JPH1044590A

JPH1044590A - インクジェット記録シート

Info

Publication number: JPH1044590A
Application number: JP8220592A
Authority: JP
Inventors: Kiyoshi Iwamoto; 清志岩本; Senichi Yoshizawa; 泉一吉澤
Original assignee: Tomoegawa Paper Co Ltd
Current assignee: Tomoegawa Co Ltd
Priority date: 1996-08-02
Filing date: 1996-08-02
Publication date: 1998-02-17

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は記録シートに関するもので、特に優
れたインク吸収性、画像特性を有し、かつ、鮮明で水に
濡れても滲みを生じることのない耐水性に優れた高品質
の画像が得られる水性インクを用いたインクジェットプ
リンターに適したインクジェット記録シートに関する。【構成】支持体の少なくとも片面に、水性結着剤と顔
料を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録
シートにおいて、該インク受容層にジアリル第４級アン
モニウム塩系重合体を含有することを特徴とするインク
ジェット記録シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録シートに関するもの
で、特に優れたインク吸収性、画像特性を有し、かつ、
鮮明で水に濡れても滲みを生じることのない耐水性に優
れた高品質の画像が得られる水性インクを用いたインク
ジェットプリンターに適したインクジェット記録シート
に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットプリンターは、記録の鮮
明さ、音の静かさ、カラー化の容易さ等の特徴を有する
ため、近年その普及は増大しつつあるのが現状である。
インクジェットプリンターは、インクの乾燥によるジェ
ットノズルの詰まりを防止するため、乾燥しにくいイン
クを使用している。かかるインクは一般に、結着剤、染
料、溶媒、添加剤等を水に溶解又は分散したものである
ため、インクジェットプリンターに使用される記録シー
トは吸水性が要求され、画像の鮮明さを損なわない程度
にインクを吸収する性能を付与されたインクジェット記
録シートが使用されている。

【０００３】このような記録シートの水性インクに対す
る受容性すなわちインクの吸収性を向上させるものとし
て、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリド
ン系樹脂、グリセリン、ゼラチン、ヒドキシエチルセル
ロース又はカルボキシメチルセルロース等の水性結着剤
と炭酸カルシウム、シリカ等の顔料とを主成分とした、
インクジェットプリンター用インクに耐し湿潤性のある
材料を含有した水性塗料を、基材上に塗布してインク受
容層を形成することが提案されている。しかし、上記の
ような従来提案されてきた記録シートは、実用上十分な
インク吸収性を付与すると画質が鮮明性に劣ったり、吸
湿によりブロッキングを生じやすいという問題を有し、
また、水に濡れた場合に画像が滲みを生じたり消失して
しまうという耐水性に問題を有するものであった。そこ
で、インクの吸収性を抑えると高濃度・高精細の画像が
得られなかったり、記録後画像に触れるとインクが擦れ
て汚れを生じてしまい画像定着性（乾燥性）に問題を有
すると共に、依然として耐水性の問題を有するものであ
った。従って、上記の如き相反する特性及び耐水性を全
て満足する優れたインクジェット記録シートはまだ得ら
れていないのが実情である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来の記録シートが有する問題点を解決し、インク吸収
性に優れ、かつ記録画像の鮮明性及び耐水性に優れたイ
ンクジェットプリンターに適したインクジェット記録シ
ートを提供する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、支持体の少な
くとも片面に、水性結着剤と顔料を含有するインク受容
層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該イン
ク受容層にジアリル第４級アンモニウム塩系重合体を含
有することを特徴とするインクジェット記録シートであ
る。

【０００６】本発明に使用されるジアリル第４級アンモ
ニウム塩系重合体は、下記一般式（２）の構造単位を有
するポリジアリル第４級アンモニウム塩で水溶性ないし
水分散性の重合体である。

【化２】（式中、Ｒ₁及びＲ₂は水素、炭素数１〜６のアルキル基
又はヒドロキシ基を有する炭素数１〜６のアルキル基で
あり、同一でも異なっていてもよく、Ｘはハロゲン又は
酸基を表わす。また、ｎは１０〜５００の整数を表わ
し、ｙ及びｚは０又は１を示し、ｙ＝１のときはｚ＝０
で、ｙ＝０のときはｚ＝１である。）

【０００７】本発明においては上記の如きジアリル第４
級アンモニウム塩系重合体であれば特に限定されること
なく１種又は２種以上を使用することができるが、中で
も前記一般式（２）で示される繰り返し構造からなる単
独重合体が好ましく、特に構造単位としてＲ₁及びＲ₂が
メチル基で、Ｘが塩素であるポリジメチルジアリルアン
モニウムクロライドが、水性結着剤への分散性が良好
で、優れた耐水性が得られることから好適である。ま
た、かかる重合体の分子量は、より優れた耐水性や支持
体への接着性が得られること、インク受容層用塗液の粘
度や分散安定性等の塗液の特性上から、３，０００〜５
０，０００が好ましく、特に８，０００〜２０，０００
が好適である。

