるヘテロ原子を有しうる5から8員環を形成することもでき、R
10e、R
10f、R
8e、R
9eおよびR
11bは、R
11について以上に示されている意味を有しうる]の無水カルボン酸の存在下にてビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物の存在下で実施される。
さらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、シトロネラールの環化は、式(XVII)
[式中、
基R
21は、分枝状または非分枝状C
1−C
12−アルキル基またはC
7−C
12−アラルキル基またはC
6−C
10−アリール基であり、記載の基は、それぞれの場合において、OR
10e、SR
10f、NR
8eR
9eおよびハロゲンの群から選択される1つまたは複数の、好ましくは1から3つの同一の、または異なる置換基を有することができ、R
10e、R
10f、R
8eおよびR
9eは、R
11について以上に示されている意味を有しうる]の(シトネラールと異なる)アルデヒドの存在下で実施される。
さらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、シトロネラールの環化は、式(XVIII)
[式中、
基R
22およびR
23は、それぞれの場合において同一であっても異なっていてもよく、分枝状または非分枝状C
1−C
12−アルキル基またはC
7−C
12−アラルキル基またはC
6−C
10−アリール基またはC
1−C
6−アルコキシカルボニル基であり、前記基は、それぞれの場合において、OR
10e、SR
10f、NR
8eR
9eおよびハロゲンの群から選択される1つまたは複数の、好ましくは1から3つの同一の、または異なる置換基を有することができ、R
22およびR
23は、一緒になって、1つまたは複数のエチレン二重結合、ならびにO、S、NR
11bの群から選択される1つまたは複数の同一の、または異なるヘテロ原子を有しうる5から8員環を形成することもでき、R
10e、R
10f、R
8e、R
9eおよびR
11bは、R
11について以上に示されている意味を有することができる]のケトンの存在下で実施される。
前記カルボニル化合物の代替として、本発明による好適な環化方法の過程において、一般式(XIV)
[式中、
基R
24、R
25、R
26およびR
27は、それぞれの場合において互いに独立して、それぞれの場合において同一であっても異なっていてもよく、分枝状または非分枝状C
1−C
12−アルキル基またはC
7−C
12−アラルキル基またはC
6−C
10−アリール基であり、前記基は、それぞれの場合において、オキソ、OR
10e、SR
10f、NR
8eR
9eおよびハロゲンから選択される1つまたは複数の、好ましくは1から3つの同一の、または異なる置換基を有しえ、R
25およびR
26は、一緒になって、1つまたは複数のエチレン二重結合、ならびにO、S、NR
11bの群から選択される1つまたは複数の、通常は1つまたは2つの同一の、または異なるヘテロ原子を有しうる5から8員環を形成することもでき、R
10e、R
10f、R
8e、R
9eおよびR
11bは、R
11について以上に示されている意味を有しうる]のビニルエーテルも使用可能である。
ここで、C1−C12−アルキルは、上記のC1−C6−アルキルであり、さらに例えば、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。2つのアルキル基が一緒になって環を形成する場合は、アルキル基は、また、アルキレニル基を指すものと理解される。C7−C12−アラルキル基およびC6−C10−アリール基は、例えば、上記の意味を有することができる。例として、挙げることができるC1−C6−アルコキシカルボニル基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルおよびイソプロポキシカルボニル、好ましくはメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルである。
本発明による好適な環化方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、シトロネラールの環化は、式(XVI)[式中、基R20およびR20’は、同一であり、分枝状または非分枝状C1−C12−アルキル基またはC7−C12−アラルキル基またはC6−C10−アリール基であり、R20およびR20’は、一緒になって、1つまたは複数のエチレン二重結合、ならびにOR10e、SR10f、NR11bの群から選択される1つまたは複数の同一の、または異なるヘテロ原子を有することができる5から8員環を形成することもでき、R10e、R10fおよびR11bは、R11について以上に示されている意味を有することができる]の無水カルボン酸の存在下で実施される。
基R20およびR20’が同一であり、分枝状または非分枝状C1−C12−アルキル基またはC6−C10−アリール基である無水カルボン酸を使用するのが特に好適である。例として、好ましくは本発明に従って使用される無水カルボン酸は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ピバル酸および無水安息香酸である。
同様に好ましくは本発明に従って使用可能な式(XVII)のアルデヒドは、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびクロラール(トリクロロアセトアルデヒド)である。
本発明による好適なシトロネラールの環化が式(XVIII)のケトンの存在下でさらなる好適な実施形態の文脈の範囲内で実施される場合は、有利には、活性化された、すなわち低電子のカルボニル官能基を有するケトンが使用される。例として、本発明による方法の過程での使用にある程度好適なケトン、すなわち1,1,1−トリフルオロアセトン、1,1,1−トリフルオロアセトフェノン、ヘキサフルオロアセトン、ピルビン酸メチルおよびピルビン酸エチルを挙げることができる。
同様に、工程b)のこの実施形態の文脈の範囲内において好ましくは本発明に従って使用可能な式(XIX)のビニルエーテルの例は、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルおよび3,4−ジヒドロ−2H−ピランである。
前記化合物類を、本発明による方法のこの好適な実施形態の文脈の範囲内において同等の好適さで使用することができる。例えば、より高い反応速度などの実用的な側面に関しては、アルデヒドおよび/または低電子ケトンの使用が有利であることが証明された。
好ましくは、無水カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよび/またはビニルエーテルの使用量を広い範囲内で変えることができ、当該量は、使用される物質の種類および純度、またはより具体的には特定されない不純物の存在に左右される。通常、前記化合物またはそれらの混合物は、シトロネラールの使用量に対して、約0.01モル%から約5モル%、好ましくは約0.1モル%から約2モル%の量で使用される。
反応手法のタイプおよび方法、例えば、反応器の構成または個々の反応パートナの添加の順序は、酸素および水が徹底的に排除された反応手法が確保されるのであれば、特定の要件が課されない。
工程b)の過程において本発明に従って実施される環化方法のこの好適な実施形態を実施するために、該手法は、有利には、最初に、本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物を上記の好適な溶媒に溶解させた溶液を製造することを含む。次いで好ましくは、ラセミまたは非ラセミ、好ましくは非ラセミ、すなわち光学活性シトロネラールと、選択された無水カルボン酸、アルデヒド、活性化ケトンおよび/またはビニルエーテルとの混合物をこの溶液に添加する。この代替として、例えば、最初に、好ましくは本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物の溶液とそれぞれの場合において場合により選択される無水カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよび/またはビニルエーテルと混合し、次いで環化させるラセミまたは光学活性シトロネラールを添加することも可能である。
シトロネラールまたはシトロネラールの混合物を、選択された化合物とともに触媒溶液または反応混合物に約30分から約6時間の時間内、好ましくは約2時間から約4時間内に計量供給することが有利であると証明された。ここで、シトロネラールをそのまま、または有利には前記好適な溶媒の1つに溶解させた溶液の形で添加することができる。本発明による好適な方法のさらなる好適な実施形態の過程において、最初に、式(I)または(Ia)の選択された配位子をトルエンに溶解させた溶液を製造し、次いで、好ましくは撹拌しながら、式(XIV)および/または(XV)の選択されたアルミニウム化合物、好ましくはトリメチルまたはトリエチルアルミニウムのトルエン溶液を添加する。
本実施形態の文脈の範囲内において、環化させるシトロネラールまたはシトロネラールの混合物を、選択された無水カルボン酸、アルデヒド、活性化ケトンおよび/またはビニルエーテルとともに添加することは、有利には約−40℃から約40℃の範囲、好ましくは約−20℃から約20℃の範囲の温度で行われる。このために、好ましくは本発明に従って使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウムの製造溶液または懸濁液は、この範囲内の温度、例えば−10℃から10℃の範囲の温度まで冷却され、さらなる反応物質が予備冷却された形で添加される。
シトロネラールの混合物および選択されたさらなる化合物の添加を、シトロネラールの全量が一回で添加され、またはそれが分割して、もしくは連続的に製造触媒溶液に添加されるように実施することができる。次に、好適な溶媒は、好ましくは前記溶媒、特にトルエンである。好ましくは、環化させるシトロネラールは、溶媒をさらに添加することなく、選択された無水カルボン酸、アルデヒド、活性化ケトンおよび/またはビニルエーテルとの混合物の形で使用される。溶媒を使用する場合は、溶媒の全量は、有利には、反応させるシトロネラールと溶媒との容量に対する比は、約1:1から約1:20、好ましくは約1:1から約1:10になるように選択される。
触媒複合体の一部が、通常、上記好適な環化方法の過程において反応中に不活性化されることが判明した。これは、とりわけ、使用されるビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム化合物のそれぞれの場合において使用される式のビス(ジアリールフェノール)配位子と、環化によって形成されるイソプレゴールとの間の配位子交換プロセスに起因する。不活性化された形の触媒は、通常、活性ポリマー触媒と対照的に、使用される溶媒の選択に応じて反応混合物に可溶である。
1つの好適な実施形態において、単純な物理的分離方法(例えば、活性触媒の濾過または遠心)を用いて、触媒の不活性部分を残留する反応混合物とともに分離することができる。望まれる場合は、好ましくはシトロネラールのイソプレゴールへの本発明によるさらなる環化反応の過程において、保持された触媒の活性部分に新たな触媒を補給し、活性を顕著に低下させずに再使用することができる。
あるいは、本発明による環化反応の過程において、および/またはその終了後に、使用された全触媒複合体が不活性化されることで、透明な反応混合物から確認できる可溶性を有するように触媒の使用量を選択することができる。因みに、有利には、この場合、上記配位子交換プロセスにより、使用される式(I)のビス(ジアリールフェノール)配位子が、個別に加水分解を実施しなくても放出されることは注目に値する。
驚いたことには、(適切であれば、使用された溶媒および/または追加的に使用された助剤の蒸留分離に続いて)それぞれの場合において触媒として使用されるジアリールフェノキシアルミニウム化合物を予め加水分解することなく、イソプレゴールをシトロネラールの環化のアルミニウム含有反応生成物から高純度で蒸留分別することができることが判明した。因みに、概して、蒸留底部には認識可能な望ましくない、または厄介な副産物が形成されることはない。具体的な実施形態において、好適な不活性の高沸点溶媒の添加は、工程I)における蒸留分離の前または最中に行われる。次いで、これにより、蒸留底部に、それぞれの場合において使用される加熱高沸点物中式(I)の配位子の溶液が得られる。
好ましくは工程b)の過程において本発明に従って実施される環化方法は、既に記載されているように、ラセミおよび/または非ラセミ、すなわち光学活性シトロネラールのラセミおよび非ラセミイソプレゴールへの環化に等しく好適である。
結果として、1つの好適な実施形態において、本発明による方法は、活性シトロネラールの環化によって光学活性イソプレゴールを製造する役割を果たす。
特に、本発明による好適な環化方法は、D−(+)−シトロネラールから出発してL−(−)−イソプレゴールを製造する役割を果たす。
前記ビス(ジアリールフェノール)配位子を、シトロネラールのイソプレゴールへの環化のための触媒としてそれから得られるジアリールフェノキシアルミニウム化合物の使用に続いて、それらの良好な結晶化特性により、特に有利な方法で不連続的、または好ましくは半連続的または完全に連続的に回収して、さらなる反応に有用なものとすることができる。したがって、好ましくは工程b)の過程において本発明に従って実施される環化の特に好適な実施形態は、
i)イソプレゴール、
ii)式(I)
[式中、基Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、R
1、R
2、R
3、R
4およびAは、以上に示されている意味を有することができる]の少なくとも1つの配位子を遊離および/または複合結合形態で含む、シトロネラールの環化によるイソプレゴールの製造からのアルミニウム含有反応生成物を処理する方法であって、
I)アルミニウム含有反応生成物を蒸留分離して、イソプレゴールが豊富な頂部生成物およびイソプレゴールが乏しい底部生成物を得、
II)イソプレゴールが乏しい底部生成物を水性塩基と密に接触させて、アルミニウム含有水相、および式(I)の配位子の大部分を含む有機相を得、
III)式(I)の配位子を有機相から分離する方法を含む。
本発明に好適であり、工程b)の過程で実施される環化の1つの好適な実施形態において、好ましくは、実施される前記ジアリールフェノキシアルミニウム化合物の処理の存在下で、式(I)の配位子が結晶化によって有機相から分離される。
本発明による好適な環化方法によって得られた式(I)のビス(ジアリールフェノール)配位子を、通常、新たなバッチの過程でさらなる精製過程を設けずに、以下に定義される式(XIV)または(XV)の対応するアルミニウム化合物と反応させることにより、反応性触媒複合体が得られ、そのようにして再生された触媒複合体には反応性の低下または顕著な低下が認められない。
好ましくは、記載のジアリールフェノキシアルミニウム化合物およびそれらの処理の存在下で工程b)の過程において本発明に従って実施される環化の文脈の範囲内において、「遊離または複合結合形態の配位子」という用語は、配位子の遊離形態、およびプロセス条件下で遊離形態に変換できるすべての相当可能な形態を含む。例として、塩基加水分解によって配位子の遊離形態に変換される配位子のアルコラートを挙げることができる。
本発明の文脈の範囲内において、「水性塩基」という表現は、一般に、そのpHが7を超える水溶液を含む。特に、これらは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液、具体的にはKOHおよびNaOHの水溶液である。
本発明による好適な環化または処理方法の文脈の範囲内において、「アルミニウム含有反応生成物」という表現は、アルミニウムをイオンの形、共有結合の形または複合結合の形で含む少なくとも1つの化合物を含む反応生成物を示す。これらは、以上に定義されているシトロネラールの環化に使用される式(R14)3-pAIHp(XIV)またはMAlH4(XV)の化合物から本発明による方法の条件下で得られるアルミニウムの化合物である。
本発明による好適なこの環化または処理方法の文脈の範囲内において、「大部分」という表現は、存在する化合物の全量に対して50%超、好ましくは80%超、特に好ましくは90%超の百分率を指すものと理解されるべきである。
工程I)
本発明による好適な処理方法の工程I)において、シトロネラールの環化によるイソプレゴールの製造からのアルミニウム含有反応生成物を蒸留分離して、イソプレゴールが豊富な頂部生成物およびイソプレゴールが乏しい底部生成物を得る。
1つの具体的な実施形態において、工程I)では、イソプレゴールより沸点が高い溶媒が使用される。その結果、底部成分の望ましくない熱応力を回避することができる。特に、そこに存在する式(I)の配位子は、イソプレゴールの除去中溶媒を含まない形で存在しない。より高沸点の溶媒を蒸留分離の前および/または最中にアルミニウム含有反応生成物に添加することができる。好ましくは、その沸点が蒸留条件下でイソプレゴールの沸点を上回るより高沸点の溶媒が使用される。好ましくは、導入された溶媒の蒸留条件下での沸点は、イソプレゴールの沸点より少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、特に少なくとも20℃高い。
当該沸点を有する好適なより高沸点の溶媒は、例えば、炭化水素、例えばフェニルシクロロヘキサン、ベンジルトルエン、ジベンジルトルエン、1−メチルナフタレンおよびトリデカン、1−デカノール、1,2−プロピレンカーボネート、エーテル、例えばジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルおよびジベンジルエーテル、ならびにこれらの溶媒の工業グレードの混合物である。フェニルシクロヘキサンを主成分として含む混合物が特に好ましい。
少なくとも1つのより高沸点の溶媒を使用する場合は、工程I)で得られたイソプレゴールが乏しい底部生成物は、より高沸点の溶媒、式(I)の配位子の大部分、および場合によって少なくとも1つのアルミニウム含有化合物を含む有機相である。
好ましくは、工程I)におけるイソプレゴールの蒸留分離は、好ましくは250℃まで、好ましくは150℃まで、特に好ましくは100℃までの底部温度で行われる。通常、より低い底部温度は重要でなく、一般に少なくとも0℃、好ましくは少なくとも20℃である。これらの最大温度を維持するために、望まれる場合は、蒸留を好適な真空下で実施することができる。
本発明による好適な処理方法の工程I)における圧力は、特定の実施形態にかかわらず、一般に0.1から1500ミリバールの範囲、好ましくは1から500ミリバールの範囲、特に好ましくは5から100ミリバールの範囲である。
シトロネラールの環化からのアルミニウム含有反応生成物の組成および高沸点溶媒の使用にかかわらず、イソプレゴールの蒸留分離を連続的または不連続的、好ましくは連続的に行うことができる。1つの好適な手法において、より高沸点の溶媒は、蒸留分離の前にシトロネラールの環化からの反応生成物に添加され、蒸留の過程において、底部に存在する高沸点溶媒の量は、その後一定に維持される。
工程I)における蒸留分離では、当業者に既知の従来の装置を使用することができる(例えば、Sattler,Thermische Trennverfahren[Thermal separation methods],2nd edition,1995,Weinheim,p.135ff;Perry’s Chemical Engineers Handbook,7th edition,1997,New York,Section 13参照)。これらは、充填物、内部構造物等を備えうる蒸留塔を含む。使用される蒸留塔は、分離トレー、例えば多孔トレー、バブルキャップトレーもしくはバルブトレー、構造充填物、例えば金属シートもしくは織物充填物、または充填物のランダム床などの分離内部構造物を含むことができる。使用される塔に必要な板の数および還流比は、実質的に、純度要件、ならびにシトネラールの環化によるイソプレゴールの製造からのアルミニウム含有反応生成物の構成成分およびより高沸点の溶媒の相対的沸点に左右され、当業者は、既知の方法によって具体的な設計および動作データを決定することが可能である。蒸留分離を、例えば、互いに連結された1つまたは複数の蒸留塔で行うことができる。
従来の蒸発器、好ましくは強制循環装置を備えた蒸発器、特に好ましくは流下膜式蒸発器も本発明による好適な処理法の工程I)における蒸留分離に好適である。
シトロネラールの環化からのアルミニウム含有反応生成物に存在し得るあらゆる追加的な成分に応じて、蒸留分離を通じて得られた頂部生成物の組成は、場合によっては、この頂部生成物にさらなる処理工程を施すことを必要とし得る。
シトロネラールの環化によるイソプレゴールの製造からのアルミニウム含有反応生成物を処理するための工程b)の過程における本発明による好適な方法の1つの具体的な実施形態において、反応生成物は、より低沸点の溶媒(iii)をさらに含む。
本発明の文脈の範囲内において、「より低沸点の溶媒(iii)」という表現は、イソプレゴールの沸点を指す。このために、特定の条件下におけるイソプレゴールの沸点より少なくとも5℃、好ましくは10℃、特に20℃低い沸点を蒸留分離の条件下で有する溶媒または溶媒混合物が特に好適である。
好適な処理方法の文脈の範囲内において、当該沸点を有する好適な溶媒は、不活性溶媒またはそれらの混合物、例えば、芳香族溶媒、例えばトルエン、エチルベンゼンまたはキシレン、ハロゲン化溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロベンゼン、脂肪族溶媒、例えばペンタン、ヘキサンまたはシクロヘキサン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エステル、例えば酢酸エチル、またはジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等である。特にトルエンが好適である。
