JPH11209325A - 4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1,4−ブタンジオールまたは3−メチルテトラヒドロフランの製造方法 - Google Patents

4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1,4−ブタンジオールまたは3−メチルテトラヒドロフランの製造方法

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JPH11209325A
JPH11209325A JP2037898A JP2037898A JPH11209325A JP H11209325 A JPH11209325 A JP H11209325A JP 2037898 A JP2037898 A JP 2037898A JP 2037898 A JP2037898 A JP 2037898A JP H11209325 A JPH11209325 A JP H11209325A
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methyl
acetoxy
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butanol
methyltetrahydrofuran
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JP2037898A
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Toshihiro Omatsu
俊宏 尾松
Koichiro Isokami
宏一郎 磯上
Takashi Onishi
孝志 大西
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 入手の容易な化合物を出発物質として用いて
温和な条件下に、4−アセトキシ−3−メチル−1−ブ
タノール、2−メチル−1,4−ブタンジオール又は3
−メチルテトラヒドロフランを高収率で工業的に有利に
製造し得る方法の提供。 【解決手段】 メタリルアセテートをロジウム化合物
及び第3級有機リン化合物の存在下に水素及び一酸化炭
素と反応させて4−アセトキシ−3−メチルブタナール
を製造後、該4−アセトキシ−3−メチルブタナールを
還元して4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノール
を製造する方法;前記の製法に続いてそこで得られ
た4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを加溶
媒分解して2−メチル−1,4−ブタンジオールを製造
する方法;前記の製法に続いてそこで得られた4−
アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを脱酢酸反応
させて3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法;
又は前記の製法に続いてそこで得られた2−メチル
−1,4−ブタンジオールを脱水して3−メチルテトラ
ヒドロフランを製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4−アセトキシ−
3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1,4−ブ
タンジオールまたは3−メチルテトラヒドロフランの新
規な製造方法に関する。より詳細には、本発明は入手ま
たは製造の容易なメタリルアセテートを出発原料として
用いて、温和な条件下で、4−アセトキシ−3−メチル
−1−ブタノール、2−メチル−1,4−ブタンジオー
ルまたは3−メチルテトラヒドロフランを高収率で製造
することのできる前記化合物の新規な製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】2−メチル−1,4−ブタンジオールお
よび3−メチルテトラヒドロフランは、ポリエステル、
ポリエーテル、ポリウレタンなどの樹脂を製造する際の
原料化合物として工業的に有用である。2−メチル−
1,4−ブタンジオールまたは3−メチルテトラヒドロ
フランの製造方法については従来より種々の方法が提案
されている。具体的には、米国特許第3,859,3
69号明細書には、1,4−ブテンジオールをロジウ
ム、コバルト、イリジウムまたはルテニウムのホスフィ
ン錯体からなる触媒の存在下にヒドロホルミル化し、次
いでこのヒドロホルミル化反応液に水を添加して触媒成
分を析出させ、次いで濾過することによって得られた濾
液から水の一部を蒸発させた後、得られた濃縮液を水素
添加反応に供することにより2−メチル−1,4−ブタ
ンジオールを製造する方法、並びに前記方法で得られる
2−メチル−1,4−ブタンジオールから3−メチルテ
トラヒドロフランを製造することが開示されている。ま
た、特開平6−219981号公報には、イタコン
酸、3−ホルミル−2−メチルプロピオン酸またはこれ
らのエステルを銅または周期律表の第VIIまたはVIII族
の金属或いは該金属の化合物の存在下で水素と反応させ
て、2−メチル−1,4−ブタンジオールおよび3−メ
チルテトラヒドロフランを製造する方法が記載されてい
る。さらに、特開平8−217770号公報には、メ
タクリル酸メチルをギ酸エステルと反応させてメチルコ
ハク酸ジエステルを製造し、それを水素化および脱水環
化して3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法が
記載されている。また、特開平8−217771号公
報には、無水シトラコン酸とアルコールからシトラコン
酸のアルキルエステルを製造し、該エステルを接触水素
