JP2000263924A - インクジェット記録用紙及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000263924A
JP2000263924A JP11071803A JP7180399A JP2000263924A JP 2000263924 A JP2000263924 A JP 2000263924A JP 11071803 A JP11071803 A JP 11071803A JP 7180399 A JP7180399 A JP 7180399A JP 2000263924 A JP2000263924 A JP 2000263924A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
jet recording
ink jet
recording paper
receiving layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11071803A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideji Oda
秀次 織田
Koji Igarashi
宏二 五十嵐
Kazuhiko Sunada
和彦 砂田
Takashi Noguchi
隆志 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP11071803A priority Critical patent/JP2000263924A/ja
Publication of JP2000263924A publication Critical patent/JP2000263924A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】水性インクによるインクジェット記録におい
て、高いインク吸収性、印字濃度、光沢を有し、インク
が記録用紙へ打ち込まれた際に原紙の伸縮によるインク
ジェット記録用紙の歪みによって発生する印字部表面が
波打つコックリングと呼ばれる現象を回避し、搬送性の
良好なインクジェット記録用紙を提供すること。 【解決手段】原紙上に少なくとも1層以上のインク受理
層と原紙を介した該インク受理層の反対面に、熱可塑性
樹脂の溶融押出し法によって設けられたサポート層も有
し、且つ該インク受理層が、湿潤状態にある間に加熱さ
れた鏡面ロールに圧接して鏡面光沢仕上げされてなるも
のであることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを用いて記
録するインクジェット記録用紙に関するものであり、特
に水性インクによる印字において、高いインク吸収性、
印字濃度、光沢を有し、水性インクによる印字により発
生する印字面が波打つコックリングと呼ばれる現象を回
避し、且つインクジェット記録装置における搬送性が良
好なインクジェット記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
用紙に付着させ、画像・文字などの記録を行なうもので
あるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの
融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢
字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種
々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色イン
クジェット方式により形成される画像は、製版方式によ
る多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜
色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が
少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安
価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応
用されつつある。
【0003】又、インクジェット記録装置の低価格化、
鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた
画像をパーソナルコンピュータレベルで簡単に得ること
ができること等から、インクジェット記録装置は、特定
の人に使用される特殊な記録装置から汎用の記録装置に
変遷してきており、特に近年では更にインクジェット記
録装置の高精細化が進み、写真画質を謳ったインクジェ
ット記録装置が低価格で出現したことにより、個人で所
有する割合も大幅に増加してきている。
【0004】さらに、用途の多様化に伴い、大判のポス
ターやPOPアート、製図用途に使用されることが多く
なってきている。これら用途では、インクジェットの高
鮮鋭性を生かせ、色彩性も優れていることから良好な画
像を得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとな
る。これらへの適用はパーソナルコンピュータレベル
で、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優
れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、イ
ンクジェット記録用紙を多用する理由ともなっている。
【0005】これらインクジェット記録装置の高性能化
や用途の多様化により、インクジェット記録用紙に求め
られる特性も要求もかなり高度になってきている。特に
画像の高精細化を謳った記録装置や大判印字可能な記録
装置では、画像を形成するために使用されるインクの量
が従来よりかなり増加しており、インクを吸収するため
のインク受理層の改良が進んでいる。しかし、後述する
ようにインク受理層の対応のみでは、インク量の多い記
録装置に対しては満足な画像品質を得ることは難しく、
支持体もインクを吸収することができる原紙を選択する
ことが適用されている。しかしながら原紙がインクを吸
収するということは、原紙が印字されたインクに対して
伸縮を起こし、記録用紙が歪んでしまい、印字部表面が
波打ってしまうコックリングと呼ばれる現象の発生が付
随する。この現象により画質は高品位であっても見た目
の質感が著しく損なわれるため、大きな問題となってお
り、インクの吸収性とコックリングを両立させることが
なかなか困難であった。
【0006】又、用途の多様化はインクジェット記録用
紙の外観に対しても生じており、従来からある普通紙や
マット紙といった光沢のない或いは光沢の低い外観に加
え、アート紙、コート紙、キャスト紙、印画紙等の光沢
を有した外観が求められている。これはインクジェット
記録が印刷や写真に匹敵する画像品質を再現できること
により、外観も類似させたいという要望が生じているた
めである。
【0007】高い光沢を有するインクジェット記録用紙
としては、例えば、特開昭61-197285号公報には、透明
な支持体上に多孔質なインク受理層を形成し、インク受
理層に形成した画像を支持体側から観察する方法が提案
されている。特開平3-215081号公報には、透明な支持体
上に多孔性アルミナ水和物からなる染料吸着層、多孔性
微粉シリカからなる溶剤吸収層を順次積層し、染料吸着
層に形成した画像を支持体側から観察する方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法では、画像を印字する
際に鏡像となるように画像処理する必要があり、更に、
使用する支持体が透明性を有するものに限定されてしま