処理されるアルミニウム含有反応生成物が当該より低沸点の溶媒を含む場合は、これは、1つの好適な実施形態においてイソプレゴールの蒸留分離の前に反応生成物から少なくとも部分的に除去される。好ましくは、より低沸点の溶媒の除去も蒸留によって行われる。より低沸点の溶媒の沸点に応じて、従来の前記蒸留装置を使用することが可能である。
1つのさらなる好適な実施形態において、アルミニウム含有反応生成物の蒸留分離は、より低沸点の溶媒の少なくとも一部、好ましくは大部分を同時に含むイソプレゴールが豊富な頂部生成物を得るための工程I)で行われる。この場合、頂部生成物を、好ましくは同様に蒸留によってさらに分離することができる。
分離されたより低沸点の溶媒は、有利には、シトロネラールの環化に戻され、そこで溶媒として使用される。このように、本発明による好適な処理方法は、不可避の損失の結果として必要とされる補給物とは別に、一定量のより低沸点の溶媒の単なる単一の供給を必要とする。
好ましくは、シトロネラールのイソプレゴールへの環化、およびシトロネラールの環化によるイソプレゴールの製造からのアルミニウム含有反応生成物の処理のために本発明に従って実施される方法の1つの具体的な実施形態において、反応生成物は、助剤(iv)をさらに含む。
本発明の工程b)の文脈の範囲内において、「助剤(iv)」という用語は、望ましくない二次反応を抑制するためにシトロネラールの環化中に添加される化合物を指す。この点に関してその開示内容全体が参考として援用されるWO2006/092433に記載され、また以上に記載されているように、有機酸、無水カルボン酸、(シトロネラールを除く)アルデヒド、ケトンおよびビニルエーテルから選択される助剤(iv)が好ましい。
本発明による好適なこの環化または処理方法のさらなる具体的な実施形態において、上記の助剤(iv)は、無水カルボン酸、(シトロネラールを除く)アルデヒド、ケトンおよびビニルエーテルから選択される。
記載の物質類の助剤(iv)は、それぞれの場合において、処理される反応生成物に個々に、または混合物の形で存在し得る。好適な混合物は、1つの物質類の化合物からなる混合物である。特に好ましくは、反応生成物は、単一の助剤を含む。
好ましくは、シトロネラールの環化からの反応生成物に存在する助剤(iv)も同様に少なくとも部分的に除去され、可能な限りシトロネラールの環化に戻される。
蒸留条件下で、助剤(iv)が、イソプレゴールの沸点を下回る、またはわずかに、すなわち30℃未満上回る沸点を有する場合は、これらを蒸留によって完全反応混合物から十分に、かつそれらが場合によって反応されない程度回収することができる。助剤の沸点に応じて、従来の前記蒸留装置を使用することができる。
蒸留条件下で、助剤(iv)が、イソプレゴールの沸点を有意に、すなわち少なくとも30℃上回る沸点を有する場合は、これらは底部生成物に残留し、それらの物理特性が許容する場合、必要であれば、本発明による好適な処理方法の工程II)で除去される。
さらなる好適な実施形態において、助剤(iv)の少なくとも一部、好ましくは大部分を同時に含むイソプレゴールが豊富な頂部生成物を得るために、工程I)において反応生成物の蒸留分離が行われる。必要であれば、この主生成物は、既に詳述したように、より低沸点の溶媒を含むことができる。この場合、頂部生成物を、好ましくは同様に蒸留によってさらに分離させることができる。有利には、分離された助剤(iv)は、場合によってより低沸点の溶媒とともに、シトロネラールの環化に戻され、そこで、例えば望ましくない二次反応を抑制するために使用される。このように、本発明による好適な処理方法は、不可避の損失の結果として必要とされる補給物を除いて、一定量の助剤(iv)の単なる単一の供給を必要とする。
イソプレゴールの分離、より高沸点の溶媒の導入および場合によって低沸点物の除去、すなわちシトネラールの環化からの場合によって存在する溶媒および揮発性助剤の除去を様々に組み合わせることができる。
1つの好適な実施形態において、所謂分割壁塔は、蒸留に使用される。すなわち、供給点および側方分岐は、塔の縦方向に広がる部分を伸びる分割壁の反対側に位置する。分割壁を含むこの種の蒸留塔は、本質的に当業者に既知である。側方分岐および供給点が分割壁の領域に位置する場合は、BrugmaまたはPetlyukシステムに類似のシステムになる。分割壁塔を使用するこの種の蒸留は、その開示内容全体が参考として本明細書で援用されるDE−A−3302525およびEP−A−0804951に記載されている。この場合、抜き取られる頂部生成物は、例えば低沸点成分が豊富な成分であり、側方分岐は、イソプレゴールの大部分を含む流れであり得る。より高沸点の溶媒は、供給点の下方、好ましくは塔の底部および底部の真上に供給される。式(I)の配位子の大部分をより高沸点の溶媒に溶解させた溶液が、底部生成物として生成される。
1つの代替的な実施形態において、連結塔が蒸留に使用される。この実施形態は、以下により詳細に説明されるように、シトロネラールの環化の反応生成物が溶媒および/または揮発性助剤を含む場合に有利であり得る。
この場合、イソプレゴールと、より低沸点またはわずかにより高沸点の溶媒および/または助剤(iv)との混合物は、第1の塔の頂部生成物を形成することができ、第2の塔において当該混合物を分離させ、イソプレゴールの少なくとも大部分を含む流れ、ならびに環化のより低沸点の溶媒および/または助剤を含むイソプレゴールが乏しい流れを得ることができる。
本発明による好適な環化のより低沸点の溶媒(iii)および助剤(iv)を含む流れを、通常、さらに分離させずに環化に戻すことができる。
式(I)の配位子は、第1の塔の底部生成物として、場合によってそれらの錯体または他の誘導体の形で製造される。
工程II):
好ましくは工程b)の過程において本発明に従って実施される処理方法の工程II)において、イソプレゴールが乏しい底部生成物を水性塩基と密に接触させて、アルミニウム含有水性層、および式(I)の配位子の大部分を含む有機相を得る。好適な水性塩基は、以上に記載されている水性塩基である。
遊離または複合結合形態の式(I)の配位子の他に、工程I)で得られたイソプレゴールが乏しい底部生成物は、少なくとも1つの難揮発性成分を含みうる。これらは、例えば工程I)において添加されたより高沸点の溶媒、好ましくはシトロネラールのイソプレゴールへの環化に使用されるアルミニウム含有化合物、および工程I)において分離されていないすべての助剤(iv)を含む。アルミニウム含有成分および/または助剤(iv)は、特に連続的方法の場合は蓄積し、特に工程III)における分離の収率および純度に悪影響を及ぼすため、これらの化合物をできるだけ完全に除去することが有利である。これは、特にアルミニウム含有化合物に当てはまる。
工程II)における接触は、好ましくは抽出によって行われる。抽出段階の数は、好ましくは1から20段階の範囲である。
使用される抽出剤は、前記水性塩基である。結果として、これらの表現は、本発明の文脈の範囲内で同義的に使用される。
抽出のため、工程I)からのイソプレゴールが乏しい底部生成物を水性塩基と密に接触させる。相を分離して、式(I)の配位子の大部分を含む相およびアルミニウム含有化合物が豊富な水相を得る。次いで、水相を除去する。接触を連続的または不連続的に行うことができる。
不連続手法では、工程I)からのイソプレゴールが乏しい底部生成物と水性抽出剤とを好適な容器内で、機械的にかき混ぜながら、例えば撹拌しながら接触させ、該混合物を相分離のために放置し、より高密度の相を容器の底部から適切に抜き取ることによって相の1つを除去する。
複数の不連続分離処理をある種のカスケードにて順次実施することができ、その場合、水相から分離され、式(I)の配位子の大部分を含む相をそれぞれの場合において水相の新しい部分と接触させ、および/または水性抽出剤を逆流させる。
好ましくは、抽出は、連続的に行われる。連続的な抽出手法では、水性抽出剤および工程I)からのイソプレゴールが乏しい底部生成物の流れを、不連続手法と同様にして好適な装置に連続的に送る。同時に、式(I)の配位子の大部分を含む相の排出物およびアルミニウム含有化合物が豊富な水相の排出物を、相の分離が行われる装置から連続的に除去する。
抽出は、例えば混合機/分離器の組合せにて少なくとも一段階で行われる。好適な混合機は、動的または静的混合機である。2つ以上の段階の抽出は、例えば、複数の混合機/分離器または抽出塔にて行われる。
1つの好適な実施形態において、相分離を向上させるために、少なくとも1つのコアレッシングデバイスが使用される。これは、好ましくは、コアレッシングフィルタ、エレクトロコアレッサおよびそれらの組合せから選択される。抽出のために混合機/分離器デバイスを使用する場合、キャンドルフィルタまたはサンドフィルタなどのコアレッシングフィルタの使用は、相分離を向上させるのに有利であることが証明された。ここで、フィルタを混合機(撹拌容器)の直後および/または分離器からの有機排出物中に設置することができる。エレクトロコアレッサの使用も相分離を向上させるのに好適である。これらは、5質量%までの水性異物相を分離するのに好適であることが証明された。本発明による好適な処理方法におけるコアレッシングデバイスの使用は、式(I)の配位子の大部分を含む抽出塔の有機排出物からの微分散水相を分離するのにも有利である。
1つの好適な実施形態において、抽出は、工程I)からのイソプレゴールが乏しい底部生成物からアルミニウム含有成分を抽出するために少なくとも1つの混合機/分離器組合せにて行われる。さらなる混合機/分離器組合せの使用は、後に再抽出し、式(I)の配位子、あるいは適切であれば、分離されるアルミニウム含有化合物とともに部分的に抽出剤に流入するより高沸点の溶媒のプロセス留分に戻すのに特に有利である。
特定の状況下において、工程III)において配位子を分離する前または分離した後に、式(I)の配位子の大部分を含む有機相に乾燥工程を施すことが有利であり得る。好適な乾燥方法は、当業者に既知の従来の方法、特に、例えばゼオライト分子篩を使用する脱水剤への吸着である。
工程b)の過程における本発明による好適な処理方法の代替的な実施形態において、イソプレゴールが乏しい底部生成物を水性塩基と接触させた後に、蒸留によって水を完全または少なくとも部分的に除去する。
特に結晶化によって、式(I)の配位子が早発的に分離するのを防止するために、工程II)のいずれの時点においても有機相への配位子の溶解度を超えないものとする。これは、温度および/または添加する溶媒の量および種類を適切に選択することによって実現できる。
そのため、本発明による好適な処理方法の1つの好適な実施形態において、工程I)からの加熱底部生成物の排出物を加熱水性塩基と密に接触させる。
この処理方法の文脈の範囲内において、「加熱された」という表現は、室温より高く、当該反応条件下での水溶液または有機溶液のそれぞれの沸点温度より低い温度を指す。特に、「加熱された」という表現は、25℃から150℃の範囲、特に70℃から100℃の範囲の温度を指す。
適切であれば、ジアリールフェノキシアルミニウム化合物の存在下でのシトロネラールの本発明による好適な環化に使用される助剤に応じて、イソプレゴールが乏しい底部生成物は、適切であれば、工程I)で分離されていないさらなる成分を含みうる。これらは、好ましくは、工程II)で分離される。この場合、これらの成分、例えば助剤(iv)を回収するために、得られた水相に好適な分離方法を施すことができる。
工程III):
工程b)の過程における本発明による好適な処理方法の工程III)において、結晶化によって、工程II)で得られた配位子の大部分を含む有機相から式(I)の配位子を分離し、工程III)を連続的または不連続的に実施することができる。この工程の好適な実施形態は、例えば、結晶化および/または揮発性構成成分の完全なもしくは少なくとも部分的な蒸留分離である。
本発明による好適な環化または処理方法の1つの好適な実施形態において、式(I)の配位子を結晶化によって分離する。
式(I)の配位子の結晶化では、第1に、工程II)からの有機層における式(I)の配位子の溶解度を超えなければならない。これは、例えば、有機相の冷却方法または溶媒の(部分的)蒸留分離によって実現され得る。この目的のための方法は、当業者に既知である。好適な処理方法の過程における本発明による好適な結晶化の技術的構成については、従来の冷却結晶化装置、蒸発結晶化装置、真空結晶化装置、結晶化槽またはスプレー結晶化装置が好適である。
1つの好適な実施形態において、式(I)の配位子の好適に実施される結晶化は、該方法の工程II)からの有機相を冷却することによって行われる。概して、結晶化は、−50℃から100℃の範囲、好ましくは−20℃から50℃の範囲、特に10℃から40℃の範囲の温度で行われる。
種結晶を添加することによってこの方法を加速させることができる。
式(I)の結晶性配位子を、例えば、濾過、浮揚、遠心または篩分によって溶液から単離することができる。
このようにして確保された式(I)の配位子を、適切であれば、好適な乾燥方法によって乾燥させることができる。このための方法は、当業者に既知である。例えば、乾燥の技術的構成については、従来のローラ乾燥器、ディスク乾燥器、チャンバ乾燥器、流動層乾燥器または放射線乾燥器が好適である。
式(I)の配位子が乏しい有機相を、工程I)の前または最中にプロセスに再び添加することができる。
本発明による好適な処理方法の1つの好適な実施形態において、結晶化は、工程II)で得られた加熱飽和有機相から室温までの冷却により行われる。
該方法は、ラセミシトロネラールから出発してラセミイソプレゴールを製造し、また対応する光学活性シトロネラールの環化によって光学活性イソプレゴール、好ましくはL−イソプレゴールを製造するのにある程度好適である。上記の、本発明による方法の過程において好適なジアリールフェノキシアルミニウム化合物の存在下での指定の条件下における環化は、一般に、極めてジアステレオ選択的に、かつ立体化学情報、すなわち使用されたシトロネラール、好ましくは使用されたD−シトロネラールの鏡像異性体過剰を十分に保持しながら進行する。
以上に説明されているシトロネラールの環化によってこのようにして得られるイソプレゴールを、好適な分離および/または精製方法、特に蒸留によってさらに精製し、望ましくない不純物または副産物を少なくとも十分に除去することができる。当該蒸留精製を実施するのに特に好適なのは、イソプレゴールを液体の形の側方分岐において高純度および/または高濃度の形で得ることができる、側方分岐を有する分割壁塔または2つの熱結合塔の連結体である。総数が約30から約200個、好ましくは約45から約90個の理論分離段および1つまたは複数、好ましくは1つまたは2つの側方取出点を有する分割壁塔を使用して、蒸留の圧力および温度を適切に選択すると、通常、高純度、しばしば97質量%以上、好ましくは98質量%以上の純度のイソプレゴールを単離することが可能である。ここで、10から500ミリバール、好ましくは50から200ミリバールの塔内絶対圧力で処理するのが有利である。1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、シトロネラールの環化によって得られたイソプレゴールを蒸留によって精製し、その場合、30から200個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割蒸留塔にて10から500ミリバールの絶対動作圧力で精製を実施する。
分割蒸留塔を用いた蒸留による当該材料分離の具体的な実施形態を、ゲラニアールおよびネラール含有物質混合物の蒸留分離の上記説明、ならびに以下に記載されるメントール精密蒸留に見いだすことができる。イソプレゴールの融点が14℃未満である(純粋なL−イソプレゴールの融点にほぼ対応する)ため、適切であれば、例えば一年の寒冷期における比較的低い雰囲気温度での分割壁塔からの排出物の望ましくない固化を回避するために、当業者に既知の手段が採用される。
工程c):結晶化によるイソプレゴールの精製
本発明による方法の工程c)に従って、結晶化により本発明による工程b)に従って上記のように得られるイソプレゴールの精製を実施する。
イソプレゴールの結晶化は、当業者に既知であり、例えばUS5,663,460に開示されている。該特許には、−20℃から−60℃の温度における石油エーテルまたは有利にはアセトンからの結晶化による(−)−n−イソプレゴールの精製が記載されている。ここで、光学純度の向上を達成することもできる。
加えて、US3,218,361には、イソプレゴールおよびイソプレゴールのジアステレオ異性体を含む物質混合物からのイソプレゴールの結晶化のための方法が開示されている。ここで、結晶化は、0℃未満、好ましくは−30℃未満、例えば−65℃の温度で実施され、溶液または溶融物から実施され得る。
その開示内容全体が参考として本明細書で援用され、その開示内容が、すべての選択物および実施形態を含めて、本開示の一部と見なされるWO2007/023109には、高濃度のイソプレゴール、特に式(XX)
の高濃度のL−イソプレゴールを、式(XX)のL−イソプレゴールを含む溶融物からの結晶化によって製造するための方法が開示されている。
イソプレゴール、特に光学活性L−イソプレゴールを溶融結晶化によって精製するための当該方法は、本発明による方法の工程c)による結晶化によるイソプレゴールの精製のための好適な方法を構成する。
工程c)による結晶化を実施するための好適な出発材料は、式(XX)のラセミまたは光学活性、好ましくは光学活性イソプレゴールを、その絶対配置において式(XX)に示されているように好ましくはそのL−鏡像異性体L−イソプレゴールの形で含む溶融物である。
よって、本発明の工程c)は、イソプレゴールの他に、他の望ましくない不純物または化合物、例えば、使用されるイソプレゴールの製造において製造された副産物をも含むが、溶媒を実質的に含まない溶融物からの結晶化によるイソプレゴールの精製のための方法に関する。
本発明の工程c)に従って実施される結晶化の文脈の範囲内における「高濃度のイソプレゴール」という用語は、結晶化、好ましくは溶融結晶化を実施するための出発材料としての役割を果たす材料よりL−イソプレゴールの含有量が大きいイソプレゴールを指すものと理解される。特に、工程c)の文脈の範囲内において、「高濃度のイソプレゴール」という用語は、化学的純度が少なくとも約90質量%、好ましくは少なくとも約95質量%、特に好ましくは約95から約99.95質量%であるイソプレゴールを指すものと理解される。因みに、以下においてn−イソプレゴールとも称する式(XX)のイソプレゴールは、イソプレゴールの3つのさらなる可能なジアステレオ異性体、すなわち式(XXI)のイソ−イソプレゴール、式(XXII)のネオ−イソプレゴールおよび式(XXIII)のネオイソ−イソプレゴールとの混合物に存在し得る。
本発明による方法を実施するための好適な出発材料は、任意の起源のイソプレゴール、すなわち天然源から単離されたイソプレゴールまたは合成により製造されたイソプレゴールであるが、好ましくは、合成により製造されたイソプレゴール、特に、上記工程b)によって得られるイソプレゴールである。好ましくは本発明に従って使用される溶融物は、好ましくは、少なくとも約70質量%、特に好ましくは少なくとも約75質量%、極めて好ましくは約80から約100質量%、特に好ましくは約85から約100質量%のイソプレゴール、ならびにそのジアステレオ異性体、すなわち式(XXI)のイソ−イソプレゴール、式(XXII)のネオ−イソプレゴールおよび式(XXIII)のネオイソ−イソプレゴールからなる。
本発明による方法の工程c)による結晶化の好適な実施形態は、式(XX)のn−イソプレゴールおよび場合によってイソプレゴールのさらなるジアステレオ異性体を含む溶融物からの結晶化によって、式(XX)の鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体が豊富なn−イソプレゴールを製造するための方法に関する。
本発明による方法の工程c)による結晶化によって溶融物から得られる式(XX)のn−イソプレゴールは、通常、ジアステレオ異性体が豊富な形で製造される。「ジアステレオ異性体が豊富な」という用語は、結晶化の過程で得られる生成物が、好ましくは本発明に従って使用される溶融物より、上記他のジアステレオ異性体と比較してより高含有量の所望のジアステレオ異性体n−イソプレゴールを有することを意味するものと理解される。特に、「ジアステレオ異性体が豊富なイソプレゴール」という用語は、少なくとも80から99.9質量%、好ましくは90から99.8質量%、特に好ましくは95から99.5質量%の式(XX)のn−イソプレゴール、ならびに全部で20質量%まで、好ましくは10質量%まで、特に好ましくは5から0.5質量%までの式(XXI)、(XXII)および/または(XXIII)のさらなるジアステレオ異性体を含むイソプレゴールを指すものと理解される。
工程c)による結晶化方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、光学活性出発材料、すなわちn−イソプレゴールの2つの鏡像異性体が同じ比で存在しない出発材料を使用する場合は、鏡像異性体が豊富なn−イソプレゴールが得られる。ここで、「鏡像異性体が豊富な」という用語は、本発明に従って得られる生成物が、本発明に従って使用される溶融物より、n−イソプレゴールの一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体と比較して高含有量有する、すなわちより高量の鏡像異性体過剰(ee)を有することを意味するものと理解される。
工程c)により本発明に従って実施される結晶化方法は、また、わずかに鏡像異性体過剰の光学活性n−イソプレゴールを含む溶融物からの結晶化による鏡像異性体およびジアステレオ異性体が豊富なn−イソプレゴールの製造を可能にする。