化して3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法が
記載されている。
【0003】しかしながら、上記の従来法による場合
は、原料として用いる1,4−ブテンジオールがアセチ
レン誘導体であるブチンジオールから合成されるために
入手が困難であるという問題点がある。また、このの
方法による場合は、反応速度を高くしようとして1,4
−ブテンジオールのヒドロホルミル化反応を90℃以上
の高温で実施すると、反応が途中で停止するため反応温
度を低く設定せざるを得ず、工業的に満足できる反応速
度を得ようとすると、高価なヒドロホルミル化触媒を多
量に使用せざるを得ないという問題点がある。また、上
記〜の従来法は、カルボン酸またはそのエステルを
水素化することによる還元工程を含んでいるが、エステ
ルの還元には例えば200℃、200気圧というような
高温、高圧下で反応を行う必要があり、工業的に有利な
方法であるとは言えず、またエステル化されていないカ
ルボン酸を直接還元する場合はエステルの還元の場合よ
りもその水素化(還元)が一層行われにくいという問題
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、入手
が容易な化合物を出発物質として用いて、温和な条件下
に、2−メチル−1,4−ブタンジオールまたは3−メ
チルテトラヒドロフランを高収率で工業的に有利に製造
できる方法を提供することである。さらに、本発明の目
的は、2−メチル−1,4−ブタンジオールまたは3−
メチルテトラヒドロフランを製造するための原料化合物
を、入手の容易な原料を使用して温和な条件下に円滑に
工業的に有利に製造することのできる方法を提供するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、石油化
学製品であり、汎用の原料として使用されるイソブチレ
ンに対して酢酸を酸化的に付加させることによって容易
に製造できる化合物であるメタリルアセテートを出発物
質として用い、該メタリルアセテートをロジウム化合物
および第3級有機リン化合物の存在下に水素および一酸
化炭素と反応させて4−アセトキシ−3−メチルブタナ
ールを製造し、それにより得られる4−アセトキシ−3
−メチルブタナールを還元することにより、4−アセト
キシ−3−メチル−1−ブタノールを温和な条件下に高
収率で工業的に有利に製造できることを見出した。さら
に、本発明者らは、前記の反応により得られる4−アセ
トキシ−3−メチル−1−ブタノールを加溶媒分解(主
に加水分解)すると2−メチル−1,4−ブタンジオー
ルが得られること、また前記の反応により得られる4−
アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを脱酢酸反応
させると3−メチルテトラヒドロフランが円滑に得られ
ることを見出した。また、前記により得られる2−メチ
ル−1,4−ブタンジオールを脱水反応させることによ
っても3−メチルテトラヒドロフランを得ることがで
き、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、(1a)メタリルア
セテートをロジウム化合物および第3級有機リン化合物
の存在下に水素および一酸化炭素と反応させることによ
って4−アセトキシ−3−メチルブタナールを製造し、
次いで(2a)前記工程で得られる4−アセトキシ−3
−メチルブタナールを還元することを特徴とする4−ア
セトキシ−3−メチル−1−ブタノールの製造方法[以
下これを「製法(A)」ということがある]である。
【0007】そして、本発明は、(1a)メタリルアセ
テートをロジウム化合物および第3級有機リン化合物の
存在下に水素および一酸化炭素と反応させることによっ
て4−アセトキシ−3−メチルブタナールを製造し、
(2a)前記工程で得られる4−アセトキシ−3−メチ
ルブタナールを還元して4−アセトキシ−3−メチル−
1−ブタノールを製造し、次いで(3a)前記工程で得
られる4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを
加溶媒分解することを特徴とする2−メチル−1,4−
ブタンジオールの製造方法[以下これを「製法(B)」
ということがある]である。
【0008】さらに、本発明は、(1a)メタリルアセ
テートをロジウム化合物および第3級有機リン化合物の
存在下に水素および一酸化炭素と反応させることによっ
て4−アセトキシ−3−メチルブタナールを製造し、
(2a)前記工程で得られる4−アセトキシ−3−メチ
ルブタナールを還元して4−アセトキシ−3−メチル−
1−ブタノールを製造し、次いで(3b)前記工程で得
られる4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを
脱酢酸反応させることを特徴とする3−メチルテトラヒ
ドロフランの製造方法[以下これを「製法(C)」とい
うことがある]である。
【0009】そして、本発明は、(1a)メタリルアセ
テートをロジウム化合物および第3級有機リン化合物の
存在下に水素および一酸化炭素と反応させることによっ
て4−アセトキシ−3−メチルブタナールを製造し、
(2a)前記工程で得られる4−アセトキシ−3−メチ
ルブタナールを還元して4−アセトキシ−3−メチル−
1−ブタノールを製造し、(3a)前記工程で得られる
4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを加溶媒
分解して2−メチル−1,4−ブタンジオールを製造
し、次いで(4a)前記工程で得られる2−メチル−
1,4−ブタンジオールを脱水反応させることを特徴と
する3−メチルテトラヒドロフランの製造方法[以下こ
れを「製法(D)」ということがある]である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の製法(A)〜製法(D)は、メタリルア
セテートを出発原料として用いること、そして該メタリ
