JPH05221115A - インクジェット記録シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 広範囲の温度湿度下での、カール及びコック
リングが少なく、記録装置での走行性を改良させ、更に
記録画像の耐光性・耐オゾン性及び塗工層の接着性改
良、記録画像の重色ドットにじみを少なく、しかもイン
クジェット記録シートそのものの黄変が起こりにくいイ
ンクジェット記録シートを得る。 【構成】 コートタイプインクジェット記録シートであ
って、バックコート層中に特定範囲の平板状無機顔料を
含有し、更にその反対面のインク受理層中に澱粉粒子又
はその化工澱粉粒子、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂
から選ばれる１種以上を含有し、インクジェット記録シ
ートの単位面積あたり特定カチオン荷電量となるように
カチオン性染料定着剤を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクを用いて記録す
る記録シートに関するものであり、特に、記録シート上
に記録された画像や文字の濃度が高く、インクの吸収性
に優れ、重色部でのニジミ出しを著しく減少させたイン
クジェット記録シートに関するものである。更に、塗工
層の接着性を著しく向上し、又、記録シートそのものの
黄変性を著しく少なくし、更に広範囲の温湿度でのカー
ルを著しく抑制することによって、通常記録装置で記録
する際の走行性を著しく改良すると共に、表面に記録し
た画像の裏抜けを防止することによって、広範囲の温湿
度条件下で高品位記録画像を得ることを特徴とするイン
クジェット記録シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、
漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として
種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色イ
ンクジェット方式により形成される画像は、製版方式に
よる多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、
遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数
が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも
安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く
応用されつつある。

【０００３】このインクジェット記録方式で使用される
記録シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質
紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面か
ら努力が成されてきた。しかし、装置の高速化・高精細
化あるいはフルカラー化などインクジェット記録装置の
性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対しても
より高度な特性が要求されるようになった。すなわち、
当該記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色
調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早くて印
字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出した
り滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が
必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけない
こと等が要求される。

【０００４】インクジェット記録シートの形態として
は、いわゆる上質紙・ボンド紙等に代表される支持体中
にもインク吸収される普通紙タイプと上質紙等の紙、合
成紙、合成樹脂フィルム等の支持体面上にインク受理層
を設けたコートタイプに大別される。

【０００５】コートタイプには、１〜１０ｇ／m²程度の
低塗工量のシート、１０〜２０ｇ／m²程度の中塗工量の
シート、２０ｇ／m²以上の高塗工量のシートがある。特
にパルプ繊維及び填料主体の支持体としては、ステキヒ
トサイズ度が０秒から数十秒の原紙がインク付着量に応
じて塗工量との様々な組み合わせで塗工されている形態
が考えられる。特にカラー記録の場合は、イエロー・マ
ゼンタ・シアン・ブラックの単色記録だけでなく、これ
らの色を重ねる重色記録され、インク付着量が極めて多
くなるため、低塗工量の場合は、塗工層でインク吸収し
きれなくなることにより、比較的低サイズ度の原紙を用
い、支持体にも付着インクの一部を吸収させることが必
要になる。

【０００６】しかし、低サイズ度の原紙を用いた場合、
インクの吸収性は良いものの、インクが支持体に深く浸
透して、裏抜け・コックリング（紙しわ）等の問題が生
じる。また、インク受理層は、水性インクを出来るだけ
速やかに吸収するように設計してあるため、湿度による
影響を受け易い。つまり、湿度により支持体とインク受
理層の伸縮差が生じ、カールが発生するため、通常記録
装置で記録する際の走行性を阻害するといった問題が生
じる。

【０００７】これらの問題を解決するために、特開平２
−２７０５８８号公報には、インク受理層が紙基材の表
裏面に分かれて形成されているインクジェット記録用紙
が開示され、特開昭６２−２８２９６７号公報には、基
材上にインク保持層とインク輸送層とを有し、更にイン
ク保持層と同一又は類似した物性を有するカール抑制層
を備えた例が開示されている。また、特開昭６１−２３
５１８４号公報には、インク受理層を備えた被記録材に
ポリアクリルアミド等の樹脂から成るカール防止層を設
けた例が開示され、更に特開昭６２−１６２５８６号公
報、特開昭６２−１６２５８７号公報には、記録層（フ
ィルム基材）の反対面又は両側の面に極微量（０．０１
〜１．０ｇ／m²）の粉体より成る層を設けることによ
り、プリンターのシート搬送性や耐ブロッキング性を向
上させた例が開示されている。

【０００８】又、記録後の記録画像が水に濡れた場合
に、滲み出して記録紙が汚れたり、消色したりしないこ
とが要望され、更に、光やオゾンガス・酸化性ガス等の
暴露で変色や退色が進み難い記録用紙が要求される。

【０００９】これらの問題を解決するために、従来から
いくつかの提案が成されてきた。例えば、特開昭52-530
12号公報には、低サイズの原紙に表面加工用の塗料を湿
潤させてなるインクジェット記録用紙が、また、特開昭
53-49113号公報には、尿素−ホルマリン樹脂粉末を内添
したシートに水溶性高分子を含浸させたインクジェット
記録用紙が開示されている。また、特開昭55-5830 号公
報には、支持体表面にインク吸収性の塗層を設けたイン
クジェット記録用紙が開示され、特開昭55-51583号公報
及び特開昭56-157号公報には、被覆層中の顔料として非
膠質シリカ粉末を使った例が、更に、特開昭55-11829号
公報には、インク吸収速度の異なる２層構造を使った塗
抹紙の例が開示されている。又、上記特開昭55-51583号
公報及び特開昭56-157号公報には、インクの吸収と広が
りを調整する目的で、非膠質シリカに澱粉を併用使用す
る例が開示されている。

【００１０】耐水性を改良する目的では、カチオン性染
料定着剤を使用した例が、数多く開示されており、一例
をあげると特開昭60-11389号公報、特開昭62-238783 号
公報、特開昭64-9776号公報、特開昭64-77572 号公報等
がある。更に、耐光性改良を目的として、多くの提案が
なされている。インクジェット記録方法に於いて、上記
したものの他記録シート側から種々の問題点を解決すべ
く多数の提案がなされている。それに応じて記録画像の
品質も高度に改良されてきている。

【００１１】一方、印字ドット濃度及び画像濃度が高
く、鮮明性・色彩性・染料の特徴をいかした透明性など
を確保するためには、理想的には記録シート表面上にイ
ンク染料を定着させ、インク中の溶媒を下層の塗工層も
しくは支持体に吸収させることが記録シートには必要で
ある。

【００１２】ノンコートタイプインクジェット記録シー
トは、それ自体が吸収性を持たなくてはならずノーサイ
ズ紙またはサイズ剤を微量添加するか、填料を増加する
などした低サイズ紙にする方法が有る。しかし、このよ
うな記録シートは、水性インクによる記録を行なった場
合、吸収性は良いものの、画像の色彩性・鮮明性・印字
ドット濃度・画像濃度などが低く、鳥の羽状にギザギザ
のフェザリング(feathering)と称するドット形状の悪化
とドット周囲のぼけがあり、インクが原紙層内に深く浸
透し裏面まで抜けてしまうという不都合が生じたりす
る。

