JP2005103827A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料インクを使用した場合に、インク吸収性だけでなく、発色性や色再現性にも優れ、印刷校正にも適したインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】 このインクジェット記録媒体は、顔料と結着剤とを含む2層のインク受理層を支持体表面に連続して積層してなり、そのうち、下層のインク受理層における顔料はカオリン及び非晶質合成シリカを主成分とし、上層のインク受理層における顔料は気相法アルミナ等の気相法で製造された金属酸化物微粒子を主成分とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、顔料インク適性を有するインクジェット記録媒体に関し、特に、風合いが一般コート紙に近く、印刷校正用途(プルーフ用途)に適したインクジェット記録媒体に関する。
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易で、印字騒音が少なく、現像−定着の処理が不要なこと等から急速に普及している。インクジェット記録方式はノズルから記録媒体にインク液滴を高速で吐出させて記録するものであり、インク中に多量の溶媒を含んでいる。従って、インクジェット記録媒体にはインクを速やかに吸収する特性が要求される。また、最近のコンピューターやデジタルカメラの普及により、インクジェット記録方式にも銀塩写真に近い画像品質(高い発色性、解像度、色再現性、及び高光沢性)が要求され、これに対応するため、インク受理層を記録媒体表面に塗工する、いわゆる塗工紙タイプのインクジェット記録媒体が開発されている。
ところで従来から、インクジェット記録方式には水性染料インクが主に使用されている。この水性染料インクは色剤として低分子化合物の染料を使用するため、発色性は良好であるものの、色剤が光やガスに長時間さらされると酸化退色し、記録画像の保存性や画像の堅牢度に問題がある。
そこで、色剤として顔料インクを用いることが検討されている。顔料インクの色材は染料インクの色材に比べて分子量が非常に大きく、にじみ制御等の定着機構も染料とは異なっており、これに対応したインクジェット記録媒体が要求される。このようなことから、インク受理層中に無機微粒子と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とからなる接着剤とを含み、染料インクと顔料インク適性を共に付与した技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。又、インク受理層中の無機顔料の吸油量と平均二次粒子径を規定し、顔料インクの定着性を向上させた技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、インク受理層の光沢を高めるため、顔料としてシリカのコロイド粒子を用いるとインク吸収速度が小さくなる欠点があるが、これを解決する方法として気相法アルミナを顔料に用いる技術が提案されている(例えば特許文献3,4参照)。
一方、インクジェット記録媒体表面に塗工されたインク受理層は、基紙の風合いを損なうので従来の印刷物と質感が異なり、そのため印刷校正(プルーフ)に適さないという問題がある。そして、これを解決する方法としてインク受理層に乾式シリカと水溶性樹脂を含ませる技術が提案されている(例えば特許文献5参照)。
特開2001‐270238号公報 特開2001−328344号公報 特開2002−248855号公報 特開2001−232934号公報 特開2003−237225号公報
しかしながら、上記特許文献1〜5記載の技術の場合、顔料インクを用いた際の印字特性(発色性や色再現性)が充分でないという問題がある。例えば、インク吸収性を向上させるためにインク受理層の吸収性を高くすると、顔料インクの色材がインク受理層内部に沈み込んでしまうため、印字濃度の低下や発色ムラが生じ、上記印字特性を低下させる。
従って、本発明の目的は、顔料インクを使用した場合に、インク吸収性だけでなく、発色性や色再現性等の印字特性にも優れ、好ましくは印刷校正にも適したインクジェット記録媒体を提供することにある。
上記した印字濃度の低下は、顔料インクの発色がインク受理層中の顔料の発色によって妨げられることに起因し、発色ムラは、インク受理層中に部分的なインク吸収速度の差が生じることに起因すると考えられる。
そして、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、異なる2層のインク受理層を設けることにより、インク吸収性だけでなく、発色性や色再現性等に優れ、印刷校正にも適したインクジェット記録媒体を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