ルアセテートをロジウム化合物および第3級有機リン化
合物の存在下に水素および一酸化炭素と反応させること
によって4−アセトキシ−3−メチルブタナールを製造
し[工程(1a)]、そして前記工程(1a)で得られ
る4−アセトキシ−3−メチルブタナールを還元して4
−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを製造する
工程[工程(2a)]を経るものである点で共通してお
り、その点に大きな特徴を有している。
【0011】本発明の製法(A)〜製法(D)(以下こ
れらを総称して「本発明」または「本発明の製法」とい
うことがある)における工程(1a)において原料化合
物として用いるメタリルアセテートは、2−メチル−2
−プロペン−1−オ−ル(メタリルアルコール)の酢酸
エステルであって、沸点124℃の液体である。メタリ
ルアセテートは、イソブチレンに対して酢酸を酸化的に
付加させる(特開昭50−84516号公報などを参
照)ことにより製造できるため、工業的規模で容易に且
つ安価に入手することができる。
【0012】そして、本発明の製法(A)〜製法(D)
では、その工程(1a)において、ロジウム化合物およ
び第3級有機リン化合物の存在下にメタリルアセテート
を水素および一酸化炭素と反応させることによってヒド
ロホルミル化して、4−アセトキシ−3−メチルブタナ
ールを製造する。
【0013】本発明の工程(1a)で用いるロジウム化
合物としては、それ自体でヒドロホルミル化触媒能を有
するロジウム化合物、またはヒドロホルミル化反応条件
下でヒドロホルミル化触媒能を発現するように変化する
ロジウム化合物であればいずれも使用できる。本発明の
工程(1a)で用いるロジウム化合物の具体例として
は、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、Rh(acac)
(CO)2などのロジウムカルボニル錯体、酸化ロジウ
ム、塩化ロジウムなどのハロゲン化ロジウム、ロジウム
アセチルアセトナート、酢酸ロジウムなどの有機酸のロ
ジウム塩を挙げることができ、これらのロジウム化合物
は単独で用いてもまたは2種以上を併用してもよい。
【0014】ロジウム化合物の使用量は、4−アセトキ
シ−3−メチルブタナールが高い収率で円滑に得られる
ようにするために、工程(1a)のヒドロホルミル化反
応液1リットル当たりのロジウム原子換算で0.001
〜5ミリグラム原子の濃度範囲で用いることが好まし
く、0.002〜2ミリグラム原子の濃度範囲で用いる
ことがより好ましい。
【0015】また、本発明において用いられる第3級有
機リン化合物の具体例としては、例えば、トリフェニル
ホスファイト、トリス(2−メチルフェニル)ホスファ
イト、トリス(2−エチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(2−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリ
ス(2−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3
−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
などのホスファイト類;トリフェニルホスフィン、トリ
トリルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ
−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフ
ィンなどのホスフィン類が挙げられる。これらの中で
も、トリス(2−メチルフェニル)ホスファイト、トリ
ス(2−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(2
−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メ
チル−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リシクロヘキシルホスフィンなどが好ましい。
【0016】第3級有機リン化合物の使用量は、4−ア
セトキシ−3−メチルブタナールが選択的に且つ高収率
で得られるようにするために、通常、工程(1a)のヒ
ドロホルミル化反応液1リットル当たり1ミリモル以上
であることが好ましく、2ミリモル以上であることがよ
り好ましい。また、第3級有機リン化合物の使用量の上
限については特に制限はないが、一般的には工程(1
a)のヒドロホルミル化反応液1リットル当たり50ミ
リモル程度を上限とすることが好ましい。また第3級有
機リン化合物の反応液への溶解度によってその上限量が
定まる場合もある。
【0017】また、本発明におけるヒドロホルミル化反
応では、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタ
ン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、
1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5
−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタンなどの2座配
位性ジホスフィノアルカン類をロジウム1グラム原子当
たり0.1〜3モルの割合で添加してもよい。
【0018】本発明における工程(1a)のヒドロホル
ミル化反応は、溶媒を用いずに行ってもよいし、反応に
不活性な有機溶媒を用いて行ってもよい。その場合の有
機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン、デカ
ンなどの脂肪族炭化水素類;ジクロロメタンなどのハロ
ゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラエチレン
グリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサンなどのエーテル類;スルホラン、ジメチルスホ
キシドなどを挙げることができ、これらの溶媒は単独で
使用しても又は2種以上を併用してもよい。
【0019】本発明における工程(1a)のヒドロホル
ミル化反応は、一般に40〜150℃の温度で行うこと
が好ましく、80〜130℃の温度で行うことがより好
ましい。
【0020】また、工程(1a)のヒドロホルミル化反
応に用いる水素および一酸化炭素は、通常ガス状で反応
系に供給される。水素および一酸化炭素は、個別に反応
系に供給してもまたは両者を予め混合して混合ガスの形
態で反応系に供給してもよい。反応系に供給する水素と
一酸化炭素の割合は、ヒドロホルミル化反応が円滑に進
行して4−アセトキシ−3−メチルブタナールを高収率
で得ることができる点から、水素:一酸化炭素=1:1
0〜10:1のモル比であることが好ましく、1:5〜
5:1のモル比であることがより好ましい。
【0021】工程(1a)のヒドロホルミル化を行う際
の反応圧力は、ヒドロホルミル化反応の反応速度が速く
なり且つ4−アセトキシ−3−メチルブタナールを高収
率で選択的に製造できる点から、10気圧(絶対圧)以
上であることが好ましい。反応圧力の上限値は特に制限
されないが、反応装置に要するコストなどを勘案して1
00気圧(絶対圧)以下とすることが好ましい。また、
工程(1a)のヒドロホルミル化反応は、バッチ式で行
ってもよいし、連続式で行ってもよい。工程(1a)を
行うための反応装置の種類や構造なども特に制限され
ず、例えば、撹拌型反応槽、気泡塔型反応槽などを用い
て行うことができる。
【0022】上記した工程(1a)のヒドロホルミル化
を行うことによって、4−アセトキシ−3−メチルブタ
ナールが生成する。工程(1a)で得られる4−アセト
キシ−3−メチルブタナールを含む反応液は、反応液中
に含まれる成分の分離などを行わずにそのまま直接次の
工程(2a)に使用してもよいし、反応液からロジウム
化合物および第3級有機リン化合物などの触媒成分を分
離除去したものを次の工程(2a)に使用してもよい
し、また、反応液から4−アセトキシ−3−メチルブタ
ナールを蒸発や蒸留などにより分離してそれを工程(2
a)で使用してもよい。
【0023】工程(1a)で得られた反応液から4−ア
セトキシ−3−メチルブタナールを分離する場合は、反
応液を蒸発処理して4−アセトキシ−3−メチルブタナ
ールを含む液を留出させその留出液を蒸留して4−アセ
トキシ−3−メチルブタナールを精製・分取する方法、
反応液をそのまま直接蒸留して4−アセトキシ−3−メ
チルブタナールを精製・分取する方法などが採用され
る。
【0024】上記において、反応液を蒸発処理、蒸留処
理、または蒸発・蒸留処理して4−アセトキシ−3−メ
チルブタナールを分取した後の残留液中には、工程(1
a)に用いたロジウム化合物および第3級有機リン化合
物などのヒドロホルミル化触媒が触媒活性の少なくとも
一部を保ったままの状態で含まれているので、それを残
留液ごと、または残留液から触媒成分を分取して、工程
(1a)で再利用してもよく、その場合に新しい触媒成
分を併給することが好ましい。
【0025】次いで、本発明の製法(A)〜製法(D)
では、その工程(2a)において、工程(1a)で得ら
れる4−アセトキシ−3−メチルブタナールを還元する
ことにより4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノー
ルを製造する。工程(2a)の還元反応は、好ましくは
水素化触媒の存在下での水素化によって行われる。その
際の水素化触媒としては、アルデヒド類の水素化に用い
られる触媒のいずれもが使用でき、なかでもニッケル系
触媒やルテニウム系触媒が好ましく用いられる。好まし
い水素化触媒の具体例としては、ラネーニッケル、変性
ラネーニッケル、担持ニッケル、担持ルテニウムなどを
挙げることができる。その際に、ラネーニッケルの変性
に用いられる成分の例としては、Cr、Mn、Mo、C
o、Feなどの金属を挙げることができる。また、担持
ニッケルや担持ルテニウムに用いられる担体としては、
例えば、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、
ケイソウ土などを挙げることができる。
【0026】工程(2a)における水素化触媒の使用量
は、工程(2a)の反応混合液の全重量に基づいて0.
02〜20重量%の範囲内であることが好ましく、0.
2〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
【0027】工程(2a)の還元反応は、溶媒を用いず
に行ってもよいし、反応に不活性な有機溶媒を用いて行
ってもよい。有機溶媒を用いる場合は、例えば、メタノ
ール、ブタノール、オクタノールなどのアルコール類;
ヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;
酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類などを用いる
ことができ、これらの有機溶媒は単独で使用してもまた
は2種以上を併用してもよい。
【0028】工程(2a)の還元反応は20〜160℃
の温度範囲で行うことが好ましく、50℃〜140℃の
範囲で行うことがより好ましい。また、工程(2a)の
還元反応を行う際の水素圧力は、常圧〜80気圧(絶対
圧)の範囲であることが好ましく、5〜40気圧(絶対
圧)の範囲であることがより好ましい。工程(2a)の
還元反応は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行っ
てもよい。工程(2a)を行うための反応装置の種類や
構造などは特に制限されず、例えば、液相中に水素化触
媒を懸濁させた状態で撹拌型反応槽や気泡塔型反応槽な