本発明による好適な出発材料、またはそれらの溶融物は、少なくとも約75%、特に好ましくは少なくとも約80%ee、極めて好ましくは約85から約95%ee、特に好ましくは85から90%eeの鏡像異性体過剰のn−イソプレゴールを含む。
本発明による方法の工程c)による結晶化方法の過程において、上記の光学活性出発材料を使用する場合は、プロセスパラメータを適切に選択すると、通常、少なくとも約85%、好ましくは約90から約100%ee、特に好ましくは約95から約99.9%ee、極めて好ましくは約97から約99.9%eeの式(XX)の鏡像異性体が豊富なn−イソプレゴールが得られる。
加えて、上記の光学活性出発材料を使用する場合は、上記の鏡像異性体が豊富なイソプレゴールの他に、鏡像異性体が乏しいイソプレゴールも得られ、「鏡像異性体が乏しいイソプレゴール」という用語は、工程c)による結晶化に使用されるイソプレゴールより鏡像異性体過剰が小さいイソプレゴールを指すものと理解される。このようにして得られた鏡像異性体が乏しいイソプレゴールは、通常、鏡像異性体L−イソプレゴール対D−イソプレゴールのモル比約60:40に対応する約20%までの小さい鏡像異性体過剰を有する。好ましくは、このようにして得られた鏡像異性体が乏しいイソプレゴールは、15%eeまで、好ましくは10%eeまで、特に好ましくは7%eeまで、極めて好ましくは5%eeまでの鏡像異性体過剰を有する。
好ましくは本発明による方法の工程c)に従って実施される溶融結晶化を、例えば、層結晶化の形または懸濁結晶化の形で実施することができる。層結晶化を実施するために、通常、場合により冷却面を出発材料として使用される光学活性のイソプレゴールの溶融物に導入する。その後、場合によって鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体が豊富なイソプレゴールを、導入された冷却面に形成し、次いで残留する母体溶融物から分離することができる。このようにして得られた結晶性の高濃度イソプレゴールを、助剤を使用しないさらなる精製工程で(例えば、融点直下で「結露する」純粋な生成物による洗浄によって)再び溶融させることができる。次いで、溶融結晶化物および母体溶融物の純度および収率を向上させるために所望される頻度で、この処理を繰り返すことができる。概して、有利には本発明による方法の工程c)の過程において実施される層結晶化を通じて、動的方法が静的方法と区別されるべきである。動的方法では、母体相、すなわち溶融出発材料は、通常、結晶化物または冷却面を能動的または受動的に移動する。静的方法の過程では、好ましくは本発明に従って実施される溶融結晶化は、静止した溶融物において実施される。
好ましくは本発明に従って実施される工程c)による溶融結晶化を動的層結晶化の形で実施することもできる。さらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、この変形は、G.F.Arkenbout,Melt Crystallization Technology,Lancater/PA,Technomic Publ.Co.,1995(chap.6.2)に記載されているチューブバンドル熱交換器にて実施される。ここでは、例えば細流フィルムの形の溶融物および冷媒が熱交換器の内壁および外壁に沿って誘導される。当該装置は、得られた結晶性イソプレゴールを重力の作用の下、単純な流出によって母体溶融物および得られたあらゆる結露留分から容易に除去することを可能にし、循環ポンプの他はさらなる撹拌要素を必要としない。
動的層結晶化を実施するために、通常、その融点より高く、融解図から読み取ることができる温度を有する、出発材料としての役割を果たす場合によって光学活性のイソプレゴールを上記の溶融結晶化装置に導入し、ポンプ循環によって冷却チューブバンドル熱交換器に通す。有利な結晶化成果を達成するために、冷却担体温度の低下を、好ましくは、約1mmから約50mm、好ましくは約5mmから約20mmの厚さの結晶層が約0.5時間から約10時間、好ましくは約1時間から約4時間の時間内で形成されるように選択する。この目的のために必要とされる冷媒温度は、一般に、特定の溶融温度より約1Kから約40K、好ましくは約5Kから約20K低い。
動的層結晶化を実施した後、通常、残留する母体溶融物を排出する。熱交換器の加熱または冷却媒体の温度を上昇させることによって、あらゆる粘着母体溶融残留物またはあらゆる含有不純物の溶融、あるいは排液によるそれらの除去が可能である。有利な熱担体温度は、約15℃から約60℃、特に有利には約20から約30℃の範囲である。「結露」と称するこのプロセスを通じて、純度要件に応じて、約1から約50質量%、しばしば約5から約20質量%の結晶化イソプレゴールを再び溶融させることができる。最後に、有利には、残留する鏡像異性体またはジアステレオ異性体が豊富な結晶層を溶融除去し、そのさらなる使用に向けて供給するか、あるいはさらなる精製または鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体過剰の増加に向けて再度結晶化させる。記載されているように分離された母体溶融物および「結露」によって放出された留分を、本発明による方法に戻して収率を向上させることができる。あるいは、結晶層の「結露」の前に、それを溶融した純粋な生成物と接触させることによって洗浄する選択肢、すなわちそれから固着母液を除去する選択肢がある。場合によって活性の出発材料を使用する場合は、このようにして得られる母液から鏡像異性体が乏しいイソプレゴールまたはラセミイソプレゴールが得られる。
溶融物からのイソプレゴールまたはn−イソプレゴールの本発明による方法の工程c)の過程において好適な結晶化は、有利には、約−20℃から約15℃の範囲、好ましくは約−10℃から約15℃の範囲、特に好ましくは約−5℃から約14℃の範囲の温度で実施される。温度範囲の厳密なポジションは、ここでは、出発材料の光学的および化学的開始純度、ならびに所望の収率に左右され、当業者であれば、それぞれの場合において使用されるイソプレゴールの融解図から容易に読み取ることができる。
高濃度の、好ましくは鏡像異性体またはジアステレオ異性体が豊富なイソプレゴールのために工程c)の過程において実施される本発明の製造方法の場合は、記載されたすべての方法を高い成功率で使用することができる。本発明による方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、結晶化は、静的層結晶化の形、すなわち内部熱交換器表面を備えた静的層結晶化装置で実施される。
ここでは、前記熱交換器表面の配置に対して特定の要件を課さない。通常、出発材料としての役割を果たすイソプレゴールは、融解図から読み取ることができ、その融点より高い温度で溶融結晶化装置に導入され、結晶化装置の内容物は、出発材料の純度に応じて、約−20℃から約15℃、好ましくは約−10℃から約15℃の温度まで、約5時間から約30時間、好ましくは約10から約20時間の時間以内に冷却される。有利な結晶化成果を達成するために、約0.1K/時間から約20K/時間、特に好ましくは0.5K/時間から5K/時間の冷却速度を選択するのが好ましい。
所望量の出発材料の結晶化に続いて、有利には、残留する母体溶融物を排出させる。熱交換器の加熱/冷却媒体の温度を徐々に上昇させることによって、あらゆる粘着母体溶融物残留物またはあらゆる含有不純物を溶融させ、それらを排液によって除去することが可能である。有利な加熱速度は、約0.1から約20K/時間の範囲、好ましくは約0.5から約5K/時間の範囲である。「結露」と称するこの方法において、純度要件に応じて、約3から約60質量%、しばしば約10から約30質量%の結晶化イソプレゴールを再び溶融させることができる。最後に、有利には、残留する鏡像異性体が豊富な結晶層を溶融除去し、そのさらなる使用に向けて供給するか、あるいはさらなる精製または鏡像異性体過剰の増加に向けて再度結晶化させることができる。記載されているように分離された母体溶融物および「結露」によって放出された留分を、本発明による好適な溶融結晶化方法に戻して収率を向上させることができる。
あるいは、好ましくは工程c)の過程において本明細書に従って実施される溶融結晶化を懸濁結晶化の形で実施することもできる。この場合、結晶は、通常、懸濁した形でそれらの母体溶融物に生成され、結晶層を形成させる必要がない。ここで、一定の温度における連続的手法、および温度を徐々に低下させる不連続的手法が可能である。ここで、好適な冷却面は、例えば、近接クリアランス攪拌機を備えた撹拌容器の壁、所謂スクラッチング冷却器、または冷却ディスク結晶化装置における拭い面である。あるいは、貴重な物質(または好ましくないが、助剤として添加された溶媒)の真空および断熱蒸発を適用することによって溶融物を冷却することもできる。次いで、懸濁結晶を本質的に当業者に既知に方法で、例えば、任意の所望のフィルタ要素、例えば吸引フィルタ、遠心またはベルトフィルタを使用して分離させることができる。基本的に達成可能な極めて高度な精製作用により、洗浄塔を用いて分離を実施することもでき、その場合、頂部からフィルタに向かって誘導された、底部で溶融した純粋な生成物の懸濁液が、洗浄媒体として向流誘導される。
本発明による方法の工程c)による上記の結晶化によって得られたイソプレゴール、特に上記の鏡像異性体が乏しいイソプレゴールまたはラセミイソプレゴールをさらなる分離方法、好ましくは蒸留によってさらに精製することもできる。因みに、分割壁塔または熱結合の形の塔の相互連結体は、処理およびコストの点で有利であることが証明された。
工程d):メントールを得るためのイソプレゴールの触媒水素化
本発明による方法の工程d)に従って、工程c)により得られたイソプレゴールのメントールへの触媒水素化を実施する。触媒水素化を実施するための好適な出発材料は、工程c)により得られた鏡像異性体またはジアステレオ異性体が豊富なイソプレゴール、あるいは結晶化の過程において副産物として分離された鏡像異性体が乏しいイソプレゴールおよびラセミイソプレゴールである。
1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、本発明による方法の工程d)によるラセミまたは光学活性イソプレゴールの触媒水素化は、不均一ニッケル含有触媒の存在下で実施される。鏡像異性体が豊富なイソプレゴールまたは鏡像異性体として純粋なイソプレゴール、好ましくはL−イソプレゴールを使用する場合は、工程d)による触媒水素化は、好ましくは、不均一ニッケルおよび銅含有触媒の存在下で実施される。
DE577036には、チモールの水素化によって合成メントールを製造するための方法が開示されている。ニッケル、ニッケル/銅およびコバルト触媒が、好適な触媒として記載されている。
GB1,503,723に記載されているように、メントールを得るためのピペリトールの触媒水素化にも特定のニッケル触媒が使用された。
EP1532091には、70.1%のイソプレゴール、18.1%のネオ−イソプレゴール、6.8%のイソ−イソプレゴールおよび2.6%のネオイソ−イソプレゴールのジアステレオ異性体混合物の形で使用されたイソプレゴールの触媒水素化によってラセミメントールを製造するための方法が開示されている。使用された触媒は、鉄およびクロムがドープされたラネーニッケルであった。これにより、61.4%のメントールおよび35.6%のメントールのさらなるジアステレオ異性体からなる可能なジアステレオ異性体の混合物の形のメントールが得られた。
メントールへのさらなる経路は、例えば前記EP1225163またはWO2006/092433に記載されているシトロネラールのイソプレゴールへのジアステレオ選択的環化のための方法の経路である。次いで、このようにして得られたイソプレゴールをさらなる工程で水素化してメントールにすることができる。
R.H.Pickard et alは、J.Chem.Soc.1920,1248−1263において、コロイドパラジウムの存在下でのL−イソプレゴールの触媒水素化によるL−メントールの製造を記載している。
B.Dudley Sully et al.は、P.&E.O.R.1068,235−366において、120℃の温度におけるラネーニッケルの存在下でのL−イソプレゴールの水素化によるL−メントールの製造を記載している。
EP1053974には、5バールの水素圧における5%の炭素上パラジウムの触媒の存在下でのイソプレゴールのメントールへの触媒水素化のための方法が開示されている。
EP0394842は、ニッケルおよび銅を含み、それぞれの場合において酸化性非還元触媒に対して20から75質量%の酸化ニッケル、10から75質量%の二酸化ジルコニウムおよび5から50質量%の酸化銅の含有量によって特徴づけられる脂肪族不飽和化合物の水素化のための触媒に関する。特定される基質の例は、ブチン−2−ジオール−1,4、ブテン−2−ジオール−1,4および2−エチルヘキセン−2−アールである。
本発明による方法の工程d)の文脈の範囲内の1つの特に好適な実施形態によれば、式(XXIV)
のラセミまたは光学活性メントールを製造するための方法が、式(XX)
のラセミまたは光学活性イソプレゴールの触媒水素化によって、水素、ならびに
−NiO換算で30から70質量%のニッケルの酸素含有化合物、
−ZrO
2換算で15から45質量%のジルコニウムの酸素含有化合物、
−CuO換算で5から30質量%の銅の酸素含有化合物、および
−MoO
3換算で0.1から10質量%のモリブデンの酸素含有化合物
(質量%単位のデータは乾燥非還元触媒に基づく)を含む触媒の存在下で実施される。
前記ニッケルおよび銅含有触媒の存在下での工程d)の過程における本発明による好適な水素化方法を実施するための好適な出発材料は、式(XX)のラセミまたは光学活性イソプレゴールであるが、基本的に任意の純度のイソプレゴールを使用することができる。しかし、本発明による方法は、好ましくは、高純度のイソプレゴール、すなわち80質量%以上の純度のイソプレゴール、好ましくは90質量%以上の純度のイソプレゴールを変換するのに好適である。本発明による方法を実施するための出発材料として特に好適なのは、97質量%以上、好ましくは98から100質量%、特に好ましくは98.5から99.9質量%、極めて好ましくは少なくとも99から99.9質量%の化学的純度を有するイソプレゴールである。ここで、化学的純度という用語は、ジアステレオ異性体、すなわち式(XXI)のイソ−イソプレゴール、式(XXII)のネオ−イソプレゴールおよび式(XXIII)のネオイソ−イソプレゴールに関して使用されるイソプレゴールのジアステレオ異性体純度をも含む。
よって、本発明による方法の工程d)による触媒水素化を実施するための出発材料として特に好適なイソプレゴールは、97質量%以上、好ましくは98から100質量%、特に好ましくは98.5から99.9質量%、極めて好ましくは少なくとも99から99.9質量%の上記のジアステレオ異性体純度を有する。ここで、記載の式は、本発明の文脈の範囲内において示されるすべての式と同様に、それぞれの場合において両鏡像異性体(またはそれらの混合物)を表し、立体中心の相対的な位置を示す役割を果たすことができる。
本発明によれば、イソプレゴールを工程d)の過程においてラセミまたは非ラセミ、すなわち光学活性形態で使用することができる。本発明に従って式(XX)のラセミイソプレゴールを使用すると、式(XXIV)のラセミメントールが得られる。光学活性イソプレゴール、好ましくは式(XX)の鏡像異性体が豊富なイソプレゴールおよび特に好ましくは鏡像異性体として純粋なイソプレゴールを使用すると、それに応じて式(XXIV)の光学活性メントールが得られる。光学活性の形のイソプレゴールが使用される場合は、本発明によれば、主として、例えば式(XX)におけるその絶対配置で再生されるL−イソプレゴール鏡像異性体を含む混合物が好ましい。
本発明による方法の工程d)の過程において、反応の場合は、鏡像異性体が豊富なイソプレゴール、すなわち80%以上の鏡像異性体過剰(ee)、好ましくは85またはより良好には90%ee以上、特に好ましくは95から100%ee、極めて好ましくは96から99.9%ee、さらに好ましくは97から99.8%ee、さらにより好ましくは98から99.7%ee、特に好ましくは98.5から99.6%eeのD−または好ましくはL−イソプレゴールが使用される。光学活性の形のL−イソプレゴールから出発すると、本発明による方法では、式(XXIV)における絶対配置で再生されたL−メントールが光学活性の形で製造される。
本発明による好適な触媒水素化方法は、水素の存在下および不均一触媒の存在下で実施され、使用される不均一触媒は、NiO換算で30から70質量%、好ましくは40から60質量%のニッケルの酸素含有化合物、ZrO2換算で15から45質量%、好ましくは20から40質量%のジルコニウムの酸素含有化合物、CuO換算で5から30質量%、好ましくは10から25質量%の銅の酸素含有化合物、およびMoO3換算で0.1から10質量%、好ましくは0.5から5質量%のモリブデンの酸素含有化合物、ならびに適切であれば0から10質量%、好ましくは0から5質量%の量のさらなる成分、例えばグラファイトを含む。ここで、質量%単位のデータは、乾燥非還元触媒を指す。
濃度データは、それぞれの場合において、他に指定する場合を除いて、触媒の触媒活性部分に基づくため、触媒の触媒活性部分は、以降、その最後の熱処理とその水素による還元との間にそれぞれの場合においてそれぞれZrO2、NiO、CuOおよびMoO3として計算された触媒における触媒活性ジルコニウム、ニッケル、銅およびモリブデンの部分の合計として定義される。
本発明による好適な工程d)による水素化方法を実施するための1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、
−NiO換算で45から55質量%のニッケルの酸素含有化合物、
−ZrO2換算で25から35質量%のジルコニウムの酸素含有化合物、
−CuO換算で5から20質量%の銅の酸素含有化合物、および
−MoO3換算で1から3質量%のモリブデンの酸素含有化合物、および
−0から5質量%のさらなる成分
(質量%単位のデータは、合計100質量%になり、乾燥非還元触媒に基づく)を含む触媒が使用される。本発明によれば、上記と同様の質量分率の前記成分からなる触媒が特に好ましい。
本発明による方法の工程d)の過程での使用に特に好適である触媒は、49から53質量%のNiO、15から19質量%のCuO、28から32質量%のZrO2および1から2質量%のMoO3、ならびに場合によって0から3質量%のさらなる成分、例えばグラファイトからなり、選択される個々の成分の質量分率は、それぞれの場合において、合計100質量%になる。この種の触媒は、既知であり、例えば、その開示内容全体が参考としてこの点に関して援用されるEP0696572に記載されている。
好ましくは工程d)の過程において本発明に従って使用される触媒を、例えば、析出法を使用して製造することができる。したがって、例えば、それらを、難溶性酸素含有ジルコニウム化合物のスラリーの存在下で無機塩基を用いて、これらの元素を含む塩水溶液からニッケルおよび銅成分を共析出させ、続いて得られた析出物を洗浄、乾燥および焼成することによって得ることができる。使用可能な難溶性酸素含有ジルコニウム化合物は、例えば、二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物、リン酸ジルコニウム、ホウ酸塩および珪酸塩である。難溶性ジルコニウム化合物のスラリーを、これらの化合物の微粒子粉末を激しく撹拌しながら水に懸濁させることによって製造することができる。これらのスラリーは、有利には無機塩基によって難溶性ジルコニウム化合物をジルコニウム塩水溶液から析出させることによって得られる。
本発明による方法の工程d)の過程において使用可能な触媒を、それらの成分のすべての共析出によって製造することが好ましい。このために、触媒成分を含む塩水溶液を、高温で撹拌しながら、水性無機塩基、特にアルカリ金属塩基、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたは水酸化カリウムと、析出が完了するまで適切に混合する。使用される塩の種類は、概して重要でない−この手法における基本的なファクターは塩の水溶性であるため、1つの基準は、比較的高濃度の塩溶液を製造するのに必要とされるそれらの良好な水溶性である。個々の成分の塩を選択する場合は、当然、望ましくない析出を引き起こすことによって、あるいは錯体形成を通じて析出を複雑化または防止することによって、破壊を招かないアニオンを有する塩のみが選択されることは自明であると思われる。
工程d)の過程において本発明に従って使用可能な、特に有利な特性を有する触媒は、水性無機塩基を添加することによって、析出装置で個別的に、適切にはジルコニウム塩水溶液から触媒のジルコニウム成分の一部を析出することによって得られる。次いで、触媒のジルコニウム成分の残りを、そのようにして得られた好ましくは新たに析出した酸化ジルコニウム水和物上に、他の触媒活性成分とともに上記共析出にて析出させることができる。因みに、一般に、触媒活性部分のジルコニウムの全量の10から80質量%、好ましくは30から70質量%、特に40から60質量%を予め析出させることが特に適切であることが証明された。
これらの析出反応で得られた析出物は、一般に化学的に不均一であり、とりわけ、酸化物、酸化物水和物、水酸化物、炭酸塩ならびに前記金属の不溶性および塩基性塩からなる。析出物の濾過性については、それらをエージングした場合、すなわちそれらを析出後一定の時間にわたって、適切であれば高温で、または空気を通しながら放置した場合に好適になると考えられる。
これらの析出法によって得られた析出物を通常の方法でさらに処理して、好ましくは工程d)の過程において本発明に従って使用可能な完成触媒を得ることができる。洗浄後、それらを一般に80から200℃、好ましくは100から150℃で乾燥させ、次いで焼成する。焼成は、一般に300から800℃、好ましくは400から600℃、特に450から550℃で実施される。