この理由は明らかではないが、以下のように考えられる。つまり、下層のインク受理層がカオリンと非晶質合成シリカを含むことで、この層のインク吸収性が適度なものとなり、上記した印字濃度の低下や発色ムラが抑制される。一方で、上層のインク受理層を設けることで顔料インクを下層のインク受理層へ浸透させるとともに、この層が気相法による金属酸化物微粒子を含むので層自体の透明性が高くなり、下層のインク受理層に吸収された顔料インクの発色を妨げずに、印字濃度を向上させる。なお、このような効果を発揮するため、上層及び下層のインク受理層は連続して積層されている必要がある。
さらに、このような層構成とすることで、印刷校正(プルーフ)に適したインクジェット記録媒体が得られる理由は、以下のように考えられる。つまり、従来、インク受理層用顔料に用いられていたシリカは、印刷用紙の塗工層顔料として通常用いられないため、印刷用紙に似た風合いが必要な「プルーフ用途」に従来のインクジェット記録用紙を適用することはできなかった。しかし、下層のインク受理層にカオリンを配合することで、一般の印刷用紙に似た風合いが得られるようになる。そして、上層のインク受理層は透明性が高く、下層の風合いを損なうことがないため、結果として一般の印刷用紙に風合いが近く、印刷校正(プルーフ)に適したインクジェット記録媒体となる。
すなわち本発明のインクジェット記録媒体は、顔料と結着剤とを含む2層のインク受理層を支持体表面に連続して積層してなり、そのうち、下層のインク受理層における顔料はカオリン及び非晶質合成シリカを主成分とし、上層のインク受理層における顔料は気相法で製造された金属酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とする。
前記下層のインク受理層の顔料において、前記カオリン及び前記非晶質合成シリカの合計量に対し前記カオリンは75重量%を超えて配合され、かつ前記合計量に対し前記非晶質合成シリカは1重量%以上で25重量%未満配合されていることが好ましく、前記金属酸化物微粒子が気相法アルミナであることが好ましい。又、前記上層のインク受理層における結着剤は、鹸化度95%以下のポリビニルアルコールであることが好ましく、前記上層のインク受理層の表面にカチオン性樹脂を含む光沢層を設け、前記カチオン性樹脂は、単量体成分としてジアルキルアミン及びエピクロルヒドリンを含有することが好ましい。
本発明によれば、顔料インクで記録を行った際に、インク吸収性だけでなく、印字濃度の向上や発色ムラの抑制をすることができる。又、本発明によれば、一般コート紙に近い風合いで、例えば印刷校正(プルーフ)に適したインクジェット記録媒体が得られる。
以下本発明の実施形態について説明する。本発明のインクジェット記録媒体は、インク受理層を支持体表面に積層してなる。
本発明に用いられる支持体は、特に制限されるものではなく、紙、コート紙等の塗工紙、乾式あるいは湿式の不織布、合成紙、フィルム、ラミネート紙が挙げられる。紙としては、例えば、必要に応じてタルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、シリカ等の填料を添加した抄紙用パルプを、常法により酸性又は中性抄紙したものを用いることができる。これらの支持体の製造方法も特に制限されない。
本発明においては、2層のインク受理層を連続して積層したことが特徴となっている。ここで、「下層のインク受理層」とは支持体側のインク受理層をいい、「上層のインク受理層」とは下層のインク受理層の表面に積層されたインク受理層をいう。本発明においては、上記各インク受理層が連続して積層されていることを必須とするが、例えば、下層のインク受理層と支持体の間に他の層が介装されていてもよく、又、上層のインク受理層の表面に他の層が積層されていてもよい。
又、本発明において、例えば上層のインク受理層を複数回に分けて塗工形成させた場合も、乾燥後のインク受理層の構成が上層のインク受理層として規定された範囲のものであれば、全体を「上層のインク受理層」とみなすこととする。
下層のインク受理層は、カオリン及び非晶質合成シリカを主成分とする顔料、並びに結着剤を含む。このうち、カオリンはインク吸収性を抑制し、非晶質合成シリカはインク吸収性を高めるので、両者を適度に配合することで、上層及び下層を合わせたインク受理層全体のインク吸収性を顔料インクに適したものに調整することができる。ここで、カオリンとは、天然含水ケイ酸アルミニウム鉱物及びその加工物であり、これらは原土のまま、又は精製、加工(焼成・デラミネート等)して用いられる。また、カオリンの粒子形状は、通常は扁平な六角板状である。本発明においては焼成カオリンを使用することが特に好ましい。焼成カオリンは、湿式法で精製されたカオリンを高温で焼成したもので、結晶中の構造水が除かれ、ミクロポーラスな構造となっているためインク吸収性の調整が容易となると考えられる。この様な焼成カオリンとしては例えば商品名アンシレックス(エンゲルハード社製)を挙げることができる。