【００１３】一方、コートタイプインクジェット記録シ
ートは、ノーサイズ紙または低サイズ紙を支持体として
塗工層を設けた記録シートでは、吸収性は良く画像の色
彩性・鮮明性・フェザリング・インク裏抜けなどの点で
ノンコートタイプインクジェット記録シートより改良さ
れている。特に、非晶質シリカ粉体と水溶性高分子物質
を含有する塗工層を設けた記録シートに記録した画像
は、非常に優れた色彩性・鮮明性・解像性を示し、フェ
ザリング・インク裏抜けも改良される。

【００１４】また、高サイズ紙・ポリエチレンテレフタ
レートフィルム・合成紙などの水性インクの溶媒を吸収
しないか、あるいは吸収性の低いものを支持体として塗
工層を設けた記録シートは、支持体自体がインク溶媒を
ほとんど吸収しないため、染料を記録シート表面に保持
し、印字ドット濃度・画像濃度・色彩性・鮮明性・フェ
ザリング・裏抜けなどの面で良好な画像が得られやすい
が、低塗工量ではインクの吸収性が悪く、特に重色記録
の際のインク吸収速度が低く、吸収容量も小さくなって
しまう。このため、吸収容量を大きくする目的で塗工量
を増すと塗工層の接着性・粉落ちなどが悪化する傾向に
あり、改良が必要である。

【００１５】これらのコートタイプインクジェット記録
シートは、画像濃度が高く、色彩性・鮮明性に優れ、フ
ェザリングが少なく、裏抜けが少なく良好な画像が得ら
れやすいが、その理由は、非晶質シリカ粉体を始めとす
る粉体の粒子内部空隙量が大きく、粉体中つまり塗工層
中に吸収されるインク量が多いこと、体積平均粒子径１
〜２０μｍの粒子が９０％以上の微粒粉体であり、しか
も粉体の屈折率が小さいこと、光散乱係数が小さいこと
等によっていると考えられる。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、イン
クジェット記録シートに於いては、次のような特性が要
望されている。 (１)広範囲の温湿度でのカールを著しく抑制することに
よって、通常記録装置で記録する際の走行性を著しく改
良する。 (２)表面に記録した画像の裏抜け・コックリングを防止
することによって、広範囲の温湿度条件下で高品位記録
画像を得ること。 (３)記録ドット濃度・画像濃度が高い。 (４)画像色彩性・鮮明性が良い。 (５)印字ドット形状が良い。 (６)インク吸収性が良い。 (７)記録画像の耐水性・耐光性・耐オゾン性等の画像保
存性が良い。 (８)コートタイプ記録シートでは、塗工層の接着性高く
・粉落ち少なく良いこと。 (９)記録シートそのものの黄変が起こりにくいこと。 (10)単色部でのドット径と比較して、重色部でのドット
径がほとんど変わらず、重色部での滲み出しを著しく減
少させ、高精細な記録画像を得る。 従って、本発明の目的は、上記要望特性を満足したバラ
ンスの取れたコートタイプインクジェット記録シートを
得ることにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明のインクジ
ェット記録シートは、支持体の片面に塗布又は含浸によ
って少なくとも１層のインク受理層を有し、その反対面
に塗布又は含浸によって少なくとも１層のバックコート
層を設けてなるインクジェット記録シートに於いて、バ
ックコート層にアスペクト比（平均粒子径と厚さの比）
が５〜９０で、かつ平均粒子径が０．１〜２５μｍであ
る平板状無機顔料を含有してなることを特徴とするイン
クジェット記録シートである。

【００１８】また、該インク受理層が、澱粉粒子又はそ
の化工澱粉粒子、又はエチレン含有量が１０モル％以上
４０モル％以下であるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂
から選ばれる少なくとも１種以上を含有し、且つカチオ
ン性染料定着剤が該記録シートの単位面積当りのカチオ
ン荷電量として、０．２〜４０ｍｅｑ．／m²含有してな
ることを特徴とするインクジェット記録シートである。

【００１９】又、該平板状無機顔料が、平板状カオリン
クレー、板状塩基性炭酸カルシウム、平板状セリサイ
ト、平板状ジークライト、平板状マイカ、平板状炭酸マ
グネシウム、平板状タルクの群から選ばれる少なくとも
１種以上を含有することを特徴とするインクジェット記
録シートである。

【００２０】また、該バックコート層の塗工量が１〜１
０ｇ／m²であり、更に該インク受理層が合成シリカ、水
溶性高分子バインダーを主体成分として含有し、塗工量
が１〜１０ｇ／m²であり、更に好ましくは該インク受理
層とバックコート層の塗工量の差が５ｇ／m²以内である
ことを特徴とする請求項１記載のインクジェット記録シ
ートである。

【００２１】バックコート層にアスペクト比が５〜９０
で、且つ平均粒子径が０．１〜２５μｍである平板状無
機顔料を用いると、記録シートの透気性が低下すること
によってインク受理層に付着したインクのＺ軸方向への
浸透が抑制される為、記録された画像や文字の濃度が高
く、インクの裏抜けを防止し、コックリングも改善され
る。更には、広範囲の温湿度でのカールが抑制される。
具体的には、温度５〜４０℃、且つ総体湿度１０〜９０
％の条件下で、Ａ４サイズの場合、１枚当たりのカール
高さを±１０ｍｍ以内にすることにより、通常記録装置
で記録する際の走行性が著しく改良される。アスペクト
比が５未満の場合でも、カールを抑制することは可能で
あるが、インクの裏抜け防止の効果は小さい。

【００２２】本発明に用いられる澱粉粒子は、とうもろ
こし（コーンスターチ）、小麦、大麦、米、馬齢薯（じ
ゃがいも）、キャッサバ（タピオカ）、甘藷（さつまい
も）、サゴ等の原料から製造されるもの、又はこれらを
化工したものとして、次のような澱粉誘導体からなる化
工澱粉粒子が挙げられる。 １）次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤で酸化して得られ
る酸化澱粉 ２）塩酸や硫酸等で処理した酸処理澱粉 ３）酵素処理澱粉 ４）過ヨウ素酸で反応させたジアルデヒド澱粉 ５）アセチル化澱粉、尿素燐酸化澱粉、燐酸化澱粉等の
エステル化澱粉 ６）ヒドロキシアルキル化澱粉、カルボキシアルキル化
澱粉等のエーテル化澱粉 ７）カチオン化澱粉 ８）ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架
橋澱粉、燐酸架橋澱 粉等の架橋澱粉 ９）アクリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミド、
メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどのビニルモノマ
ーやエポキシド、エピスルフィド、イミン、ラクタム等
の環式モノマーを活性点をつくった澱粉に重合して得ら
れるグラフト重合澱粉

【００２３】これらの澱粉粒子の内、本発明においては
冷水可溶性が無いかほとんど無いものが好ましく、４０
℃以下の水ではほぼ可溶性が無く、糊化開始温度が５０
℃以上であることが望ましい。また、調液・塗工時の塗
工液の温度は、５０℃未満とすることが望ましい。調液
・塗工時の塗工液の温度が、糊化温度より高い場合に
は、澱粉粒子が元の粒子形状を維持できず粒子内部まで
糊化してしまうため、調液・塗工時の塗工液が増粘して
塗工できなくなってしまったり、塗工できても記録シー
ト上で粒子形状を保持しないために目的を達成できな
い。本発明は、あくまでも、記録シートにおいて粒子形
状を維持したままの澱粉粒子が存在しなくてはならな
い。