焼成後、触媒を研磨によって特定の粒径に調整し、あるいは研磨し、次いでそれをグラファイトまたはステアリン酸などの成形助剤と混合し、タブレット形成プレスによって圧縮してペレットにし、熱処理することによって適切に調整する。ここで、温度は、一般には焼成時の温度に対応する。
このようにして製造された触媒は、触媒活性金属をそれらの酸素含有化合物の混合物の形、すなわち酸化物および混合酸化物の形で含む。
このようにして製造された触媒を貯蔵し、そのまま使用することができる。それらは、本発明による方法の工程d)の過程において触媒として使用される前に、通常は予備還元される。しかし、予備還元せずに使用することもでき、その場合、それらは、本発明に従って実施される水素化の条件下で反応器に存在する水素によって後に還元される。予備還元では、一般に、触媒を最初に150から200℃の窒素−水素雰囲気に12から20時間にわたって曝し、次いでさらに約24時間までの時間にわたって200から300℃の水素雰囲気中で処理する。この予備還元を通じて、触媒に存在する酸素含有金属化合物の一部は、通常、それらが、異なる種類の酸素化合物とともに触媒の活性形態で存在するように対応する金属に還元される。
概して、本発明による水素化方法の工程d)の過程において使用される触媒は、好ましくは独立触媒の形で使用される。「独立触媒」という用語は、支持触媒と対照的に、触媒活性部分のみからなる触媒を指す。粉末に粉砕された触媒活性部分を反応容器に導入するか、あるいは粉砕し、成形助剤と混合し、成形し、熱処理した後に触媒活性部分を成形物の形で、例えば球体、円柱、タブレット、環、螺旋体および糸状体等の形で反応器に配置して独立触媒を使用することができる。
工程d)に従って実施される触媒水素化方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、選択された不均一触媒は、固定層触媒の形で使用される。
本発明による方法の工程d)に従って触媒水素化を実施するために、上記イソプレゴール出発材料を水素および選択された触媒と接触させる。水素を希釈しない形で、通常は約99.9容量%の純度で、あるいは希釈した形、すなわち不活性気体、例えば窒素またはアルゴンとの混合物の形で使用することができる。水素を希釈しない形で使用するのが好ましい。
イソプレゴールの水素化を、溶媒を添加せずに、または反応条件下で不活性な有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン等の存在下で首尾よく実施することができる。好ましくは、本発明による方法の工程d)による水素化は、溶媒を添加せずに実施される。
工程d)によるイソプレゴールの触媒水素化を1から200バール、好ましくは2または良好には3から200バール、特に好ましくは4または5から150バール、特に好ましくは5から100バールの範囲、極めて好ましくは5から50バールの範囲の水素圧(絶対)で実施することができる。本発明による水素化を実施するために選択される反応温度は、有利には、20から150℃、好ましくは40から130℃、特に好ましくは60から110℃、極めて好ましくは70から100℃の温度である。
実際、工程d)による水素化を実施する場合は、手法は、通常、好ましくは外部から加熱される固定層反応器、例えば、管状反応器、オートクレーブまたはチューブバンドル反応器内に存在する、触媒に変換されるイソプレゴールを所望の反応温度および所望の圧力で供給することを含む。ここで、触媒には、触媒1kg当たり毎時0.1から1.0、好ましくは0.1から0.6、特に好ましくは0.2から0.4kgのイソプレゴールが充填される。ここで、使用されるイソプレゴールを反応容器または反応器に供給する前に特に好ましくは反応温度まで加熱することが適切であり得る。
反応器を液相形態または細流形態で動作させることができる。すなわち出発材料を、反応器を内底部から上方に、または頂部から下方に流すことができる。本発明による水素化方法を不連続的または連続的に実施することができる。いずれの場合も、未反応の出発材料を水素とともに循環させることができる。
好ましくは工程d)の過程において本発明に従って実施される水素化を、複数の、すなわち2つから一般には4つの、好ましくは2つまたは3つの、特に好ましくは2つの縦列接続された反応器、好ましくは固定層反応器のカスケードで段階的に実施することもできる。ここで、反応物の主変換は、通常は主反応器と称する第1の反応器にて上記反応条件下で達成され、得られた粗製物は、通常は後部反応器と称する第2の反応器に供給され、まだ未反応の出発材料は、本発明による方法で少なくとも十分にメントールに変換され、あるいは鏡像異性体が豊富なL−イソプレゴールまたは鏡像異性体として純粋なL−イソプレゴールが本発明に従って好適に使用される場合は、L−メントールに変換される。ここで、反応条件を、好ましくは、前記範囲内で互いに独立して選択することができる。
上記水素化方法を不連続的に、半連続的に、または完全連続的に実施することができる。該方法を連続的に、特に完全連続的に実施することが好ましく、その場合、出発材料は、反応器に連続的に導入され、得られた反応混合物または反応生成物は、反応器から連続的に排出される。また、本発明によるメントール反応生成物、特にL−メントールの融点のポジションにより、使用される輸送ラインを加熱することが有利であることが証明された。
好ましくは工程d)の過程において実施される記載の水素化方法は、要望に応じて、通常メントールの望ましくないジアステレオ異性体をわずかしか形成させない、対応するラセミまたは光学活性イソプレゴールの触媒水素化によるラセミまたは光学活性メントールの製造を可能にする。よって、本発明による方法は、対応する純度のイソプレゴールを使用すると、化学的純度が97質量%以上、好ましくは98から100質量%、特に好ましくは98.5から99.9質量%、極めて好ましくは99から99.9質量%の式(XXIV)のメントールを製造する。ここで、「化学的純度」という用語は、式(XXV)のネオイソ−メントール、式(XXVI)のネオ−メントールおよび式(XXVII)のイソ−メントールに関する、得られたメントールのジアステレオ異性体純度をも含む。よって、その枠内における本発明の方法は、好ましくは、ジアステレオ異性体純度が97質量%以上、好ましくは98から100質量%、特に好ましくは98.5から99.9質量%、極めて好ましくは99から99.9質量%の式(XXIV)のメントールを製造する。
イソプレゴールを本発明による光学活性の形、好ましくは主としてL−イソプレゴール鏡像異性体を含む混合物の形で使用すると、工程d)の過程において本発明により得られるプロセス生成物は、概して、光学活性の形、好ましくは(−)の形のメントール、またはL−メントールである。
上記ニッケルおよび銅含有触媒の存在下での本発明による好適な、説明した触媒水素化は、一般に、たいていは使用される材料を顕著にラセミ化することなく進行する。そのため、使用される光学活性イソプレゴールの鏡像異性体過剰に応じて、好ましくはL−イソプレゴールが使用されると、80%以上の鏡像異性体過剰(ee)、好ましくは85または90%ee以上、特に好ましくは95から100%ee、特に96から99.9%ee、極めて好ましくは97から99.8%ee、さらにより好ましくは98から99.7%ee、特に好ましくは98.5から99.6%eeの光学活性L−メントールが得られる。
本発明により得られたメントール、特に、得られた光学活性メントールは、さらに、望ましくない副産物、すなわち式(XXVIII)のメントンおよび式(XXIX)のイソメントンおよび式(XXV)のネオイソメントールの含有量が特に小さい点が注目に値する。
これらの副産物は、一般に、本発明による好適な水素化方法の過程において、得られたメントールの量に基づいて、0.5質量%まで、好ましくは0.4質量%まで、特に好ましくは0.3質量%まで、特に0.2質量%まで、極めて好ましくは0.1から0質量%の割合で得られる。
上記のように、工程c)により本発明に従って実施される結晶化において、好ましくは、やはり工程c)について記載されているように、光学活性イソプレゴール含有物質混合物、ならびに鏡像異性体が豊富なイソプレゴールまたは鏡像異性体として純粋なイソプレゴールを使用する記載の溶融結晶化において、ラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールが生成される。このラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを、好適な触媒を用いて有利な方法で工程d)による触媒水素化の過程において水素化し、ラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを得ることができる。加えて、水素および触媒としてのラネーニッケルの存在下で、従来の方法、例えば触媒水素化によってこの種のラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを水素化して、ラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを得ることも可能である。
e)メントールの高精度蒸留
結晶化、好ましくは溶融結晶化によって予め精製されたイソプレゴールの触媒水素化のための上記方法は、一般に、ラセミおよび光学活性メントール、好ましくは、化学的純度が高く、またメントールの望ましくないジアステレオ異性体に関して、そして鏡像異性体が豊富な光学活性メントールの場合は鏡像異性体純度が高いラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールおよびL−メントールを製造する。特に、得られたメントールの感覚特性、特に嗅覚特性、および薬局方における純度要件に関して最高の品質基準を保証するために、工程d)により得られた鏡像異性体が豊富な光学活性メントールまたはラセミメントールもしくは鏡像異性体が乏しいメントールに最終的な蒸留を施すことが有利であることが証明された。したがって、本発明による方法は、さらなる任意の工程e)としての好適な実施形態の文脈において、工程a)からd)により得られたラセミおよび/または光学活性メントール、あるいは工程0からd)により得られたラセミおよび/または光学活性メントールの分割壁塔による蒸留精製を含む。
メントールの様々な精製方法が、文献に記載されている。例えば、当業者は、例えばDE568085またはDE1189073およびUS1,930,411、JP27003884またはJP32009869に記載されている、水蒸気を使用する、および使用しない分別蒸留の他、抽出法および結晶法を認識している。
これらの方法は、組み合わせて、例えば結晶化と分別蒸留の組合せとして、あるいは化学反応または誘導体化と組み合わせて使用される場合もある。
GB285,394は、チモールを水素化し、それから得られた混合物を分別蒸留し、続いてネオメントールをメントール留分から凍結させることによってラセミメントールを製造するための方法に関する。
GB285,833には、アセトンによるクレゾールの縮合から得られ、チモールの他に異性体メチルイソプロピルフェノールを含む混合物の分別蒸留によってチモールを製造するための方法が記載されている。
US2,827,497には、分別蒸留および分別結晶化によって得られたメントールのジアステレオ異性体混合物を酸化させ、次いで別の分別蒸留によってさらに精製する方法が開示されている。
EP0242778には、抽出蒸留、すなわち例えばスクシンイミドなどの特定の助剤を用いた蒸留によって、メントール、イソメントール、ネオメントールおよびネオイソメントールの混合物を含むジアステレオ異性体混合物を分離するための方法が記載されている。
記載されている方法は、たいてい、助剤を使用する(水蒸気または抽出蒸留)、または固体が生成されるという欠点を有する。分別バッチ蒸留は、たいていの場合、生成物がより長時間にわたって熱応力を受けるため、貴重な生成物の収率の点で不利である。
EP1514955は、メタノールを用いた1,1,2,2−テトラメトキシエタンの電気化学酸化の電解排出物を蒸留処理して液体電解質中にオルトギ酸トリメチルを得るための方法であって、30から150個の理論分離段を有する分割壁塔を使用する方法に関する。
DE10330934には、精留によって、シトロネラールまたはシトロネロールを、これらの化合物の少なくとも1つを含む粗混合物から連続的に単離するための方法が開示されている。ここで、シトラールまたはシトロネラールの部分水素化によって得られた出発混合物を使用するのが好ましい。
DE10223974は、2つの立体異性体イソプレノイドアルコール、具体的にはネロールおよびゲラニオールを精留によって粗混合物から連続的に分離するための方法であって、粗混合物を供給塔に横方向に導入し、供給塔に連結された少なくとも1つの分岐塔を設け、第1および第2のイソプレノイドアルコールを分岐塔から抜き取る方法に関する。ここで、供給塔と分岐塔は、少なくともイソプレノイドアルコールの分岐領域において蒸気と凝縮物が交差混合しないように連結される。
メントール、特にL−メントールのそのジアステレオ異性体、すなわちネオイソメントールおよびイソメントールからの蒸留精製は、通常、特に大気圧における約2℃の非常に小さい沸点差により極めて複雑である。
1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、本発明による方法の任意の工程e)は、式(XXIV)
のラセミまたは光学活性メントールを、ラセミまたは光学活性メントールおよびメントールのジアステレオ異性体を含む物質混合物からラセミまたは光学活性メントールを蒸留分離することによって純粋な、または高濃度の形で製造するための連続的方法の形で実施され、蒸留分離は、50から300個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割壁塔にて、5から500ミリバールの絶対動作圧力で実施される。
好ましくは任意の工程e)の過程において実施される分離方法を実施するのに使用される出発材料は、ラセミまたは光学活性メントール、好ましくは光学活性メントール、特に好ましくはL−メントールおよびメントールのジアステレオ異性体を含む物質混合物である。
挙げることができるメントールのジアステレオ異性体は、出発材料としての役割を果たす混合物の性質に応じて、ラセミまたは非ラセミ、すなわち光学活性の形で存在し得る上記化合物、すなわち式(XXV)のネオイソメントール、式(XXVI)のネオメントールおよび式(XXVII)のイソメントールである。前記ジアステレオ異性体は、工程e)の過程において本発明に従って使用される物質混合物に、個々に、または互いの混合物の形で存在し得る。本発明による好適な分離方法の過程において出発材料として使用される物質混合物は、ラセミまたは光学活性の形の式(XXIV)のメントールの他に、式(XXV)、(XXVI)または(XXVII)のジアステレオ異性体の少なくとも1つを含むが、通常は、前記ジアステレオ異性体の2つまたは3つ全ての混合物を含む。
望まれる場合は工程e)に従って実施される方法の過程において、メントールの前記ジアステレオ異性体の他に、式(XX)
のイソプレゴールおよび/またはそのジアステレオ異性体、ならびに適切であれば上記式(XXVIII)のメントンおよび/または式(XXIX)のイソメントンをも含む物質混合物を使用することが好ましい。
ここで、それぞれの場合においてラセミまたは光学活性の形で使用される物質混合物の種類、起源または製造方法に応じて、特定の化合物が存在し得る。
挙げることができる式(XX)のイソプレゴール、特にL−イソプレゴールのジアステレオ異性体は、同様に、出発材料としての役割を果たす混合物の種類に応じてラセミまたは非ラセミ形で存在し得る同様の上記化合物、すなわち式(XXI)のイソ−イソプレゴール、式(XXII)のネオ−イソプレゴール、式(XXIII)のネオイソ−イソプレゴールである。
好ましくは任意の工程e)に従って実施される方法の1つの好適な実施形態は、L−メントールおよび式(XXV)、(XXVI)および/または(XXVII)のメントールのジアステレオ異性体、ならびに場合によって式(XX)のイソプレゴールおよび/または式(XXI)、(XXII)および/または(XXIII)のそのジアステレオ異性体、ならびに適切であれば式(XXVIII)のメントンまたは式(XXIX)のイソメントンを含む物質混合物からL−メントールを蒸留分離することによる純粋な、または高濃度の形のL−メントールの製造に関する。
任意の工程e)の過程において実施される方法を実施するための好適な供給材料は、ラセミまたは光学活性メントール、好ましくは光学活性の形のL−メントールを含む物質混合物、好ましくは主としてラセミまたは光学活性メントール、好ましくはL−メントールからなる物質混合物である。これらの中でも、少なくとも80質量%、より良好には85質量%、さらにより良好には90質量%から99.9質量%、特に好ましくは95から99.8質量%、極めて好ましくは少なくとも96質量%、97質量%、最も好ましくは少なくとも98質量%から99.7質量%、99.6質量%、最も好ましくは99/5質量%までのラセミまたは光学活性メントール、好ましくはL−メントールを含み、さらに、少量、すなわち20質量%まで、好ましくは0.1から10質量%まで、特に好ましくは0.2から5質量%まで、特に好ましくは0.3またはより良好には0.4質量%から2.5質量%まで、さらにより好ましくは1.5質量%まで、より良好には1質量%まで、最も好ましくは0.5質量%までの割合で、さらなる成分、例えば、メントールのジアステレオ異性体、副産物、例えばイソプレゴールまたはそのジアステレオ異性体、またはメントンもしくはイソメントン、あるいは他の不純物、例えば溶媒残留物または水を含む物質混合物が好ましい。
光学活性の形のメントール、好ましくはL−メントールを含む物質混合物を使用すると、それは、通常、90%ee以上、好ましくは95%ee、特に好ましくは97%ee、さらにより好ましくは98%ee以上、すなわち100%eeまで、好ましくは99.9%eeまでの鏡像異性体過剰で存在する。よって、好ましくは本発明に従って実施される分離方法の過程においてこれらの物質混合物から純粋な、または高濃度の形の光学活性メントール、好ましくはL−メントールが得られ、得られた生成物の鏡像異性体過剰は、一般には、少なくとも実質的に、使用される物質混合物におけるメントールの鏡像異性体過剰に対応する。ラセミメントールを含む物質混合物を使用すると、本発明により、純粋な、または高濃度の形の式(I)のラセミメントールが得られる。
任意の工程e)に従って実施される方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、使用される出発材料は、99.4%超の鏡像異性体過剰を有する物質混合物である。本発明による方法のさらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、使用される出発材料は、少なくとも98質量%のメントール(L−またはD−メントール、好ましくはL−メントール)ならびに(それぞれの場合において混合物に基づいて)合計で2質量%までのメントールのジアステレオ異性体および/またはイソプレゴールおよびそのジアステレオ異性体(それぞれの場合においてDまたはL形)および/またはイソメントンもしくはメントンおよび/または他の成分、例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、炭化水素もしくは水からなる物質混合物であり、メントンおよび/またはイソメントンの含有量ならびに他の成分の含有量は、それぞれの場合において(混合物に基づいて)1質量%未満である。
望まれる場合は工程e)の過程において実施される蒸留分離は、通常、使用されるメントール、好ましくはL−メントール含有物質混合物をそれぞれの場合において1つまたは複数の低沸点物、中沸点物および高沸点物留分に分割し、メントール、好ましくは純粋な、または高濃度の形のL−メントールを、使用される分割壁塔の側方取出点において、中沸点物留分として液体または気体の形で除去することによって実施される。
よって、望まれる場合は工程e)の過程において実施される方法は、また、メントール、好ましくはL−メントールを単離するための連続的方法、好ましくは、上記のメントールおよびそのジアステレオ異性体を含む物質混合物からのメントールの蒸留分離によって純粋な、または高濃度の形のメントールを単離するための連続的方法であって、蒸留分離が、50から300個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割壁塔にて5から500ミリバールの絶対動作圧力で実施される連続的方法である。
このために使用される分割壁塔は、総数が50から300個、好ましくは100から200個、極めて好ましくは120から180個の理論分離段、および1つまたは複数、好ましくは1から3つ、特に1つもしくは2つ、極めて好ましくは1つの側方取出点を有する。
好ましくは任意の工程e)に従って実施される方法は、分割壁塔にて、5から500ミリバール、好ましくは10から200ミリバール、特に好ましくは20から120ミリバール、極めて好ましくは20から100ミリバール、特に好ましくは40から100ミリバールの絶対動作圧力で実施される。好ましくは、分割壁塔は、絶対頂部圧力が10から100ミリバール、特に好ましくは10から80ミリバール、極めて好ましくは10から60ミリバール、さらにより好ましくは20から60ミリバール、特に好ましくは40から60ミリバールになるように動作される。ここで同様に、好ましくは、分割壁塔は、絶対底部圧力が20から500ミリバール、特に好ましくは30から200ミリバールまたはより良好には100ミリバールまで、さらにより好ましくは40から200ミリバールまたはより良好には100ミリバールまで、極めて好ましくは50から100ミリバールになるように動作される。
