JP2006076282A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 銀塩写真並の高い光沢感を有し、かつ染料インクのみならず顔料インクでインクジェット記録した場合においても印字濃度が高く、かつ断裁加工適性に優れたインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】 支持体上に、それぞれ顔料及び結着剤を含有するアンダー層並びにインク受容層をこの順に設け、アンダー層は、顔料として主に合成シリカを含有し、合成シリカの20質量%以上が2次粒子径5〜15μmの合成シリカであり、かつアンダー層は結着剤として水溶性高分子とエチレン・酢酸ビニル共重合体とを含有し、インク受容層表面の75度鏡面光沢度が50%以上である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体に関し、特に染料および顔料インクでの印字に適し、銀塩写真並の光沢感が得られるインクジェット記録媒体に関する。
一般にインクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録用紙上に付着させることにより、ドットを形成し記録を行うものであるが、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、またフルカラー化が容易である上、高速印字が可能であるなどの利点がある。一方、インクジェット記録に使用されるインクは、通常直接染料や酸性染料などを用いた水性インクであるため乾燥性が悪いという欠点がある。
又、最近では高解像度のデジタルビデオ、デジタルカメラ、スキャナーおよびパーソナルコンピューターの普及により高精細の画像を取り扱う機会が多くなり、これらのハードコピーをインクジェットプリンターで出力する事が多くなっている。これに伴い記録媒体に対しても要求特性が多様化してきており、中でも銀塩写真並の光沢感を有する記録媒体の要望が高くなってきている。
このようなインクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録用紙に要求される特性として、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと、更に、インクを吸収することにより用紙が波打ちしないこと等が挙げられる。これらの特性を満たした高画質のインクジェット記録用紙を、キャストコート法により製造する方法は既に提案されている(特許文献1,2参照)。
キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を基紙上に塗工してインク受容層となる塗工層を設け、湿潤して可塑状態の塗工層をキャストドラム(鏡面仕上げの面)に押し当て、光沢仕上げする方法である。この方法は、(1)塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦(半)乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウェットキャスト法(再湿潤法)、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類に一般に分けることができる。
一方、高い光沢を付与するため、キャスト層にコロイダルシリカを配合することも行なわれる。代表的なコロイダルシリカは、5〜50nmの球状シリカ粒子が二次凝集せずに、水中に安定なコロイド状態で分散したものである。この球状シリカ粒子は極めて微粒子であるので、乾燥すると非常に透明で高光沢の塗膜が得られる(特許文献3,4参照)。
しかし、コロイダルシリカはそのほとんどが真球状粒子であり、各一次粒子が凝集することなく単分散しているため、乾燥状態では粒子が密に充填され、粒子間の空隙が非常に少ない構造をとる。従って、コロイダルシリカの細孔容積は一般的には0.4ml/g未満であり、キャスト層に配合した場合にはインク吸収速度が遅くなり、ブリーディングと呼ばれるインクあふれや、濃度むらの原因となる欠点があった。
また、インク吸収層に対し、気相法により製造された合成シリカ微粒子(気相法シリカ)を配合することも行われている(特許文献5,6参照)。気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。気相法シリカは、揮発性珪素化合物を火焔中で高温分解する方法により製造されるもので、分散性・透明性に優れたシリカ凝集粒子である(例えば、特許文献7参照)。気相法シリカは嵩高い粉体であり、湿式法シリカと比べると機械的に水分散液とすることが容易である。この水分散液を塗布すると比較的光沢が高く、かつインク吸収性も良好な塗膜を形成できる。しかしながら、気相法シリカを用いた場合、凝集した一次粒子間の結合が比較的弱いため、塗膜を作製する際に、水の乾燥により生じて空隙間に働く強力な毛管力により、凝集状態の破壊が起こり易く、キャスト層に肉眼でも見える数mmのひび割れが入り易いという大きな欠点があった。
特開昭62−95285号公報 特開平5−59694号各公報 特開平5−338348号公報 特開平10−217599号公報 特開平10−81064号公報 特開平11−34481号公報 特公昭59−169922号公報