なお、下層のインク受理層の顔料は、カオリン及び非晶質合成シリカ以外の従成分を含んでもよいが、通常、カオリン及び非晶質合成シリカの合計量が顔料中の80重量%以上とするのが好ましく、より好ましくは90重量%以上とする。また、顔料がカオリン及び非晶質合成シリカのみからなっていてもよい。また、上記従成分としては、例えば、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、気相法アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ホワイトカーボン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、プラスチックピグメント等の微粒子を用いることができる。これらの微粒子は1種または複数種を混合して使用することができる。
特に、下層のインク受理層の顔料において、前記カオリン及び前記非晶質合成シリカの合計量に対し前記カオリンは75重量%を超えて配合され、かつ前記合計量に対し前記非晶質合成シリカは1重量%以上で25重量%未満配合されていることが好ましい。カオリンの配合割合が75重量%以下であると、層のインク吸収性が高くなり、顔料インクが下層のインク受理層内部まで浸透し、印字濃度の低下やベタ印字の際の印字ムラが発生しやすくなる。より好ましくは、カオリンの配合割合が75重量%を超え、90重量%以下である。一方、非晶質合成シリカの配合割合が25重量%以上であると、層のインク吸収性が高くなり、印字濃度の低下やベタ印字の際の印字ムラが発生しやすくなる。又、非晶質合成シリカの配合割合が1重量%未満であるとインク吸収性が低下し、記録画像に滲みが生じやすくなる。非晶質合成シリカとしては、平均二次粒子径1〜10μm、吸油量200〜300ml/100gのものを好適に用いることができる。
下層のインク受理層に用いる結着剤は、上記顔料のバインダとして機能するものであれば何でもよいが、水系であることが好ましい。「水系」とは、水又は水と少量の有機溶剤からなる媒体中で樹脂が溶解又は分散し、安定化することを意味する。なお、有機溶剤を用いる場合は、水に対し50重量%未満、好ましくは10重量%未満であり、かつ樹脂液の引火点が無いことが必要である。なお、塗工液中では、水系樹脂は溶解又は粒子となって分散しているが、塗工乾燥後のインク受理層中では水系樹脂は顔料の結着剤となる。下層のインク受理層に用いる結着剤の配合割合は、好ましくは顔料100重量部に対し5〜60重量部,より好ましくは10〜40重量部である。
結着剤としては、例えば、公知の各種樹脂を用いることができる。水系結着剤としては、具体的には、ポリビニルアルコール及びその変性物、酸化デンプン、エーテル化デンプン、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、カルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂、SBラテックス、NBラテックス、アクリルラテックス等のラテックス樹脂、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、酢酸ビニル、ポリウレタン、並びに不飽和ポリエステル樹脂等のエマルジョン樹脂が挙げられ、これらを1種又は2種以上併用して使用することができる。
なお、下層のインク受理層は上記顔料と結着剤を主体とするが、その他、本発明の効果を損なわない程度で、必要に応じ顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、及びインク定着剤等を適宜含むことができる。なお、上記顔料と結着剤は、通常、インク受理層全体の90重量%以上を占めるがこれに限定されない。
上層のインク受理層は、気相法で製造された金属酸化物微粒子を主成分とする顔料、及び結着剤を含む。気相法で製造された金属酸化物微粒子は、内部空隙が無く、凝集度が比較的低く、さらに一次粒子が真球状に近い形状であり単分散に近いため、これを顔料に用いると、層の透明性を高くすることができる。また、気相法金属酸化物微粒子は内部空隙をもたないため、色材粒子を含む顔料インク中の色材粒子が金属酸化物微粒子内部に入り込むことが無く、下層のインク受理層まで浸透するため、印字濃度が高くなると考えられる。また、気相法金属酸化物微粒子を含有するインク受理層表面は適度な細孔を持つため、後述する光沢層用塗工液が上層のインク受理層中に浸透することが抑制され、そのため光沢層を均一な厚さに形成でき、これによりさらに発色性が向上すると考えられる。
