JP4897694B2 - 水性分散液の形態の顔料組成物 - Google Patents

水性分散液の形態の顔料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、顔料組成物、その製造方法、紙又は板紙を被覆する組成物、その製造方法、紙又は板紙を被覆する方法、およびその方法により得られる紙又は板紙に関する。
インクジェットプリンタの開発は、その目的に適切な紙の需要をもたらした。特に、製造するのが容易であるが、依然として高品質のインクジェット印刷を可能にする紙への需要が存在する。
インクジェット印刷に適切な紙を製造するために、多様な種類の被覆を使用することが開示されてきた。
特許文献1は、水溶性金属塩を、顔料及び従来の結合剤を含むインク受容層に組み込むことを開示する。
特許文献2は、水溶性多価金属とカチオン性ポリマーとの組み合わせを含む記録表面を開示する。
特許文献3は、水溶性多価金属塩で表面処理されている顔料を開示する。
特許文献4は、インクジェット記録材料の調製方法であって、500nm以下の平均二次粒径を有するシリカ粒子を含有する少なくとも1つの多孔質層を形成する工程、及び被覆無機粒子の固形分が多孔質層上で0.33g/m2以下になるように無機粒子含有層を調製するために、被覆溶液を被覆する工程、を含む方法を開示する。
特許文献5は、原紙及びその上の被覆を含むインクジェット紙を開示し、ここで前記被覆は、正電荷を帯びた錯体及び結合剤により変性されている無機顔料を含有する。この正電荷を帯びた錯体は、多価金属イオン及び無機リガンドを含有する。
特許文献6は、基材を含み、結合剤と、非晶質シリカ粒子を分散し、強い機械的応力を適用してこれらの粒子を分裂することにより形成された複数の粒子とを含む透明インク受容層を含む、インクジェット記録材料を開示する。
被覆紙に関する開示の他の例は、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11及び特許文献12である。
米国特許出願公開2002/0039639 米国特許第4,554,181号 米国特許出願公開2004/0255820 米国特許出願公開2005/0106317 米国特許第6,797,347号 米国特許出願公開2003/0099816 WO03/011981 WO01/53107 WO01/45956 EP947349 EP1120281 US5551975
本発明の目的は、インクジェット印刷用に紙又は板紙を被覆するのために適切であり、製造することが簡単である顔料組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、インクジェット印刷に適するように、紙又は板紙の表面に塗布することが簡単である被覆配合物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、インクジェット印刷に適切であり、製造することが簡単である紙又は板紙を提供することである。
したがって、本発明の一つの態様は、
a)水性ゾル中でのシリカ、アルミノケイ酸塩又はこれらの混合物のコロイド一次粒子の凝集により形成され、約0.03μm〜約25μmの平均直径を有する、多孔質凝集体と、
b)少なくとも1つの直径の平均サイズが、多孔質凝集体の平均直径よりも大きい増量剤粒子とを含み、
前記多孔質凝集体と増量剤粒子の重量比が、約0.01:1〜約3:1、好ましくは約0.01:1〜約2:1、最も好ましくは約0.05:1〜約1.5:1である
水性分散液の形態の顔料組成物に関する。
前記コロイド一次粒子シリカの平均粒子直径は、好ましくは約2nm〜約75nm、最も好ましくは約3nm〜約50nmである。この一次粒子の表面積は、好ましくは35m2/g〜約1400m2/g、最も好ましくは約50m2/g〜約1000m2/gである。一つの実施態様において、表面積は、約600m2/gまで、好ましくは約450m2/gまで、最も好ましくは約300m2/gまでである。一次粒子の水性ゾルの乾燥含有量は、好ましくは約0.5重量%〜約60重量%、最も好ましくは約1重量%〜約50重量%である。
本明細書で使用されるとき、直径という用語は球形の直径と同等であることを意味する。