どを用いて実施することもできるし、水素化触媒を充填
した固定床型の反応槽を用いて実施することもできる。
【0029】上記した工程(2a)の還元反応によって
4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールが生成す
る。工程(2a)で生成した4−アセトキシ−3−メチ
ル−1−ブタノールは、それ自体で安定に保存可能な化
合物である。この工程(2a)で生成した4−アセトキ
シ−3−メチル−1−ブタノールは、本発明の製法
(B)において2−メチル−1,4−ブタンジオールを
製造するための中間体化合物として有効に用いることが
でき、また本発明の製法(C)および製法(D)におい
ては、3−メチルテトラヒドロフランを製造するための
中間体化合物として有効に用いることができる。さら
に、場合によっては、溶剤等その他の用途に使用するこ
ともできる。
【0030】工程(2a)で得られる4−アセトキシ−
3−メチル−1−ブタノールを用いて製法(B)〜製法
(D)を行うに当たっては、工程(2a)で得られた4
−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを含む反応
液を精製を行うことなくそのまま直接次の工程(3a)
または工程(3b)に使用してもよいし、反応液から水
素化触媒などの触媒成分を濾過や遠心分離などによって
除去してから4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノ
ールを含む液を次の工程(3a)または工程(3b)に
使用してもよいし、また反応液から4−アセトキシ−3
−メチル−1−ブタノールを蒸発処理、蒸発や蒸留など
によって分離し、それを次の工程(3a)または工程
(3b)で使用してもよい。
【0031】そして、本発明の製法(B)では、上記の
工程(2a)で得られた4−アセトキシ−3−メチル−
1−ブタノールを工程(3a)において加溶媒分解して
2−メチル−1,4−ブタンジオールを製造する。工程
(3a)における加溶媒解反応は、4−アセトキシ−3
−メチル−1−ブタノール中のアセトキシ基を速やかに
且つ円滑に水酸基に変換し得る方法であればいずれの方
法を採用して行ってもよく、例えば、(i)4−アセト
キシ−3−メチル−1−ブタノールを加水分解して2−
メチル−1,4−ブタンジオールを製造する方法、(i
i)4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールをメ
タノール、エタノールなどのアルコールと反応させて2
−メチル−1,4−ブタンジオールと対応する酢酸エス
テルを生成させる方法(加アルコール分解)などにより
実施することができ、そのうちでも(i)の加水分解を
利用して実施することが好ましい。
【0032】そして、上記(i)の加水分解を行う方法
では、酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属やアル
カリ土類金属の水酸化物などのアルカリ化合物、第3級
アミンなどの加水分解を促進する化合物または触媒の存
在下に、反応を実施してもよい。特に、4−アセトキシ
−3−メチル−1−ブタノールの加水分解を酸の存在下
に実施すると、2−メチル−1,4−ブタンジオールを
短い反応時間で高収率で得ることができることから、工
業的に好ましく採用される。その際の酸の種類は特に制
限されず、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、シ
リカアルミナ、酸性白土、活性白土、陽イオン交換樹脂
などを挙げることができ、これらの1種または2種以上
を用いることができる。
【0033】酸、アルカリ化合物、第3級アミンなどの
加水分解を促進する化合物や触媒の存在下に加水分解を
行う場合は、それらの化合物や触媒を、反応液の全重量
に基づいて0.05〜10重量%の濃度範囲で用いるこ
とが好ましい。また、加水分解を促進する化合物や触媒
を充填した固定床を用いて4−アセトキシ−3−メチル
−1−ブタノールの加水分解を行う場合は、加水分解を
促進する化合物や触媒の使用量には特に制限はない。
【0034】また、4−アセトキシ−3−メチル−1−
ブタノールの加水分解反応では、4−アセトキシ−3−
メチル−1−ブタノール1モルに対して水を1モル以上
の割合で使用することが好ましく、1.1モル以上の割
合で使用することがより好ましい。水の使用量の上限値
は特に制限されないが、水の量が多過ぎると反応液中に
生成した2−メチル−1,4−ブタンジオールを蒸留な
どによって回収するのに多量の熱量を要し、また反応の
容積効率が低下するので、通常は4−アセトキシ−3−
メチル−1−ブタノール1モルに対して水を25モル以
下の割合で用いることが好ましい。
【0035】工程(3a)の加溶媒分解反応は、20〜
120℃の範囲で行うことが好ましく、40〜100℃
の範囲で行うことがより好ましい。工程(3a)の加溶
媒分解反応は、通常、常圧〜10気圧(絶対圧)の圧力
下に行うことが好ましい。また、工程(3a)の加溶媒
分解反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下
に実施することが好ましい。また、工程(3a)の加溶
媒分解反応は、反応に不活性な有機溶媒を用いて実施す
ることもできるが、有機溶媒を用いずに実施することが
好ましい。工程(3a)の加溶媒分解反応は、バッチ式
で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。工程(3
a)の加溶媒分解反応を行うための反応装置の種類や構
造などは特に制限されず、例えば、撹拌型反応槽や気泡
塔型反応槽などを用いて実施することもできるし、加溶
媒分解を促進する化合物や触媒を充填した固定床型の反
応槽を用いて実施することもできる。
【0036】上記した工程(3a)の加溶媒分解反応に
よって2−メチル−1,4−ブタンジオールが生成す