【００２４】澱粉粒子の粒子径は、特に制限は無いが、
体積平均粒子径１〜２０μｍの範囲が好ましい。粒子径
が小さすぎると、粒子間の空隙率と空隙量が下がりイン
クの吸収速度・吸収容量が低下する。重色印字では、イ
ンク量が多いと記録シート表面でインクが溢れて記録画
像の品位を著しく低下させる傾向にある。逆に粒子径が
大きすぎると、記録シート表面の表面粗さが粗くなりす
ぎてフェザリングが発生し、記録ドット形状が悪化し、
記録画像の品位を著しく低下させる傾向にある。このた
め、インク液滴径、記録密度等に応じて、澱粉品種の選
択、分級処理・粉砕処理等所望の粒子径の澱粉粒子を選
択する必要がある。澱粉原料から製造される澱粉粒子
（未化工、未分級粉砕処理）の平均粒径は、例えば、コ
ーンスターチでは平均１５μｍ（６〜２５μｍ程度）、
小麦澱粉では平均小粒が６μｍ、大粒が２５μｍ（２〜
４０μｍ程度）、米澱粉平均５μｍ（１〜１０μｍ程
度）、馬齢薯澱粉平均４０μｍ（２〜１００μｍ程
度）、タピオカ澱粉平均２０μｍ（４〜３５μｍ程
度）、サゴ澱粉平均３０μｍ（１０〜６５μｍ程度）で
ある。

【００２５】澱粉粒子は、通常大気中で１２〜１７％程
度の水分を保持して平衡状態を保っている。また、吸水
すると膨潤し、脱水すると収縮し粒子径が変化する。
又、澱粉粒子は、微細な多孔質組織であるため一般には
可逆的に４０〜６０％程度の水を吸水−脱水する。米澱
粉は、この中にあって、７８〜８０％の水を吸収する。
化工澱粉粒子には、更に高い吸水量を示すものもある。
これらの澱粉の特性等に関しては、「澱粉科学ハンドブ
ック」（昭和５２年７月２０日、朝倉書店発行、二國二
郎監修）にも述べられている。

【００２６】本発明に於いて用いられるエチレン酢酸ビ
ニル共重合体樹脂のエチレン含有量としては１０〜４０
モル％であることが好ましく、更に好ましくは１０〜３
０モル％である。エチレン含有量が１０モル％未満で
は、十分な溌水性が得られず記録シートのＸＹ方向への
インク浸透が大きいため、重色印字部分の境界部分で滲
みが発生するため高品位画像が得られない。また、エチ
レン含有量が４０モル％を越えるとインクの吸収性が低
下し、特に重色部分でのインクが溢れ高品位画像が得ら
れない。

【００２７】インク受理層は連続した空隙、即ち微細な
細孔を有する構造であり、この微細な細孔が毛細管の役
割を果たし、水性インクの場合、主溶媒である水と共に
染料が記録シートの厚さ方向であるＺ軸方向のみでな
く、面方向であるＸＹ方向に浸透してしまう。このＸＹ
方向への浸透により、境界部でインクの混色が生じ、重
色部境界滲みが発生する。染料が不均一にＸＹ方向に浸
透するとフェザリングが生じると共に画像濃度の低下を
引き起こしてしまう。更に、重色印字部ではクロマトグ
ラフィーと同様の現象を生じ、各染料が印字部の縁で分
離してしまい、色彩性の低下を招いてしまう。

【００２８】インクジェット記録シートに於いて高精細
な画像を得るには、インク（染料）のＸＹ方向への浸透
を制御することにより境界滲みを防止することは勿論の
こと、最適のドット径を得ること、及びドット形状を真
円に近づけることが不可欠である。

【００２９】本発明において用いられるカチオン性染料
定着剤は、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈す
る１級〜３級アミン又は４級アンモニウム塩のモノマ
ー、オリゴマー、ポリマーの少なくとも１種以上を使用
するものであり、好ましくは、オリゴマー又はポリマー
である。特に、コロイド滴定法によるカチオン荷電量
が、１〜１０ｍｅｑ．／ｇのカチオン性染料定着剤であ
る。１ｍｅｑ．／ｇ未満では、水性インク中の水溶性染
料の定着性能が劣り、記録画像の耐水性が低下する。こ
の場合、該定着剤のインクジェット記録シートへの適用
量を増加する必要があるが、大量の定着剤をインクジェ
ット記録シートへ付与するため、吸収性が低下しインク
が溢れて高精細記録画像が得られない。又、１０ｍｅ
ｑ．／ｇを超えた場合、少量で記録画像の耐水性を向上
できるが、記録画像の耐光性や耐オゾン性が劣り、記録
シートの黄変性が悪化する。

【００３０】本発明のインクジェット記録シート表面の
該定着剤含有量は、０．１〜５ｇ／ｍ²、好ましくは、
０．２〜３ｇ／ｍ²であり、本発明を達成できる。又、
水溶性染料の定着性能は、インクジェット記録シート単
位面積当りのカチオン荷電量の増加に応じて向上する。
インクジェット記録シート単位面積当りのカチオン荷電
量は、次式で表され、０．２〜４０ｍｅｑ．／ｍ²であ
り、好ましくは、０．７〜２０ｍｅｑ．／ｍ² である。 （カチオン荷電量（ｍｅｑ．／ｇ））×（該定着剤含有
量（ｇ／ｍ² ））

【００３１】本発明において、インク受理層中又はバッ
クコート層中には、公知の白色顔料を１種以上用いるこ
とができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カ
ルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜
鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、
珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリ
カ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマ
イト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオ
ライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化
マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチッ
クピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポ
リエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹
脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受
理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔
性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔
性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特
に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好まし
い。

【００３２】本発明において、澱粉粒子及び白色顔料の
合計量／カチオン性染料定着剤の比率（重量比）は、１
００／５〜１００／８０であり、好ましくは、１００／
１０〜１００／４０である。

【００３３】更に、本発明においては、澱粉粒子／白色
顔料の比率（重量比）は、１０／９０〜１００／０が好
ましい。

【００３４】本発明で用いられる接着剤としては、例え
ば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エ
ーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、
ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール
等；無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合
体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共
役ジエン系共重合体ラテックス；アクリル酸エステル及
びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアク
リル系重合体ラテクッス；エチレン酢酸ビニル共重合体
等のビニル系重合体ラテックス；或いはこれらの各種重
合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能
基変性重合体ラテックス；メラミン樹脂、尿素樹脂等の
熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤；ポリメチルメタクリ
レート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラ
ール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤が挙げら
れ、１種以上で使用される。ここで、澱粉粒子と白色顔
料の合計量／接着剤の比率（重量比）は、１００／１０
〜１００／１００が好ましい。

