JP2004323723A - 着色微粒子分散物、これを用いたインク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】取扱性、低臭気性、安全性を備え、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れる着色微粒子分散物、それを含むインク、及びそのインクを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】親水性ポリマー部位及びTgが0℃以下である疎水性ポリマー部位を併せ持つ分散性ポリマーと、油溶性染料とを含む着色微粒子が水性媒体に分散された着色微粒子分散物、これを用いたインク、及びさらにそのインクを用いたインクジェット記録方法である。疎水性ポリマー部位は60から90質量%であり、かつ親水性ポリマー部位が10から40質量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】親水性ポリマー部位及びTgが0℃以下である疎水性ポリマー部位を併せ持つ分散性ポリマーと、油溶性染料とを含む着色微粒子が水性媒体に分散された着色微粒子分散物、これを用いたインク、及びさらにそのインクを用いたインクジェット記録方法である。疎水性ポリマー部位は60から90質量%であり、かつ親水性ポリマー部位が10から40質量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油溶性染料を含有する水系の着色微粒子分散物、該着色微粒子分散物を含有してなるインク、及び該インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭でも、紙、フィルム、布等の印字等に広く利用されている。インクジェット記録用インクとしては、油性インク、水性インク、固体状インクが知られているが、これらの中でも、製造容易性、取扱性、臭気性、安全性等の点で水性インクが有利であり、水性インクが主流となっている。
【0003】
しかし、前記水性インクの多くは、分子状態で溶解する水溶性染料を用いているため、透明性及び色濃度が高いという利点があるものの、染料が水溶性であるため耐水性が悪く、いわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリード)を生じて著しく印字品質が低下する、耐光性が悪く、更に、表面に多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙(以下、「写真画質用紙」ということがある)においては、酸化性ガス(SOx、NOx、オゾン等)の影響により画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
【0004】
そこで、前記問題を解決する目的で顔料や分散染料を用いた水性インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、これらの水性インクの場合、耐水性はある程度向上するものの十分とはいい難く、前記水性インク中の顔料や分散染料の分散物の保存安定性に欠け、インク吐出口での目詰まりを起こし易い等の問題がある。更に、写真画質用紙においては、前記顔料や染料を用いたインクは染み込性に乏しく、手で擦ると表面から前記顔料や染料が剥離し易いという問題もある。
【0005】
一方、ポリマーに油溶性染料を内包させる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)が、色調が不十分であり、色再現性が十分でなく、特に酸化性ガスなどによる画像耐久性も十分でなく、さらに、写真画質用紙に印字した場合、耐擦過性が十分でない。ポリマーに塩形成基とポリアルキレンオキサイド基を導入する事で、着色性、耐擦過性に優れるインクが提案されている(例えば、特許文献4参照)が、指による耐擦過性は良いものの、消しゴム擦りのような高レベルの耐擦過性は不十分である。また、高沸点有機溶媒と染料を用いる事で、色調や耐擦過性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)が、高レベルの画像耐久性が要求される場合は不十分である。
【0006】
以上の通り、取扱性、低臭気性、安全性を具備すると共に、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、従って、インクに適用した場合に、ノズル先端での目詰まりがなく吐出安定性に優れ、紙依存性がなく発色性、色調(色相)に優れ、前記写真画質用紙を用いた場合でもインク浸透性に優れ、印字後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度で高画質の記録を可能とする着色微粒子分散物は未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭56−157468号公報(全頁)
【特許文献2】
特開昭58−45272号公報(全頁)
【特許文献3】
特開昭62−241901号公報(全頁)
【特許文献4】
特開2001−123097号公報(全頁)
【特許文献5】
特開2001−262018号公報(全頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、取扱性、低臭気性、安全性を備え、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れる着色微粒子分散物を提供することを目的とする。
本発明は、サーマル、圧電、電界または音響インクジェット方式に好適であり、取扱性、低臭気性、安全性を備え、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、ノズル先端での目詰まりの発生が少なく、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
本発明は、取扱性、低臭気性、安全性を備え、ノズル先端での目詰まりによる吐出不良を解消し、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 親水性ポリマー部位及びTgが0℃以下である疎水性ポリマー部位を併せ持つ分散性ポリマーと、油溶性染料とを含む着色微粒子が水性媒体に分散されたことを特徴とする着色微粒子分散物である。
<2> 前記分散性ポリマー中の疎水性ポリマー部位が60から90質量%であり、かつ親水性ポリマー部位が10から40質量%であることを特徴とする前記<1>に記載の着色微粒子分散物である。
<3> 前記親水性ポリマー部位が、アニオン性ポリマーあるいは非イオン性ポリマーであることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の着色微粒子分散物である。
<4> 前記油溶性染料の酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の着色微粒子分散物である。
<5> 前記油溶性染料のSP値が26〜21であり、かつV値が810〜270であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の着色微粒子分散物である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の着色微粒子分散物を含有してなることを特徴とするインクである。
<7> 前記<6>に記載のインクを用いて被記録材に画像記録を行う工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<8> 前記被記録材として、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙を用いることを特徴とする前記<7>に記載のインクジェット記録方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の着色微粒子分散物、インク、及びインクジェット記録方法について説明する。
【0011】
(着色微粒子分散物)
本発明の着色微粒子分散物は、分散性ポリマーと油溶性染料とを少なくとも含む着色微粒子を水性媒体に分散してなり、前記着色微粒子分散物は、沸点150℃以上の疎水性高沸点有機溶媒が含まれていてもよい。
更に詳しく述べると、前記着色微粒子分散物とは、分散性ポリマーと油溶性染料と、必要に応じて疎水性高沸点有機溶媒やその他の着色剤が、水性媒体中に微粒子状の油滴として分散された、いわゆる乳化分散物状態になっているものである。
なお、本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて添加剤などを添加したものを意味する。
【0012】
−分散性ポリマー−
前記分散性ポリマーについて詳細に説明する。前記分散性ポリマーは少なくとも疎水性ポリマー部位と親水性ポリマー部位を含有する。分散性ポリマー中の疎水性ポリマー部位と親水性ポリマー部位の配置は任意であるが、親水性ポリマー部位がポリマーの末端や側鎖に位置する、例えば、側鎖が親水性ポリマー部位であるグラフトコポリマー、末端に親水性ポリマー部位を有するブロックコポリマーが好ましい。前記分散性ポリマーはビニルポリマー、縮合系ポリマー(ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート)等従来公知の重合形式でもよいが、ポリマーの構造制御がし易い点から、ビニルポリマーが好ましい。
【0013】
前記疎水性ポリマー部位は、疎水性部位からなるポリマーを形成した場合、水に不溶かつ分散もしない性質をもつポリマー部位であり、さらに、耐擦過性を持たせるために、ガラス転移温度(Tg)は0℃以下である。Tgは−15℃以下が好ましく、−30℃以下が更に好ましく、−40℃以下が特に好ましい。
Tgが0℃を超えると耐擦過性が困難な前記写真画質用紙を用いて記録した場合に耐擦過性が十分でないため好ましくない。
【0014】
疎水性ポリマー部位を構成するモノマーの例を以下に挙げる。即ち、
アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換または無置換の脂肪族基,置換または無置換の芳香族基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−クロロエチル基、4−ブロモブチル基、シアノエチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ブトキシメチル基、3−メトキシブチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル基、2,2,2−テトラフルオロエチル基、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル基、4−ブチルフェニル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基など);
【0015】
アクリルアミド類、メタクリルアミド類、具体的には、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(置換基は置換または無置換の脂肪族基,置換または無置換の芳香族基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アルコキシメチル基、アルコキシエチル基、4−ブチルフェニル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基など);
【0016】
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなど;スチレン類、具体的には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;
【0017】
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど;その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
【0018】
中でも、エステル基が無置換の脂肪族基、アルキル置換芳香族基、芳香族基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類、置換基が無置換の脂肪族基、アルキル置換フェニル基、フェニル基であるN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミドが好ましく、エステル基が炭素数1から20の脂肪族基、炭素数7から30のアルキル置換芳香族基、芳香族基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が更に好ましく、エステル基が炭素数1から20の脂肪族基、炭素数7から30のアルキル置換フェニル基、フェニル基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が更に好ましく、エステル基が炭素数2から20の脂肪族基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が更に好ましく、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが更に好ましく、ヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレートが特に好ましい。
【0019】
前記疎水性ポリマー部位は、Tgが0℃以下になるのであれば、構成原料を1種用いてもよいし、種々の目的(例えば、溶解性、油溶性染料との相溶性、分散物の安定性などの調整)のために、2種以上を用いてもよい。
【0020】
前記親水性ポリマー部位は、親水性ポリマー部位からなるポリマーを形成した場合、水に溶解する性質をもつポリマー部位である。前記親水性ポリマー部位は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、あるいはこれらの混合型のいずれであってもよいが、アニオン性や非イオン性あるいはこれらの混合型が好ましく、アニオン性あるいは非イオン性が、インクで一般的な中性から塩基性の条件で高い安定性を保つ点において特に好ましい。
カチオン性のポリマー部位としては、三級アミノ基、ピリジン基などのカチオン性の解離基を有するポリマー、アニオン性のポリマー部位としては、カルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離基を含有するポリマー、非イオン性のポリマー部位としては、エチレンオキシ基、アルコール基、ピロリドン基などの非イオン性分散性基を含有するポリマーが挙げられる。
【0021】
親水性ポリマーを構成するモノマーあるいはポリマー構造単位の例として、カルボキシル基やスルホ基などの酸を有するモノマー(アクリル酸やメタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−カルボキシエチルアクリレートなど)、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(親水性の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基など)、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド部位、ポリビニルアルコール部位、糖やグリセリンなどの多価アルコール部位などが挙げられる。
【0022】
