JP2004175113A - インクジェット記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 このインクジェット記録媒体は、支持体上に、平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層と該インク受理層上にポリマー分散物を塗工してなる光沢層とを有し、前記ポリマー分散物が、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であると共に、該ポリマー分散物中のポリマー微粒子が粒子形状を保ったまま前記インク受理層上に存在して前記光沢層を形成している。
【選択図】 図1
Description
さらに、光沢を付与する目的で、(メタ)アクリルアミドを含むアクリル・スチレン系ポリマー分散物を、インク透過性が生ずるように塗布したインクジェット記録用紙が知られている。この場合には前記ポリマー分散物が特に水溶性の(メタ)アクリルアミドを共重合しているので、特にインクの浸透性が良好となる。更に、スチレン、アクリル系モノマーを主成分として共重合させているので、ガラス転移温度が室温に比べ十分に高い粒子となる上、特に重合時に反応性乳化剤を使用することにより、得られた共重合体の溶融温度以下でもポリマー粒子同士が点接着し、空隙を保った層となるので、空隙を利用してインクの浸透が図られる(特許文献9)。しかしながら、上記ポリマー分散物を用いた場合には、記録画像の発色性及び色再現性に劣ると言う欠点があった。
従って、本発明の第1の目的は、高い光沢性や良好なインク吸収性を有すると共に、発色性や色再現性にも優れた良好な画像品質を得られるインクジェット記録媒体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、高い光沢性や良好なインク吸収性を有すると共に、発色性や色再現性にも優れたインクジェット記録媒体の製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、支持体上に、平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層と該インク受理層上にポリマー分散物を塗工してなる光沢層とを有するインクジェット記録媒体であって、前記ポリマー分散物が、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であると共に、該ポリマー分散物中のポリマー微粒子が粒子形状を保ったまま前記インク受理層上に存在して前記光沢層を形成していることを特徴とする。
前記ポリマー分散物中のスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の平均粒子径が100〜200nmであることが好ましい。又、前記無機微粒子が、前記インク受理層を形成する塗工液に分散した状態で一次粒子径10〜100nmの球状コロイダルシリカが複数個凝集したコロイダルシリカを含有することが好ましい。
前記光沢層側表面の75度鏡面光沢度が50%以上であることが好ましく、前記支持体と前記インク受理層の間に、合成シリカと親水性バインダーからなるアンダー層を設けてなることが好ましい。又、前記ポリマー分散物が、単量体成分として、前記カチオン性単量体を2〜30重量%含有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体上に、必要に応じて微粒子合成シリカと親水性バインダーとからなるアンダー層を設けた後、該アンダー層上に平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層を設け、次いで、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であるポリマー分散物を該インク受理層上に塗工・乾燥して光沢層を設けた後、該光沢層表面に40℃以下で常温以上でソフトカレンダー処理あるいはマシンカレンダー処理を行うことを特徴とする。
又、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体上に、必要に応じて微粒子合成シリカと親水性バインダーとからなるアンダー層を設けた後、該アンダー層上に平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層を設け、次いで、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であるポリマー分散物を該インク受理層上に塗工・乾燥して光沢層を設けた後、カレンダー処理を行わないことを特徴とする。
