JP2004051890A - インク組成物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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- C09D11/00—Inks
- C09D11/30—Inkjet printing inks
- C09D11/32—Inkjet printing inks characterised by colouring agents
Abstract
【課題】吐出性に優れるインク組成物を提供する。
【解決手段】油溶性染料を含む着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物であって、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mである水性インク組成物、界面活性剤の含有量が0.5−5質量%である水性インク組成物、さらに該水性インク組成物を用いて記録を行うインクジェット記録方法を提供する。本発明は分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、吐出安定性に優れる。
【選択図】なし
【解決手段】油溶性染料を含む着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物であって、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mである水性インク組成物、界面活性剤の含有量が0.5−5質量%である水性インク組成物、さらに該水性インク組成物を用いて記録を行うインクジェット記録方法を提供する。本発明は分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、吐出安定性に優れる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物と、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法に関し、さらに詳しくは、吐出性に優れたインク組成物と、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭でも、紙、フィルム、布等の印字等に広く利用されている。インクジェット記録用インクとしては、油性インク、水性インク、固体状インクが知られているが、これらの中でも、製造容易性、取扱性、臭気性、安全性等の点で水性インクが有利であり、水性インクが主流となっている。
【0003】
しかし、前記水性インクの多くは、分子状態で溶解する水溶性染料を用いているため、透明性及び色濃度が高いという利点があるものの、染料が水溶性であるため耐水性が悪く、いわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリード)を生じて著しく印字品質が低下したり、耐光性が悪く、更に、表面に多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙(以下、「写真画質用紙」ということがある。)においては、酸化性ガス(SOx、NOx、オゾン等)の影響により画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
【0004】
そこで、前記問題を解決する目的で顔料や分散染料を用いた水性インクが、例えば、特開昭56−157468号、特開平4−18468号、同10−110126号、同10−195355号等の各公報において提案されている。
ところが、これらの水性インクの場合、耐水性はある程度向上するものの十分とはいい難く、前記水性インク中の顔料や分散染料の分散物の保存安定性に欠け、インク吐出口での目詰まりを起こし易い等の問題がある。更に、写真画質用紙においては、前記顔料や染料を用いたインクは染み込性に乏しく、手で擦ると表面から前記顔料や染料が剥離し易いという問題もある。
【0005】
一方、特開昭58−45272号、特開平6−340835号、同7−268254号、同7−268257号、同7−268260号の各公報には、ウレタンやポリエステル分散物粒子に染料を内包させる方法が提案されている。しかしながら、前記方法により得られたインクジェット用インクの場合、色調が不十分であり、色再現性が十分でなく、退色も十分でない。さらに、写真画質用紙に印字した場合、消しゴムなどによる耐擦過性が十分でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、取扱性、臭気、安全性を具備すると共に、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、従って、インクに適用した場合に、ノズル先端での目詰まりがなく吐出安定性に優れ、紙依存性がなく発色性、色調(色相)に優れ、前記写真画質用紙を用いた場合でもインク浸透性に優れ、印字後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度で高画質の記録を可能とする着色微粒子分散物たるインク組成物は未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状に鑑み、本発明者は、鋭意研究を行った結果、親水性有機溶媒及び界面活性剤を含み、かつ特定の動的表面張力を有する水性インク組成物が上記課題を解決し、特に、インク吐出性に優れることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次のものを提供するものである。
【0008】
<1> 油溶性染料を含む着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物であって、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mである水性インク組成物。
<2> 界面活性剤の含有量が、0.5〜5質量%である<1>記載の水性インク組成物。
<3><1>又は<2>記載の水性インク組成物を用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインク組成物及びインクジェット記録方法について説明する。
【0010】
インク組成物
本発明の水性インク組成物は、少なくとも油溶性染料を含む着色微粒子分散物、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mであるものである。
【0011】
該油溶性染料としては、後述する一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物、一般式(Y−I)で表される化合物、一般式(M−I)で表される化合物、及び一般式(C−I)で表される化合物からなる群より選択される化合物の少なくとも一種を含有するのが好ましい。
【0012】
前記着色微粒子は、油溶性染料そのものの微粒子か、又は少なくとも1種の油溶性染料と、少なくとも1種の油溶性ポリマーとを少なくとも含有する微細粒子であり、前記油溶性染料と前記油溶性ポリマーとは、互いに相溶する限りいかなる方法で調製してもよい。
【0013】
<油溶性染料>
ここでは、前記着色微粒子に含有される油溶性染料について説明する。
本発明の着色微粒子を構成する成分の一つである油溶性染料とは、水に実質的に不溶な色素を意味する。より具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる色素の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを意味する。
従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の油溶性色素を意味する。
【0014】
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
本発明のインク組成物においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色材が含有されていてもよい。
【0015】
本発明のインク組成物に使用可能な油溶性染料としては、例えば、アントラキノン系、ナフトキノン系、スチリル系、インドアニリン系、アゾ系、ニトロ系、クマリン系、メチン系、ポルフィリン系、アザポルフィリン系、フタロシアニン系色素等が挙げられる。なお、フルカラー印刷用のインクジェットインクとして完成させるためには、通常、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の三原色に黒を加えた少なくとも4色の色素が必要となる。
【0016】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料等があり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0017】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0018】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、シアン色素としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
【0019】
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0020】
前記油溶性染料の中でも、好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
例えば、C.I.ソルベント・ブラック3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が好ましい。
これらの中でも、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB、Oil Yellow129、Oil Yellow105、Oil Pink312、Oil Red5B、Oil Scarlet308、Vali Fast Blue2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、Neopen Yellow075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等がより好ましい。
【0021】
また本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもでき、その好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
例えば、C.I.ディスパーズイエロー5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が好ましい。
【0022】
また、前記油溶性染料の中でも、下記一般式(I)で表される化合物(アゾ染料)、及び下記一般式(II)で表される化合物(アゾメチン染料)が好適に挙げられる。下記一般式(II)で表されるアゾメチン染料は、写真材料において、カプラー及び現像主薬から酸化によって生成する染料として知られている。
なお、以下に、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の説明をするが、下記一般式(I)及び一般式(II)の各基のうち、少なくとも1つが以下に示す好ましい範囲である化合物が好ましく、より多くの基が好ましい範囲である化合物がより好ましく、全ての基が好ましい範囲である化合物が特に好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
前記一般式(I)及び一般式(II)において、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
これらの中でも、R2としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましい。
【0025】
前記一般式(I)及び一般式(II)において、Aは、−NR5R6又はヒドロキシ基を表す。Aとしては、−NR5R6が好ましい。
前記R5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を表す。その中でも、前記R5及びR6としては、各々独立に、水素原子、アルキル基及び置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基がより好ましく、水素原子、炭素原子数が1〜18のアルキル基、及び炭素原子数が1〜18の置換アルキル基が最も好ましい。R5及びR6は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0026】
前記一般式(II)において、B1は、=C(R3)−又は=N−を表す。B2は、−C(R4)=又は−N=を表す。B1及びB2が、同時には−N=とならない場合が好ましく、B1が=C(R3)−、B2が−C(R4)=となる場合がより好ましい。
【0027】
前記一般式(I)及び一般式(II)において、R1とR5と、R3とR6とは、及び/又は、R1とR2とは、互いに結合して芳香族環又は複素環を形成していてもよい。
【0028】
本明細書において、脂肪族基とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。
前記脂肪族基は、分岐状であってもよいし、また環状であってもよい。前記脂肪族基における炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜18がより好ましい。
前記アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分は、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基におけるアルキル部分の置換基としては、前記R1、R2、R3及びR4で挙げた置換基の例と同様のものが挙げられる。
前記置換アラルキル基におけるアリール部分の置換基としては、下記置換アリール基における置換基の例と同様のものが挙げられる。
【0029】
本明細書において、芳香族基とは、アリール基及び置換アリール基を意味する。前記アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記置換アリール基におけるアリール部分は、上記アリール基の場合と同様である。
前記置換アリール基における置換基としては、前記R1、R2、R3及びR4で挙げた置換基の例と同様のものが挙げられる。
【0030】
前記一般式(I)において、Yは、不飽和複素環基を表す。Yとしては、5員又は6員の不飽和複素環が好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
前記不飽和複素環としては、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ピリミジン環、ピリジン環、及びキノリン環等が好ましい。また、前記不飽和複素環基は、前記R1〜R4で挙げた置換基を有していてもよい。
【0031】
前記一般式(II)において、Xはカラー写真カプラーの残基を表す。前記カプラーとしては、以下のカプラーが好ましい。
イエローカプラーとしては、米国特許3,933,501号、同4,022,620号、同4,326,024号、同4,401,752号、同4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許1,425,020号、同1,476,760号、米国特許3,973,968号、同4,314,023号、同4,511,649号、欧州特許249,473A号、同502,424A号の式(I)、(II)で表されるカプラー、同513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))等が挙げられる。
【0032】
マゼンタカプラーとしては、米国特許4,310,619号、同4,351,897号、欧州特許73,636号、米国特許3,061,432号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60−33552号、同60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許4,500,630号、同4,540,654号、同4,556,630号、国際公開WO88/04795号、特開平3−39737号(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下)、欧州特許456,257号の〔A−4〕−63(134頁),〔A−4〕−73,−75(139頁)、同486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁)、同571,959A号のM−45(19頁)、特開平5−204106号の(M−1)(6頁)、同4−362631号の段落0237のM−22等が挙げられる。
【0033】
シアンカプラーとしては、米国特許4,052,212号、同4,146,396号、同4,228,233号、同4,296,200号、欧州特許73,636号、特開平4−204843号のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345号のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号の請求項1の一般式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラー等が挙げられる。
【0034】
その他、特開昭62−215272号(91頁)、特開平2−33144号(3頁,30頁)、EP355,660A(4頁,5頁,45頁,47頁)記載のカプラーも有用である。
【0035】
前記一般式(I)で表される染料の中でも、マゼンタ染料としては、下記一般式(III)で表される染料が、特に好ましい。
【0036】
【化2】
【0037】
前記一般式(III)において、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1としては、σp値が0.30以上1.0以下の電子吸引性基が好ましい。好ましい具体的な置換基としては、後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、その中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基がより好ましく、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基がさらに好ましく、シアノ基が特に好ましい。
【0038】
R1〜R6は、前記一般式(I)と同義である。
Z2は、水素原子、脂肪族基、又は芳香族基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。その中でも、Qとしては、5員環〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましく、芳香族基又は複素環基がより好ましい。前記5員環〜8員環は、置換されていてもよく、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。前記非金属原子群としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子又は炭素原子が好ましい。
前記5員環〜8員環としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が好適に挙げられ、これらの環がさらに置換基を有する場合、該置換基としては、前記R1〜R4で例示した基が好ましい。
なお、前記一般式(III)で表される染料の好ましい構造としては、特願2000−220649号に記載がある。
【0039】
前記一般式(II)で表される染料の中でも、マゼンタ染料としては、下記一般式(IV)で表される染料が、特に好ましい。
【0040】
【化3】
【0041】
前記一般式(IV)において、Gは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、エステル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アミド基、又はスルホンアミド基を表す。
またR1、R2、A、B1及びB2は、前記一般式(II)と同義であり、それらの好ましい範囲も、前記一般式(II)と同様である。
Lは、5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表し、該含窒素複素環を形成する原子群は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、エステル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アミド基、又はスルホンアミド基のうち、少なくとも1つで置換されていてもよく、さらに別の環と縮合環を形成してもよい。
【0042】
前記一般式(IV)で表される染料において、Aとしては、−NR5R6が好ましく、Lとしては、5員の含窒素複素環を形成するのが好ましく、5員の含窒素複素環としては、例えば、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が好ましい。
【0043】
次に、前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される染料のうち、マゼンタ染料の例示化合物は、特願2002−10361号の段落番号[0068]から[0085]に記載されているが、本発明は、これらにより何ら限定されるものではない。また、本発明に使用可能な化合物は、前記例示化合物のほか、特願平11−365187号、同11−365190号、特願2000−220649号に記載されているが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明の式(III)で表される色素は、例えば、特願2000−220649号、特開昭55−161856号公報に記載された方法を参考にして合成することができる。
本発明の式(IV)で表される色素は、例えば、特開平4−126772号、特公平7−94180号公報及び特願2000−78491号に記載された方法を参考にして合成することができる。
【0045】
前記一般式(II)で表される染料のうち、シアン染料としては、下記一般式(V)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料が、特に好ましい。
【0046】
【化4】
【0047】
前記一般式(V)において、A、R1、R2、B1及びB2は、前記一般式(II)と同義であり、それらの好ましい範囲も、前記一般式(II)と同様である。
Z3及びZ4は、各々独立に、前記一般式(IV)におけるGと同義である。Z3及びZ4は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
Mは、前記一般式(V)の5員環に縮合した1,2,4−トリアゾール環を形成できる原子団であって、縮合部のにおける2つの原子B3及びB4のいずれか一方は窒素原子であり、他方は炭素原子である。
【0048】
さらに、前記一般式(V)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料の中でも、Z3が、ハメット置換基定数σp値0.30以上の電子吸引性基であるものは、吸収がシャープなのでより好ましく、ハメット置換基定数σp値0.45以上の電子吸引性基であるものはさらに好ましく、ハメット置換基定数σp値0.60以上の電子吸引性基であるものは特に好ましい。
そして、Z3及びZ4のハメット置換基定数σp値の和が0.70以上のものはシアン色として優れた色相を呈し、最も好ましい。
【0049】
なお、前記一般式(V)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料は、置換基を変更することによりマゼンタ染料として用いることもできるが、シアン染料として用いるのが好ましい。
【0050】
ここで、本明細書で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則とは、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるため、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。
ハメット則に求められた置換基定数には、σp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や、「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
【0051】
なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であっても、ハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