中でも、アクリル酸やメタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシ基を有するアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(ヒドロキシ基を有するエステル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基など)、アクリルアミド、窒素上の置換基の炭素数の合計が1から4のN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド、ポリエチレンオキシド部位、ポリビニルアルコール部位、糖やグリセリンなどの多価アルコール部位が好ましく、アクリル酸やメタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレートがより好ましく、アクリル酸やメタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレンオキシド部位、ポリビニルアルコール部位が更に好ましい。
【0023】
また、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレンオキシド部位が特に好ましい。
【0024】
前記親水性ポリマー部位は、親水性部位として機能するのであれば、構成原料を1種用いてもよいし、種々の目的(各々の水系媒体中での分散物の安定性、分散物製造のためのポリマーの溶解性などの調整)のために、2種以上を用いてもよい。
【0025】
前記分散性ポリマー中の前記疎水性ポリマー部位と前記親水性ポリマー部位の含量はそれぞれの性質(例えば、前記親水性ポリマー部位の水溶性の違い、前記疎水性ポリマー部位の疎水性の違い)により、任意に使用することができるが、油溶性染料が前記疎水性ポリマー部位に溶解する必要があることから、前記疎水性ポリマー部位が60から90質量%、前記親水性ポリマー部位が10から40質量%が好ましく、前記疎水性ポリマー部位が60から85質量%、前記親水性ポリマー部位が15から40質量%がより好ましく、前記疎水性ポリマー部位が60から80質量%、前記親水性ポリマー部位が20から40質量%が特に好ましい。
【0026】
前記親水性ポリマー部位が前記アニオン性の解離性基を有する場合、前記解離性基の含量としては、0.1〜3.0mmol/gが好ましく、0.2〜2.0mmol/gがより好ましい。なお、前記解離性基の含量が、少ない場合にはポリマーの自己乳化性が小さく、多い場合には水溶性が高くなり、染料の分散に適さなくなる傾向がある。
【0027】
なお、前記解離基として、前記アニオン性の解離基としては、更に、アルカリ金属(例えばNa、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩などであってもよく、前記カチオン性の解離基としては、更に、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸)や無機酸(塩酸、硫酸など)の塩であってもよい。
【0028】
前記分散性ポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、通常1000から200000であり、2000〜50000が好ましい。分子量が1000未満であると、安定な着色微粒子分散物を得るのが難しくなる傾向にあり、200000より大きい場合、有機溶媒への溶解性が悪くなったり、有機溶媒溶液の粘度が増加して分散し難くなったりする傾向がある。
【0029】
前記分散性ポリマーの具体例を以下に列挙する。括弧内の比は質量比を意味する。なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0030】
PA−1) ブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(60:40)
PA−2) ヘキシルメタクリレート/2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート共重合体(85:15)
PA−3) イソブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約45)のメタクリル酸エステル共重合体(70:30)
PA−4) s−ブチルアクリレート/2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体(82:18)
PA−5) ヘキシルメタクリレート/2−カルボキシエチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(70:10:20)
PA−6) ブチルアクリレート/ポリ(2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート)部位を有するマクロモノマー 共重合体(80:20)
PA−7) ブチルアクリレート/イソブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約9)のメタクリル酸エステル共重合体(50:20:30)
PA−8)ブチルアクリレート/ポリ(ビニルアルコール)部位を有するマクロモノマー 共重合体(80:20)
PA−9)ブチルアクリレート/アクリル酸を構成単位に含むマクロモノマー 共重合体(80:20)
PA−10)ブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約9)のメタクリル酸エステル共重合体(70:20:10)
PA−11)ブチルアクリレート/1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキシルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(70:10:20)
PA−12)ブチルアクリレート/ポリ(ジメチルシロキサン)部位を有するマクロモノマー/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(75:5:20)
【0031】
−油溶性染料−
本発明の着色微粒子分散物において使用する油溶性染料とは、水に実質的に不溶な色素を意味する。より具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる色素の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを意味する。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の油溶性色素を意味する。
【0032】
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
本発明の着色微粒子分散物においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色材が含有されていてもよい。
【0033】
油溶性染料は従来公知の化合物(染料)が使用できる。具体的には、特開2002−114930号の段落[0023]から[0053]に記載されている染料などが挙げられる。
【0034】
また、前記油溶性染料は、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が高いことが望ましい。油溶性染料の酸化電位は1.0V(vs SCE)よりも高い(貴である)ことが望ましい。また、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも高いものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より高いものが更に好ましく、1.3V(vs SCE)より高いものが特に好ましい。
酸化電位に関しては、特開2002−309118号の段落[0049]から[0051]に記載されている。
【0035】
イエロー染料の好ましい構造としては、下記一般式(Y−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。尚、下記一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、グリーンインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
【0036】
【化1】
【0037】
上記一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0038】
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0039】
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0040】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0041】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、下記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
前記一般式(Y−II)において、R1及びR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R4は複素環基を表す。
【0046】
前記一般式(Y−III)において、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(R11)=を表し、前記R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R6は複素環基を表す。
【0047】
一般式(Y−IV)において、R7及びR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。R10は複素環基を表す。
【0048】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるR1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表す置換基について以下に詳述する。
【0049】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
【0050】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0051】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0052】
R1、R2、R3、R5、R7、及びR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
【0053】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0054】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0055】
R2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0056】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。
R1、R3、R5、及びR8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0057】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
【0058】
R8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0059】
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0060】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、 前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0061】
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0062】
R2、R7、R8、及びR9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
R8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0063】
R8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0064】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0065】
R4、R6、R10で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0066】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(R11)=を表す。R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0067】
【化5】
【0068】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0069】
以下に、前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−160)を示すが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成することができる。
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
【化10】
【0075】
【化11】
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】
【化14】
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】
【化17】
【0082】
マゼンタ染料の好ましい構造としては、特開2002−114930号の一般式(3)、(4)であり、具体例として特開2002−114930号の段落[0054]〜[0073]の化合物が挙げられる。
特に好ましい構造としては、特開2002−121414号の段落番号[0084]から[0122]に記載されているの一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号の段落番号[0123]から[0132]の化合物が挙げられる。尚、前記一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
【0083】
シアン染料の好ましい構造としては、特開2001−181547号の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料であり、具体例として特開2001−181547号の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号の段落番号[0079]から[0081]の化合物が挙げられる。
特に好ましい構造としては、特開2002−121414号の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。具体例として特開2002−121414号の段落番号[0198]から[0201]の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
【0084】
前記油溶性染料が着色微粒子内で溶解した状態で存在するのは必須であるが、経時での結晶析出がないことも重要である。すなわち、分散性ポリマー(特にはその疎水性部位)との相溶性が高いことが重要である。
