JP4222538B2 - インクジェット記録媒体の製造方法及びその方法によって製造されたインクジェット記録媒体 - Google Patents

インクジェット記録媒体の製造方法及びその方法によって製造されたインクジェット記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面が粗い面感を有することを特徴とするインクジェット記録媒体に関し、特に顔料インクを用いたインクジェット記録方式に適した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録法は、インク滴を各種の方法によって飛翔させ、画像を形成する記録法であり、高速化やフルカラー化が容易なことや印字時の騒音が小さいことなどから、急速に普及している。この場合に使用されるインクジェット用紙としては、従来は平滑性の高いものが好まれ、特に銀塩写真に使用される印画紙に似た、高平滑で高光沢のものが開発されていた。しかしながら、油彩画、水彩画、書画のように、平滑性が低く表面の粗い記録媒体(画用紙、色紙、半紙など)を使用することによってそれぞれ独自の画質を出しているものを、それらの画質を損なわないようにインクジェット記録方式で画像を形成することは、従来の高平滑な記録媒体を用いる限り不可能であった。
【0003】
また、一般に、インクジェット記録方式のインクは多量の溶媒を含んでいるので、その記録媒体にはインク吸収性が要求される。従って、従来、記録媒体にインク吸収性を付与するために支持体上にインク受理層を設けることが行われていた。そこで、同様にして、上記の画用紙、色紙、半紙など、表面が粗く平滑性の低い記録媒体についても、支持体上に十分なインク吸収性を有するインク受理層を設けると、これらの支持体が有する表面の粗さや平滑性の低さという特徴が失われることになるので、油彩画、水彩画、書画のような画像を形成しようとする用途には適さないという問題があった。
【0004】
また、油彩画、水彩画、書画のような画像は、屋内外で観賞用にすることが多く、このような画像をインクジェット記録法で形成しようとする場合には、記録媒体に対して高い発色性、色再現性、耐光性、及び耐水性等を有することが求められる。
【0005】
従来、鮮明な画像を得るという観点から、フルカラーインクジェット記録においては、発色性の点で優れている染料を溶媒に溶解したいわゆる染料系インクが主に使用されているが、この場合には画像の耐光性や耐水性が十分ではないという欠点があった。これに対し、主として顔料を水等に分散したいわゆる顔料系インクの場合には、画像の耐光性及び耐水性等に優れる一方で画像の発色性が劣り、インク吸収性を重視した高画質インクジェットプリンター用記録媒体に印字した場合には、画像の発色性が特に劣る。そこで、顔料インクで記録したときに発色性とインク吸収性を両立させることのできる記録媒体が望まれている。
【0006】
このようなニーズに対して、例えば、特開平10−119417号公報には、無機質フィラーを含むインク浸透層上に、水溶性樹脂が含まれているインク膨潤層を設けた例が示されている。しかしながらこの場合には、膨潤層のインク乾燥性が十分ではなく、ドットが滲む傾向となるので画像の形成に問題がある。又、特開平9−143900号公報には多層抄の画用紙が開示されているが、顔料インクで印字した場合の画像の色再現性は不十分なものであった。そこで、本発明者等は、絵画や書画をインクジェット記録法によって形成するのに適した記録媒体について鋭意検討した結果、基紙として、一定の表面粗さと平滑度を有するものを使用してその表面に適度の表面粗さと平滑度を有するインク受理層を設けることにより、良好な結果を得ることができることを見出し本発明に到達した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第1の目的は、油彩画、水彩画のような絵画様、或いは書画様の画像を記録するのに適した、粗い面感を有するインクジェット記録媒体の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、特に顔料インク主体のインクを使用して、耐光性、耐水性等に優れた絵画様又は書画様画像を形成することに適した、インク吸収性が良好であるにもかかわらず印字濃度が高く、色再現性に優れたインクジェット用記録媒体を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の諸目的は、表面粗さがPPS(PARKER PRINT-SURF)S(ソフトバッキング)5kgf/cmの測定条件で9.3μm以上、PPS S 