シリカ又はアルミノケイ酸塩の前記コロイド一次粒子は、好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液から形成され、ここで、アルカリ金属イオンはイオン交換法を通して除去されるか、又はアルカリ金属ケイ酸塩溶液のpHは酸の添加により低減される。イオン交換に基づく方法は、R.K. IIer, "The Chemistry of Silica" 1979, pages 333-334に記載された基本原理、及びシリカ又はアルミノケイ酸塩の負若しくは正電荷を帯びたコロイド粒子を含む水性ゾル中での結果に従う。アルカリ金属ケイ酸塩のpH低減に基づく方法は、例えば、米国特許第5,176,891号、同第5,648,055号、同第5,853,616号、同第5,482,693号、同第6,060,523号及び同第6,274,112号に記載された基本原理に従う。
特に好ましいゾルは、例えばアルミニウム、チタン、クロム、ジルコニウム、ホウ素又は他の任意の適切な金属の酸化物のような金属酸化物により、表面が変性されていても、いなくてもよい、シリカのコロイド一次粒子を含む。
シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子の適切な水性ゾルは、例えば、商標名Ludox(商標)、Snowtex(商標)、Bindzil(商標)、Nyacol(商標)、Vinnsil(商標)又はFennosil(商標)で市販されている。
シリカ又はアルミノケイ酸塩を乾燥させて粉末を形成する場合、そのような粉末を分散して形成されるゾルは、そのゾルがアルカリ金属ケイ酸塩からイオン交換又はpH低減により調製される場合のように、コロイド粒子を粉末にするために乾燥していないゾルと異なる特性を有することが、見出されている。
多孔質凝集体の分散液を形成するゾル中の一次粒子の凝集は、R. K. IIer, "The Chemistry of Silica" 1979, pages 364-407で記載されているような、任意の適切な方法により実施してもよい。この凝集度は、粘度を測定し、アインシュタインとムーニーの方程式を適用すること(例えば、R.K. IIer, "The Chemistry of Silica" 1979, pages 360-364を参照すること)によって、追うことができる。この凝集は、別個の工程として、又は増量剤粒子も含む混合物中で実施してもよい。
一つの実施態様において、アニオン性ゾル(負電荷を帯びたコロイド一次粒子を含む)及びカチオン性ゾル(正電荷を帯びたコロイド一次粒子を含む)が混合され、両方のゾルからの一次粒子の多孔質凝集体の形成をもたらす。
別の実施態様において、好ましくは二価、多価又は錯体塩から選択される塩が、アニオン性又はカチオン性ゾルに添加され、これも、多孔質凝集体の形成をもたらす。これらの塩の例は、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、アルカリ金属ホウ酸塩、及びこれらの混合物である。
なお別の実施態様において、架橋物質が、一次粒子から凝集体を形成するために使用される。適切な架橋物質の例は、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PAM(ポリアクリルアミド)、ポリDADMAC(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリアリルアミン、ポリアミン、デンプン、グアーゴム、及びこれらの混合物のような、合成及び天然の高分子電解質である。
上記の凝集方法の1、2又は3つ全てを含むあらゆる組み合わせを利用することもできる。
それぞれの多孔質凝集体は、本質的に少なくともいくつかの孔を与える少なくとも3つの一次粒子から形成される。これらの凝集体の平均粒子直径は、好ましくは約0.05〜約10μm、最も好ましくは約0.1μm〜約1.5μmである。前記多孔質凝集体の平均直径は、それらを形成する一次粒子の平均直径よりも常に大きいことが理解されるべきである。
