JP3329585B2 - 両面インクジェット記録シートの製造方法 - Google Patents

両面インクジェット記録シートの製造方法

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JP3329585B2 JP15317894A JP15317894A JP3329585B2 JP 3329585 B2 JP3329585 B2 JP 3329585B2 JP 15317894 A JP15317894 A JP 15317894A JP 15317894 A JP15317894 A JP 15317894A JP 3329585 B2 JP3329585 B2 JP 3329585B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、片面のインクジェット
記録を終了した後で、その反対面にインクジェット記録
を行っても反対面へのインクの裏抜けが起こらず、両面
の記録の視認性が良好な両面インクジェット記録シート
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、
漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として
種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色イ
ンクジェット方式により形成される画像は、製版方式に
よる多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、
遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数
が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも
安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く
応用されつつある。
【0003】その中でも、作成部数が少ない個人等での
用途としては、葉書等に使用しあて先、通信文あるいは
画像を両面にインクジェット記録することが挙げられ
る。昨今のインクジェットプリンターの低価格化によ
り、個人でインクジェットプリンターにより年賀状、挨
拶状等を作製する機会が非常に増えてきている。その
際、記録される内容としては文字のみではなく、画像が
記録されることも多くなった。画像の場合、ベタ部が非
常に多くなる。一般的な葉書、あるいは原紙の両面にイ
ンク受理層が設けられた両面インクジェット記録シート
よりなる葉書をその用途に用いた場合、片面の記録が終
了した時点でインクの原紙中への浸透の結果、反対面へ
滲み出たインクによるインクの滲み出し、すなわちイン
クの裏抜けがみられる。そのため、反対面に記録を行っ
ても滲み出たインクのためにその画像は見ずらいものと
なってしまう。また、インクの裏抜けまでいかなくと
も、インクが原紙中に深く浸透することにより、片面の
記録が反対面に透けて見える裏写りも大きくなり反対面
の記録の視認性が低下してしまう。さらに、インクが滲
み出た部分のインク吸収性が低下するため、その上への
インクの定着性が低下するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明が解決
しようとする課題は、表裏共にインク受理性を有する両
面インクジェット記録シートにおいて、片面のインクジ
ェット記録を終了した後で、その記録の反対面へのイン
クの裏抜けによる反対面の記録の視認性および記録性の
低下を抑制した表裏共にインク受理性を有する両面イン
クジェット記録シートを得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、以上のよ
うな問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の発明
に至った。即ち、本発明の両面インクジェット記録シー
トは、同一又は異なる原紙のインク受理性を有する面の
反対面を、溶融押出したポリオレフィン樹脂中間層でラ
ミネートして、貼り合わされたことを特徴とする製造方
である。好ましくは、該原紙の非中間層側の面に、そ
れぞれインク受理層が塗設されている両面インクジェッ
ト記録シートの製造方法である。
【0006】インクジェット記録装置にて記録されたイ
ンクの浸透が、原紙まで達することから、インク吸収性
の優れた特性を有する原紙が必要となる。しかし、原紙
の厚さ方向に深くインクの浸透が進行すると、インクの
反対面への透過、すなわちインクが反対面へ抜け出てし
まうインクの裏抜けの発生があり、表裏共にインク受理
性を有する両面インクジェット記録シートではインクの
裏抜けの発生のため、反対面の記録性を大きく低下させ
ると共に記録の視認性を大きく低下させる。これは、画
像を記録する際などベタの記録が多いとき特に顕著であ
る。
【0007】このようなインクの裏抜けや裏写りを減少
させる方法として、いくつかの方法が提案されている。
例えば、インクジェット記録シートを十分に厚くしてイ
ンクの裏抜け性や裏写り性を実質的に軽減させる方法、
インクジェット記録層と支持体の間にアンダーコート層
を設けてインクの透過を防止する方法、インクジェット
記録層のインク受理性をあげてインクの透過を防止する
方法、あるいは実質的にインクを透過しない合成樹脂シ
ートの両面にインク樹脂層を設ける方法などである。
【0008】しかしながら、これらの方法では、実用的
にインクの裏抜けあるいは裏写りのない両面インクジェ
ット記録シートは得られなかった。すなわち、インクジ
ェット記録シートを十分厚くする場合には、インクジェ
ット記録におけるほとんどの特性はカバーできるもの
の、厚くしたことによるインクジェット記録シートの厚
みのバリエーションの欠如、具体的には通常記録シート
として用いられる厚み、あるいはそれより薄い両面イン
クジェット記録シートが原理的にできないというジレン
マがある。アンダーコート層を用いたり、インクを透過
しない合成樹脂シートを用いる場合には、コスト上の問
題もさることながら、インクの吸収性の無い層をインク
受理層に近接して設けることによるインク吸収性の制御
の困難さ、具体的には、インクの溢れや、インクの乾き
にくさという問題が生じる。インク受理層のインク受理
性を上げた場合には、結局、画像部のドットが細ること
になり、画像再現性の悪化という問題が生じる。このよ
うに、画像の再現性を保ちながら、インクが裏抜けある
いは裏写りしない両面インクジェット記録シートを作製
するのは非常に困難な問題であった。