【００３５】本発明において用いられる支持体として
は、紙、又は熱可塑性樹脂フィルム、合成紙、写真用支
持体のような合成樹脂ラミネート紙、木材繊維や合成繊
維を主体とした不織布の如きシート状物質が挙げられ
る。紙の場合は、内添サイズ剤の添加又は無添加、中性
サイズ剤、ポリマーサイズ剤、酸性サイズ剤等のサイズ
剤の単独又は併用使用、填料の含有又は非含有で良く、
サイズプレスの有無でも何等制限しない。紙支持体の内
添填料は、白色顔料として従来公知の顔料が用いられ、
単独或は併用できるが、例えば、軽質炭酸カルシウム、
重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、
硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウ
ム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、
合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポ
ン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグ
メント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチ
レン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のよ
うな有機顔料等が挙げられる。更に、該支持体が紙の場
合、中性サイズ剤及び填料を含有し、かつ木材パルプ／
填料の比が９０〜７０重量％／１０〜３０重量％であ
り、坪量が６０〜１２０ｇ／m²であることが好ましいが
何等制限を受けるものではない。

【００３６】本発明のインクジェット記録シートの作成
方法としては、例えば、パルプ繊維を離解してスラリー
とし、必要に応じて填料やサイズ剤、他の添加剤を添加
し、抄紙機で抄造し乾燥するか、又は抄造後、澱粉や高
分子物質の水溶液等をサイズプレスし、乾燥してマシン
カレンダーをかけ、支持体シートを得た後、塗工装置や
サイズプレス装置を用いて少なくとも１層以上のインク
受理層を設ける。ドライヤーの加熱温度は、最高加熱温
度が少なくとも１００℃以上、好ましくは、１２０℃以
上である。乾燥効率との関係から温度は、高い方が好ま
しいが、特に限定されるものではない。マシンカレンダ
ーは、使用しても使用しなくても良いが、次の塗工工程
での作業性を考慮すると使用した方が好ましい。インク
受理層を設ける方法としては、オンマシンコーター、オ
フマシンコーターのいづれでも良い。例えば、従来公知
のエアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコー
ター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バー
コーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレ
ードコーター、ショートドエルブレードコーターなどが
使用できる。更に、塗工後、マシンカレンダー、スーパ
ーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用い
て仕上げる。

【００３７】本発明において、その他の添加剤として、
顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、
離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増
白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、
耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配
合することもできる。

【００３８】本発明で云う水性インクとは、下記の着色
剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反
応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。

【００３９】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性
の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、ｎ−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、ｎ−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等
の炭素数１〜４のアルキルアルコール類；ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類；アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコ
ール類；テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類；ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類；エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チ
オジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレング
リコール等のアルキレン基が２〜６個のアルキレングリ
コール類；グリセリン、エチレングリコールメチルエー
テル、ジエチレングリコールメチル（又はエチル）エー
テル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の
多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ
る。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレ
ングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
エチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエー
テルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、Ｐ
Ｈ調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張
力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げら
れる。

【００４０】本発明における記録シートは、インクジェ
ット記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状
であるインクを使用するどのような記録シートとして用
いてもかまわない。例えば、熱溶融性物質、染顔料など
を主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度
紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインクシート
を、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する
熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融し
て微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シー
ト、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインク
ジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色または
有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光
感圧型ドナーシートに対応する受像シートなどが挙げら
れる。これらの記録シートの共通点は、記録時にインク
が液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化
又は定着までに、記録シートのインク受理層の深さ方向
又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各
種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要
とするもので、本発明の記録シートを上述した各種の記
録シートとして利用しても何ら構わない。更に、複写機
・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式
のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明にお
けるインクジェット記録シートを使用しても構わない。

【００４１】

【作用】本発明のインクジェット記録シートは、アスペ
クト比が大きい平板状無機顔料を含有するバックコート
層を設けることにより、低温低湿時から高温高湿時の広
範囲の環境条件でのカールを著しく抑制することができ
た。機構は定かでないが、バックコート層中で個々の該
平板状無機顔料粒子の平板面同士が部分的に重なり合
い、支持体シート面に対して該無機顔料粒子の平板面が
平行に且つ密に配向する確率が高くなるため、強固に接
着されることにより、湿度の影響を受けにくくなってい
ると推定される。コックリングも同様の理由で起こりに
くくなっていると推定され、更に同様の理由でバリアー
層の如き機能が発揮されることによって支持体自体に吸
収性がある場合の重色記録した画像の裏抜けも著しく抑
制することができた。

【００４２】本発明のインクジェット記録シートは、吸
収性・色彩性を維持しながらインクジェット記録シート
そのものの白紙の経時保存後の黄変性を著しく改良する
ことができる。黄変については、機構がはっきりしない
が、多孔性無機顔料を触媒として酸化性気体や酸化防止
剤が吸着し、染料定着剤そのものや吸着した酸化防止剤
が黄変化するものと考えられる。特に、インク受理層中
に多孔性無機顔料を含有しない本発明になるインクジェ
ット記録シートは、黄変が少なくきわめて優れた保存性
を示す。一方、合成非晶質シリカ等の多孔性無機顔料と
カチオン性染料定着剤を含有したインク受理層を設けた
インクジェット記録シートは、多孔性無機顔料、特に合
成非晶質シリカでは、その比表面積、内部空孔が大きい
ために累積細孔容積が大きく、吸収性に優れ、屈折率が
低いことから良好な色彩性を示すことが判っているもの
の、多孔性無機顔料とカチオン性染料定着剤との組み合
わせで、白紙保存後の黄変が大きいという欠点がある。
本発明においては、機構は定かでないが、澱粉粒子又は
その化工澱粉粒子及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹
脂、或はカチオン性染料定着剤を組み合わせて含有する
ことにより黄変性が著しく改良される。

【００４３】又、本発明のインクジェット記録シート
は、重色ドットのドット径が単色ドットのドット径とほ
ぼ同程度のドット径となり、２色目の滲み出しが著しく
少なくなる。重色ドットのドット径が単色ドットのそれ
よりも大きくなるメカニズムは、明らかでないが、多孔
性無機顔料を使用した従来のインクジェット記録シート
では、例えば、ブルーの記録の場合、シアンを記録した
直後にマゼンタを記録すると、ブルーが表現できるが、
ブルーの周りに同心円状にマゼンタが滲み出し、単色記
録の場合よりドット径が大きくなっている。その結果、
記録画像の色相が変化し、色再現性が劣り、解像度も低
下するために、画像の鮮鋭性に欠け記録画像の品位が低
下する。しかし、本発明のインクジェット記録シートで
は、重色部分の２色目の滲み出しがほとんど無い。又、
澱粉粒子又はその化工澱粉粒子及びエチレン酢酸ビニル
共重合体樹脂、或はカチオン性染料定着剤を各々単独で
含有する本発明のインクジェット記録シートでもその効
果は若干でるが、これらを組み合わせて含有することに
より相乗効果的に改良されるのである。

【００４４】

【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
又、実施例に於いて示す「部」及び「％」は、特に明示
しない限り重量部及び重量％を示す。

【００４５】インクジェット記録適性の測定は、下記の
方法によって行った。 １）印字濃度 印字濃度は、シャープ製（ＩＯ−７２０）インクジェッ
トプリンターによりブラック、イエロー、マゼンタ、シ
アンの各色単色ベタ印字した記録画像の光学濃度を測定
した。数値は、高い方が濃度が高く良好なことを示す。
例えば、ブラックであれば、１．３０以上であれば十分
に良好なことを示す。

