JP4835041B2 - フマル酸ジエステル重合体の製造方法 - Google Patents

フマル酸ジエステル重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はフマル酸ジエステル重合体の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、優れた透明性を有するフマル酸ジエステル重合体の製造方法に関するものである。
フマル酸ジエステルから得られる単独重合体または共重合体は、一般的な熱可塑性ビニル重合体と比べて高い耐熱性を示し、さらに透明性に優れた樹脂となることが知られている。例えばフマル酸ジイソプロピルやフマル酸ジシクロヘキシルから得られる単独重合体は、200℃を越える軟化点、ガラス転移温度を有し、光学分野における様々な用途に使用可能な透明樹脂として有望な材料である(例えば特許文献1、非特許文献1参照。)。
このようなフマル酸ジエステル重合体は、ラジカル重合により製造することが可能である。また、その製造方法は、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の従来公知の方法により製造することができる。しかしながら、塊状重合は重合系が高粘度となり温度制御が困難である等の課題を有し、溶液重合では引火性溶媒中で重合を行うために安全性等に課題を有する。また、乳化重合は重合後の乳化剤の除去が困難である等の課題がある。さらに、沈殿重合によるフマル酸ジエステル重合体の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法では引火性溶媒中で重合を行う必要があること及び得られる重合体の分子量が比較的小さい等の課題がある(例えば特許文献1〜5参照。)。
一方、懸濁重合は重合系の温度制御が容易であること、水媒体中で実施可能であること、重合後の分散剤の除去が比較的容易であることから、工業的に好ましい製造方法とされている。
特公平05−040281号公報 特開昭58−198511号公報 特公平05−040281号公報 特開平05−194654号公報 特開2001−048935号公報 大津隆行著、未来材料、2002年、Vol.2、No.12発行、(第70〜74頁)
しかしながら、フマル酸ジエステル重合体を、懸濁重合における一般的な分散剤であるポリビニルアルコール存在下で懸濁重合により製造すると、重合体粒子中に取り込まれ、残存するポリビニルアルコールが、フマル酸ジエステル重合体の透明性を低下させるとともに、加熱時にフマル酸ジエステル重合体が着色するという課題があった。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、優れた透明性を有するフマル酸ジエステル重合体の製造方法を提供ものである。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の分散剤を用い懸濁重合により製造したフマル酸ジエステル重合体が優れた透明性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の一般式(1)で表されるフマル酸ジエステルを、水溶性セルロール、油溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行うことを特徴とするフマル酸ジエステル重合体の製造方法に関するものである。
Figure 0004835041
(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は炭素数3〜6の環状アルキル基である。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるフマル酸ジエステルとは、上記の一般式(1)で表されものであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は炭素数3〜6の環状アルキル基を示すものであり、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数3〜6の環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性に優れるフマル酸ジエステル重合体の製造が可能となることから、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基が好ましく、特にイソプロピル基が好ましい。
該フマル酸ジエステルの具体的な例示としては、例えばフマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジペンチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−iso−ブチル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロブチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性に優れるフマル酸ジエステル重合体の製造が可能となることからフマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が好ましく、特にフマル酸ジイソプロピルが好ましい。
本発明においては、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて一般式(1)で表されるフマル酸ジエステルと共重合が可能な単量体を更に用いてもよく、該共重合可能な単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;テトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。そして、該共重合可能な単量体を併用する場合、得られるフマル酸エステル重合体中にオキセタニル基及び/又はテトラヒドロフルフリル基を導入する事により重合体間に架橋構造を形成し、耐熱性、透明性に優れるのみならず、耐薬品性、寸法安定性に優れたフマル酸ジエステル重合体となることから、下記の一般式(2)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は下記の一般式(3)で表されるテトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
Figure 0004835041
(ここで、Rは水素又はメチル基であり、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であり、n=1または2である。)
Figure 0004835041
(ここで、Rは水素又はメチル基であり、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基である。)
ここで、一般式(2)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのRは水素又はメチル基であり、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基であり、n=1または2である。Rにおける炭素数1〜4の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。そして、具体的な一般式(2)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−プロピル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−n−ブチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−イソプロピル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−オキセタニルエチル、アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルエチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルエチル、メタクリル酸3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−プロピル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−n−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−イソプロピル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−iso−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−sec−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−tert−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−オキセタニルエチル、メタクリル酸3−メチル−3−オキセタニルエチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルエチル等が挙げられ、これらの中でも特にアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルが好ましい。