また、本発明の前記一般式(I)〜前記一般式(V)の中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。従って、本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
【0052】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)等が挙げられる。
【0053】
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、前記に加え、アシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)等が挙げられる。
【0054】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)等が挙げられる。
【0055】
σp値が0.20以上の電子吸引性基としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0056】
本発明におけるピロロトリアゾールアゾメチン染料のうち、シアン染料の例示化合物(C−1〜9)は、特願2002−10361号の段落番号[0100]〜[0102]に示されているが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0057】
本発明に使用可能な染料としては、さらに特願平11−365188号明細書に記載されている例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
【0058】
本発明の油溶性染料として使用するイエロー色素としては、下記一般式(Y−I)で表される化合物(染料)が好ましい。
【0059】
【化5】
【0060】
一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0061】
一般式(Y−I)において、Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0062】
前記一般式(Y−I)において、Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0063】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0064】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、下記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0065】
【化6】
【0066】
前記一般式(Y−II)において、R1及びR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R4は複素環基を表す。
【0067】
【化7】
【0068】
前記一般式(Y−III)において、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(R11)=を表し、前記R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R6は複素環基を表す。
【0069】
【化8】
【0070】
一般式(Y−IV)において、R7及びR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。R10は複素環基を表す。
【0071】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるR1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表す置換基について以下に詳述する。
【0072】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
【0073】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0074】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0075】
R1、R2、R3、R5、R7、及びR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
【0076】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0077】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0078】
R2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0079】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。
R1、R3、R5、及びR8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0080】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
【0081】
R8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0082】
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0083】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、
前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0084】
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0085】
R2、R7、R8、及びR9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
R8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0086】
R8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0087】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0088】
R4、R6、R10で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0089】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(R11)=を表す。R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0090】
【化9】
【0091】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0092】
前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−155)は特願2002−10361号の段落番号[0139]〜[0149]に示されているが、本発明に用いられる染料は、下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成できる。
【0093】
さらに、本発明の油溶性染料として好適に使用される油溶性色素としては、下記一般式(M−I)で表される化合物(以下、「アゾ染料」と称する場合がある)が好ましい。以下に、本発明の一般式(M−I)で表される化合物について説明する。
【0094】
【化10】
【0095】
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。
B1及びB2は、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すか、あるいは、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−又は−CR2=を表す。
R5,R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。各基は更に置換基を有していてもよい。
G、R1,R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基又はアリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルアリールスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、又はヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。
また、R1とR5、又はR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
【0096】
本発明の前記一般式(M−I)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。該5員複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。
Aの好ましい複素環の例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、下記一般式(M−a)から(M−f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0097】
【化11】
【0098】
前記一般式(M−a)〜(M−f)のR7〜R20は、後に説明する置換基G、R1及びR2と同じ置換基を表す。
前記一般式(M−a)〜(M−f)のうち、好ましいのは一般式(M−a)及び(M−b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(M−a)で表されるピラゾール環である。
B1及びB2は、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すか、あるいは、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−又は−CR2=を表すが、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すものがより好ましい。
R5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R5及びR6で表される好ましい置換基には、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、又は複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。ただし、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
【0099】
G、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基若しくはアリール基若しくは複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0100】
Gで表される好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基、アリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基若しくはアリール基若しくは複素環基で置換されたアミノ基、又はアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0101】
R1及びR2で表される好ましい置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基及びシアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
R1とR5、又は、R5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、前記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げることができる。
【0102】
以下、G、R1及びR2で表される置換基について詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、及び置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基を挙げることができる。
【0103】
本明細書において、芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい。
芳香族基の例としては、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環、又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員又は6員環の複素環基が好ましい。置換基の例としては、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例としては、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、及び2−フリル基が含まれる。
【0104】
前記アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基の例としては、各々、メタンスルホニル基及びフェニルスルホニル基を挙げることができる。
前記アルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基の例としては、各々、メタンスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0105】
前記アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例としては、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
【0106】
前記アミノ基には、アルキル基、アリール基、及び複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、及び複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が挙げられる。
前記アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基及び2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0107】
前記アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0108】
前記アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0109】
前記アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0110】
前記ウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。ウレイド基の例としては、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基及び3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0111】
前記スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例としては、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0112】
前記アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例としては、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0113】
前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基の例としては、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0114】
前記カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例としては、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0115】
前記スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例としては、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0116】
前記アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
【0117】
前記アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例としては、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0118】
前記カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例としては、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0119】
前記アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0120】
前記アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例としては、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0121】
前記アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と、無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例としては、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0122】
本発明において、特に好ましいアゾ染料は、下記一般式(M−II)で表される化合物である。
【0123】
【化12】
【0124】
前記一般式(M−II)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表す。Z1はσp値が0.30〜1.0の電子求引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子求引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0125】
R1、R2、R5、及びR6は、前記一般式(M−I)の場合と同義である。
R3及びR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。その中でも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が、特に好ましい。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。その中でも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも、特に、芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子及び炭素原子が挙げられる。5〜8員環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環、及びチアン環等が挙げらる。
【0126】
前記一般式(M−II)で説明した各基は、更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、前記一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1及びR2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0127】
ここで、置換基Z1に関連して、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合に、その範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(M−I)及び(M−II)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
【0128】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子求引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基〔例えば、メタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基〕を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子求引性基としては、上記に加えアシル基(例えば、アセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)を挙げることができる。
【0129】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子求引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子求引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0130】
前記一般式(M−I)で表される化合物として、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
(イ)R5及びR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5及びR6が共に水素原子であることはない。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1及びB2は、各々=CR1−、−CR2=であり、そしてこれらR1、R2は、各々、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
【0131】
なお、一般式(M−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0132】
前記一般式(M−I)で表される化合物の例示化合物(a−1〜a−27、b−1〜b−6、c−1〜c−3、d−1〜d−4、e−1〜e−4)は特願2002−10361号の段落番号[0190]〜[0198]に示されているが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0133】
本発明における油溶性色素としては、下記一般式(C−I)で表される化合物(以下、「フタロシアニン染料」と称する場合がある)を用いることが好ましい。以下に、一般式(C−I)で表される化合物について説明する。
【0134】
【化13】
【0135】
前記一般式(C−I)において、X1、X2、X3及びX4は、各々独立に、−SO−Z1、−SO2−Z1、又は−SO2NR21R22を表す。
【0136】
Z1は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、特に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0137】
R21及びR22は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、特に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。ただしR21及びR22の両方が水素原子であることはない。
【0138】
R21、R22及びZ1が表す、置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0139】
R21、R22及びZ1が表す、置換基を有するシクロアルキル基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0140】
R21、R22及びZ1が表す、置換基を有するアルケニル基又は無置換のアルケニル基は、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0141】
R21、R22及びZ1が表す、置換基を有するアラルキル基又は無置換のアラルキル基は、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0142】