この様な微粒子としては、コロイダルシリカや合成シリカを機械的に粉砕して得られるシリカゾル、気相法シリカ等のシリカ微粒子やアルミナゾル、気相法アルミナ等のアルミナ微粒子を用いることができる。本発明においてはシリカ微粒子を使用することが好ましく、特にコロイダルシリカが好ましく用いられる。コロイダルシリカとは、湿式法で合成された一次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、凝集して非球状の二次粒子となる場合も含まれる。また、球状のコロイダルシリカ粒子の表面にアクリル系高分子を結合させたコア/シェル構造の粒子を水性溶媒中に分散させた水性分散体もコロイダルシリカに含まれる。なお、これらの場合、それぞれ上記二次粒子径、コア/シェル構造の内径が無機微粒子の平均粒子径となる。
コロイダルシリカは、密に詰まることによって塗工層強度も高いものとなる。また、インク受理層は2層以上の多層で構成することも出来る。また、必要に応じて、2種以上のコロイダルシリカを混合して使用することも可能である。なお、通常、インク受理層は、無機微粒子が主成分で、その他の助剤を従成分としている。
ここで、「房状」とは、二次粒子として凝集したコロイダルシリカの短手方向(凝集体の最も長い方向と垂直な方向)から見ると、実質的に少なくとも2個の球状コロイダルシリカが結合している部分があることをいう。又、「鎖状」とは、長手方向に複数個のコロイダルシリカがつながるが、短手方向に1個のコロイダルシリカしかない状態である。また、「パールネックレス状」とは、鎖状のコロイダルシリカが環になった状態である。なお、分散した状態のコロイダルシリカを観察した場合に、凝集しない単体のコロイダルシリカが存在していてもよい。
本発明においては、インク受理層中に助剤として、更に、サイズ剤、界面活性剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、保水剤などを適宜配合することもできる。
その他のエチレン性単量体としては、(メタ)アクリル酸エチルなどの低級エステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などカルボキシル基含有単量体、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体などがある。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+…+wn/Tgn
以下、実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
攪拌機、滴下槽及び温度計を具備した反応容器に、水310部と30%オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオンAB:日本油脂(株)製の商品名、カチオン性乳化剤(反応には寄与しないもの))9部、50%アクリルアミド水溶液32部、チオグリコール酸1部、80%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド14部、スチレン86部、及びメチルメタクリレート46部を仕込んで混合し、窒素ガスを吹き込みながら昇温し60℃とした。次いで、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド(V−50:和光純薬(株)製の商品名)水溶液12部を加えて重合を開始した。発熱重合し、85℃に1時間保った後、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2部を加えて80℃で2時間保ち重合を終了した。水で希釈し、固形分濃度28%で粘度10mPa・s、平均粒子径140nm、ガラス転移温度103℃のカチオン性ポリマー微粒子の分散物を得た。
攪拌機、温度計を具備した反応容器に水330部と酢酸6.5部、30%セチルトリメチルアンモニウムクロライド(コータミン60W:花王(株)製の商品名、カチオン性乳化剤)6.4部、50%アクリルアミド水溶液16部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート16部、チオグリコール酸1部、スチレン64部、メチルメタクリレート61部、n−ブチルアクリレート11部を仕込み混合し、窒素ガスを吹き込みながら昇温し60℃とした中に6%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド(V−50:和光純薬(株)製の商品名)水溶液4.2部を加えて重合を開始した。発熱重合で85℃に1時間保った後、3%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液3.7部を加えて80℃で1時間攪拌した。その後冷却して水で希釈し、固形分濃度30%で粘度160mPa・s、平均粒子径140nm、ガラス転移温度77℃のカチオン性ポリマー微粒子の分散物を得た。