また、一般式(3)で表されるテトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのRは水素又はメチル基であり、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基である。Rにおける炭素数1〜4の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。そして、具体的な一般式(3)で表されるテトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−メチルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エチルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−プロピルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−n−ブチルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−イソプロピルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−メチルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−エチルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−プロピルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−n−ブチルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−イソプロピルテトラヒドロフルフリル等が挙げられ、これらの中でも特にアクリル酸テトラヒドロフルフリルが好ましい。
該共重合可能な単量体を用いる場合、その配合量は、本発明の目的であるフマル酸ジエステル重合体が得られる限り、如何なる配合割合でもよく、その中でも特に耐熱性、透明性に優れたフマル酸ジエステル重合体が得られることから、フマル酸ジエステル100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましく、特に1〜40重量部であることが好ましい。
本発明において用いられる水溶性セルロース類としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース類が挙げられ、その中でもヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類が好ましい。
該水溶性セルロース類の添加量としては、本発明が実施できる限りにおいて如何なる量を用いてもよく、その中でも特に効率よく透明性に優れるフマル酸ジエステル重合体を製造することが可能となることから、フマル酸ジエステル又はフマル酸ジエステルと共重合可能な単量体との混合物(以下、フマル酸ジエステル系単量体と記す。)100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、特に0.02〜15重量部が好ましく、更に0.05〜10重量部であることが好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル重合体の製造方法においては、本発明の目的を逸脱しない範囲において、該水溶性セルロースと他の分散剤を併用して用いることも可能であり、他の分散剤としては、例えばポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物;りん酸カルシウム等の無機化合物等が挙げられる。
また、油溶性ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーブチルピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
水性媒体としては、通常水性媒体として扱われているものでよく、例えば水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等を挙げることができる。また、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、メタノール、エタノール、アセトン等の水溶性媒体を混合した混合水性媒体であってもよい。
懸濁重合を行う際の重合温度としては、油溶性ラジカル重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル重合体の製造方法においては、特に透明性に優れるフマル酸ジエステル重合体を製造することが可能となることから得られたフマル酸ジエステル重合体粒子を洗浄し、水溶性セルロース及び未反応フマル酸ジエステル系単量体を除去する工程を設けることが好ましく、該洗浄工程に用いられる溶媒としては、フマル酸ジエステル重合体を溶解することなく、水溶性セルロース及び/又はフマル酸ジエステル系単量体を溶解する溶媒であれば如何なるものを用いることも可能であり、該洗浄工程は、水溶性セルロース及びフマル酸ジエステル系単量体を同一の溶媒で同時に除去しても、異なる溶媒により段階的に個別に除去してもよい。そして、水溶性セルロースの除去用の洗浄溶媒としては、例えば水、メタノール/水混合溶剤、エタノール/水混合溶剤等が挙げられ、フマル酸ジエステル系単量体の除去用の洗浄溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、メタノール/水混合溶剤、エタノール/水混合溶剤等が挙げられる。
以下に本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例により得られたフマル酸ジエステル重合体の評価・測定方法を示す。なお、断りのない限り用いた試薬は市販品を用いた。
〜数平均分子量〜
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、カラムGMHHR−H)を用い、クロロホルムを溶媒として、40℃で測定し、得られた溶出曲線より標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜フマル酸ジエステル共重合体の組成〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
〜透明性の評価方法〜
フマル酸ジエステル重合体の透明性を評価するために、溶液キャスト法で厚さ150μmのフィルムを作製し、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名NDH2000)を用い、ヘーズを測定した。また、フマル酸ジエステル重合体のフィルムを220℃で1時間加熱処理した後、カラーコンピューター(スガ試験機製、商品名SM−7−IS−2B)を用い、黄色度を測定した。
実施例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル140g(0.699モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.7g(0.004モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で30時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル重合体粒子をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことによりフマル酸ジイソプロピル重合体を得た(収率:70%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル重合体の数平均分子量は40000であり、ヘーズは0.4、黄色度は2.5であった。
実施例2
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジt−ブチル140g(0.608モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.7g(0.004モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で30時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジt−ブチル重合体粒子をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことによりフマル酸ジt−ブチル重合体を得た(収率:82%)。
得られたフマル酸ジt−ブチルの数平均分子量は54000であり、ヘーズは0.4、黄色度は2.6であった。
実施例3
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル100g(0.499モル)、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル40g(0.236モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート1.1g(0.006モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体粒子をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:56%)。