R21、R22及びZ1が表すアリール基の置換基としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じもの挙げられる。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が挙げられ、中でもヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基が更に好ましい。
【0143】
R21、R22及びZ1が表すヘテロ環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても非芳香族ヘテロ環であってもよい。
以下に、R21、R22及びZ1で表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。
ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。この中でも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
【0144】
Y1、Y2、Y3及びY4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、各々は、さらに置換基を有していてもよい。
【0145】
これらの中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0146】
Z1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
【0147】
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜30の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜30の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基で、詳しくは(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、及び4級アンモニウム基)等が挙げられる。
【0148】
a1〜a4、b1〜b4は、各々、X1〜X4、Y1〜Y4の置換基数を表し、a1〜a4は各々独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4は各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、a1〜a4の総和は2以上である。ここで、a1〜a4及びb1〜b4が2以上の整数を表すとき、複数のX1〜X4及びY1〜Y4は各々同一でも異なっていてもよい。
【0149】
a1、b1は、a1+b1=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a1が1又は2を表し、b1が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa1が1を表し、b1が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0150】
a2、b2は、a2+b2=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a2が1又は2を表し、b2が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa2が1を表し、b2が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0151】
a3、b3は、a3+b3=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a3が1又は2を表し、b3が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa3が1を表し、b3が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0152】
a4、b4は、a4+b4=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a4が1又は2を表し、b4が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa4が1を表し、b4が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0153】
Mは、水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表す。
Mとして好ましいものは、水素原子、金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。また、水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。これらの中でも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0154】
また、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)又は3量体を形成してもよく、その場合のMは、各々、同一であっても異なるものであってもよい。
【0155】
Lで表される2価の連結基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、イミノ基(−NH−)、又はメチレン基(−CH2−)が好ましい。
【0156】
前記一般式(C−I)で表される化合物として、特に好ましい組み合わせは以下の通りである。
【0157】
X1〜X4としては、各々独立に、−SO2−Z1又は−SO2NR21R22が特に好ましい。
【0158】
Z1は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0159】
R21及びR22は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0160】
Y1〜Y4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0161】
a1〜a4は、各々独立に、1又は2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。b1〜b4は、各々独立に、3又は2であることが好ましく、特に3であることが好ましい。
【0162】
Mは、水素原子、金属元素又はその酸化物、水酸化物若しくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
【0163】
前記一般式(C−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0164】
前記一般式(C−I)で表される化合物の中でも、下記一般式(C−II)で表される構造の化合物がより好ましい。
【0165】
【化14】
【0166】
前記一般式(C−II)において、X11〜X14、Y11〜Y18は、前記一般式(C−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4と各々同義であり、好ましい例も同様である。また、M1は、前記一般式(C−I)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
【0167】
具体的には、前記一般式(C−II)中、X11、X12、X13及びX14は、各々独立に、−SO−Z11、−SO2−Z11、又は−SO2NR23R24を表す。
Z11は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
R23は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、R24は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17及びY18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、各々の基は、さらに置換基を有していてもよい。
a11〜a14は各々X11〜X14の置換基数を表し、各々独立に、0〜2の整数を表すが、すべてが同時に0になることは無い。なお、a11〜a14が2を表すとき、2つのX11〜X14は各々同一でも異なっていてもよい。
M1は水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物である。
【0168】
前記一般式(C−II)中、好ましくはa11〜a14は、4≦a11+a12+a13+a14≦8の範囲である各々独立の1又は2の整数を表し、特に好ましいのは、4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのは、a11=a12=a13=a14=1のときである。
【0169】
一般式(C−II)で表される化合物の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
【0170】
X11〜X14としては、各々独立に−SO2−Z11又は−SO2NR23R24が特に好ましい。
【0171】
Z11は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0172】
R23は、各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0173】
R24は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0174】
Y11〜Y18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0175】
a11〜a14は、各々独立に、1又は2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。
【0176】
M1は、水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表し、特に、Cu、Ni、Zn、Alが好ましく、その中でもCuが最も好ましい。
【0177】
前記一般式(C−II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0178】
前記一般式(C−I)で表される化合物は、その合成法によって不可避的に置換基Rn(n=1〜4)及びYq(q=1〜4)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、これら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明は、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。
【0179】
本発明においては、前記一般式(C−I)及び(C−II)で表される化合物であるフタロシアニン系色素類縁体混合物を、置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
【0180】
(1)β−位置換型:(2及び/又は3位、6及び/又は7位、10及び/又は11位、14及び/又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
【0181】
(2)α−位置換型:(1及び/又は4位、5及び/又は8位、9及び/又は12位、13及び/又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
【0182】
(3)α,β−位混合置換型:(1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
【0183】
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置)フタロシアニン系染料の誘導体を説明する場合、上記β−位置換型、α−位置換型、α,β−位混合置換型を使用する。
【0184】
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用若しくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0185】
本発明の一般式(C−I)で表される化合物は、WO00/17275、同00/08103、同00/08101、同98/41853、特開平10−36471号の各公報などに記載されているように、例えば、無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として本発明の化合物を合成する時には、ヘテロ環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、本発明の化合物としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β−位混合置換型混合物として得られる。
【0186】
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を多くフタロシアニン核に導入すると、酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
【0187】
それに対して、本発明の一般式(C−II)で表される化合物は、例えば、下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を下記一般式(C−III)で表される金属誘導体と反応させて得られる化合物から誘導できる。
【0188】
【化15】
【0189】
化合物P、Q中、pは、11〜14を表し、q及びq’は、各々独立に、11〜18を表す。
【0190】
一般式(C−III)
M−(Y)d
前記一般式(C−III)において、Mは、前記一般式(C−I)及び(C−II)で表される化合物におけるMと同義であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数を表す。
【0191】
即ち、上記の合成法に従えば、望みの置換基を特定の数だけ導入することができる。特に、本発明のように酸化電位を高くするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記合成法は一般式(C−I)で表される化合物の合成法と比較して極めて優れている。
【0192】
かくして得られる前記一般式(C−II)で表される化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(C−II−1)〜(C−II−4)で表される化合物の混合物、即ちβ−位置換型(2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)となっている。
【0193】
【化16】
【0194】
【化17】
【0195】
前記一般式(C−II−1)〜(C−II−4)において、R1〜R4は、前記一般式(C−II)における(X11)a11〜(X14)a14と同義である。
【0196】
本発明では、いずれの置換型においても酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることが堅牢性の向上に非常に重要であることが見出されている。中でもα,β−位混合置換型よりはβ−位置換型の方が、色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において優れている傾向にある。
【0197】
前記一般式(C−I)又は(C−II)で表される化合物の例示化合物(C−101〜C−120)は特願2002−10361号の段落番号[0264]〜[0267]に示されているが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0198】
前記一般式(C−I)で表される化合物は、前述した特許に従えば合成することが可能である。また、一般式(C−II)で表される化合物は、特願2000−24352号、同2000−47013号、同2000−57063号、同2000−96610号の各明細書に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、色素中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
【0199】
本発明に使用される油溶性色素のインク組成物における含有量としては、インク組成物に対して0.05〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0200】
(着色微粒子分散物)
前記本発明の着色微粒子分散物は、油溶性染料そのものか、油溶性染料と油溶性ポリマーとを含む着色微粒子を水性媒体に分散してなり、前記着色微粒子分散物は、沸点150℃以上の疎水性高沸点有機溶媒やマゼンタ以外の色にする、あるいは色調の調節のためにその他の着色剤が含まれていても良い。
更に詳しく述べると、前記着色微粒子分散物とは、油溶性染料そのものか、又は油溶性染料と油溶性ポリマーと、必要に応じて疎水性高沸点有機溶媒やその他の着色剤が、水性媒体中に微粒子状の油滴として分散された、いわゆる乳化分散物状態になっているものである。
なお、本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて添加剤などを添加したものを意味する。
【0201】
<油溶性ポリマー>
前記油溶性ポリマーについて詳細に説明する。前記油溶性ポリマーは、特に制限はなく、従来公知のものを目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート)を挙げる事が出来る。
前記油溶性ポリマーとしては、水不溶性型、水分散(自己乳化)型、水溶性型の何れであっても良いが、着色微粒子の製造容易性、分散安定性等の点で水分散型のものが好ましい。
【0202】
前記水分散型のポリマーとしては、イオン解離型のもの、非イオン性分散性基含有型のもの、あるいはこれらの混合型のもののいずれであっても良い。
前記イオン解離型のポリマーとしては、三級アミノ基などのカチオン性の解離基を有するポリマーや、カルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離基を含有するポリマーが挙げられる。
前記非イオン性分散性基含有型のポリマーとしては、ポリエチレンオキシ基などの非イオン性分散性基を含有するポリマーが挙げられる。
これらの中でも、着色微粒子の分散安定性の点で、アニオン性の解離性基を含有するイオン解離型のポリマー、非イオン性分散性基含有型のポリマー、これらの混合型のポリマーが好ましい。
【0203】
前記ビニルポリマーと前記ビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181547号、特開2001−181549号に記載されている。モノマーのその他の例としては、シアノ基含有ビニルモノマー(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、カルボキシル基を有するモノマーでありポリマーを形成した場合にポリマー主鎖に直結しないモノマー(例えば、カルボキシエチルアクリレート、4−ビニル安息香酸、2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシカルボニル)プロパン酸など)が挙げられる。
また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤,イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したポリマーも好ましい。
前記縮合系ポリマーと前記縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、を形成するモノマーは、特開2001−226613号広報に記載されている。
【0204】
前記油溶性ポリマーは、必要な構成原料を1種づつ用いても良いし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性、着色剤との親和性、着色剤との相溶性、分散物の安定性)に応じて、それぞれ2種以上を任意の割合で用いる事ができる。
【0205】
前記油溶性ポリマーの中でも、前記解離性基を有するものが好ましく、前記解離性基としてカルボキシル基及びスルホン酸基の少なくとも一方を有するものがより好ましく、前記解離性基としてカルボキシル基を有するものが特に好ましい。
【0206】
また前記の各ポリマーの重合後に、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応性基に対し、酸無水物(例えば無水マレイン酸)等の反応によって解離基を導入できる化合物を作用させて導入する事もできる。
前記解離性基の含量としては、0.1〜3.0mmol/gが好ましく、0.2〜2.0mmol/gがより好ましい。なお、前記解離性基の含量が、少ない場合にはポリマーの自己乳化性が小さく、多い場合には水溶性が高くなり、着色剤の分散に適さなくなる傾向がある。
【0207】
なお、前記解離基として、前記アニオン性の解離基としては、更に、アルカリ金属(例えばNa、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩などであってもよく、前記カチオン性の解離基としては、更に、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸)や無機酸(塩酸、硫酸など)の塩であってもよい。
【0208】
前記油溶性ポリマーの分子量(Mw)としては、通常1000から200000であり、2000〜50000が好ましい。分子量が1000未満であると、安定な着色微粒子分散物を得るのが難しくなる傾向にあり、200000より大きい場合、有機溶媒への溶解性が悪くなったり、有機溶媒溶液の粘度が増加して分散し難くなる傾向がある。
【0209】
前記油溶性ポリマーにおいて、着色剤との親和性、着色剤との相溶性の付与、優れた分散安定性付与の観点での解離基導入の容易さ等を勘案すると、特に好ましいのはビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルである。
【0210】
前記ビニルポリマーの具体例としては、特開2001−181549号記載のP−1)〜P−105)が挙げられ、それ以外に、PA−1)〜PA−11)を以下に列挙する。括弧内の比は質量比を意味する。前記縮合系ポリマーの具体例は、特開2001−226613号記載のP−1)〜P−38)が挙げられる。
なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0211】
PA−1)2−カルボキシエチルアクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体(10:90)
PA−2)2−カルボキシエチルアクリレート/ジフェニルアクリルアミド/イソブチルメタクリレート共重合体(15:10:75)
PA−3)2−カルボキシエチルアクリレート/n−ブチルメタクリレート/ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート共重合体(10:60:30)
PA−4)N−(3−カルボキシプロピル)アクリルアミド/tert−ブチルメタクリルアミド/ブチルアクリレート共重合体(12:18:70)
PA−5) 連鎖移動剤にメルカプト酢酸を用いたポリn−ブチルメタクリレート(3.4:96.6)
PA−6) 連鎖移動剤に2−メルカプトコハク酸を用いたイソブチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体(4:40:56)
PA−7)アクリロニトリル/メタクリロニトリル/イソプロピルメタクリレート/2−カルボキシエチルアクリレート共重合体(40:40:15:5)
PA−8)ブチルアクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体(20:80)
PA−9)N−t−ブチルアクリルアミド/n−ブチルメタクリレート共重合体(50:50)
PA−10)N−t−ブチルアクリルアミド/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30:67:3)
PA−11)コハク酸モノ(アクリロイルオキシエチル)/n−ブチルメタクリレート共重合体(15:85)
【0212】
−着色微粒子分散物の製造−
本発明の着色微粒子分散物は、前記油溶性染料のみ、又はこれと前記油溶性ポリマーとを水性媒体(少なくとも水を含有する液)中に着色微粒子の形で分散させることにより製造される。後者の具体例としては、予め前記油溶性ポリマーのラテックスを調製しこれに前記油溶性染料を含浸させる方法、あるいは共乳化分散法などが挙げられる。
これらの中でも、共乳化分散法が好ましい。共乳化分散法としては、油溶性ポリマーと油溶性染料とを含有する有機溶媒に水を添加すること、及び、水中に該有機溶媒を添加すること、のいずれかにより、該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法が好適に挙げられる。