一般に分散性ポリマーの溶解性パラメーター(以下、SP値という)と油溶性染料のSP値が近い方がよいと言われているが、溶解する分子(本発明では油溶性染料)と溶媒(本発明では分散性ポリマー)の構造に依存する部分があるため、SP値のみで解釈できない場合がある。本発明における油溶性染料の場合、分子体積V値とSP値の2つの物性値を用いることで、溶解性と経時保存安定性に優れることを見出した。
油溶性染料のSP値は26〜21が好ましく、25〜21がより好ましく、24〜21が更に好ましく、24〜22が特に好ましい。油溶性染料のV値は810〜270が好ましく、800〜300がより好ましく、750〜350が更に好ましく、700〜380が特に好ましい。
【0085】
ここでV値(cm3/mol)、SP値(J0.5/cm1.5)は、Fedorsの方法により計算した値である。これらの算出方法はPolym.Eng.Sci.の14巻(1974年)147頁に記載されている。
【0086】
前記油溶性染料のインク中の含有量は、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。
【0087】
−着色微粒子分散物の製造−
本発明の着色微粒子分散物は、前記分散性ポリマーと前記油溶性染料とを水性媒体(少なくとも水を含有する液)中に着色微粒子の形で分散させることにより製造することができる。具体的には、例えば、予め前記分散性ポリマーのラテックスを調製しこれに前記油溶性染料を含浸させる方法、あるいは共乳化分散法などが挙げられる。
これらの中でも、前記共乳化分散法が好ましい。前記共乳化分散法としては、前記分散性ポリマーと前記油溶性染料とを含有する有機溶媒に水を添加すること、及び、水中に該有機溶媒を添加すること、のいずれかにより、該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法が好適に挙げられる。
【0088】
なお、前記ラテックスとは、水性媒体に不溶な前記分散性ポリマーが微細な粒子として水性媒体中に分散したものを意味する。前記分散の状態としては、前記分散性ポリマーが前記水性媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいは前記分散性ポリマーが分子中に部分的に親水的な構造をもち分子鎖自身が分子状分散したもの、などのいずれであってもよい。
【0089】
ここで、予め前記ポリマーラテックスを作製し、これに前記油溶性染料を含浸する方法について説明する。
この方法の第一の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製する第二の工程と、前記着色剤含有液と前記ポリマーラテックスを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第二の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製し、この着色剤含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第二の工程と、前記ポリマーラテックスと前記着色剤微粒子分散液とを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第三の例としては、特開昭55−139471号公報に記載の方法が挙げられる。
【0090】
ここで、前記共乳化分散法について説明する。
この方法の第一の例は、有機溶剤に前記油溶性染料と前記分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー着色剤混合液を調製する第一の工程と、前記ポリマー着色剤混合液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第二の工程とを含む。
この方法の第二の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記着色剤含有液と前記ポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第三の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製し、この着色剤含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合してポリマー微粒子分散液を作製する第二の工程と、前記着色剤微粒子分散液と前記ポリマー微粒子分散液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第四の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製し、この着色剤含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記着色剤微粒子分散液と前記ポリマー溶液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第五の例は、前記油溶性染料と分散性ポリマーに対し、少なくとも水を含む液とを混合して、直接、着色微粒子分散物を調製する工程である。
【0091】
前記着色微粒子分散物において、前記分散性ポリマーの使用量としては、前記油溶性染料100質量部に対し、10〜1000質量部が好ましく、50〜600質量部がより好ましい。分散性ポリマーの使用割合が10質量部未満であると、微細で安定な分散が難しくなることがあり、1000質量部を超えると、着色微粒子分散液中の油溶性染料の割合が少なくなり、着色微粒子分散液を水系インクとして使用した場合に配合設計上の余裕が無くなることがある。
【0092】
前記着色微粒子の着色微粒子分散物における含有量としては、1〜45質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。前記含有量は、希釈、蒸発、限外濾過等により適宜調整することができる。
【0093】
前記着色微粒子の体積平均粒径としては、1〜500nmが好ましく、3〜300nmがより好ましく、3〜200nmが特に好ましい。粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。前記粒径、前記粒径分布は、遠心分離、濾過等の手段により、調整することもできる。
【0094】
−有機溶剤−
前記着色微粒子分散物を製造する際に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、前記油溶性染料や前記分散性ポリマーの溶解性に基づいて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
有機溶剤は単独で用いてもよいし2種以上を併用しても良い。また前記染料やポリマーの溶解性によっては、水との混合溶媒であってもよい。
【0095】
前記有機溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記分散性ポリマー100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。
前記有機溶剤の使用量が、10質量部未満であると、着色微粒子の微細で安定な分散が難しくなることがあり、2000質量部を超えると、前記有機溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、かつ配合設計上の余裕がなくなることがある。
【0096】
前記有機溶剤は、有機溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、着色微粒子分散物の安定性及び安全衛生上の観点から有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する方法は溶剤の種類に応じて各種の公知の方法を用いることが出来る。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この有機溶剤の除去工程は乳化直後、出来るだけ速やかに行うのが好ましい。
【0097】
−添加剤−
本発明の着色微粒子分散物は、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、例えば、中和剤、疎水性高沸点有機溶媒、分散剤、分散安定剤などが挙げられる。
【0098】
前記中和剤は、前記分散性ポリマーが未中和の解離性基を有する場合に、着色微粒子分散物のpH調節、自己乳化性調節、分散安定性付与等の点で好適に使用することができる。
前記中和剤としては、有機塩基、無機アルカリなどが挙げられる。
【0099】
前記有機塩基としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニアなどが挙げられる。
前記中和剤は、着色微粒子分散物における分散安定性を向上させる観点からは、pH4.5〜10.0となるよう添加するのが好ましく、pH6.0〜10.0となるよう添加するのがより好ましい。
【0100】
前記疎水性高沸点有機溶媒は、着色微粒子分散物の粘度、比重、及び印字性能の調整などに用いられる。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、疎水性であり、沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。ここで「疎水性」とは、25℃における蒸留水に対する溶解度が3%以下であることをいう。また、前記疎水性高沸点有機溶媒の誘電率は3〜12であるのが好ましく、4〜10であるのがより好ましい。尚、ここで、誘電率とは25℃における真空に対する比誘電率をいう。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、米国特許第2,322,027号明細書、特願平2000−78531号明細書に記載等に記載の化合物を用いることができる。具体的には、リン酸トリエステル類、フタル酸ジエステル類、アルキルナフタレン類、安息香酸エステル類などが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用することができる。
前記高沸点溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記分散性ポリマー100質量部に対し、0〜1000質量部が好ましく、0〜300質量部がより好ましい。
【0101】
前記分散剤及び/または分散安定剤は前記ポリマーラテックス、前記着色剤含有液、前記ポリマー着色剤混合液、前記着色剤微粒子分散液、前記ポリマー溶液、少なくとも水を含む液等のいずれに添加してもよいが、前記ポリマーラテックス及び/または着色剤微粒子分散液を調製する前工程の、前記着色剤含有液、水を含む溶液に添加するのが好ましい。
前記分散剤、分散安定剤としては、カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、水溶性または水分散性の低分子化合物、オリゴマー等が挙げられる。前記分散剤、分散安定剤の添加量としては、前記油溶性染料と前記分散性ポリマーとの合計に対し、0〜100質量%であり、0〜20質量%が好ましい。
【0102】
−着色微粒子分散物の用途−
本発明の着色微粒子分散物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、以下の本発明のインクに特に好適に使用することができる。
【0103】
前記着色微粒子分散物を、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等のインクとして使用する場合、該インクの被記録材としては、特に制限はなく公知の材料が挙げられるが、例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。
【0104】
(インク)
本発明のインクは、前記本発明の着色微粒子分散物を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の添加剤を含有してなる。なお前記その他の添加剤としては、乾燥防止剤、浸透促進剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調節剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知添加剤が挙げられ、これらは特開2001−279141号の段落番号(0217)から(0226)までに記載のものを用いることができる。
本発明のインクは、特開2001−279141号の段落番号(0247)に記載のものを用いることができる。
【0105】
−その他の添加剤−
添加剤として、水溶性有機溶剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等を適宜選択して適量使用することができる。これらの添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
水溶性有機溶剤は乾燥防止剤や浸透促進剤の目的で使用される。水溶性有機溶剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン等に代表される多価アルコール類、アミルアルコール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等に代表される置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物が挙げられる。
これらのうち多価アルコール類と置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類が好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類とがより好ましい。また上記の前記水溶性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの水溶性有機溶剤はインク中に5〜60質量%含有することが好ましく、7〜50質量%含有することがさらに好ましく、10〜40質量%含有することが特に好ましい。
【0106】
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少なくいことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤(例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物など)、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤(例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(AirProducts&Chemicals社))など)が好ましく、中でも、分子量200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものが更に好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
【0107】
本発明のインクの表面張力は以上の表面張力調整剤を使用しても使用しなくても、20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。動的表面張力はこれらを使用してあるいは使用しないで20〜40mN/mが好ましい。さらに25〜35mN/mが好ましい。
本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましく、粘度を調整する目的で粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー等があげられる。