う。
【0008】又、特開平2-113986号公報には、カチオン
性高分子電解質を含む水溶液で処理した後にキャストす
る方法、特開平2-274587号公報には光沢向上のためにコ
ロイダルシリカを用い、カチオン性高分子電解質を含む
水溶液で処理した後にキャストする方法の提案がなされ
ている。しかし、カチオン性高分子電解質の使用は、印
字した際に表面に存在するカチオン性高分子電解質がイ
ンクに再溶解するために印字部分の表面形状が粗面化さ
れ、印字部分の光沢や画像の鮮明性の低下が生じやすく
なる。
【0009】光沢を付与する目的で、溶解・膨潤により
インクを吸収する樹脂を塗布した記録紙、フィルム等が
あるが、このような樹脂の溶解・膨潤によりインクを吸
収させようとするものは、光沢は得られるものの、イン
クの吸収、乾燥が遅く、インク転写による汚れや滲みの
発生が問題となる。
【0010】光沢を付与する処理は、スーパーカレンダ
ー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力
や温度をかけたロール間に通紙することで塗層表面を平
滑化する方法が一般的である。しかしながら、インクジ
ェット記録用紙に光沢を付与する目的で、高線圧下でカ
レンダー処理を行うと、光沢は向上するが、塗層の空隙
が減少し、インクの吸収が遅くなり、又、吸収容量の不
足からインクのあふれが発生してしまう問題がある。こ
のことから、カレンダー処理は、許容されるインク吸収
容量の範囲内で条件を選択せざるを得ず、インクの吸収
と光沢を得るには、現状の技術での対応は難しいのが現
状である。
【0011】特に本発明が課題として挙げるコックリン
グは、インクジェット記録用紙の印字部表面に生じる波
打ちであり、光沢を有した該記録用紙においては、反射
される光が散乱するために、普通紙やマット紙と比較し
てコックリングが目立ち、この回避が重要な課題となっ
ている。
【0012】この現象を回避する手段として、原紙を十
分厚くする方法或いは原紙を介したインク受理層と反対
側にバックコート層を設け、原紙の伸縮を抑える方法な
どが一般的に行われる(特開平4-298380号公報)。しか
しこれら手法は、最近のインク吐出量が増大している記
録装置に対しては完全にコックリングを回避することは
難しい。又、原紙を厚くし、原紙の剛性で対応するに
は、かなりの厚さが必要となり、通常使用する記録用紙
の厚さである70〜300μmの範囲を大きく上回るこ
とになる。その結果 、原紙の剛性が高くなり該記録用
紙の柔軟性が欠如すること、原紙が厚いことから、イン
クジェット記録装置内での搬送性が低下することにな
る。
【0013】又、インク受理層の吸収容量を増加し、イ
ンクが原紙に達しないようにする方法が考えられる。し
かし、インク受理層の吸収容量を高めるためには、該イ
ンク受理層中のバインダー成分を減少させるか、該イン
ク受理層の塗工量を増やす必要があり、これによりイン
ク受理層と原紙の間の接着強度低下や画像を形成するド
ットの細りによる画像再現性の低下が発生するため良好
な手段とは言い難い。
【0014】さらに、印字されたインクが原紙まで浸透
しないように原紙とインク受理層との間にバリア層を設
けたり、インクが浸透しても原紙が伸縮しないように耐
水化を施す方法等が考えられる。しかし、これら手法で
は記録用紙のインク吸収容量が低下し、インクの溢れや
滲みが発生してしまい、良好な画像を得ることが難し
い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明の目的は、水性インクによるインクジェット記録に
おいて、高いインク吸収性、印字濃度、光沢を有し、イ
ンクが記録用紙へ打ち込まれた際に原紙の伸縮によるイ
ンクジェット記録用紙の歪みによって発生する印字部表
面が波打つコックリングと呼ばれる現象を回避し、搬送
性の良好なインクジェット記録用紙を提供するものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録用紙は、原紙上に少なくとも1層以上のインク受理
層と、原紙を介した該インク受理層の反対面に少なくと
も1層以上のサポート層が設けられてなるインクジェッ
ト記録用紙において、該サポート層の少なくとも1層
が、熱可塑性樹脂の溶融押出し法によって設けられたも
のであり、且つ該インク受理層が、湿潤状態にある間に
加熱された鏡面ロールに圧接して鏡面光沢仕上げされて
なるものであることを特徴とするものである。
【0017】また該インク受理層が、コロイダルシリ
カ、アルミニウム水和物、γ型酸化アルミニウム、気相
法シリカの群から選ばれた少なくとも1種を含有する層
であるとより好ましい。
【0018】原紙上に塗工されるインク受理層の表面
が、JIS P8142に規定される75度鏡面光沢度
において、40%以上であるインクジェット記録用紙に
対してより効果が高まるので好ましい。
【0019】該サポート層の熱可塑性樹脂中に顔料を含
有することも好ましい態様である。
【0020】また、該熱可塑性樹脂がポリエチレン樹脂
或はポリプロピレン樹脂であるとより好ましい。
【0021】サポート層の表面が、JIS P8142
に規定される75度鏡面光沢度において、70%以下で
あると搬送性が更に改良されるので好ましい、また、該
サポート層が粗面あるいは微粗面のクーリングロールに
圧接されて形成されたものであるとより好ましい。
【0022】該原紙が、坪量120g/m2以上の原紙
であるとコックリングが更に改良されるので好ましい態
様である。
【0023】更に本発明は、原紙上に少なくとも1層以
上のインク受理層と、原紙を介した該インク受理層の反
対面に少なくとも1層以上のサポート層が設けられてな
るインクジェット記録用紙の製造方法において、インク
受理層を設けた後に、熱可塑性樹脂の溶融押出し法によ
ってサポート層を設けることを特徴とするインクジェッ
ト記録用紙の製造方法を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明のインクジェット記
録用紙について、詳細に説明する。
【0025】本発明者らは、印字により多量のインクが
該記録用紙へ打ち込まれることによりインク受理層を設
けている原紙が伸縮し、原紙のみならずインク受理層に
も歪みを生じさせていることによりコックリングが発生
するものと考え、原紙の伸縮による該記録用紙の歪みを
抑える方法に関し鋭意研究を重ねた。その結果、原紙を
介したインク受理層の反対面に、サポート層を設け、該
サポート層の少なくとも1層を熱可塑性樹脂の溶融押出
し法によって設けることでインクジェット記録特性に影
響を与えることなく該記録用紙の歪みを抑え、コックリ
ングを改善できることを見いだした。
【0026】コックリングの改善は、サポート層の少な
くとも1層を形成する熱可塑性樹脂の溶融押出し法によ
って設けた層が、原紙の伸縮を抑制していること、該サ
ポート層がインクに対して伸縮しないことにより示され
た。またインクジェット記録特性への影響は、該サポー
ト層が塗工時に原紙へ浸透しないためにインクの吸収層
として働く原紙の特性に影響しないことが理由と考えら
れる。
【0027】熱可塑性樹脂の溶融押出し法以外のバック
コート層、例えば顔料とバインダーを主体成分とする水
系塗工液を用いたバックコート層では、最近のインク吐
出量の多い記録装置ではコックリングを完全に回避する
ことができない。これは、原紙の伸縮に対してそれを阻
止するだけの剛性を有していないこと、バックコート層
自体が吸収性を有するために原紙を通して浸透したイン
クにより変形することが原因と考えられ、完全にコック
リングを防止するまでには至らなかった。又、該バック
コート層の設営時に、原紙へ該層の該水系塗工液が浸透
するため、インク吸収性を阻害する場合もある。