【0009】本発明者は、このような問題を鋭意検討し
た結果、原紙と原紙の間にポリオレフィン樹脂ラミネー
ト層による中間層を設けることで、これらの問題が解決
でき、良好な両面インクジェット記録性が得られること
を見い出した。本発明によれば、中間層にポリオレフィ
ン樹脂ラミネート層を用いることにより、両表面ともに
良好なインクジェット記録特性を保持したまま、インク
ジェット記録の裏写り性、裏抜け性は顕著に改善され
る。このような特性は、後述するように中間層にポリオ
レフィン樹脂ラミネート層を用いた場合にのみ得られる
現象であり、これはポリオレフィン樹脂ラミネート層の
インクジェット記録用インクとの非親和性、ポリオレフ
ィン樹脂ラミネート層の原紙中への非浸透性、およびポ
リオレフィン樹脂ラミネート層の均一性が寄与している
ものと考えられる。
【0010】ポリオレフィン樹脂ラミネート層以外の中
間層、例えば、中間層を溶剤型接着性樹脂あるいはエマ
ルジョン型接着剤着性樹脂を用いて形成した場合には、
以下の点で問題があることが判明した。すなわち、イン
クジェット記録体の裏面にこれらの接着性樹脂液を塗布
して乾燥した後、もう片方のインクジェット記録体の裏
面を重ね合わせる、いわゆるドライラミの手法を用いた
場合、接着性樹脂液の溶媒が乾燥するにつれて、樹脂層
表面に皮膜を生じ、その内側から溶媒がさらに蒸発する
ため、樹脂層にピンホールを生じやすく、中間層として
均一性にかけるものしか得られなかった。このような中
間層を有する両面インクジェット記録体を用いた場合、
中間層は両インクジェット記録体の接着の役割はするも
のの、ピンホール部分のバリヤー性が欠如しているため
に、その部分のみインクの裏抜けが起こるという、画像
の再現性に劣ることが明らかになった。また、インクジ
ェット記録体の裏面にこれらの接着性樹脂液を塗布し、
もう片方のインクジェット記録体の裏面を重ね合わせた
後乾燥するという、いわゆるウェットラミの手法を用い
た場合、接着性樹脂が原紙中にマイグレーションを起こ
し、原紙中に不均一に疎水領域やインクのバリヤー領域
ができるため、インクの浸透状況が場所によって異な
り、良好な画像再現性が得られなかった。
【0011】中間層にポリオレフィン樹脂ラミネート層
を用いた場合は、その皮膜性はほぼ完全であり、原紙中
を浸透してきたインクを中間層で止めることができる。
ポリオレフィン樹脂ラミネート層であれば、中間層形成
中に溶媒が揮発することもなく、原紙のインク受理性に
与える影響も少ない。
【0012】本発明における中間層を形成するポリオレ
フィン樹脂とは、例えば、以下の物質が挙げられる。高
密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;
アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチッ
ク、それらの混合物、エチレンとのランダム共重合体又
はブロック共重合体等のポリプロピレン;その他ポリ−
−メチルペンテン−1等を単独或は混合して使用でき
る。
【0013】ポリオレフィン樹脂ラミネート層よりなる
中間層は、一般の溶融押し出しダイ、Tダイ、多層同時
押し出しダイ等のラミネーターを用いて設けることがで
きる。
【0014】本発明において、インク受理層を設ける場
合、その塗工量は特に限定されるものではないが、あま
り少ないとノンコートタイプインクジェット記録シート
と同様にインクの吸収性は良いものの、画像濃度・色彩
性・鮮明性が低く、インクが支持体の面方向に拡散し
て、鳥の羽状にギザギザしたフェザリングと呼ばれるド
ット形状の悪化が発生し、インク受理層を設ける意味が
なくなる。また、あまり塗工量が多いと、塗工又は含浸
後の乾燥工程における乾燥負荷が高まり、塗工又は含浸
速度の低下に伴う生産性の低下ばかりでなく、高負荷で
の乾燥では、インク受理層を構成する塗被組成物中のバ
インダーが、蒸発する溶媒と共にインク受理層表面に移
動して、その表面の空隙量を低下させるために、記録時
に地汚れなどの発生がある。塗工量の多いインク受理層
で生じる問題は、塗被組成物の濃度や乾燥工程の能力に
影響されるが、望ましくは、1〜10g/m2である。
【0015】本発明において中間層を形成するポリオレ
フィン樹脂ラミネート層中に白色顔料を添加し、片面の
インクジェット記録の反対面への裏写りをより少なくす
ることもできる。添加する顔料は、特に制限するもので
はなく、例えば具体的にはアルミニウム、亜鉛、マグネ
シウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化
物、硫酸塩など、及び天然シリカ、クレー、ゼオライ
ト、カオリン、焼成カオリン等の粘土類を含む無機系顔
料、澱粉、合成シリカ、スチレン樹脂、メラミン樹脂、
アクリル樹脂、尿素樹脂等の共重合体を含む有機系顔料
から1種又は2種以上使用される。
【0016】本発明における両面インクジェット記録シ
ートを得る場合、インクジェット記録シート2枚を中間
層を介して積層することもできるし、2枚の原紙を中間
層を介して積層した後で両面にインク受理層を設けるこ
ともできる。また、中間層を介して接着する原紙は、同
じ原紙であっても良いし、異種の原紙を接着しても良
い。
【0017】本発明に用いられる原紙は、木材パルプと
顔料を主成分として構成される。木材パルプとしては、
LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、R
MP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パル
プ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必要に応
じて従来公知の顔料やバインダー及びサイズ剤や定着
剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各
種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄
紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で支持体の製造
が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造できる。
また、インク受理層を設ける場合、該原紙にそのままイ
ンク受理層を設けても良いし、澱粉、ポリビニルアルコ
ール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた後
にインク受理層を設けた多層構成のインク受理層として