る。工程(3a)で得られた2−メチル−1,4−ブタ
ンジオールを含む反応液からの2−メチル−1,4−ブ
タンジオールの分離、取得方法は常法に従って実施する
ことができる。例えば、反応液中に酸が含まれる場合は
アルカリを添加して酸を中和し、また、反応液中にアル
カリ化合物や第3級アミンなどが含まれる場合は酸を添
加して中和し、それによって中和塩などが析出する場合
はそれを濾過や遠心分離で取り除いた後に、また析出し
ない場合はそのままで、反応液を蒸留処理して、目的と
する2−メチル−1,4−ブタンジオールを分離、取得
することができる。本発明の製法(B)における工程
(3a)で得られる2−メチル−1,4−ブタンジオー
ルは、沸点123℃/10mmHgの液体であり、上記
したように、特に、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ
ウレタン、その他の樹脂を製造する際の原料成分、溶剤
などとして有用である。
【0037】また、本発明の製法(C)では、上記した
工程(2a)で得られる4−アセトキシ−3−メチル−
1−ブタノールを工程(3b)において脱酢酸反応させ
て、3−メチルテトラヒドロフランを製造する。工程
(3b)の脱酢酸反応は、酸触媒の存在下に実施するこ
とが好ましい。使用可能な酸触媒の種類は特に制限され
ず、例えば、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、
シリカアルミナ、酸性白土、活性白土、陽イオン交換樹
脂などを挙げることができ、これらの1種または2種以
上を用いることができる。また、工程(3b)では、酸
触媒の使用量は特に制限されない。
【0038】工程(3b)の脱酢酸反応は、100〜2
00℃の温度範囲で行うことが好ましく、120〜17
0℃の温度範囲で行うことがより好ましい。また、工程
(3b)の脱酢酸反応は、通常、0.2〜2気圧(絶対
圧)の範囲で行うことが好ましい。さらに、工程(3
b)の脱酢酸反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス
雰囲気下に実施することが好ましい。工程(3b)の脱
酢酸反応は、反応促進剤として水を少量添加して行って
もよく、その場合の水の添加量は4−アセトキシ−3−
メチル−1−ブタノールの重量に基づいて10重量%以
下であることが好ましい。また、工程(3b)の脱酢酸
反応は、反応に不活性な有機溶媒を用いて行ってもよい
が、有機溶媒を用いずに行うことが溶媒の除去を行う必
要がなくなるので好ましい。
【0039】工程(3b)の脱酢酸反応は、バッチ式で
行ってもよいし、連続式で行ってもよい。工程(3b)
を行うための反応装置の種類や構造などは特に制限され
ず、例えば、撹拌型反応槽や気泡塔型反応槽などを用い
て実施してもよいし、酸触媒を仕込んだ反応器に4−ア
セトキシ−3−メチル−1−ブタノールを供給し気化し
た生成物を取得する反応蒸発方式を用いて実施してもよ
いし、酸触媒を充填した固定床型の反応槽を用いて実施
してもよい。
【0040】上記した工程(3b)の脱酢酸反応によっ
て3−メチルテトラヒドロフランが生成する。工程(3
b)の脱酢酸反応によって生成する反応液中には通常酢
酸と3−メチルテトラヒドロフランとが含まれているの
で、例えば、反応液を蒸留処理して3−メチルテトラヒ
ドロフランを分取する方法、反応液に水酸化ナトリウム
などのアルカリ化合物の水溶液を添加して反応液中の酢
酸を中和するとともに水層と有機層の2層に分離させ、
分離した有機層から3−メチルテトラヒドロフランを回
収する方法などを採用することによって、目的とする3
−メチルテトラヒドロフランを取得することができる。 本発明の製法(C)で得られる3−メチルテトラヒドロ
フランは、沸点87℃の液体であり、上記したように、
特に、ポリエーテル、ポリウレタン、その他の樹脂を製
造する際の原料成分、溶剤などとして有用である。
【0041】さらに、3−メチルテトラヒドロフラン
は、上記した本発明の製法(C)によらずに、本発明の
製法(D)、すなわち製法(B)の工程(3a)で生成
した2−メチル−1,4−ブタンジオールを工程(4
a)で脱水反応させる方法、によっても製造することが
できる。2−メチル−1,4−ブタンジオールから3−
メチルテトラヒドロフランを得るための製法(D)にお
ける工程(4a)の脱水反応は、アルコール類を脱水縮
合させる従来既知の脱水反応と同様に行うことができ、
例えば、濃硫酸の存在下に加熱することによって行うこ
とができる。なお、濃硫酸を使用する場合、濃硫酸の使
用量は、2−メチル−1,4−ブタンジオールに対して
0.1ppm〜10重量%の範囲内であることが好まし
い。
【0042】製法(D)における工程(4a)の脱水反
応は、一般に、100〜250℃の温度範囲で行うこと
が好ましく、120〜200℃の温度範囲で行うことが
より好ましい。また、工程(4a)は、通常、0.2〜
2気圧(絶対圧)の圧力条件下に行うことが好ましい。
さらに、工程(4a)の脱水反応は、窒素、アルゴンな
どの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。工
程(4a)の脱水反応は、反応に不活性な有機溶媒を用い
て行ってもよいが、有機溶媒を用いずに行うことが溶媒
の除去を行う必要がなくなるので好ましい。工程(4
a)の脱水反応は、バッチ式で行ってもよいし、連続式
で行ってもよい。工程(4a)を行うための反応装置の
種類や構造などは特に制限されず、例えば、撹拌型反応
槽や気泡塔型反応槽などを用いて実施することができ
る。この工程(4a)の脱水反応によって3−メチルテ
トラヒドロフランが生成する。3−メチルテトラヒドロ
フランを含む反応液からの3−メチルテトラヒドロフラ
ンの分離、取得は蒸留などの常法に従って実施される。
【0043】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例によって何ら制限されな