【0213】
なお、前記ラテックスとは、水性媒体に不溶な前記油溶性ポリマーが微細な粒子として水性媒体中に分散したものを意味する。前記分散の状態としては、前記油溶性ポリマーが前記水性媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいは前記油溶性ポリマーが分子中に部分的に親水的な構造をもち分子鎖自身が分子状分散したもの、などのいずれであってもよい。
【0214】
まず、予め前記ポリマーラテックスを作成し、これに前記油溶性染料を含浸する方法について説明する。
この方法の第一の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製する第二の工程と、前記油溶性染料含有液と前記ポリマーラテックスを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第二の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製し、この油溶性染料含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第二の工程と、前記ポリマーラテックスと前記着色剤微粒子分散液とを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第三の例としては、特開昭55−139471号公報に記載の方法が挙げられる。
【0215】
次に、前記共乳化分散法について説明する。
この方法の第一の例は、有機溶剤に前記油溶性染料と前記油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー着色剤混合液を調製する第一の工程と、前記ポリマー着色剤混合液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第二の工程とを含む。
この方法の第二の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製する第一の工程と、有機溶剤に油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記油溶性染料含有液と前記ポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第三の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製し、この油溶性染料含有液と少なくとも水を含む液とを混合して油溶性染料微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合してポリマー微粒子分散液を作製する第二の工程と、前記油溶性染料微粒子分散液と前記ポリマー微粒子分散液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第四の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製し、この油溶性染料含有液と少なくとも水を含む液とを混合して油溶性染料微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記油溶性染料微粒子分散液と前記ポリマー溶液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第五の例は、前記油溶性染料と油溶性ポリマーに対し、少なくとも水を含む液とを混合して、直接、着色微粒子分散物を調製する工程である。
【0216】
前記着色微粒子分散物において、前記油溶性ポリマーの使用量としては、前記油溶性染料100質量部に対し、10〜1000質量部が好ましく、50〜600質量部がより好ましい。ポリマーの使用割合が10質量部未満であると、微細で安定な分散が難しくなる傾向にあり、1000質量部を超えると、着色微粒子分散液中の油溶性染料の割合が少なくなり、着色微粒子分散液を水系インクとして使用した場合に配合設計上の余裕が無くなる傾向がある。
【0217】
前記着色微粒子の着色微粒子分散物における含有量としては、1〜45質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。前記含有量は、希釈、蒸発、限外濾過等により適宜調整することができる。
前記着色微粒子の平均粒径としては、1〜500nmが好ましく、3〜300nmがより好ましく、3〜200nmが特に好ましい。粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。前記粒径、前記粒径分布は、遠心分離、濾過等の手段により、調整することもできる。
【0218】
−有機溶剤−
前記着色微粒子分散物を製造する際に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、前記油溶性染料や前記油溶性ポリマーの溶解性に基づいて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
有機溶剤は単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。また前記油溶性染料やポリマーの溶解性によっては、水との混合溶媒であっても良い。
【0219】
前記有機溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記油溶性ポリマー100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。
前記有機溶剤の使用量が、10質量部未満であると、着色微粒子の微細で安定な分散が難しくなる傾向があり、2000質量部を超えると、前記有機溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、かつ配合設計上の余裕がなくなる傾向がある。
【0220】
前記有機溶剤は、有機溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、着色微粒子分散物の安定性及び安全衛生上の観点から有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する方法は溶剤の種類に応じて各種の公知の方法を用いることが出来る。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この有機溶剤の除去工程は乳化直後、出来るだけ速やかに行うのが好ましい。
【0221】
<親水性有機溶剤>
親水性有機溶剤は乾燥防止剤や浸透促進剤の目的で使用される。親水性有機溶剤としては水より蒸気圧の低い親水性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン等に代表される多価アルコール類、アミルアルコール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等に代表される置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物が挙げられる。
これらのうち多価アルコール類と置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類が好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類とがより好ましい。また上記の前記親水性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの親水性有機溶剤はインク中に5〜60質量%含有することが好ましく、7〜50質量%含有することがさらに好ましく、10〜40質量%含有することが特に好ましい。
【0222】
<界面活性剤>
界面活性剤は、主に、インク組成物の動的表面張力を調整するために添加する。界面活性剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0223】
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少ないことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤(例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物など)、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤(例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(AirProducts&Chemicals社))など)が好ましく、中でも、分子量200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものが更に好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
界面活性剤の含有量は、インク組成物中、0.5〜5.0質量%が好ましく、特に1.0〜3.0質量%が好ましい。
【0224】
本発明のインクの動的表面張力は界面活性剤や、親水性有機溶媒を使用して、25〜35mN/mとする。動的表面張力は、さらに27〜33mN/mが好ましい。ここで、動的表面張力とは、最大泡圧法を用いた測定機で測定した値であり、泡の発生周期は100ms以上である。
また、動的表面張力をこのような範囲に調整するには、界面活性剤の含有量を全固型分の1%以上とする方法が挙げられる。
【0225】
<添加剤>
本発明のインク組成物は、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した添加剤を含んでいてもよい。
このような添加剤としては、例えば、中和剤、疎水性高沸点有機溶媒、分散剤、分散安定剤などが挙げられる。
【0226】
前記中和剤は、前記油溶性ポリマーが未中和の解離性基を有する場合に、着色微粒子分散物のpH調節、自己乳化性調節、分散安定性付与等の点で好適に使用することができる。
前記中和剤としては、有機塩基、無機アルカリなどが挙げられる。
【0227】
前記有機塩基としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニアなどが挙げられる。
前記中和剤は、着色微粒子分散物における分散安定性を向上させる観点からは、pH4.5〜10.0となるよう添加するのが好ましく、pH6.0〜10.0となるよう添加するのがより好ましい。
【0228】
前記疎水性高沸点有機溶媒は、着色微粒子分散物の粘度、比重、及び印字性能の調整などに用いられる。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、疎水性であり、沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。ここで「疎水性」とは、25℃における蒸留水に対する溶解度が3%以下であることをいう。また、前記疎水性高沸点有機溶媒の誘電率は3〜12であるのが好ましく、4〜10であるのがより好ましい。尚、ここで、誘電率とは25℃における真空に対する比誘電率をいう。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、米国特許第2,322,027号明細書、特願平2000−78531号明細書に記載等に記載の化合物を用いることができる。具体的には、リン酸トリエステル類、フタル酸ジエステル類、アルキルナフタレン類、安息香酸エステル類などが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
前記高沸点溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記油溶性ポリマー100質量部に対し、0〜1000質量部が好ましく、0〜300質量部がより好ましい。
【0229】
前記分散剤及び/又は分散安定剤は前記ポリマーラテックス、前記油溶性染料含有液、前記ポリマー油溶性染料混合液、前記着色剤微粒子分散液、前記ポリマー溶液、少なくとも水を含む液等のいずれに添加してもよいが、前記ポリマーラテックス及び/又は着色剤微粒子分散液を調製する前工程の、前記油溶性染料含有液、水を含む溶液に添加するのが好ましい。
前記分散剤、分散安定剤としては、カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、水溶性又は水分散性の低分子化合物、オリゴマー等が挙げられる。前記分散剤、分散安定剤の添加量としては、前記油溶性染料と前記油溶性ポリマーとの合計に対し、0〜100質量%であり、0〜20質量%が好ましい。
【0230】
(インク組成物、インクジェット用インク及びインクジェト記録方法)
本発明のインク組成物、及びインクジェット用インクは、前記着色微粒子分散物を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の添加剤を含有してなる。該インク組成物に含有される油溶性染料は、被記録材料などに対して染料、及び着色剤などとして作用する。該インク組成物は、インクジェット用として好ましく用いられる。
【0231】
本発明のインクジェット記録用インクは、いかなるインクジェット記録方式にも適用でき、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(R))方式、等に好適に使用される。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0232】
−その他の添加剤−
添加剤として、親水性有機溶剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等を適宜選択して適量使用することができる。これらの添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0233】
本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましく、粘度を調整する目的で粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー等があげられる。
【0234】
分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0235】
−被記録材−
本発明のインクを用いたインクジェット記録方法に使用される被記録材としては、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。被記録材としてコート紙を用いると、画質が向上するので好ましい。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報などに記載されている。
【0236】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0237】
(製造例)
−製造例1(着色微粒子分散物(B−1)の調製)−
テトラヒドロフラン 4部、tert−ブタノール 6部、油溶性ポリマー(PA−6) 1.5部、及び下記油溶性染料(a−17) 0.5部の混合溶液に、2mol/Lの水酸化ナトリウムを油溶性ポリマーの酸が中和される量だけ徐々に加えた後、70℃まで昇温させた。その後、攪拌しながら、水30部を徐々に添加し転相乳化した。この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で22nmであった(マイクロトラックUPA150;日機装(株)社製で測定)。以下、これを着色微粒子分散物(B−1)と略記する。
【0238】
−製造例2(着色微粒子分散物(B−2)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、油溶性ポリマー(PA−1) 1.4部、油溶性染料(a−17) 0.6部の混合溶液を調製した。一方、前記油溶性ポリマーの酸が中和される量の2mol/L水酸化ナトリウム、水15部、及びジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム 0.3部の混合液を調整した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、固形分13.3%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で82nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−2)と略記する。
【0239】
−製造例3(着色微粒子分散物(B−3)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、油溶性ポリマー(PA−9)0.8部、油溶性染料(a−17) 0.6部、下記疎水性高沸点有機溶媒(S−1)0.4部の混合溶液を調製した。一方、前記油溶性ポリマーの酸が中和される量の2mol/L水酸化ナトリウム、水15部、及びジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム 0.3部の混合液を調整した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、不揮発分14.0%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で77nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−3)と略記する。
【0240】
−製造例4(着色微粒子分散物(B−4)の調製)−
下記油溶性染料(a−7)6.4部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.0部、油溶性ポリマー(PA−10)7.8部を下記疎水性高沸点有機溶媒(S−1)5.0部、及び酢酸エチル50部中に70℃にて溶解させた。この液に400部の脱イオン水をマグネチックスターラーで攪拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒子分散物を作製した。次に、この粗粒子分散物をマイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更に、出来上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて160部に濃縮した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で48nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−4)と略記する。
【0241】
【化18】
【0242】
【化19】
【0243】
−製造例5〜10−
製造例1に準じた方法で、製造例5を、製造例2に準じた方法で、製造例6を、製造例3に準じた方法で、製造例7から10を製造した。用いた油溶性ポリマー及び油溶性染料を下記表1に示す。
【0244】
【化20】
【0245】
【表1】
【0246】
上記表の結果から明らかなように、分散性が良好で凝集が無く、粒径の小さな着色微粒子分散物が製造できる。
【0247】
[実施例1]
<インク01の作製>
下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク01を調製した。
・着色微粒子分散物(B−1) 50部
・ジエチレングリコール 8部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 2部
・グリセリン 5部
・ジエタノールアミン 1部
・ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)
の方末端2−ブチルオクタン酸エステル 2g
・水 全体で100部になる量
【0248】
[実施例2]
<インク02の作製>
前記インク01の作製において、前記着色微粒子分散物(B−1)を、製造例2で調製した着色微粒子分散物(B−2)に代えた以外は、前記インク01の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク02を調製した。
【0249】
[実施例3]
<インク03の作製>
下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク03を調製した。
・着色微粒子分散物(B−3) 50部
・ジエチレングリコール 8部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 2部
・グリセリン 5部
・ジエタノールアミン 1部
・オルフィンE1010 1.5部
・水 全体で100部になる量
【0250】
[実施例4〜7]
<インク04〜07の作製>
前記インク03の作製において、前記着色微粒子分散物(B−3)を、前記製造例4〜7で調製した着色微粒子分散物(B−4)〜(B−7)に各々代えた以外は、前記インク03の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク04〜07を各々調製した。
【0251】
[実施例8〜10]
<インク08〜10の作製>
前記インク03の作製において、オルフィンE1010の量を表2に示す値に代えた以外は、インク03の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク08〜10を調整した。
【0252】
[実施例11]
<インク11の作製>
前記インク03の作製において、更に下記式の界面活性剤を1.7部加えた以外は、前記インク03の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク11を調製した。
【0253】
【化21】
【0254】
[実施例12]
下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク12を調製した。
・水溶性油溶性染料DD−2 4部
・ジエチレングリコール 8部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 5部
・グリセリン 5部
・ジエタノールアミン 1部
・ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)
の方末端2−ブチルオクタン酸エステル 1g
・水 全体で100部になる量
【0255】
−画像記録及び評価−
作製したインク01〜12を、インクジェットプリンターMC−2000(EPSON(株)製)のカートリッジに充填し、同機を用いて、PPC用普通紙とインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録し、以下の評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0256】
<動的表面張力>
協和界面科学社製BP−D3型機を用いて、泡の発生周期が100ms以上の条件で測定した(最大泡圧法)。
【0257】
<印刷性能評価>
カートリッジをプリンタにセットし、全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4用紙10枚に画像を出力し、印字の乱れを以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れが無かった。
B:印刷開始から終了までに時々印字の乱れが発生した。
C:印刷開始から終了まで印字の乱れがあった。
【0258】
<紙依存性評価>
前記フォト光沢紙に形成した画像とPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が殆どない場合をA、両画像間の差が小さい場合をB、両画像間の差が大きい場合をCとして、三段階で評価した。
【0259】
<耐水性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みがないものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
【0260】
<耐光性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を10日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。
いずれの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、80%未満をB、70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0261】
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を3日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し油溶性染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、89〜80%をB、79〜70%未満をC、69〜50%をD、49%未満をEとして五段階で評価した。
【0262】
【表2】
【0263】