も良い。
【0018】また、該原紙は、金属ロールと合成樹脂ロ
ールから成るカレンダー装置をオンマシン処理しても良
い。その際、オフマシン処理しても良く、処理後に、さ
らにマシンカレンダー、スーパーカレンダー等でカレン
ダー処理を施して平坦性をコントロールしても良い。
【0019】本発明に用いられる原紙及び多層構成のイ
ンク受理層には、公知の白色顔料を1種以上用いること
ができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カル
シウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、
サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸
カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コ
ロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、
水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライ
ト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピ
グメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエ
チレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等
の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層
中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無
機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭
酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細
孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0020】また、接着剤としては、例えば、ポリビニ
ルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱
粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、
大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;スチレ
ン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタ
ジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体
又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又
は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン
酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或
いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含
有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン
樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤;
ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマ
ー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹
脂系接着剤が挙げられ、1種以上で使用される。
【0021】さらに、その他の添加剤として、顔料分散
剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、
発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化
剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合する
こともできる。
【0022】本発明の原紙に、インク受理層を塗工及び
含浸する方法は、各種ブレードコーター、ロールコータ
ー、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレ
ードコーター、ショートドウェルコーター、サイズプレ
ス等の各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで用い
ることができる。また、塗工又は含浸後には、マシンカ
レンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフ
トカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0023】本発明でいうインクとは、下記の着色剤、
液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
【0024】着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩
基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が
挙げられる。
【0025】インクの溶媒としては、水及び水溶性の各
種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、
tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭
素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、
ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチ
レングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チオジ
グリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコ
ール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコー
ル類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ
る。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレ
ングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
エチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエー
テルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、P
H調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張
力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げら
れる。
【0026】本発明における両面インクジェット記録シ
ートは、インクジェット記録シートとしての使用に留ま
らず、記録時に液状であるインクを使用するどのような
記録シートとして用いてもかまわない。例えば、熱溶融
性物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹
脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗
布したインクシートを、その裏面より加熱し、インクを
溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性
インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインク
ジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したイン
クを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマ
ー及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプ
セルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シ
ートなどが挙げられる。
【0027】これらの記録シートの共通点は、記録時に
インクが液体状態である点である。液状インクは、硬
化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の
深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上
述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収
性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シ
ートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら
構わない。更に、複写機・プリンター等に広く使用され
ている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シ
ートとして、本発明におけるインクジェット記録シート
を使用しても構わない。
【0028】
【作用】本発明のインクジェット記録シートはポリオレ
フィン樹脂ラミネート層からなる中間層を持つために片
面へのインクジェット記録の際、反対面の原紙へのイン
ク吸収を防ぎ、反対面のインクジェット記録性および画
像の視認性を損なうことがない。
【0029】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
又、実施例に於いて示す「部」及び「%」は、特に明示
しない限り重量部及び重量%を示す。
【0030】実施例1 原紙は、LBKP(濾水度400mlcsf)70部と
NBKP(濾水度450mlcsf)30部から成る木
材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重質
炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔
料25部、市販アルキルケテンダイマー0.10部、市
販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン
化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調成後、長網抄
紙機を用いて坪量40g/m2で抄造した。
【0031】抄造した原紙表面にインク受理層を設け
た。インク受理層組成物として、合成非晶質シリカ(フ
ァンシールX37B:徳山曹達株式会社製)100部、
ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)3
0部、カチオン性染料定着剤(スミレーズレジン100
1:住友化学工業株式会社製)20部を用い、これを調
液し、固形分濃度13%とした。調整したインク受理層
塗液を用いて、エアーナイフコーターにより乾燥塗工量
5g/m2となるように支持体表面に塗工し、インクジェッ
ト記録シートを得た。
【0032】ポリオレフィン樹脂ラミネート層として、
ポリプロピレンを溶融押し出しダイを用いて、厚さが1
0μmになるように、このインクジェット記録シートの
インク受理層を設けた面の反対面にラミネートした直
後、インク受理層が外側になるように同様のインクジェ
ット記録シートを重ね合わせ、目的とする表裏共にイン
ク受理性を有する両面インクジェット記録シートを得
た。
【0033】実施例2 ポリオレフィン樹脂ラミネート層としてポリプロピレン
を、実施例1で抄造した原紙の片面に厚さが10μmと
なるように溶融押し出しダイを用いてラミネートし、同
様の原紙を重ね合わせ、目的とする表裏共にインク受理
性を有する両面インクジェット記録シートを得た。
【0034】実施例3 ポリプロピレン100部に対して、白色顔料として二酸
化チタン(石原産業株式会社製、タイペークCR−5
0)20部を添加した以外は、実施例2と同様にして、
目的とする表裏共にインク受理性を有する両面インクジ
ェット記録シートを得た。
【0035】実施例4 実施例1と同様にして抄造した坪量30g/m2の原紙の片
面に溶融押し出しダイを用いてポリプロピレンをラミネ
ートした後、実施例1と同様にして抄造した坪量50g/
m2の原紙を重ね合わせ、目的とする表裏共にインク受理
性を有する両面インクジェット記録シートを得た。
【0036】実施例5 ポリオレフィン樹脂ラミネート層を高密度ポリエチレン