上記金属酸化物粒子は、乾燥形態で、または分散体として入手可能である。上記金属酸化物微粒子は公知の方法、例えば水素または酸素の火炎中で金属塩化物の蒸気を加水分解する工程を含む方法によって製造することができる。上記金属酸化物微粒子としては、気相法アルミナ、気相法シリカ、気相法チタニア、カチオン性気相法シリカ、気相法酸化アンチモン(III)、気相法酸化クロム(III)、気相法酸化鉄(III)、気相法酸化ゲルマニウム(IV)、気相法酸化バナジウム(V)、及び気相法酸化タングステン(VI)を挙げることができる。これらを1種又は2種以上併用して使用してもよい。好ましくは、気相法アルミナ、気相法シリカ、またはカチオン性気相法シリカを用いることができ、特に透明性を高くする点で気相法アルミナを用いることが好ましい。
特に、一次粒子径100nm以下、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜30nmの一次粒子が凝集した金属酸化物微粒子を用いることができる。一次粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定可能である。また、上述の凝集体の平均径(二次粒子径)は、好ましくは約500nm以下、より好ましくは70〜500nm、さらに好ましくは100〜300nmとすることができる。なお、凝集体の平均径は、光散乱法により測定できる。
なお、上層のインク受理層の顔料は、上記金属酸化物微粒子以外の従成分を含んでもよいが、通常、金属酸化物微粒子が顔料中の90重量%以上であるのが好ましく、より好ましくは95重量%以上とする。また、顔料が金属酸化物微粒子のみからなっていてもよい。従成分としてはゲル法、沈降法、乾式法等で合成された合成シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ホワイトカーボン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、プラスチックピグメント等の微粒子を用いることができる。これらの微粒子は1種または複数種を混合して使用することができる。
上層のインク受理層に用いる結着剤は、前記下層のインク受理層に用いる結着剤と同様なものを用いることができる。特に、印字濃度を高くする点で、上記した水溶性樹脂を用いることができる。特に、鹸化度95%以下のポリビニルアルコールを結着剤に用いることが好ましい。鹸化度95%以下のポリビニルアルコールは水やインク溶媒に対して濡れやすく、これを上層のインク受理層に用いることでインク吸収性を向上することができる。結着剤の配合割合は、好ましくは顔料100重量部に対し5〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部である。
なお、上層のインク受理層は上記顔料と結着剤を主体とするが、その他、本発明の効果を損なわない程度で、必要に応じ顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、及びインク定着剤等を適宜含むことができる。なお、上記顔料と結着剤は、通常、インク受理層全体の90重量%以上を占めるがこれに限定されない。
以上のように、下層のインク受理層がカオリンと非晶質合成シリカを含むことで、この層のインク吸収性が顔料インクに適したものとなり、印字濃度の低下や発色ムラが抑制される。一方で、上層のインク受理層は顔料インクを素早く吸収して下層のインク受理層へ浸透させるとともに、この上層のインク受理層が気相法による金属酸化物微粒子を含むので層の透明性が高くなり、下層のインク受理層に吸収された顔料インクの発色を妨げず、印字濃度を向上させることができると考えられる。
さらに、下層のインク受理層にカオリンを配合することで、プルーフ用紙に似た風合いが得られる。そして、上層のインク受理層は透明性が高く、下層の風合いを損なうことがないため、結果としてプルーフ用紙に風合いが近く、印刷校正(プルーフ)に適したインクジェット記録媒体となる。
本発明においては、上層のインク受理層の表面に、さらにカチオン性樹脂を含む光沢層を設けることができる。光沢層を設けることにより、インクジェット記録媒体の表面光沢が向上するとともに、印字濃度が向上する。印字濃度が向上する理由は明らかではないが、インクジェット記録媒体表面にカチオン性樹脂が存在することで、顔料インクの色材である着色顔料粒子がインクジェット記録媒体表面にとどまりやすくなると考えられる。印字濃度を向上させる点で、カチオン化密度が4.0〜8.0meq/gのカチオン性樹脂を用いることが好ましく、さらに、カチオン性樹脂が単量体成分としてジアルキルアミン・エピクロルヒドリンを含有することが好ましい。