特許文献1,2の製造方法は、いずれも合成シリカを主成分とする顔料と、結着剤とからなるインク受容層を、上記キャストコート法を用いて形成し、高光沢のキャストコート紙を得るものであるが、印字濃度が低く、又、最表層の光沢感が低いために銀塩写真並の光沢感を得ることができなかった。この理由として、上記技術の場合、顔料の粒子径が大きいために、光沢感の高い用紙が得られず、また顔料の透明性が低いため、高い印字濃度が得られないことが考えられる。
また、特許文献3〜5に記載の技術のように、光沢感を向上させるために顔料の粒子径が小さいコロイダルシリカや気相法シリカを使用した場合、前述のような問題が発生するだけでなく、インク中に粒子径が50nm〜150nmの色剤粒子を含む顔料インクを用いて印字した場合には、インク粒子の塗工層(インク受容層)への沈み込みが多くなり、印字濃度の高いインクジェット記録媒体を得ることができない。
一方、ポリビニルアルコールをインク受容層中に含有する技術がある。このようなインクジェット記録用紙は、発色性、光沢の点で優れており好ましいが、ギロチンやカッター等で小判に断裁する際、断裁面切り口にざらつき・毛羽立ちが生じ易くなると共に、紙粉が多く発生しやすく、断裁加工適性が劣るという欠点があった。
従って本発明は、銀塩写真並の高い光沢感を有し、染料インクのみならず顔料インクでインクジェット記録を行った場合においても印字濃度やインク吸収性が高く、かつ断裁時に紙粉の発生が少ないインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
発明者等は上記課題を解決すべく検討を行った結果、アンダー層中の顔料とバインダーとを規定することで、上記問題を解決できることを見いだした。
従って、本発明の上記目的は、支持体上に、それぞれ顔料及び結着剤を含有するアンダー層並びにインク受容層をこの順に設けたインクジェット記録媒体であって、前記アンダー層は、顔料として主に合成シリカを含有し、前記合成シリカの20質量%以上が2次粒子径5〜15μmの合成シリカであり、かつ前記アンダー層は結着剤として水溶性高分子とエチレン・酢酸ビニル共重合体とを含有し、前記インク受容層表面の75度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体によって達成された。
前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであると、発色性が優れるので好ましい。
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体のガラス転移点が0℃以下であり、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体は粒子径1μm以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの乾燥体である場合、断裁時における紙粉が低減され、又、発色性が向上するので好ましい。
前記アンダー層の塗工量が10〜20g/m、前記インク受容層の塗工量が3〜15g/mであり、(前記アンダー層の塗工量)/(前記インク受容層の塗工量)で表される比が1〜4であると、さらに紙粉が低減されるので好ましい。
前記インク受容層は顔料としてコロイダルシリカ及び気相法シリカを含み、前記コロイダルシリカの一次粒子径が10〜50nmで、かつ前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、前記気相法シリカの比表面積が130〜300m/gであると、染料インク及び顔料インクで印字した際の発色性に優れるので好ましい。
前記インク受容層面の像鮮明度が20%以上であると、特に紙粉低減効果が大きいので好ましい。
前記インク受容層は、インク受容層用塗工液を塗布してなる塗工層の表面が湿潤状態にある間に、該塗工層を加熱した金属鏡面に圧接及び乾燥して設けられるものであると、紙粉低減の効果が大きいので好ましい。
本発明によれば、銀塩写真並の高い光沢感を有し、かつ染料インクのみならず顔料インクでインクジェット記録を行った場合においても印字濃度及びインク吸収性に優れたインクジェット記録媒体を得ることができる。さらに、本発明によれば、断裁時における紙粉の発生が抑制され加工適性が向上する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(支持体)
本発明に使用される支持体としては、紙、布、樹脂フィルム、樹脂被覆紙等のシート状のものを好ましく使用することができるが、好ましくは紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる。前記紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。また、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、填料を含有させることが好ましく、填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。
(アンダー層)
アンダー層は、顔料と、水溶性高分子とエチレン・酢酸ビニル共重合体とを含有する結着剤とを含む。