分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0108】
(インクジェット記録方法、被記録材)
本発明のインクジェット記録方法は、前記本発明のインクを用いて被記録材に画像記録を行うというものであり、被記録材上に、該インクを着弾することにより画像を形成した後、上記着色微粒子を加熱処理及び/又は加圧処理して、該着色微粒子を融着させることを特徴とする。
【0109】
前記被記録材としては、支持体上に、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙が好ましく、本発明のインクジェット記録方法としては、該被記録材上に、前記インクを着弾することにより画像を形成した後、前記着色微粒子及び前記多孔質樹脂層を加熱処理及び/又は加圧処理し、前記着色微粒子を融着させるのが好ましい態様である。
【0110】
尚、本発明のインクジェット記録方法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0111】
−被記録材−
本発明のインクを用いたインクジェット記録方法に使用される被記録材としては、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。被記録材として多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙を用いると、画質が向上するので好ましい。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報、特開2001−279141号の段落番号(0228)から(0246)に記載されているものを用いることができる。
【0112】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0113】
(実施例1)
−製造例1(着色微粒子分散物(B−1)の調製)−
テトラヒドロフラン 4部、tert−ブタノール 6部、分散性ポリマー(PA−5) 1.5部、及び油溶性染料(下記M−1) 0.5部の混合溶液に、2mol/Lの水酸化ナトリウムを分散性ポリマーの酸が中和される量だけ徐々に加えた後、70℃まで昇温させた。その後、攪拌しながら、水30部を徐々に添加し転相乳化した。この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で32nmであった(マイクロトラックUPA150;日機装(株)社製で測定)。以下、これを着色微粒子分散物(B−1)と略記する。
【0114】
【化18】
【0115】
−製造例2(着色微粒子分散物(B−2)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、分散性ポリマー(PA−1) 1.4部、油溶性染料(前記M−1) 0.6部の混合溶液を調製した。一方、水15部、及び石油スルホネート(Witoco社、ペトロネートHL) 0.2部、エマール20C(花王(株)) 0.4部の混合液を調製した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で72nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−2)と略記する。
【0116】
−製造例3(着色微粒子分散物(B−3)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、分散性ポリマー(PA−10)0.8部、油溶性染料(前記M−1) 0.6部、疎水性高沸点有機溶媒(下記S−1) 0.14部、(下記S−2) 0.26部の混合溶液を調製した。一方、水15部、及びジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム 0.3部の混合液を調整した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、不揮発分14.0%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で80nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−3)と略記する。
【0117】
【化19】
【0118】
−製造例4(着色微粒子分散物(B−4)の調製)−
油溶性染料(前記M−2)6.4部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.0部、分散性ポリマー(PA−5)7.8部を疎水性高沸点有機溶媒(S−1)5.0部、及び酢酸エチル50部中に70℃にて溶解させた。この液に400部の脱イオン水をマグネチックスターラーで攪拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒子分散物を作製した。次に、この粗粒子分散物をマイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更に、出来上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて160部に濃縮した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で45nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−4)と略記する。
【0119】
−製造例5〜11−
製造例1と同様の方法で製造例5の着色微粒子分散物を、製造例2と同様の方法で製造例6及び製造例8〜11の着色微粒子分散物を、製造例3と同様の方法で製造例7の着色微粒子分散物を製造した。用いた分散性ポリマー及び油溶性染料を表1に示す。「分散」は凝集が殆どなく、かつ、粒径(体積平均径)が300nm以下のものを良好とした。
【0120】
【表1】
【0121】
表1の結果から明らかなように、実施例1においては、凝集が無く、粒径の小さな着色微粒子分散物が製造することができた。
【0122】
[実施例2]
<インク01の調製>
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク01を調製した。
・着色微粒子分散物(B−1) 50部
・ジエチレングリコール 5部
・グリセリン 18部
・ジエタノールアミン 1部
・オルフィンE1010 0.9g
・水 全体で100部になる量
【0123】
<インク02の調製>
前記インク01の調製において、前記着色微粒子分散物(B−1)を、前記実施例1の製造例2で調製した着色微粒子分散物(B−2)に代えたこと以外は、前記インク01の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク02を調製した。
【0124】
<インク03の調製>
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク03を調製した。
【0125】
<インク04〜11の調製>
前記インク01の調製において、前記着色微粒子分散物(B−1)を、前記実施例1の製造例4〜11で調製した着色微粒子分散物(B−4)〜(B−11)に各々代えたこと以外は、前記インク01の調製と同様にして水性のインクジェット記録用インク04〜11を各々調製した。
【0126】
<インク20の調製>
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク20を調製した。
・下記水溶性染料DD−1 4部
・ジエチレングリコール 8部
・トリエチレングルコールモノブチルエーテル 7部
・グリセリン 10部
・ジエタノールアミン 1部
・オルフィンE1010 0.2g
・水 全体で100部になる量
【0127】
【化20】
【0128】
−画像記録及び評価−
調製したインク01〜11及び20を、インクジェットプリンターMC−2000(EPSON(株)製)のカートリッジに充填し、同機を用いて、PPC用普通紙とインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録し、以下の評価を行った。評価結果を下記表2に示した。
【0129】
<印刷性能評価>
カートリッジをプリンタにセットし、全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4用紙10枚に画像を出力し、印字の乱れを以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れが無かった。
B:印刷開始から終了までに時々印字の乱れが発生した。
C:印刷開始から終了まで印字の乱れがあった。
【0130】
<紙依存性評価>
前記フォト光沢紙に形成した画像とPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が殆どない場合をA、両画像間の差が小さい場合をB、両画像間の差が大きい場合をCとして、三段階で評価した。
【0131】
<耐水性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みがないものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
【0132】
<耐擦過性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、画像印字後、30分間経時した画像について、消しゴムで10往復擦り、変化を観察した。濃度の低下がまったくないものをA、濃度の低下が僅かに生じたものをB、濃度の低下が多いものをCとして、三段階で評価した。
【0133】
<耐光性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を4日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。いずれの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1または2点が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0134】
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を3日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、89〜80%をB、79〜70%未満をC、69〜50%をD、49%未満をEとして五段階で評価した。
【0135】
【表2】
【0136】
表2の結果から明らかなように、インク11はTgが0℃よりも大きいために、耐擦過性が悪い。インク10はTgが0℃以下であるため、耐擦過性に優れるが、親水性ポリマーを含まないため、印刷性能が悪い。実施例のインクジェット記録用インクは、印刷性能に優れ、紙依存性がなく、耐水性、高度の耐擦過性、耐光性、暗熱堅牢性、オゾン耐性に優れていた。
【0137】
[実施例3]
以下のように4色のインクセットを作製してフルカラー画像を記録し、前記実施例2と同様にして評価を行った。
【0138】
<シアンインク>
実施例2のインク08を使用した。
<イエローインク>
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、分散性ポリマー(PA−1) 1.4部、油溶性染料(Y−120) 0.6部の混合溶液を調製した。一方、水15部、及び石油スルホネート(Witoco社、ペトロネートHL) 0.2、エマール20C(花王(株)) 0.4部の混合液を調製した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。
得られた着色微粒子分散物を用いて、実施例2のインク01の調製と同様の方法でイエローインクを調製した。(インクNo.20とする)
<シアンインク>
実施例2のインク02を使用した。
<ブラックインク>
前記イエローインクの調製において、油溶性染料(Y−120) 0.6部を、油溶性染料(C−144) 0.39、着色剤Y−120 0.27部、着色剤M−1 0.24部、に代えた他は前記イエローインクの調製と同様にしてブラックインクを作成した。
【0139】
(画像記録及び評価)
作製したインクセットを、実施例2と同様にして評価を行った。乾燥性評価、細線の滲み評価、擦過性評価については以下の方法で評価した。
【0140】
<乾燥性評価>
画像を印字した直後に、画像部を指で触れて、生じた汚れを目視にて評価した。
<細線の滲み評価>
イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの細線パターンを印字し、目視にて評価した。
【0141】
実施例のインクは、印刷性能に優れ、紙依存性がなく、耐水性、高度の耐擦過性、耐光性、暗熱堅牢性、オゾン耐性に優れ、細線の滲みがなく優れていた。
【0142】
[実施例4]
実施例3のイエローインクの調製において油溶性染料(Y−120)を表3、表4に示すように代えたこと以外は、前記イエローインクの作成と同様にしてインク30〜36のインクジェット記録用インクを各々調製した。安定性以外の印刷性能、紙依存性、耐水性、耐擦過性、耐光性、暗熱堅牢性、オゾン耐性は何れのインクもAであった。
【0143】
<安定性>
インクを25℃で7日間保存した後に、インクの状態と0.45μmフィルターろ過性によって評価した。
インクの変化が無くフィルターろ過性が良好な場合をA(良好)、濁りや沈殿がないがろ過性が少し悪いものをB(許容)、濁りや沈殿が生じている場合をC(不良)として、三段階で評価した。
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】
表3、4の結果から明らかなようにインクの安定性には溶解性パラメータSP値(J0.5/cm1.5)と分子体積V値(cm3/mol)が関係している。表3に示すV値が好ましい範囲810〜270の油溶性染料の場合、SP値が21より小さいインク30やSP値が26より大きいインク33は安定性が劣る傾向にあり、表4に示すSP値が好ましい範囲26〜21の油溶性染料の場合、V値が270より小さいインク34やV値が810より大きいインク36は安定性が劣る傾向にある。油溶性染料の溶解性パラメーターSP値が26〜21であり、かつ、分子体積V値が810〜270の場合特にインク安定性に優れることが判る。
【0147】
【発明の効果】
本発明によれば、取扱性、低臭気性、安全性を備え、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れる着色微粒子分散物を提供することができる。
また、本発明によれば、サーマル、圧電、電界または音響インクジェット方式に好適であり、取扱性、低臭気性、安全性を備え、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、ノズル先端での目詰まりの発生が少なく、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録用インクを提供することができる。
さらに本発明によれば、取扱性、低臭気性、安全性を備え、ノズル先端での目詰まりによる吐出不良を解消し、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、油溶性染料を含有する水系の着色微粒子分散物、該着色微粒子分散物を含有してなるインク、及び該インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭でも、紙、フィルム、布等の印字等に広く利用されている。インクジェット記録用インクとしては、油性インク、水性インク、固体状インクが知られているが、これらの中でも、製造容易性、取扱性、臭気性、安全性等の点で水性インクが有利であり、水性インクが主流となっている。