【０００８】また、ジアリル第４級アンモニウム塩系重
合体は、インク受容層においてその含有量は特に限定さ
れるものではないが、後述の水性結着剤１００重量部に
対して５〜１５０重量部、特に１０〜１００重量部の割
合で配合されることが好ましい。ここで５重量部未満で
は十分な耐水性が得られないおそれがあり、逆に１５０
重量部を越えて用いた場合も使用量が増えるに従って耐
水性が低下するおそれがある。なお、インク受容層がよ
り優れた記録特性等を得るために２層以上の積層構成で
形成される場合は、できるだけ最表層もしくはこれに近
い層において上記の配合割合で使用されていることが好
ましい。

【０００９】本発明においてインク受容層に用いられる
水性結着剤は、従来インクジェット記録シートのインク
受容層に使用されている材料の使用が可能であり特に限
定されない。水性結着剤の例としては、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラー
ル、ポリ酢酸ビニル、水溶性ポリビニルアセタール、ポ
リアミド樹脂、酸化澱粉、カゼイン、ゼラチン、ポリエ
チレンオキサイド、ポリエチレンオキサゾリン、（メ
タ）アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、ＳＢＲ、ＮＢＲ等の水溶性もしくは水分散性
の結着剤が挙げられるが、これらの中でもポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルア
セタール、カゼイン、ポリエチレンオキサイド等の水溶
性高分子が良好なインク吸収性、画像の鮮明性、保存性
が得られ好適である。本発明においては、特にインク受
容層にポリビニルピロリドンを水性結着剤成分中に１０
〜６０重量％の配合割合で用いることにより、インク中
の染料成分をインク受容層の表面近くに固定する効果が
増し、より優れた発色性が得られたり、インク受容層の
支持体への接着性が向上するとの効果が得られる。

【００１０】インク受容層に用いられる顔料は、水性イ
ンクの吸収性に寄与するものであれば、特に限定される
ものではないが、例えば、クレイ、シリカ、マイカ、タ
ルク、、カオリン、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、ケイ酸アルミニウム、合成ゼオライト、アル
ミナ、酸化亜鉛、リトポン、サチンホワイト、水酸化ア
ルミニウム、アクリル系樹脂微粒子、アクリル−スチレ
ン系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子、フェノール
樹脂微粒子等の充填材料が挙げられる。この他、有機又
は無機の着色顔料等も使用することができる。本発明に
おいては、前記のジアリル第４級アンモニウム塩系重合
体との組合わせにおいて、特に優れたインク吸収性と画
像の鮮明性が得られることからシリカが特に好適であ
る。なお、インク受容層における顔料の含有量は３０〜
９０重量％、特に４０〜７０重量％が好適である。

【００１１】また、インク受容層には必要に応じて画像
の鮮明性（滲み防止）や耐ブロッキング性等を向上する
ためにメラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂、グリオキザール、炭酸ジルコニウムアンモ
ニウム等の耐水化剤を配合してもよい。また、記録シー
トの生産性、記録特性、あるいは保存安定性をより高め
るための、分散剤、蛍光染料、ＰＨ調整剤、消泡剤、潤
滑剤、、防腐剤等の各種の添加剤を加えてもよい。な
お、これらの添加剤は、支持体に透明シートが用いられ
ている透光性記録シートの場合には、透光性を損なわな
い程度の量が配合される。

【００１２】本発明のインクジェット記録シートに使用
される支持体としては、紙、布、不織布等の不透明性支
持体の他に、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテー
トセルロース、トリアセテートセルロース、アクリル系
ポリマー、セロハン、セルロイド、ポリ塩化ビニル、ポ
リカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる
フィルム、板、およびガラス板等が用いられる。これら
の支持体は、記録目的、記録画像の用途、あるいはイン
ク受容層との密着性等を考慮して適宜選択される。