上層及び下層のインク受理層、並びに光沢層は、各層を構成する成分が配合された塗工液を一般的な塗工装置を用いて支持体上に塗工することにより、形成することができる。塗工装置としては、各種ブレードコーター、ロールコータ、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、サイズプレス等を使用することができ、これらをオンマシンあるいはオフマシンで使用できる。又、インク受理層や光沢層を形成した後にマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理することが可能である。
好ましい塗工量(固形分)は、下層のインク受理層が5〜10g/m、上層のインク受理層が10〜30g/m、光沢層が0.5〜2g/mである。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。又、以下の「部」、「%」は特に断りがない限り重量部及び重量%を示し、配合部数は固形分を示す。
(支持体の製造)
広葉樹漂白クラフトパルプ90%と針葉樹漂白クラフトパルプ10%を混合叩解して濾水度を350mlに調整したパルプ100部に、炭酸カルシウム15部、カチオン化でんぷん4部、及びアニオン化ポリアクリルアミド0.3部を添加し、長網抄紙機で抄造乾燥した後、マシンカレンダー処理を行い、坪量157g/mの支持体を製造した。
(下層のインク受理層の形成)
焼成カオリン(アンシレックス90、エンゲルハード社製の商品名)80部、合成非晶質シリカ(ファインシールX37B、トクヤマ社製の商品名)20部、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ社製の商品名)10部、酸化デンプン(MS−3600、日本食品加工社の製品名)20部、エチレン酢酸ビニルラテックス(BE−7000、中央理化工業社製の商品名)5部、サイズ剤(ポリマロン360、荒川化学工業社製の商品名)6部、染料定着剤(PAS−H−10L、日東紡績社製の商品名)8部に希釈水を加え、攪拌混合して、固形分濃度28%のインク受理層用塗料Aを得た。この塗料Aを用い、支持体の片面に、バーブレードコーターにより乾燥塗工量が固形分で7.5g/mとなるよう塗工し、さらに乾燥させて下層のインク受理層を形成した。
(上層のインク受理層の形成(第1の塗工層))
気相法アルミナ(CAB−O−SPERSE PG−003、CABOT社製の商品名)100部、ポリビニルアルコール(PVA−217、クラレ社製の商品名、鹸化度87〜89モル%)8部を混合し、固形分濃度30%のインク受理層用塗料Bを得た。この塗料Bを用い、下層のインク受理層の表面に、バーブレードコーターにより乾燥塗工量が固形分で8g/mとなるよう塗工し、さらに乾燥させて上層のインク受理層(第1の塗工層)を形成した。
(上層のインク受理層の形成(第2の塗工層))
気相法アルミナ(CAB−O−SPERSE PG−003、CABOT社製の商品名)100部、ポリビニルアルコール(PVA−217、クラレ社製の商品名)8部、染料定着剤としてカチオン性樹脂(KA−1000、日本化成社製の商品名、ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロルヒドリン共重合体)10部を混合し、固形分濃度30%のインク受理層用塗料Cを得た。この塗料Cを用い、上記第1の塗工層の表面に、バーブレードコーターにより乾燥塗工量が固形分で10g/mとなるよう塗工し、さらに乾燥させて上層のインク受理層(第2の塗工層)を形成した。
上記した第1及び第2の塗工層を合わせたものが上層のインク受理層となる。
(光沢層の形成)
カチオン性樹脂(KA−1000、日本化成社製の商品名、ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロルヒドリン共重合体)100部、消泡剤(DF−480、サンノプコ社製の商品名)0.2部を添加し、固形分濃度10%の塗工液を得た。この塗工液を用い、上記第2の塗工層の表面に、バーブレードコーターにより乾燥塗工量が固形分で1.0g/mとなるよう塗工し、さらに乾燥させて光沢層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。
インク受理層用塗料Aにおける焼成カオリンとして、実施例1のものに代えて、アルファテックス(ECCインターナショナル社の商品名)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