10kgf/cmの測定条件で7.7μm以上、中心線平均粗さ(Ra)が3.2μm以上であり、且つ王研式平滑度が20秒以下である、画用紙、色紙、半紙及びクラフト紙の中から選択された何れかの基紙の少なくとも一方の表面上に、顔料と結着剤を主成分とし、該顔料100重量部に対して0.5〜10重量部の水溶性金属塩を含有する、面感の粗い少なくとも1層のインク受理層を設けるインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記インク受理層が、固形分が25重量%以下且つB型粘度計による粘度測定値が1,000mPa・s以上である塗液を塗布乾燥させて形成される層であることを特徴とする、インクジェット記録媒体の製造方法、及び、該方法によって製造されたインクジェット記録媒体によって達成された。
【0009】
本発明においては、インク吸収性が良好であると共に高い色再現性を得ることができるように、インク受理層中に顔料100重量部に対し0.5〜10重量部の水溶性金属塩を含有させる特に、水溶性金属塩が、アルミニウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、及び亜鉛塩から選択される少なくとも1種であると、顔料インクでの記録画像の色再現性が高くなることに加えて、塗液の粘度が上昇し、他の増粘剤の添加量を減らすことができるので好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる基紙としては、木材を蒸解して得られるパルプ繊維等を主成分とする紙が使用される。このような基紙として、画用紙、色紙、半紙、クラフト紙などを、適宜用途に応じて使用することができるが、比較的インク吸収容量が大きい画用紙が特に適している。粗い面感を数値化することは困難であるが、本発明においては、無圧条件下における触針式粗さ測定器による測定、弱加圧条件下における王研式平滑度測定、及び変圧強加圧条件下におけるPPS測定を併用することにより、目視結果と高い相関を持つ結果を得ることができる。
本発明における基紙の表面粗さは、PPS(PARKER PRINT-SURF)S(ソフトッキング)5kgf/cmの測定条件で9.3μm以上、PPS S 10kgf/cmの測定条件で7.7μm以上であると共に、触針式粗さ測定機で計測した中心線平均粗さ(Ra)が3.2μm以上であり、且つ王研式平滑度が20秒以下であることが好ましい。
【0011】
特に、PPS S 5kgf/cmの条件で測定した表面粗さは9.3〜11.0μmであることが好ましく、PPS S 10kgf/cmの条件で測定した表面粗さは7.7〜10.9μmであることが好ましい。また、触針式粗さ測定器で計測した中心線平均粗さは3.2〜9.0μmであることが好ましく、王研式平滑度は20秒以下であることが好ましい。
尚、中心線平均粗さはJIS B0651に準じ、触針式粗さ測定器を用いて測定し、王研式平滑度はJAPAN TAPPI No.5に準じて測定する。また、PPSはISO8791 -4:1992に準じて測定する。
【0012】
インク受理層としては、プリンターが高解像度であるほど単位面積当たりのインク打ち込み量が大きくなるので、インク吸収容量が大きいことが必要になる。しかしながら、表面の粗さ及び平滑性の低さを特徴とする面感を有する本発明の記録媒体を形成するためには、塗工量を5〜25g/mの範囲とすることが好ましく、特に6〜20g/mとすることが、目的の塗工面の面感を維持しつつ高いインク吸収性を得る上で好ましい。
【0013】
インク受理層が5g/mより少ないと、粗い面感を得やすい反面インク吸収性が劣り、画像が滲む。例えば濾紙のようなインク吸収容量の大きな基紙を使用しても、基紙のインク吸収速度はインク受理層のインク吸収速度より遅いので、基紙で吸収しきれないインクが溢れ、特に混色系の画像で滲みが顕著に認められることになる。このことは、特に顔料インクを用いて印字した場合に顕著となるので好ましくない。また、インク受理層が25g/mより多いと、記録媒体の表面の面感を所望の範囲に維持することが困難であるので好ましくない。
【0014】
インク受理層に用いる顔料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カリオン、クレー、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナやアルミナ水和物、ゼオライト、シリカ、プラスチックピグメント等が挙げられるが、本発明においては合成シリカが好ましい。また、目的の面感が得られる範囲の塗工量で目的のインク吸収性を確保するために、インク受理層に使用する顔料としては、吸油量が100〜300cc/100gのものを使用することが好ましい。このことは、特に顔料インクを用いて印字する場合に重要である。