水溶性染料のインク12と比較して、本発明のインク組成物は、紙依存性、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れている。インク08は動的表面張力が高く、印刷性能が悪いのに対し、本発明のインク組成物は印刷性能に優れていた。
【0264】
【発明の効果】
本発明によると、ノズル等を用いて印字等を行った際、吐出性がよく、紙依存性がなく、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れるインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物と、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法に関し、さらに詳しくは、吐出性に優れたインク組成物と、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭でも、紙、フィルム、布等の印字等に広く利用されている。インクジェット記録用インクとしては、油性インク、水性インク、固体状インクが知られているが、これらの中でも、製造容易性、取扱性、臭気性、安全性等の点で水性インクが有利であり、水性インクが主流となっている。
【0003】
しかし、前記水性インクの多くは、分子状態で溶解する水溶性染料を用いているため、透明性及び色濃度が高いという利点があるものの、染料が水溶性であるため耐水性が悪く、いわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリード)を生じて著しく印字品質が低下したり、耐光性が悪く、更に、表面に多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙(以下、「写真画質用紙」ということがある。)においては、酸化性ガス(SOx、NOx、オゾン等)の影響により画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
【0004】
そこで、前記問題を解決する目的で顔料や分散染料を用いた水性インクが、例えば、特開昭56−157468号、特開平4−18468号、同10−110126号、同10−195355号等の各公報において提案されている。
ところが、これらの水性インクの場合、耐水性はある程度向上するものの十分とはいい難く、前記水性インク中の顔料や分散染料の分散物の保存安定性に欠け、インク吐出口での目詰まりを起こし易い等の問題がある。更に、写真画質用紙においては、前記顔料や染料を用いたインクは染み込性に乏しく、手で擦ると表面から前記顔料や染料が剥離し易いという問題もある。
【0005】
一方、特開昭58−45272号、特開平6−340835号、同7−268254号、同7−268257号、同7−268260号の各公報には、ウレタンやポリエステル分散物粒子に染料を内包させる方法が提案されている。しかしながら、前記方法により得られたインクジェット用インクの場合、色調が不十分であり、色再現性が十分でなく、退色も十分でない。さらに、写真画質用紙に印字した場合、消しゴムなどによる耐擦過性が十分でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、取扱性、臭気、安全性を具備すると共に、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、従って、インクに適用した場合に、ノズル先端での目詰まりがなく吐出安定性に優れ、紙依存性がなく発色性、色調(色相)に優れ、前記写真画質用紙を用いた場合でもインク浸透性に優れ、印字後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度で高画質の記録を可能とする着色微粒子分散物たるインク組成物は未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状に鑑み、本発明者は、鋭意研究を行った結果、親水性有機溶媒及び界面活性剤を含み、かつ特定の動的表面張力を有する水性インク組成物が上記課題を解決し、特に、インク吐出性に優れることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次のものを提供するものである。
【0008】
<1> 油溶性染料を含む着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物であって、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mである水性インク組成物。
<2> 界面活性剤の含有量が、0.5〜5質量%である<1>記載の水性インク組成物。
<3><1>又は<2>記載の水性インク組成物を用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインク組成物及びインクジェット記録方法について説明する。
【0010】
インク組成物
本発明の水性インク組成物は、少なくとも油溶性染料を含む着色微粒子分散物、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mであるものである。
【0011】
該油溶性染料としては、後述する一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物、一般式(Y−I)で表される化合物、一般式(M−I)で表される化合物、及び一般式(C−I)で表される化合物からなる群より選択される化合物の少なくとも一種を含有するのが好ましい。
【0012】
前記着色微粒子は、油溶性染料そのものの微粒子か、又は少なくとも1種の油溶性染料と、少なくとも1種の油溶性ポリマーとを少なくとも含有する微細粒子であり、前記油溶性染料と前記油溶性ポリマーとは、互いに相溶する限りいかなる方法で調製してもよい。
【0013】
<油溶性染料>
ここでは、前記着色微粒子に含有される油溶性染料について説明する。
本発明の着色微粒子を構成する成分の一つである油溶性染料とは、水に実質的に不溶な色素を意味する。より具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる色素の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを意味する。
従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の油溶性色素を意味する。
【0014】
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
本発明のインク組成物においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色材が含有されていてもよい。
【0015】
本発明のインク組成物に使用可能な油溶性染料としては、例えば、アントラキノン系、ナフトキノン系、スチリル系、インドアニリン系、アゾ系、ニトロ系、クマリン系、メチン系、ポルフィリン系、アザポルフィリン系、フタロシアニン系色素等が挙げられる。なお、フルカラー印刷用のインクジェットインクとして完成させるためには、通常、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の三原色に黒を加えた少なくとも4色の色素が必要となる。
【0016】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料等があり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0017】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0018】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、シアン色素としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
【0019】
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0020】
前記油溶性染料の中でも、好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
例えば、C.I.ソルベント・ブラック3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が好ましい。
これらの中でも、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB、Oil Yellow129、Oil Yellow105、Oil Pink312、Oil Red5B、Oil Scarlet308、Vali Fast Blue2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、Neopen Yellow075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等がより好ましい。
【0021】
また本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもでき、その好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
例えば、C.I.ディスパーズイエロー5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が好ましい。
【0022】
また、前記油溶性染料の中でも、下記一般式(I)で表される化合物(アゾ染料)、及び下記一般式(II)で表される化合物(アゾメチン染料)が好適に挙げられる。下記一般式(II)で表されるアゾメチン染料は、写真材料において、カプラー及び現像主薬から酸化によって生成する染料として知られている。
なお、以下に、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の説明をするが、下記一般式(I)及び一般式(II)の各基のうち、少なくとも1つが以下に示す好ましい範囲である化合物が好ましく、より多くの基が好ましい範囲である化合物がより好ましく、全ての基が好ましい範囲である化合物が特に好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
前記一般式(I)及び一般式(II)において、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
これらの中でも、R2としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましい。
【0025】
前記一般式(I)及び一般式(II)において、Aは、−NR5R6又はヒドロキシ基を表す。Aとしては、−NR5R6が好ましい。
前記R5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を表す。その中でも、前記R5及びR6としては、各々独立に、水素原子、アルキル基及び置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基がより好ましく、水素原子、炭素原子数が1〜18のアルキル基、及び炭素原子数が1〜18の置換アルキル基が最も好ましい。R5及びR6は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0026】
前記一般式(II)において、B1は、=C(R3)−又は=N−を表す。B2は、−C(R4)=又は−N=を表す。B1及びB2が、同時には−N=とならない場合が好ましく、B1が=C(R3)−、B2が−C(R4)=となる場合がより好ましい。
【0027】
前記一般式(I)及び一般式(II)において、R1とR5と、R3とR6とは、及び/又は、R1とR2とは、互いに結合して芳香族環又は複素環を形成していてもよい。
【0028】
本明細書において、脂肪族基とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。
前記脂肪族基は、分岐状であってもよいし、また環状であってもよい。前記脂肪族基における炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜18がより好ましい。
前記アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分は、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基におけるアルキル部分の置換基としては、前記R1、R2、R3及びR4で挙げた置換基の例と同様のものが挙げられる。
前記置換アラルキル基におけるアリール部分の置換基としては、下記置換アリール基における置換基の例と同様のものが挙げられる。
【0029】
本明細書において、芳香族基とは、アリール基及び置換アリール基を意味する。前記アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記置換アリール基におけるアリール部分は、上記アリール基の場合と同様である。
前記置換アリール基における置換基としては、前記R1、R2、R3及びR4で挙げた置換基の例と同様のものが挙げられる。
【0030】
前記一般式(I)において、Yは、不飽和複素環基を表す。Yとしては、5員又は6員の不飽和複素環が好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
前記不飽和複素環としては、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ピリミジン環、ピリジン環、及びキノリン環等が好ましい。また、前記不飽和複素環基は、前記R1〜R4で挙げた置換基を有していてもよい。
【0031】
前記一般式(II)において、Xはカラー写真カプラーの残基を表す。前記カプラーとしては、以下のカプラーが好ましい。
イエローカプラーとしては、米国特許3,933,501号、同4,022,620号、同4,326,024号、同4,401,752号、同4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許1,425,020号、同1,476,760号、米国特許3,973,968号、同4,314,023号、同4,511,649号、欧州特許249,473A号、同502,424A号の式(I)、(II)で表されるカプラー、同513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))等が挙げられる。
【0032】
マゼンタカプラーとしては、米国特許4,310,619号、同4,351,897号、欧州特許73,636号、米国特許3,061,432号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60−33552号、同60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許4,500,630号、同4,540,654号、同4,556,630号、国際公開WO88/04795号、特開平3−39737号(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下)、欧州特許456,257号の〔A−4〕−63(134頁),〔A−4〕−73,−75(139頁)、同486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁)、同571,959A号のM−45(19頁)、特開平5−204106号の(M−1)(6頁)、同4−362631号の段落0237のM−22等が挙げられる。
【0033】
シアンカプラーとしては、米国特許4,052,212号、同4,146,396号、同4,228,233号、同4,296,200号、欧州特許73,636号、特開平4−204843号のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345号のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号の請求項1の一般式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラー等が挙げられる。
【0034】
その他、特開昭62−215272号(91頁)、特開平2−33144号(3頁,30頁)、EP355,660A(4頁,5頁,45頁,47頁)記載のカプラーも有用である。
【0035】
前記一般式(I)で表される染料の中でも、マゼンタ染料としては、下記一般式(III)で表される染料が、特に好ましい。
【0036】
【化2】
【0037】
前記一般式(III)において、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1としては、σp値が0.30以上1.0以下の電子吸引性基が好ましい。好ましい具体的な置換基としては、後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、その中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基がより好ましく、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基がさらに好ましく、シアノ基が特に好ましい。
【0038】
R1〜R6は、前記一般式(I)と同義である。
Z2は、水素原子、脂肪族基、又は芳香族基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。その中でも、Qとしては、5員環〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましく、芳香族基又は複素環基がより好ましい。前記5員環〜8員環は、置換されていてもよく、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。前記非金属原子群としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子又は炭素原子が好ましい。
前記5員環〜8員環としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が好適に挙げられ、これらの環がさらに置換基を有する場合、該置換基としては、前記R1〜R4で例示した基が好ましい。
なお、前記一般式(III)で表される染料の好ましい構造としては、特願2000−220649号に記載がある。
【0039】
前記一般式(II)で表される染料の中でも、マゼンタ染料としては、下記一般式(IV)で表される染料が、特に好ましい。
【0040】
【化3】
【0041】
前記一般式(IV)において、Gは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、エステル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アミド基、又はスルホンアミド基を表す。
またR1、R2、A、B1及びB2は、前記一般式(II)と同義であり、それらの好ましい範囲も、前記一般式(II)と同様である。
Lは、5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表し、該含窒素複素環を形成する原子群は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、エステル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アミド基、又はスルホンアミド基のうち、少なくとも1つで置換されていてもよく、さらに別の環と縮合環を形成してもよい。
【0042】
前記一般式(IV)で表される染料において、Aとしては、−NR5R6が好ましく、Lとしては、5員の含窒素複素環を形成するのが好ましく、5員の含窒素複素環としては、例えば、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が好ましい。
【0043】
次に、前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される染料のうち、マゼンタ染料の例示化合物は、特願2002−10361号の段落番号[0068]から[0085]に記載されているが、本発明は、これらにより何ら限定されるものではない。また、本発明に使用可能な化合物は、前記例示化合物のほか、特願平11−365187号、同11−365190号、特願2000−220649号に記載されているが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明の式(III)で表される色素は、例えば、特願2000−220649号、特開昭55−161856号公報に記載された方法を参考にして合成することができる。
本発明の式(IV)で表される色素は、例えば、特開平4−126772号、特公平7−94180号公報及び特願2000−78491号に記載された方法を参考にして合成することができる。
【0045】
前記一般式(II)で表される染料のうち、シアン染料としては、下記一般式(V)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料が、特に好ましい。
【0046】
【化4】
【0047】
前記一般式(V)において、A、R1、R2、B1及びB2は、前記一般式(II)と同義であり、それらの好ましい範囲も、前記一般式(II)と同様である。
Z3及びZ4は、各々独立に、前記一般式(IV)におけるGと同義である。Z3及びZ4は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
Mは、前記一般式(V)の5員環に縮合した1,2,4−トリアゾール環を形成できる原子団であって、縮合部のにおける2つの原子B3及びB4のいずれか一方は窒素原子であり、他方は炭素原子である。
【0048】
さらに、前記一般式(V)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料の中でも、Z3が、ハメット置換基定数σp値0.30以上の電子吸引性基であるものは、吸収がシャープなのでより好ましく、ハメット置換基定数σp値0.45以上の電子吸引性基であるものはさらに好ましく、ハメット置換基定数σp値0.60以上の電子吸引性基であるものは特に好ましい。
そして、Z3及びZ4のハメット置換基定数σp値の和が0.70以上のものはシアン色として優れた色相を呈し、最も好ましい。
【0049】
なお、前記一般式(V)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料は、置換基を変更することによりマゼンタ染料として用いることもできるが、シアン染料として用いるのが好ましい。
【0050】
ここで、本明細書で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則とは、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるため、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。
ハメット則に求められた置換基定数には、σp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や、「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
【0051】
なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であっても、ハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
また、本発明の前記一般式(I)〜前記一般式(V)の中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。従って、本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
【0052】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)等が挙げられる。
【0053】
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、前記に加え、アシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)等が挙げられる。
【0054】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)等が挙げられる。
【0055】
σp値が0.20以上の電子吸引性基としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0056】
本発明におけるピロロトリアゾールアゾメチン染料のうち、シアン染料の例示化合物(C−1〜9)は、特願2002−10361号の段落番号[0100]〜[0102]に示されているが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0057】