【００４６】２）印字ドット径 印字ドット径は、シャープ製（ＩＯ−７２０）インクジ
ェットプリンターによりシアンインク単色、マゼンタイ
ンク単色、及びシアンインク＋マゼンタインク重色で網
点を印字して得たドットについて、画像解析装置を用い
て、下記数１（数式１）で示される計算式にしたがって
ドットの円相当径について算出した。

【数１】 なお、ＨＤは、円相当径（Heywood Diameter）、Ａは、
実測面積を示す。

【００４７】３）重色にじみ率 重色にじみ率は、マゼンタインク単色ドット径と比較し
て、シアンインクとマゼンタインクの重なったドット径
が何倍になっているかで、良否を判定した。数値が小さ
い程、単色ドットと重色ドットの差が小さく、画像品位
が良好になることを示す。１〜１．２倍であれば良好で
あるが、それを超えると画像品位は低下して見える。

【００４８】４）白紙黄変性 白紙黄変性は、市販のポリプロピレン製プラスチックフ
ァイル袋（Ａ４サイズ）の片面中央付近を、５ｃｍ×５
ｃｍの正方形に切って、塗工層面が穴のあいているファ
イル面に当たるようにファイル袋の中に入れて、室内に
１ケ月放置処理後、サンプルを取り出し、処理前後のイ
ンクジェット記録シートのＬ*ａ*ｂ*（ＣＩＥに準拠し
た表色方法）を測定した。黄変化程度は、処理前後のｂ
*の差で表すことができ、この数値が小さい程、黄変化
が少ないことを示す。

【００４９】５）接着性 接着性は、塗工層表面に市販のセロテープを貼り、テー
プに付着した粉の程度を見て良否を判定した。

【００５０】６）耐水性 耐水性は、シャープ製（ＩＯ−７２０）で、黒（Ｂｋ）
・黄（Ｙ）・マゼンタ（Ｍ）・シアン（Ｃ）の各単色ベ
タ印字をしたインクジェット記録シートを流水に５分間
漬けて、乾燥した後、ベタ印字濃度の処理前後の濃度を
比較して光学濃度の残存率を求めた。数値は高い方がよ
いが、全く変化しない場合を１００％とする。１００％
を超える場合は、インクジェット記録シートを水に漬け
たときにインクが水中に流れ出し、すぐにインクジェッ
ト記録シート上に再染着するか、或はインクジェット記
録シート上の平面方向でインクがにじみ出すためであ
る。どちらにしても１００％に近い方がよい。

【００５１】７）耐光性 耐光性は、シャープ製（ＩＯ−７２０）で、黒（Ｂｋ）
・黄（Ｙ）・マゼンタ（Ｍ）・シアン（Ｃ）の各単色ベ
タ印字をしたインクジェット記録シートを、キセノンフ
ェードメーターで２０時間光照射した前後の光学濃度残
存率で示した。数値の高い方が残存率が高く、良好なこ
とを示す。

【００５２】８）耐オゾン性 耐オゾン性は、シャープ製（ＩＯ−７２０）で黒（Ｂ
ｋ）・黄（Ｙ）・マゼンタ（Ｍ）・シアン（Ｃ）の各単
色ベタ印字をしたインクジェット記録シートを、オゾン
２００ｐｐｍの濃度の気流で２０分間暴露した後、処理
前後の光学濃度残存率で示した。数値の高い方が残存率
が高く、良好なことを示す。尚、光学濃度の測定は、マ
クベス製ＲＤ−９１８を使用した。

【００５３】９）インク吸収速度 インク吸収速度は、シャープ製（ＩＯ−７２０）インク
ジェットプリンターを用いて、赤印字（マゼンタ＋イエ
ロー）の重色ベタ印字直後（約１秒後）に紙送りして、
ペーパー押さえロール又は指等に接触させ、汚れが出る
か出ないかで判定した。汚れが出ないものが、インク吸
収速度が早く良好である。

【００５４】１０）カール カールは、５℃・１０％ＲＨ、２０℃・６５％ＲＨ、４
０℃・９０％ＲＨの各環境下で２４時間以上放置した
後、Ａ４サイズ（２１０ｍｍ×２９７ｍｍ）１枚の四隅
のカール高さを測定した。インク受理層面側にカールし
た場合を「＋」、反対面側にカールした場合を「−」と
し、単位はｍｍとした。±０ｍｍが最良であるが、±１
０ｍｍ以内であれば目視でも良好であり、更に自動給紙
装置を備えたプリンターでのインクジェット記録シート
の走行性が良好であった。±１０ｍｍを超えると目視で
も印象が悪く、自動給紙装置を備えたプリンターでのイ
ンクジェット記録シートの走行性が悪く、給紙できなか
ったり、斜行し実使用上不可であった。

【００５５】１１）コックリングと記録画像のヘッド擦
れ汚れ コックリングと記録画像のヘッド擦れ汚れは、シャープ
製（ＩＯ−７２０）インクジェットプリンターを用い
て、青印字（シアン＋マゼンタ）の重色ベタ印字を行
い、紙しわの状態を目視で判定し、また印字中にコック
リングが生じ、紙しわの凸部と印字ヘッドが接触するこ
とによって起こるヘッド擦れ汚れの有無を目視で判定し
た。

【００５６】１２）裏抜け 裏抜けは、シャープ製（ＩＯ−７２０）インクジェット
プリンターを用いて、青印字（シアン＋マゼンタ）の重
色ベタ印字を行い、記録画像の裏面側からマゼンタの光
学濃度を測定した。光学濃度が０．２５以下であれば実
使用上特に問題ではないが、０．２５を超えると裏側に
抜けていることが明確となり実使用上問題となる。

【００５７】比較例１ 坪量８０ｇ／ｍ²、パルプ／填料比が８０％／２０％、
アルキルケテンダイマ ー０．０６％、ステキヒトサイ
ズ度１０秒の上質紙を原紙として、表面に合成非晶質シ
リカ（ファインシールX-37B；徳山曹達社製）１００部、ポリビ
ニルアルコール固形分濃度１０％（PVA117、クラレ社
製）６００部、カチオン性染料定着剤固形分濃度３０％
（スミレース゛レシ゛ン1001；住友化学工業社製）６７部を配合し
た塗工液、濃度１５％をエアーナイフコーターで塗工量
６ｇ／ｍ²となるように、インク受理層を塗工し、スー
パーカレンダー仕上をして、比較例１のインクジェット
記録シートとした。

【００５８】比較例２ 比較例１の塗工紙の裏面に、ポリビニルアルコール固形
分濃度１０％（PVA117、クラレ社製）の塗工液をエアー
ナイフコーターで塗工量５ｇ／ｍ²となるように、バッ
クコート層を塗工し、スーパーカレンダー仕上をして、
比較例２のインクジェット記録シートとした。

【００５９】比較例３ 比較例１の塗工紙の裏面に、表面と同様の塗工液をエア
ーナイフコーターで塗工量５ｇ／ｍ²となるように、バ
ックコート層を塗工し、スーパーカレンダー仕 上をし
て、比較例３のインクジェット記録シートとした。尚、
合成非晶質シリカ（ファインシールX-37B）は、アスペクト比が
５未満である。