【0015】
また、インク受理層に用いられる結着剤としては、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、カチオン化デンプン等のデンプン類、カゼイン、大豆タンパク等のタンパク質類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、鹸化度の異なる各種ポリビニルアルコール及びその誘導体等の水溶性高分子化合物、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン、スチレンブタジエンラテックス、アクリロニトリルブタジエンラテックス、ポリエステルディスパーション等の水分散性高分子化合物が挙げられるが、支持体との結着力が強く、乾燥後に皮膜を形成するものであれば特にこれらに限定されるものではない。本発明においては、これらの結着剤を少なくとも1種類使用することができる。また、インク受理層塗液の塗布をバーブレードコーターで行う場合には、ポリビニルアルコールを用いると塗液の塗工性が向上するので好ましい。
【0016】
本発明においては、使用する顔料により結着剤の適量がある程度変化するが、結着剤の配合部数は、顔料100重量部あたり5〜60重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部である。5重量部より少ないと表面強度が不十分となり、60重量部より多いとインク吸収性が不十分となる。
【0017】
上記顔料及び結着剤を主成分とするインク受理層を形成するための塗液は、塗液に使用する顔料及び結着剤の種類、目的とするインク受理層の塗工量、及び塗工法にも依存するが、固形分が25重量%以下であり、且つB型粘度計による粘度測定値(以下、B型粘度と呼ぶ)が1,000mPa・s以上であることが好ましい。より好ましい固形分は20重量%以下であり、B型粘度は2,000mPa・s以上であることが更に好ましい。固形分が25重量%より高いか、B粘度が1,000mPa・s未満であると、インク受理層表面が粗い面感にならない場合がある。尚、B型粘度はJIS K7117に準じて測定する。
【0018】
また、高粘度の塗液を用いると、塗液中の結着剤が基紙中に浸透しづらいのでインク受理層の粉落ちを防止することができる。
従って、本発明においてはインク受理層の塗液粘度はできるだけ高い方が良いが、粘度の上限は塗液の塗工装置によって決定される。例えばブレードコーターであると、上限は5,000mPa・sである。ブレードコーターにおいて、この上限を超えると塗工が困難になる。
【0019】
本発明においては、塗液の粘度を、塗液中の顔料と結着剤の配合比、結着剤の分子量、増粘剤の添加等で調整することが可能であるが、目的とする塗液の条件を満たすため、塗液に水溶性金属塩を含有させることが好ましい。水溶性金属塩は塗液に対する増粘効果を有し、低固形分且つ高粘度という塗液の条件を満たすことを容易にすると共に、顔料インクを用いて印字した場合に、顔料インクをインク受理層に定着させる効果をも有し、濃度が高く色再現性が良好な画像を得ることを可能とする。好ましい水溶性金属塩としては、アルミニウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩等が挙げられるが、より好ましくは硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウムであり、硫酸マグネシウムが最も好ましい。
尚、染料インクを用いて記録した場合、インク受理層中に硫酸アルミニウムを含有させると、印字部に金属光沢が発生する場合がある。
【0020】
上記水溶性金属塩は、基紙上に設けた少なくとも1層以上のインク受理層のうち最表層のインク受理層中に添加することが好ましい。特に、そのインク受理層中の顔料100重量部に対し、0.5〜10重量部添加することが好ましく、1〜8重量部添加することが最も好ましい。インク受理層中への添加量が0.5重量部より少ないと水溶性金属塩を添加した効果が十分に得られず、また、添加量が10重量部より多いとインク吸収性等の他の特性に悪影響を与えることがある。
【0021】
尚、本発明における顔料インクとは、着色成分として顔料を50重量%以上含有するインクであり、着色成分として染料を50重量%未満含有する、いわゆる染顔料インクも本発明における顔料インクに含まれるものとする。
【0022】