前記増量剤粒子は、多様な幾何学的形状、例えば、実質的にフレーク形状、ロッド様又は球状であることができ、少なくとも1つの寸法の平均サイズは、前記多孔質凝集体の平均直径よりも、大きい、好ましくは約1.3〜約500倍大きい、最も好ましくは約1.3〜約200倍大きい。これらの増量剤粒子は、好ましくは、天然又は合成の鉱物のような無機物質である。有用な物質の例は、カオリナイト、スメクタイト、タルサイト、炭酸カルシウム鉱物、沈降シリカ、ゲル型シリカ、ヒュームドシリカ、沈降炭酸カルシウム、及びこれらの混合物である。
前記多孔質凝集体及び増量剤粒子は、反対の実効電荷を有することが好ましい。したがって、該多孔質凝集体が正の実効電荷を有する場合、負の実効電荷を持つ増量剤粒子を使用することが好ましく、逆の場合も同じである。
前記多孔質凝集体の少なくとも一部、例えば約1〜約100重量%、好ましくは約5〜約100重量%、最も好ましくは約30〜約100重量%が、増量剤粒子に付着していることが好ましい。前記顔料組成物全体の平均粒径は、好ましくは約0.5μm〜約50μm、最も好ましくは約1μm〜約25μmである。該組成物全体の比表面積は、好ましくは35m2/g〜約1000m2/g、最も好ましくは約50m2/g〜約700m2/gである。一つ実施態様において、この比表面積は、約600m2/gまで、好ましくは約450m2/gまで、最も好ましくは約400m2/gまでである。該組成物中の多孔質凝集体と増量剤粒子の全含有量は、好ましくは約1重量%〜約60重量%、最も好ましくは約5重量%〜約50重量%、特に最も好ましくは約10重量%〜約50重量%である。該組成物は、更に、安定剤のような、又は塩や架橋剤などの凝集の原材料若しくは物質からの残留不純物のような他の添加剤を含んでもよい。
前記凝集の方法にかかわらず、本組成物は、少なくとも1つの水溶性アルミニウム塩を、乾燥多孔性凝集体及び増量剤粒子に対するAl23の重量%として計算して、好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約15重量%の量で含んでもよい。これらの塩の例には、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。このアルミニウムは、シリカ若しくはアミノケイ酸塩の粒子の表面上に、又は水相中に、部分的に又は完全に存在してもよい。水溶性アルミニウム塩の総含有量は、前記顔料組成物を調製するのに使用される、カチオン性アルミニウム変性シリカゾルに存在するものから由来してもよい。しかしこの顔料組成物は、また、追加的なアルミニウム塩を含んでもよい。
前記凝集の方法にかかわらず、本組成物は、好ましくは約2000〜約1000000、より好ましくは約2000〜約500000、最も好ましくは約5000〜約200000の分子量を有する、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含んでもよい。このポリマーの電荷密度は、好ましくは約0.2meq/g〜約12meq/g、より好ましくは約0.3meq/g〜約10meq/g、最も好ましくは約0.5meq/g〜約8meq/gである。前記カチオン性ポリマーは、乾燥多孔質凝集体及び増量剤粒子の量に基づき、好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約20重量%、最も好ましくは約1重量%〜約15重量%の量で組成物に存在する。適切なカチオン性ポリマーの例には、カチオン性であり、かつ好ましくは分子量及び電荷密度が上記の要件を満たすのであれば、PAM(ポリアクリルアミド)、ポリDADMAC(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリアリルアミン、ポリアミン、多糖類、及びこれらの混合物のような合成及び天然の高分子電解質が挙げられる。前記カチオン性ポリマーは、シリカ若しくはアミノケイ酸塩の粒子の表面上に、又は水相中に、部分的に又は完全に存在してもよい。
上記で記載された顔料組成物は、好ましくは少なくとも1週間、最も好ましくは少なくとも1か月間は貯蔵安定している。本組成物は、紙又は板紙を被覆するために直接使用してもよいか、又は被覆組成物を調製するための中間生成物を形成してもよい。
本発明の更なる態様は、上記で記載された顔料組成物の製造方法に関する。一つの代替的方法は、