【００６０】比較例４ 比較例１の塗工紙の裏面に、重質炭酸カルシウム（ソフ
トン２２００、白石カルシウム社製）１００部、ポリビ
ニルアルコール固形分濃度１０％（PVA117、クラレ社
製）２００部を配合した塗工液を固形分濃度２０％とし
て、エアーナイフコーターで塗工量５ｇ／ｍ²となるよ
うに、バックコート層を塗工し、スーパーカレンダー仕
上をして、比較例４のインクジェット記録シートとし
た。尚、重質カルシウム（ソフトン２２００）は、アス
ペクト比が５未満である。

【００６１】実施例１ 比較例１の塗工紙の裏面に、デラミネーテッドカオリン
クレー（ヌークレー；エンケ゛ルハート゛社製、アスペクト比５〜５
０、粒径２〜２０μｍ）１００部、ポリビニルアルコー
ル固形分濃度１０％（PVA117）２００部を配合した塗工
液、濃度２０％をエアーナイフコーターで塗工量５ｇ／
ｍ²となるように、バックコート層を塗工し、スーパー
カレンダー仕上をして、実施例１のインクジェット記録
シートとした。

【００６２】実施例２ バックコート層の顔料に、板状塩基性炭酸カルシウム
（BCC-07；秩父石灰工業社製、アスペクト比約１０、平
均粒径０．７μｍ）１００部を使用した以外は、実施例
１と同様にして、実施例２のインクジェット記録シート
とした。

【００６３】実施例３ バックコート層の顔料に、平板状ジークライト（シ゛ークライ
トTMC；ジークライト社製、アスペクト比５〜９０、平均
粒径２〜３μｍ）１００部を使用した以外は、実施例１
と同様にして、実施例３のインクジェット記録シートと
した。

【００６４】実施例４ バックコート層の顔料に、平板状合成マイカ（MK-100；
コープケミカル社製、アスペクト比２０〜３０、平均粒
径２．７μｍ）１００部を使用した以外は、実施例１と
同様にして、実施例４のインクジェット記録シートとし
た。

【００６５】実施例５ バックコート層の顔料に、平板状炭酸マグネシウム（ア
スペクト比約１０、平均粒径２３μｍ）１００部を使用
した以外は、実施例１と同様にして、実施例５のインク
ジェット記録シートとした。

【００６６】実施例６ バックコート層の顔料に、平板状セリサイト（アスペク
ト比５〜９０、平均粒径２〜３μｍ）１００部を使用し
た以外は、実施例１と同様にして、実施例６のインクジ
ェット記録シートとした。

【００６７】実施例７ バックコート層の顔料に、平板状タルク（アスペクト比
約１０、平均粒径５〜６μｍ）１００部を使用した以外
は、実施例１と同様にして、実施例７のインクジェット
記録シートとした。

【００６８】実施例８ バックコート層の塗工量を、１０ｇ／ｍ²とした以外
は、実施例１と同様にして、実施例８のインクジェット
記録シートとした。

【００６９】実施例９ バックコート層の塗工量を、２ｇ／ｍ²とした以外は、
実施例１と同様にして、実施例９のインクジェット記録
シートとした。

【００７０】実施例１０ バックコート層の顔料に、平板状デラミネーテッドカオ
リンクレー（ヌークレー；エンケ゛ルハート゛社製、アスペクト比５〜
５０、粒径２〜２０μｍ）７０部、加水ハロイサイト
（商品名、信州カオリン、アスペクト比５未満、平均粒
径５μｍ）３０部を使用した以外は、実施例１と同様に
して、実施例１０のインクジェット記録シートとした。

【００７１】実施例１１ バックコート層の顔料に、平板状デラミネーテッドカオ
リンクレー（ヌークレー；エンケ゛ルハート゛社製、アスペクト比５〜
５０、粒径２〜２０μｍ）６０部、重質炭酸カルシウム
（ソフトン２２００、白石カルシウム社製）４０部を使
用した以外は、実施例１と同様にして、実施例１１のイ
ンクジェット記録シートとした。

【００７２】表１にバックコート層の配合及び塗工量
を、表２に上記特性の測定結果を示した。

【００７３】

【表１】

【００７４】

【表２】 ＊１ Ａ：紙しわほとんど無く特性良好を示す。 Ｂ：紙しわ少なく実用上問題ない範囲で良好を示す。 Ｃ：紙しわ有り実用上問題あることを示す。 Ｄ：紙しわ多く特性不良を示す。 ＊２ Ａ：コックリングによるヘッド擦れ汚れ無く特
性良好を示す。 Ｄ：コックリングによるヘッド擦れ汚れ有り実用上問題
あり。

【００７５】実施例１〜１１、比較例１〜４で明らかな
ように、平板状無機顔料を含有するバックコート層を設
けることにより、各環境条件下におけるカール値が±１
０ｍｍ以内になり、特に低温低湿条件下でのカールも少
なく、インクジェット記録シートの搬送性が著しく改良
され、更にインクの裏抜けも著しく改良され、また更に
コックリングが抑制されることによって、紙しわが少な
くなり、インクジェット記録シートのヘッド擦れ汚れが
なく、総合的なインクジェット記録シートの搬送性を著
しく向上させることができた。その時、シート上に記録
された画像の濃度が高くなるという副次的な効果があ
る。。

【００７６】比較例５ 濾水度４５０ｍｌＣＳＦのＬＢＫＰ６７部、濾水度４８
０ｍｌＣＳＦのＮＢＫＰ８部から成るパルプスラリー
に、カチオン澱粉０．８部、重質炭酸カルシウム１０
部、軽質炭酸カルシウム１５部、アルキルケテンダイマ
ー中性サイズ剤０．１０部、を添加して、パルプスラリ
ーのｐＨを８．２に調整し、長網抄紙機で抄造乾燥し、
続けて、サイズプレスで溶解した酸化澱粉水溶液を、固
形分で両面５ｇ／ｍ²となるように含浸し、乾燥しマシ
ンカレンダー仕上げをし、坪量９５ｇ／ｍ²の塗工原紙
を得た。ステキヒトサイズ度は、２０秒であった。この
塗工原紙の填料分布の多い面上に、多孔性無機顔料とし
て、合成非晶質シリカ（ファインシールＸ−３７Ｂ、徳
山曹達社製）１００部、バインダーとして、ポリビニル
アルコール固形分濃度１０％水溶液（ＰＶＡ１１７、ク
ラレ社製）４００部を配合した濃度１５％の塗工液をエ
アーナイフコーターで固形分８g/ｍ²となるように塗工
し、熱風の最高温度を１２０℃以上として乾燥し、更に
この塗工紙の裏面にバックコート層として、平板状デラ
ミネーテッドカオリンクレー（ヌークレー；エンケ゛ルハート゛社製、
アスペクト比５〜５０、粒径２〜２０μｍ）５０部、加
水ハロイサイト（商品名、信州カオリン、アスペクト比
５未満、平均粒径５μｍ）５０部、シラン変性ポリビニ
ルアルコール１０％固形分濃度（商品名Ｒポリマー１１
３０、クラレ社製）５０部、４８％固形分濃度のスチレ
ン−ブタジエン系ラテックスを２１部を配合した濃度３
０％の塗工液をエアーナイフコーターで固形分８ｇ／ｍ
²となるように塗工し、乾燥した。更に、スーパーカレ
ンダー仕上げをし、比較例５のインクジェット記録シー
トとした。