工程e)に従って好適な分離方法を実施する場合の還流比を広い範囲内で変えることができ、それは、通常、約5:1から約2000:1、好ましくは約20:1から1000:1、特に好ましくは約50:1から約500:1である。分縮法、すなわち復帰流のみを塔の頂部コンデンサにて凝縮させ、塔に戻す手法も有利である。当該エネルギーの観点で好ましい部分凝縮の場合は、排出される頂部生成物は、より低い温度で動作可能な後部冷却器にて専ら生成される。ここで、適切であれば、時々凝結によって形成される個体を再溶融させることができるように、後部冷却器における冷媒の温度を5℃から約50℃の範囲内で制御することができるような熱担体循環システムを設けることが有利である。
この理由により、塔の主コンデンサおよび/または後部コンデンサに、その温度を0℃から60℃、好ましくは20から60℃に制御可能な熱媒体(冷媒)を供給する手段を設けることも有利である。この目的のために、例えば、遠心ポンプを利用して水を熱交換器にポンプで循環させることができ、必要であれば、温度制御システムを使用して、冷水または温水をこのポンプ循環システムに供給することができる。勿論、フローヒータが回路に組み込まれたこの回路の電気加熱、または水蒸気を用いた従来の加熱も可能である。
任意の工程e)による本発明の好適な分離方法によって、純粋な、または高濃度の形のメントール、好ましくはL−メントールが得られる。「高濃度の形のメントール」という用語は、メントール、好ましくは、それぞれの場合において本発明に従って使用されるメントール、好ましくはL−メントールを含む物質混合物よりメントールまたはL−メントールを多く有するL−メントール含有物質混合物を指すものと理解される。好ましくは、「高濃度の形のメントール」という用語は、純度、すなわち含有量が80から99.5質量%、好ましくは85から99.5質量%、特に好ましくは90質量%、さらにより好ましくは95質量%から99.5質量%であるメントール、好ましくはL−メントールを指すものと理解される。工程e)の過程において好適な方法は、また、純粋な形のメントール、好ましくはL−メントールの製造を可能にする。「純粋な形のメントール」という用語は、含有量が99質量%以上、好ましくは99.1質量%以上、好ましくは少なくとも99.2質量%、さらに好ましくは少なくとも99.3質量%、さらにより好ましくは少なくとも99.4質量%、特に好ましくは少なくとも99.5質量%、さらに好ましくは少なくとも99.6質量%、さらに好ましくは少なくとも99.7質量%、最も好ましくは99.8質量%から99.99質量%、さらにより好ましくは99.98質量%まで、特に好ましくは99.97質量%まで、さらにより好ましくは99.96質量%まで、最も好ましくは99.95質量%までのメントール、好ましくはL−メントールを指すものと理解される。ここで、質量%単位のデータは、本発明の文脈の範囲内における質量%単位のすべてのデータと同様に、それぞれの混合物の全量に基づく。
供給物、すなわち使用される物質混合物を液体または気体の形で分割壁塔に供給し、そこで頂部および底部留分、ならびに1つまたは複数の側方排出物、好ましくは1つの側方排出物に分割することができる。1つの側方排出物では、貴重なメントール生成物、好ましくはL−メントールが、所望の純度、すなわち高濃度の、または純粋な形で製造される。純粋な、または高濃度のメントールを製造するための好適な方法の1つの特定の実施形態において、後部コンデンサが塔の頂部コンデンサの下流に接続され、以上に説明されているように、その温度を0から60℃、好ましくは20から60℃の温度範囲内で制御可能な冷却液(例えばグリコール含有水)で冷却され、低メントール低沸点留分もそこで生成される。
複数物質の混合物の連続的蒸留分別のための別法は、ネラールおよびゲラニアールを含む物質混合物からネラールを蒸留分離することによって純粋な、または高濃度の形のネラールを製造するための方法の文脈の範囲内で以上に説明されている。
図1は、使用されるメントール含有物質混合物の低メントール頂部留分(j)、メントールが豊富な側方留分(f)および底部留分(g)への、好ましくは工程e)の過程において本発明に従って実施される分離の好適な実施形態を示す。分割壁塔へのメントール含有混合物の供給を液体の形(b)、気体の形(c)または気体および液体の形で行うことができる。
任意の工程e)による本発明の好適な方法は、好ましくは連続的に実施される。そのため、メントール、好ましくはL−メントールを含み、出発材料として使用される物質混合物は、好ましくは、連続的に分割壁塔に供給され、本発明により得られた生成物(留分)および副産物は、好ましくは連続的に排出される。
通常、さらなるコンデンサが、この目的で使用される塔の下流に接続され、その使用温度は、分割壁塔の頂部コンデンサの使用温度より10から40K、好ましくは20から30K低い。これを利用して、頂部流(k)に依然として存在する低沸点物の大部分を析出させることができる。
さらに、分割壁塔の場合は、供給流を予め蒸発させ、次いでそれを二相の形または2つの流れの形で塔に供給することが有利であり得る。この予備蒸発は、特に、供給流が比較的大量の低沸点物を含む場合に適切である。予備蒸発の結果として、塔のストリッピング部の負荷を有意に軽減することができる。
好ましくは工程e)の過程において使用される分割壁塔を、無秩序充填物または構造充填物を有する充填塔、あるいはトレー塔として設計することができる。純粋な、または高濃度の形のメントールを製造するための本発明による好適な方法において、充填塔を使用するのが望ましい。この文脈において、約100から750m2/m3、約350から500m2/m3の比表面積を有する構造金属シートまたは織物充填物が特に好適である。
この分離の場合のように、生成物の純度に対する要求が特に強い場合は、分割壁に断熱体を備えるのが好ましい。様々な断熱壁断熱手段の記載をEP−A0640367に見いだすことができる。中間の狭い気体スペースを有する二重壁設計が特に好適である。
複数物質混合物を低沸点物留分、中沸点物留分および高沸点物留分に分割する場合は、通常、中沸点物留分における低沸点物および高沸点物の最大許容比に関する規格が存在する。因みに、分離に関する問題に対する基準になる個々の成分、所謂主要成分、または複数の主要成分の合計が示される。本発明の文脈の範囲内におけるこれらの主要成分は、高沸点二次成分としてのイソメントール、ならびに低沸点二次成分としてのネオメントールまたはネオおよびネオイソメントールの混合物である。
中沸点物留分における高沸点物に関する規格の遵守を、例えば、分割壁の上端の液体の分割比を介して制御することができる。因みに、分割壁の上端の液体の分割比は、好ましくは、分割壁の上端における液体の高沸点物留分の主要成分の濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%、好ましくは30から50%になるように調整される。液体分割は、好ましくは、高沸点物留分における主要成分の含有量がより大きい場合はより多くの液体が供給部に流され、高沸点物留分における主要成分の含有量がより小さい場合はより少ない液体が供給部に流されるように調整される。
よって、中沸点留分における低沸点物についての規格を加熱出力によって制御することができる。因みに、例えば、蒸発器における加熱出力は、分割壁の下端における液体の低沸点物留分の主要成分の濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%、好ましくは30から50%になるように調整され、加熱出力は、好ましくは、低沸点留分における主要成分の含有量がより大きい場合は加熱出力が増加し、低沸点留分における主要成分の含有量がより小さい場合は加熱出力が低下するように調整される。
供給量または供給濃度の乱れを補償するために、さらに、プロセス制御システムにて、対応する制御機構、例えば、好適な制御規格を用いて、塔部(2)、すなわち供給部の精留部および(5)、すなわち除去部のストリッピング部への液体の流量がそれらの正常値の30%まで低下し得ないようにすることが有利であることがさらに証明された。
分割壁の上端および側方除去点における液体の除去および分割のために、内部回収スペースおよび塔の外側に配置された回収スペースの両方が液体に好適であり、これらは、ポンプための機能を果たし、または十分に高い静止液面を確保して、制御要素、例えば弁による液体のさらなる制御誘導を可能にする。充填塔を使用する場合は、液体を最初に回収器に閉じこめ、そこから内部または外部回収スペースに流し込む。
特に好適な実施形態の文脈の範囲内において、任意の工程e)による本発明の好適な分離方法は、図1に図示されるプラントで実施される。好適な実施形態は、分割壁(T)を塔の縦方向に有し、上部共通塔領域(1)、下部共通塔領域(6)、精留部(2)およびストリッピング部(4)を含む供給部(2、4)、ならびにストリッピング部(3)および精留部(5)を含む除去部(3、5)を形成する分割壁塔(TK)が使用されることが注目に値する。
供給材料としての役割を果たすメントール含有物質混合物(a)は、好ましくは、供給部(2、4)の中間領域に供給され、純粋な、または高濃度の形のメントール、好ましくはL−メントールが、除去領域(3、5)の中間領域から側方分岐として得られ、1つまたは複数の低沸点物留分が、上部共通塔領域(1)から除去され、1つまたは複数の高沸点物留分が、底部共通塔領域(6)から除去される。
供給流(a)を、液体(b)、気体(c)または部分液体および気体流として、予備加熱器(VH)を介して塔(TK)に導入することができる。塔の頂部流は、コンデンサ(K)で完全または部分的に凝縮される。部分的凝縮(分縮処理)の場合は、頂部コンデンサ(K)の排ガス流(k)は、通常、低温で動作される後部コンデンサで後に凝縮できる認識可能な量の凝縮可能な低沸点物を依然として含む。
頂部コンデンサ(K)および/または後部コンデンサを、例えば、プレート装置として設計し、塔ジャケット、好ましくは塔の頂部に統合することができる。固体の形成を防止するために、塔のコンデンサの温度を例えば約30から約50℃の温度に制御することが有利であり得る。
コンデンサ(K)で凝縮された頂部生成物を蒸留容器(DB)で緩衝させ、復帰ポンプ(RP)によって塔復帰流(i)として塔に戻す。必要であれば、蒸留分(j)をそこから得ることもできる。コンデンサを塔の頂部に統合する場合は、蒸留容器(DB)および復帰ポンプ(RP)を省くことができる。
底部流は、有利には、好ましくは流下膜式蒸発器として構成された循環ポンプ(UP)を介して底部蒸発器(SV)に供給される。塔(TK)の底部排出物(g)をこのポンプ循環流から除去することもできる。有利には、塔の底部流(高沸点留分)は、場合によってより小さいポンプ(SP)を利用して、底部蒸発器の下流の液流(h)として除去される。
分割壁塔に使用される底部蒸発器は、有利には、薄膜装置、例えば流下膜式蒸発器であってよい。
貴重な生成物、すなわち純粋な、または高濃度の形のメントールまたはL−メントールを分割壁塔(TK)の除去部から液体側方分岐流(f)として抜き取ることができる。必要であれば、貴重な生成物の流れ(f)を気体側方分岐として除去することが可能であるが、通常、さらなるコンデンサが必要である。純粋な、または高濃度の形のL−メントールの融点が41から44℃であるため、すべての生成物誘導装置(塔の他、すべての容器およびポンプ)およびライン、ならびに真空システムの好ましくはすべての装置およびラインを遮断すること、すなわちそれらを好適な材料で断熱し、それらにトレース加熱を施すことが有利である。因みに、例えば、好適な機器を使用して70℃まで、好ましくは45から70℃の温度、さらにより好ましくは60℃まで、特に好ましくは45から60℃の温度に制御される、パイプに閉じこめられた電気加熱ラインが有利である。あるいは、従来のトレース加熱システム、例えば、温水がジャケットを流れる二重管を使用することも可能である。
通常、塔の上部共通小領域(1)は、塔の理論分離段の総数の5から50%の理論分離段を有し、塔の供給部の精留部(2)は5から50%の理論分離段を有し、塔の供給部のストリッピング部(4)は2から50%の理論分離段を有し、塔の除去部のストリッピング部(2)は5から50%の理論分離段を有し、除去部の精留部(5)は2から50%の理論分離段を有し、塔の共通下部(6)は5から50%の理論分離段を有する(選択された百分率は合計100%になる)。
好ましくは、塔の上部共通小領域(1)は、塔の理論分離段の総数の10から25%の理論分離段を有し、塔の供給部の精留部(2)は15から30%の理論分離段を有し、塔の供給部のストリッピング部(4)は15から30%の理論分離段を有し、塔の除去部のストリッピング部(2)は15から30%の理論分離段を有し、除去部の精留部(5)は15から30%の理論分離段を有し、塔の共通下部(6)は10から25%の理論分離段を有する(選択された百分率は合計100%になる)。
供給部における小領域(2)および(4)の理論分離段の数の合計は、除去領域における小領域(3)および(5)の板の数の合計の好ましくは80から110%、特に好ましくは95から105%である。
工程e)による好適な分離方法の1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、供給点が側方取出点より1から40個、好ましくは5から20個の理論分離段の分だけ高く、または低く配置されるように、供給点および側方取出点が、理論分離段の位置に関して、塔の中で異なる高さに配置される。
さらに、分割壁によって分割され、小領域(2)、(3)、(4)および(5)またはそれらの部分からなる塔の小領域が、構造充填物または無秩序充填物(例えば、Montz A3−500、Sulzer BXもしくはCYなどの織物充填物、またはMontz B1−500(Montz)もしくはMellapak(Sulzer)などの金属シート充填物)を備えると有利であることが証明された。
除去部における蒸気流に対する供給部における蒸気流の比が0.8:1.2、好ましくは0.9:1.1になるように、分割壁の下端における蒸気流を、分離内部構造物の選択および/または寸法設定、および/または圧力降下をもたらす装置、例えば絞り機構の導入によって調整することができる。
塔の上部共通部(1)から流出する液体は、有利には、塔内または塔の外側に配置された回収スペースで回収され、除去部の液体流に対する供給部の液体流の比が、主に液体供給の場合は0.1:2.0になり、気体供給の場合は1.0:2になるように、分割壁の上端における固定設定または制御システムによって誘導的に分割される。ここで、本発明によれば液体供給が好適である。
上部共通小領域(1)から供給部へ流れる液体を、ポンプによって輸送し、または少なくとも1mの静的供給高さによって、好ましくはカスケード制御システムと回収スペースの液位制御システムとの併用によって定量制御しながら導入することができる。制御システムは、好ましくは、供給部に導入される液体の量が所望の正常値の30%を下回ることがないように調整される。さらに、塔の除去部における小領域(3)から側方分岐および塔の除去部における小領域(5)に流れる液体の分割は、有利には、小領域(5)に導入される液体の量が所望の正常値の30%のレベルを下回らないように制御システムによって調整される。ここで正常値は、有利には、供給量に基づいてその量の2倍から4倍であると想定される。
分割壁塔は、好ましくは分割壁の上端および下端にサンプリング手段を有する。サンプルを液体または気体の形で塔から連続的に、または時間間隔をおいて採取することができ、それらの組成に関して、好ましくはガスクロマトグラフィーによって調べることができる。
分割壁の上端における液体の分割比は、好ましくは、側方分岐において特定の濃度既定値が達成される高沸点留分の成分(具体的にはイソメントール)の分割壁の上端の液体における濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%になるように調整される。液体分割は、好ましくは、高沸点留分の成分の含有量がより大きい場合はより大量の液体が供給部に送られ、高沸点留分の成分の含有量がより小さい場合はより少量の液体が供給部に送られるように調整される。
蒸発器(SV)における加熱出力は、好ましくは、液体の側方分岐において特定の濃度既定値が達成される低沸点留分の成分(具体的にはネオイソメントール)の分割壁の下端における濃度が、側方分岐生成物において達成される値の10から80%になるように調整される。加熱出力は、有利には、低沸点留分の成分の含有量がより大きい場合は加熱出力が増加し、低沸点留分の成分の含有量がより小さい場合は加熱出力が減少するように調整される。
蒸留分離、すなわち低沸点副産物の除去は、好ましくは、供給混合物に存在し、分離されることになるより低沸点の二次成分の量に応じて、温度制御または定量制御しながら行われる。使用される制御温度は、有利には、3から10個、好ましくは4から6個の理論分離段の分だけ塔の上端より低い塔の小領域(1)における測定位置である。
底部生成物は、好ましくは、供給速度に応じて、温度制御または定量制御しながら除去される。
純粋な、または高濃度の形の側方生成物として得られた方法生成物であるメントール、好ましくはL−メントールの除去は、好ましくは、レベル制御しながら行われ、使用される制御パラメータは、好ましくは、塔底部における液位である。
本発明に従って使用されるメントール含有物質混合物の供給流は、好ましくは、部分的または完全に予備蒸発され、二相の形または気流および液流の形で塔に供給される。
1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、本発明による方法の任意の工程e)の過程でも、分割壁塔が使用され、その分割壁が塔に溶接されておらず、軽く挿入されたサブセグメントおよび十分に固着されたサブセグメントの形で構成されている。
塔の個々の小領域における液体分割を、好ましくは、誘導的に不均一に調整することができ、液体は、壁領域の特に小領域(2)および(5)に多く導入され、壁領域の小領域(3)および(4)に少量導入される。
分割壁の除去側と供給側の間の復帰液の分割比は、好ましくは約1:1から約3:1、好ましくは約1:1から約2:1である。
塔の個々の小領域における分割壁の位置を、有利には、供給および除去部の断面が異なる面積を有するように調整することができる。
本発明により得られる純粋な、または高濃度の形のL−メントールを、好ましくは、側方分岐を介して、またはさらなる側方分岐が供給される場合は中間側方分岐(f)を介して連続的に得ることができ、それは、1つの好適な実施形態の文脈の範囲内において、(それぞれの場合において、得られた生成物に基づいて)99.5質量%を超える、好ましくは99.5から99.95質量%のメントール含有量、および恐らくは非常に少量のさらなる不純物に加えて、0.3質量%までの上記メントールの他のジアステレオ異性体の含有量を有する。
さらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、本発明により得られたメントール、好ましくは、純粋な、または高濃度の形、好ましくは純粋な形のL−メントールは、イソプレゴールおよび上記のそれらのジアステレオ異性体の合計含有量が(得られた生成物の全量に基づいて)0.5質量%まで、好ましくは0.3質量%まで、特に好ましくは0.1質量%までである。さらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、本発明により得られたメントール、好ましくは、純粋な、または高濃度の形、好ましくは純粋な形のL−メントールは、メントンおよびイソメントンの含有量が(得られた生成物の全量に基づいて)0.5質量%まで、好ましくは0.3質量%まで、特に好ましくは0.1質量%までである。
本発明の任意の工程e)のさらなる態様は、純粋な、または高濃度の形のラセミまたは光学活性メントールを製造するための上記連続的蒸留方法を実施するためのデバイスに関する。
本発明によるデバイスは、図1に示されており、塔の縦方向に分割壁(T)を有し上部共通塔領域(1)、底部共通塔領域(6)、精留部(2)およびストリッピング部(4)を含む供給部(2、4)ならびにストリッピング部(3)および精留部(5)を含む除去部(3、5)を形成する、50から300個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割壁塔(TK)を含み、該デバイスの生成物誘導構成要素のすべて(塔の他、すべての容器、ポンプおよびライン)ならびに真空システムの好ましくはすべての装置およびラインが、好適な材料で断熱され、トレース加熱されている。
因みに、以上に既に記載されているように、好適な機器で70℃まで、好ましくは45から70℃の温度、さらにより好ましくは60℃、特に好ましくは45から60℃の温度に制御される、例えば管に閉じこめられた電気加熱ラインが有利である。あるいは、従来のトレース加熱システム、例えば、温水がジャケットを流れる二重管を使用することも可能である。
上記工程a)からd)ならびに任意の、すなわち望まれる場合に追加的に実施される工程0)およびe)は、コストおよび処理の観点から高純度のメントールへの非常に有利な道を切り開く。望まれる場合は、光学活性またはラセミメントールを製造することができる。そのため、1つの好適な実施形態において、本発明は、また、光学活性メントールを製造するための方法であって、
a.2)ネラールおよび/またはゲラニアールを不斉触媒水素化して光学活性シトロネラールを得る工程と、
b.2)工程a.2)により得られた光学活性シトロネラールを酸性触媒の存在下で環化して、光学活性イソプレゴールを得る工程と、
c.2)工程b.2)により得られた光学活性イソプレゴールを結晶化によって精製する工程と、
d.2)工程c.2)により得られた光学活性イソプレゴールを触媒水素化して光学活性メントールを得る工程と