攪拌機、滴下槽及び温度計を具備した反応容器に、水300部と酢酸0.5部、30%セチルトリメチルアンモニウムクロライド(コータミン60W:花王(株)製の商品名、カチオン性乳化剤)9部、50%アクリルアミド水溶液16部、チオグリコール酸1部、及び80%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド20部を仕込んで混合し、窒素ガスを吹き込みながら昇温し80℃とした中に、スチレン78部、及びメチルメタクリレート42部、nブチルアクリレート16部の混合物136部を2時間かけて滴下仕込みした。同時に、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド(V−50:和光純薬(株)製の商品名)水溶液16部を加えて滴下仕込みした。その後、85℃に2時間保った後、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2部を加えて80℃で2時間保ち重合を終了した。水で希釈し、固形分濃度33%で粘度18mPa・s、平均粒子径120nm、ガラス転移温度75℃のカチオン性ポリマー微粒子の分散物を得た。
攪拌機、滴下槽及び温度計を具備した反応容器に、水310部と30%ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオンBB:日本油脂(株)製の商品名、カチオン性乳化剤)6.4部、50%アクリルアミド水溶液25.6部、チオグリセロール0.7部、60%メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド40部、スチレン55部、及びメチルメタクリレート68部を仕込んで混合し、窒素ガスを吹き込みながら昇温し60℃とした中に、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド(V−50:和光純薬(株)製の商品名)水溶液12部を加えて重合を開始した。発熱重合し、85℃に1時間保った後、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2部を加えて80℃で2時間保ち重合を終了した。水で希釈し、固形分濃度26%で粘度22mPa・s、平均粒子径150nm、ガラス転移温度98℃のカチオン性ポリマー微粒子の分散物を得た。
攪拌機、滴下槽及び温度計を具備した反応容器に、水300部、アニオン性の反応性乳化剤としてアリルノニルフェノールポリオキシエチレンオキシド(EO付加10モル)付加硫酸エステルアンモニウム(アクアロンHS−10:第一工業製薬(株)製の商品名)9部、50%アクリルアミド水溶液25部、水溶性連鎖移動剤としてチオグリコール酸1部を混合した。窒素ガスを吹き込みながら75℃に昇温して、スチレン140部、メタクリル酸メチル86部、アクリル酸エチル10部、アクリル酸1部の混合物を2時間かけて滴下した。同時に、2%過硫酸アンモニウム水溶液25部を2時間15分かけて滴下した。次いで、85℃で2時間保持して重合を終了させ、アンモニア水を加えてpH8.0に中和し、固形分濃度38%、粘度110mPa・s、平均粒子径82nm、ガラス転移温度97℃のアニオン性ポリマー微粒子の分散物を得た。
攪拌機、滴下槽及び温度計を具備した反応容器に、水310部と30%ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオンBB:日本油脂(株)製の商品名、カチオン性乳化剤)6.4部、50%アクリルアミド水溶液25.6部、チオグリセロール0.7部、60%メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド40部、スチレン55部、ジビニルベンゼン(架橋性を有する単量体)10部及びメチルメタクリレート68部を仕込んで混合し、窒素ガスを吹き込みながら昇温し60℃とした中に、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド(V−50:和光純薬(株)製の商品名)水溶液12部を加えて重合を開始した。発熱重合し、85℃に1時間保った後、4%の2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2部を加えて80℃で2時間保ち重合を終了した。水で希釈し、固形分濃度29%で粘度15mPa・s、平均粒子径130nm、ガラス転移温度98℃のカチオン性ポリマー微粒子の分散物を得た。
広葉樹漂白クラフトパルプ100%を叩解して濾水度を350mlに調整したパルプに、炭酸カルシウム15部、カチオン化澱粉1部、アニオン化ポリアクリルアミド0.3部、及びアルキルケテンダイマー0.5部を添加し、長網抄紙機で抄造乾燥した後マシンカレンダー処理を行い、坪量157g/m2の支持体を製造した。
アンダー層
合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ(株)製の商品名)100部、ポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ(株)製の商品名)40部、スチレンブタジエンラテックス(LX438C:日本ゼオン(株)製の商品名)5部、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業(株)製の商品名)2部、及び染料定着剤(PAS−H−10L:日東紡績(株)製の商品名)5部に希釈水を加え攪拌して、固形分濃度20%の塗料を得た。この塗料を、バーブレードコーターを用いて前記支持体上に塗工量が12g/m2となるように塗工し、アンダー層を塗工層として有する塗工紙を得た。