【0003】
しかし、前記水性インクの多くは、分子状態で溶解する水溶性染料を用いているため、透明性及び色濃度が高いという利点があるものの、染料が水溶性であるため耐水性が悪く、いわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリード)を生じて著しく印字品質が低下する、耐光性が悪く、更に、表面に多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙(以下、「写真画質用紙」ということがある)においては、酸化性ガス(SOx、NOx、オゾン等)の影響により画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
【0004】
そこで、前記問題を解決する目的で顔料や分散染料を用いた水性インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、これらの水性インクの場合、耐水性はある程度向上するものの十分とはいい難く、前記水性インク中の顔料や分散染料の分散物の保存安定性に欠け、インク吐出口での目詰まりを起こし易い等の問題がある。更に、写真画質用紙においては、前記顔料や染料を用いたインクは染み込性に乏しく、手で擦ると表面から前記顔料や染料が剥離し易いという問題もある。
【0005】
一方、ポリマーに油溶性染料を内包させる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)が、色調が不十分であり、色再現性が十分でなく、特に酸化性ガスなどによる画像耐久性も十分でなく、さらに、写真画質用紙に印字した場合、耐擦過性が十分でない。ポリマーに塩形成基とポリアルキレンオキサイド基を導入する事で、着色性、耐擦過性に優れるインクが提案されている(例えば、特許文献4参照)が、指による耐擦過性は良いものの、消しゴム擦りのような高レベルの耐擦過性は不十分である。また、高沸点有機溶媒と染料を用いる事で、色調や耐擦過性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)が、高レベルの画像耐久性が要求される場合は不十分である。
【0006】
以上の通り、取扱性、低臭気性、安全性を具備すると共に、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、従って、インクに適用した場合に、ノズル先端での目詰まりがなく吐出安定性に優れ、紙依存性がなく発色性、色調(色相)に優れ、前記写真画質用紙を用いた場合でもインク浸透性に優れ、印字後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度で高画質の記録を可能とする着色微粒子分散物は未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭56−157468号公報(全頁)
【特許文献2】
特開昭58−45272号公報(全頁)
【特許文献3】
特開昭62−241901号公報(全頁)
【特許文献4】
特開2001−123097号公報(全頁)
【特許文献5】
特開2001−262018号公報(全頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、取扱性、低臭気性、安全性を備え、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れる着色微粒子分散物を提供することを目的とする。
本発明は、サーマル、圧電、電界または音響インクジェット方式に好適であり、取扱性、低臭気性、安全性を備え、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、ノズル先端での目詰まりの発生が少なく、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
本発明は、取扱性、低臭気性、安全性を備え、ノズル先端での目詰まりによる吐出不良を解消し、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 親水性ポリマー部位及びTgが0℃以下である疎水性ポリマー部位を併せ持つ分散性ポリマーと、油溶性染料とを含む着色微粒子が水性媒体に分散されたことを特徴とする着色微粒子分散物である。
<2> 前記分散性ポリマー中の疎水性ポリマー部位が60から90質量%であり、かつ親水性ポリマー部位が10から40質量%であることを特徴とする前記<1>に記載の着色微粒子分散物である。
<3> 前記親水性ポリマー部位が、アニオン性ポリマーあるいは非イオン性ポリマーであることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の着色微粒子分散物である。
<4> 前記油溶性染料の酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の着色微粒子分散物である。
<5> 前記油溶性染料のSP値が26〜21であり、かつV値が810〜270であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の着色微粒子分散物である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の着色微粒子分散物を含有してなることを特徴とするインクである。
<7> 前記<6>に記載のインクを用いて被記録材に画像記録を行う工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<8> 前記被記録材として、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙を用いることを特徴とする前記<7>に記載のインクジェット記録方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の着色微粒子分散物、インク、及びインクジェット記録方法について説明する。
【0011】
(着色微粒子分散物)
本発明の着色微粒子分散物は、分散性ポリマーと油溶性染料とを少なくとも含む着色微粒子を水性媒体に分散してなり、前記着色微粒子分散物は、沸点150℃以上の疎水性高沸点有機溶媒が含まれていてもよい。
更に詳しく述べると、前記着色微粒子分散物とは、分散性ポリマーと油溶性染料と、必要に応じて疎水性高沸点有機溶媒やその他の着色剤が、水性媒体中に微粒子状の油滴として分散された、いわゆる乳化分散物状態になっているものである。
なお、本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて添加剤などを添加したものを意味する。
【0012】
−分散性ポリマー−
前記分散性ポリマーについて詳細に説明する。前記分散性ポリマーは少なくとも疎水性ポリマー部位と親水性ポリマー部位を含有する。分散性ポリマー中の疎水性ポリマー部位と親水性ポリマー部位の配置は任意であるが、親水性ポリマー部位がポリマーの末端や側鎖に位置する、例えば、側鎖が親水性ポリマー部位であるグラフトコポリマー、末端に親水性ポリマー部位を有するブロックコポリマーが好ましい。前記分散性ポリマーはビニルポリマー、縮合系ポリマー(ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート)等従来公知の重合形式でもよいが、ポリマーの構造制御がし易い点から、ビニルポリマーが好ましい。
【0013】
前記疎水性ポリマー部位は、疎水性部位からなるポリマーを形成した場合、水に不溶かつ分散もしない性質をもつポリマー部位であり、さらに、耐擦過性を持たせるために、ガラス転移温度(Tg)は0℃以下である。Tgは−15℃以下が好ましく、−30℃以下が更に好ましく、−40℃以下が特に好ましい。
Tgが0℃を超えると耐擦過性が困難な前記写真画質用紙を用いて記録した場合に耐擦過性が十分でないため好ましくない。
【0014】
疎水性ポリマー部位を構成するモノマーの例を以下に挙げる。即ち、
アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換または無置換の脂肪族基,置換または無置換の芳香族基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−クロロエチル基、4−ブロモブチル基、シアノエチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ブトキシメチル基、3−メトキシブチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル基、2,2,2−テトラフルオロエチル基、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル基、4−ブチルフェニル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基など);
【0015】
アクリルアミド類、メタクリルアミド類、具体的には、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(置換基は置換または無置換の脂肪族基,置換または無置換の芳香族基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アルコキシメチル基、アルコキシエチル基、4−ブチルフェニル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基など);
【0016】
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなど;スチレン類、具体的には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;
【0017】
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど;その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
【0018】
中でも、エステル基が無置換の脂肪族基、アルキル置換芳香族基、芳香族基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類、置換基が無置換の脂肪族基、アルキル置換フェニル基、フェニル基であるN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミドが好ましく、エステル基が炭素数1から20の脂肪族基、炭素数7から30のアルキル置換芳香族基、芳香族基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が更に好ましく、エステル基が炭素数1から20の脂肪族基、炭素数7から30のアルキル置換フェニル基、フェニル基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が更に好ましく、エステル基が炭素数2から20の脂肪族基であるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が更に好ましく、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが更に好ましく、ヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレートが特に好ましい。
【0019】
前記疎水性ポリマー部位は、Tgが0℃以下になるのであれば、構成原料を1種用いてもよいし、種々の目的(例えば、溶解性、油溶性染料との相溶性、分散物の安定性などの調整)のために、2種以上を用いてもよい。
【0020】
前記親水性ポリマー部位は、親水性ポリマー部位からなるポリマーを形成した場合、水に溶解する性質をもつポリマー部位である。前記親水性ポリマー部位は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、あるいはこれらの混合型のいずれであってもよいが、アニオン性や非イオン性あるいはこれらの混合型が好ましく、アニオン性あるいは非イオン性が、インクで一般的な中性から塩基性の条件で高い安定性を保つ点において特に好ましい。
カチオン性のポリマー部位としては、三級アミノ基、ピリジン基などのカチオン性の解離基を有するポリマー、アニオン性のポリマー部位としては、カルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離基を含有するポリマー、非イオン性のポリマー部位としては、エチレンオキシ基、アルコール基、ピロリドン基などの非イオン性分散性基を含有するポリマーが挙げられる。
【0021】
親水性ポリマーを構成するモノマーあるいはポリマー構造単位の例として、カルボキシル基やスルホ基などの酸を有するモノマー(アクリル酸やメタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−カルボキシエチルアクリレートなど)、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(親水性の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基など)、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド部位、ポリビニルアルコール部位、糖やグリセリンなどの多価アルコール部位などが挙げられる。
【0022】
中でも、アクリル酸やメタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシ基を有するアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(ヒドロキシ基を有するエステル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基など)、アクリルアミド、窒素上の置換基の炭素数の合計が1から4のN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド、ポリエチレンオキシド部位、ポリビニルアルコール部位、糖やグリセリンなどの多価アルコール部位が好ましく、アクリル酸やメタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレートがより好ましく、アクリル酸やメタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレンオキシド部位、ポリビニルアルコール部位が更に好ましい。
【0023】
また、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレンオキシド部位が特に好ましい。
【0024】
前記親水性ポリマー部位は、親水性部位として機能するのであれば、構成原料を1種用いてもよいし、種々の目的(各々の水系媒体中での分散物の安定性、分散物製造のためのポリマーの溶解性などの調整)のために、2種以上を用いてもよい。
【0025】
前記分散性ポリマー中の前記疎水性ポリマー部位と前記親水性ポリマー部位の含量はそれぞれの性質(例えば、前記親水性ポリマー部位の水溶性の違い、前記疎水性ポリマー部位の疎水性の違い)により、任意に使用することができるが、油溶性染料が前記疎水性ポリマー部位に溶解する必要があることから、前記疎水性ポリマー部位が60から90質量%、前記親水性ポリマー部位が10から40質量%が好ましく、前記疎水性ポリマー部位が60から85質量%、前記親水性ポリマー部位が15から40質量%がより好ましく、前記疎水性ポリマー部位が60から80質量%、前記親水性ポリマー部位が20から40質量%が特に好ましい。