(a)水性ゾル中でのシリカ、アルミノケイ酸塩又はこれらの混合物のコロイド一次粒子の凝集により形成され、約0.03μm〜約25μmの平均直径を有する、多孔質凝集体の水性分散液と、
(b)少なくとも一つの直径の平均サイズが、前記多孔質凝集体の平均直径よりも大きい増量剤粒子とを混合する工程を含み、
ここで、前記多孔質凝集体と増量剤粒子の重量比は、約0.01:1〜約3:1、好ましくは約0.03:1〜約2:1、最も好ましくは約0.05:1〜約1.5:1である。
別の代替的方法は、
a)シリカ又はアルミノケイ酸塩の一次粒子と増量剤粒子との重量比が約0.01:1〜約3:1、好ましくは約0.03:1〜約2:1、最も好ましくは約0.05:1〜約1.5:1である、シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子と増量剤粒子を含む水性ゾルを混合する工程、及び
b)シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子を凝集して、約0.03μm〜約25μmの平均直径を有するが、前記増量剤粒子の最大寸法の平均サイズを超えない多孔質凝集体を形成する工程
を含む。
いずれかの代替的方法において、前記増量剤粒子は、固体粉末として、水性分散液の形態で、又は他のあらゆる適切な形態で添加されてもよい。前記多孔質凝集体の形成、あらゆる任意の添加剤の添加及び他の多様な実施態様に関しては、上記記載の顔料組成物が参照される。
本発明のなお更なる態様は、結合剤及び上記で記載された顔料組成物を含む、紙又は板紙を被覆するのに適切な被覆組成物に関する。可能な結合剤の例は、ポリビニルアルコール、場合により変性されているデンプン、ゴム、タンパク質結合剤(例えば、カゼイン及び大豆タンパク質結合剤)、ラテックス、並びにこれらの混合物である。ラテックスは、スチレンブタジエン、アクリレート、酢酸ビニル、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー、スチレンアクリルエステルなどに基づくことができる。ポリビニルアルコールが特に好ましい。前記被覆組成物は、また、レオロジー変性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、不溶化剤、染料、サイズ剤などのような慣用的に使用される他の添加剤を含んでもよい。前記被覆組成物の乾燥含有量は、好ましくは約2重量%〜約75重量%、最も好ましくは約10重量%〜約70重量%である。前記顔料組成物の多孔質凝集体及び増量剤粒子の量は、乾燥含有量に基づき、好ましくは30〜約99重量%、最も好ましくは約50〜約90重量%である。前記結合剤の量は、乾燥含有量に基づき、好ましくは約1〜約70重量%、最も好ましくは約10〜約50重量%である。他の添加剤及び可能な不純物の総量は、乾燥含有量に基づき、0〜約50重量%、最も好ましくは0〜約30重量%である。適切であり、かつ好ましい実施態様に関しては、上記記載の顔料組成物が参照される。
本発明のなお更なる態様は、結合剤と上記で記載された顔料組成物とを混合する工程を含む、被覆組成物の製造方法に関する。該結合剤及びあらゆる任意の添加剤を、あらゆる適切な形態で、例えば固体物質として、液体物質として、又は水溶液、水性分散液、若しくは水性スラリーとして、前記顔料組成物に添加してもよい。適切であり、かつ好ましい実施態様に関しては、上記記載の被覆組成物及び顔料組成物が参照される。
本発明の別の態様は、上記で記載された被覆組成物を、紙又は板紙ウエブの少なくとも1つの面に塗布する工程を含む、被覆紙又は板紙の製造方法に関する。
前記被覆は、好ましくは、紙又は板紙の被覆面1つあたり、前記顔料組成物から、少なくとも約0.4g/m2から、好ましくは約0.5g/m2から約40g/m2、最も好ましくは約1g/m2から約20g/m2の多孔質凝集体及び増量剤粒子を生じるのに十分な量で塗布される。大部分の場合において、紙又は板紙の被覆面1つあたりに塗布される被覆の乾燥量は、好ましくは少なくとも約0.6g/m2から、好ましくは約0.7g/m2から約50g/m2、最も好ましくは約1.5g/m2から約25g/m2である。