インク受理層
上記のようにして製造したアンダー層用塗料を塗工した支持体に、平均一次粒子径15nm、平均二次粒子径70nmで、2次粒子の形状が鎖状であるコロイダルシリカ(スノーテックス UP:日産化学工業(株)製の商品名)100部、染料定着剤(PF700:昭和高分子(株)製の商品名)6部を混合してなる固形分濃度16%の塗料を、バーブレードコーターを用いて塗工量が5g/m2となるように塗工した。
光沢層
前記合成例1で調製したカチオン性ポリマー分散物を固形分換算で100部、及びポリビニルアルコール(PVA−217:クラレ(株)製の商品名)2部を添加してなる固形分10%の塗工液を、バーブレードコーターを用い、前記インク受理層が形成された支持体上に塗工量が1.0g/m2となるよう塗工乾燥し、実施例1のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1と全く同様にして、支持体を製造した。
アンダー紙
実施例1と全く同様にして、アンダー層を塗工層として有する塗工紙を得た。
インク受理層
実施例1で使用したコロイダルシリカの代わりに、平均一次粒子径40nm、平均二次粒子径150nmで、2次粒子の形状がパールネックレス状(鎖状のものが環形になったもの)であるコロイダルシリカ(スノーテックス PS−L:日産化学工業(株)製の商品名)を使用した他は、実施例1と全く同様にしてインク受理層を形成した。
光沢層
実施例1で使用したカチオン性ポリマー分散物の代わりに前記合成例2で調製したカチオン性ポリマー分散物を使用した他は、実施例1と全く同様にして実施例2のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1と全く同様にして、支持体を製造した。
インク受理層
塗工量を10g/m2としたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインク受理層を形成した。なお、アンダー層は設けなかった。
光沢層
実施例1と全く同様にして光沢層を塗工し、実施例3のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1と全く同様にして、支持体を製造した。
アンダー紙
合成非晶質シリカ(ニップジェルAY−601:日本シリカ(株)製の商品名)100部、ポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ(株)製の商品名)20部、エチレン酢酸ビニル(BE7000:中央理化工業(株)製の商品名)15部、サイズ剤(SS335:日本PMC(株)製の商品名)2部、染料定着剤(ユニセンスCP−103:センカ(株)製の商品名)5部に希釈水を加え混合、攪拌して、固形分濃度20%の塗料を得た。この塗料を、バーブレードコーターを用いて前記支持体上に塗工量が12g/m2となるように塗工し、アンダー層を塗工層として有する塗工紙を得た。
インク受理層
実施例1で使用したコロイダルシリカの代わりに、平均一次粒子径30nm、平均二次粒子径280nmで、2次粒子の形状が房状であるコロイダルシリカ(スノーテックス HS−M−20:日産化学工業(株)製の商品名)を使用したことの他は、実施例1と全く同様にしてインク受理層を形成した。
光沢層
実施例1で使用したカチオン性ポリマー分散物の代わりに前記合成例3で調製したカチオン性ポリマー分散物を使用し、光沢層の塗工量を2.0g/m2とした以外は、実施例1と全く同様にして実施例6のインクジェット記録媒体を得た。
広葉樹漂白クラフトパルプ100%を叩解して濾水度を400mlに調整したパルプに、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部及び歩留まり向上剤0.3部を添加し、公知の長網抄紙機で抄造乾燥した後、サイズプレスによって片面当たりの乾燥塗工量が1.5g/m2となるように酸化澱粉を塗工し、乾燥後マシンカレンダー処理を行い、坪量100g/m2の支持体を製造した。
アンダー紙
合成非晶質シリカ(サイロジェットP−409:グレース(株)製の商品名)100部、ポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ(株)製の商品名)30部、スチレンブタジエンラテックス(LX438C:日本ゼオン(株)製の商品名)5部、エチレン酢酸ビニル(BE7000:中央理化工業(株)製の商品名)5部、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業(株)製の商品名)2部、染料定着剤(ポリフィックス700:昭和高分子(株)製の商品名)8部に希釈水を加え混合、攪拌して、固形分濃度20%の塗料を得た。この塗料を、バーブレードコーターを用いて前記支持体上に塗工量が12g/m2となるように塗工し、アンダー層を塗工層として有する塗工紙を得た。