H−NMR測定により、得られたフマル酸ジイソプロピル系重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=67/33(モル%)からなるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は75000であり、ヘーズは0.5、黄色度は2.7であった。
実施例4
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル134g(0.669モル)、アクリル酸テトラヒドロフルフリル6g(0.038モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート1.1g(0.006モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体粒子をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:61%)。
H−NMR測定により、得られたフマル酸ジイソプロピル系重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位=96/4(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸テトラヒドロフルフリル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は39000であり、ヘーズは0.5、黄色度は2.7であった。
実施例5
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル103g(0.514モル)、アクリル酸テトラヒドロフルフリル6g(0.038モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート37g(0.212モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:67%)。
H−NMR測定により、得られたフマル酸ジイソプロピル系重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位=65/35(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸テトラヒドロフルフリル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は50000であり、ヘーズは0.5、黄色度は2.8であった。
実施例6
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル115g(0.574モル)、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル25g(0.136モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:58%)。
H−NMR測定により、得られたフマル酸ジイソプロピル系重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=81/19(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は117000であり、ヘーズは0.5、黄色度は2.7であった。
実施例7
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル130g(0.649モル)、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル10g(0.059モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことによりフマル酸ジイソプロピル系重合体を得た(収率:65%)。
H−NMR測定により、得られたフマル酸ジイソプロピル系重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/メタクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位=92/8(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−メタクリル酸テトラヒドロフルフリル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は48000であり、ヘーズは0.6、黄色度は2.8であった。
比較例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(日本合成化学製、商品名ゴーセノールKH−20)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル140g(0.699モル)、および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.7g(0.004モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で30時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル重合体をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:70%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル重合体の数平均分子量は40000であった。ヘーズは1.5、黄色度は7.9と透明性に劣るものであった。
比較例2
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(日本合成化学製、商品名ゴーセノールKH−20)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジt−ブチル140g(0.608モル)及び油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.7g(0.004モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で30時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジt−ブチル重合体をろ別し、蒸留水500mlで2回、メタノール500mlで2回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:81%)。
得られたフマル酸ジt−ブチル重合体の数平均分子量は54000であった。ヘーズは1.6、黄色度は8.2と透明性に劣るものであった。
比較例3
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名クラレポバールL−8)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル100g(0.499モル)、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル40g(0.236モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート1.1g(0.006モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:53%)。
H−NMR測定により、得られたフマル酸ジイソプロピル系重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=67/33(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は81000であった。ヘーズは2.3、黄色度は9.3と透明性に劣るものであった。
比較例4
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名クラレポバールL−8)0.2g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル100g(0.499モル)、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル40g(0.236モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート1.1g(0.006モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:48%)。
H−NMR測定により、得られた重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=65/35(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は84000であった。ヘーズは2.5、黄色度は9.6と透明性に劣るものであった。
比較例5
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名クラレポバールL−8)0.8g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル100g(0.499モル)、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル40g(0.236モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート1.1g(0.006モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:54%)。