前記被覆は、紙又は板紙の非被覆面に塗布されるが、また、既に塗布されている被覆層の上に、同じ又は別の被覆組成物により塗布されてもよい。本明細書で記載された前記被覆から形成される層の上に、他の種類のあらゆる更なる被覆を塗布しないことが好ましい。
前記被覆を塗布することは、紙若しくは板紙抄紙機の上、又は紙若しくは板紙抄紙機の外のいずれかで、実施することができる。いずれの場合でも、あらゆる種類の被覆方法が使用できる。これらの被覆方法の例は、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、サイズプレスコーティング(例えば、フィルムプレスコーティング)、及びキャストコーティングである。
前記被覆を塗布した後、この紙は乾燥され、機械上の場合は、被覆は好ましくは機械の乾燥セクションで達成される。赤外線放射、熱風、加熱シリンダー、又はこれらの任意の組み合わせのような、あらゆる乾燥方法を使用してもよい。
本明細書で使用されるとき、被覆という用語は、顔料が紙又は板紙の表面に塗布されるあらゆる方法を意味し、したがって、従来の被覆のみならず、例えば顔料着色のような他の方法も含む。
前記被覆される紙及び板紙は、硫酸塩、亜硫酸及びオルガノソルブパルプのような化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケムサーモメカニカルパルプ(CTMP)のような機械パルプ、未使用若しくは回収繊維又はこれらの任意の組み合わせに基づく硬材及び軟材のさらし又は未さらしパルプの両方からの精砕パルプ又は砕木パルプのような、あらゆる種類のパルプから作製できる。他のあらゆる種類のパルプからの紙及び板紙もまた、本発明により被覆されてもよい。
前記被覆組成物の更なる詳細及び実施態様に関しては、上記記載のものが参照される。
本発明は、最後に、上記で記載された方法により得られる、インクジェット印刷に適切な紙又は板紙に関する。そのような紙又は板紙は、好ましくはナノ構造を形成する被覆組成物からの多孔質凝集体及び増量剤粒子を含む、好ましくは実質的に非透明な層を含む。この被覆の乾燥量は、好ましくは少なくとも約0.6g/m2から、好ましくは約0.7g/m2から約50g/m2、最も好ましくは約1.5g/m2から約25g/m2である。紙又は板紙の被覆面1つあたりの、前記顔料組成物からの多孔質凝集体及び増量剤粒子の量は、好ましくは少なくとも約0.4g/m2から、好ましくは約0.5g/m2から約40g/m2、最も好ましくは約1g/m2から約20g/m2である。好ましくは、この層の上に他の種類の被覆が適用されない。
本発明の紙又は板紙は、線の低いぼやけ及び色むら、並びに色の高い印刷濃度を与えるインクジェット印刷に良好な特性を有するが、有利には、トナー、フレキソ印刷、凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷及びスクリーン印刷のような他の種類の印刷法にも使用できることが、見出されている。少量の被覆を適用するだけの、多数の異なる被覆層を紙又は板紙に適用する必要のない簡単な方法によって、そのような良好な特性を得ることができることが特に有利である。これは、そのような被覆を、フィルムプレスのようなサイズプレスにより適用することを可能にし、このことは、実用的な理由から有利である。更に、前記顔料組成物の主要成分は、容易に入手可能な原材料から作製できる。
ここで本発明を以下の実施例で更に説明する。特に記述のない限り、全ての部及び百分率は、重量部及び重量%を意味する。
実施例1:4つの顔料組成物を調製した:
A:平均粒子直径約15nmのSiO2を30重量%含有する、Eka Chemicals ABからのカチオン性水性シリカゾルBindzil(登録商標)CAT 220を希釈して10重量%とした。この希釈シリカゾルをガラスビーカー中で撹拌し、0.06mol/lの硫酸アルミニウム溶液を、ゾルが白色になり、粘度が増加するまで滴加し、これは、硫酸アルミニウムの濃度が溶液中で0.0125mol/lに達したときに起こった。凝集体の平均直径は0.3μmであると決定した(Malvern instrumentからのZetamasterで測定、単峰性分析)。