【0028】さらに、インクジェット記録の高速化によ
り、インクジェット記録用紙は搬送性を確保することも
重要である。本発明が示すように、サポート層側の最表
面が、JIS P8142に規定される75度鏡面光沢
度において、70%以下であると良好な搬送性が得られ
る。一般にインクジェット記録装置においては、該記録
用紙を束ねてセットし、順次に記録することが行われて
いる。このことから、該記録用紙の表裏の面を合わせた
際の滑り性が搬送性に与える影響が大きい。本発明で
は、インク受理層面の表面が光沢面であり、その場合に
は該サポート層側の表面を上述の特定の光沢度以下に仕
上げることにより、搬送性の向上に効果のあることが判
明した。
【0029】本発明におけるサポート層とは、原紙を介
したインク受理層の反対面に設営される少なくとも1層
以上のものを指す。特に該サポート層の少なくとも1層
を、熱可塑性樹脂の溶融押出し法により設けることが必
要であり、又、該サポート層側の表面の光沢度を特定の
範囲にした場合にはさらに良好に、本発明が目的とする
インクジェット記録用紙を得ることができる。
【0030】例えば、熱可塑性樹脂の溶融押出し法によ
り原紙上に直接設営しても良いし、何らかの水系塗工液
を原紙上に塗工した後に、該熱可塑性樹脂を溶融押出し
法により塗工しても良い。
【0031】サポート層に適用される熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、以下の物質が挙げられる。高密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、アイソ
タクチック・シンジオタクチック・アタクチック・或い
はそれらの混合物であるポリプロピレン樹脂、エチレン
とのランダム共重合体又はブロック共重合体等のポリプ
ロピレン樹脂、その他ポリ−3−メチルペンテン−1、
ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール
共重合体、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル共重
合体等の樹脂類を単独或は混合して使用できる。
【0032】熱可塑性樹脂の溶融押出し法によるサポー
ト層は、一般の溶融押し出しダイ、Tダイ、多層同時押
し出しダイ等のラミネーターを用いて設けることができ
る。該サポート層の設営量は、適用する物質により密度
が異なるため厚さで規定することが好ましく、10μm
以上であれば、該サポート層が均一且つ欠陥のない面と
なる。特にポリオレフィン樹脂は該樹脂を溶融し、ラミ
ネーターで押し出した後に冷却して設営するため、原紙
やインク受理層への該樹脂の浸透が生じないのでインク
ジェット記録適性への影響が少なく好ましい。中でもポ
リプロピレン樹脂を使用すると鉛筆加筆性も与える事が
出来て特に好ましい。
【0033】インクジェット記録装置内での搬送性は、
サポート層側の最表面の光沢度を特定の範囲に入れる必
要があり、該光沢度の調整として以下の方法が挙げられ
る。例えば、熱可塑性樹脂中に顔料を添加すること、該
最表面をマット化されたフィルムを接着或いは貼り合わ
せて構成すること、熱可塑性樹脂を溶融押出し法によっ
て設けた後、顔料とバインダーを主体成分とする水系塗
工液を塗工すること、クーリングロールの表面を粗面化
すること等により、該サポート層の光沢度を変化させる
ことができる。このような方法で、該サポート層の光沢
度を70%以下とすることにより、インク受理層の表面
状態に関係なく、良好な搬送性を得ることができる。
【0034】熱可塑性樹脂に添加する顔料及び水系塗工
液に適用される顔料は、特に制限するものではなく、例
えば具体的にはアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、バ
リウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩
など、及び天然シリカ、合成シリカ、クレー、ゼオライ
ト、カオリン、焼成カオリン等の粘土類を含む無機系顔
料等、澱粉、スチレン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹
脂、尿素樹脂等の共重合体を含む有機系顔料等から1種
又は2種以上使用される。
【0035】本発明で云うインク受理層とは、市販のイ
ンクジェットプリンター、インクジェットプロッター及
びインクジェットプルーファー等に使用されている染料
インクや顔料インクに対して、吸収性、画像再現性、色
彩性等の特性に対応する目的で設けられた一層以上の顔
料及びバインダーを主体成分とする組成物からなる。
【0036】一般に、該記録用紙の特徴である良好なイ
ンク吸収性や定着性を得るために、多孔性顔料を主成分
とした塗層を塗工する方法が採られている。しかし、こ
れら多孔性顔料は、通常2次粒子として存在するため
に、粒子径が大きく、官能的に光沢感を生じさせること
は難しく、高温、高線圧条件にてカレンダー処理を行
い、平滑性の向上を図っても、本発明の目的に見合った
光沢が得られないばかりか、空隙が減少し、インク吸収
性が低下してインクジェット記録用紙の特徴を失うこと
になる。しかしながら、本発明で示すように、該記録用
紙のインク受理層を、特定の素材を用いて、インク吸収
性を有する塗層を構成し、該インク受理層をキャストコ
ーティング法を用いて得ることにより、市販のキャスト
コート紙の光沢を有する一方で、相反する特性であるイ
ンク吸収性を確保することが可能となる。
【0037】キャストコーティング法には、直接法、凝
固法、再湿潤法(リウエット法)、プレキャスト法があ
るが、本発明に係るキャストコーティング法とは、イン
ク受理層を塗工し、該塗工面が湿潤状態にある間に、該
塗工面を加熱した鏡面ロールに接触、圧着、乾燥させ剥
離し、該塗工面に該鏡面ロール表面のレプリカを形成さ
せる方法であり、直接法又は再湿潤法を指す。直接法
は、該インク受理層を塗工後、未乾燥の状態(湿潤状
態)で加熱された鏡面に圧着し乾燥する方法であり、再
湿潤法は、該インク受理層を塗工乾燥後、水を主体とす
る液にて該インク受理層を再湿潤させ、加熱された鏡面
に圧着し乾燥する方法である。特に、光沢度の高いイン
クジェット記録用紙を得るには、直接法が好ましい。ま
た、該鏡面ロールの表面粗度、表面温度、直径、塗工速
度は、市販のキャストコート紙の製造条件と同様に適宜
選択することが可能である。
【0038】市販のキャストコート紙と同様の顔料組成
では、インク吸収性に問題があり、また、多孔性顔料を
主成分とする塗被組成物では、キャストコーティング法
を用いても本発明が目的とする十分な光沢度の得られな
い。光沢度は、粒子径を小さくすることにより向上する
ことから、コロイド粒子と多孔性顔料を併用した塗被組
成物をキャストコーティング法により得ることが考えら
れるが、この場合でも目的とする光沢度はやや低い。本
発明では、インク受理層を二層構成とし、十分なインク
吸収性のある下層を設け、キャストコーティング法によ
り下層の上に光沢発現性の上層を積層し、該上層が、超
微粒子顔料及び接着剤を主成分とする塗被組成物からな
ることにより、より好ましい性能が得られた。本発明で
は、下層と上層を有する二層構成の場合も、両層を含め
てインク受理層と言う。
【0039】本発明のインク受理層上層に主として含有
される超微粒子顔料には、コロイダルシリカ、アルミニ
ウム水和物(擬ベーマイト等を含む)、γ型酸化アルミ
ニウム、及び気相法シリカ等の無機顔料、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、及び成膜温度が、光沢
発現層塗工後の鏡面ロール表面温度を超えていれば、ス
チレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−
ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、アクリ
ル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共
重合体等のアクリル系重合体等のアクリル系重合体等の
有機顔料が挙げられる。中でもコロイダルシリカ、アル
ミニウム水和物(擬ベーマイト等を含む)、γ型酸化ア
ルミニウム、及び気相法シリカは好ましい。
【0040】該インク受理層上層は、該インク受理層下
層に吸収されたインクを覆うことにより発生する印字濃
度の低下を防止する必要があり、この不透明性の問題を
回避するためには、該超微粒子顔料の一次粒子径は、2
00nm以下にすることが好ましい。また、該上層の塗
工量としては、2g/m2以上有れば、市販のキャスト
コート紙レベルの光沢を得ることができる。
【0041】本発明に係るインク受理層に配合される上
記以外の顔料としては、公知の白色顔料を1種以上用い
ることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミ
ニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウ
ム、合成非晶質シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウ
ム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化
マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチッ
クピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポ
リエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹
脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受
理層中に主体成分として含有する顔料としては、多孔性
無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性
炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特
に、細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好まし
い。又、カール適性を付与するために、原紙を挟んだイ
ンク受理層の反対面にバックコート層を塗工する場合に
は、顔料として、平板状顔料や加水ハロイサイトが好ま
しい。
【0042】又、インクジェット記録シートに要求され
る鮮鋭性や色彩性により異なるが、インク受理層に、2
級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩からなるカ
チオン性染料定着剤を併用すると鮮鋭性、色彩性が向上
し、本発明の目的を更に満足させる。
【0043】本発明に係るインク受理層には、水溶性接
着剤があると好ましい。インク受理層に配合される水溶
性接着剤には、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エス
テル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコ
ール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレ
イン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメ
タクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共
重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル
酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体
等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル
共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各
種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官
能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等
の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリ
レート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル
の重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマ
ー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹
脂系接着剤等を挙げることができる。
【0044】該インク受理層中の水溶性接着剤の配合量
は、顔料100重量部に対して、5〜70重量部、好ま
しくは、10〜50重量部であり、5重量部未満では、
該インク受理層中の塗層強度が不足するし、キャストコ
ーティング法により処理した際に、鏡面ロールでの塗層
剥離の問題が生じる。また、70重量部を超えると該イ
ンク受理層を透過して浸透するインクの吸収性の低下及
び不透明性の発現がある。又、該インク受理層と支持体
の間に、更に1層以上の塗層を設けても構わない。
【0045】さらに、その他の添加剤として、顔料分散
剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、
発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化
剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合する
こともできる。
【0046】本発明において、インク受理層の下層を設
ける場合、その塗工量は特に限定されるものではない
が、あまり少ないとインク吸収性が不足する。一方、あ
まり塗工量が多いと、塗工後の乾燥工程における乾燥負
荷が高まり、生産性の低下ばかりでなく、高負荷での乾
燥では、インク受理層を構成する塗被組成物中のバイン
ダーが、蒸発する溶媒と共にインク受理層表面に移動し
て、その表面の空隙量を低下させるために、記録時に地
汚れなどの発生がある。該塗工量の範囲は1〜40g/
2、より好ましくは4〜25g/m2である。
【0047】特に、本発明は、原紙上に塗工されるイン
ク受理層の表面が、JIS P8142に規定される7
5度鏡面光沢度において、40%以上であるインクジェ
ット記録用紙に対して有効となるので好ましい。コック
リングは、インク受理層を設けている原紙が印字された
インクにより伸縮するため、該記録用紙が歪んでしま
い、印字部表面が波打ってしまう現象である。そのため
インク受理層表面の光沢値が高いほど、表面のうねりに
より反射光が散乱して目立ちやすくなる。そこで本発明
者らは、インク受理層表面の光沢値が高い場合でも、コ
ックリングを目立たなくする方法に関し検討した。
【0048】本発明におけるインクジェット記録用紙を
得る場合、原紙上にインク受理層を塗工した後で、熱可
塑性樹脂を主体成分とするサポート層を設営することが
好ましい。原紙にサポート層を設営した後で、インク受
理層を塗工すると、該インク受理層の塗被組成物の塗工
液が原紙に塗布された際に該原紙の空隙に存在する空気