を含む方法に関する。
工程a.2)に従って、ネラールおよび/またはゲラニアール、すなわち式(II)のネラールまたは式(III)のゲラニアールまたは上記のネラールおよびゲラニアール含有物質混合物の不斉水素化が実施される。好ましくは、純粋な、または高濃度のネラールの工程a)による上記の不斉触媒水素化が実施される。さらなる好適な実施形態において、工程a.2)による不斉触媒水素化は、ゲラニアールおよびネラールを含む物質混合物からネラールの蒸留分離によって純粋な、または高濃度のネラールを製造するための任意の工程0)の後で実施される。このように、望まれる場合は、光学活性シトロネラールが、不斉触媒水素化の構成に応じて、2つの鏡像異性体の1つの形、好ましくはD−シトロネラールの形で入手可能である。
次いで、工程a.2)により得られる光学活性シトロネラールを酸性触媒の存在下で工程b.2)に従って環化して、光学活性イソプレゴールを得ることができる。挙げることができる好適な酸性触媒は、工程b)における上記酸またはルイス酸性触媒、特に特定のアルミニウム含有ルイス酸性触媒、例えば、式(I)の前記配位子と特定のアルミニウム化合物、例えばトリメチルまたはトリエチルアルミニウムとを反応させることによって得られる本発明による好適なジアリールフェノキシアルミニウム化合物である。
このようにして得られる光学活性イソプレゴールは、この好適な実施形態の文脈の範囲内において工程c.2)に従って、結晶化により精製される。因みに、本質的に当業者に既知である溶液および溶融物からの結晶化方法を使用することが基本的に可能である。工程c)による記載の溶融物からの結晶化、特に好ましくは静的溶融結晶化、極めて好ましくは上記の静的層結晶化を実施するのが好ましい。本発明による方法の好適な実施形態の文脈の範囲内において、上記のように、高純度の、すなわち鏡像異性体およびジアステレオ異性体が豊富なイソプレゴール、好ましくはL−イソプレゴールが得られる。
工程d.2)による本発明の方法の本実施形態の文脈の範囲内において、次いで、このようにして得られる光学活性イソプレゴールを触媒水素化して光学活性メントールを得る。イソプレゴールのメントールへの触媒水素化は、当業者に既知であり、広範な種類の従来の不均一水素化触媒を使用して実施され得る。この場合、特にこのようにして得られた生成物の臭いおよび風味特性にとって重要なこととして、望ましくない副産物、例えばメントールの上記ジアステレオ異性体またはメントンの形成が最小限にとどめられるため、工程d)による上記ニッケル、銅、ジルコニウムおよびモリブデン含有触媒の存在下で触媒水素化を実施することが有利であることが証明された。
さらなる好適な実施形態によれば、本発明は、鏡像異性体が豊富な光学活性メントールおよびラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを製造するための方法であって、
a.3)ネラールおよび/またはゲラニアールを不斉触媒水素化して、70から99%の範囲の鏡像異性体過剰の光学活性シトロネラールを得る工程と、
b.3)工程a.3)により得られた光学活性シトロネラールを酸性触媒の存在下で環化して、光学活性イソプレゴールを得る工程と、
c.3)工程b.3)により得られた光学活性イソプレゴールを結晶化によって精製して、鏡像異性体が豊富なイソプレゴールおよび(または)ラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを得る工程と、
d.3)工程c.3)により得られた鏡像異性体が豊富な光学活性イソプレゴールを触媒水素化して光学活性メントールを得て、ラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを触媒水素化してラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを得る工程と
を含む方法に関する。
本発明による方法の好適な実施形態の工程a.3)に従って鏡像異性体過剰が70から99%、好ましくは80から99%ee、特に好ましくは85から95%eeの範囲の光学活性シトロネラールを得るためのネラールまたはゲラニアールの例えば工程a)による上記の不斉触媒水素化が実施される。このために、ネラール、特に好ましくは、任意の工程0)により上記のように高濃度の、または純粋な形で入手可能なネラールを使用するのが好ましい。不斉、すなわちエナンチオ選択的水素化を実施するための好適な触媒系は、特に、反応混合物に可溶のロジウム化合物、特にキラル配位子(R,R)−キラホスまたは(S,S)−キラホス、好ましくは(R,R)−キラホスから形成された上記触媒であることが証明された。好ましくは、使用される触媒は、一酸化炭素および水素を含む気体混合物で前処理され、および/またはWO2006/040096に記載されているように、反応混合物に追加的に供給される一酸化炭素の存在下で水素化が実施される。さらに、工程a)に記載されているように、触媒の前処理の後に過剰の一酸化炭素を分離すること、および一酸化炭素含有量が100から1200ppmの水素の存在下で不斉水素化を実施することが有利であることが証明された。
例えば、ロジウム化合物および(R,R)−キラホスから形成された触媒の存在下でのネラールの工程a)による上記の不斉水素化時の選択された反応条件下において、ネラールは、高度な不斉誘導で所望のD−シトロネラールに変換されるのに対して、他の鏡像異性体L−シトロネラールは、存在し得るゲラニアールから形成されるため、ここでは、このようにして得られるシトロネラールの鏡像異性体過剰を、使用されるネラールの純度、特に使用されるネラールにおけるゲラニアールの含有量を介して制御することができる。
次いで、このようにして得られる鏡像異性体過剰が70から99%、好ましくは80から99%ee、特に好ましくは85から95%eeの光学活性シトロネラールを工程b.3)を酸性触媒の存在下で、好ましくは工程b)による上記の方法およびWO2006/092433における方法によって、ジアリールフェノキシアルミニウム化合物の存在下で環化して、光学活性イソプレゴールを得る。これにより、一般に、たいていは使用された光学活性シトロネラールの絶対的な立体化学情報を失わずに、通常、高いジアステレオ異性体純度が既に注目に値する光学活性イソプレゴールが得られる。
本発明による方法のこの好適な実施形態の工程c.3)に従って、このようにして得られた光学活性イソプレゴールの精製を結晶化によって実施し、鏡像異性が豊富なイソプレゴールおよびラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを得る。ここで、結晶化を溶液結晶化などの当業者に既知の方法によって実施することができる。しかし、工程b)による上記溶融結晶化を特に好ましくは静的層結晶化の形で実施するのが好ましい。ここで、工程b.3)により得られた光学活性イソプレゴールを特に鏡像異性体およびジアステレオ異性体純度に関してさらに精製することが可能である。高い鏡像異性体純度の鏡像異性体が豊富な光学活性イソプレゴールの他に、工程b)による上記の鏡像異性体が乏しいイソプレゴールまたはラセミイソプレゴールも得られる。このようにして得られる両生成物を個別のさらなる処理に向けて送ることができる。
本発明による方法の本実施形態の工程d.3)に従って、ラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを得るための鏡像異性体が豊富な光学活性イソプレゴールの鏡像異性体が豊富な光学活性メントールへの触媒水素化、およびラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールの触媒水素化が実施される。それら2つの水素化は、先の結晶化によって分離された鏡像異性体が豊富な流れおよびラセミ流または鏡像異性体が乏しい流れの逆混合を回避するよう個別に実施される。ここでも因みに、上記工程d)に記載されているイソプレゴールのエチレン二重結合の触媒水素化のための様々な触媒系が当業者に利用可能である。しかし、工程d)において既に述べたように、特に、生成物の高い鏡像異性体およびジアステレオ異性体純度が所望される場合は、工程d)に記載されているニッケル、銅、ジルコニウムおよびモリブデン含有触媒の存在下で触媒水素化を実施することが有利であることが証明された。
本発明の文脈の範囲内において特に好適である1つの実施形態は、L−(−)−メントールを製造するための方法であって、
a.4)ネラールを不斉触媒水素化してD−(+)−シトロネラールを得る工程と、
b.4)工程a.4)により得られたD−(+)−シトロネラールを酸性触媒の存在下で環化して、L−(−)−イソプレゴールを得る工程と、
c.4)工程b.4)により得られたL−(−)−イソプレゴールを結晶化によって精製する工程と、
d.4)工程c.4)により得られたL−(−)−イソプレゴールを触媒水素化して、L−(−)−メントールを得る工程と
を含む方法に関する。
本発明による方法のこの好適な実施形態を実施するために使用される出発材料はネラール、好ましくは、例えば、上記任意の工程0)によってゲラニアールおよびネラール含有混合物から製造可能な純粋な、または高濃度の形のネラールである。よって、本実施形態のさらなる好適な変形は、ネラールおよびゲラニアール含有物質混合物の蒸留分離によって純粋な、または高濃度の形のネラールを製造するための工程0)をさらに含む。
工程a.4)に従って、ネラールが触媒不斉水素化によって、好ましくは、(R,R)−キラホスをキラル配位子として使用して、特に好ましくは一酸化炭素の存在下で、工程d)による上記の方法によってD−(+)−シトロネラールすなわち(R)−シトロネラールに変換される。酸、好ましくはルイス酸アルミニウム含有触媒、例えば、EP−A−1225163に記載の当該触媒、または工程b.4)による好適なジアリールフェノキシアルミニウム化合物の存在下での工程b)に記載の環化方法を通じて、D−(+)−シトロネラールからL−(−)−イソプレゴールを得る。これを、上記のように、工程c.4)による結晶化、好ましくは溶融結晶化によって精製し、次いで工程d.4)に従って、上記の触媒水素化によってL−(−)−メントールに変換することができる。
本発明の文脈の範囲内において極めて好適である1つの実施形態は、L−(−)−メントールおよびラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを製造するための方法であって、
a.5)ネラールを不斉触媒水素化して、鏡像異性体過剰が70から99%のD−(+)−シトロネラールを得る工程と、
b.5)工程a.5)により得られたD−(+)−シトロネラールを酸性触媒の存在下で環化し、L−(−)−イソプレゴールを得る工程と、
c.5)工程b.5)により得られたL−(−)−イソプレゴールを結晶化によって精製し、鏡像異性体が豊富なL−(−)−イソプレゴールおよび(または)ラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを得る工程と、
d.5)工程c.5)により得られた鏡像異性体が豊富なL−(−)−イソプレゴールを触媒水素化してL−(−)−メントールを得、工程c.5)により得られたラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールを触媒水素化して、ラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを得る工程と
を含む方法に関する。
本実施形態による方法は、方法生成物として高化学純度で互いに並行して得られる鏡像異性体が豊富な光学活性L−メントールおよびラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールの製造を可能にする。次に、使用される出発材料はネラール、好ましくは任意のさらなる工程0)によって得られるネラールである。よって、さらなる好適な実施形態の文脈の範囲内において、L−(−)−メントールおよびラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを製造するための方法は、好ましくは、80から200個の理論分離段を有する上記分割壁塔を5から200ミリの絶対動作圧力で使用して、ネラールおよびゲラニアール含有混合物からネラールを蒸留分離することによる純粋な、または高濃度の形のネラールの製造に関して以上に記載されている工程0)をも含む。
本実施形態の工程a.5)に従って、鏡像異性体過剰が70から99%、好ましくは80から99%ee、特に好ましくは85から99%eeのD−(+)−シトロネラールへのネラールの上記の不斉触媒水素化を実施する。次いで、このようにして得られたD−(+)−シトロネラールを上記酸性触媒の存在下で、好ましくはルイス酸アルミニウム含有触媒の存在下で工程b.5)に従って環化し、L−(−)−イソプレゴールを得る。
次いで、工程c.5)のL−(−)−イソプレゴールの精製については、既に記載されている結晶化、好ましくは溶融結晶化を実施して、互いに並行して、鏡像異性体が豊富なL−(−)−イソプレゴールおよびラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴール、すなわち鏡像異性体過剰が15%まで、好ましくは10%eeまで、特に好ましくは7%eeまで、極めて好ましくは5%eeまでのイソプレゴールを得る。
最後に、本発明による方法のこの特に好適な実施形態の工程d.5)に従って、上記のように、ラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールを得るための、工程c.5)により得られた鏡像異性体が豊富なL−(−)−イソプレゴールの触媒水素化、および同様に工程c.5)により得られたラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールの触媒水素化を実施する。
このようにして得られるラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールは、上記の使用されるラセミイソプレゴールまたは鏡像異性体が乏しいイソプレゴールの鏡像異性体過剰に対応して、同様に、15%まで、好ましくは10%eeまで、特に好ましくは7%eeまで、極めて好ましくは5%eeまでの鏡像異性体過剰を有する。
次いで、望まれる場合は、得られた方法生成物の純度をさらに向上させるために、本発明による方法のこの好適な実施形態の過程において得られたラセミまたは光学活性メントール、特にL−メントールをさらに精製することができる。よって、上記実施形態は、それぞれの場合において、さらなる工程として、ラセミまたは光学活性メントールおよびメントールのジアステレオ異性体を含む物質混合物からの光学活性またはラセミメントールの蒸留分離によって純粋な、または高濃度の形の光学活性メントールまたはラセミメントールを製造するための連続的方法であって、該分離を、50から300個の理論分離段および1つまたは複数の側方取出点を有する分割壁塔にて5から500ミリバールの絶対動作圧力で実施する連続的方法に関する任意の工程e)を含むこともできる。
本発明による方法は、1つの好適な実施形態において、化学的純度が少なくとも99質量%、好ましくは99.5から99.99質量%、特に好ましくは99.5から99.9質量%であり、鏡像異性体過剰が少なくとも99%、好ましくは99.5から99.9%eeであるL−(−)−メントールを製造する。
本発明による方法によって得られるラセミまたは光学活性メントール、好ましくはL−メントールを、さらに、当業者に既知のあらゆる形、一般に、部分的または完全に固化された溶融物の形または圧縮された形、例えば、フレーク、押型品、ペレットおよび小滴等の形で利用または販売することができる。メントールを圧縮するための方法は、当業者に既知である。例えば、フレーキングローラによる簡単なフレーキングが例えばUS3,023,253に記載されている。
WO2003/101924には、アルファ−メントールの含有量が少なくとも70質量%のメントール押型品およびその製造方法が開示されている。
球状メントール粒子を製造するための造粒法が、例えばWO2007/071512から既知である。ここでは、溶融メントールが0から12℃の温度で水にそのまま導入される。
上記のラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールの場合は、溶融物は、28から30℃の範囲の低融点であるため、最も一般的に処理される形として特に有用であることが証明された。
対照的に、光学活性メントール、好ましくは純粋な形の上記L−メントールは、好ましくはさらに、より良好な処理特性により、圧縮された形で使用または販売される。
本発明による方法は、光学活性およびラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールへの特にコスト効率の高い道を切り開き、該方法で得られた製造物は、少ない総段階数、高収率、および多くの薬局方の品質要件に対応する高品質で入手可能である。ここで、出発材料は、ゲラニアールもしくはネラール、または好ましくはゲラニアールとネラールの混合物である。本発明による特に好適な出発材料は、工業規模で容易に利用可能であり、それ自体は、実質的にあらゆる規模で、天然源と無関係に塩基性化学物質のイソブテンまたはイソプレノールおよびフェノールから製造することができる。
本発明による方法の強調すべき特定の利点は、光学活性の、好ましくは実質的に鏡像異性体およびジアステレオ異性体として純粋なL−メントールおよびラセミメントールまたは鏡像異性体が乏しいメントールへの道を切り開くことである。ここで、望まれる場合は、本発明により得られた光学活性もしくはラセミ生成物または鏡像異性体が乏しい生成物の定量比を、使用されるネラールおよびゲラニアール含有物質混合物の組成を介して制御することができる。したがって、不斉水素化におけるネラールの含有量が比較的大きいと、形成される光学活性シトロネラールの鏡像異性体過剰が比較的大きくなるのに対して、光学活性イソプレゴールがラセミイソプレゴールから分離される、後の溶融結晶化中の光学活性イソプレゴールの収率が増加する。
以下の実施例は、本発明を一切限定することなく例示する役割を果たす。
ネラールおよびゲラニアール含有混合物の蒸留分離
実施例1:
以下の実施例に使用する分割壁塔を、それぞれ長さが1.2mで内径が64mmの5つのガラス部から構成した。金属シートで構成された分割壁を3つの中間部に挿入した。分割壁領域の上下に実験用充填物(Sulzer CY)を設置し、分割壁領域に、直径が5mmのステンレス鋼製の金属構造環を設置した。60ミリバールの頂部圧力でキシレン異性体混合物を用いて実施した分離性能測定において、塔全体の100個の理論分離段および分割壁における約55個の理論分離段の総合的な分離性能を測定した。したがって、存在する理論分離段の総数は約155であった。油加熱式薄膜蒸発器(0.1m2)および冷却水で冷却されるコンデンサを塔に装着した。
塔の異なるレベルにおける温度ならびに塔全体の頂部圧力および圧力降下を、測定記録システムを用いて測定した。塔は、入口および出口の流量計ならびに戻り流量計を有しており、その測定値は、油温度調節器の入口温度に対する制御パラメータとしての役割を果たした。この制御システムは、一定の復帰率を確保し、それは、一定の圧力差を確定するものでもあった。分割壁の供給部と除去部との間の分割壁上方の液体の量を旋回漏斗によって周期的に分割した。
分割壁の供給部から136cmの高さにおいて、110℃に予備加熱された48.7GC面積%のネラールと、47.8GC面積%のゲラニアールと、1.4GC面積%の他のシトラール異性体との461g/時の液体混合物を塔に供給した。塔を10ミリバールの頂部圧力および2.5kg/時の復帰率で動作させた。ここで、約34ミリバール(±1ミリバール)の圧力降下を確定した。塔の頂部では82.3℃の温度が測定され、底部では128.4℃(±0.5K)の温度が測定された。バランス制御システムによって、底部分岐を240g/時に固定し、蒸留分岐を20g/時(±1g/時)に固定した。したがって、還流比は約125:1であった。液体を分割壁の上方で1:1.1(供給部:除去部)に分割した。分割壁の除去部における490cmの高さにおいて、気体の側方分岐(f)を除去し、ガラスコンデンサにて凝縮させ、そこから底部充填レベルに応じて、約200g/時の純粋な生成物をポンプによって除去した。
得られた留分を、標準的なGCを利用するガスクロマトグラフィーによって分析した。ガスクロマトグラフィーによる分析を以下の方法に従って実施した。
25m OV−1、ID.:0.32mm、FD.:0.31μm;50℃/2分−10℃/分から150℃、5分−20℃/分から280℃/15分;tR(シトラール異性体III):10.4分;tR(シトラール異性体IV):10.7分;tR(シトラール異性体V):11.0分;tR(ネラールI);12.3分;tR(ゲラニアールII):12.6分
側方分岐において得られた純粋な生成物は、98.5GC面積%のネラールの他に、0.3GC面積%のゲラニアールおよび0.65GC面積%の他のシトラール異性体をも含んでいた。底部分岐では、92.5GC面積%のゲラニアールおよび6.8GC面積%のネラールをGC分析によって測定し、留出物は、32.1GC面積%のネラールおよび39.6GC面積%の他のシトラール異性体を含んでいた。
実施例2:
実施例1に記載されている塔に、約590cmの高さにおいて上部共通塔部(1)のさらなる気体側方分岐(n)を補給し、次に側方コンデンサを設けた。バランス制御システムによって、15g/時(±1g/時)の除去量をそこに固定した。