【0026】
前記親水性ポリマー部位が前記アニオン性の解離性基を有する場合、前記解離性基の含量としては、0.1〜3.0mmol/gが好ましく、0.2〜2.0mmol/gがより好ましい。なお、前記解離性基の含量が、少ない場合にはポリマーの自己乳化性が小さく、多い場合には水溶性が高くなり、染料の分散に適さなくなる傾向がある。
【0027】
なお、前記解離基として、前記アニオン性の解離基としては、更に、アルカリ金属(例えばNa、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩などであってもよく、前記カチオン性の解離基としては、更に、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸)や無機酸(塩酸、硫酸など)の塩であってもよい。
【0028】
前記分散性ポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、通常1000から200000であり、2000〜50000が好ましい。分子量が1000未満であると、安定な着色微粒子分散物を得るのが難しくなる傾向にあり、200000より大きい場合、有機溶媒への溶解性が悪くなったり、有機溶媒溶液の粘度が増加して分散し難くなったりする傾向がある。
【0029】
前記分散性ポリマーの具体例を以下に列挙する。括弧内の比は質量比を意味する。なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0030】
PA−1) ブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(60:40)
PA−2) ヘキシルメタクリレート/2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート共重合体(85:15)
PA−3) イソブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約45)のメタクリル酸エステル共重合体(70:30)
PA−4) s−ブチルアクリレート/2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体(82:18)
PA−5) ヘキシルメタクリレート/2−カルボキシエチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(70:10:20)
PA−6) ブチルアクリレート/ポリ(2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート)部位を有するマクロモノマー 共重合体(80:20)
PA−7) ブチルアクリレート/イソブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約9)のメタクリル酸エステル共重合体(50:20:30)
PA−8)ブチルアクリレート/ポリ(ビニルアルコール)部位を有するマクロモノマー 共重合体(80:20)
PA−9)ブチルアクリレート/アクリル酸を構成単位に含むマクロモノマー 共重合体(80:20)
PA−10)ブチルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約9)のメタクリル酸エステル共重合体(70:20:10)
PA−11)ブチルアクリレート/1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキシルアクリレート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(70:10:20)
PA−12)ブチルアクリレート/ポリ(ジメチルシロキサン)部位を有するマクロモノマー/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数約23)のメタクリル酸エステル共重合体(75:5:20)
【0031】
−油溶性染料−
本発明の着色微粒子分散物において使用する油溶性染料とは、水に実質的に不溶な色素を意味する。より具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる色素の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを意味する。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の油溶性色素を意味する。
【0032】
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
本発明の着色微粒子分散物においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色材が含有されていてもよい。
【0033】
油溶性染料は従来公知の化合物(染料)が使用できる。具体的には、特開2002−114930号の段落[0023]から[0053]に記載されている染料などが挙げられる。
【0034】
また、前記油溶性染料は、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が高いことが望ましい。油溶性染料の酸化電位は1.0V(vs SCE)よりも高い(貴である)ことが望ましい。また、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも高いものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より高いものが更に好ましく、1.3V(vs SCE)より高いものが特に好ましい。
酸化電位に関しては、特開2002−309118号の段落[0049]から[0051]に記載されている。
【0035】
イエロー染料の好ましい構造としては、下記一般式(Y−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。尚、下記一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、グリーンインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
【0036】
【化1】
【0037】
上記一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0038】
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0039】
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0040】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0041】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、下記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
前記一般式(Y−II)において、R1及びR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R4は複素環基を表す。
【0046】
前記一般式(Y−III)において、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(R11)=を表し、前記R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R6は複素環基を表す。
【0047】
一般式(Y−IV)において、R7及びR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。R10は複素環基を表す。
【0048】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるR1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表す置換基について以下に詳述する。
【0049】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
【0050】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0051】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0052】
R1、R2、R3、R5、R7、及びR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
【0053】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0054】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0055】
R2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0056】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。
R1、R3、R5、及びR8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0057】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
【0058】
R8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0059】
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0060】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、 前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0061】
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0062】
R2、R7、R8、及びR9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
R8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0063】
R8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0064】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0065】
R4、R6、R10で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0066】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(R11)=を表す。R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0067】
【化5】
【0068】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0069】
以下に、前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−160)を示すが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成することができる。
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
【化10】
【0075】
【化11】
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】
【化14】
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】
【化17】
【0082】
マゼンタ染料の好ましい構造としては、特開2002−114930号の一般式(3)、(4)であり、具体例として特開2002−114930号の段落[0054]〜[0073]の化合物が挙げられる。
特に好ましい構造としては、特開2002−121414号の段落番号[0084]から[0122]に記載されているの一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号の段落番号[0123]から[0132]の化合物が挙げられる。尚、前記一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
【0083】
シアン染料の好ましい構造としては、特開2001−181547号の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料であり、具体例として特開2001−181547号の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号の段落番号[0079]から[0081]の化合物が挙げられる。
特に好ましい構造としては、特開2002−121414号の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。具体例として特開2002−121414号の段落番号[0198]から[0201]の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
【0084】
前記油溶性染料が着色微粒子内で溶解した状態で存在するのは必須であるが、経時での結晶析出がないことも重要である。すなわち、分散性ポリマー(特にはその疎水性部位)との相溶性が高いことが重要である。
一般に分散性ポリマーの溶解性パラメーター(以下、SP値という)と油溶性染料のSP値が近い方がよいと言われているが、溶解する分子(本発明では油溶性染料)と溶媒(本発明では分散性ポリマー)の構造に依存する部分があるため、SP値のみで解釈できない場合がある。本発明における油溶性染料の場合、分子体積V値とSP値の2つの物性値を用いることで、溶解性と経時保存安定性に優れることを見出した。
油溶性染料のSP値は26〜21が好ましく、25〜21がより好ましく、24〜21が更に好ましく、24〜22が特に好ましい。油溶性染料のV値は810〜270が好ましく、800〜300がより好ましく、750〜350が更に好ましく、700〜380が特に好ましい。
【0085】
ここでV値(cm3/mol)、SP値(J0.5/cm1.5)は、Fedorsの方法により計算した値である。これらの算出方法はPolym.Eng.Sci.の14巻(1974年)147頁に記載されている。
【0086】
前記油溶性染料のインク中の含有量は、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。
【0087】
−着色微粒子分散物の製造−
本発明の着色微粒子分散物は、前記分散性ポリマーと前記油溶性染料とを水性媒体(少なくとも水を含有する液)中に着色微粒子の形で分散させることにより製造することができる。具体的には、例えば、予め前記分散性ポリマーのラテックスを調製しこれに前記油溶性染料を含浸させる方法、あるいは共乳化分散法などが挙げられる。
これらの中でも、前記共乳化分散法が好ましい。前記共乳化分散法としては、前記分散性ポリマーと前記油溶性染料とを含有する有機溶媒に水を添加すること、及び、水中に該有機溶媒を添加すること、のいずれかにより、該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法が好適に挙げられる。