がサポート層側から抜けることができず、塗工表面に気
泡が浮き出てくるため、得られたインク受理層の表面に
気泡痕が発生し、光沢にムラを生じインクジェット記録
用紙としての質感を損なうばかりでなく、インクジェッ
ト記録特性にも影響を及ぼす。
【0049】本発明で云う原紙とは、木材パルプや非木
材パルプと顔料を主成分として構成される。木材パルプ
としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、
PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等
の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等、が挙げられ、
さらに、ケナフ、バカス、竹、コットン等の非木材パル
プも使用できる。これに、必要に応じて従来公知の顔料
やバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、
カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用
いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄
紙機等の各種装置で原紙の製造が可能であり、酸性、中
性、アルカリ性で抄造される。また、該原紙にそのまま
インク受理層を設けても良いし、澱粉、ポリビニルアル
コール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた
後にインク受理層を設けた多層構成のインク受理層とし
ても良い。該原紙の坪量は、通常40g/m2〜250
g/m2のものが使用されるが、中でも坪量120g/
2以上のものは、コックリング改良の効果が著しく表
れるので好ましい。
【0050】また、該原紙は、金属ロールと合成樹脂ロ
ールから成るカレンダー装置でオンマシン処理しても良
い。その際、オフマシン処理しても良く、処理後に、さ
らにマシンカレンダー、スーパーカレンダー等でカレン
ダー処理を施して平坦性をコントロールしても良い。
【0051】本発明に用いられる原紙には、填料として
公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例え
ば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリ
ン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チ
タン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイ
ト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、
珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニ
ウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサ
イト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色
無機顔料、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙
げられる。
【0052】また、バインダーとしては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテ
ル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラ
チン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;
スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート
−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテッ
クス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの
重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重
合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エ
チレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテック
ス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官
能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メ
ラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接
着剤;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポ
リマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合
成樹脂系接着剤が挙げられ、1種以上で使用される。
【0053】本発明に係る原紙に、インク受理層を塗工
する方法は、各種ブレードコーター、ロールコーター、
エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレード
コーター、ショートドウェルコーター、カーテンコータ
ー、サイズプレス等の各種装置をオンマシンあるいはオ
フマシンで用いることができる。
【0054】本発明で云う水性インクとは、下記着色剤
及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反
応性染料或は食品用色素等の水溶性染料、カーボンブラ
ックやフタロシアニン系等の有機顔料や酸化鉄、亜鉛華
等の無機顔料の着色顔料が挙げられる。
【0055】インクの溶媒としては、水及び水溶性の各
種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、
tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭
素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、
ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチ
レングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チオジ
グリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコ
ール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコー
ル類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ
る。
【0056】これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、
ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アル
キルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例
えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整
剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤
等が挙げられる。