本発明に使用可能な染料としては、さらに特願平11−365188号明細書に記載されている例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
【0058】
本発明の油溶性染料として使用するイエロー色素としては、下記一般式(Y−I)で表される化合物(染料)が好ましい。
【0059】
【化5】
【0060】
一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0061】
一般式(Y−I)において、Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0062】
前記一般式(Y−I)において、Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0063】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0064】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、下記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0065】
【化6】
【0066】
前記一般式(Y−II)において、R1及びR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R4は複素環基を表す。
【0067】
【化7】
【0068】
前記一般式(Y−III)において、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(R11)=を表し、前記R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R6は複素環基を表す。
【0069】
【化8】
【0070】
一般式(Y−IV)において、R7及びR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。R10は複素環基を表す。
【0071】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるR1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表す置換基について以下に詳述する。
【0072】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
【0073】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0074】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0075】
R1、R2、R3、R5、R7、及びR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
【0076】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0077】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0078】
R2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0079】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。
R1、R3、R5、及びR8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0080】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
【0081】
R8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0082】
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0083】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、
前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0084】
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0085】
R2、R7、R8、及びR9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
R8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0086】
R8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0087】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0088】
R4、R6、R10で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0089】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(R11)=を表す。R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0090】
【化9】
【0091】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0092】
前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−155)は特願2002−10361号の段落番号[0139]〜[0149]に示されているが、本発明に用いられる染料は、下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成できる。
【0093】
さらに、本発明の油溶性染料として好適に使用される油溶性色素としては、下記一般式(M−I)で表される化合物(以下、「アゾ染料」と称する場合がある)が好ましい。以下に、本発明の一般式(M−I)で表される化合物について説明する。
【0094】
【化10】
【0095】
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。
B1及びB2は、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すか、あるいは、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−又は−CR2=を表す。
R5,R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。各基は更に置換基を有していてもよい。
G、R1,R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基又はアリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルアリールスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、又はヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。
また、R1とR5、又はR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
【0096】
本発明の前記一般式(M−I)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。該5員複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。
Aの好ましい複素環の例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、下記一般式(M−a)から(M−f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0097】
【化11】
【0098】
前記一般式(M−a)〜(M−f)のR7〜R20は、後に説明する置換基G、R1及びR2と同じ置換基を表す。
前記一般式(M−a)〜(M−f)のうち、好ましいのは一般式(M−a)及び(M−b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(M−a)で表されるピラゾール環である。
B1及びB2は、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すか、あるいは、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−又は−CR2=を表すが、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すものがより好ましい。
R5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R5及びR6で表される好ましい置換基には、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、又は複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。ただし、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
【0099】
G、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基若しくはアリール基若しくは複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0100】
Gで表される好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基、アリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基若しくはアリール基若しくは複素環基で置換されたアミノ基、又はアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0101】
R1及びR2で表される好ましい置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基及びシアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
R1とR5、又は、R5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、前記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げることができる。
【0102】
以下、G、R1及びR2で表される置換基について詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、及び置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基を挙げることができる。
【0103】
本明細書において、芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい。
芳香族基の例としては、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環、又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員又は6員環の複素環基が好ましい。置換基の例としては、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例としては、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、及び2−フリル基が含まれる。
【0104】
前記アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基の例としては、各々、メタンスルホニル基及びフェニルスルホニル基を挙げることができる。
前記アルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基の例としては、各々、メタンスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0105】
前記アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例としては、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
【0106】
前記アミノ基には、アルキル基、アリール基、及び複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、及び複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が挙げられる。
前記アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基及び2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0107】
前記アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0108】
前記アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0109】
前記アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0110】
前記ウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。ウレイド基の例としては、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基及び3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0111】
前記スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例としては、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0112】
前記アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例としては、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0113】
前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基の例としては、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0114】
前記カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例としては、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0115】
前記スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例としては、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0116】
前記アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
【0117】
前記アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例としては、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0118】
前記カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例としては、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0119】
前記アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0120】
前記アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例としては、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0121】
前記アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と、無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例としては、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0122】
本発明において、特に好ましいアゾ染料は、下記一般式(M−II)で表される化合物である。
【0123】
【化12】
【0124】
前記一般式(M−II)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表す。Z1はσp値が0.30〜1.0の電子求引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子求引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0125】
R1、R2、R5、及びR6は、前記一般式(M−I)の場合と同義である。
R3及びR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。その中でも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が、特に好ましい。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。その中でも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも、特に、芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子及び炭素原子が挙げられる。5〜8員環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環、及びチアン環等が挙げらる。
【0126】
前記一般式(M−II)で説明した各基は、更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、前記一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1及びR2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0127】
ここで、置換基Z1に関連して、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合に、その範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(M−I)及び(M−II)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
【0128】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子求引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基〔例えば、メタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基〕を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子求引性基としては、上記に加えアシル基(例えば、アセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)を挙げることができる。
【0129】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子求引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子求引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0130】
前記一般式(M−I)で表される化合物として、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
(イ)R5及びR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5及びR6が共に水素原子であることはない。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1及びB2は、各々=CR1−、−CR2=であり、そしてこれらR1、R2は、各々、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
【0131】
なお、一般式(M−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0132】
前記一般式(M−I)で表される化合物の例示化合物(a−1〜a−27、b−1〜b−6、c−1〜c−3、d−1〜d−4、e−1〜e−4)は特願2002−10361号の段落番号[0190]〜[0198]に示されているが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0133】
本発明における油溶性色素としては、下記一般式(C−I)で表される化合物(以下、「フタロシアニン染料」と称する場合がある)を用いることが好ましい。以下に、一般式(C−I)で表される化合物について説明する。
【0134】
【化13】
【0135】
前記一般式(C−I)において、X1、X2、X3及びX4は、各々独立に、−SO−Z1、−SO2−Z1、又は−SO2NR21R22を表す。
【0136】
Z1は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、特に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0137】
R21及びR22は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、特に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。ただしR21及びR22の両方が水素原子であることはない。
【0138】
R21、R22及びZ1が表す、置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0139】
R21、R22及びZ1が表す、置換基を有するシクロアルキル基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0140】
R21、R22及びZ1が表す、置換基を有するアルケニル基又は無置換のアルケニル基は、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0141】
R21、R22及びZ1が表す、置換基を有するアラルキル基又は無置換のアラルキル基は、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
【0142】
R21、R22及びZ1が表すアリール基の置換基としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じもの挙げられる。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が挙げられ、中でもヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基が更に好ましい。
【0143】
R21、R22及びZ1が表すヘテロ環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても非芳香族ヘテロ環であってもよい。
以下に、R21、R22及びZ1で表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。
ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。この中でも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
【0144】
Y1、Y2、Y3及びY4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、各々は、さらに置換基を有していてもよい。
【0145】