1.結着剤
水溶性高分子は、アンダー層用塗工液の塗工液物性を確保するためのものであり、水溶性高分子が結着剤に含まれないと塗工液の塗工液物性が適度なものとならない。結着剤に用いる水溶性高分子としては特に制限はないが、透明性が高い結着剤であるポリビニルアルコール(以下、適宜「PVA」と称する)を用いると、印字部の発色濃度が向上するので好ましい。特に、完全ケン化ポリビニルアルコールがより好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は好ましくは500〜2400、より好ましくは1000〜2000である。
エチレン・酢酸ビニル共重合体(以下、適宜「EVA」と称する)を結着剤に用いると、塗工層強度が高くなり断裁時の紙粉が軽減される。又、エチレン・酢酸ビニル共重合体自身の水に対する接触角が他の合成樹脂(例えばスチレンブタジエン共重合体(SBR))より小さいため、アンダー層のインク吸収性が良好となる。特に、以下のポリビニルアルコール・エチレン・酢酸ビニルグラフト共重合体を用いた場合に、これらの効果が大となる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、例えば、乳化剤としてポリビニルアルコールを存在させた水系で、エチレンと酢酸ビニルとを共重合させたエマルジョンの乾燥体である。重合開始剤は主にエチレン及び酢酸ビニルに対して作用するが、反応条件や乳化剤であるポリビニルアルコールの量により、ポリビニルアルコール鎖からエチレン・酢酸ビニル共重合体が枝分かれし、成長したポリビニルアルコール・エチレン・酢酸ビニルグラフト共重合体のエマルジョンが生成する場合がある。本発明に用いるエチレン・酢酸ビニル共重合体としては、ポリビニルアルコールにエチレン・酢酸ビニル共重合体がグラフト化した分子が多くなっているエマルジョンを用いることが好ましい。なお、上記したエマルジョンや後述する顔料等を含む塗工液を塗布後、乾燥することにより、アンダー層が形成される。
又、エチレン・酢酸ビニル共重合体のガラス転移点(Tg)が0℃以下であり、エマルジョンの粒子径が1μm以下であることが好ましい。Tgを0℃以下とすると、カッター裁断時の切り口が良好になり、塗工層(アンダー層及びインク受容層)の脱落が少なくなり、紙粉の発生がより一層軽減する傾向にある。これは、塗工層(アンダー層及びインク受容層)の柔軟性が高くなるためと考えられる。又、粒子径を1μm以下とすると、アンダー層の透明性が高くなり、(特に染料インクの場合に)印字発色濃度が向上する傾向にある。上記した裁断時の切口の改善効果は、特に後述するキャスト法によってインク受容層を設けた場合に大きい。
一方、Tgが0℃を超える場合、塗工層の柔軟性が低下するため、断裁時の紙粉発生量が多くなる傾向にある。一方、粒子径が1μmを超えると透明性が低下し、得られた塗工層の透明性も低下するため印字発色濃度も低下する傾向にある。
アンダー層用結着剤中のエチレン・酢酸ビニル共重合体の配合量は特に制限されないが、顔料100質量部に対して10〜50質量部が好ましく、より好ましくは20〜40質量部である。エチレン・酢酸ビニル共重合体の配合量が50質量部を超えると、結着剤の疎水性が顕著になってインク吸収性が低下する傾向にある。
また、アンダー層用結着剤中の水溶性高分子(例えばPVA)の配合量も特に制限されないが、塗工層強度、インク吸収性、塗工適性等を具備する点から、顔料100質量部に対して2〜50質量部が好ましく、より好ましくは3〜25質量部である。
2.顔料
アンダー層に用いる顔料は主に合成シリカを含有し、合成シリカの20質量%以上が2次粒子径5〜15μmの合成シリカである。これにより、アンダー層の塗工層強度が向上し、断裁時の紙粉発生を低減できる。特にゲル法により製造された合成シリカを用いると塗工層強度が向上し、又、沈降法で製造された合成シリカを用いると発色性が向上するので好ましい。
2次粒子径が5μm未満であると、塗工層強度が低下し、断裁時に紙粉が多く発生する。塗工層強度を向上するためには合成シリカの2次粒子径は大きい方が好ましく、7μm以上であることがより好ましいが、15μmを超えると層の空隙が多くなり過ぎて、アンダー層上に設けるインク受容層が均一に形成されない。又、15μmを超えると、アンダー層用塗工液の塗工性が低下し、生産性が低下するため好ましくない。合成シリカの2次粒子径はレーザー回折・散乱法で測定することができる。
又、上記合成シリカ全体のうち、2次粒子径5〜15μmの合成シリカの割合が20質量%未満であると、アンダー層のインク吸収性は良好であるが、塗工層強度が低下する。上記2次粒子径を持つ合成シリカの配合量は多い方が好ましく、好ましくはアンダー層用の顔料における合成シリカ全体の30質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。合成シリカのすべてが上記2次粒子径を持つ合成シリカであってもよい。
又、顔料全体に占める合成シリカの割合は、90質量%以上が好ましい。
3.その他の成分
アンダー層には上記各成分の他、本発明の効果を損なわない限り、後述するインク受容層に含有することができる公知の顔料や、公知の結着剤を併用することができる。また、その他添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を、適宜アンダー層に配合することもできる。