顔料インクは、着色成分である顔料粒子が特定の大きさを有する。従って、記録媒体のインク吸収性を上げるためにインク受理層に形成される細孔(空隙)を大きくすると、着色成分がインク受理層中に深く浸透しすぎるので色再現性が悪くなる。また、色再現性を上げるために、インク中の着色顔料をインク受理層表面にとどめるようにインク受理層に形成する細孔(空隙)を小さくすると、色再現性は向上するものの、着色顔料がインク受理層の細孔(空隙)を塞ぎインク吸収性を悪くする。また、着色顔料がインク受理層のごく表層にとどまった場合には、記録画像の耐擦性が劣ることになる。従って、従来は、顔料インクを用いて色再現性が高くインク吸収性も良好なインクジェット記録を行うことが困難であったが、前記の如く、インク受理層に水溶性金属塩を含有させた場合には、インク吸収性及び色再現性を同時に良好なものとすることが可能になる。
【0023】
本発明においては、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜インク受理層に添加できる。
【0024】
インク受理層を支持体上に設ける手段としては、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工装置を使用することができる。塗工装置によって、塗液の粘度や固形分の好ましい範囲が異なるため、記録媒体表面の粗い面感を形成できる範囲で、塗液の固形分濃度や粘度を調整する。
【0025】
本発明においては、インク受理層の表面強度を高くするために、ブレードコーターで塗工することが好ましい。他の塗工方式と比較して表面強度が高くなる理由は明らかではないが、基紙上に塗液を塗布した後に、金属ブレードや金属ロッド等を塗布面に押し付けて塗布量を調整するので、金属ブレードや金属ロッドによって基紙と塗液が加圧され、基紙とインク受理層との接着性が上がるためと推測される。また、ブレードコーターは、高粘度の塗液を塗布するのに好適である。
【0026】
塗布量の調整を無加圧で行うタイプのコーター(例えばカーテンコーター)や弱加圧で行うタイプのコーター(例えばエアナイフコーター)は、インク受理層面を粗い面感にすることはできるものの、インク受理層の表面強度は下がる傾向にある。また、これらのコーターの場合には、ブレードコーターの場合に比べて塗液の粘度を低くする必要がある。このため、塗液の固形分を下げることになるので、乾燥過程において塗液中の結着剤成分のみが基紙中に浸透しやすく、インク受理層の粉落ちが発生し易くなる。
【0027】
さらに、表面仕上げとして、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の各種カレンダー装置を、記録媒体表面の粗い面感を損ねない程度に、単独もしくは併用して使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明の記録媒体の具体的な構成を実施例によって説明すると共に、本記録媒体の特性を比較例と対比して説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。また、金属塩水和物は無水物分の配合量を示す。
【0029】
インク受理層用塗工液の粘度は、JIS K7117に準じて、B型粘度計の一種であるBM型粘度計(TOKIMEC社製VISCOMETER BM型)を用いると共にNo.3又はNo.4のローターを用い、液温23℃、ローター回転速度60R.P.Mで、測定開始1分後の粘度を測定した。
【0030】
各実施例及び比較例において得られたインクジェット記録媒体の評価においては、下記の方法を用いた。
(1)表面粗さ
a:面感の目視評価
表面の面感を目視にて評価した。
◎:非常に粗い面感である
○:粗い面感である
△:やや平滑であるが、粗い面感がある
×:表面が平滑であり、粗い面感ではない
【0031】
b:PPSによる表面粗さ測定
ISO 8791−4に従って、PPS(PARKER PRINT−SURF)測定機(PPS―78、H.E.MESSMER社製)を用い、S(ソフトッキング) 5kgf/cm、及びS 10kgf/cmの2条件下で表面粗さを測定した。
【0032】
c:触針式粗さ測定器による表面粗さ測定
JIS B0651に従って、触針式表面粗さ測定器(SE−3C、株式会社小坂研究所製)を用い、カットオフ値0.8、平均粗さ測定距離8mmの条件で中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
d:平滑度
J.TAPPI No.5に従って、王研式平滑度計(KY−5、旭精工株式会社製)を用い、表面の平滑度を測定した。
【0033】
(2)染料インクを用いた記録試験
染料インクを用いた記録試験は、PM−770C(セイコーエプソン社製)を用いて所定のベタ及び画像パターンを記録し、下記の基準によって評価した。