【0088】
なお、前記ラテックスとは、水性媒体に不溶な前記分散性ポリマーが微細な粒子として水性媒体中に分散したものを意味する。前記分散の状態としては、前記分散性ポリマーが前記水性媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいは前記分散性ポリマーが分子中に部分的に親水的な構造をもち分子鎖自身が分子状分散したもの、などのいずれであってもよい。
【0089】
ここで、予め前記ポリマーラテックスを作製し、これに前記油溶性染料を含浸する方法について説明する。
この方法の第一の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製する第二の工程と、前記着色剤含有液と前記ポリマーラテックスを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第二の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製し、この着色剤含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第二の工程と、前記ポリマーラテックスと前記着色剤微粒子分散液とを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第三の例としては、特開昭55−139471号公報に記載の方法が挙げられる。
【0090】
ここで、前記共乳化分散法について説明する。
この方法の第一の例は、有機溶剤に前記油溶性染料と前記分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー着色剤混合液を調製する第一の工程と、前記ポリマー着色剤混合液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第二の工程とを含む。
この方法の第二の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記着色剤含有液と前記ポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第三の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製し、この着色剤含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合してポリマー微粒子分散液を作製する第二の工程と、前記着色剤微粒子分散液と前記ポリマー微粒子分散液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第四の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した着色剤含有液を調製し、この着色剤含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記着色剤微粒子分散液と前記ポリマー溶液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第五の例は、前記油溶性染料と分散性ポリマーに対し、少なくとも水を含む液とを混合して、直接、着色微粒子分散物を調製する工程である。
【0091】
前記着色微粒子分散物において、前記分散性ポリマーの使用量としては、前記油溶性染料100質量部に対し、10〜1000質量部が好ましく、50〜600質量部がより好ましい。分散性ポリマーの使用割合が10質量部未満であると、微細で安定な分散が難しくなることがあり、1000質量部を超えると、着色微粒子分散液中の油溶性染料の割合が少なくなり、着色微粒子分散液を水系インクとして使用した場合に配合設計上の余裕が無くなることがある。
【0092】
前記着色微粒子の着色微粒子分散物における含有量としては、1〜45質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。前記含有量は、希釈、蒸発、限外濾過等により適宜調整することができる。
【0093】
前記着色微粒子の体積平均粒径としては、1〜500nmが好ましく、3〜300nmがより好ましく、3〜200nmが特に好ましい。粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。前記粒径、前記粒径分布は、遠心分離、濾過等の手段により、調整することもできる。
【0094】
−有機溶剤−
前記着色微粒子分散物を製造する際に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、前記油溶性染料や前記分散性ポリマーの溶解性に基づいて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
有機溶剤は単独で用いてもよいし2種以上を併用しても良い。また前記染料やポリマーの溶解性によっては、水との混合溶媒であってもよい。
【0095】
前記有機溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記分散性ポリマー100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。
前記有機溶剤の使用量が、10質量部未満であると、着色微粒子の微細で安定な分散が難しくなることがあり、2000質量部を超えると、前記有機溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、かつ配合設計上の余裕がなくなることがある。
【0096】
前記有機溶剤は、有機溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、着色微粒子分散物の安定性及び安全衛生上の観点から有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する方法は溶剤の種類に応じて各種の公知の方法を用いることが出来る。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この有機溶剤の除去工程は乳化直後、出来るだけ速やかに行うのが好ましい。
【0097】
−添加剤−
本発明の着色微粒子分散物は、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、例えば、中和剤、疎水性高沸点有機溶媒、分散剤、分散安定剤などが挙げられる。
【0098】
前記中和剤は、前記分散性ポリマーが未中和の解離性基を有する場合に、着色微粒子分散物のpH調節、自己乳化性調節、分散安定性付与等の点で好適に使用することができる。
前記中和剤としては、有機塩基、無機アルカリなどが挙げられる。
【0099】
前記有機塩基としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニアなどが挙げられる。
前記中和剤は、着色微粒子分散物における分散安定性を向上させる観点からは、pH4.5〜10.0となるよう添加するのが好ましく、pH6.0〜10.0となるよう添加するのがより好ましい。
【0100】
前記疎水性高沸点有機溶媒は、着色微粒子分散物の粘度、比重、及び印字性能の調整などに用いられる。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、疎水性であり、沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。ここで「疎水性」とは、25℃における蒸留水に対する溶解度が3%以下であることをいう。また、前記疎水性高沸点有機溶媒の誘電率は3〜12であるのが好ましく、4〜10であるのがより好ましい。尚、ここで、誘電率とは25℃における真空に対する比誘電率をいう。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、米国特許第2,322,027号明細書、特願平2000−78531号明細書に記載等に記載の化合物を用いることができる。具体的には、リン酸トリエステル類、フタル酸ジエステル類、アルキルナフタレン類、安息香酸エステル類などが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用することができる。
前記高沸点溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記分散性ポリマー100質量部に対し、0〜1000質量部が好ましく、0〜300質量部がより好ましい。
【0101】
前記分散剤及び/または分散安定剤は前記ポリマーラテックス、前記着色剤含有液、前記ポリマー着色剤混合液、前記着色剤微粒子分散液、前記ポリマー溶液、少なくとも水を含む液等のいずれに添加してもよいが、前記ポリマーラテックス及び/または着色剤微粒子分散液を調製する前工程の、前記着色剤含有液、水を含む溶液に添加するのが好ましい。
前記分散剤、分散安定剤としては、カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、水溶性または水分散性の低分子化合物、オリゴマー等が挙げられる。前記分散剤、分散安定剤の添加量としては、前記油溶性染料と前記分散性ポリマーとの合計に対し、0〜100質量%であり、0〜20質量%が好ましい。
【0102】
−着色微粒子分散物の用途−
本発明の着色微粒子分散物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、以下の本発明のインクに特に好適に使用することができる。
【0103】
前記着色微粒子分散物を、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等のインクとして使用する場合、該インクの被記録材としては、特に制限はなく公知の材料が挙げられるが、例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。
【0104】
(インク)
本発明のインクは、前記本発明の着色微粒子分散物を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の添加剤を含有してなる。なお前記その他の添加剤としては、乾燥防止剤、浸透促進剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調節剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知添加剤が挙げられ、これらは特開2001−279141号の段落番号(0217)から(0226)までに記載のものを用いることができる。
本発明のインクは、特開2001−279141号の段落番号(0247)に記載のものを用いることができる。
【0105】
−その他の添加剤−
添加剤として、水溶性有機溶剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等を適宜選択して適量使用することができる。これらの添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
水溶性有機溶剤は乾燥防止剤や浸透促進剤の目的で使用される。水溶性有機溶剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン等に代表される多価アルコール類、アミルアルコール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等に代表される置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物が挙げられる。
これらのうち多価アルコール類と置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類が好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類とがより好ましい。また上記の前記水溶性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの水溶性有機溶剤はインク中に5〜60質量%含有することが好ましく、7〜50質量%含有することがさらに好ましく、10〜40質量%含有することが特に好ましい。
【0106】
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少なくいことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤(例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物など)、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤(例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(AirProducts&Chemicals社))など)が好ましく、中でも、分子量200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものが更に好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
【0107】
本発明のインクの表面張力は以上の表面張力調整剤を使用しても使用しなくても、20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。動的表面張力はこれらを使用してあるいは使用しないで20〜40mN/mが好ましい。さらに25〜35mN/mが好ましい。
本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましく、粘度を調整する目的で粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー等があげられる。
分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0108】
(インクジェット記録方法、被記録材)
本発明のインクジェット記録方法は、前記本発明のインクを用いて被記録材に画像記録を行うというものであり、被記録材上に、該インクを着弾することにより画像を形成した後、上記着色微粒子を加熱処理及び/又は加圧処理して、該着色微粒子を融着させることを特徴とする。
【0109】
前記被記録材としては、支持体上に、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙が好ましく、本発明のインクジェット記録方法としては、該被記録材上に、前記インクを着弾することにより画像を形成した後、前記着色微粒子及び前記多孔質樹脂層を加熱処理及び/又は加圧処理し、前記着色微粒子を融着させるのが好ましい態様である。
【0110】
尚、本発明のインクジェット記録方法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0111】
−被記録材−
本発明のインクを用いたインクジェット記録方法に使用される被記録材としては、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。被記録材として多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙を用いると、画質が向上するので好ましい。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報、特開2001−279141号の段落番号(0228)から(0246)に記載されているものを用いることができる。