(インク受容層)
本発明におけるインク受容層は顔料と結着剤を主成分とする。顔料としては以下に示すコロイダルシリカと気相法シリカとを含有することが好ましい。
(コロイダルシリカ)
コロイダルシリカとしては、一次粒子径が10〜50nmで、かつ一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であるものが好適に用いられる。このコロイダルシリカは、その分散状態を顕微鏡で観察した場合に、球状の一次粒子が2〜3個結合した形状であり、これを適宜「ピーナツ状」と称する。球状の一次粒子が単分散したいわゆる球状コロイダルシリカをインク受容層に用いた場合は、インク吸収性が劣る場合があるが、ピーナッツ状に凝集したコロイダルシリカは、光沢感とインク発色性、インク吸収性をともに満足させることができる。
上記コロイダルシリカの平均一次粒子径が10nmより小さい場合、インク受容層の透明性は高くなるが、インク受容層に存在する粒子間の空隙が損なわれ、インク吸収性が低下する傾向にある。一方、コロイダルシリカの平均一次粒子径が50nmより大きい場合、粒子間の空隙は良好となるが、不透明性が増大してくるため、インクジェット記録した際の発色性が低下する傾向にある。
また、(二次粒子径)/(一次粒子径)で表される比が1.5よりも小さい場合、透明性は良好であるが、粒子間の空隙が不足するためインクの吸収性が劣る傾向にある。一方、上記比が3.0を越える場合、インク吸収性は良好であるが、不透明性が増大してくるため、インクジェット記録した際の発色性が低下する傾向にある。上記比が1.8〜2.8であるとより好ましい。また、二次粒子における一次粒子の結合(凝集)個数を平均した値は、上記比にほぼ対応した値となる。
なお、一次粒子径(BET法で測定)や二次粒子径(動的光散乱法で測定)はコロイダルシリカの製造条件によりコントロールできる。このようなコロイダルシリカとしては、扶桑化学工業社製の商品名クォートロンを上げることができる。
なお、本実施形態において、コロイダルシリカの分散状態を顕微鏡で観察した際、ピーナツ状コロイダルシリカ以外のコロイダルシリカが全く観察されないことは必要でなく、一次粒子径に対する二次粒子径の比を測定した値(マクロ的な物性)が3.0を超えなければ、他のコロイダルシリカや単一の一次粒子を含んでもよい。
(気相法シリカ)
気相法シリカとしては、比表面積が130〜300m/gであるものが好適に用いられる。気相法シリカは、乾式法シリカ、又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造することができる。具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより、気相法シリカが得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独で使用し、または四塩化ケイ素とこれらのシラン類を混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル株式会社からアエロジル、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており入手することができる。気相法シリカの平均一次粒径は5〜50nmであることが好ましい。
上記気相法シリカの比表面積(BET法)が130m/g〜300m/gであると、インク受容層の透明性が高くなり、かつ塗工液に配合した際の安定性が良好であるので好ましい。比表面積が130m/gより小さい場合、インク受容層の不透明性が増し、インクジェットプリンターで印字した場合の印字濃度が低下する等の不具合を生じる傾向にある。一方、比表面積が300m/gを越えると、インク受容層の透明性が良好となって印字濃度が高くなるが、塗工液の安定性が劣る傾向にあり、塗工性に問題を生じる傾向にある。
インク受容層中のコロイダルシリカと気相法シリカの配合比は、(コロイダルシリカ)/(気相法シリカ)で表される配合比が45/55〜95/5であることが好ましく、上記配合比が60/40〜80/20であるとさらに好ましい。コロイダルシリカの割合が多くなって上記配合比が大きくなると、塗工層の透明性が高く印字濃度が高いが、インクの吸収性が低下する傾向にある。一方、コロイダルシリカの割合が少なく、上記配合比が小さくなると、インク吸収性が良好であるが、光沢感が低下する傾向にある。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の顔料を1種以上、インク受容層に混合することも可能である。例えば、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、及び水酸化マグネシウム等の白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、及びメラミン樹脂等の有機顔料を単独使用又は併用することができる。
(結着剤)