a:色再現性
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタパターンの濃度をマクベス濃度計(RD915,Macbeth社製)を用いて測定し、その各値の合計値により評価した。
◎:6.5<測定値の合計
○:5.8≦測定値の合計≦6.5
△:5.0≦測定値の合計<5.8
×:測定値の合計<5.0
【0034】
b:インク吸収性
レッド(マゼンタとイエローの混色)とグリーン(シアンとイエローの混色)のベタ画像が隣接するパターンを印字し、その境界部における滲み(ブリード)を下記の基準にて目視で評価した。レッドとグリーンの境界部の滲み(ブリード)は黒色となり、より厳密な評価ができる。
◎:境界部で滲みが全く認められない
○:境界部で滲みがほとんど認められない
△:境界部で滲みが多少認められる
×:境界部で滲みが著しく認められる
【0035】
(3)顔料インクを用いた記録試験
顔料インクを用いた記録試験は、DesignJet 2500CP(HEWLETT PACKARD社製)を用いて所定のベタ及び画像パターンを記録し、下記の基準によって評価した。
【0036】
a:色再現性
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタパターンの濃度をマクベス濃度計(RD915,Macbeth社製)を用いて測定し、その各値の合計値によって評価した。
◎:6.0<測定値の合計
○:5.0≦測定値の合計≦6.0
△:4.0≦測定値の合計<5.0
×:測定値の合計<4.0
【0037】
b:インク吸収性
レッド(マゼンタとイエローの混色)とグリーン(シアンとイエローの混色)のベタ画像が隣接するパターンを印字し、その境界部における滲み(ブリード)を下記の基準にて目視で評価した。レッドとグリーンの境界部の滲み(ブリード)は黒色となり、より厳密な評価ができる。
◎:境界部で滲みが全く認められない
○:境界部で滲みがほとんど認められない
△:境界部で滲みが多少認められる
×:境界部で滲みが著しく認められる
【0038】
実施例1
坪量が180g/m、紙厚が290μm、密度が0.62g/cmであり、表面の粗さがPPS S 5kgf/cmの条件で10.40μm、PPSS 10kgf/cmの条件で10.00μm、中心線平均粗さが4.40μm、王研式平滑度が2秒である画用紙に、バーブレードコーターを用いて、固形分が19重量%、B型粘度が2,750mPa・sの下記塗液1を、固形分で10g/m塗布した後水分が5%となるまで乾燥し、次いでカレンダー装置を用いて線圧20kg/cmで処理してインク受理層を設け、坪量が190g/mのインクジェット記録媒体を得た。なお、以下に塗液1の配合を示すが、水以外はいずれも固形分配合量である。
【0039】
○塗液1
Figure 0004222538
【0040】
実施例2.
塗液1の水の配合部数を674部とし、固形分を17.5重量%、B型粘度を1,280mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0041】
実施例3.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物(無水物分)の配合量を0.5部、水の配合部数を599部とし、固形分を19重量%、B型粘度を1,180mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0042】
実施例4.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物(無水物分)の配合量を8部、水の配合部数を631部とし、固形分を19重量%、B型粘度を4,200mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0043】
実施例5.
塗液1の塗工量を6g/mとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0044】
実施例6.
塗液1の塗工量を20g/mとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0045】
実施例7.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物のかわりに、増粘剤(コラクラールPU85、ビーエーエスエフ ジャパン)の配合量を1部、水の配合部数を601部とし、固形分濃度を19重量%、B型粘度を3,150mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0046】
実施例8.