H−NMR測定により、得られた重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=67/33(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体であることを確認した。数平均分子量は79000であった。ヘーズは2.6、黄色度は9.8と透明性に劣るものであった。
比較例6
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(日本合成化学製、商品名ゴーセノールGH−23)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル134g(0.669モル)、アクリル酸テトラヒドロフルフリル6g(0.038モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート1.1g(0.006モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:61%)。
H−NMR測定により、得られた重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位=95/5(モル%)であるフマル酸イソプロピル−アクリル酸テトラヒドロフルフリル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は39000であった。ヘーズは2.2、黄色度は9.1と透明性に劣るものであった。
比較例7
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(日本合成化学製、商品名ゴーセノールGH−23)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル103g(0.514モル)、アクリル酸テトラヒドロフルフリル37g(0.212モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:65%)。
H−NMR測定により、得られた重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位=65/35(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−アクリル酸テトラヒドロフルフリル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は50000であった。ヘーズは2.2、黄色度は9.2と透明性に劣るものであった。
比較例8
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(日本合成化学製、商品名ゴーセノールKP−06)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル115g(0.574モル)、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル25g(0.136モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:55%)。
H−NMR測定により、得られた重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=81/19(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は122000であった。ヘーズは2.3、黄色度は9.6と透明性に劣るものであった。
比較例9
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mlの4口フラスコに、ポリビニルアルコール(日本合成化学製、商品名ゴーセノールKM−11)0.4g、蒸留水260g、フマル酸ジイソプロピル130g(0.649モル)、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル10g(0.059モル)および油溶性ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.8g(0.005モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することにより懸濁重合を行なった。
重合反応の終了後、フマル酸ジイソプロピル系重合体をろ別し、蒸留水500mlで4回、メタノール500mlで4回洗浄を行うことにより重合体を得た(収率:65%)。
H−NMR測定により、得られた重合体は、フマル酸ジイソプロピル残基単位/メタクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位=91/9(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル−メタクリル酸テトラヒドロフルフリル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は50000であった。ヘーズは2.3、黄色度は9.6と透明性に劣るものであった。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(1)で表されるフマル酸ジエステルを、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類又はカルボキシアルキルセルロース類である水溶性セルロース類、及び油溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行うことを特徴とするフマル酸ジエステル重合体の製造方法。
    Figure 0004835041
    (ここで、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は炭素数3〜6の環状アルキル基である。)
  2. 下記の一般式(1)で表されるフマル酸ジエステルを、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類又はカルボキシアルキルセルロース類である水溶性セルロース類、及び油溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行い、一般式(1)で表されるフマル酸ジエステル100重量部に対し、さらにオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル又はテトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである共重合可能な単量体1〜50重量部を配合してなることを特徴とするフマル酸ジエステル重合体の製造方法。
    Figure 0004835041
    (ここで、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は炭素数3〜6の環状アルキル基である。)
  3. 共重合可能な単量体が下記一般式(2)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は下記一般式(3)で表されるテトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項2に記載のフマル酸ジエステル重合体の製造方法。
    Figure 0004835041
    (ここで、Rは水素又はメチル基であり、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であり、n=1または2である。)
    Figure 0004835041
    (ここで、Rは水素又はメチル基であり、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基である。)
  4. フマル酸ジエステルが、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジt−ブチル、フマル酸ジシクロヘキシルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のフマル酸ジエステル重合体の製造方法。
  5. フマル酸ジエステル100重量部又はフマル酸ジエステルと共重合可能な単量体の合計量100重量部に対し、水溶性セルロース類0.01〜20重量部を用いてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のフマル酸ジエステル重合体の製造方法。
  6. 懸濁重合後のフマル酸ジエステル重合体粒子を水、メタノール/水混合溶媒、エタノール/水混合溶媒、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒で洗浄する工程を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のフマル酸ジエステル重合体の製造方法。
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