【００１３】インク受容層の形成は、各層を形成するた
めの材料を水又は適当な溶媒中に溶解もしくは分散させ
て調製した塗工液を、ロールコーター、ブレードコータ
ー、エアナイフコーター、ロッドコーター等のコーター
を適宜使用して、支持体上に塗布して形成する。その他
ホットメルトコーター、ラミネートコーター等を使用し
て、支持体上に積層して形成してもよい。また、これら
の方法を適宜用いてインク受容層を２層以上積層して形
成してもよい。インク受容層の塗布量としては、２〜５
０ｇ／ｍ²、特に好ましくは３〜３０ｇ／ｍ²である。こ
こで、フルカラーの記録のように多量のインクが付与さ
れる場合は、良好なインク吸収性を得るために１０〜３
０ｇ／ｍ²の塗布量が好適である。かかる範囲より塗布
量が少ないと、インク吸収性や定着性が十分に得られな
いおそれがあり、逆に多すぎると生産性が低下したりコ
ッストアップ等の問題を生じるおそれがある。

【００１４】本発明のインクジェット記録シートは上記
の如き構成よりなるものであるが、その表面に光沢を寄
与することもできる。光沢を付与するためには、インク
受容層を前記のようにして形成した後、スーパーカレン
ダー処理等の表面平滑化処理を適用することにより得る
ことができる。また、インク受容層の形成をキャストコ
ーティング法や下記に述べるインク受容層上への光沢層
の形成方法により行なうことにより、インク受容層の形
成と同時に表面光沢性を付与することもできる。

【００１５】すなわち、光沢層を形成する方法はキャス
トコーティング法や下記の如きウエットラミネート法を
適用することができる。ウエットラミネート法による光
沢層の形成方法は、支持体上にインク受容層用塗液を塗
布もしくはインク受容層上に光沢層用塗料を塗布し、か
かる塗料が未乾燥（好ましくは固形分５０％以下）の状
態で、例えばポリオレフィンフィルム、４フッ化エチレ
ン樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、剥離性シリコ
ーン加工樹脂フィルム等の光沢層を構成する材料とは剥
離性を有する（接着性が悪い）基体を積層して乾燥せし
めた後該基体を剥離する方法である。また、上記基体上
に光沢層用塗料を塗布し、未乾燥の状態でインク受容層
上に積層して乾燥後基体を剥離する方法でもよい。

【００１６】光沢層の組成は特に限定されるものではな
いが、インクジェット記録特性を損なわないように前記
のインク受容層に使用される水性結着剤と顔料が好まし
く用いられ、インクを良好にインク受容層へ浸透させる
ことから顔料としてはシリカ、特にコロイダルシリカが
好適である。光沢層における水性結着剤及び顔料の配合
割合としては、顔料に対して水性結着剤を５〜５０重量
％用いることが好ましく、特に５〜３０重量％が好適で
ある。また、特に光沢度２０以上の光沢性が要求される
場合にはコロイダルシリカを使用することが好ましい。
なお、光沢層はインク受容層の機能を損なうことがなく
良好な光沢性を得るには、塗布量５〜２５ｇ／ｍ²に形
成することが好ましく、特に８〜２０ｇ／ｍ²が好適で
ある。

【００１７】

【実施例】以下実施例に基づき、本発明をより詳細に説
明する。以下の各例において、部、％は特にことわりの
ない限り、重量部、重量％を表わす。実施例１坪量９０ｇ／ｍ²の上質紙の片面に、以下の組成からな
るインク受容層用塗料を塗布、乾燥して乾燥塗布量１０
ｇ／ｍ²のインク受容層を設け、本発明のインクジェッ
ト記録シートを作製した。〈インク受容層用塗料〉・シリカ（商品名“カープレックスＢＳ３０４Ｆ”塩野義製薬社製）１５０部・ポリビニルアルコール（商品名“ゴーセノールＴ−３３０” 日本合成化学社製、１０％水溶液）７５０部・ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド（商品名“アデカカチオエースＤＭ−３０Ａ”旭電化工業社製、３０％水溶液）７５部・水６６０部

【００１８】実施例２インク受容層用塗料におけるポリジメチルジアリルアン
モニウムクロライドの使用量を３８部とした以外は、実
施例１と全く同様にして本発明のインクジェット記録シ
ートを作製した。実施例３インク受容層用塗料におけるポリジメチルジアリルアン
モニウムクロライドの使用量を２２５部とした以外は、
実施例１と全く同様にして本発明のインクジェット記録
シートを作製した。

【００１９】実施例４インク受容層用塗料におけるポリジメチルジアリルアン
モニウムクロライドの使用量を４５０部とした以外は、
実施例１と全く同様にして本発明のインクジェット記録
シートを作製した。比較例１インク受容層用塗料におけるポリジメチルジアリルアン
モニウムクロライドを使用しなかった以外は、実施例１
と全く同様にして比較用のインクジェット記録シートを
作製した。

