JP2004314609A - インクジェット記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体表面に、顔料と結着剤とを含有するインク受容層を設け、顔料はγ型アルミナとコロイダルシリカとを含有し、コロイダルシリカの一次粒子径が10〜50nmで、かつ一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜2.5であり、好ましくは顔料の合計量に対し、コロイダルシリカが5〜50質量%含まれている。
【選択図】 なし
Description
従って、本発明の目的は、染料インク、顔料インクのいずれを用いてもインクジェット記録品質が良好であるととともに、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット記録媒体を提供することにある。
また、本発明者らは、前記インクジェット記録媒体を、いわゆるキャストコート法で製造すると、上記特性を有する記録媒体を高い生産性で得られることを見いだした。
本発明で使用される支持体としては、好ましくは透気性を有していればあらゆるものを使用することができるが、例えば、塗工紙、未塗工紙等の紙が用いられる。前記紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。また、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、不透明度を向上させるため、前記紙中に填料を含有させることが好ましいが、この填料は、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料のなかから適宜選択して使用することができる。操業性の点から、前記紙の透気度は1000秒以下であることが好ましく、又、塗工性の点から紙のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが好ましい。
インク受容層の顔料としては、γ型結晶形のアルミナ(γ型アルミナ)とコロイダルシリカを含有したものを用いる。
上記ピーナッツ状のコロイダルシリカは、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって一次粒子径(BET法粒子径)や二次粒子径(動的光散乱法粒子径)をコントロールすることが好ましい。この様なコロイダルシリカとしては、扶桑化学工業社製のクォートロンを挙げることができる。なお、本発明のコロイダルシリカは、一次粒子が凝集した凝集体を機械的手段により細分化したコロイド粒子を含まない。
さらにピーナッツ状のコロイダルシリカの一次粒子径は10〜50nmであり、特に好ましい一次粒子径は13〜40nmである。一次粒子径が10nmより小さい場合には透明性は高いが、粒子間の空隙が損なわれインクの吸収性が低下する。一方、50nmより大きい場合には粒子間の空隙は良好となるが、不透明性が増大してくるため、インクジェット記録した際の発色性が低下する。特にインク中に粒子径が50〜150nmの着色粒子を含有する顔料インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合にはインク発色性の低下が大きくなる。
なお、上記ピーナッツ状のコロイダルシリカにおいて、一次粒子の連結個数の平均値の例としては、1.8〜2.5個が挙げられる。この値は、上記比と同じ値となる。
さらに、インク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で、他の顔料、例えば水酸化アルミニウム、アルミナゾル、擬ベーマイト等のアルミナ(α型結晶のアルミナ、θ型結晶のアルミナ)や、合成シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等を上記併用してもよい。
結着剤としては、皮膜形成が可能な高分子化合物を1種類以上用いることができる。たとえば、結着剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化澱粉やエステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク等の水溶性樹脂や、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂及びこれらの誘導体等を単独使用又は併用することができる。
支持体上にインク受容層となる塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、あるいはオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択して使用することができる。
本発明においては、最表面のインク受容層をキャストコート法で形成することによって高い光沢を付与することが好ましい。ここで、キャストコート法とは、塗工後の湿潤状態にある塗工面を、加熱した仕上げ面に圧着して乾燥する方法である。キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥あるいは半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウェットキャスト法(再湿潤法)、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類が一般に知られている。
また、水系接着剤としてカゼインを用いる場合は、処理液としては、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩を含有する水溶液が用いられる。
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、歩留向上剤0.02質量部を添加した。このスラリーを用いて抄紙機で支持体を抄紙した。また、抄紙の際に支持体の両面に、片面当たり固形分で1.5g/m2となるようにデンプンを塗布し、坪量170g/m2の原紙を得た。
この原紙の片面に、ブレードコーターを用いて塗工量が8g/m2となるよう下記塗工液Aを塗工し、140℃で送風乾燥した。