塗液1の水の配合部数を407部とし、固形分濃度を26重量%、B型粘度を5,900mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にして顔料インク記録媒体を得た。
【0047】
実施例9.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物(無水物分)の配合量を0.5部、増粘剤(コラクラールPU85、ビーエーエスエフ ジャパン製)の配合量を0.5部、水の配合部数を601部として固形分濃度を19重量%、B型粘度を2,620mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0048】
実施例10.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物のかわりに硫酸アルミニウム18水和物(無水物分)を3部とし、B型粘度を3,200mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にして顔料インク記録媒体を得た。
【0049】
実施例11.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物(無水物分)のかわりにチオ硫酸ナトリウム5水和物(無水物分)を3部とし、B型粘度を2,600mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にして顔料インク記録媒体を得た。
【0050】
実施例12.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物のかわりにチオ硫酸カリウム3水和物(無水物分)を3部とし、B型粘度を2,580mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にして顔料インク記録媒体を得た。
【0051】
実施例13.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物の代わりに硫酸亜鉛7水和物(無水物分)を3部とし、B型粘度を2,550mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にして顔料インク記録媒体を得た。
【0052】
比較例1.
実施例1で使用した画用紙のかわりに、坪量が160g、紙厚が200μm、密度が0.80g/cmであり、表面の粗さがPPS S 5kgf/cm条件で8.00μm、PPS S 10kgf/cm条件で6.40μm、中心線平均粗さが2.50μm、王研式平滑度が35秒であるフォーム用紙(NPIフォーム、日本製紙製)を用いたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0053】
比較例2.
塗液1で使用した硫酸マグネシウム7水和物(無水物分)の添加量を0部、水の配合部数を597部とし、固形分濃度を19重量%、B型粘度を490mPa・sとしたほかは、実施例1の場合と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0054】
比較例3.
実施例1で用いた画用紙に、インク受理層を設けずそのままインクジェット記録媒体とした。
【0055】
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られたインクジェット記録媒体の評価結果を表1及び表2にまとめた。なお、表中の評価記号が◎〜△である場合には、特に問題なく使用することが可能である。
【表1】
Figure 0004222538
【0050】
【表2】
Figure 0004222538
【0051】
【発明の効果】
表1及び2から明らかなように、本発明の顔料と結着剤を主成分とする粗い面感のインク受理層を有するインクジェット記録媒体は、良好なインク吸収性及び高い色再現性を有し、絵画様、書画様の画像をインクジェット記録法で形成するのに好適である。
また、インク受理層を形成する塗液に水溶性金属塩を配合した場合は、顔料インクを用いてもインク吸収性及び色再現性が極めて良好であり、デジタルカメラ等で撮影した画像を記録すると、絵画のような雰囲気を出すことができる。

Claims (3)

  1. 表面粗さがPPS(PARKER PRINT-SURF)S(ソフトバッキング)5kgf/cmの測定条件で9.3μm以上、PPS S 10kgf/cmの測定条件で7.7μm以上、中心線平均粗さ(Ra)が3.2μm以上であり、且つ王研式平滑度が20秒以下である、画用紙、色紙、半紙及びクラフト紙の中から選択された何れかの基紙の少なくとも一方の表面上に、顔料と結着剤を主成分とし、該顔料100重量部に対して0.5〜10重量部の水溶性金属塩を含有する、面感の粗い少なくとも1層のインク受理層を設けるインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記インク受理層が、固形分が25重量%以下且つB型粘度計による粘度測定値が1,000mPa・s以上である塗液を塗布乾燥させて形成される層であることを特徴とする、インクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記水溶性金属塩が、アルミニウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、及び亜鉛塩から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載されたインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された方法によって製造された面感の粗いインクジェット記録媒体であって、該記録媒体のインク受理層の表面粗さが、PPS( PARKER PRINT-SURF )S(ソフトバッキング)5kgf/cm の測定条件で9.0μm以上、PPS S 10kgf/cm の測定条件で7.0μm以上、中心線平均粗さ(Ra)が3.0μm以上、表面の王研式平滑度が30秒以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
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