【0057】又、本発明のインクジェット記録用紙を提
供する形態としては、カットシートのみならずロールで
も構わず、サポート層面に粘着剤を設けてシール、ラベ
ルやタックの用途使用することも可能である。
【0058】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
又、実施例に於いて示す「部」および「%」は、特に明
示しない限り重量部及び重量%を示す。
【0059】<原紙の作製>濾水度450mlCSFの
LBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP3
0部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウ
ム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/
35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1
部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カ
チオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調成後、
長網抄紙機を用いて坪量160g/m2で抄造し、市販
酸化澱粉をインクラインドサイズプレスで乾燥重量5g
/m2付着させて乾燥して原紙を得た。
【0060】<インク受理層>上述の原紙上に塗工され
るインク受理層は以下のように得た。まず下記インク受
理層下層を塗工し、その上に上層A〜Eをキャスト法に
よって塗工した。
【0061】(インク受理層下層)インク受理層下層の
塗被組成物は、合成非晶質シリカ(ファインシールX3
7B:トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコール
(PVA117:クラレ社製)30部、カチオン性染料
定着剤(スミレーズレジン1001:住友化学工業社
製)20部を用い、固形分濃度13%に調整して得た。
次いで該組成物を、エアーナイフコーターにより乾燥塗
工量9g/m2となるように原紙上に塗工し、これをス
ーパーカレンダー処理してインク受理層下層塗工紙を得
た。
【0062】(インク受理層上層A)上述のインク受理
層下層塗工紙の該インク受理層面側に、光沢を付与する
ため、さらに以下のインク受理層上層Aを積層した。該
インク受理層上層Aの塗被組成物は、非球状コロイダル
シリカ(スノーテックスUP:日産化学社製)100
部、変性アクリルエマルジョン(モビニール8020:
ヘキスト合成社製)15部、アルカリ溶解したカゼイン
(ニュージランド製)10部を用い、固形分濃度20%
に調整して得た。該塗被組成物をインク受理層下層塗工
紙上にエアナイフコーターを用いて乾燥塗工量6g/m
2となるように塗工した後に、湿潤状態にある間に加熱
した鏡面ロールに圧接してキャスト処理してインク受理
層上層A塗工紙を得た。
【0063】(インク受理層上層B)上述のインク受理
層下層塗工紙の該インク受理層面側に、光沢を付与する
ため、さらに以下のインク受理層上層Bを積層した。該
インク受理層上層Bの塗被組成物は、擬ベーマイトアル
ミナゾル(カタロイドAS3:触媒化成社製)100
部、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルア
ルコール、ケン化度93%、重合度2400)水溶液お
よび15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルア
ルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞ
れ2部、15部を混合した。混合後20分間撹拌し、2
00メッシュのフィルターにて濾過し、塗工液とした。
該塗被組成物をインク受理層下層塗工紙上にエアナイフ
コーターを用いて乾燥塗工量9g/m2となるように塗
工した後に、湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに
圧接してキャスト処理してインク受理層上層B塗工紙を
得た。
【0064】(インク受理層上層C)上述のインク受理
層下層塗工紙の該インク受理層面側に、光沢を付与する
ため、さらに以下のインク受理層上層Cを積層した。該
インク受理層上層Cの塗被組成物は、γ型酸化アルミニ
ウム(酸化アルミニウムC、デグサ社製、一次平均粒子
径13nm、BET法比表面積100m2/g)100
部、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルア
ルコール、ケン化度93%、重合度2400)水溶液お
よび15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルア
ルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞ
れ2部、15部を混合した。混合後20分間撹拌し、2
00メッシュのフィルターにて濾過し、塗工液とした。
該塗被組成物をインク受理層下層塗工紙上にエアナイフ
コーターを用いて乾燥塗工量12g/m2となるように
塗工した後に、湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロール
に圧接してキャスト処理してインク受理層上層C塗工紙
を得た。
【0065】(インク受理層上層D)上述のインク受理
層下層塗工紙の該インク受理層面側に、光沢を付与する
ため、さらに以下のインク受理層上層Dを積層した。該
インク受理層上層Dの塗被組成物は、気相法により合成
された非晶性シリカ微粒子(アエロジルMOX170、
日本アエロジル社製、一次平均粒子径15nm、BET
法比表面積170m2/g)100部、15重量%のP
VA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度
93%、重合度2400)水溶液および15重量%のP
VA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度
88%、重合度3500)をそれぞれ2部、15部を混
合した。混合後20分間撹拌し、200メッシュのフィ
ルターにて濾過し、塗工液とした。該塗被組成物をイン
ク受理層下層塗工紙上にエアナイフコーターを用いて乾
燥塗工量12g/m2となるように塗工した後に、湿潤
状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧接してキャスト
処理してインク受理層上層D塗工紙を得た。
【0066】(インク受理層上層E)上述のインク受理
層下層塗工紙の該インク受理層面側に、光沢を付与する
ため、さらに以下のインク受理層上層Eを積層した。該
インク受理層上層Eの塗被組成物は、湿式法により合成
された非晶性シリカ微粒子(ニップシールE220A、
日本シリカ社製、BET法比表面積130m2/g)1
00部、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニ
ルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)水溶
液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニ
ルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそ
れぞれ2部、15部を混合した。混合後20分間撹拌
し、200メッシュのフィルターにて濾過し、塗工液と
した。該塗被組成物をインク受理層下層塗工紙上にエア
ナイフコーターを用いて乾燥塗工量12g/m2となる
ように塗工した後に、湿潤状態にある間に加熱した鏡面