本発明のインク受容層は少なくとも1種類以上の結着剤を含む。結着剤は、特に水系結着剤であることが好ましい。本発明にいう水系結着剤は、水溶性樹脂及び水分散性樹脂を意味する。結着剤としては、具体的にはポリビニルアルコール及びその誘導体;ポリビニルピロリドン;ウレタン樹脂エマルジョン由来のウレタン樹脂;酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョン及びこれらの誘導体;等があげられ、これらの結着剤を単独又は混合して用いることができる。
本発明においては、インク吸収性、発色性および光沢感の性能バランスがよいという点から部分鹸化及び/又は完全鹸化のポリビニルアルコール(その誘導体も含む)を、結着剤としてインク受容層に含有することが好ましい。この場合、さらにインクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で前述した他の結着剤を配合することが可能である。
結着剤は、インク受容層中に3〜28質量%の割合で含有されることが好ましく、9〜25質量%の割合で含有されることがより好ましい。インク受容層における結着剤の含有量が多いと、インク吸収性が低下する傾向にあり、含有量が少ないとインク受容層の強度が低下する傾向にある。
インク受容層には、その他添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。また、インク受容層を後述するキャストコート法で設ける場合、キャストドラムからの剥離性を向上することを目的として、インク受容層に剥離剤を含有することができる。添加する剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記温度範囲においては剥離剤の融点が鏡面仕上げの金属表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではない。
(光沢)
本発明のインクジェット記録媒体において、インク受容層面から測定した75度鏡面光沢度が50%以上であると、銀塩写真のような光沢感のあるインクジェット記録媒体となるので好ましい。さらに、インク受容層面の像鮮明度が20%以上であると、光沢感が向上するので好ましい。75度鏡面光沢度はJIS−P8142に準じて測定し、像鮮明度はJIS−K7105に準じて測定する。
本発明において、染料インクのみならず、顔料インクいずれを用いたインクジェット記録においても印字濃度が向上する理由は定かではないが、特に顔料インクを用いたインクジェット記録においては、アンダー層の顔料として2次粒子径5〜15μmの合成シリカを用い、かつアンダー層結着剤として水溶性高分子とエチレン・酢酸ビニル共重合体とを含有することで、インク受容層表面に発生すると思われるクラック(亀裂)を小さくすることが可能となり、その結果印字濃度が向上すると考えられる。
(キャストコート法)
高い光沢を有するインクジェット記録媒体を得られるという点から、本発明においては、いわゆるキャストコート法によってインク受容層を設けることが好ましい。キャストコート法は、インク受容層を塗工する面にインク受容層用塗工液を塗布してなる塗工層の表面が湿潤し可塑状態状態にある間に、該塗工層を加熱した金属鏡面(キャストドラム等)に押し当て、光沢仕上げする方法である。

キャストコート法としては、直接法、凝固法、再湿潤法のうちいずれの方法を用いることもできるが、高い光沢を得られるという点からは凝固法が、生産性を向上するという点からは再湿潤法が好ましい。
凝固法キャストコート法によってインク受容層を設ける場合は、インク受容層用塗工液をアンダー層上に塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、塗工層中の結着剤を凝固(あるいは架橋)する作用を持つ処理液を塗工層上に塗布し、その後、加熱した鏡面に塗工層を圧着し、光沢を付与する。例えば、結着剤としてポリビニルアルコールを用いた場合にはポリビニルアルコールを凝固させる作用を持つ化合物を含有する水溶液であればいずれのものも使用することができる。特に、ホウ酸とホウ酸塩とを含有する処理液が好ましい。ホウ酸とホウ酸塩を混合して用いることにより、適度な固さの凝固状態を得ることが容易となり、良好な光沢感を有するインクジェット記録用のキャストコート紙を得ることができる。
再湿潤法キャストコート法によってインク受容層を設ける場合は、インク受容層用塗工液をアンダー層上に塗工及び乾燥し、乾燥状態の塗工層に塗工層中の結着剤を可塑化するする作用を持つ処理液を塗布し、その後加熱した鏡面に塗工層を圧着し、光沢を付与する。再湿潤法キャストコート法の場合は、処理液を塗布する際にインク受容層が乾燥状態になっているため、鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、表面の微小な凹凸が多くなり光沢感は若干落ちる傾向にあるが、塗工速度を他の方法に比較して高くすることが可能になるため、生産性が向上する。
(アンダー層、インク受容層の形成)
支持体上にアンダー層用塗工液、インク受容層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択したものが挙げられる。又、上記処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