塗工液A:顔料として、合成シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製)100部、ラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社製の商品名)5部、ポリビニールアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)24部、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部を配合し、濃度20%の水性塗工液を調製した。
次に、塗工液Aの塗工面に、ロールコーターを用いて塗工量が23g/m2となるよう下記塗工液Bを塗工し、塗工層が湿潤状態にあるうちに下記凝固液Cを用いて凝固させ、続いてプレスロールを介して、加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、坪量200g/m2のインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
凝固液C:ホウ砂とホウ酸の合計濃度を4%としたものと、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製)0.2%とを配合して凝固液を調整した。ホウ砂とホウ酸の配合質量比は1とし、上記合計濃度は、ホウ砂をNa2B4O7で換算し、ホウ酸をH3BO3で換算したものについての値とした。
比表面積=4πr2/((4πr3/3)*2.2) (1)
(式中、値2.2はシリカの真比重で、rは一次粒子径(nm))
二次粒子径はMALVERN INSTRUMENTS社製のZETASIZER 3000HSAを用いて測定した。
塗工液Bにおいて、γ−アルミナの配合量を100部とし、コロイダルシリカを配合しなかったこと以外は実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカに代え、平均一次粒子径52nmのコロイダルシリカ(PL5:扶桑化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカに代え、平均一次粒子径70nmのコロイダルシリカ(PL7:扶桑化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、γ−アルミナを配合せず、コロイダルシリカの配合量を100部としたこと以外は実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカに代え、平均一次粒子径12.5nm、長さ170nmの鎖状のコロイダルシリカ(ST−OUP:日産化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカに代え、平均一次粒子径15nmの球状のコロイダルシリカ(スノーテックスAK:日産化学工業社製の商品名、凝集していないシリカ)を配合したこと以外は実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
キャストコート紙表面(インク受容層面)の光沢感を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:透明感の高い光沢感のもの
△:曇ったような光沢感のもの
×:光沢感が低いまたは塗工ムラがあるもの
染料インク及び顔料インクを用いた場合についてそれぞれ評価した。染料インクを用いた場合、インクジェットプリンター(PM―950C:エプソン株式会社製の商品名)により、所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。顔料インクの場合、インクジェットプリンター(PM−4000PX:エプソン株式会社製の商品名)を用いて同様に評価した。
3−1.インク吸収性(ブリーディング)
赤と緑の混色べた印字の境界部の滲みを目視で評価した。
○:色の境界部が明瞭に分かれているもの
△:色の境界部で、若干滲みがあるもの
×:色の境界部で、滲みが大きいもの
3−2.鮮やかさ
所定の記録画像の鮮やかさを目視で評価した。
○:鮮やか
△:若干鮮やかさが劣る
×:鮮やかに見えない
塗工液Bを塗工しインク受容層を形成する際の、キャストドラム表面の汚れを目視観察し、以下の基準で評価した。
○:キャストドラム表面の汚れが無いもの
△:キャストドラム表面がわずかに曇る
×:キャストドラム表面に塗工層の一部が付着している
(4)コロイダルシリカの粒径測定
・一次粒子径
窒素吸着法により比表面積を求め、下記の式(1)から計算により求めた。
2.2:シリカの真比重 (単位:g/cm3)
r : 一次粒子径(nm)
二次粒子径はMALVERN INSTRUMENTS社製のZETASIZER 3000HSAを用いて測定した。
Claims (3)
- 支持体表面に、顔料と結着剤とを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録媒体であって、前記顔料はγ型アルミナとコロイダルシリカとを含有し、前記コロイダルシリカの一次粒子径が10〜50nmで、かつ前記一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜2.5であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 前記顔料の合計量に対し、前記コロイダルシリカが5〜50質量%含まれていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 支持体表面に、結着剤と顔料とを含有する塗工液を塗工して塗工層を設け、前記塗工層表面に前記結着剤を凝固する作用を持つ処理液を塗布し、前記処理液を塗布した塗工層が湿潤状態にある間に、加熱した鏡面に該塗工層を圧着して乾燥し、インク受容層を設けるインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記顔料は、γ型アルミナと、一次粒子径10〜50nmでかつ前記一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜2.5であるコロイダルシリカとを含有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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