分割壁の供給部から136cmの高さにおいて、110℃に予備加熱された50.2GC面積%のネラールと、47.2GC面積%のゲラニアールと、0.9GC面積%の他のシトラール異性体との460g/時の液体混合物を塔に供給した。塔を10ミリバールの頂部圧力および2.5kg/時の復帰率で動作させた。約37ミリバール(±1ミリバール)の圧力降下を確定した。塔の頂部では68.8℃の温度が測定され、底部では130.1℃(±0.5K)の温度が測定された。バランス制御システムによって、底部分岐を240g/時に固定し、蒸留分岐を約3g/時(±1g/時)に固定した。したがって、還流比は約600から1200:1であった。液体を分割壁の上方で1:1.1(供給部:除去部)に分割した。分割壁の除去部における490cmの高さにおいて、次に気体の側方分岐(f)を除去し、ガラスコンデンサにて凝縮させ、そこから底部充填レベルに応じて、約200g/時の純粋な生成物をポンプによって除去した。
側方分岐(f)において得られた純粋な生成物は、98.5GC面積%のネラールの他に、0.3GC面積%のゲラニアールおよび0.5GC面積%の他のシトラール異性体をも含んでいた。上部側方分岐は、55.5GC面積%のネラールの他に、29.5GC面積%の他のシトラール異性体を含んでいた。底部分岐では、90.3GC面積%のゲラニアールおよび8.9GC面積%のネラールをGC分析によって測定し、留出物は、48.5GC面積%の他のシトラール異性体を含んでいた。
実施例3:
Sulzer CY充填物を備え、分割壁も側方分岐も有さない(板の理論数が約90の)内径50mmの単純なガラス製実験用塔にて、50.2GC面積%のネラールと、47GC面積%のゲラニアールと、1.3GC面積%の他のシトラール異性体との混合物を5ミリバールの頂部圧力で連続的に蒸留した。供給量は500g/時であり、底部で250g/時を排出した。塔全体に対する圧力降下は、11:1の還流比で約28ミリバールであり、底部温度は121℃であり、頂部温度は81℃であった。
頂部コンデンサにおいて、約20℃にて、ネラール含有量が88.1GC面積%であり、ゲラニアール含有量が2.7GC面積%である約250g/時の液体留出物を得た。留出物における他のシトラール異性体の含有量は合計7.0GC面積%であったが、それは、蒸留条件下でのこれらの異性体の顕著な形成を示唆している。
工程a)の実施例:ネラールおよび/またはゲラニアールのシトロネラールへの触媒水素化
実施例4:一酸化炭素の存在下でのシス−シトラールの不斉水素化
17.9mgのRh(CO)2acacおよび38.5mgの(R,R)−キラホスを保護気体雰囲気下で20gのトルエンに溶解させ、一酸化炭素と水素(1:1、vol/vol)の混合物で予め3回洗浄された100mlのオートクレーブに移した。該混合物を8バールの1:1のCO/H2の圧力および60℃で3時間にわたって撹拌し、次いで室温まで冷却した。次いで、圧力ロックを用いて、10.94gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=99.1:0.9;基質/触媒比=1000)に15バールのH2を注入した。水素を注入することによって反応圧力を80バールに調整した。CO分圧を下げるために、圧力を3回にわたって下げ、さらに3時間後、再び8バールまで下げ、水素を注入することによって80バールに回復させた。18時間後、99.9%の変換率および光学純度が90%eeの99.8%のD−シトロネラールの収率をガスクロマトグラフィーによって確認した。
実施例5:一酸化炭素の存在下でのネラールの不斉水素化
17.0mgのRh(CO)2acacおよび43.8mgの(R,R)−キラホスを0.8mlのTHFに溶解させ、80バールの合成ガス(H2/CO=1:1、vol/vol)および60℃にて8時間にわたってオートクレーブ内で撹拌した。次いで、39.00gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=95.2:4.8;基質/触媒比=4000)を溶解させ、触媒溶液とともに、1:1のCO/H2(vol/vol)で予め3回洗浄された100mlのオートクレーブに入れた。1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスを注入することによって反応圧力を80バールに調整した。144時間後、84.3%の変換率および光学純度が64%eeのD−シトロネラールの80.9%の収率をガスクロマトグラフィーによって確認した。
実施例6:触媒の再使用によるネラールの不斉水素化
23.7mgのRh(CO)2acacおよび55.7mgの(R,R)−キラホスを保護気体雰囲気下で24gのTHFに溶解させ、1:1のCO/H2(vol/vol)で予め3回洗浄された100mlのオートクレーブに入れた。該混合物を80バールの1:1CO/H2の圧力および60℃で3時間撹拌した。次いで、該混合物を室温まで冷却し、8バールの1:1CO/H2圧力に減圧した。圧力ロックを用いて、13.2gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=99.4:0.6)に15バールのH2を注入した。水素を注入することによって反応圧力を80バールに調整した。CO分圧を下げるために、圧力を5回にわたって8バールまで下げ、水素を注入することによって80バールに回復させた。ヘッドスペースにおけるガスクロマトグラフィーによって確認されたCOの含有量は510ppmであった。それぞれの場合において20時間および40時間後、それぞれさらに13.20gおよび19.80gのネラールを添加した。66時間後、75.8%の変換率および光学純度が87%eeのD−シトロネラールの72.8%の収率をガスクロマトグラフィーによって確認した。
D−シトロネラールの収率に基づく全転換数は1030であった。
実施例7:生成物の蒸留分離および触媒の再使用によるシス−シトラールの不斉水素化
8.4mgのRh(CO)2acacおよび21.6mgの(R,R)−キラホスを0.8mlのTHFに溶解させ、80バールの合成ガス(H2/CO=1:1、vol/vol)圧力および60℃にて8時間にわたってオートクレーブ内で撹拌した。その後、9gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=95.2:4.8)をオートクレーブに導入した。1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスを注入することによって反応圧力を80バールに調整した。24時間後、99%の変換率を達成し、得られたD−シトロネラールのeeは83%であった。
生成物を蒸留分離した後、さらに8.5gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=95.2:4.8)を添加し、1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスの80バールの圧力で48時間にわたって水素化を実施した。変換率は36%であり、得られたD−シトロネラールのeeは54%であった。
生成物を再び蒸留分離した後、さらに6.8gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=95.2:4.8)を添加し、1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスの80バールの圧力で72時間にわたって水素化を実施した。変換率は13%であり、得られたD−シトロネラールのeeは30%であった。
D−シトロネラールの収率に基づく全転換数は2312であった。
実施例8:前形成、生成物の除去および触媒の再使用によるネラールの不斉水素化
30mgのRh(CO)2acacおよび75mgの(R,R)−キラホスを3mlのTHFに溶解させ、80バールの合成ガス(H2/CO=1:1、vol/vol)の存在下で60℃にて20時間にわたってオートクレーブ内で撹拌した。続いて、37gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=96.6:3.4)を添加し、該溶液を、1:1のCO/H2(vol/vol)で予め3回洗浄された100mlのオートクレーブに導入した。1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスを注入することによって反応圧力を80バールに調整した。24時間後、99%超の変換率を達成した。得られたD−シトロネラールのeeは87%であった。
生成物を蒸留分離した後、蒸留残渣をTHFで希釈し、80バールの圧力の合成ガス(H2/CO=1:1)の存在下で60℃にて20時間にわたってオートクレーブ内で撹拌した。その後、さらに32gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=96.6:3.4)を添加し、1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスの80バールの圧力で24時間にわたって水素化を実施した。変換率は99%超、得られたD−シトロネラールのeeは87%であった。
生成物を再び蒸留分離し、蒸留残渣をTHFで希釈し、80バールの合成ガス(H2/CO=1:1)の存在下で60℃にて20時間にわたってオートクレーブ内で撹拌した。その後、さらに32.96gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=96.6:3.4)を添加し、1000ppmの一酸化炭素を含む水素ガスの80バールの圧力で24時間にわたって水素化を実施した。変換率は99%であり、得られたD−シトロネラールの光学純度は88%eeであった。
33gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=96.6:3.4)を添加して実験を再度繰り返した。17%の変換率で、光学純度が89%eeのD−シトロネラールを得た。
D−シトロネラールの全体収率に基づく全転換数は、4975であった。
実施例9:連続的に実施されるネラールの不斉水素化
連続的に動作する実験装置に、60℃および80バールの1:1のCO/H2(vol/vol)の圧力で20時間にわたって予め撹拌された70gのTHFおよび60gのOxo油9N(BASF Aktiengesellschaft)中2.13gのRh(CO)2acacおよび6.00gの(R,R)−キラホスの溶液、ならびに170gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=約95:5)を導入し、次いで装置の前形成反応器における気体混合物を水素中10000ppmの一酸化炭素(80バール)に調整し、温度を60℃に調整した。水素化反応器において、水素中1000ppmの一酸化炭素の気体混合物(80バール)および25℃の温度を確定した。
新鮮な出発材料の供給を6g/時に調整した。生成物含有留分を、装置内容物が実質的に一定に維持されるように真空中で連続的に蒸留分離した。19日間にわたって、6.01モル(927.7g)のD−シトロネラールを得た。D−シトロネラールの収率に基づく全転換数は、10914であった。
実施例10:ネラールの不斉水素化
12.3mgのRh4(CO)12および31.5mgの(S,S)−キラホスを保護気体雰囲気下で15gのトルエンに溶解させ、H2で予め3回洗浄された100mlのオートクレーブに移した。該混合物を1.5バールのH2の圧力で1.5時間撹拌し、標準圧力まで減圧し、15gのトルエンに溶解させた1gのネラール(ネラール/ゲラニアール二重結合異性体の比=98.7:1.3;基質/触媒比=100)をシリンジによって添加した。水素を注入することによって反応圧力を90バールに調整した。ガスクロマトグラフィー反応モニタリングによって15分後の完全変換を確認し、ガスクロマトグラフィーによって、光学純度が86%eeの98%のL−シトロネラールの収率を確認した。
工程b)の実施例:酸性触媒の存在下でのシトロネラールのイソプレゴールへの環化
実施例11:1,1−ビス(2,6−ジフェニルフェノール)−1−トリフルオロメチルエタン(la2−3)の回収を伴うシトロネラールのイソプレゴールへの環化
ガスクロマトグラフィー分析(GC)を以下の方法に従って実施した。50mのCP−WAX、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm;80℃、3℃/分−200℃、15℃/分−250℃;tR(フェニルシクロヘキサン):30.7;tR(イソプレゴール):26.3;tR(シトロネラール):21.8。
以下のHPLC法を使用した。CC250/4 Nucleodur C18 Gravity、5μm;C:水−0.05% H3PO4;D:アセトニトリル20:80;出口:93バール、25℃;tR(イソプレゴール):3.3;tR(フェニルシクロヘキサン):10.5;tR(配位子(la2−3)):14.0。
蒸留底部および母液における得られた反応生成物の濃度(それぞれの場合において質量%)を、内部標準を使用してGCによって分析測定した。
11.a)シトロネラールの環化
無水トルエン(7.2kg)中1,1−ビス(2,6−ジフェニルフェノール)−1−トリフルオロメチルエタン(la2−3)(461g、0.785mol)を、攪拌機を備えた二重ガラス反応器に初期充填物として導入した。室温にて、トルエン(445ml、400mmol、トルエン中12%AlEt3)トリエチルアルミニウムの溶液を配位子の透明溶液に添加した。該溶液を25℃で1時間撹拌した。得られた触媒懸濁液を0℃まで冷却し、3時間にわたってシトロネラール(6697g、43mol)とピルビン酸メチル(33.6g、329mmol)の混合物と混合した。添加が完了すると、反応混合物を0℃で3時間、そして10℃でさらに2時間にわたって後撹拌した。減圧下でトルエンを分離した。次いで、フェニルシクロヘキサン(2770g)を添加して、イソプレゴール粗製物を蒸留によって頂部生成物として分離した。ここで、3584gの底部生成物を得た。
11.b)配位子(la2−3)の単離
フェニルシクロヘキサン(69.9質量%)、イソプレゴール(3.05質量%)、シトロネラール(0.16質量%)およびシトロネロール(3.05質量%)を含むビス(ジアリールフェノキシ)アルミニウム触媒の存在下でのシトロネラールの環化による3564gの底部生成物を、攪拌機および還流コンデンサを備えた二重反応器に初期充填物として90℃の温度で導入した。該加熱溶液に、1792gの加熱された2%濃度のNaOH溶液を添加した。90℃で1時間撹拌した後、1777gの水相を有機相から分離した。有機相からの残留水を120℃および10ミリバールで蒸留分離した。加水分解した底部生成物を12時間にわたって25℃まで冷却した。得られた式(la2−3)の配位子の懸濁液を濾過し、このようにして得られた式(la2−3)の配位子から3ミリバールおよび95℃で揮発性成分を除去した。式(la2−3)の配位子を、収量282g、純度95%の白色固体として単離した。HPLC分析によれば、母液(3130g)は、フェニルシクロヘキサン(72.3質量%)、イソプレゴール(6.8質量%)および式(la2−3)の配位子(4.9質量%)を含んでいた。これは、本発明に従って使用される配位子が連続処理に有利な方法で好適であることを証明している。対照的に、EP−A1225163に記載されている配位子を使用すると、これらは安定したエマルジョンを形成する傾向がより強いため、相の分離が保証されるとは限らない。
実施例12:1,1−ビス(2,6−ジフェニルフェノール)−1−トリフルオロメチルエタン(la2−3)の連続的回収を伴うシトロネラールのイソプレゴールへの環化
分析
ガスクロマトグラフィー分析を以下の方法に従って実施した。
50mのCP−WAX、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm;80℃、3℃/分−200℃、15℃/分−250℃;tR(シトロネラール):20.7;tR(イソプレゴール):24.7;tR(フェニルシクロヘキサン):29.3;tR(シトロネロール):31.7;tR(シトロネリルシトロネレート):48.2;tR(イソプレギルシトロネレート):49.5。
12.a)連続処理によるシトロネラールの環化
攪拌機を備えた二重ガラス反応器にて、トルエン中トリエチルアルミニウムの溶液(15%濃度、85ml、0.096mol)を、20℃で約10分間にわたって、トルエン(無水、1800g)中1,1−ビス(2,6−ジフェニルフェノール)−1−トリフルオロメチルエタン(la2−3)(114g、0.195mol)の透明溶液に添加した。次いで、該溶液を20℃で1時間撹拌した。得られた触媒懸濁液を、攪拌機を備えたさらなる二重ガラス反応器に移し、0℃まで冷却し、D−シクロネラール(1620g、10.3mol)とピルビン酸メチル(8.1g)の混合物と3時間混合した。添加が完了すると、D−シトロネラールの含有量が10GC面積%未満になるまで反応溶液を0℃で撹拌し、10℃まで加温し、この温度でさらに2時間撹拌した。続いて、反応溶液を最初に緩衝容器に移した。
反応溶液を300g/時の供給速度で連続的にプレート塔(15プレート、DN50)に送った。トルエンを精留部の10個目のプレートの側方分岐において約100ミリバールの頂部圧力で塔から除去し、底部温度を約120℃とし、塔の側方分岐および頂部の温度を45℃とした。この塔の頂部において、低沸点物を反応溶液から除去した。
プレート塔からの底部生成物の排出物を充填塔(DN50×120cm、実験用構造充填物、Sulzer DX)の中心に連続的に供給した(120から140g/時)。フェニルシクロヘキサン(70から90g/時)を連続的にこの充填塔の底部に連続的に添加しながら、L−イソプレゴールを110℃の底部温度および10ミリバールの頂部圧力で頂部生成物として蒸留分離した。L−イソプレゴールを1625gの収率および93%の純度で単離した。
12.b)連続的手法による配位子(la2−3)の単離
充填塔の蒸留底部の排出物を、95℃に加熱され、2つの縦列した250mlの撹拌容器および150mlの相分離器からなる混合−沈降装置に連続的に(100から120g/時で)供給した。第1の250mlの撹拌容器にて、充填塔の蒸留底部の排出物を2%濃度の水酸化ナトリウム溶液と連続的に混合した(50から60g/時)。第1の撹拌容器からの混合相の排出物(150から180g/時)を、他方の250mlの撹拌容器を介して150mlの相分離器に移した。相分離器において、相の連続分離を90から95℃の温度で行った。ここで、相分離層の高さを、伝導率測定値を利用して制御した。
層分離器からの有機相の排出物を、40から50℃に加熱されたさらなる撹拌容器に連続的に回収し(100から120g/時)、配位子(la2−3)の単離の前に結晶化させた。相分離器からの水相の排出物を連続的にポンプで除去した。
結晶化した配位子(la2−3)を、4バールの窒素圧にて圧力濾過でバッチ式に濾過した。次いで、濾過ケーキをフェニルシクロヘキサンで洗浄した。洗浄した配位子(106g;HPLC質量%:配位子77%;フェニルシクロヘキサン22%)をトルエンに溶解させ、工程2a)において触媒を製造するためにさらに使用した。濾液(919g;GCによる質量%:フェニルシクロヘキサン66%;L−イソプレゴール5%;シトロネロール6.1%;イソプレギルシトロネレート4.3%;シトロネリルシトロネレート3.6%;HPLCによる質量%:配位子3.1%)を11.a)に記載されている充填塔に戻した。
実施例13:分割壁塔でのイソプレゴールの連続的精製
実験用分割壁塔を、内径が43mmの3つのガラス部から構成した。全長が105cmの中間塔部に、固定的に融着された厚さ約1mmのガラス分割壁を設けた。分割壁の領域において、塔の供給側に1mのSulzer DX充填物を備え、除去側に0.9mのDX充填物を備えた。分割壁の上下に、それぞれ33cmのSulzer DX充填物を備えた長さ50mmのガラス部を使用した。
60ミリバールの頂部圧力でキシレン異性体混合物を用いて実施した分離性能測定において、塔全体の約32個の理論分離段および分割壁領域の約18個の理論分離段の総体的な分離性能を測定した。したがって、存在する理論分離段の総数は約50であった。油加熱式薄膜蒸発器(0.1m2)および10℃の冷却水で冷却されるコンデンサを塔に装着した。入口および出口は、それぞれの場合において分割壁部の中間に位置していた。
塔の様々な高さにおける温度ならびに塔全体の頂部圧力および圧力降下を、測定記録システムを用いて測定した。塔は、入口および出口の流量計、ならびに復帰率の制御機構を有する流量計を備えていた。この制御システムは、一定の復帰率を確保し、それは、一定の圧力差を確定するものでもあった。分割壁の供給部と除去部との間の分割壁上方の液体量を旋回漏斗によって周期的に分割した。
分割壁の供給部に対して塔の中間において、実施例12に記載されているシトロネラールの環化によって得られた、80℃に予備加熱された250g/時のイソプレゴール混合物を分割壁塔に供給した。イソプレゴール混合物は、93質量%のイソプレゴールの他に、3.6質量%のフェニルシクロヘキサン、0.3質量%のシトロネラール、0.1質量%のシトロネロールおよび1.3GC面積%のトルエンを含んでいた。
得られた留分を、標準GCを使用してガスクロマトグラフィーによって分析した。質量%測定に使用した内部標準は、1−ノナノール(質量はサンプルの全量の約10%)であった。
ガスクロマトグラフィー分析を以下の方法によって実施した。
50mのCP−Wax 52CB、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm;インジェクタ:200℃;検出器:250℃;80℃、3℃/分−200℃、15℃/分−250℃;tR(シトロネラール):20.7;tR(イソプレゴール):24.7;tR(フェニルシクロヘキサン):29.3;tR(シトロネロール):31.7。