インク受理層
上記のようにして製造したアンダー層用塗料を塗工した支持体に、実施例1で使用したコロイダルシリカの代わりに、平均一次粒子径50nmの球状コロイダルシリカにアクリルエマルジョンで被覆したコア−シェル型の無機・有機ハイブリッドエマルジョン(#85:水谷ペイント(株)製の商品名)を使用し、染料定着剤(エポミンP1000:日本触媒(株)製の商品名)6部を混合してなる固形分濃度16%の塗料を、バーブレードコーターを用いて塗工量が3g/m2となるように塗工した。
光沢層
実施例1で使用したカチオン性ポリマー分散物の代わりに、前記合成例4で調製したカチオン性ポリマー分散物を使用したことの他は、実施例1と全く同様にして光沢層を形成し、実施例7のインクジェット記録媒体を得た。
光沢層として、実施例1で用いたカチオン性ポリマー分散物の代わりに、前記比較合成例1で調製したアニオン性ポリマー分散物を使用したことの他は、実施例1と全く同様にして比較例1のインクジェット記録媒体を得た。
光沢層として、実施例1で用いたカチオン性ポリマー分散物の代わりに、カチオン性アクリル樹脂エマルジョン(NM−11:三井化学(株)製の商品名)(平均粒子径125nm、ガラス転移温度−20度、単量体としてスチレンは含有されない)を使用したことの他は、実施例1と全く同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を得た。
支持体及びアンダー紙
実施例1で用いたのと同一の支持体上に、実施例と全く同様にしてアンダー層を形成し、アンダー紙を得た。
インク受理層
実施例1で用いたアンダー層用塗料をインク受理層用の塗工液とし、バーブレードコーターを用いて乾燥塗工量が5g/m2となるようにインク受理層を形成した。なお、アンダー層用塗料中の合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ(株)製の商品名)は、粒子径が3700nm(3.7μm)である。
光沢層
上記インク受理層上に、実施例1と全く同様にして光沢層を塗工し、比較例3のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を製造し、ソフトニップカレンダーマシンにより、線圧980.7N/cmでカレンダー処理を行い、比較例4のインクジェット記録媒体を得た。このとき、光沢層に接するカレンダーロールを加熱し、その表面温度は80℃となるように調整した。得られたインクジェット記録媒体の光沢層表面を反射型電子顕微鏡で観察した結果、光沢層は一様な面からなる樹脂層となっており層に空隙はなく、粒子形状を保ったままのポリマー微粒子を観察することはできなかった。
光沢層として、実施例1で用いたカチオン性ポリマー分散物の代わりに、前記比較合成例2で調製したカチオン性ポリマー分散物を使用したことの他は、実施例1と全く同様にして比較例5のインクジェット記録媒体を得た。
上記実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた記録媒体の評価を、以下に示す方法により行った。各項目において、△以上の評価であれば実用に供することができる。
またインクジェット印字評価については、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン社製のPM−9000Cを用いて、「半光沢フォト紙・きれい」モードで印字を行った。
塗工表面の75°鏡面光沢度をJIS−P−8142に準拠して、村上色彩技術研究所製鏡面光沢度計(GM−26 for 75°)により測定した。
○:75°鏡面光沢度が60%以上である。
△:75°鏡面光沢度が50%以上60%未満である。
×:75°鏡面光沢度が50%未満である。
表計算ソフト「エクセル」で作製したブラック、シアン、マゼンダ、イエローのベタ画像を印字した。印字後のサンプルを恒温恒湿室にて24時間放置した後、マクベス濃度計(RD915、Macbeth社製)を用いて各色の印字濃度を測定し、得られた測定値の合計により評価した。
○:4色合計が7.5以上である。
△:4色合計が7.0以上7.5未満である。
×:4色合計が7.0未満である。
レッドとグリーン、及びブルーとイエローの各ベタ画像をそれぞれ隣り合わせにして印字して、その境界部の滲み具合を総合評価した。
○:境界部が鮮明でかつ滲みが認められない。
△:境界部がやや不鮮明だが滲みは認められない。
×:境界部が不鮮明で滲みが認められる。
シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブラック各色のベタ印字部を、分光色差計(NF999、日本電色工業(株)製)を用いてD65光源、10度視野で測定し、L*a*b*値を求めた。各色(6色)についてa*値をx軸上に、b*値をy軸上にプロットし、各6色の点を頂点とする六角形の面積(Gamut面積)を測定し、この値により評価した。なお、通常、レッドはx−y軸上の第1象限に、イエローはy軸上(y>0)に、グリーンは第2象限に、シアンは第3象限に、ブルーはy軸上(y<0)に、マゼンタは第4象限に位置する。