【００２０】実施例５インク受容層用塗料として下記組成からなる塗料を用い
た以外は、実施例１と全く同様にして本発明のインクジ
ェット記録シートを作製した。〈インク受容層用塗料〉・シリカ（商品名“カープレックスＢＳ３０４Ｆ”塩野義製薬社製)１５０部・ポリビニルアルコール（商品名“ゴーセノールＴ−３３０” 日本合成化学社製、１０％水溶液）３００部・ポリビニルピロリドン（商品名“Ｋ−９０”ＢＡＳＦ社製、１０％水溶液）４００部・ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド（商品名“アデカカチオエースＤＭ−３０Ａ”旭電化工業社製、３０％水溶液）７５部・水６５０部

【００２１】実施例６実施例１においてインク受容層を形成した後、下記組成
よりなる光沢層用塗料をインク受容層上に塗布し、該塗
料が未乾燥の状態（固形分１８．３％）で厚さ２５μｍ
のポリエステルフィルムを重ね合わせてニップロール
（圧力４ｋｇ／ｃｍ²）を通し、乾燥せしめた後ポリエ
ステルフィルムを剥離除去して塗布量１２ｇ／ｍ²の光
沢層を形成し、本発明のインクジェット記録シートを作
製した。〈光沢層用塗料〉・シリカ（商品名“スノーラックＵＰ”日産化学社製、固形分２０％）２５０部・ポリビニルアルコール（商品名“ゴーセノールＴ−３３０” 日本合成化学社製、１０％水溶液）５０部

【００２２】比較例２インク受容層用塗料におけるポリジメチルジアリルアン
モニウムクロライドを使用しなかった以外は、実施例５
と全く同様にして比較用のインクジェット記録シートを
作製した。

【００２３】実施例１〜６、比較例１〜２で得られたイ
ンクジェット記録シートをＡ４サイズに裁断し、インク
ジェットプリンター（商品名“ＭＪ−５０００Ｃ”、セ
イコーエプソン社製）及びインクジェットプリンター用
インク（商品名“ＭＪＩＣ２Ｃ”、セイコーエプソン社
製）を用いてカラー印字を実施し、各種特性を評価した
結果を表１に示す。表１から明らかなように、本発明の
インクジェット記録シートはインクの吸収性に優れ、発
色性、滲み等の画像特性も良好で、かつ、優れた耐水性
を有するものであった。一方、比較用のシートは耐水性
及び画像特性に劣るものであった。

【００２４】

【表１】

【００２５】なお、表１における各種特性の評価方法は
下記の通りである。なお、インク吸収性について印字
後、印字面上にビーズ状になって残っているインクの状
態を目視により評価したが、いずれの記録シートもほと
んどインクが残らず指で擦っても全く問題がなく、良好
なインク吸収性を有するものであった。（１）印字濃度：マクベスＲＤ−９１４により黒色画像
部の濃度を測定した。（２）発色性：画像の鮮明性、インクの発色性を目視で
評価した。評価基準は次の通りである。 ○：画像良好 ×：画像不良

【００２６】（３）滲み：印字部のドット再現性を４０
倍の実体顕微鏡を使用して目視で評価した。評価基準は
次の通りである。 ○：印字ドットが円又は円に近いもの ×：滲みが激しくドットの形状をなさないもの △：○と×の中間程度のもの（４）耐水性：画像上に水を１滴垂らし、２分後に画像
の状態を評価した。 ○：ほとんどインクが溶けないで鮮明な画像が維持され
ている。 △：少しインクが溶けているが、画像内容は判別でき
る。 ×：インクがかなり溶けてしまい、画像内容は判別でき
ない。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、優れたインク吸収性を
有し、かつ、記録画像は発色性がよく鮮明で滲みがなく
良好な記録特性を有すると共に、水に濡れても画像が滲
んだり消失してしまうことのない優れた耐水性を有する
インクジェットプリンターに適した記録シートが提供さ
れる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】支持体の少なくとも片面に、水性結着剤
と顔料を含有するインク受容層を設けたインクジェット
記録シートにおいて、該インク受容層にジアリル第４級
アンモニウム塩系重合体を含有することを特徴とするイ
ンクジェット記録シート。
【請求項２】前記ジアリル第４級アンモニウム塩系重
合体が、前記水性結着剤１００重量部に対して５〜１５
０重量部の割合で配合されていることを特徴とする請求
項１記載のインクジェット記録シート。
【請求項３】前記ジアリル第４級アンモニウム塩系重
合体が、下記一般式（１）の構造単位を有するポリジメ
チルジアリルアンモニウムクロライドであることを特徴
とする請求項１又は２記載のインクジェット記録シー
ト。【化１】（式中、ｎは１０〜５００の整数を表わし、ｙおよびｚ
は０又は１を示し、ｙ＝１のときｚ＝０であり、ｙ＝０
のときはｚ＝１である。）