インク受理層用塗料Aの焼成カオリンの配合量を90部とし、非晶質合成シリカの配合量を10部としたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
インク受理層用塗料Aの焼成カオリンに代えて、非焼成カオリンであるウルトラホワイト90(エンゲルハード社製の商品名)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
光沢層を設けなかったこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
インク受理層用塗料B、CのPVAに代えて、完全鹸化型のPVA(PVA−117、クラレ社製の商品名、鹸化度98〜99%)8部を用いたこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
インク受理層用塗料B、Cの気相法アルミナに代えて、気相法シリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製の商品名)100部を用いたこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
光沢層用塗工液のカチオン性樹脂として、実施例1のものに代えて、ポリフィックス700(昭和高分子(株)の商品名、組成はアルキルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン重縮合物)を用いたこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
インク受理層用塗料Aの焼成カオリンの配合量を60部とし、非晶質合成シリカの配合量を40部としたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例1>
以下のインク受理層用塗料Dを用いて下層のインク受理層を形成したこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
(下層のインク受理層の形成)
合成非晶質シリカ(ファインシールX37B、トクヤマ社製の商品名)100部、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ社製の商品名)40部、スチレンブタジエンラテックス(Lx438C、日本ゼオン社製の商品名)5部、サイズ剤(ポリマロン360、荒川化学工業社製の商品名)2部、染料定着剤(PAS−H−10L、日東紡績社製の商品名)5部に希釈水を加え、攪拌混合して、固形分濃度20%のインク受理層用塗料Dを得た。この塗料Dを用い、支持体の片面に、バーブレードコーターにより乾燥塗工量が固形分で12g/mとなるよう塗工し、さらに乾燥させて下層のインク受理層を形成した。
<比較例2>
比較例1におけるインク受理層用塗料Dの合成非晶質シリカを、焼成カオリン(アンシレックス90、エンゲルハード社製の商品名)100部に代えたこと以外は、比較例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例3>
下層のインク受理層を設けなかったこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<評価方法>
各実施例及び比較例のインクジェット記録媒体に対し、以下に項目について評価した。
1.白紙光沢度
各インクジェット記録媒体の塗工面の75°鏡面光沢度を、JIS−P−8142に準拠して、鏡面光沢度計(GM−26 for 75°、村上色彩技術研究所製)により測定した。
2.インクジェット記録特性
市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンター(PX−7000、セイコーエプソン製)を用いて、「MC写真用紙<光沢>・きれい」モードで印字を行い、以下の項目を評価した。
(2−1.印字濃度)
表計算ソフト「エクセル」で作製したブラック、シアン、マゼンダ、イエローのベタ画像を印字した。印字後のインクジェット記録媒体を恒温恒湿室にて24時間放置した後、マクベス濃度計(RD915 Macbeth社製)を用いて各色の印字濃度を測定し、得られた測定値の合計により評価した。
○:4色合計が4.5以上である。
△:4色合計が4.0以上4.5未満である。
×:4色合計が4.0未満である。
(2−2.インク吸収性)
レッドとグリーン、及びブルーとイエローの各ベタ画像をそれぞれ隣り合わせにして印字し、その境界部の滲み具合を総合評価した。
○:境界部が鮮明でかつ滲みが認められない。
△:境界部がやや不鮮明だが滲みは認められない。