○:Gamut面積が11000以上である。
△:Gamut面積が9000以上11000未満である。
×:Gamut面積が9000未満である。
一方、アニオン性のポリマー微粒子分散物を光沢層に用いた比較例1の場合、白紙光沢度とインク吸収性は良好であるが、特に色再現性に劣っていることが分かる。
また、スチレンを含有しないポリマー微粒子分散物を光沢層に用いた比較例2や、高温のカレンダー処理を行った比較例4においては、白紙光沢度は比較的良好であるものの、光沢層乾燥時やカレンダー処理時に、熱で光沢層のポリマー同士が溶融・皮膜化したために粒子間空隙が殆どなく、特にインク吸収性が劣る結果となった。
更に、コロイダルシリカを主成分とするインク受理層を設けなかった比較例3の場合には、白紙光沢度はかなり低く、さらに発色性、色再現性も劣る。このことから、平均粒子径が500nm以上の無機微粒子をインク受理層に用いた場合は、光沢層表面に明瞭な凹凸が存在し高光沢のインクジェット記録媒体は得られないことが分かる。
また、架橋したポリマー微粒子を光沢層に用いた比較例5においては、光沢性以外の評価は全て目標とする品質を得ることができなかった。この理由は明確でないが、ポリマー微粒子の表面物性が、架橋により変化することによると考えられる。
以上の結果は、本発明により得られたインクジェット記録媒体が、高い光沢性や良好なインク吸収性を有するだけでなく発色性及び色再現性にも優れた良好な画像品質を得られるものであることを実証するものである。
Claims (8)
- 支持体上に、平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層と該インク受理層上にポリマー分散物を塗工してなる光沢層とを有するインクジェット記録媒体であって、前記ポリマー分散物が、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であると共に、該ポリマー分散物中のポリマー微粒子が粒子形状を保ったまま前記インク受理層上に存在して前記光沢層を形成していることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 前記ポリマー分散物中のスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の平均粒子径が100〜200nmである、請求項1に記載されたインクジェット記録媒体。
- 前記無機微粒子が、前記インク受理層を形成する塗工液に分散した状態で一次粒子径10〜100nmの球状コロイダルシリカが複数個凝集したコロイダルシリカである、請求項1又は2に記載されたインクジェット記録媒体。
- 前記光沢層側表面の75度鏡面光沢度が50%以上である、請求項1〜3の何れかに記載されたインクジェット記録媒体。
- 前記支持体と前記インク受理層の間に、合成シリカと親水性バインダーからなるアンダー層を設けてなる、請求項1〜4の何れかに記載されたインクジェット記録媒体。
- 前記ポリマー分散物が、単量体成分として、前記カチオン性単量体を2〜30重量%含有する、請求項1〜5の何れかに記載されたインクジェット記録媒体。
- 支持体上に、必要に応じて微粒子合成シリカと親水性バインダーとからなるアンダー層を設けた後、該アンダー層上に平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層を設け、次いで、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であるポリマー分散物を該インク受理層上に塗工・乾燥して光沢層を設けた後、該光沢層表面に40℃以下で常温以上でソフトカレンダー処理あるいはマシンカレンダー処理を行うことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
- 支持体上に、必要に応じて微粒子合成シリカと親水性バインダーとからなるアンダー層を設けた後、該アンダー層上に平均粒子径10nm〜500nmの無機微粒子を主成分とするインク受理層を設け、次いで、単量体成分として、少なくともカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びメチルメタクリレートを共重合反応させ架橋していないスチレン・アクリル系ポリマー微粒子の分散物であるポリマー分散物を該インク受理層上に塗工・乾燥して光沢層を設けた後、カレンダー処理を行わないことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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