アンダー層の塗工量は、原紙の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができ、通常片面当たり、固形分換算で5〜30g/m程度とすることができる。記録濃度及びインク吸収性を両立させる観点から、アンダー層の塗工量のより好ましい範囲は、10〜20g/mである。
インク受容層の塗工量は、アンダー層の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができ、通常片面当たり、固形分換算で5〜30g/m程度とすることができる。記録濃度及びインク吸収性を両立させる観点から、インク受容層の塗工量のより好ましい範囲は3〜15g/mである。インク受容層の塗工量が30g/mを超えると、鏡面ドラムからのインク受容層の剥離性が低下し、インク受容層が鏡面ドラムに付着するなどの問題を生じる場合がある。
(アンダー層、インク受容層の塗工量の比率)
アンダー層とインク受容層のうち、インク吸収性に優れるアンダー層の塗工量を多くすると、アンダー層とインク受容層(例えばキャスト層)の総塗工量を少なくすることが可能となる。そして、総塗工量が少なくなると、ロータリーカッターやギロチンカッター等でインクジェット記録媒体を断裁加工した際の紙粉(塗工層の脱落)が少なくなるので好ましい。
このようなことから、アンダー層の塗工量を10〜20g/m、インク受容層の塗工量を3〜15g/mとし、さらに(アンダー層の塗工量)/(インク受容層の塗工量)で表される比を1〜4とすると、紙粉低減の点から好ましい。上記比が小さくなると加工適性が劣り、又、上記比が大きくなると印字品質が劣る傾向にある。本発明においては上記比を1〜4にすることで、印字品質(印字濃度、インク吸収性)と加工適性(断裁時における紙粉発生の抑制)を両立させることができる。
さらに、インク受容層の塗工量を上記範囲内で低減させる程、全面印字を行った際の端部の塗工層の欠落(欠け)が低減する。この理由は明らかではないが、インク受容層の強度が向上するためと考えられる。
本発明においては、必要に応じてインク受容層を設ける面とは反対側の支持体の表面に筆記性、帯電防止性、防汚性、滑り性等を付与するためのバックコート層を設けることも可能である。
また、インク受容層を形成する塗工液、及びインク受容層をキャストコート形成する際の処理液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
(支持体の製造)
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。抄紙の際、デンプンを片面当り固形分で2.5g/mとなるように両面に塗布して、坪量170g/mの支持体を得た。
(アンダー層)
この支持体の片面に、ブレードコーターで塗工量が15g/mとなるように塗工液Aを塗工し、140℃で送風乾燥し、アンダー層を形成した。
塗工液A:顔料として、沈降法シリカ(ファインシールX−12:株式会社トクヤマ社製、二次粒子径:9〜12μm)50部とゲル法シリカ(ミズカシルP−50:水沢化学社製、二次粒子径:10μm)50部とを配合し、結着剤として完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−117、株式会社クラレ製)5部とエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(AM−3150、Tg:−4℃、エマルジョン粒子径:750nm、昭和高分子製、「EVA」と略記する)30部とを配合し、カチオン性インク定着剤(ポリフィックス700、昭和高分子高分子製)5部、及びカチオン性サイズ剤(ポリマロン360、荒川化学工業株式会社製)5部を混合し、固形分25%の塗工液を調製した。
なお、沈降法シリカ、ゲル法シリカはいずれも合成シリカである。
(インク受容層)
塗工液Aを塗工した面に、ロールコーターで塗工液Bを10g/m塗工し、塗工層が湿潤状態にあるうちに、凝固液Cを用いて凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、インク受容層を形成し、坪量185g/mのインクジェット記録媒体を得た。
塗工液B:顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製、平均一次粒子径23nm、(二次粒子径/一次粒子径)で表される比が2.2)70部と気相法シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社製、比表面積200m/g)30部を配合し、結着剤として完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA105:クラレ株式会社製、重合度500)5部と部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA617:クラレ株式会社製、重合度1700)10部を配合し、さらに消泡剤0.2部を配合して濃度20%の塗工液を調製した。
凝固液C:硼砂2%、ホウ酸2%((硼砂/ホウ酸)の質量比=1/1、硼砂はNa換算し、ホウ酸はHBO換算で比を計算)、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製)0.2%を配合して凝固液を調製した。