い。
【0044】《実施例1》[4−アセトキシ−3−メチ
ル−1−ブタノールの製造] (1) 4−アセトキシ−3−メチルブタナールの製
造: (i) ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容
積300mlの電磁撹拌式オートクレーブにジカルボニ
ルアセチルアセトナートロジウム9.8mg(0.03
8ミリモル)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト435mg(0.726ミリモル)、
メタリルアセテート135g(1.18モル)およびト
ルエン18gを空気に触れないようにして仕込み、オー
トクレーブ内を水素と一酸化炭素の混合ガス(1/1モ
ル比)で80気圧に保った。撹拌しながら内温を90℃
に上昇させ、この状態で2時間反応させた後、さらに内
温を110℃に上昇させて4時間反応させた。この間、
必要に応じて、水素と一酸化炭素の混合ガス(1/1モ
ル比)をオートクレーブに連続的に供給して反応圧力を
80気圧に保った。 (ii) 上記(i)で得られた反応液の一部を採取して
ガスクロマトグラフィー(カラム:化学品検査協会製
「G−300」)で分析したところ、反応液中に4−ア
セトキシ−3−メチルブタナールおよびその他の反応生
成物が含まれており(メタリルアセテートの転化率99
%)、4−アセトキシ−3−メチルブタナールへの選択
率は94%であった(4−アセトキシ−3−メチルブタ
ナールの収率93%)。
【0045】(2)4−アセトキシ−3−メチル−1−
ブタノールの製造: (i) ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容
積1リットルの電磁撹拌式オートクレーブに、上記
(1)の(i)の方法で得られた反応液175g、ラネ
ーニッケル10g(水分含有率:50重量%)およびメ
タノール350mlを仕込んだ後、水素ガスをオートク
レーブに導入し、オートクレーブ内の圧力が8kg/c
2となるように調節し、撹拌しながら内温を60℃に
上昇させた。この状態で2時間反応させた後、内温を8
0℃に上昇させて更に5時間反応させ、次いで内温を1
00℃に上昇させて更に3時間反応させた。この間、必
要に応じて、水素と一酸化炭素の混合ガス(1/1モル
比)をオートクレーブに連続的に供給して反応圧力を8
0気圧に保った。 (ii) 上記の(i)で得られた反応液の一部を採取し
て、上記(1)の(ii)におけるのと同じガスクロマト
グラフィー条件で分析したところ、反応に用いた4−ア
セトキシ−3−メチルブタナールの転化率は100%で
あることが分かった。反応液からラネーニッケルを濾過
して除去した後、濾液をロータリーエバポレーターを用
いてメタノールを除去して濃縮し、粗4−アセトキシ−
3−メチル−1−ブタノール140gを取得した。 (iii) ガスクロマトグラフィー分析の結果、得られ
た粗4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノール14
0gには4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノール
が131.6g含まれていることが確認された。 (iv) 上記の(ii)で得られた粗4−アセトキシ−3
−メチル−1−ブタノール140gを減圧下に蒸留精製
することにより、4−アセトキシ−3−メチル−1−ブ
タノール114g(b.p.109℃/8mmHg、純
度98%)を得た。
【0046】《実施例2》[2−メチル−1,4−ブタ
ンジオールの製造] (1) 冷却管を備えた内容積200mlの丸底フラス
コに、窒素雰囲気下、実施例1で得られた4−アセトキ
シ−3−メチル−1−ブタノール25g、濃硫酸(98
%)2.7g、水100gおよび沸石(ゼオライト)を
仕込み、100℃のオイルバスに浸して常圧にて7時間
加熱して反応させた後、室温にまで冷却し、次いで水酸
化ナトリウム9.7gを添加して反応液中の硫酸を中和
した。 (2) 上記(1)で得られた反応液をロータリーエバ
ポレーターを用いて蒸発濃縮処理して水を除去した。こ
の蒸発濃縮処理時に析出した固形物(無機物)を濾過し
て、濾液と固形物に分離し、該固形物に付着している有
機物をアセトン200gで洗浄した。この洗液と濾液を
一緒にして減圧下に蒸留精製することにより、7.0g
の2−メチル−1,4−ブタンジオール(b.p.11
9℃/5mmHg、純度97%)を得た。
【0047】《実施例3》[3−メチルテトラヒドロフ
ランの製造] (1) 単蒸発装置および滴下ロートを備えた内容積2
00mlの三口フラスコに窒素雰囲気下で濃硫酸2gを
仕込み、170℃のオイルバスに浸し加熱した後、常圧
下に上記の実施例1で得られた4−アセトキシ−3−メ
チル−1−ブタノール60gを30分かけて連続的に供
給し、生成物を留出させながら反応を行った。4−アセ
トキシ−3−メチル−ブタナールの供給終了後もさらに
170℃の温度で30分間反応を継続して行い、留出温
度が95〜111℃の留出液を40g得た。この留出液
に水酸化ナトリウム11gと水8gを添加して撹拌した
後、静置して水層と有機層に分離させ、その有機層(1
5g)を分離、取得した。この有機層を実施例1の
(1)の(ii)におけるのと同じ条件下でのガスクロマ
トグラフィー分析およびカールフィシャー法による水分
測定を行ったところ、この有機層は3−メチルテトラヒ
ドロフランを86重量%および水を12重量%含む液で
あることが分かった。 (2) 上記(1)で得られた3−メチルテトラヒドロ
フランおよび水を含む液(有機層)を蒸留処理して、常
圧下に87℃で留出した留分を回収して純度98重量%
の3−メチルテトラヒドロフラン9gを得た。
【0048】《実施例4》[3−メチルテトラヒドロフ
ランの製造] 単蒸発装置、および滴下ロートを備えた内容積300m
lの三口フラスコに、窒素雰囲気下で5gの濃硫酸を仕
込み、150℃のオイルバスに浸し加熱した後、常圧下