【００７７】比較例６ 比較例５に使用した塗工原紙の填料分布の多い面上に、
溶解しない米澱粉粉体（平均粒子径４．９μｍ、ミクロ
パール、島田化学工業社製）１００部、バインダーとし
て、ポリビニルアルコール固形分濃度１０％水溶液（Ｐ
ＶＡ１１７、クラレ社製）４００部を配合した濃度１５
％の塗工液を、エアーナイフコーターで固形分８g/ｍ²
となるように塗工し、熱風の最高温度を１２０℃以上と
して乾燥し、更に比較例５と同様にしてバックコート層
を設け、スーパーカレンダー仕上げをし、比較例６のイ
ンクジェット記録シートとした。

【００７８】比較例７ 比較例５に使用した塗工原紙の填料分布の多い面上に、
多孔性無機顔料として、合成非晶質シリカ（ファインシ
ールＸ−３７Ｂ、徳山曹達社製）１００部、バインダー
として、ポリビニルアルコール固形分濃度１０％（ＰＶ
Ａ１１７、クラレ社製）４００部、染料定着剤として、
カチオン性染料定着剤固形分濃度３０％（スミレーズレ
ジン１００１、カチオン荷電量３．５ｍｅｑ．／ｇ、住
友化学社製）１００部を配合した濃度１５％の塗工液を
エアーナイフコーターで、固形分８g/ｍ²となるように
塗工し、熱風の最高温度を１２０℃以上として乾燥し、
更に比較例５と同様にしてバックコート層を設け、スー
パーカレンダー仕上げをし、比較例７のインクジェット
記録シートとした。

【００７９】比較例８ 比較例５に使用した塗工原紙の填料分布の多い面上に、
多孔性無機顔料として、合成非晶質シリカ（ファインシ
ールＸ−３７Ｂ、徳山曹達社製）１００部、バインダー
として、ポリビニルアルコール固形分濃度１０％（ＰＶ
Ａ１１７、クラレ社製）４００部、エチレン酢酸ビニル
共重合体樹脂水性エマルジョンａ（エチレン含有量：１
０モル％、Ｔｇ：１５℃、固形分濃度：５０％）２０部
を配合した濃度１５％の塗工液をエアーナイフコーター
で、固形分８g/ｍ²となるように塗工し、熱風の最高温
度を１２０℃以上として乾燥し、更に比較例５と同様に
してバックコート層を設け、スーパーカレンダー仕上げ
をし、比較例８のインクジェット記録シートとした。

【００８０】実施例１２〜１６ 比較例７の合成非晶質シリカ１００部の内、各々１０
部、２５部、５０部、１００部を溶解しない米澱粉粉体
（平均粒子径４．９μｍ）に置換した他は比較例７と同
様にして、実施例１２〜１６のインクジェット記録シー
トを得た。

【００８１】実施例１７ 比較例７の配合塗工液にエチレン酢酸ビニル共重合体樹
脂水性エマルジョンａ（エチレン含有量：１０モル％、
Ｔｇ：１５℃、固形分濃度：５０％）２０部を添加した
以外は比較例７と同様にして、実施例１７のインクジェ
ット記録シートを得た。

【００８２】実施例１８ 実施例１３の配合塗工液にエチレン酢酸ビニル共重合体
樹脂水性エマルジョンａ（エチレン含有量：１０モル
％、Ｔｇ：１５℃、固形分濃度：５０％）２０部を添加
した以外は実施例１３と同様にして、実施例１８のイン
クジェット記録シートを得た。

【００８３】実施例１９ 実施例１６の米澱粉粉体１００部の内、固形分で２０部
をエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂水性エマルジョンａ
（エチレン含有量：１０モル％、Ｔｇ：１５℃、固形分
濃度：５０％）に置換した以外は実施例１６と同様にし
て、実施例１９のインクジェット記録シートを得た。

【００８４】実施例２０ エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂水性エマルジョンａ
（エチレン含有量：１０モル％、Ｔｇ：１５℃、固形分
濃度：５０％）２０部をエチレン酢酸ビニル共重合体樹
脂水性エマルジョンｂ（エチレン含有量：２５モル％、
Ｔｇ：５℃、固形分濃度：５０％）２０部に置換した以
外は実施例１８と同様にして、実施例２０のインクジェ
ット記録シートを得た。

【００８５】実施例２１ エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂水性エマルジョンａ
（エチレン含有量：１０モル％、Ｔｇ：１５℃、固形分
濃度：５０％）２０部をエチレン酢酸ビニル共重合体樹
脂水性エマルジョンｃ（エチレン含有量：４０モル％、
Ｔｇ：０℃、固形分濃度：５０％）２０部に置換した以
外は実施例１８と同様にして、実施例２１のインクジェ
ット記録シートを得た。

【００８６】比較例９ エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂水性エマルジョンａ
（エチレン含有量：１０モル％、Ｔｇ：１５℃、固形分
濃度：５０％）２０部を酢酸ビニル重合体樹脂水性エマ
ルジョン（Ｔｇ：２９℃、固形分濃度：３０％）３３部
に置換した以外は実施例１７と同様にして、比較例９の
インクジェット記録シートを得た。

【００８７】表３に本発明実施例及び比較例によるイン
ク受理層配合例、表４にカチオン性染料定着剤塗工量、
インクジェット記録シート単位面積当たりのカチオン荷
電量を、表５，６及び７に実施例及び比較例による測定
結果を示した。なお、バックコート層は実施例１２〜２
１及び比較例５〜９は同様の塗工層とした。

【００８８】

【表３】 ＊３−−−平均粒子径４．９μｍの米澱粉粒子（粉体） ＊４−−−本発明になるエチレン酢酸ビニル共重合体樹
脂及び比較例の酢酸ビニル。 エチレン含有量 ０モル％：酢酸ビニル １０モル％：エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂ａ ２５モル％： 〃 ｂ ４０モル％： 〃 ｃ ＊５−−−合成非晶質シリカ（多孔性） ＊６−−−カチオン性染料定着剤 ＊７−−−完全ケン化型、重合度１７００のポリビニル
アルコール。

【００８９】

【表４】 *8［コロイド滴定法によるカチオン性染料定着剤のカチ
オン荷電量］−（ａ） ［カチオン性染料定着剤の塗工層中の含有量］−−−−
−−−−−−（ｂ） ［インクジェット記録シート単位面積当りの該定着剤の
カチオン荷電量］−−−−−（ｃ） ［＊８のカチオン荷電量（ｃ）(meq./m²)］＝（ａ）(me
q./g)×（ｂ）(g/m²)

【００９０】

【表５】

【００９１】

【表６】 *9 Ａはセロテープにほとんど粉が付かず、塗層強度が
強いことを示す。 Ｂはセロテープに僅かに粉が付着するが、実用上問題が
無いことを示す。 Ｃはセロテープに粉が付着し、使用条件によっては問題
で有ることを示す。 Ｄはセロテープにかなり粉が付着し、実用上問題で有る
ことを示す。 Ｅはセロテープに大量に粉が付着し、使用に耐えないこ
とを示す。