塔を100ミリバールの頂部圧力および1000g/時の復帰率で動作させた。ここで、約1ミリバールの圧力降下を確定した。塔の頂部では109℃の温度が測定され、底部では139℃の温度が測定された(±0.5K)。塔を16g/時(±2g/時)の底部分岐で動作させ、留出物の除去をバランス制御システムによって4g/時(±1g/時)に調整した。したがって、還流比は約200:1であった。塔のコンデンサは、10℃の温度であった。
液体を分割壁の上方で1:2.4(供給部:除去部)の比率で分割した。分割壁の除去部の中間において、約230g/時(±5g/時)の液体側方分岐(f)を、膜ポンプを利用して除去した。
側方分岐において得られた純粋な生成物は、98.6質量%のイソプレゴールの他に、0.3質量%のフェニルシクロヘキサンをも含んでいた。したがって、イソプレゴールの蒸留収率は97.5%であった。留出物は、50GC面積%のトルエンの他に、47GC質量%のイソプレゴールおよび1.0GC質量%のシトロネラールを含んでいた。底部では、55質量%のフェニルシクロヘキサンの他に、39.6質量%のイソプレゴールおよび1%のシトロネロールを分析した。
工程c)の実施例:結晶化によるイソプレゴールの精製
実施例14:イソプレゴール溶融物の静的層結晶化
最初に、結晶化装置としての二重ガラス管に、13℃の融点を有する95%の(−)−n−イソプレゴールおよび5%の(+)−n−イソプレゴール(90%ee)の組成のイソプレゴール205gを15℃の温度で充填した。結晶化装置を30時間にわたって9℃まで冷却した。最初は液体であった生成物は、実験の終了時にはほとんどが固化した形で存在していた。続いて、ジャケットの温度を10時間にわたって13℃から25℃に上昇させた。ここで、70gの母液および50gの結露留分の他に、85gの溶融結晶層を得た。この最終生成物は、(−)−n−イソプレゴールに基づいて99.9%eeの光学純度を有していた。
実施例15:イソプレゴール溶融物の動的層結晶化
最初に、(G.F.Arkenbout,Melt Crystallization Technology,Lancater/PA,Technomic Publ.Co.,1995(ch.10.4.1)に記載されている)ジャケットによって冷却された平面底部を有する撹拌装置に、10℃の融点を有する94.7%の(−)−n−イソプレゴールおよび5.3%の(+)−n−イソプレゴール(89.4%ee)の組成のイソプレゴール1003gを15℃の温度で充填した。結晶化装置底部の冷却ジャケットを2時間にわたって−14℃まで冷却した。この時間を通じて、質量124g、厚さ12mmの結晶層が形成された。次いで、装置を180℃回転させ、ジャケット温度を10時間にわたって8℃から13℃に上昇させた。これにより、52gの結露留分および124gの溶融結晶層を得た。最終生成物は、(−)−n−イソプレゴールに基づいて99%eeの光学純度を有していた。
実施例16:イソプレゴール溶融物の懸濁結晶化
最初に、(Arkenbout,ch.10.4.2に記載されている)1lの撹拌結晶化装置に、(−)−n−イソプレゴールに基づいて95.2%(90.4%ee)の光学純度を有するイソプレゴール異性体混合物860gを溶融物として充填した。該混合物の融解温度は、約10℃であった。使用した攪拌機は、近接クリアランス螺旋攪拌機であった。短時間で3℃まで冷却し、続いて9℃に加熱することによって溶融物の原位置シーディングを達成した。次いで、装置を1.5時間にわたって撹拌しながら7℃まで冷却した。これにより、懸濁液の固体含有量が約35質量%になった。サンプルをこの懸濁液から採取し、粘着する母液を遠心によって除去した。1分間にわたる遠心後、結晶は、(−)−n−イソプレゴールに基づいて99%eeの純度を有し、5分間にわたる遠心後に99.4%の純度を有した。
比較例1:メントールの溶液結晶化
1lの撹拌結晶化装置において、560gのメントール異性体混合物((−)−メントール:90%に関して80%eeの純度)を240gのアセトンに溶解させた。該混合物の飽和温度は、5.8℃であった。5.7℃まで冷却した後、その超飽和溶液に純粋な(−)−メントールの14gの種結晶をシードし、0.5から1K/時の速度でさらに冷却した。―6.9℃の温度および懸濁液中22.4質量%の固体含有量を達成すると、サンプルを採取し、粘着する母液を遠心によって除去した。結晶は、98.2%(96.4%ee)の純度を有していた。
比較例2:メントールの溶融結晶
最初に、結晶化装置としての二重ガラス管に、95%の(−)−メントールおよび5%の(+)−メントール(90%ee)の組成のメントール324gを充填した。該混合物の融点は38℃であった。結晶化装置を15時間にわたって38.4℃から37.4℃まで冷却した。最初は液体であった生成物は、実験の終了時にはほぼ完全に固化した形で存在していた。次いで、ジャケット温度を5時間にわたって38℃から39℃に上昇させた。これにより、2つの結露留分(51gおよび198g)および75gの溶融結晶層を得た。出発溶液、両結露留分および結晶層は、実質的に、90%付近の同じee値を有することが分析によって明らかになった。
工程d)の実施例:イソプレゴールのメントールへの触媒水素化
ガスクロマトグラフィー分析を以下の方法によって実施した。
50mのCP−WAX、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm;80℃、3℃/分−200℃、10℃/分−230℃;tR(メントン):26.9;tR(メントン):28.1;tR(イソプレゴール):30.7;tR(ネオメントール):31.2;tR(ネオイソメントール):32.6;tR(メントール):32.7;tR(イソメントール):34.1。
使用したイソプレゴールをガスクロマトグラフィーによって以下のように分析した。50mのCP−WAX、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm;80℃、3℃/分−200℃、15℃/分−250℃;tR(シトロネラール):21.6;tR(イソプレゴール異性体):25.4;tR(イソプレゴール):25.9;tR(シトロネロール):32.7。
実施例17:
主反応器(MR)および後部反応器(PR)からなる水素化装置を使用した。主反応器は、それぞれの場合において直径および高さが3mmの錠剤の形の50質量%のNiO、17質量%のCuO、30.5質量%のZrO2、1.5質量%のMoO3および1質量%のグラファイトを含む61g(127ml)の固定層触媒が充填された、5mmの内径および1.3mの長さを有する縦列接続された5つの管を有していた。後部反応器(二重形)は、19gの同じ触媒が充填された、5mmの内径および2.05mの長さを有する管からなっていた。
50質量%のNiO、17質量%のCuO、30.5質量%のZrO2、1.5質量%のMoO3および1質量%のグラファイトを含む、主反応器および後部反応器に設置された固定層触媒を以下の方法によって活性化させた。反応器を42Nl/時の窒素および1.2Nl/hの水素による雰囲気圧力下で180℃に加熱し、これらの条件下で19時間にわたって維持した。水素を1.2から6.5Nl/時に増加させ、180℃の温度でさらに7.5時間維持した。窒素供給を止め、6.5Nl/時の水素で180℃にて12時間にわたって活性化を継続した。次いで、水素供給を止め、窒素供給量を6Nl/時に調整した。反応器を60℃の温度まで冷却した。水素供給量を1.6Nl/時まで減少させ、イソプレゴール供給を開始した。
遠心ポンプを用いて、99.9質量%および99.8%eeの純度の24.5g/時(全量588g)のL−イソプレゴールの供給物を約500g/時の速度で主反応器にポンプ循環させた。水素圧を40バールで一定に維持した。主反応器を85℃の温度で動作させ、後部反応器を75℃で動作させた。すべてのパイプラインに電気トレース加熱を施して、鏡像異性体として純粋なL−メントール(融点44℃)の結晶化を防止した。これにより、24.9g/時の速度に対応するL−メントール597gを得た。このようにして得られたL−メントール(99.8%ee)をガスクロマトグラフィーによって分析した。L−メントール排出物の化学的純度を第1表に示す。
第1表:L−メントール排出物のGC分析(GC面積%)
実施例18:
40バールの水素圧にて12.6g/時(全量303g)の速度で反応器に導入された、純度が99.9質量%および99.8%eeのL−イソプレゴールを使用して実施例17を繰り返した。主反応器を80℃に加熱し、後部反応器を75℃に加熱した。これにより、12.8g/時の速度に対応するL−メントール306g(99.8%ee)を得た。L−メントール排出物の化学的純度を第2表に示す。
第2表:L−メントール排出物のGC分析(GC面積%)
実施例19:
40バールの水素圧にて24.5g/時(全量466g)の速度で反応器に導入された、純度が97.1%および84%eeのL−イソプレゴールを使用して実施例17を繰り返した。主反応器を80℃に加熱し、後部反応器を70℃に加熱した。使用したL−イソプレゴールは、以下の組成を有していた。L−イソプレゴール:97.1GC質量%、シトロネロール:0.05GC質量%、シトロネラール:0.40GC質量%、イソプレゴール異性体:0.45GC質量%、二次成分:0.34GC質量%。これにより、24.6g/時の速度に対応する468gの量のL−メントール(84%ee)を得た。L−メントール排出物の化学的純度を第3表に示す。
第3表:L−メントール排出物のGC分析(GC面積%)
実施例20:
主反応器(MR)および後部反応器(PR)からなる水素化装置を使用した。主反応器は、長さが4mmの押出物の形の0.47質量%のγ−Al2O3支持体上パラジウムからなる104g(127ml)の固定層触媒が充填された、5mmの内径および1.3mの長さを有する縦列接続された5つの管を有していた。後部反応器(二重形)は、27g(35ml)の同じ触媒が充填された、5mmの内径および1.9mの長さを有する管からなっていた。
遠心ポンプを用いて、30バールの一定の水素圧にて、99.8質量%および99.8%eeの純度の24.5g/時(全量588g)のL−イソプレゴールの供給物を約500g/時の速度で主反応器にポンプ循環させた。主反応器を50℃の温度で動作させ、後部反応器を60℃で動作させた。すべてのパイプラインに電気トレース加熱を施して、鏡像異性体として純粋なL−メントール(融点44℃)の結晶化を防止した。これにより、24.9g/時の速度に対応するL−メントール597g(99.8%ee)を得た。このようにして得られた生成物をガスクロマトグラフィーによって分析した。結果を第4表に示す。
第4表:得られたL−メントールのGC分析(GC面積%)
工程e)の実施例:メントールの高精度蒸留
実施例21:
実験用分割壁塔を、それぞれ長さ1.2m、内径64mmの5つのガラス部から構成した。金属シートで構成された分割壁を3つの中間部に挿入した。分割壁領域の上下に実験用充填物(Sulzer CY)を設置し、分割壁領域に、直径が5mmのステンレス鋼製の金属構造環を設置した。60ミリバールの頂部圧力でキシレン異性体混合物を用いて実施した分離性能測定において、塔全体の100個の理論分離段および分割壁における約55個の理論分離段の総合的な分離性能を測定した。したがって、存在する理論分離段の総数は約155であった。油加熱式薄膜蒸発器(0.1m2)および冷却水で冷却されるコンデンサを塔に装着した。
塔の様々なレベルにおける温度ならびに塔全体の頂部圧力および圧力降下を、測定記録システムを用いて測定した。塔は、入口および出口の流量計ならびに戻り流量計を有しており、その測定値は、油温度調節器の入口温度に対する制御パラメータとしての役割を果たした。この制御システムは、一定の復帰率を確保し、それは、一定の圧力差を確定するものでもあった。分割壁の供給部と除去部との間の分割壁上方の液体の量の分割を旋回漏斗によって周期的に実現した。
分割壁の供給部から331cmの高さの塔の中間において、90℃に予備加熱された植物起源の1000g/時の液体メントールを塔に供給した。それは、99.58GC面積%のメントール、0.22GC面積%のイソプレゴール、0.11GC面積%の他のネオメントールおよび0.03GC面積%のイソメントールおよび0.02GC面積%のネオイソメントールを含んでいた。塔を50ミリバールの頂部圧力および3.0kg/時の復帰率で動作させた。ここで、約34ミリバール(±1ミリバール)の圧力降下を確定した。塔の頂部では121℃の温度が測定され、塔の底部では135℃の温度が測定された(±0.5K)。バランス制御システムによって、底部分岐を2g/時(±1g/時)に固定し、留出物の除去を4g/時(±1g/時)に固定した。したがって、還流比は約750:1であった。固体形成を防止するために、塔のコンデンサを約25℃の温度とした。
液体を分割壁の上方にて1:1(供給部:除去部)の比率で分割した。分割壁の除去部における300cmのレベルにおいて、気体の側方分岐(f)を除去し、ガラスコンデンサに凝縮させ、そこから、底部充填レベルに応じて、約992から995g/時の純粋な生成物をポンプによって除去した。
得られた留分を、標準GCを利用してガスクロマトグラフィーによって分析した。サンプル製造:(固化した)サンプルを約50℃に溶融加熱し、トルエンに溶解させた。トルエン溶液をガスクロマトグラフに注入した。それに応じて、積分時に、トルエンピークを除外した。
ガスクロマトグラフィー分析を以下の方法に従って実施した。
50mのCP−Wax 52 CB、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm; インジェクタ:200℃;検出器:250℃;80℃−3℃/分−200℃、−10℃/分−230℃/15分;
tR(イソプレゴール):30.07分;tR(ネオメントール):31.08分;tR(ネオイソメントール):32.5分;tR(メントール):32.8分;tR(イソメントール):33.8分。
側方分岐において得られた純粋な生成物は、99.94GC面積%のL−メントールとともに、0.02GC面積%のイソメントールおよび微量の他のメントールジアステレオ異性体をも含んでいた。底部分岐において、96.12GC面積%のL−メントールをGC分析によって確認した。留出物は、44.7GC面積%のL−メントール、33.9GC面積%のイソプレゴール、12.9GC面積%のネオメントールおよび2.02GC面積%のネオイソメントールを含んでいた。したがって、側方分岐における蒸留収率は99%超であった。
実施例22:
分割壁の供給部から331cmの高さの塔の中間において、105℃に予備加熱され、ニッケル含有触媒によるL−イソプレゴールの触媒水素化によって得られ、99.39GC面積%のL−メントール、0.29GC面積%のイソプレゴール、0.25GC面積%のネオメントールおよび0.011GC面積%のイソメントールおよび0.044GC面積%のネオイソメントールを含む合成起源の900g/時の液体L−メントールを実施例21による分割壁塔に供給した。塔を50ミリバールの頂部圧力および3.0kg/時の復帰率で動作させた。ここで、約35ミリバール(±1ミリバール)の圧力降下を確定した。塔の頂部では120℃の温度が測定され、底部では135℃(±0.5K)の温度が測定された。塔を、底部分岐を用いずに動作させ、留出物の除去をバランス制御システムによって15g/時(±1g/時)に調整した。したがって、還流比は約200:1であった。固体の形成を防止するために、塔のコンデンサを40℃の温度とした。
液体を分割壁の上方にて1:1(供給部:除去部)の比率で分割した。分割壁の除去部の300cmの高さにおいて、気体の側方分岐(f)を除去し、ガラスコンデンサに凝縮させ、そこから、底部充填レベルに応じて、約885から890g/時の純粋な生成物をポンプによって排出させた。
側方分岐において得られた純粋な生成物は、99.93GC面積%のL−メントールの他に、0.027GC面積%のネオメントールおよび微量の他のメントールジアステレオ異性体を含んでいた。室温で液体である留出物は、73.1GC面積%のL−メントール、13.5GC面積%のイソプレゴール、10.9GC面積%のネオメントールおよび1.79GC面積%のネオイソメントールを含んでいた。連続的に動作する塔に24.5時間にわたって22.05kgの供給物を供給し、21.6kgの純粋な生成物を側方分岐から除去した。したがって、側方分岐における蒸留収率は、98.5%超であった。
実施例23:
ポンプ循環システムにボイラーおよび薄膜蒸発器(0.05m2)を備えた、内径50mmの1mのSulzer DX充填物を備えたガラス製実験用塔(板の理論数が約20個)にて、98.0GC面積%のL−メントール、1.69GC面積%のイソプレゴールおよび0.33GC面積%のネオメントールを50ミリバールの頂部圧力にてバッチ式で蒸留した。塔のコンデンサを、40℃の水を用いて動作させた。
塔の頂部の温度は、122から123℃であり、底部温度は、出発時の124℃から蒸留の終了時の125℃までであった。留分の固化を防止するために、留出物容器を約60℃に電気加熱した。15:1の還流比で、3つの留分(31、45および138g)を得、10:1の還流比で116gのさらなる留出物留分を得た。得られた第1の留分は、75.5GC面積%のL−メントール、19.6GC面積%のイソプレゴールおよび3.01GC面積%のネオメントールを含み、室温で液体であった。第2の留分は、90.6GC面積%のメントール、7.03GC面積%のイソプレゴールおよび1.49GC面積%のネオメントールを含み、第3の留分は、対応して、98.09GC面積%のL−メントール、0.98GC面積%のイソプレゴールおよび0.3GC面積%のネオメントールを含んでいた。第4の留分において、最終的に99.52GC面積%のメントール純度を達成した。197gの残渣を、98.5GC面積%のL−メントールとともにボイラーから単離した。
実施例24:
さらなる実験用分割壁塔を、内径43mmの3つのガラス部から構成した。全長が105cmの中間塔部に、固定的に融着された厚さ約1mmのガラス分割壁を設けた。分割壁の領域において、塔の供給側に1mのSulzer DX充填物を備え、除去側に0.9mのDX充填物を備えた。分割壁の上下に、それぞれ33cmのSulzer DX充填物を備えた長さ50mmのガラス部を使用した。
60ミリバールの頂部圧力でキシレン異性体混合物を用いて実施した分離性能測定において、塔全体の約32個の理論分離段および分割壁領域における約18個の理論分離段の総合的な分離性能を測定した。したがって、存在する理論分離段の総数は約50であった。油加熱式薄膜蒸発器(0.1m2)および25℃の冷却水で冷却されるコンデンサを塔に装着した。入口および出口は、それぞれ分割壁の中間に存在し、それぞれ加熱で形成されていた。復帰ラインおよび底部排出ラインにも電気トレース加熱を施した。
塔の様々な高さにおける温度ならびに塔全体の頂部圧力および圧力降下を、測定記録システムを用いて測定した。塔は、入口および出口の流量計、ならびに復帰率の制御機構を有する流量計を有していた。この制御システムは、一定の復帰率を確保し、それは、一定の圧力差を確定するものでもあった。分割壁の供給部と除去部との間の分割壁上方の液体量を旋回漏斗によって周期的に分割した。
分割壁の供給部に対する塔の中間において、80℃に予備加熱され、ニッケル含有触媒によるイソプレゴールの触媒水素化によって得られた、85.1質量%のメントール、0.2質量%のイソプレゴール、3.4質量%ネオメントールおよび0.98質量%のイソメントールおよび1.25GC面積%のネオイソメントールを含む合成起源の120g/時の液体の実質的にラセミのメントールを分割壁塔に連続的に供給した。さらに、1.5GC質量%の炭化水素フェニルシクロヘキサンが存在した。
得られた留分を、標準GCを利用してガスクロマトグラフィーによって分析した。サンプル製造:(場合によって固化した)サンプルを約50℃に溶融加熱し、トルエンに溶解させた。トルエン溶液をガスクロマトグラフに注入した。それに応じて、積分時に、トルエンピークを除外した。質量%測定に使用した内部標準は、ジエチレングリコールジエチルエーテルであった(質量はサンプル全量の10%)。
ガスクロマトグラフィー分析を以下の方法に従って実施した。
50mのCP−Wax 52 CB、ID.:0.32mm、FD.:1.2μm; インジェクタ:200℃;検出器:250℃;80℃−3℃/分−200℃、−10℃/分−230℃/15分;
tR(ジエチルグリコールジエチルエーテル):23.0分;tR(イソプレゴール):30.07分;tR(ネオメントール):31.08分;tR(ネオイソメントール):32.5分;tR(メントール):32.8分;tR(イソメントール):33.8分、tR(フェニルシクロヘキサン):35.2分。
塔を18ミリバールの頂部圧力および850g/時の復帰率で動作させた。ここで、約3ミリバールの圧力降下を確定した。塔の頂部では101℃、底部では105℃の温度が測定された(±0.5K)。塔を、15g/時(±2g/時)の底部分岐を用いて動作させ、留出物の除去をバランス制御システムによって50g/時(±5g/時)に調整した。したがって、還流比は約17:1であった。固体の形成を防止するために、塔のコンデンサを25℃の温度とした。
液体を分割壁の上方にて3:4(供給部:除去部)の比率で分割した。分割壁の除去部の中間において、膜ポンプを利用して約55g/時(±5g/時)の液体側方分岐(f)を除去した。
側方分岐において得られた純粋な生成物は、98.2質量%のメントール、ならびに0.14質量%のネオメントールおよび0.92GC質量%のイソメントールおよび0.25GC面積%のネオイソメントールおよび約0.45質量%のフェニルシクロヘキサンを含んでいた。純粋な生成物は、−0.9grd/(ml*g)の比旋光度を有していた(USP30/NF25「メントール」に従って測定)。
室温で液体の留出物は、79.6質量%のメントール、0.67GC質量%のイソプレゴール、6.9GC質量%のネオメントールおよび2.5GC面積%のネオイソメントールおよび3.0質量%のフェニルシクロヘキサンを含んでいた。底部では、85.7質量%のメントールの他に、2.9質量%のイソメントールも測定された。