インク受容層用の塗工液Bの結着剤として、完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA105:クラレ株式会社製、重合度500)の配合量を3.3部に変更し、部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA617:クラレ株式会社製、重合度1700)の配合量を6.7部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
アンダー層用の塗工液Aの顔料として、上記ゲル法シリカ(ミズカシルP−50)を配合せず、上記沈降法シリカ(ファインシールX−12)のみを100部配合したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
アンダー層用の塗工液Aの顔料として、上記ゲル法シリカ(ミズカシルP−50)の配合量を25部に変更し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−12)の配合量を75部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
アンダー層用の塗工液Aの顔料として、上記ゲル法シリカ(ミズカシルP−50)の配合量を25部に変更し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−12)の代わりに沈降法シリカ(ファインシールX−37B:株式会社トクヤマ社製、二次粒子径:3.5〜3.9μm)を75部配合したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
アンダー層の塗工量を8g/mに変更し、インク受容層の塗工量を20g/mに変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例1>
アンダー層用の塗工液Aの顔料として、上記ゲル法シリカ(ミズカシルP−50)及び上記沈降法シリカ(ファインシールX−12)を配合せず、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37B)のみを100部配合したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例2>
アンダー層用の塗工液Aの結着剤として、上記完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−117)の配合量を35部とし、上記EVA(AM−3150)を配合しなかったこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例3>
アンダー層用の塗工液Aの結着剤として、上記完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−117)の配合量を5部とし、上記EVA(AM−3150)を配合せず、代わりにスチレンブタジエンラテックス(LX438C 住友科学工業株式会社製、「SBR」と略記)を30部配合したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
各実施例及び比較例のインクジェット記録媒体の評価を以下の方法で行った。
(1)光沢感
インク受容層表面の光沢感を下記の基準で評価した。
○:75度鏡面光沢度が50%以上でかつ像鮮明度が40%以上のもの
△:75度鏡面光沢度が50%以上でかつ像鮮明度が20〜40%のもの
×:75度鏡面光沢度が50%以下で、像鮮明度が20%以下のもの
75度鏡面光沢度の測定は、ISO 8254−1に準じて、光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM-26PRO)を用いて行った。
像鮮明度の測定は、 JIS K7105に準じて、写像性測定器(型番:ICM−1DP、スガ試験機株式会社製)を用いて行った。測定角度を60度、くし幅2mmの条件で、紙のMD方向を測定した。
(2)染料インク及び顔料インク適性
染料インクを用いたインクジェットプリンター(PM―950C:エプソン株式会社製の商品名)および顔料インクを用いたインクジェットプリンター(PM−4000px:エプソン株式会社製の商品名)を用いて、インクジェット記録媒体上に所定のパターンを印字記録し、下記の基準によって評価した。
2−1)インク吸収性(ブリーディング)
赤と緑の混色べた印字部の境界の滲みを目視で評価した。評価が○であれば実用上問題ない。
○:色の境界部が明瞭に分かれているもの
△:色の境界部で若干滲みがあるものが、滲みの程度が比較的小さいもの
×:色の境界部の滲みが非常に大きいもの
2−2)鮮やかさ(印字濃度)
印字した記録画像部の鮮やかさを目視で評価した。評価が△、○であれば実用上問題ない。
◎:非常に鮮やか
○:鮮やか
△:若干鮮やかさが劣る
×:鮮やかに見えない
(3)加工適性(紙粉抑制)
得られたインクジェット記録媒体を100枚重ね、インク受容層側からギロチンカッターで断裁し、紙粉量を目視で観察して評価した。評価が○であれば実用上問題ない。
○:紙粉無し
△:紙粉若干有り
×:紙粉多い
(4)塗工層強度