【００９２】

【表７】

【００９３】実施例１２〜２１、比較例５〜９で明らか
なように、平板状無機顔料を含有するバックコート層を
設けることにより、総合的なインクジェット記録シート
の搬送性が良好であるばかりでなく、澱粉粒子又はその
化工澱粉粒子又はエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂の少
なくとも１種以上を含有し、更にカチオン性染料定着剤
を特定のカチオンコロイド荷電量としたインク受理層を
有するインクジェット記録シートは、重色にじみ率が著
しく改良され、重色部分の文字が高精細に記録される。
更に合成非晶質シリカとカチオン性染料定着剤を併用し
て含有するインク受理層を有するインクジェット記録シ
ートに於いても、澱粉粒子又はその化工澱粉粒子又はエ
チレン酢酸ビニル共重合体樹脂の少なくとも１種以上を
インク受理層中に含有した場合、インクジェット記録シ
ートの白紙黄変性が著しく改良され、又、インク受理層
の接着性・塗層強度が著しく改良される。

【００９４】実施例 ２２ 濾水度４５０ｍｌＣＳＦのＬＢＫＰ６５部、濾水度４８
０ｍｌＣＳＦのＮＢＫＰ７部から成るパルプスラリー
に、填料として重質炭酸カルシウム１０部、軽質炭酸カ
ルシウム８部、タルク１０部、サイズ剤としてアルキル
ケテンダイマー中性サイズ剤０．１０部、カチオン澱粉
０．８部、硫酸バンド０．４部を添加して、パルプスラ
リーのｐＨを８．２に調整し、長網抄紙機で抄造乾燥
し、続けて、サイズプレスで溶解した酸化澱粉水溶液
を、固形分で両面５ｇ／ｍ²となるように含浸し、乾燥
しマシンカレンダー仕上げをし、坪量９５ｇ／ｍ²の塗
工原紙を得た。ステキヒトサイズ度は、１８秒であっ
た。原紙抄造後、この塗工原紙の填料分布の多い面上
に、固形分１ｇ／ｍ²で塗工した以外は実施例１８と同
様にしてインク受理層を設け、更に裏面に比較例５のバ
ックコート液を固形分５ｇ／ｍ²で塗工した以外は比較
例５と同様にしてバックコート層を設けた。このインク
ジェット記録シートを実施例２２のインクジェット記録
シートとした。

【００９５】実施例 ２３ インク受理層の塗工量固形分を１０ｇ／ｍ²とした以外
は実施例２２と同様にして実施例２３のインクジェット
記録シートを得た。

【００９６】比較例 １０ インク受理層の塗工量固形分を１５ｇ／ｍ²とした以外
は実施例２２と同様にして比較例１０のインクジェット
記録シートを得た。

【００９７】実施例 ２４ 実施例２２の塗工原紙の填料分の少ない面上に、米澱粉
（平均粒径４．９μｍ）１０部、小麦澱粉（粒径２〜４
０μｍ）１０部、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１１
７）１０部、カチオン性染料定着剤（ポリフィックス６
０１、カチオン荷電量６．９ｍｅｑ．／ｇ、昭和高分子
社製）１５部を配合した濃度３０％の塗工液をエアーナ
イフコーターで固形分１０ｇ／ｍ²となるように塗工
し、熱風の最高温度を１２０℃以上として乾燥し、更に
インク受理層の反対面上にバックコート層として実施例
２２と同様のバックコート層を設け、スーパーカレンダ
ー仕上げをし、実施例２４のインクジェット記録シート
とした。

【００９８】実施例 ２５ 実施例２４のカチオン性染料定着剤（ポリフィックス６
０１、カチオン荷電量６．９ｍｅｑ．／ｇ、昭和高分子
社製）１５部を３０部とした以外は実施例２４と同様に
して実施例２５のインクジェット記録シートを得た。

【００９９】表７に本発明実施例及び比較例によるカチ
オン性染料定着剤塗工量、インクジェット記録シート単
位面積当たりのカチオン荷電量、表８，９に実施例及び
比較例の測定結果を示した。

【０１００】

【表８】

【０１０１】

【表９】

【０１０２】

【表１０】

【０１０３】実施例２２〜２５、比較例１０から明らか
なように、インク受理層とバックコート層の塗工量及び
塗工量差が特定の範囲で好ましい結果を得た。又、カチ
オン性染料定着剤のインクジェット記録シートの単位面
積あたりのコロイド荷電量が特定の範囲にあれば、重色
にじみ率も良好であった。

【０１０４】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録シートにお
いて、インク受理層の反対面に、アスペクト比が５〜９
０で、かつ平均粒子径が０．１〜２５μｍである、平板
状無機顔料を含有するバックコート層を設けることによ
り、インクジェット記録シート上に記録された画像や文
字の濃度が高く、広範囲の温湿度条件下でのカール及び
コックリングを抑制することができ、記録装置で記録す
る際のインクジェット記録シートの走行性を著しく改善
することができる。更にコックリングによって発生する
ヘッドへの接触によって引き起こされるヘッド擦れ汚れ
も防止でき、記録画像汚れの無い鮮明な記録画像を得る
ことができる。また、裏抜けも少ない記録画像を得るこ
とができる。また、インク受理層に澱粉粒子またはその
化工澱粉粒子、またはエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂
から選ばれる１種以上を含有し、インクジェット記録シ
ートの単位面積あたり特定のカチオン荷電量を有するよ
うにカチオン性染料定着剤を含有させることにより、記
録された画像や文字の濃度が高く、インクの吸収性に優
れ、重色部でのニジミを著しく減少させることが出来、
従来公知の技術では容易に得られなかったバランスの取
れたインクジェット記録シートを得ることができた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出井 晃治 東京都千代田区丸の内３丁目４番２号三菱 製紙株式会社内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体の片面に塗布又は含浸によって少
   なくとも１層のインク受理層を有し、その反対面に塗布
   又は含浸によって少なくとも１層のバックコート層を設
   けてなるインクジェット記録シートに於いて、バックコ
   ート層にアスペクト比（平均粒子径／厚さの比）が５〜
   ９０で、かつ平均粒子径が０．１〜２５μｍである平板
   状無機顔料を含有してなることを特徴とするインクジェ
   ット記録シート。
2. 【請求項２】 該インク受理層が、澱粉粒子又はその化
   工澱粉粒子、又はエチレン含有量が１０〜４０モル％で
   あるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂から選ばれる少な
   くとも１種以上を含有し、且つカチオン性染料定着剤が
   該記録シートの単位面積当りのカチオン荷電量として、
   ０．２〜４０ｍｅｑ．／m²含有してなることを特徴とす
   る請求項１記載のインクジェット記録シート。
3. 【請求項３】 該平板状無機顔料が平板状カオリンクレ
   ー、板状塩基性炭酸カルシウム、平板状セリサイト、平
   板状ジークライト、平板状マイカ、平板状炭酸マグネシ
   ウム、平板状タルクの群から選ばれる少なくとも１種以
   上を含有することを特徴とする請求項１記載のインクジ
   ェット記録シート。
4. 【請求項４】 該バックコート層の塗工量が１〜１０ｇ
   ／m²である請求項１記載のインクジェット記録シート。
5. 【請求項５】 該インク受理層が合成シリカ、水溶性高
   分子バインダーを主体成分として含有し、塗工量が１〜
   １０ｇ／m²であることを特徴とする請求項１記載のイン
   クジェット記録シート。
6. 【請求項６】 該インク受理層とバックコート層の塗工
   量の差が５ｇ／m²以内であることを特徴とする請求項１
   記載のインクジェット記録シート。