B:増量剤粒子の20重量%水性分散液を被覆粘土(SPS, Imerys, UK)から調製した。この粘土の平均粒径は、Malvern InstrumentからのMastersizer Micro Plusを使用して(方法50HD)、1.64μmであると決定した。
C:Bで調製された粘土分散液30mlを、事前に凝集しないで、Aと同じ希釈シリカゾル15mlと混合した。
D:Aで調製された凝集シリカゾル15mlを、Bで調製された粘土分散液30mlと混合して、シリカの凝集体と増量剤粒子を含む顔料組成物を得た。
上記の顔料組成物を、それぞれ、水に10重量%溶液として溶解した実験室等級ポリビニルアルコール(MW150000)と混合して、被覆配合物の調製に使用した。全ての配合物は、約15重量%の固形分、及びポリビニルアルコールと固体顔料の重量比の0.5:1を有した。
被覆配合物を、未被覆コピー用紙(M-realからのA4サイズData Copy)の表面に、ワイヤ付ロッドを用いたドローダウン法により適用し、それから、紙を乾燥ドラムで乾燥した。シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのブロックを含んだ試験画像を、Hewlett-Packard(HP Deskjet 970Cxi)からのインクジェットプリンタによりそれぞれの乾燥紙に印刷した。それぞれの色について、色密度を色濃度計(GretagMacbeth D19C, Gretag AG)で決定し、数字を下記の表で示す。
Figure 0004897694
この実験から、前記顔料組成物Dを含む被覆配合物が、最良の総合的な印刷密度を与えたことを見ることができる。組成物Aで被覆された紙に印刷された色には強い色むらがあることも、注目された。
実施例2:4つの顔料組成物を調製した:
A:2つの水性シリカゾルを使用し、アニオン性シリカゾルBindzil(登録商標)15/500と、カチオン性シリカゾルBindzil(登録商標)CATであり、両方ともEka Chemicalsからのものであり、15重量%のSiO2を含有し、約6nmの平均一次粒子直径を有した。30重量%の水性粘土分散液(実施例1と同じ粘土、平均粒径1.64μm)37.5g、カチオン性ゾル90g、アニオン性ゾル135g及び水37.5gを、激しい撹拌下で混合し、ゾルからの一次シリカ粒子の凝集体と粘土からの増量剤粒子とを含む高粘度の顔料組成物を得た。増量剤の添加前の凝集シリカゾルの平均直径は、0.57μmであると決定した(Zetamasterによるmonomodal分析)。
B:沈降シリカ、22重量%の固形分及び3.4μmの平均粒径(Mastersizer)を有するRhodiaからのTixosil(商標)365 SP、102gを、カチオン性シリカゾル60g、アニオン性シリカゾル90g及び水48gと、Aと同様に混合して、ゾルからの一次シリカ粒子の凝集体と沈降シリカからの増量剤粒子とを含む高粘度の顔料組成物を得た。増量剤の添加前の凝集シリカゾルの平均直径は、0.69μmであると決定した(Zetamasterによる測定)。
C:Aで使用したのと同じ粘度分散液。
D:Bで使用したのと同じ沈降シリカ。
上記の顔料組成物を、それぞれ、ポリビニルアルコール結合剤(ACETEX Co., SpainからのERKOL(商標)26/88)と混合して、被覆配合物の調製に使用した。全ての配合物は、約15重量%の固形分、及びポリビニルアルコールと固体顔料の重量比の0.25:1を有した。
前記被覆を実施例1のようにコピー用紙に塗布した。シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン、ブルー、レッド及びブラックのブロックを含む試験画像を、全ての色に顔料着色インクを使用して、Epson Stylus C84インクジェットプリンタによりそれぞれの被覆紙に印刷した。これらの印刷されたブロック及び印刷されていない紙を、分光光度計(TechnidyneからのColor Touch 2)で測定し、色域量を計算した。この域量を、CEI L*a*b*色空間の十二面体で概算し、これらの色の測定値は、十二面体の角を与える("Rydefalk Staffan, Wedin Michael; Litterature review on the colour Gamut in the Printing Process-Fundamentals, PTF-report no 32, May 1997"を参照すること)。