×:境界部が不鮮明で滲みが認められる。
(2−3.色再現性)
シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー各色をベタ印字し、印字部を分光色差計(NF999、日本電色工業社製の商品名)を用い、D65光源で2度視野の条件で測定し、L値を求めた。各色(6色)についてa値をx軸上に、b値をy軸上にプロットし、各6色の点を頂点とする六角形の面積(Gamut面積)を測定し、この値により評価した。なお、通常、レッドはx−y軸上の第1象限に、イエローはy軸上(y>0)に、グリーンは第2象限に、シアンは第3象限に、ブルーはy軸上(y<0)に、マゼンタは第4象限に位置する。
○:Gamut面積が7000以上である。
△:Gamut面積が6000以上7000未満である。
×:Gamut面積が6000未満である。
(2−4.発色ムラ)
シアン色のベタ印字部を目視により評価した。
○:ベタムラが全く見られず良好である。
△:一部ベタムラが目視で確認される。
×:ベタムラが目立ち許容できない。
3.塗工紙の面感・風合い
A2コート紙(オーロラコート、日本製紙社製の商品名、(坪量127.9g/m2)と比較して、塗工面の面感や風合いを目視で評価した。
○:塗工面の面感や風合いがA2コート紙に近く、並べて見て違和感を感じない。
△:塗工面の面感や風合いはA2コート紙に近いが、並べると差異が感じられる。
×:塗工面の面感や風合いがA2コート紙とは大きく異なる。
得られた結果を表1、2に示す。表中の評価が○または△であれば実用上問題ないが、×であれば実用上問題がある。
Figure 2005103827
Figure 2005103827
表1、2から明らかなように、各実施例の場合、白紙光沢度、インクジェット記録特性(印字濃度、インク吸収性、色再現性、発色ムラ)、風合いの評価がいずれも良好であった。なお、非焼成カオリンを用いた実施例4の場合は、インク吸収性が実施例1〜3に比べて若干劣った。光沢層を設けなかった実施例5の場合は、光沢性やインク吸収性が実施例1〜3に比べて若干劣った。上層インク受理層の結着剤として完全鹸化PVAを用いた実施例6の場合は、インク吸収性や発色ムラ性が実施例1〜3に比べて若干劣った。上層インク受理層の顔料として気相シリカを用いた実施例7の場合は、色再現性や風合いが実施例1〜3に比べて若干劣った。下層のインク受理層の顔料におけるカオリンの配合量が75重量%以下である実施例9の場合は、下層のインク受理層のインク吸収性が高くなり、実施例1〜3に比べて印字濃度が若干低く、又、発色ムラ性が若干劣った。又、実施例7の場合、光沢度は低かったが、実用上問題はなかった。
一方、下層インク受理層の顔料としてカオリンを用いなかった比較例1の場合、色再現性、発色ムラ性、風合いに劣った。下層インク受理層の顔料として非晶質合成シリカを用いなかった比較例2の場合、インク吸収性が悪く、滲みが原因と思われる発色ムラが発生した。下層インク受理層を設けなかった比較例3の場合、比較例2と同様にインク吸収性が悪く、滲みが原因と思われる発色ムラが発生した。

Claims (6)

  1. 顔料と結着剤とを含む2層のインク受理層を支持体表面に連続して積層してなり、そのうち、下層のインク受理層における顔料はカオリン及び非晶質合成シリカを主成分とし、上層のインク受理層における顔料は気相法で製造された金属酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記下層のインク受理層の顔料において、前記カオリン及び前記非晶質合成シリカの合計量に対し前記カオリンは75重量%を超えて配合され、かつ前記合計量に対し前記非晶質合成シリカは1重量%以上で25重量%未満配合されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記金属酸化物微粒子が気相法アルミナであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記上層のインク受理層における結着剤は、鹸化度95%以下のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記上層のインク受理層の表面にカチオン性樹脂を含む光沢層を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記カチオン性樹脂は、単量体成分としてジアルキルアミン及びエピクロルヒドリンを含有することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録媒体。
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