に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とする表
裏共にインク受理性を有する両面インクジェット記録シ
ートを得た。
【0037】実施例6 ポリオレフィン樹脂ラミネート層を高密度ポリエチレン
に変更した以外は実施例2と同様にして、目的とする表
裏共にインク受理性を有する両面インクジェット記録シ
ートを得た。
【0038】比較例1 実施例1と同様にして抄造した坪量90g/m2の原紙をノ
ンコートタイプ両面インクジェット記録シートとした。
【0039】比較例2 実施例1と同様にして抄造した坪量80g/m2の原紙の片
面に実施例1と同様にして乾燥塗工量5g/m2のインク受
理層を設けてインクジェット記録シートを得た。このイ
ンクジェット記録シートの裏面に同様に乾燥塗工量5g/
m2のインク受理層を設けて目的とする表裏共にインク受
理性を有する両面インクジェット記録シートを得た。
【0040】比較例3 変性アクリル共重合樹脂系のエマルジョン型接着剤ボン
ドCE500(コニシ社製)を、実施例1と同様にして
抄造した原紙の片面にグラビアコーターを用いて塗布重
量が5g/m2となるように塗布し、同様の原紙と重ね合わ
せ、乾燥して、目的とする表裏共にインク受理性を有す
る両面インクジェット記録シートを得た。
【0041】比較例4 変性アクリル共重合樹脂系のエマルジョン型接着剤ボン
ドCE500(コニシ社製)を、実施例1と同様にして
得たインクジェット記録シートのインク受理層設けた面
の反対面にグラビアコーターを用いて塗布重量が5g/m2
となるように塗布し、もう一方のインクジェット記録シ
ートのインク受理層を設けた面の反対面と向かい合うよ
うに重ね合わせ、乾燥して、目的とする表裏共にインク
受理性を有する両面インクジェット記録シートを得た。
【0042】比較例5 主剤(大日精化工業株式会社製ドライラミネート用接着
剤セイカボンドE−285(B))10部と硬化剤(大
日精化工業株式会社製ドライラミネート用接着剤セイカ
ボンドC−75N)1部を混合した溶剤型ドライラミネ
ート用接着剤を実施例1と同様にして抄造した原紙の片
面にグラビアコーターを用いて塗布重量が5g/m2となる
ように塗布し、乾燥した後、同様の原紙と重ね合わせ、
室温で2日間養生して、目的とする表裏共にインク受理
性を有する両面インクジェット記録シートを得た。
【0043】比較例6 主剤(大日精化工業株式会社製ドライラミネート用接着
剤セイカボンドE−285(B))10部と硬化剤(大
日精化工業株式会社製ドライラミネート用接着剤セイカ
ボンドC−75N)1部を混合した溶剤型ドライラミネ
ート用接着剤を、実施例1と同様にして得たインクジェ
ット記録シートのインク受理層を設けた面の反対面に塗
布重量が5g/m2となるようにグラビアコーターを用いて
塗布し、乾燥した後、もう一方のインクジェット記録シ
ートのインク受理層を設けた面の反対面と向かい合うよ
うに重ね合わせ、室温で2日間養生して、目的とする表
裏共にインク受理性を有する両面インクジェット記録シ
ートを得た。
【0044】以上の実施例、比較例により得られた表裏
共にインク受理性を有する両面インクジェット記録シー
トは、すべて良好な白紙外観を有し、寸法安定性も優れ
ていた。
【0045】[試験方法] 1)裏抜け シャープ製(IO−720)インクジェットプリンター
を用いて、片面に青印字(シアン+マゼンタ)の重色ベ
タ印字を行った後、反対面に「H」の文字を多数個印字
して、その読みとり性を目視で判定した。インキの裏抜
けがなく、良好に「H」が読みとれるものを裏抜け優、
裏抜けにより実用上問題ないが若干汚れて見えるものを
裏抜け並、明らかに汚れて見えるものを裏抜け劣と判定
した。
【0046】2)裏写り シャープ製(IO−720)インクジェットプリンター
を用いて、片面に青印字(シアン+マゼンタ)の「H」
の文字の印字を多数行った後、反対面にも同様に印字を
行い、片面の印字を目視により判定した。問題なく文字
が読みとれるものを裏写り優、若干反対面の印字が気に
なるものを裏写り並、反対面の印字が非常に気になるも
のを裏写り劣と判定した。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1〜6より明らかなように、中間層
を有した両面にインク受理性を有する両面インクジェッ
ト記録シートでは、該中間層にポリオレフィン樹脂ラミ
ネート層を用いることによりインクの裏抜けがほとんど
なくなり、反対面の記録の視認性が良好になる。中間層
にポリオレフィン樹脂以外の樹脂を用いた比較例3〜6
の結果では、明らかに中間層がない比較例1、2よりは
裏抜けは少なくなり反対面の記録の視認性は良好である
が、中間層にポリオレフィン樹脂ラミネート層を用いた
実施例と比べると若干劣ったものとなってしまう。
【0049】また、中間層にポリオレフィン樹脂ラミネ
ート層を用いた実施例1〜6において、裏写りが良好で
あったのはポリオレフィン樹脂ラミネート層の皮膜性に
起因していると思われる。比較例3〜6において、裏写
りが若干劣るのはインクの裏抜けが中間層にポリオレフ
ィン樹脂ラミネート層を用いたものより多いためであ
る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、片面の記録後、反対面
へのインクの裏抜けによる反対面の記録の視認性および
印字性の低下を抑制した両面にインク受理性を有する両
面インクジェット記録シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2種類の原紙の間にポリオレフィン樹
脂ラミネート層からなる中間層を設けた両面インクジェ
ット記録シートの断面図。
【図2】本発明のポリオレフィン樹脂ラミネート層から
なる中間層と反対の原紙の面にインク受理層が塗設され
た両面インクジェット記録シートの断面図。
【符号の説明】
1、4 原紙 2、5 ポリオレフィン樹脂ラミネート層よりなる中間
層 3 インク受理層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一又は異なる原紙のインク受理性を有
    する面の反対面を、溶融押出したポリオレフィン樹脂中
    間層でラミネートして、貼り合わされた両面インクジェ
    ット記録シートの製造方法
  2. 【請求項2】 該原紙の非中間層側の面に、それぞれイ
    ンク受理層が塗設されていることを特徴とする請求項1
    記載の両面インクジェット記録シートの製造方法
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