結果を以下の表に示す。
Figure 0004897694
この結果から、顔料組成物A及びBが、域量で測定すると、より高い印刷品質を与えたことを見ることができる。
実施例3:2つの顔料組成物を調製した:
A:被覆粘度(実施例1と同じ、粒径1.64μm)の30重量%水性分散液16.7g、Bindzil 50/80(平均粒径40nmのシリカゾル50重量%、Eka Chemicalsから)10g、Eka ATC 8210(Eka Chemicalsからのポリ塩化アルミニウム25重量%)3g及び水70gを、UltraTurrax中、激しい撹拌下(10000rpm)で混合した。これにより、シリカと粘度の重量比が1:1の顔料分散液10重量%を得た。増量剤の添加前の凝集シリカゾルの平均直径は、0.45μmであると決定した(Zetamasterによるmonomodal分析)。
B:被覆粘度(実施例1と同じ)の30重量%水性分散液16.7g、シリカゲル型の生成物(乾燥粉末)5g、及び水78gを混合(Aと同じUltraTurrax)して、10重量%の顔料分散液(シリカ/粘土の比1:1)を得た。このシリカゲル型生成物(Grace Davison)は、12μmの二次粒径及び400m2/gの表面積を有し、7〜8nmの一次粒径に相当した。
10重量%の固形分及びポリビニルアルコールと固体顔料の重量比の0.25:1を有する被覆配合物を、実施例2と同様に調製した。これらの被覆物を紙に塗布し、IR乾燥機(Hedson Technologies AB Sweden)で乾燥した。印刷試験を、Epson Stylus C84及びHP5652(Hewlett Packard)インクジェットプリンタにより、実施例2で記載されたように実施した。結果を下記の表に表わす。
Figure 0004897694
シリカゾル凝集体(A)を含有する顔料組成物は、ゲル型のシリカを含有する対応する顔料組成物よりも、高い域量を与えた。注意深い可視検査は、プリントアウトにおいて良好な線の鮮鋭度、及び色のブリーディングがないことを明らかにした。
実施例4:2つの顔料組成物を調製した:
A:10重量%のSiO2を含有し、約865m2/gの表面積を有する、イオン交換法により調製されたアニオン性シリカゾルを、変性カルボキシメチルセルロース(CMC)の2.5重量%水溶液14.2gをシリカゾル100gに連続撹拌下でゆっくりと加えて高粘度の透明溶液を得ることによって、凝集した。変性CMCは、カルボキシル基に関して0.65のDSを有し、第四級窒素基(DS0.43)を組み込むことによって更に変性して、生成物のカチオン特性を得た。この分散液中の凝集物の平粒子均直径は、Zetamasterを使用して、0.7μmであると決定した。次にこの分散液を、沈降シリカ(Tixosil 365 SP、平均粒径3.4μm、実施例2を参照すること)45g及び水45gと激しく混合した。
B:沈降シリカ(Tixosil 365 SP)の10重量%水性分散液を調製した。
約10重量%の固形分及びポリビニルアルコールと固体顔料の重量比の0.25:1を有する被覆配合物を、実施例2と同様に調製した。これらの被覆を、実施例3と同様に、紙に塗布し、乾燥した。印刷試験を、実施例2と同様に、2台のインクジェットプリンタ、Epson C84及びHP 5652で実施した。この域量を測定し、以下の結果を得た。
Figure 0004897694
顔料組成物Aが組成物Bよりも良好な印刷品質を与えると思われる。

Claims (14)

  1. (a)シリカ、アルミノケイ酸塩又はこれらの混合物のコロイド一次粒子の水性ゾル中での凝集により形成され、0.03〜25μmの平均直径を有する、多孔質凝集体と、
    (b)少なくとも1つの直径の平均サイズが、前記多孔質凝集体の平均直径よりも大きく、0.04〜32.5μmの範囲である増量剤粒子とを含み、