ロールに圧接してキャスト処理してインク受理層上層E
塗工紙を得た。
【0067】<サポート層>上述のインク受理層塗工紙
の原紙を介した反対面に以下に記す6種類のサポート層
と1種類のバックコート層を設けた。
【0068】(サポート層a)原紙表面をコロナ放電処
理し、低密度ポリエチレンを溶融押し出しダイを用い
て、厚さが15μmになるよう設け、表面が粗面のクー
リングロールに圧接し冷却してサポート層aを得た。
【0069】(サポート層b)原紙表面をコロナ放電処
理し、低密度ポリエチレンを溶融押し出しダイを用い
て、厚さが15μmになるよう設け、表面が微粗面のク
ーリングロールに圧接し冷却してサポート層bを得た。
【0070】(サポート層c)原紙表面をコロナ放電処
理し、低密度ポリエチレンを溶融押し出しダイを用い
て、厚さが15μmになるよう設け、表面が鏡面のクー
リングロールに圧接し冷却してサポート層cを得た。
【0071】(サポート層d)原紙表面をコロナ放電処
理し、ポリプロピレンを溶融押し出しダイを用いて、厚
さが15μmになるよう設け、表面が微粗面のクーリン
グロールに圧接し冷却してサポート層dを得た。
【0072】(サポート層e)サポート層eは二層から
なる。まず原紙上にサポート層cを設営し、その後に該
層cの表面にコロナ放電処理を行い、該表面に市販の2
級カオリン50部及び市販の重質炭酸カルシウム50
部、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス10部、
市販の酸化澱粉5部を固形分濃度50%で調整して得た
塗被組成物をエアーナイフコーターを用いて、乾燥塗工
量7g/m2となるように塗工乾燥し、サポート層eを
得た。
【0073】(サポート層f)原紙表面をコロナ放電処
理し、低密度ポリエチレン100部と市販の重質炭酸カ
ルシウム15部を混練し、溶融押し出しダイを用いて、
厚さが15μmになるよう設け、表面が鏡面のクーリン
グロールに圧接し冷却してサポート層fを得た。
【0074】(バックコート層g)市販の1級カオリン
100部、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス1
0部、市販の酸化澱粉5部を固形分濃度50%で調整し
て得た塗被組成物をエアーナイフコーターを用いて、乾
燥塗工量15g/m2となるように塗工乾燥し、スーパ
ーカレンダー処理を行い、バックコート層gを得た。
【0075】実施例1〜30及び比較例1〜10 表1〜5に示すように、原紙、インク受理層上層A〜
E、サポート層a〜f、及びバックコート層gの組み合
わせで構成される実施例1〜30及び比較例1〜10の
インクジェット記録用紙を得た。
【0076】実施例1〜30及び比較例1〜10の評価
結果を表1〜5に示す。表1〜5に示すコックリング及
び搬送性の評価は以下の方法により行った。
【0077】<コックリングの評価>市販のインクジェ
ットプリンター(MJ830C:エプソン株式会社製)
を用いて、A4サイズに裁断したサンプルの中央部に1
5cm四方の大きさで黒インクでベタ印字を行った後、
印字面及び裏面の波打ち度合いを目視評価し、以下の基
準で判定した。問題ないレベルはA及びBであり、C又
はDではコックリングの発生により画像品質の低下を視
認することになり問題となる。 A:コックリングの発生が全くない。 B:ベタ印字部と非印字部との境界で僅かにコックリン
グが視認される。 C:印字部全体にコックリングが視認される。 D:印字部全体にコックリングが大きく膨らんだ状態で
視認される。
【0078】<搬送性の評価>コックリング評価に使用
したインクジェットプリンターを用いて、A4サイズの
インクジェット記録用紙20枚を1セットとし、5セッ
ト終了時の搬送性を以下の基準で評価した。評価は未搬
送の回数及び重送の回数をカウントしてその発生回数か
ら求めた。実用上問題ないレベルはA及びBである。 A:発生回数ゼロ B:発生回数5以下 C:発生回数6〜10 D:発生回数11以上
【0079】<光沢度>インク受理層面及びサポート層
面の光沢度は、JIS P8142に準拠して、市販の
光沢度計(ディジタル光沢計 GM−260D型:村上
色彩研究所株式会社製)を用いて、75度鏡面光沢度を
測定した。
【0080】<鉛筆加筆性>サポート層面の鉛筆加筆性
は、HBの硬さの鉛筆を用いて、文字を記入し書いた文
字が十分に判読出来るものを○、かすれてはいるが、判
読可能なものを△、全く読めないものを×として、評価
した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】表1〜表5から明らかなように、少なくと
もサポート層の1層が熱可塑性樹脂を主体成分とする組
成物からなり、且つインク受理層をキャスト法で処理し
た実施例1〜30では、印字部のコックリング及び搬送
性が良好である。一方、熱可塑性樹脂からなるサポート
層を持たない比較例1〜10では、コックリングの悪化
が生じた。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、インク受理層面の原紙
を介した反対面にサポート層として熱可塑性樹脂を主体
成分とする組成物を少なくとも1層設けることにより、
印字により発生する印字部表面の波打ち現象(コックリ
ング)が回避され、さらにインク受理層をキャスト法に
より設けることにより、良好な光沢のある搬送性も確保
したインクジェット記録用紙を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 隆志 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱 製紙株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA15 BA21 BA24 BA33 BA34 BA46 BA48 4G072 AA28 AA38 CC04 CC13 GG02 GG03 HH17 UU25

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙上に少なくとも1層以上のインク受
    理層、と原紙を介した該インク受理層の反対面に少なく
    とも1層以上のサポート層が設けられてなるインクジェ
    ット記録用紙において、該サポート層の少なくとも1層
    が、熱可塑性樹脂の溶融押出し法によって設けられたも
    のであり、且つ該インク受理層が、湿潤状態にある間に
    加熱された鏡面ロールに圧接して鏡面光沢仕上げされて
    なるものであることを特徴とするインクジェット記録用
    紙。
  2. 【請求項2】 該インク受理層が、少なくともコロイダ
    ルシリカを含有する層である請求項1記載のインクジェ
    ット記録用紙。
  3. 【請求項3】 該コロイダルシリカが、非球状コロイダ
    ルシリカである請求項2記載のインクジェット記録用
    紙。
  4. 【請求項4】 該インク受理層が、少なくともアルミニ
    ウム水和物を含有する層である請求項1記載のインクジ
    ェット記録用紙。
  5. 【請求項5】 該アルミニウム水和物が、擬ベーマイト
    構造を有することを特徴とする請求項4記載のインクジ
    ェット記録用紙。
  6. 【請求項6】 該インク受理層が、少なくともγ型酸化
    アルミニウムを含有する層である請求項1記載のインク
    ジェット記録用紙。
  7. 【請求項7】 該γ型酸化アルミニウムの平均一次粒子
    径が、80nm以下であることを特徴とする請求項6記
    載のインクジェット記録用紙。
  8. 【請求項8】 該インク受理層が、少なくとも気相法シ
    リカを含有する層である請求項1記載のインクジェット