に上記の実施例2と同様の方法で得られた2−メチル−
1,4−ブタンジオール200gを1時間かけて連続的
に供給し、2−メチル−1,4−ブタンジオールの供給
終了後もさらに150℃の温度で30分間反応を継続し
て行い、留出温度が87〜100℃の留出液160gを
得た。この留出液を水層と有機層に分離させ、その有機
層(120g)を分離取得した。カールフィッシャー法
による水分測定を行ったところ、この有機層は、3−メ
チルテトラヒドロフランを94重量%および水を5重量
%含む液であることが分かった。得られた3−メチルテ
トラヒドロフランおよび水を含む液(有機層)を蒸留処
理して、常圧下に87℃で留出した留分を回収して純度
98重量%の3−メチルテトラヒドロフランを70g得
た。
【0049】
【発明の効果】本発明の製法(A)による場合は、石油
化学製品の1種であって入手の容易なイソブチレンから
容易に誘導されるメタリルアセテートを出発物質として
用いて、上記した工程(1a)および工程(2a)を経
ることによって、温和な条件下で、4−アセトキシ−3
−メチル−1−ブタノールを高い反応速度で、高収率で
工業的に有利に得ることができる。そして、本発明の製
法(B)による場合は、入手の容易なメタリルアセテー
トを出発物質として用いて上記した工程(1a)を行
い、次いで工程(2a)を行って温和な条件下に高い反
応速度で4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノール
を高収率で製造し、それにより得られる4−アセトキシ
−3−メチル−1−ブタノールを工程(3a)で加溶媒
分解反応するだけで、2−メチル−1,4−ブタンジオ
ールを、高い転化率および収率で、工業的に有利に製造
することができる。
【0050】また、本発明の製法(C)による場合は、
入手の容易なメタリルアセテートを出発物質として用い
て上記した工程(1a)を行い、次いで工程(2a)を
行って、温和な条件下に高い反応速度で4−アセトキシ
−3−メチル−1−ブタノールを高収率で製造し、それ
により得られる4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタ
ノールを工程(3b)で脱酢酸反応することにより、3
−メチルテトラヒドロフランを簡単に且つ高収率で得る
ことができる。 そして、本発明の製法(D)による場合は、入手の容易
なメタリルアセテートを出発物質として用いて上記した
工程(1a)を行い、次いで工程(2a)を行って温和
な条件下に高い反応速度で4−アセトキシ−3−メチル
−1−ブタノールを高収率で製造し、その4−アセトキ
シ−3−メチル−1−ブタノールを工程(3a)で加溶
媒分解反応して2−メチル−1,4−ブタンジオールを
製造し、それにより得られる2−メチル−1,4−ブタ
ンジオールを工程(4a)で脱水反応することにより、
3−メチルテトラヒドロフランを簡単に且つ高収率で工
業的に有利に製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1a)メタリルアセテートをロジウム
    化合物および第3級有機リン化合物の存在下に水素およ
    び一酸化炭素と反応させることによって4−アセトキシ
    −3−メチルブタナールを製造し、次いで(2a)前記
    工程で得られる4−アセトキシ−3−メチルブタナール
    を還元することを特徴とする4−アセトキシ−3−メチ
    ル−1−ブタノールの製造方法。
  2. 【請求項2】 (1a)メタリルアセテートをロジウム
    化合物および第3級有機リン化合物の存在下に水素およ
    び一酸化炭素と反応させることによって4−アセトキシ
    −3−メチルブタナールを製造し、(2a)前記工程で
    得られる4−アセトキシ−3−メチルブタナールを還元
    して4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを製
    造し、次いで(3a)前記工程で得られる4−アセトキ
    シ−3−メチル−1−ブタノールを加溶媒分解すること
    を特徴とする2−メチル−1,4−ブタンジオールの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 (1a)メタリルアセテートをロジウム
    化合物および第3級有機リン化合物の存在下に水素およ
    び一酸化炭素と反応させることによって4−アセトキシ
    −3−メチルブタナールを製造し、(2a)前記工程で
    得られる4−アセトキシ−3−メチルブタナールを還元
    して4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを製
    造し、次いで(3b)前記工程で得られる4−アセトキ
    シ−3−メチル−1−ブタノールを脱酢酸反応させるこ
    とを特徴とする3−メチルテトラヒドロフランの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 (1a)メタリルアセテートをロジウム
    化合物および第3級有機リン化合物の存在下に水素およ
    び一酸化炭素と反応させることによって4−アセトキシ
    −3−メチルブタナールを製造し、(2a)前記工程で
    得られる4−アセトキシ−3−メチルブタナールを還元
    して4−アセトキシ−3−メチル−1−ブタノールを製
    造し、(3a)前記工程で得られる4−アセトキシ−3
    −メチル−1−ブタノールを加溶媒分解して2−メチル
    −1,4−ブタンジオールを製造し、次いで(4a)前
    記工程で得られる2−メチル−1,4−ブタンジオール
    を脱水反応させることを特徴とする3−メチルテトラヒ
    ドロフランの製造方法。
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