これらの中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0146】
Z1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
【0147】
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜30の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜30の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基で、詳しくは(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、及び4級アンモニウム基)等が挙げられる。
【0148】
a1〜a4、b1〜b4は、各々、X1〜X4、Y1〜Y4の置換基数を表し、a1〜a4は各々独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4は各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、a1〜a4の総和は2以上である。ここで、a1〜a4及びb1〜b4が2以上の整数を表すとき、複数のX1〜X4及びY1〜Y4は各々同一でも異なっていてもよい。
【0149】
a1、b1は、a1+b1=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a1が1又は2を表し、b1が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa1が1を表し、b1が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0150】
a2、b2は、a2+b2=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a2が1又は2を表し、b2が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa2が1を表し、b2が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0151】
a3、b3は、a3+b3=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a3が1又は2を表し、b3が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa3が1を表し、b3が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0152】
a4、b4は、a4+b4=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a4が1又は2を表し、b4が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa4が1を表し、b4が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0153】
Mは、水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表す。
Mとして好ましいものは、水素原子、金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。また、水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。これらの中でも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0154】
また、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)又は3量体を形成してもよく、その場合のMは、各々、同一であっても異なるものであってもよい。
【0155】
Lで表される2価の連結基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、イミノ基(−NH−)、又はメチレン基(−CH2−)が好ましい。
【0156】
前記一般式(C−I)で表される化合物として、特に好ましい組み合わせは以下の通りである。
【0157】
X1〜X4としては、各々独立に、−SO2−Z1又は−SO2NR21R22が特に好ましい。
【0158】
Z1は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0159】
R21及びR22は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0160】
Y1〜Y4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0161】
a1〜a4は、各々独立に、1又は2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。b1〜b4は、各々独立に、3又は2であることが好ましく、特に3であることが好ましい。
【0162】
Mは、水素原子、金属元素又はその酸化物、水酸化物若しくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
【0163】
前記一般式(C−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0164】
前記一般式(C−I)で表される化合物の中でも、下記一般式(C−II)で表される構造の化合物がより好ましい。
【0165】
【化14】
【0166】
前記一般式(C−II)において、X11〜X14、Y11〜Y18は、前記一般式(C−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4と各々同義であり、好ましい例も同様である。また、M1は、前記一般式(C−I)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
【0167】
具体的には、前記一般式(C−II)中、X11、X12、X13及びX14は、各々独立に、−SO−Z11、−SO2−Z11、又は−SO2NR23R24を表す。
Z11は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
R23は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、R24は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17及びY18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、各々の基は、さらに置換基を有していてもよい。
a11〜a14は各々X11〜X14の置換基数を表し、各々独立に、0〜2の整数を表すが、すべてが同時に0になることは無い。なお、a11〜a14が2を表すとき、2つのX11〜X14は各々同一でも異なっていてもよい。
M1は水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物である。
【0168】
前記一般式(C−II)中、好ましくはa11〜a14は、4≦a11+a12+a13+a14≦8の範囲である各々独立の1又は2の整数を表し、特に好ましいのは、4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのは、a11=a12=a13=a14=1のときである。
【0169】
一般式(C−II)で表される化合物の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
【0170】
X11〜X14としては、各々独立に−SO2−Z11又は−SO2NR23R24が特に好ましい。
【0171】
Z11は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0172】
R23は、各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0173】
R24は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0174】
Y11〜Y18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0175】
a11〜a14は、各々独立に、1又は2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。
【0176】
M1は、水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表し、特に、Cu、Ni、Zn、Alが好ましく、その中でもCuが最も好ましい。
【0177】
前記一般式(C−II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0178】
前記一般式(C−I)で表される化合物は、その合成法によって不可避的に置換基Rn(n=1〜4)及びYq(q=1〜4)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、これら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明は、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。
【0179】
本発明においては、前記一般式(C−I)及び(C−II)で表される化合物であるフタロシアニン系色素類縁体混合物を、置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
【0180】
(1)β−位置換型:(2及び/又は3位、6及び/又は7位、10及び/又は11位、14及び/又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
【0181】
(2)α−位置換型:(1及び/又は4位、5及び/又は8位、9及び/又は12位、13及び/又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
【0182】
(3)α,β−位混合置換型:(1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
【0183】
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置)フタロシアニン系染料の誘導体を説明する場合、上記β−位置換型、α−位置換型、α,β−位混合置換型を使用する。
【0184】
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用若しくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0185】
本発明の一般式(C−I)で表される化合物は、WO00/17275、同00/08103、同00/08101、同98/41853、特開平10−36471号の各公報などに記載されているように、例えば、無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として本発明の化合物を合成する時には、ヘテロ環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、本発明の化合物としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β−位混合置換型混合物として得られる。
【0186】
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を多くフタロシアニン核に導入すると、酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
【0187】
それに対して、本発明の一般式(C−II)で表される化合物は、例えば、下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を下記一般式(C−III)で表される金属誘導体と反応させて得られる化合物から誘導できる。
【0188】
【化15】
【0189】
化合物P、Q中、pは、11〜14を表し、q及びq’は、各々独立に、11〜18を表す。
【0190】
一般式(C−III)
M−(Y)d
前記一般式(C−III)において、Mは、前記一般式(C−I)及び(C−II)で表される化合物におけるMと同義であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数を表す。
【0191】
即ち、上記の合成法に従えば、望みの置換基を特定の数だけ導入することができる。特に、本発明のように酸化電位を高くするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記合成法は一般式(C−I)で表される化合物の合成法と比較して極めて優れている。
【0192】
かくして得られる前記一般式(C−II)で表される化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(C−II−1)〜(C−II−4)で表される化合物の混合物、即ちβ−位置換型(2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)となっている。
【0193】
【化16】
【0194】
【化17】
【0195】
前記一般式(C−II−1)〜(C−II−4)において、R1〜R4は、前記一般式(C−II)における(X11)a11〜(X14)a14と同義である。
【0196】
本発明では、いずれの置換型においても酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることが堅牢性の向上に非常に重要であることが見出されている。中でもα,β−位混合置換型よりはβ−位置換型の方が、色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において優れている傾向にある。
【0197】
前記一般式(C−I)又は(C−II)で表される化合物の例示化合物(C−101〜C−120)は特願2002−10361号の段落番号[0264]〜[0267]に示されているが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0198】
前記一般式(C−I)で表される化合物は、前述した特許に従えば合成することが可能である。また、一般式(C−II)で表される化合物は、特願2000−24352号、同2000−47013号、同2000−57063号、同2000−96610号の各明細書に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、色素中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
【0199】
本発明に使用される油溶性色素のインク組成物における含有量としては、インク組成物に対して0.05〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0200】
(着色微粒子分散物)
前記本発明の着色微粒子分散物は、油溶性染料そのものか、油溶性染料と油溶性ポリマーとを含む着色微粒子を水性媒体に分散してなり、前記着色微粒子分散物は、沸点150℃以上の疎水性高沸点有機溶媒やマゼンタ以外の色にする、あるいは色調の調節のためにその他の着色剤が含まれていても良い。
更に詳しく述べると、前記着色微粒子分散物とは、油溶性染料そのものか、又は油溶性染料と油溶性ポリマーと、必要に応じて疎水性高沸点有機溶媒やその他の着色剤が、水性媒体中に微粒子状の油滴として分散された、いわゆる乳化分散物状態になっているものである。
なお、本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて添加剤などを添加したものを意味する。
【0201】
<油溶性ポリマー>
前記油溶性ポリマーについて詳細に説明する。前記油溶性ポリマーは、特に制限はなく、従来公知のものを目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート)を挙げる事が出来る。
前記油溶性ポリマーとしては、水不溶性型、水分散(自己乳化)型、水溶性型の何れであっても良いが、着色微粒子の製造容易性、分散安定性等の点で水分散型のものが好ましい。
【0202】
前記水分散型のポリマーとしては、イオン解離型のもの、非イオン性分散性基含有型のもの、あるいはこれらの混合型のもののいずれであっても良い。
前記イオン解離型のポリマーとしては、三級アミノ基などのカチオン性の解離基を有するポリマーや、カルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離基を含有するポリマーが挙げられる。
前記非イオン性分散性基含有型のポリマーとしては、ポリエチレンオキシ基などの非イオン性分散性基を含有するポリマーが挙げられる。
これらの中でも、着色微粒子の分散安定性の点で、アニオン性の解離性基を含有するイオン解離型のポリマー、非イオン性分散性基含有型のポリマー、これらの混合型のポリマーが好ましい。
【0203】
前記ビニルポリマーと前記ビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181547号、特開2001−181549号に記載されている。モノマーのその他の例としては、シアノ基含有ビニルモノマー(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、カルボキシル基を有するモノマーでありポリマーを形成した場合にポリマー主鎖に直結しないモノマー(例えば、カルボキシエチルアクリレート、4−ビニル安息香酸、2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシカルボニル)プロパン酸など)が挙げられる。
また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤,イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したポリマーも好ましい。
前記縮合系ポリマーと前記縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、を形成するモノマーは、特開2001−226613号広報に記載されている。
【0204】
前記油溶性ポリマーは、必要な構成原料を1種づつ用いても良いし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性、着色剤との親和性、着色剤との相溶性、分散物の安定性)に応じて、それぞれ2種以上を任意の割合で用いる事ができる。
【0205】
前記油溶性ポリマーの中でも、前記解離性基を有するものが好ましく、前記解離性基としてカルボキシル基及びスルホン酸基の少なくとも一方を有するものがより好ましく、前記解離性基としてカルボキシル基を有するものが特に好ましい。
【0206】
また前記の各ポリマーの重合後に、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応性基に対し、酸無水物(例えば無水マレイン酸)等の反応によって解離基を導入できる化合物を作用させて導入する事もできる。
前記解離性基の含量としては、0.1〜3.0mmol/gが好ましく、0.2〜2.0mmol/gがより好ましい。なお、前記解離性基の含量が、少ない場合にはポリマーの自己乳化性が小さく、多い場合には水溶性が高くなり、着色剤の分散に適さなくなる傾向がある。
【0207】
なお、前記解離基として、前記アニオン性の解離基としては、更に、アルカリ金属(例えばNa、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩などであってもよく、前記カチオン性の解離基としては、更に、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸)や無機酸(塩酸、硫酸など)の塩であってもよい。
【0208】
前記油溶性ポリマーの分子量(Mw)としては、通常1000から200000であり、2000〜50000が好ましい。分子量が1000未満であると、安定な着色微粒子分散物を得るのが難しくなる傾向にあり、200000より大きい場合、有機溶媒への溶解性が悪くなったり、有機溶媒溶液の粘度が増加して分散し難くなる傾向がある。
【0209】
前記油溶性ポリマーにおいて、着色剤との親和性、着色剤との相溶性の付与、優れた分散安定性付与の観点での解離基導入の容易さ等を勘案すると、特に好ましいのはビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルである。
【0210】
前記ビニルポリマーの具体例としては、特開2001−181549号記載のP−1)〜P−105)が挙げられ、それ以外に、PA−1)〜PA−11)を以下に列挙する。括弧内の比は質量比を意味する。前記縮合系ポリマーの具体例は、特開2001−226613号記載のP−1)〜P−38)が挙げられる。
なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0211】
PA−1)2−カルボキシエチルアクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体(10:90)
PA−2)2−カルボキシエチルアクリレート/ジフェニルアクリルアミド/イソブチルメタクリレート共重合体(15:10:75)
PA−3)2−カルボキシエチルアクリレート/n−ブチルメタクリレート/ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート共重合体(10:60:30)
PA−4)N−(3−カルボキシプロピル)アクリルアミド/tert−ブチルメタクリルアミド/ブチルアクリレート共重合体(12:18:70)
PA−5) 連鎖移動剤にメルカプト酢酸を用いたポリn−ブチルメタクリレート(3.4:96.6)
PA−6) 連鎖移動剤に2−メルカプトコハク酸を用いたイソブチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体(4:40:56)
PA−7)アクリロニトリル/メタクリロニトリル/イソプロピルメタクリレート/2−カルボキシエチルアクリレート共重合体(40:40:15:5)
PA−8)ブチルアクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体(20:80)
PA−9)N−t−ブチルアクリルアミド/n−ブチルメタクリレート共重合体(50:50)
PA−10)N−t−ブチルアクリルアミド/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30:67:3)
PA−11)コハク酸モノ(アクリロイルオキシエチル)/n−ブチルメタクリレート共重合体(15:85)
【0212】
−着色微粒子分散物の製造−
本発明の着色微粒子分散物は、前記油溶性染料のみ、又はこれと前記油溶性ポリマーとを水性媒体(少なくとも水を含有する液)中に着色微粒子の形で分散させることにより製造される。後者の具体例としては、予め前記油溶性ポリマーのラテックスを調製しこれに前記油溶性染料を含浸させる方法、あるいは共乳化分散法などが挙げられる。
これらの中でも、共乳化分散法が好ましい。共乳化分散法としては、油溶性ポリマーと油溶性染料とを含有する有機溶媒に水を添加すること、及び、水中に該有機溶媒を添加すること、のいずれかにより、該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法が好適に挙げられる。
【0213】
なお、前記ラテックスとは、水性媒体に不溶な前記油溶性ポリマーが微細な粒子として水性媒体中に分散したものを意味する。前記分散の状態としては、前記油溶性ポリマーが前記水性媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいは前記油溶性ポリマーが分子中に部分的に親水的な構造をもち分子鎖自身が分子状分散したもの、などのいずれであってもよい。
【0214】
まず、予め前記ポリマーラテックスを作成し、これに前記油溶性染料を含浸する方法について説明する。
この方法の第一の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製する第二の工程と、前記油溶性染料含有液と前記ポリマーラテックスを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第二の例は、ポリマーラテックスを調製する第一の工程と、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製し、この油溶性染料含有液と少なくとも水を含む液とを混合して着色剤微粒子分散液を調製する第二の工程と、前記ポリマーラテックスと前記着色剤微粒子分散液とを混合し、着色微粒子分散物を調製する第三工程とを含む。