    記録用紙。
  9. 【請求項9】 該気相法シリカの表面積が、BET法に
    よる測定で、100m2/g以上であることを特徴とす
    る請求項8記載のインクジェット記録用紙。
  10. 【請求項10】 該インク受理層が、JIS P814
    2に規定される75度鏡面光沢度において、40%以上
    の表面を有してなることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  11. 【請求項11】 該サポート層の熱可塑性樹脂が、顔料
    を含有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のイン
    クジェット記録用紙。
  12. 【請求項12】 該熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂
    である請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジ
    ェット記録用紙。
  13. 【請求項13】 該ポリオレフィン樹脂がポリエチレン
    樹脂である請求項12に記載のインクジェット記録用
    紙。
  14. 【請求項14】 該ポリオレフィン樹脂がポリプロピレ
    ン樹脂である請求項12に記載のインクジェット記録用
    紙。
  15. 【請求項15】 該サポート層の表面が、JIS P8
    142に規定される75度鏡面光沢度において、70%
    以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか
    一項に記載のインクジェット記録用紙。
  16. 【請求項16】 該サポート層が粗面あるいは微粗面の
    クーリングロールに圧接されて形成されたものである請
    求項15記載のインクジェット記録用紙。
  17. 【請求項17】 該原紙が、坪量120g/m2以上の
    原紙であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか
    一項に記載のインクジェット記録用紙。
  18. 【請求項18】 原紙上に少なくとも1層以上のインク
    受理層と、原紙を介した該インク受理層の反対面に少な
    くとも1層以上のサポート層が設けられてなるインクジ
    ェット記録用紙の製造方法において、インク受理層を設
    けた後に、熱可塑性樹脂の溶融押出し法によってサポー
    ト層を設けることを特徴とするインクジェット記録用紙
    の製造方法。
JP11071803A 1999-03-17 1999-03-17 インクジェット記録用紙及びその製造方法 Pending JP2000263924A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11071803A JP2000263924A (ja) 1999-03-17 1999-03-17 インクジェット記録用紙及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11071803A JP2000263924A (ja) 1999-03-17 1999-03-17 インクジェット記録用紙及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000263924A true JP2000263924A (ja) 2000-09-26

Family

ID=13471101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11071803A Pending JP2000263924A (ja) 1999-03-17 1999-03-17 インクジェット記録用紙及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000263924A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002034541A1 (fr) * 2000-10-24 2002-05-02 Mitsubishi Paper Mills Limited Materiau d'enregistrement pour imprimante a jet d'encre
WO2004048116A1 (ja) * 2002-11-27 2004-06-10 Mitsubishi Paper Mills Limited インクジェット記録材料
CN100346987C (zh) * 2002-11-27 2007-11-07 三菱制纸株式会社 喷墨记录材料

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002034541A1 (fr) * 2000-10-24 2002-05-02 Mitsubishi Paper Mills Limited Materiau d'enregistrement pour imprimante a jet d'encre
US6899930B2 (en) 2000-10-24 2005-05-31 Mitsubishi Paper Mills Limited Recording material for ink-jet
WO2004048116A1 (ja) * 2002-11-27 2004-06-10 Mitsubishi Paper Mills Limited インクジェット記録材料
CN100346987C (zh) * 2002-11-27 2007-11-07 三菱制纸株式会社 喷墨记录材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07101142A (ja) インクジェット記録シート
JP3966695B2 (ja) インクジェット記録シート
JPH07117335A (ja) インクジェット記録シート及びその製造方法
JP2001347750A (ja) インクジェット記録用紙
JP2000263924A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JPH07179026A (ja) インクジェット記録シート
JP3728168B2 (ja) インクジェット記録シート
JP2000263926A (ja) インクジェット記録用紙
JP3756011B2 (ja) インクジェット記録シート
JP3791030B2 (ja) インクジェット記録体の製造方法
JP3728062B2 (ja) インクジェット記録シート
JP3895574B2 (ja) インクジェット被記録媒体及びその製造方法
JP2006240017A (ja) インクジェット記録材料
JP2007152633A (ja) 記録用紙
JP2006264278A (ja) インクジェット記録材料
JP2003285533A (ja) インクジェット記録用シートの製造方法
JP2000263925A (ja) インクジェット記録用紙
JP3996019B2 (ja) インクジェット用記録シートの製造方法
JP4068328B2 (ja) インクジェット被記録媒体及びその製造方法
JP2002219865A (ja) インクジェット記録媒体
JP2001277701A (ja) カットシート状インクジェット記録媒体
JP2003205676A (ja) インクジェット記録シート及びその製造方法
JPH11301101A (ja) インクジェット記録用紙
JP2999202B2 (ja) インクジェット記録媒体
JP2001096908A (ja) インクジェット記録シート