得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面に、インクジェットプリンター(PM―950C:エプソン株式会社製の商品名)を用いて縁無し印字(全面印字)した。2時間経過後、インク受容層を設けた面と反対側の面(この裏面)を同一のプリンタ(PM―950C)で印字し、この裏面を印字する際、給紙による用紙端部の塗工層(インク受容層及びアンダー層)の欠落の有無を評価した。以下の評価が△以上であれば実用上問題ない。
◎:欠落無し
○:非常に小さい欠落がわずかに有る
△:小さい欠落が若干有る
×:非常に多く欠落が有る
(5)コロイダルシリカの粒径測定
5−1)一次粒子径
コロイダルシリカ試料の比表面積(窒素吸着法)を測定し、以下の(1)式に従い、一次粒子径を計算により求めた。
d=6000/(ρ×S) (1)
但し、(1)式中、d:一次粒子径(nm)、ρ:シリカの密度(=2.2g/m)、S:比表面積S(m/g)を表す。
5−2)二次粒子径
MALVERN INSTRUMENTS社製のZETASIZER 3000HSAを用いて、コロイダルシリカの二次粒子径を測定した。
得られた結果を表1、2に示す。
Figure 2006076282
Figure 2006076282
表2から明らかなように、各実施例のインクジェット記録媒体の場合、光沢感、染料インク及び顔料インク適性、加工適性(紙粉抑制)、塗工層強度の全てにおいて高い評価が得られた。
なお、(前記アンダー層の塗工量)/(前記インク受容層の塗工量)で表される比が1未満である実施例6の場合、上記比が1を超えた他の実施例に比べ、塗工層強度が若干低かったが実用上問題はなかった。
一方、アンダー層の顔料として2次粒子径5〜15μmの合成シリカを含有しなかった比較例1の場合、光沢感、各インク適性は良好なものの、加工適性(紙粉抑制)に劣り、特性のバランスの良好なインクジェット記録媒体が得られなかった。
アンダー層の結着剤として、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含有しなかった比較例2の場合、染料インク及び顔料インク適性に劣り、さらに加工適性(紙粉抑制)も劣ったものとなった。これは、アンダー層の結着剤がPVAのみからなるために、アンダー層が硬くてもろくなったためと考えられる。
アンダー層の結着剤中に、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含有せず、SBRを用いた比較例3の場合、染料インク及び顔料インク適性が劣った。これは、SBRもEVAと同様に合成樹脂であるためPVA等の水溶性樹脂に比較すると柔らかく、アンダー層は柔軟になる(加工適性に優れる)が、SBRの濡れ性が低いためにインク吸収性、印字適性が低下したためと考えられる。

Claims (7)

  1. 支持体上に、それぞれ顔料及び結着剤を含有するアンダー層並びにインク受容層をこの順に設けたインクジェット記録媒体であって、前記アンダー層は、顔料として主に合成シリカを含有し、前記合成シリカの20質量%以上が2次粒子径5〜15μmの合成シリカであり、かつ前記アンダー層は結着剤として水溶性高分子とエチレン・酢酸ビニル共重合体とを含有し、前記インク受容層表面の75度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記水溶性高分子はポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載されたインクジェット記録媒体。
  3. 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体のガラス転移点が0℃以下であり、かつ前記エチレン・酢酸ビニル共重合体は粒子径1μm以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの乾燥体であることを特徴とする請求項1又は2に記載されたインクジェット記録媒体。
  4. 前記アンダー層の塗工量が10〜20g/m、前記インク受容層の塗工量が3〜15g/mであり、(前記アンダー層の塗工量)/(前記インク受容層の塗工量)で表される比が1〜4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
  5. 前記インク受容層は顔料としてコロイダルシリカ及び気相法シリカを含み、前記コロイダルシリカの一次粒子径が10〜50nmで、かつ前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、前記気相法シリカの比表面積が130〜300m/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
  6. 前記インク受容層面の像鮮明度が20%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
  7. 前記インク受容層は、インク受容層用塗工液を塗布してなる塗工層の表面が湿潤状態にある間に、該塗工層を加熱した金属鏡面に圧接及び乾燥して設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
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