【0112】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0113】
(実施例1)
−製造例1(着色微粒子分散物(B−1)の調製)−
テトラヒドロフラン 4部、tert−ブタノール 6部、分散性ポリマー(PA−5) 1.5部、及び油溶性染料(下記M−1) 0.5部の混合溶液に、2mol/Lの水酸化ナトリウムを分散性ポリマーの酸が中和される量だけ徐々に加えた後、70℃まで昇温させた。その後、攪拌しながら、水30部を徐々に添加し転相乳化した。この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で32nmであった(マイクロトラックUPA150;日機装(株)社製で測定)。以下、これを着色微粒子分散物(B−1)と略記する。
【0114】
【化18】
【0115】
−製造例2(着色微粒子分散物(B−2)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、分散性ポリマー(PA−1) 1.4部、油溶性染料(前記M−1) 0.6部の混合溶液を調製した。一方、水15部、及び石油スルホネート(Witoco社、ペトロネートHL) 0.2部、エマール20C(花王(株)) 0.4部の混合液を調製した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で72nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−2)と略記する。
【0116】
−製造例3(着色微粒子分散物(B−3)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、分散性ポリマー(PA−10)0.8部、油溶性染料(前記M−1) 0.6部、疎水性高沸点有機溶媒(下記S−1) 0.14部、(下記S−2) 0.26部の混合溶液を調製した。一方、水15部、及びジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム 0.3部の混合液を調整した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、不揮発分14.0%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で80nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−3)と略記する。
【0117】
【化19】
【0118】
−製造例4(着色微粒子分散物(B−4)の調製)−
油溶性染料(前記M−2)6.4部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.0部、分散性ポリマー(PA−5)7.8部を疎水性高沸点有機溶媒(S−1)5.0部、及び酢酸エチル50部中に70℃にて溶解させた。この液に400部の脱イオン水をマグネチックスターラーで攪拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒子分散物を作製した。次に、この粗粒子分散物をマイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更に、出来上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて160部に濃縮した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で45nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−4)と略記する。
【0119】
−製造例5〜11−
製造例1と同様の方法で製造例5の着色微粒子分散物を、製造例2と同様の方法で製造例6及び製造例8〜11の着色微粒子分散物を、製造例3と同様の方法で製造例7の着色微粒子分散物を製造した。用いた分散性ポリマー及び油溶性染料を表1に示す。「分散」は凝集が殆どなく、かつ、粒径(体積平均径)が300nm以下のものを良好とした。
【0120】
【表1】
【0121】
表1の結果から明らかなように、実施例1においては、凝集が無く、粒径の小さな着色微粒子分散物が製造することができた。
【0122】
[実施例2]
<インク01の調製>
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク01を調製した。
・着色微粒子分散物(B−1) 50部
・ジエチレングリコール 5部
・グリセリン 18部
・ジエタノールアミン 1部
・オルフィンE1010 0.9g
・水 全体で100部になる量
【0123】
<インク02の調製>
前記インク01の調製において、前記着色微粒子分散物(B−1)を、前記実施例1の製造例2で調製した着色微粒子分散物(B−2)に代えたこと以外は、前記インク01の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク02を調製した。
【0124】
<インク03の調製>
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク03を調製した。
【0125】
<インク04〜11の調製>
前記インク01の調製において、前記着色微粒子分散物(B−1)を、前記実施例1の製造例4〜11で調製した着色微粒子分散物(B−4)〜(B−11)に各々代えたこと以外は、前記インク01の調製と同様にして水性のインクジェット記録用インク04〜11を各々調製した。
【0126】
<インク20の調製>
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク20を調製した。
・下記水溶性染料DD−1 4部
・ジエチレングリコール 8部
・トリエチレングルコールモノブチルエーテル 7部
・グリセリン 10部
・ジエタノールアミン 1部
・オルフィンE1010 0.2g
・水 全体で100部になる量
【0127】
【化20】
【0128】
−画像記録及び評価−
調製したインク01〜11及び20を、インクジェットプリンターMC−2000(EPSON(株)製)のカートリッジに充填し、同機を用いて、PPC用普通紙とインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録し、以下の評価を行った。評価結果を下記表2に示した。
【0129】
<印刷性能評価>
カートリッジをプリンタにセットし、全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4用紙10枚に画像を出力し、印字の乱れを以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れが無かった。
B:印刷開始から終了までに時々印字の乱れが発生した。
C:印刷開始から終了まで印字の乱れがあった。
【0130】
<紙依存性評価>
前記フォト光沢紙に形成した画像とPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が殆どない場合をA、両画像間の差が小さい場合をB、両画像間の差が大きい場合をCとして、三段階で評価した。
【0131】
<耐水性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みがないものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
【0132】
<耐擦過性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、画像印字後、30分間経時した画像について、消しゴムで10往復擦り、変化を観察した。濃度の低下がまったくないものをA、濃度の低下が僅かに生じたものをB、濃度の低下が多いものをCとして、三段階で評価した。
【0133】
<耐光性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を4日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。いずれの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1または2点が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0134】
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を3日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、89〜80%をB、79〜70%未満をC、69〜50%をD、49%未満をEとして五段階で評価した。
【0135】
【表2】
【0136】
表2の結果から明らかなように、インク11はTgが0℃よりも大きいために、耐擦過性が悪い。インク10はTgが0℃以下であるため、耐擦過性に優れるが、親水性ポリマーを含まないため、印刷性能が悪い。実施例のインクジェット記録用インクは、印刷性能に優れ、紙依存性がなく、耐水性、高度の耐擦過性、耐光性、暗熱堅牢性、オゾン耐性に優れていた。
【0137】
[実施例3]
以下のように4色のインクセットを作製してフルカラー画像を記録し、前記実施例2と同様にして評価を行った。
【0138】
<シアンインク>
実施例2のインク08を使用した。
<イエローインク>
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、分散性ポリマー(PA−1) 1.4部、油溶性染料(Y−120) 0.6部の混合溶液を調製した。一方、水15部、及び石油スルホネート(Witoco社、ペトロネートHL) 0.2、エマール20C(花王(株)) 0.4部の混合液を調製した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。
得られた着色微粒子分散物を用いて、実施例2のインク01の調製と同様の方法でイエローインクを調製した。(インクNo.20とする)
<シアンインク>
実施例2のインク02を使用した。
<ブラックインク>
前記イエローインクの調製において、油溶性染料(Y−120) 0.6部を、油溶性染料(C−144) 0.39、着色剤Y−120 0.27部、着色剤M−1 0.24部、に代えた他は前記イエローインクの調製と同様にしてブラックインクを作成した。
【0139】
(画像記録及び評価)
作製したインクセットを、実施例2と同様にして評価を行った。乾燥性評価、細線の滲み評価、擦過性評価については以下の方法で評価した。
【0140】
<乾燥性評価>
画像を印字した直後に、画像部を指で触れて、生じた汚れを目視にて評価した。
<細線の滲み評価>
イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの細線パターンを印字し、目視にて評価した。
【0141】
実施例のインクは、印刷性能に優れ、紙依存性がなく、耐水性、高度の耐擦過性、耐光性、暗熱堅牢性、オゾン耐性に優れ、細線の滲みがなく優れていた。
【0142】
[実施例4]
実施例3のイエローインクの調製において油溶性染料(Y−120)を表3、表4に示すように代えたこと以外は、前記イエローインクの作成と同様にしてインク30〜36のインクジェット記録用インクを各々調製した。安定性以外の印刷性能、紙依存性、耐水性、耐擦過性、耐光性、暗熱堅牢性、オゾン耐性は何れのインクもAであった。
【0143】
<安定性>
インクを25℃で7日間保存した後に、インクの状態と0.45μmフィルターろ過性によって評価した。
インクの変化が無くフィルターろ過性が良好な場合をA(良好)、濁りや沈殿がないがろ過性が少し悪いものをB(許容)、濁りや沈殿が生じている場合をC(不良)として、三段階で評価した。
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】
表3、4の結果から明らかなようにインクの安定性には溶解性パラメータSP値(J0.5/cm1.5)と分子体積V値(cm3/mol)が関係している。表3に示すV値が好ましい範囲810〜270の油溶性染料の場合、SP値が21より小さいインク30やSP値が26より大きいインク33は安定性が劣る傾向にあり、表4に示すSP値が好ましい範囲26〜21の油溶性染料の場合、V値が270より小さいインク34やV値が810より大きいインク36は安定性が劣る傾向にある。油溶性染料の溶解性パラメーターSP値が26〜21であり、かつ、分子体積V値が810〜270の場合特にインク安定性に優れることが判る。
【0147】
【発明の効果】
本発明によれば、取扱性、低臭気性、安全性を備え、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適であり、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れる着色微粒子分散物を提供することができる。
また、本発明によれば、サーマル、圧電、電界または音響インクジェット方式に好適であり、取扱性、低臭気性、安全性を備え、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、ノズル先端での目詰まりの発生が少なく、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録用インクを提供することができる。
さらに本発明によれば、取扱性、低臭気性、安全性を備え、ノズル先端での目詰まりによる吐出不良を解消し、紙依存性がなく、任意に選択した紙に印字した際の発色性・色調に優れ、写真画質用紙へのインク浸透性にも優れ、記録後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度かつ高画質に記録しうるインクジェット記録方法を提供することができる。
Claims (8)
- 親水性ポリマー部位及びTgが0℃以下である疎水性ポリマー部位を併せ持つ分散性ポリマーと、油溶性染料とを含む着色微粒子が水性媒体に分散されたことを特徴とする着色微粒子分散物。
- 前記分散性ポリマー中の疎水性ポリマー部位が60から90質量%であり、かつ親水性ポリマー部位が10から40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の着色微粒子分散物。
- 前記親水性ポリマー部位が、アニオン性ポリマーあるいは非イオン性ポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の着色微粒子分散物。
- 前記油溶性染料の酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の着色微粒子分散物。
- 前記油溶性染料のSP値が26〜21であり、かつV値が810〜270であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の着色微粒子分散物。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の着色微粒子分散物を含有してなることを特徴とするインク。
- 請求項6に記載のインクを用いて被記録材に画像記録を行う工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記被記録材として、多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙を用いることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
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