この方法の第三の例としては、特開昭55−139471号公報に記載の方法が挙げられる。
【0215】
次に、前記共乳化分散法について説明する。
この方法の第一の例は、有機溶剤に前記油溶性染料と前記油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー着色剤混合液を調製する第一の工程と、前記ポリマー着色剤混合液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第二の工程とを含む。
この方法の第二の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製する第一の工程と、有機溶剤に油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記油溶性染料含有液と前記ポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第三の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製し、この油溶性染料含有液と少なくとも水を含む液とを混合して油溶性染料微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液と少なくとも水を含む液とを混合してポリマー微粒子分散液を作製する第二の工程と、前記油溶性染料微粒子分散液と前記ポリマー微粒子分散液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第四の例は、有機溶剤に前記油溶性染料を分散あるいは溶解した油溶性染料含有液を調製し、この油溶性染料含有液と少なくとも水を含む液とを混合して油溶性染料微粒子分散液を調製する第一の工程と、有機溶剤に油溶性ポリマーを分散あるいは溶解したポリマー溶液を調製する第二の工程と、前記油溶性染料微粒子分散液と前記ポリマー溶液とを混合して着色微粒子分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第五の例は、前記油溶性染料と油溶性ポリマーに対し、少なくとも水を含む液とを混合して、直接、着色微粒子分散物を調製する工程である。
【0216】
前記着色微粒子分散物において、前記油溶性ポリマーの使用量としては、前記油溶性染料100質量部に対し、10〜1000質量部が好ましく、50〜600質量部がより好ましい。ポリマーの使用割合が10質量部未満であると、微細で安定な分散が難しくなる傾向にあり、1000質量部を超えると、着色微粒子分散液中の油溶性染料の割合が少なくなり、着色微粒子分散液を水系インクとして使用した場合に配合設計上の余裕が無くなる傾向がある。
【0217】
前記着色微粒子の着色微粒子分散物における含有量としては、1〜45質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。前記含有量は、希釈、蒸発、限外濾過等により適宜調整することができる。
前記着色微粒子の平均粒径としては、1〜500nmが好ましく、3〜300nmがより好ましく、3〜200nmが特に好ましい。粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。前記粒径、前記粒径分布は、遠心分離、濾過等の手段により、調整することもできる。
【0218】
−有機溶剤−
前記着色微粒子分散物を製造する際に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、前記油溶性染料や前記油溶性ポリマーの溶解性に基づいて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
有機溶剤は単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。また前記油溶性染料やポリマーの溶解性によっては、水との混合溶媒であっても良い。
【0219】
前記有機溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記油溶性ポリマー100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。
前記有機溶剤の使用量が、10質量部未満であると、着色微粒子の微細で安定な分散が難しくなる傾向があり、2000質量部を超えると、前記有機溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、かつ配合設計上の余裕がなくなる傾向がある。
【0220】
前記有機溶剤は、有機溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、着色微粒子分散物の安定性及び安全衛生上の観点から有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する方法は溶剤の種類に応じて各種の公知の方法を用いることが出来る。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この有機溶剤の除去工程は乳化直後、出来るだけ速やかに行うのが好ましい。
【0221】
<親水性有機溶剤>
親水性有機溶剤は乾燥防止剤や浸透促進剤の目的で使用される。親水性有機溶剤としては水より蒸気圧の低い親水性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン等に代表される多価アルコール類、アミルアルコール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等に代表される置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物が挙げられる。
これらのうち多価アルコール類と置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類が好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類とがより好ましい。また上記の前記親水性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの親水性有機溶剤はインク中に5〜60質量%含有することが好ましく、7〜50質量%含有することがさらに好ましく、10〜40質量%含有することが特に好ましい。
【0222】
<界面活性剤>
界面活性剤は、主に、インク組成物の動的表面張力を調整するために添加する。界面活性剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0223】
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少ないことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤(例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物など)、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤(例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(AirProducts&Chemicals社))など)が好ましく、中でも、分子量200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものが更に好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
界面活性剤の含有量は、インク組成物中、0.5〜5.0質量%が好ましく、特に1.0〜3.0質量%が好ましい。
【0224】
本発明のインクの動的表面張力は界面活性剤や、親水性有機溶媒を使用して、25〜35mN/mとする。動的表面張力は、さらに27〜33mN/mが好ましい。ここで、動的表面張力とは、最大泡圧法を用いた測定機で測定した値であり、泡の発生周期は100ms以上である。
また、動的表面張力をこのような範囲に調整するには、界面活性剤の含有量を全固型分の1%以上とする方法が挙げられる。
【0225】
<添加剤>
本発明のインク組成物は、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した添加剤を含んでいてもよい。
このような添加剤としては、例えば、中和剤、疎水性高沸点有機溶媒、分散剤、分散安定剤などが挙げられる。
【0226】
前記中和剤は、前記油溶性ポリマーが未中和の解離性基を有する場合に、着色微粒子分散物のpH調節、自己乳化性調節、分散安定性付与等の点で好適に使用することができる。
前記中和剤としては、有機塩基、無機アルカリなどが挙げられる。
【0227】
前記有機塩基としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニアなどが挙げられる。
前記中和剤は、着色微粒子分散物における分散安定性を向上させる観点からは、pH4.5〜10.0となるよう添加するのが好ましく、pH6.0〜10.0となるよう添加するのがより好ましい。
【0228】
前記疎水性高沸点有機溶媒は、着色微粒子分散物の粘度、比重、及び印字性能の調整などに用いられる。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、疎水性であり、沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。ここで「疎水性」とは、25℃における蒸留水に対する溶解度が3%以下であることをいう。また、前記疎水性高沸点有機溶媒の誘電率は3〜12であるのが好ましく、4〜10であるのがより好ましい。尚、ここで、誘電率とは25℃における真空に対する比誘電率をいう。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、米国特許第2,322,027号明細書、特願平2000−78531号明細書に記載等に記載の化合物を用いることができる。具体的には、リン酸トリエステル類、フタル酸ジエステル類、アルキルナフタレン類、安息香酸エステル類などが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
前記高沸点溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記油溶性ポリマー100質量部に対し、0〜1000質量部が好ましく、0〜300質量部がより好ましい。
【0229】
前記分散剤及び/又は分散安定剤は前記ポリマーラテックス、前記油溶性染料含有液、前記ポリマー油溶性染料混合液、前記着色剤微粒子分散液、前記ポリマー溶液、少なくとも水を含む液等のいずれに添加してもよいが、前記ポリマーラテックス及び/又は着色剤微粒子分散液を調製する前工程の、前記油溶性染料含有液、水を含む溶液に添加するのが好ましい。
前記分散剤、分散安定剤としては、カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、水溶性又は水分散性の低分子化合物、オリゴマー等が挙げられる。前記分散剤、分散安定剤の添加量としては、前記油溶性染料と前記油溶性ポリマーとの合計に対し、0〜100質量%であり、0〜20質量%が好ましい。
【0230】
(インク組成物、インクジェット用インク及びインクジェト記録方法)
本発明のインク組成物、及びインクジェット用インクは、前記着色微粒子分散物を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の添加剤を含有してなる。該インク組成物に含有される油溶性染料は、被記録材料などに対して染料、及び着色剤などとして作用する。該インク組成物は、インクジェット用として好ましく用いられる。
【0231】
本発明のインクジェット記録用インクは、いかなるインクジェット記録方式にも適用でき、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(R))方式、等に好適に使用される。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0232】
−その他の添加剤−
添加剤として、親水性有機溶剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等を適宜選択して適量使用することができる。これらの添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0233】
本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましく、粘度を調整する目的で粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー等があげられる。
【0234】
分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0235】
−被記録材−
本発明のインクを用いたインクジェット記録方法に使用される被記録材としては、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。被記録材としてコート紙を用いると、画質が向上するので好ましい。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報などに記載されている。
【0236】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0237】
(製造例)
−製造例1(着色微粒子分散物(B−1)の調製)−
テトラヒドロフラン 4部、tert−ブタノール 6部、油溶性ポリマー(PA−6) 1.5部、及び下記油溶性染料(a−17) 0.5部の混合溶液に、2mol/Lの水酸化ナトリウムを油溶性ポリマーの酸が中和される量だけ徐々に加えた後、70℃まで昇温させた。その後、攪拌しながら、水30部を徐々に添加し転相乳化した。この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分16%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で22nmであった(マイクロトラックUPA150;日機装(株)社製で測定)。以下、これを着色微粒子分散物(B−1)と略記する。
【0238】
−製造例2(着色微粒子分散物(B−2)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、油溶性ポリマー(PA−1) 1.4部、油溶性染料(a−17) 0.6部の混合溶液を調製した。一方、前記油溶性ポリマーの酸が中和される量の2mol/L水酸化ナトリウム、水15部、及びジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム 0.3部の混合液を調整した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、固形分13.3%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で82nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−2)と略記する。
【0239】
−製造例3(着色微粒子分散物(B−3)の調製)−
酢酸エチル 3部、シクロヘキサノン 0.5部、油溶性ポリマー(PA−9)0.8部、油溶性染料(a−17) 0.6部、下記疎水性高沸点有機溶媒(S−1)0.4部の混合溶液を調製した。一方、前記油溶性ポリマーの酸が中和される量の2mol/L水酸化ナトリウム、水15部、及びジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム 0.3部の混合液を調整した。前記2種の混合液を合わせ、ホモジナイザーにて混合乳化した後、減圧下30℃で濃縮し、不揮発分14.0%の着色微粒子分散物を調製した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で77nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−3)と略記する。
【0240】
−製造例4(着色微粒子分散物(B−4)の調製)−
下記油溶性染料(a−7)6.4部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.0部、油溶性ポリマー(PA−10)7.8部を下記疎水性高沸点有機溶媒(S−1)5.0部、及び酢酸エチル50部中に70℃にて溶解させた。この液に400部の脱イオン水をマグネチックスターラーで攪拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒子分散物を作製した。次に、この粗粒子分散物をマイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更に、出来上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて160部に濃縮した。着色微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、体積平均径で48nmであった。以下、これを着色微粒子分散物(B−4)と略記する。
【0241】
【化18】
【0242】
【化19】
【0243】
−製造例5〜10−
製造例1に準じた方法で、製造例5を、製造例2に準じた方法で、製造例6を、製造例3に準じた方法で、製造例7から10を製造した。用いた油溶性ポリマー及び油溶性染料を下記表1に示す。
【0244】
【化20】
【0245】
【表1】
【0246】
上記表の結果から明らかなように、分散性が良好で凝集が無く、粒径の小さな着色微粒子分散物が製造できる。
【0247】
[実施例1]
<インク01の作製>
下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク01を調製した。
・着色微粒子分散物(B−1) 50部
・ジエチレングリコール 8部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 2部
・グリセリン 5部
・ジエタノールアミン 1部
・ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)
の方末端2−ブチルオクタン酸エステル 2g
・水 全体で100部になる量
【0248】
[実施例2]
<インク02の作製>
前記インク01の作製において、前記着色微粒子分散物(B−1)を、製造例2で調製した着色微粒子分散物(B−2)に代えた以外は、前記インク01の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク02を調製した。
【0249】
[実施例3]
<インク03の作製>
下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク03を調製した。
・着色微粒子分散物(B−3) 50部
・ジエチレングリコール 8部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 2部
・グリセリン 5部
・ジエタノールアミン 1部
・オルフィンE1010 1.5部
・水 全体で100部になる量
【0250】
[実施例4〜7]
<インク04〜07の作製>
前記インク03の作製において、前記着色微粒子分散物(B−3)を、前記製造例4〜7で調製した着色微粒子分散物(B−4)〜(B−7)に各々代えた以外は、前記インク03の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク04〜07を各々調製した。
【0251】
[実施例8〜10]
<インク08〜10の作製>
前記インク03の作製において、オルフィンE1010の量を表2に示す値に代えた以外は、インク03の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク08〜10を調整した。
【0252】
[実施例11]
<インク11の作製>
前記インク03の作製において、更に下記式の界面活性剤を1.7部加えた以外は、前記インク03の作製と同様にして水性のインクジェット記録用インク11を調製した。
【0253】
【化21】
【0254】
[実施例12]
下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、水性のインクジェット記録用インク12を調製した。
・水溶性油溶性染料DD−2 4部
・ジエチレングリコール 8部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 5部
・グリセリン 5部
・ジエタノールアミン 1部
・ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)
の方末端2−ブチルオクタン酸エステル 1g
・水 全体で100部になる量
【0255】
−画像記録及び評価−
作製したインク01〜12を、インクジェットプリンターMC−2000(EPSON(株)製)のカートリッジに充填し、同機を用いて、PPC用普通紙とインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録し、以下の評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0256】
<動的表面張力>
協和界面科学社製BP−D3型機を用いて、泡の発生周期が100ms以上の条件で測定した(最大泡圧法)。
【0257】
<印刷性能評価>
カートリッジをプリンタにセットし、全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4用紙10枚に画像を出力し、印字の乱れを以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れが無かった。
B:印刷開始から終了までに時々印字の乱れが発生した。
C:印刷開始から終了まで印字の乱れがあった。
【0258】
<紙依存性評価>
前記フォト光沢紙に形成した画像とPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が殆どない場合をA、両画像間の差が小さい場合をB、両画像間の差が大きい場合をCとして、三段階で評価した。
【0259】
<耐水性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みがないものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
【0260】
<耐光性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を10日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。
いずれの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、80%未満をB、70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0261】
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を3日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し油溶性染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、89〜80%をB、79〜70%未満をC、69〜50%をD、49%未満をEとして五段階で評価した。
【0262】
【表2】
【0263】
水溶性染料のインク12と比較して、本発明のインク組成物は、紙依存性、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れている。インク08は動的表面張力が高く、印刷性能が悪いのに対し、本発明のインク組成物は印刷性能に優れていた。
【0264】
【発明の効果】
本発明によると、ノズル等を用いて印字等を行った際、吐出性がよく、紙依存性がなく、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れるインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法を提供することができる。
Claims (3)
- 油溶性染料を含む着色微粒子分散物を含有する水性インク組成物であって、親水性有機溶剤及び界面活性剤を含有し、動的表面張力が25〜35mN/mである水性インク組成物。
- 界面活性剤の含有量が、0.5〜5質量%である請求項1記載の水性インク組成物。
- 請求項1又は2記載の水性インク組成物を用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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