    前記シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子が、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液から形成され、アルカリ金属イオンがイオン交換法によって除去されるか、又は前記アルカリ金属ケイ酸塩が酸の添加により中和されることにより形成され、
    多孔質凝集体と増量剤粒子の重量比が、0.01:1〜3:1であり、
    前記多孔質凝集体及び前記増量剤粒子が反対の実効電荷を有する、水性分散液の形態のインクジェット印刷用の紙又は板紙を被覆するための顔料組成物。
  2. 前記多孔質凝集体の少なくとも一部が増量剤粒子に付着している、請求項1記載の組成物。
  3. 前記増量剤粒子が、カオリナイト、スメクタイト、タルサイト、炭酸カルシウム鉱物、沈降シリカ、ゲル型シリカ、ヒュームドシリカ、沈降炭酸カルシウム、及びこれらの混合物からなる群より選択される物質である、請求項1又は2記載の組成物。
  4. 組成物中の多孔質凝集体と増量剤粒子の総含有量が1〜60重量%である、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
  5. 前記シリカ、アルミノケイ酸塩又はこれらの混合物のコロイド一次粒子の平均粒子直径が2nm〜75nmである、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載の顔料組成物の製造方法であって、
    (A)アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液から、アルカリ金属イオンをイオン交換法によって除去するか、又は該アルカリ金属ケイ酸塩を酸の添加により中和することによって、シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子を形成し、(B)(a)該シリカ、アルミノケイ酸塩又はこれらの混合物のコロイド一次粒子の水性ゾル中での凝集により形成され、かつ0.03〜25μmの平均直径を有する、多孔質凝集体の水性分散液と、(b)少なくとも一つの直径の平均サイズが、該多孔質凝集体の平均直径よりも大きく、0.04〜32.5μmである増量剤粒子とを混合する工程を含み、
    多孔質凝集体と増量剤粒子の重量比が、0.01:1〜3:1であり、
    前記多孔質凝集体及び前記増量剤粒子が反対の実効電荷を有する、方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一項記載の顔料組成物の製造方法であって、
    (a)シリカ又はアルミノケイ酸塩の一次粒子と増量剤粒子との重量比が0.01:1〜3:1である、シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子と増量剤粒子を含む水性ゾルを混合する工程、及び
    (b)シリカ又はアルミノケイ酸塩のコロイド一次粒子を凝集して、0.03μm〜25μmの平均直径を有するが、増量剤粒子の最大寸法の平均サイズを超えない多孔質凝集体を形成する工程
    を含む方法。
  8. 請求項6又は7記載の方法により得られる顔料組成物。
  9. 結合剤及び請求項1〜5又は8のいずれか一項記載の顔料組成物を含む、紙又は板紙を被覆するのに適切な被覆組成物。
  10. 結合剤が、ポリビニルアルコール、場合により変性されているデンプン、ゴム、タンパク質結合剤、ラテックス及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項記載の被覆組成物。
  11. 結合剤と請求項1〜5又は8のいずれか一項記載の顔料組成物とを混合する工程を含む、被覆組成物の製造方法。
  12. 請求項9又は10記載の被覆組成物を、紙又は板紙ウエブの少なくとも1つの面に適用する工程を含む、被覆紙又は板紙の製造方法。
  13. 被覆が、前記紙又は板紙の被覆面1つあたり、顔料組成物から0.4g/m2〜40g/m2の多孔質凝集体及び増量剤粒子を生じるのに十分な量で適用される、請求項12記載の方法。
  14. 請求項12又は13に記載の方法により得られる紙又は板紙。
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